第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、次世代の産業分野のニーズに対応できる製品づくりの観点から「高機能、高精密、高品質な製品の提供を通して社会に貢献する」ことを「経営基本方針」とし、また、社員一人ひとりが「今日に誇りを持ち、明日に希望を託し行動する」を「社訓」とします。さらに、人にも地球にも優しい「人を想い、地球を想う」を「基本理念」と定め、当社グループ全体が社会の発展とともに共存共栄していくことを指針とします。

 

社訓

今日に誇りを持ち、明日に希望を託し行動する

基本理念

人を想い、地球を想う

経営基本方針

高機能、高精密、高品質な製品の提供を通して社会に貢献する

 

(2) 経営戦略等

グローバルに目まぐるしく変化する経済環境のもとで、当社は世界のトップメーカーを目指し、企業体質の強化を図るため計画的かつ着実に施策を推進してまいります。

①  基本理念「人を想い、地球を想う」のもと、SDGsに取り組み、環境との調和を目指した製品技術・生産技術などの開発により技術領域を広げていくとともに、地球規模の視野に立った環境保全活動を行い、持続可能な社会の実現に貢献できる企業づくりを推進いたします。

②  グループ全体の資本効率の向上を図り、今後もより一層、企業体質を強化いたします。

③  世界的な技術競争に対応するために、研究開発体制、技術力の強化を図り、基礎技術の蓄積と活用能力を高めた製品開発のスピード化を推進いたします。

④  次世代を見定め、よりユーザニーズに対応した高機能、高精密、高品質な製品を生産する製造ラインの実現に向け、生産システム並びに研究開発の機能充実を図り、独自の優位性を持った新しい考え方を採り入れた生産システムの確立に取り組みます。

⑤  世界的なコスト競争に対応するために、世界最適生産体制の確立とコスト競争力のある体質づくりを目指して取り組みます。

⑥  生産、販売及び物流体制の強化を図るため、立地面の優位性、効率性を重視し、国内外を問わず拠点の再整備を行い、引き続き一層の充実を図ります。

⑦  人材の確保と育成を図るため、新卒社員の採用並びに専門的知識と経験の豊富な人材の通年採用を積極的に進めるとともに社員一人ひとりが多様で柔軟な働き方が実現できるよう働き方改革に取り組みます。

 

(3) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

インフレと金融不安による信用収縮、地政学的リスクの高まりなど、世界経済の成長を鈍化させる複合的な不安が世界全体に広がっており、当社グループの収益の圧迫が懸念されます。

このような環境の中、中期経営計画最終年度となる2023年度は、2030年度の「ありたい姿」の実現に向けた基盤強化期間として収益性、資本効率性、設備投資額、株主還元、ESGの各々にKPIを設定し、これらの達成に向け取り組んでいます。

基本理念「人を想い、地球を想う」のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献できる企業づくりを推進し、全てのステークホルダーに信頼される経営を目指します。

 

 

(4) 目標とする経営指標

①  経営目標値

『 2030年度のありたい姿 』

売上高:1,000億円    営業利益:130億円    ROE:10%

 

『 '21中期経営計画 』(2021年度~2023年度)

 

2021年度(目標)

2022年度(目標)

2023年度(目標)

売上高

700億円

775億円

800億円

営業利益

73億円

80億円

83億円

ROE

8%

前提為替レート

1米ドル=115円    1ユーロ=125円

 

 

2021年度(実績)

2022年度(実績)

2023年度(予想)

売上高

748億円

829億円

845億円

営業利益

76億円

90億円

91億円

ROE

7.7%

8.1%

8.1%

為替レート

(期中平均)

1米ドル=112.38円

1ユーロ=130.56円

1米ドル=135.47円

1ユーロ=140.97円

1米ドル=130.00円

1ユーロ=142.00円

 

②  利益還元に関する目標値

連結配当性向100%(2022年度・2023年度)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ経営の推進体制とマテリアリティ

①  サステナビリティ経営に対する考え方:

三ツ星ベルトグループは、基本理念「人を想い、地球を想う」のもと、企業価値と社会価値のトレードオンを図るべく、ESG経営の実践に取り組んでいます。「2030年度の“ありたい姿”」においては、「持続可能な社会の実現への貢献(社会的・経済的価値の向上)」を掲げ、特定したマテリアリティを主とする各ESG課題の解決に取り組んでいます。

 

②  サステナビリティ経営の推進体制

環境や社会に対する企業の果たすべき役割がより大きくなった現在において、三ツ星ベルトグループが果たすべき役割と存在意義を改めて見つめ直し、ESG経営を迅速かつ効果的に実行することを目的として、2022年4月、社長が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会を設置いたしました。

特定したマテリアリティの課題ごとに推進組織を設定し(推進組織は、各委員会、事業部門、又はサステナビリティ推進委員会の直轄組織となるワーキンググループが担当)、各課題解決への取組み及びKPI管理を行い、また、それら取組みの進捗状況は、サステナビリティ推進委員会に報告され、同委員会により、監視、指示、判断、評価されています。また、サステナビリティ推進委員会の活動内容は、必要に応じて経営会議を通じて取締役会に報告されます。

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a.サステナビリティ推進委員会構成

委員長      :  代表取締役社長

委  員      :  取締役5名、執行役員4名、部長級1名

サステナビリティ推進室担当役員、技術本部長、生産本部長、営業本部長、人事総務本部長、社長室長、経営企画室長、IR企画室長、エンジニアリング本部長、品質安全環境本部長

オブザーバー:  監査役  1名

事務局      :  サステナビリティ推進室(2名)

 

b.サステナビリティ推進委員会体制

開催頻度    :  1回/月

審議内容    :  ⅰ) グループ全体のサステナビリティ課題戦略の策定、進捗状況の監督及び助言

  ⅱ) マテリアリティの各実行課題取組み状況に関する討議

  ⅲ) 取締役会で審議すべきサステナビリティ課題の特定と取締役会への上申

 

c.サステナビリティ推進委員会主要議題一覧

開催期

主要議題

第1四半期

▶ サステナビリティ推進委員会での課題一覧と活動進捗管理について

 

▶ WG活動状況報告

 

▶ 2021年度実績報告(CO排出量・水資源、資材投入量、廃棄物発生量、排水発生量)

第2四半期

▶ 排出量削減目標値に対する達成見通し状況について

 

▶ カーボンニュートラルに向けたロードマップについて

 

▶ 2022年度第1四半期CO排出量実績について

 

▶ グループ行動基準の改定について

 

▶ 人財戦略について

第3四半期

▶ 人権デューデリジェンスについて

 

▶ 気候変動関連外部評価の結果報告

 

▶ グループ拠点でのCO排出量削減目標値の設定について

 

▶ 環境配慮型製品の開発  ~中長期ロードマップの策定・開示について

第4四半期

▶ 環境配慮型製品の開発  ~サステナブル材料を使用した製品の開発について~

 

▶ 2022年度CO排出量実績について  ~2022年度1Q~3Q

 

▶ 中間年度でのCO排出量削減目標値設定について

 

▶ ESGデータ集について  ~情報開示のブラッシュアップ

 

▶ 気候変動に伴うハザードスクリーニング

 

③  ESG課題に関するマテリアリティ

環境及び社会課題の解決を企業活動の前提条件と捉え、持続可能な社会の実現に貢献するため、取り組むべき重点課題(マテリアリティ)を特定し、また実行施策ごとのKPIを設定しました。

 

a.マテリアリティの特定プロセス

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b.三ツ星ベルトのマテリアリティと取り組む課題・課題の施策一覧

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※  各課題のKPIは下記の当社ウェブサイトにてご確認ください。

https://www.mitsuboshi.com/sustainability/sustainability_of_Mitsuboshi.html

 

(2) 気候変動に関する取組み

地球温暖化を原因とした様々な気候災害の発生頻度・激甚化は年々悪化しており、三ツ星ベルトグループは、“気候変動への対応”を経営における重要課題(マテリアリティ)として取り上げています。

また、三ツ星ベルトは、気候変動に係る取り組みをより加速させるべく、2022年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」※1提言への賛同を表明するとともに、賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFDコンソーシアム※2に入会しました。

気候変動に関する取り組み強化を推進するとともに、TCFDのフレームワークに基づいた適時・適切な情報開示を行い、全てのステークホルダーの皆さまとのより一層のエンゲージメント向上を目指しています。

 

※1  TCFDとは、G20の要請を受け2015年に金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォースであり、企業に対し、気候変動によるリスク及び機会が与える財務的インパクトを評価し、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの項目に基づいて情報開示を行うことが推奨されています。

(TCFD Webサイト:https://www.fsb-tcfd.org/)

※2  TCFDコンソーシアムとは、TCFD提言へ賛同する企業や金融機関等が一体となって取組を推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組について議論する場として設立された団体・コンソーシアムです。

(TCFDコンソーシアムWebサイト:https://tcfd-consortium.jp/)

 

①  ガバナンス

a.気候変動関連リスクと機会についての、取締役会による監視体制

・  気候変動に関する経営の方向性については、サステナビリティ推進委員会(「第2-2-(1)-②参照」)において、気候関連のリスク及び機会などを踏まえて取りまとめた提言を、業務執行における重要事項を審議・決定・監督する経営会議を通じて取締役会に報告し、取締役会で意思決定・監督することとしています。

 

b.気候変動関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割

・  マテリアリティ課題(優先的に取り組む課題)の進捗については、課題ごとに決められた施策を担当する推進部門(事業部門、委員会又はワーキンググループ)からサステナビリティ推進委員会へ実施状況を報告し、同委員会にてレビュー・監視・目標の進捗や課題の確認をおこない、継続的改善を図っています。

・  マテリアリティ課題のひとつである気候変動対応活動については、「CO削減活動」・「省エネ活動」・「環境配慮型製品の開発」等に関してサステナビリティ推進委員会にて議論されており、主な議題は「第2-2-(1)-②-c」に記載の表のとおりです。

 

②  リスク管理

a.気候変動関連のリスクを特定及び評価するプロセス

・  気候変動関連リスクは、全ての事業部門・関連会社にてリスクと機会の洗い出しを行い、リスク管理委員会(取締役が委員長、全関係会社・事業部門、及び本社全管理部門の責任者が委員)にて、発生の可能性と影響の大きさ(影響度: 大:10億円以上、中:1億円~10億円、小:1億円未満/時間軸: 短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年)から対応すべきリスクと機会を特定します。

 

b.気候変動関連のリスクを管理するプロセス

・  事業部門・関係会社の責任者は、特定されたリスクと機会を集約し、取り組むべき課題、対応施策、対応部門、目標等を明確にして方針書に展開し、社長の承認を得ます。承認された方針書は、対応部門により実行計画書に展開、事業部門・関係会社責任者の承認の後、実行に移されます。

・  実行の状況は事業部門・関係会社の責任者により監視・評価され、原則、年1回の頻度で経営会議に報告、レビューを受け、その結果は次年度の方針書に反映されます。ESG経営のマテリアリティ課題に対応した施策の実施状況は、月1回の頻度で開催されるサステナビリティ推進委員会で報告され、必要に応じて指示・評価されます。

 

c.気候変動関連リスク管理と全体リスク管理の統合

・  リスク管理委員会事務局では、重大リスクに対する施策、目標、対応部門を明確にした重大リスク案を作成、リスク管理委員会の審議を経て、決定します。この内容は、リスク管理委員会を通じて経営会議に報告されます。決定された重大リスクに対する施策は、日常の監視・評価は対応部門が所属する事業部門・関係会社の責任者により実施され、その内容はリスク管理委員会に報告されます。

 

・  2022年度、気候変動に関連したリスクとして、“CO排出量削減目標未達による企業価値低下”が、重大リスクの一つとして本委員会で特定され、事業部門・関係会社で実施されるCO削減活動が、本委員会により監視・評価され、その内容が他の重大リスクと共に取締役会で報告されています。

・  また、気候変動に関連し、ESGのマテリアリティにも係るリスクについては、リスク管理委員会とあわせてサステナビリティ推進委員会も当該リスクに対する実施内容の進捗について管理を行っています。

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③  戦略

気候変動が三ツ星ベルトグループのバリューチェーンに将来的に与える影響及び気候変動対策の有効性の検証を目的に、脱炭素トレンドが強まり移行リスク・機会の影響が大きくなる「1.5℃上昇シナリオ」と、気候変動が大きく進み物理的リスクの影響が強まる「4℃上昇シナリオ」の2つの気候変動シナリオに基づきシナリオ分析を実施しました。

 

a.シナリオ分析

・  分析対象と前提条件

地域

期間

範囲

主な参照シナリオ

  三ツ星ベルトグループの

  事業展開国・地域

 2022年

~2050年

 バリュー

 チェーン

IEAWEO2022、

IPCCAR6(SSP1-1.9、SSP3-7.0、SSP5-8.5)等

 

・  三ツ星ベルトグループの事業を取り巻く将来の社会像

シナリオ

2030年

2050年

 1.5℃シナリオ

・炭素価格は先進国で140USD/t-CO、発展途上国で90USD/t-CO

・世界各国において低炭素・脱炭素技術向けの商品需要が拡大

・自動車産業では電動化が進み、新車販売台数の半数が電動車となっている

・平均気温の上昇が1.5度に達し物理リスクが顕在化する。防災・減災への投資が増加

・炭素価格は先進国で250USD/t-CO、発展途上国で205USD/t-CO

・世界各国において低炭素・脱炭素技術向けの商品需要が拡大

・自動車産業では電動化が進み、新車販売台数のほとんどが電動車となっている

・平均気温の上昇が1.6度に達し物理リスクが顕在化する。防災・減災への投資が増加

 4.0℃シナリオ

・炭素価格は先進国で90USD/t-CO、発展途上国でゼロ

・先進国において、低炭素・脱炭素技術向けの商品需要が拡大

・自動車産業では電動化が進み、新車販売台数の半数が電動車となっている

・平均気温の上昇が1.5度に達し物理リスクが顕在化する。防災・減災への投資が増加

・炭素価格は先進国で113USD/t-CO、発展途上国でゼロ

・先進国において、低炭素・脱炭素技術向けの商品需要が拡大

・自動車の電動化は新車販売台数の半数にとどまる。発展途上国では内燃機関車が主流

・平均気温の上昇が2.1度に達し物理リスクが顕在化する。防災・減災への投資が増加

 

b.リスクと機会

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※  定義  影響度 : 大:10億円以上、中:1億円~10億円、小:1億円未満

時間軸 : 短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年

 

・  自動車の電動化の普及に伴うリスクと機会について

自動車の電動化に伴い、2030年度までに内燃機関用ベルトの需要は約60億円減少する見通しですが、同期間において、自動車・電動ユニット用ベルト(EPB、EPS、PSDなど)や電動2輪車・後輪駆動用ベルトなどの販売拡大により約100億円の売上増を見込んでおります。自動車の電動化進展を機会と捉え、持続可能な成長を実現できる製品の開発に努めてまいります。

 

[製品区分別・自動車業界向け売上計画]

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c.CO排出量

当社では、事業活動において重要な要素と位置付けているマテリアリティの1つに「脱炭素社会実現への貢献」を挙げており、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、様々なCO排出削減施策に積極的に取り組んでおります(下表参照)。各施策の取り組みを進めた結果、2022年度・国内拠点のCO排出量は28,930tとなり※1(対前年比で17.3%・6,049tの削減。基準年度である対2013年度比では29.2%・11,948tの削減)、目標の1つである「2023年度:2013年度比22%以上の削減」は達成できる見通しとなっております。2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップについては、『④指標と目標』をご参照ください。

 

・  2022年度CO排出量の内訳(対象:国内8拠点、Scope1,2)

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・  CO排出量削減のための実施済み施策一覧

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※1  国内8拠点、Scope1及び2を対象とした排出量です。

※2  エネルギー投入量により削減量/削減見込量は増減します。記載の数値は概算値です。

※3  「カーボンオフセットされた都市ガス」については、CO排出量削減への寄与はゼロとして試算しています。

 

④  指標と目標

2019年、三ツ星ベルトグループは地球温暖化の抑制に貢献するため、中長期のCO排出量削減目標を定めましたが、2022年、気候変動への対応に緊急性が増す中、より野心的に排出量の削減活動に取り組むべく目標の見直しを行うとともに、中間年度(2025年度)での排出量削減目標も設定いたしました。

現状では、日本国内8拠点でのScope1及び2を対象とした排出量削減目標となっていますが、今後、海外工場を含むグループ全体での、Scope3を含む排出量の集計を開始し、目標の策定も進めてまいります。

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(3) 水資源保全に関する取組み

三ツ星ベルトグループは、環境保全に取り組むことを重要な経営課題の一つと位置づけており、「水資源の保全」にも注力しています。

水道水が飲料水として使用でき、かつ低コストで入手できる日本では、水資源の保全に対する意識が薄れがちです。実際に、三ツ星ベルトグループの国内生産拠点は、主力製品である伝動ベルトの生産量が海外生産拠点の1/3に過ぎないにもかかわらず、海外生産拠点の約2.5倍の水を使用しています(2022年度時点、下図参照)。

 

水使用量の推移

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一方、日本では水の問題がないかというと決してそうではなく、日本においても毎年どこかで“渇水”が発生しています。

一方、海外に目をやれば、2022年にヨーロッパを襲った熱波・干ばつは、農業生産に大きな負の影響を与え、さらには原子力発電所の冷却水温度上昇によって電力供給にも影響が及びました。

当社が行っている水資源の保全に関する取り組みは、地球温暖化による気候変動に対応する取り組みと密接に関連しています。水は、私たちが生きるために欠かせない重要な資源でありながら、その重要性に反して水の枯渇や汚染が進んでおり、私たちの社会生活、経済活動、自然環境に深刻な影響を与えています。

 

①  戦略

「水資源の保全」に関するリスクと機会を洗い出し、それらが三ツ星ベルトグループの事業活動に与えるインパクトについて、他の事業課題と共にリスク管理規程に準拠して評価し、その結果を戦略と目標に展開いたしました。

リスク管理体制につきましては、「第2-2-(2)-②-c.気候変動関連リスク管理と全体リスク管理の統合」をご参照ください。

 

a.シナリオ分析とハザードスクリーニング

「干ばつ」のリスクは、生産拠点の所在地により異なるため、2022年度には「World Resource InstituteのAqueduct Water Risk Atlas」より現在の干ばつリスク情報を入手し、これにIPCCの気候変動情報を加味して、各生産拠点の、現在及びSSP1-2.6シナリオ、SSP5-8.5シナリオに沿った、2050年の干ばつリスクを5ランクで評価しました。

国内7生産拠点の現在の干ばつリスクは、最高ランクから4番目のランクであり、2050年の干ばつリスクは、どちらのシナリオで気候変動が進行したとしても、4番目のランクから変化しませんでした。日本における生産においては、干ばつリスクは気候変動の影響をほとんど受けず、リスクの低い状況が長期的に継続すると判断しています。

一方、海外8生産拠点の現在の干ばつリスクは、そのうち1拠点が最高ランクから3番目、他の7拠点は2番目に位置し、国内生産拠点に比べリスクの高い状況です。また、2050年の干ばつリスクは、どちらのシナリオで気候変動が進行しても、現在のランクからの変化はありません。海外生産拠点は国内生産拠点に比べれば高い干ばつリスクを有していますが、長期的に現在の干ばつリスクが変化することはなく、現時点では、その対応の緊急性は高くないものと判断しています。

 

b.リスクと機会の洗い出し及びインパクト評価結果

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※  影響度  小   : 1億円以下 │ 中   : 1~10億円 │ 大   : 10億円以上

時間軸  短期 : ~2025年   │ 中期 : ~2030年   │ 長期 : ~2050年

 

「気候変動による干ばつ」が、三ツ星ベルトグループの生産活動に及ぼす影響について、当社は深刻なリスクと認識しています。こうしたリスクへの対応の遅れは、生産活動の停止などの深刻な影響につながり、当社の財務面にも大きなインパクトをもたらす可能性がありますが、このリスクに対し適切な対応策を講じることにより、顧客からの信頼を獲得する機会にも変えることができると考えています。

生産活動の停止による財務インパクトは、グローバルな生産補完システムが機能することによって、連結ベースでの影響は非常に軽微なものとなりますが、生産拠点単独ベースでは、停止期間に応じた売上高の減少が見込まれます。

IPCCの第6次評価報告書では、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両方において、将来的に極端な干ばつの頻度が増加することが予測されており※、持続可能性の観点から、中期~長期のリスクの増大に対する積極的な対応を進めてまいります。

 

※  IPCC 第6次報告書では、1.5℃シナリオでは、現在の温暖化ペースが維持された場合、21世紀後半には、地球上の多くの地域で、平均して約2倍の頻度で極端な干ばつが発生する可能性があり、一方、4℃シナリオでは、温暖化が現在のペースで進行し続けた場合、21世紀後半には、一部の地域では現在よりも10倍以上の頻度で極端な干ばつが発生する可能性が示唆されています。

 

②  指標と目標

これまで三ツ星ベルトグループでは、日本に比べ取水環境の厳しい海外生産拠点を中心に、水の消費量を減らすために「冷却水循環システム」、「ミスト冷却システム」等を導入してまいりました。ゴム製品の生産においては、化学反応によりゴム弾性を発現させる“加硫”工程が不可欠ですが、この工程では、ゴムに硫黄等を加え、高温(100℃以上)で反応させるため、“加硫”後には冷却が必要であり、水を使用して冷却します。以上のように、“加硫”と“加硫後の冷却”は、ゴム製品を作るために欠かせない工程です。

2019年度には、当社グループ・北米の生産拠点エム・ビー・エル(ユー・エス・エー)コーポレーションにおいて、「冷却水循環システム」を導入いたしました。同システム導入前後の水使用量の推移を右図に示します。導入前では、年間約7万㎥の水を使用していましたが、同システムの導入により、年間水使用量を3万㎥弱まで減少させることができました。

 

水使用量の推移(エム・ビー・エル(ユー・エス・エー)コーポレーション)

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前述の通り、当社グループ・国内生産拠点の水使用量は、海外生産拠点の約2.5倍であり、特に国内生産拠点における水使用量の削減が急務となっております。以下の目標を設定し、水使用量の削減に取り組んでまいります。

 

“水”に係る当社マテリアリティ

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(4) 「人財戦略」  人的資本経営の推進

・  基本的な考え方

三ツ星ベルトグループは、当社が今後も、社会価値の向上とともに持続可能な成長を実現するためには、「人財」が最も重要な成長の源泉であると認識し、当社'21中期経営計画にて示す「2030年度の“ありたい姿”」において、下記に示す「人財戦略」を掲げています。

 

「2030年度の“ありたい姿”」  -人財戦略

変革を推進する人材の育成

▶ 「人」の力を最大限に発揮できる人事制度、教育制度、職場環境の充実

▶ 多様性を尊重した新しい発想、変革を恐れないチャレンジ精神を大切にする「企業風土」の醸成

 

上記“ありたい姿”の実現に向け、当社では、従業員のエンゲージメント向上を目指した企業風土改革、人材育成に取り組んでおり、2023年度までに、人財投資・R&D・DXに50億円を投資する計画です。VUCAの時代と言われる現在において、三ツ星ベルトグループは、経営環境にぶれないサステナブルな企業体質を目指し、「人財戦略」を具体化し、これを確実に実践し、その有効性を確認してまいります。

 

①  ガバナンス

三ツ星ベルトグループにおける人材育成と職場環境整備に関する戦略と方針は、人事総務本部(部門長:取締役常務執行役員)において立案され、経営会議で審議、決定のうえ、取締役会に報告されます。

 

人的資本経営の推進体制と役割

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また、職場環境の整備、生産性改善に関する施策を組織横断的に実施し、迅速に普及させることを目的として、取締役が委員長を務め、ダイバーシティ(性別、年齢、職種、職制)を意識した委員で構成する働き方改革推進委員会が設けられています。本委員会では、実行課題、対象部門、対応施策、目標を設定し、対応施策の実施状況を監視・評価し、必要に応じて施策内容の変更を指示します。これら活動内容は、対応施策の進捗状況に応じて、社長、及び経営会議に報告、審議され、この報告・審議内容は取締役会の報告事項となっています。

さらに、サステナビリティ推進委員会(「第2-2-(1)-①及び②」項参照)においては、人的資本経営の面から、2022年度のマテリアリティの1つに「人財戦略の強化」が取り上げられ、施策ごとに推進組織(下記表参照)が指名されています。施策推進組織からサステナビリティ推進委員会へは月1回の頻度で実施状況報告がなされ、施策実施内容の監視・評価が行われています。

 

マテリアリティ:「人財戦略の強化」  課題ごとの推進組織

取り組む課題

課題の施策

推進組織

ダイバーシティの推進

女性管理職者数の向上

人事部

安全・健康

従業員の喫煙者割合減少

働き方改革推進委員会

従業員の肥満率割合減少

働きがいのある職場づくり

従業員エンゲージメントの標準化

 

②  戦略

日本の三ツ星ベルトグループを対象として、人的資本に関するリスクと機会を洗い出しました(表1)。

日本企業の経営において、労働人口の減少、従業員の高齢化は、各社共通した課題ですが、日本の三ツ星ベルトグループでは、これら以外に、女性従業員比率・女性管理職比率の低さ、従業員エンゲージメントを評価していないことが課題であると認識しています。特に従業員エンゲージメントの向上は事業活動の活性化に直結するものであり、その測定・監視・評価・改善は事業活動の中で重要な要素となります。また、これまで難しかった人事・総務施策の目標設定に活用することで、施策の有効性が明確になり、効率的な人事・総務活動につながると考えています。

 

a.リスクと機会

表1  三ツ星ベルトグループの人的資本経営におけるリスクと機会

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b.労働人口の減少とダイバーシティの確保

日本においては、労働人口減少への対応を進めることが今後の事業を継続していくための重要な課題であると認識しています。労働人口が減少する中、DXを推進して生産性改善と自動化を進め、事業拡大に伴う要員の増加をゼロ、あるいはマイナスにしなければなりません。2022年、DXの活用を確実に進めることを目的として、DX推進室を設置いたしました。また、人材開発室においては、「物流のIT化」、「AI(人工知能)活用」等の新規教育プログラムをスタートさせています。今後、具体化される様々な事業計画の中で、いつまでに、どのようなスキル・知識を持った人材が、何人必要か、を要員計画として明確にし、それに適応した人材教育、あるいは必要に応じて新規採用を実施してまいります。

一方、女性従業員及び女性管理職が少ない状況(2022年 三ツ星ベルト(本体)の女性従業員比率:8.4%、同 女性管理職比率:2.4%)は、当社のダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)における課題を明確に示しています。このような状況に対して、女性活躍を推進するために、積極的な女性の採用を行うとともに職場環境の整備を進め、女性に長く働いてもらい、管理職にもチャレンジしたくなる職場づくりを目指します。

既に、育児休暇制度、短時間勤務制度、単位時間ごとの有給休暇制度、フレックス勤務制度等、従業員一人ひとりの生活に合わせて勤務時間を調整する諸制度は導入済であり、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に拡がった在宅勤務制度など、時間や場所にとらわれない新しい働き方推進の取り組みも進めているところです。今後、これら諸制度が女性に限らず、従業員一人ひとりの生活に合わせて有効に活用されるよう、目標を設定し普及活動を進めてまいります。さらには、現在、事業活動の活性化、従業員エンゲージメントの向上を目的として、「誰もが言いたいことを言える会社づくり」に、社長が先頭になって取り組んでおり、会社の雰囲気が変わりつつあります。これらの施策は、女性従業員比率・女性管理職比率の改善に最も有効に機能すると考えており、先に述べました従業員エンゲージメントを指標にして、活動を更に活性化させてまいります。

 

c.従業員の高齢化の対応

日本企業の経営において、従業員の高齢化は大きな問題です。現状では70歳までの雇用が当たり前になりつつあり、“経験”というメリットを活かしながら、“身体的な衰え”や“技術の陳腐化”というディメリットを打ち消す施策の導入が必要となります。さらに、少子化問題がなかなか改善されない現状においては、労働者の高齢化問題は持続的な課題として残存することが考えられます。高齢者層の従業員には“経験”に加えて、リスキリングによる新しい知識・スキルの習得が求められます。三ツ星ベルトグループでは、従業員の高齢化に対する取り組むべき課題として、「従業員の高齢化への対応」と「高齢者層従業員のリスキリング」をあげ、活動しています。

“従業員の高齢化”への対応として、まず考えなければならないのが健康の維持です。当社では、人間ドック、心臓ドック、脳ドック、生活習慣病健診等の健診サービス制度を導入しています。これらサービスが有効に機能するよう、産業医の意見を反映させながらその内容を改善してまいります。また、健康の維持に加えて、健康増進のための取り組みもまた重要です。先ずは“喫煙”と“肥満”に着目し、指標を明確にして活動してまいります。

高齢者のリスキリングについては、前述の通り、人材開発室と、新設しましたDX推進室が各事業部門・関係会社の人材育成を支援する形で進めてまいります。人材開発室とDX推進室は新しい教育プログラムの開発を行い、各事業部門・関係会社は、要員計画により必要とする人材に関する要求事項を明確にし、これを人材育成計画に展開して、人材開発室とDX推進室の支援を受け人材育成を実行します。

 

d.一人ひとりの能力開発

三ツ星ベルトグループでは、あらゆる職場で実施される新入社員教育、初期作業者教育が、従業員の能力開発の第一歩となります。その後、役割の変化に伴う階層別研修、職務内容に応じた専門研修、法令が定めるところの研修、自己啓発を支援する研修等、様々な能力開発プログラムを実行しています(下表参照)。また、QCサークル活動、GLOBAL GEMBA KAIZEN ACTIVITY、及びそれらの成果報告会も従業員の能力開発に大いに貢献しており、報告会において優秀な活動に付与される報償は活動の原動力の一つとなっています。これら能力開発プログラムは、スキルマトリックスをベースにして、部門、あるいは定められた組織で年度ごとに計画・実行され、有効性を評価したのち、次年度の活動に展開されています。

 

表) 能力開発プログラム一覧

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e.人権デューディリジェンス(以下:人権DD)

三ツ星ベルトグループは、当社の事業活動に係る全ての人の人権を尊重することが重要であると認識しており、特定したマテリアリティの1つに「人権と人格の尊重」を取り上げ、人権DDに取り組んでいます。「人権と人格の尊重」に係る課題は、マテリアリティの推進組織よりサステナビリティ推進委員会へ進捗状況が報告され、同委員会により、監視、指示、判断、評価されています。

 

・  人権リスク

2023年1月、マテリアリティの推進組織であるワーキンググループ及びサステナビリティ推進委員会での議論により、当社のサプライチェーンを含む事業活動において、以下の人権リスクを特定しました。

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・  取り組み状況

人権DDを推進するに際し、以下の取り組みを進めております。

ⅰ) グループ行動基準の改定(2022年11月)

ⅱ) サプライチェーンにおける人権リスク評価の実施(2022年12月)

ⅲ) 人権課題の特定(2023年1月)

ⅳ) 人権方針の策定(2023年1月)

ⅴ) 人権に係る従業員教育の実施(2023年3月)

 

当社グループ行動基準及び調達ガイドラインは、国際社会で認められた普遍的な価値観である国連グローバル・コンパクトが定める4分野(人権、労働、環境、腐敗防止)10原則に基づいたものとなっております。三ツ星ベルトグループでは、人権DDを継続的に推進するとともに、サプライチェーン全体での人権リスク改善に取り組んでまいります。

 

※  行動基準、人権方針の全文は、当社ウェブサイトにてご確認いただけます。

 

f.エンゲージメント向上のための環境整備

三ツ星ベルトグループの経営理念「人を想い  地球を想う」は、個の尊重、ダイバーシティの尊重を謳っており、当社は性別や人種はもとより、生活環境や考え方を異にする全ての従業員が安全、安心に生産性を高め、充足感をもって働くことのできる職場づくりを目指しています。また、先述の“従業員エンゲージメント”を新たな指標に採用し、具体的な目標値を設定した上で2023年度から取組みを推進しています。

 

ⅰ) ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

◆ 女性活躍推進

2023年3月末時点の三ツ星ベルトの女性従業員比率は10.1%、女性管理職比率は2.4%、定期採用者に占める女性の比率は20%となっています。'21中期経営計画の見直しにおいて「人財戦略」を重要項目として取り上げ、「人財戦略の強化」をマテリアリティとしました。「女性管理職者数」をKPIとし、「ダイバーシティの推進」に取り組んでいます。また、女性社外取締役による女性従業員との1on1ミーティング等を実施し、女性従業員の意識改革にも取り組んでいます。確実に目標を達成し持続可能な企業づくりを進めます。

女性管理職比率

全体

2022年度

女性管理職比率

2.4%

男女間賃金格差

区分

2022年度

全労働者

72.1%

うち正規雇用労働者

70.9%

うちパート・有期労働者

37.0%

 

◆ お星さま研修

長期の育児休暇から復職する従業員は、業務内容だけでなく、職場の人間関係にも悩みを抱えているケースがあります。お星さま研修は、スムーズな職場復帰のため、メンタル面からもサポートしています。

◆ ドレスコードの自由化

D&I促進の一環として、当社ではオフィスでのドレスコードを変更し、スーツや制服以外の服装を選択できるようにしました。従業員一人ひとりの個性を活かし、新しく自由な発想や自律的な思考が生まれやすい職場環境を目指し、これからもこうした企業風土改革を進めてまいります。

 

ⅱ)ワーク・ライフバランスのある職場づくり

◆ 年次有給休暇制度

生活における様々な状況に対応して働き続けられるように、繰り越し日数も含め、最大で40日の年次有給休暇を取得することができます。取得しやすいように半日単位、時間単位の取得もできます

年次有給休暇取得率

2020年度

2021年度

2022年度

51.4%

48.6%

53.1%

 

◆ 特別休暇制度

年次有給休暇以外にも、結婚、出産、忌引、法要、転勤など、人生の節目に対応した有給休暇を取ることができます。メモリアル休暇は誕生日の前後1週間に取得することができます。また、勤続15年と勤続25年を迎えた際には、リフレッシュ休暇を付与するとともに旅行券も支給します

 

ⅲ)子育て・介護支援

◆ 育児休業制度、短時間勤務制度

育児休業は法律に則り、最長で子供が2歳になるまで取得ができます。育児休業からの職場復帰後は、労働時間を最大で2時間短縮できる短時間勤務の選択が可能です。短時間勤務は子供が小学校の始期に達するまで選択可能で、子供が3歳になるまでは賃金の減額もありません。また、所定外労働・深夜業の制限等の制度もあり育児に配慮しています

育児休業取得率

 

2020年度

2021年度

2022年度

男性

5.0%

10.0%

26.5%

女性

100%

100%

100%

当会計年度権利取得者中の取得率(継続者は含まない)

◆ お星さま制度

母子・父子家庭の従業員、障がいのある子供をもつ従業員の子育てを支援する目的で、毎月、支援金を支給しています

◆ 介護休業制度

介護休業は法律に則り最大93日まで取得することができます。また、所定外労働・深夜業の制限等の制度もあり介護に配慮しています

 

③  リスク管理

リスク管理につきましては、「第2-2-(2)-②-c.気候変動関連リスク管理と全体リスク管理の統合」をご参照ください。

2022年度では、リスク管理委員会において、人的資本経営に関する重大リスクは特定されませんでした。サステナビリティ推進委員会では、前述の通り「人財戦略の強化」がESG経営におけるマテリアリティとして特定されています。

 

④  指標と目標

2022年、三ツ星ベルトグループは、ESG経営のマテリアリティに「人財戦略の強化」及び「人権と人格の尊重」を挙げ、以下のKPIを設定しております。

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3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経済状況の変化について

当社グループは、自動車産業、一般産業、農業機械産業、情報機器関連産業、建設資材産業等における機能部品を開発、製造し、提供する企業であり、日本、アジア、米国、欧州等を主要な市場としております。従って、各々の業界での需要の変化並びに各々の地域での需要や経済状況の変化によって影響を受ける場合があります。

主力製品である伝動ベルトは、自動車産業、一般産業、農業機械産業、情報機器関連産業向けを中心として納入しており、その各々の業界での需要の低下や設備投資の減少により、結果として、ベルト及び関連製品を提供する当社製品の需要が減少する場合があり、業績に影響を受ける場合があります。

また、当社グループが販売する伝動ベルトは、その約75%を海外で生産しており、今後も海外への依存度が高まることから、海外における経済の影響を受ける場合があります。

戦争やテロ、暴動、災害、伝染病等により、経済活動に急激な打撃を受けた場合、その間、需要が低迷することが想定されますが、材料の調達や顧客への製品の納入が困難となることも想定されます。従って、当社グループは、顧客への製品納入体制の充実を図るため、全世界での生産体制の見直しなど様々な対策を既に講じていますが、必ずしも全てのリスクを回避し得るとは限りません。

以上のようなことから、業界の動向や国内・海外の経済状況により、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2) 新型コロナウイルス感染症による異常事態について

当社グループは、様々な産業に向けて製品を製造し、提供する企業であり、日本、アジア、米国、欧州等を主要な市場としているため、新型コロナウイルス感染症のように世界全体に広がり影響が及ぶ状況の中では、世界全体の社会経済活動が停滞し、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を受ける可能性があります。

このような状況の中、当社グループでは、新型コロナウイルス対策本部を設置し、勤務体制の見直しやテレワーク等を積極的に推進するとともに、リスク管理委員会の活動を通じて、感染拡大防止マニュアルの標準化やBCPの策定により事業リスクの最小化を図るべく取り組んでおります。また、取引先との情報交換の体制強化を図り、厳しい状況下にあってもより良い体制がとれるよう、事業活動を推進してまいります。

 

(3) 自動車産業から受ける影響について

当社グループの売上のうち、自動車産業への販売による依存度は約40%に及んでいることから、特定の自動車メーカーの系列に属さないものの、自動車産業の景気低迷、顧客企業の業績不振、顧客の部品調達方針の変更あるいは大規模な自然災害による被災など、当社が管理できない要因により影響を受ける可能性があります。

自動車産業をはじめ全ての顧客に対し、顧客満足度を維持、向上させるための経営に取り組んでいますが、これらの状況の変化により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

なお、電動化の進展については、常に動向を注視し、内燃機関用ベルトの需要減少を中長期的なリスクとして捉え、対応を進めております。

 

 

(4) 材料の調達について

当社グループの生産拠点は、製品の製造に伴う主要原料であるゴム、帆布、繊維、樹脂など様々な材料を必要としており、これらの調達については、安定して調達できること、安価であること、品質上問題がないことなどを考慮し、仕入業者を分散して調達しております。なお、リスク管理委員会の活動を通じて、重要な材料・加工品は、特定の取引先に過度に依存することがないように複数社購買のための準備を図っており、また、取引先に対しBCPの策定を要請しております。

しかしながら、原油をはじめとする資源価格の高騰局面にあっては、主要原料の市況価格が上昇し、その調達コストが大きく押し上げられることによって、製造原価が大幅に上昇する可能性があります。また、海外からの原材料の調達や海外拠点への原材料供給において輸出入規制等の変更が安定的、効率的調達の阻害要因となる可能性もあります。

以上のことから、当社グループが柔軟に原材料の調達ができない場合や、調達コストが著しく上昇する場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動について

当社グループは、日本、アジア、米国、欧州等を中心として製品の生産、販売活動を行っております。各地域の販売活動は輸出も含んでおり、通常取引の上での為替の変動リスクに加え、取引の結果として保有する外貨預金、売掛金及び貸付金等の外貨建資産が為替変動の影響を受ける可能性があります。

また、連結財務諸表作成の過程で全て円換算することから、換算時の為替レートにより現地通貨の価値に変動がなくても円換算後の価値に影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高は、当社グループにとっても業績のうえで影響を受けることとなります。

当社グループは、為替リスクを軽減し、これらをできる限り回避するため様々な施策を講じていますが、短期的な影響には対応できないケースも少なくないことから、業績や資産価値の下落などに影響を与える可能性があります。

 

(6) 国内外の事業活動における公的規制について

当社グループは、事業を展開する各国において、輸出入に関する規制、関税に関する規制、事業や投資に関する規制等、様々な制限を受けており、また、独占禁止、特許、租税、廃棄物処理・リサイクルなど環境等の様々な法的な規制も受けております。従って、これらの経営環境に当社グループの事業活動が柔軟に対応できない場合には、コストの増加や海外進出をしている国からの事業の撤退を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 製品の品質について

当社グループは製品品質の維持向上を図るため、顧客要求基準及び当社グループ基準に基づいた厳しい品質管理体制をとっておりますが、万一、欠陥品や顧客クレームが発生した場合に備え、当社グループの損失を最小限にとどめるための損害保険を付保しております。

しかしながら、保険の適用対象とならない事態に至った場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 自然災害等のリスクについて

当社グループの生産拠点において地震・水害等の自然災害による壊滅的な損害を受けた場合には、顧客への製品の供給が困難となり、売上高の減少や修復に伴う一時的な巨額の費用負担が発生する可能性があります。このような災害に備えるため、海外の生産拠点に対するバックアップも含めた国内外の生産体制の整備を図るとともに、リスク管理委員会の活動を通じて、製品の納入等に対するリスク回避のための検討を行い、大規模事故・災害が発生後、早期に顧客への製品供給対応が図れるよう、体制の強化・充実に取り組んでおります。

しかしながら、このような取り組みにも拘わらず、一時的な操業の中断や納入遅れの発生、修復に係る多大な費用の発生により、業績に影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの生産拠点が損害を受けない場合でも、主要顧客が自然災害による壊滅的な損害を受けたり、サプライチェーンの寸断などで生産停止あるいは減産を余儀なくされる事態に至れば、売上の減少により業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和や解除が進み、回復基調にて推移いたしました。一方、サプライチェーンの混乱やロシアによるウクライナ侵攻の長期化による原材料・エネルギー価格の高騰、インフレ抑制による金利の上昇、急激な円の為替変動など経済の先行きは、依然として不透明で予断を許さない状況が続いております。

このような環境のなか、2022年5月に'21中期経営計画(2021年度~2023年度)の見直しを行い、変化にぶれない強い企業体質の確立を目指し、財務体質の強化から資本効率の向上へと進化を図り、収益向上とバランスシート改善に取り組んでおります。

 

その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

総資産は、前連結会計年度末比2,719百万円増加の121,682百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末比1,995百万円増加の34,081百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末比724百万円増加の87,601百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高82,911百万円(前連結会計年度比10.7%増)、営業利益9,030百万円(前連結会計年度比18.2%増)、経常利益10,471百万円(前連結会計年度比22.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,071百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

国内ベルト事業の売上高は28,300百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は9,172百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。

海外ベルト事業の売上高は44,246百万円(前連結会計年度比21.3%増)、セグメント利益は3,458百万円(前連結会計年度比10.1%減)となりました。

建設資材事業の売上高は5,149百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は204百万円(前連結会計年度比49.5%増)となりました。

その他の売上高は5,215百万円(前連結会計年度比0.5%減)、セグメント利益は160百万円(前連結会計年度比35.3%減)となりました。

 

②  キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して297百万円増加の9,341百万円の収入となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して法人税等の支払額が2,351百万円増加した反面、売上債権の増減額が2,870百万円減少したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して383百万円増加の6,997百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して定期預金の預入による支出が1,550百万円増加した反面、定期預金の払戻による収入が2,131百万円増加したことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して496百万円減少の3,741百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して長期借入れによる収入が5,000百万円増加した反面、自己株式の取得による支出が525百万円増加したことに加え、配当金の支払額が4,735百万円増加したことによるものです。

営業、投資、財務の各活動によるキャッシュ・フローの合計額に為替換算差額1,827百万円を加算し、現金及び現金同等物の増加額が430百万円となり、これに期首残高33,063百万円を加算した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は33,494百万円となりました。

 

③  生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

国内ベルト事業

31,898

20.2

海外ベルト事業

29,981

9.9

建設資材事業

2,555

△6.5

その他

2,325

40.1

合計

66,760

14.7

(注)1  金額は、販売価格によっております。

2  上記の金額には、外注製品受入高は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

国内ベルト事業

31,107

1.0

2,635

△2.6

海外ベルト事業

44,052

22.4

3,173

12.1

建設資材事業

9,910

84.1

6,664

101.6

その他

457

△8.0

31

△12.1

合計

85,528

17.7

12,504

40.9

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

国内ベルト事業

28,300

1.9

海外ベルト事業

44,246

21.3

建設資材事業

5,149

△4.0

その他

5,215

△0.5

合計

82,911

10.7

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)  財政状態

当連結会計年度末は、投資有価証券の減少等により固定資産が72百万円減少したものの、棚卸資産の増加等により流動資産が2,791百万円増加したことから、総資産は前連結会計年度末比2,719百万円増加の121,682百万円となりました。

負債は、未払法人税等の減少等により流動負債が353百万円減少したものの、長期借入金の増加等により固定負債が2,349百万円増加したことから、前連結会計年度末比1,995百万円増加の34,081百万円となりました。

純資産は、自己株式が1,164百万円増加したものの、その他の包括利益累計額が1,360百万円増加した結果、前連結会計年度末比724百万円増加の87,601百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.0%から72.0%となりました。

 

前連結会計年度との比較は下記のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

総資産額

(百万円)

118,963

121,682

2,719

純資産額

(百万円)

86,877

87,601

724

自己資本比率

(%)

73.0

72.0

△1.0

1株当たり純資産額

(円)

3,018.44

3,089.48

71.04

 

2)  経営成績

イ  売上高

売上高は、前連結会計年度と比べ10.7%増加の82,911百万円となりました。

国内ベルト事業の売上高は、前連結会計年度と比べ1.9%増加の28,300百万円となりました。自動車用ベルトの売上高は、二輪車用補修向けではユーザによる在庫調整に伴い減少したものの、四輪車用システム製品やバス・トラック補修向けの増加に伴い、全体では増加しました。一般産業用ベルトの売上高は、射出成形機向けが好調に推移したものの、ユーザでの部品調達難の影響もあり、全体では微減となりました。一方、搬送ベルトの売上高は、食品業界向けの需要回復や物流大型施設向けの好調な販売により増加しました。また、合成樹脂素材の売上高についても需要回復に加え、キャストナイロン等の主力製品の拡販により増加しました。

海外ベルト事業の売上高は、前連結会計年度と比べ21.3%増加の44,246百万円となりました。自動車用ベルトの売上高は、二輪車・多用途四輪車向けでは米国補修市場での在庫調整の影響を受け減少しましたが、四輪車用では東南アジア、欧州を中心に堅調に推移した結果、全体では増加しました。一般産業用ベルトの売上高は、農業機械向けは微減しましたが、その他分野にて需要拡大、拡販活動の結果、東南アジアや欧米にて増加しました。また、OA機器用ベルトの売上高についても、半導体不足の解消により増加となりました。

建設資材事業の売上高は、前連結会計年度と比べ4.0%減少の5,149百万円となりました。建築部門は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により公共物件を中心に改修工事の需要回復により売上高が増加しました。土木部門では工事物件数は前連結会計年度並みとなりましたが、規模の縮小により売上高は減少しました。

その他の売上高は、前連結会計年度と比べ0.5%減少の5,215百万円となりました。その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、電子材料、仕入商品などが含まれております。

 

ロ  売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前連結会計年度と比べ9.5%増加の56,338百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ11.1%増加の17,542百万円となり、営業費用全体では前連結会計年度と比べ9.9%増加73,881百万円となりました。

 

ハ  営業外損益

営業外損益は、前連結会計年度の912百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は1,440百万円の収益(純額)となりました。

金融収支が、前連結会計年度の413百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は627百万円の収益(純額)と改善したことに加えて、その他営業外損益項目は前連結会計年度の498百万円の収益(純額)から当連結会計年度は812百万円の収益(純額)と改善しました。

この結果、経常利益は前連結会計年度と比べ22.4%増加の10,471百万円となりました。

 

ニ  特別損益

特別損益は、前連結会計年度の187百万円の利益(純額)に対し、当連結会計年度は656百万円の損失(純額)となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ12.3%増加の9,814百万円となりました。

 

ホ  親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ10.8%増加の7,071百万円となりました。

これにより、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の220円26銭に対し、当連結会計年度は249円12銭となりました。

 

3)  経営成績に重要な影響を与える要因等

当社グループは、自動車産業、一般産業、農業機械産業、情報機器関連産業、建築・土木産業への売上高がグループ全体売上高に対する大きな割合を占めていることから、これらの産業は環境の変化も大きく、また、競争も激しいため常に厳しい経営環境と言えます。

当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、国内・海外の市場動向、為替動向、資材費の動向、諸外国の政策方針に伴う輸出入規制の動向などがあげられます。

こうした中でも、当社グループは、グローバル市場における競争に勝ち残っていくとともに、財務基盤を強化し、ユーザニーズに対応した高機能、高精密、高品質な製品を提供できるものづくりを目指し、「品質を作り、品質を売る」という創業の精神のもと、グループ全体の強固な経営基盤を確立すべく、取り組んでいきます。

経営環境の変化に対応できるよう、常にムダを省き、合理化、生産性向上を推進し、厳しい環境下でも利益が確保できる体質を構築して行きます。

また、当社グループは海外との取引が約半分を占めることから、計画段階での想定レートを厳しく設定し、経営に大きな影響が及ばないよう配慮して取り組んでいます。さらに、海外との取引上の規制等の問題については、グループの現地法人との定期的な会合等を通じて、情報共有に努めています。

 

4)  経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (4) 目標とする経営指標」に記載している中期3か年計画『'21中期経営計画』の2年目となる2022年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。

 

2022年度

 

計画

実績

計画比

売上高

775億円

829億円

+54億円

(+7.0%)

営業利益

80億円

90億円

+10億円

(+12.5%)

連結配当性向

100%

100.4%

+0.4ポイント

 

5)  セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

〔国内ベルト事業〕

自動車用ベルトの売上高は、二輪車用補修向けではユーザによる在庫調整に伴い減少したものの、四輪車用システム製品やバス・トラック補修向けの増加に伴い、全体では増加しました。

一般産業用ベルトの売上高は、射出成形機向けが好調に推移したものの、ユーザでの部品調達難の影響もあり、全体では微減となりました。

一方、搬送ベルトの売上高は、食品業界向けの需要回復や物流大型施設向けの好調な販売により増加しました。また、合成樹脂素材の売上高についても需要回復に加え、キャストナイロン等の主力製品の拡販により増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は28,300百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は9,172百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。

また、セグメント資産は、58,548百万円(前連結会計年度比7.0%減)となりました。

 

〔海外ベルト事業〕

自動車用ベルトの売上高は、二輪車・多用途四輪車向けでは米国補修市場での在庫調整の影響を受け減少しましたが、四輪車用では東南アジア、欧州を中心に堅調に推移した結果、全体では増加しました。

一般産業用ベルトの売上高は、農業機械向けは微減しましたが、その他分野にて需要拡大、拡販活動の結果、東南アジアや欧米にて増加しました。

また、OA機器用ベルトの売上高についても、半導体不足の解消により増加となりました。

以上の結果、為替の円安影響もあり、当セグメントの売上高は44,246百万円(前連結会計年度比21.3%増)、セグメント利益は3,458百万円(前連結会計年度比10.1%減)となりました。

また、セグメント資産は、ベルト製造設備の増設を行うとともに、老朽化設備の更新などにより、54,783百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。

 

〔建設資材事業〕

建築部門は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により公共物件を中心に改修工事の需要回復により売上高が増加しました。土木部門では工事物件数は前連結会計年度並みとなりましたが、規模の縮小により売上高は減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は5,149百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は204百万円(前連結会計年度比49.5%増)となりました。

また、セグメント資産は2,271百万円(前連結会計年度比12.6%減)となりました。

 

〔その他〕

その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、電子材料、仕入商品などが含まれております。

その他の売上高は5,215百万円(前連結会計年度比0.5%減)、セグメント利益は160百万円(前連結会計年度比35.3%減)となりました。

また、セグメント資産は5,794百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。

 

(注)  上記の各セグメントにおける売上高は外部顧客への売上高を記載しており、セグメント利益はセグメント間取引消去前の金額を記載しております。

なお、セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

②  キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)  キャッシュ・フローの状況

「第2  事業の状況  4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要  ②  キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)  資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金及び設備資金については、自己資金又は金融機関からの借入により資金調達することを基本とし、このうち、借入による資金調達に関しては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は長期借入金で調達しております。一方で、キャッシュ・マネジメント・システムの導入によりグループ内での余剰資金の有効活用を図っております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は9,506百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は33,494百万円となっております。

 

③  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は適正な連結財務諸表を作成する責任を有しており、以下の確認を行っております。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

a.有価証券

投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。減損処理にあたっては、その他有価証券で時価のあるものについて、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理の対象とし、30%から50%までのものについては当該会社の資産状況、金額の重要性等を勘案して必要と認められる額を減損処理の対象としております。また、非上場株式については、純資産額が50%以上下落した場合に減損処理の対象としております。

 

b.棚卸資産

棚卸資産は、棚卸資産の評価に関する会計基準に基づき適切に評価しております。

 

c.営業債権

営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。

 

d.繰延税金資産

適正な法人税等及び法人税等調整額を計上しております。繰延税金資産に関しては将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。

 

e.固定資産の減損

固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は「高機能、高精密、高品質な製品の提供を通して社会に貢献する」を経営基本方針に掲げ、新規技術の開発、周辺技術の研究を通じ基盤技術の一層の充実を図り、流動解析・衝撃解析・応力解析などのシミュレーション技術を積極的に活用し、多様で変化の速いユーザニーズにタイムリーに対応するとともに、環境負荷低減、高生産性、さらには経営基本方針に謳われた高機能、高精密、高品質な製品開発を目指して、材料、設備、工法、評価方法等を含めたトータルな研究開発活動を行っております。

現在、研究開発は当社の研究開発部、各事業部門の設計・開発部門並びに各グループ会社の開発部門との連携により推進されております。また、大学や研究機関との共同研究並びに他社との共同開発を密接な連携・協力のもとに推進し、先進技術の研究開発を効果的に進めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,178百万円であります。

なお、研究開発費については、各事業部門に配分できない基礎研究費用717百万円が含まれております。

 

(1) 国内ベルト事業

主に当社及び三ツ星ベルト技研㈱が中心となって、これまで培ってきたベルトに関する技術をベースとして高機能を追求した伝動、搬送システムについて研究開発を行っております。当連結会計年度の主な研究開発成果としては、マイルドハイブリッド車向けベルト、EPS駆動用タイミングベルト、高トルクタイミングベルト「メガトルクGⅢ」、環境配慮型製品「バイオマスベルト」、部品管理Webアプリケーションサービス「Tailor-note」等をあげることができます。

当事業に係る研究開発費は1,985百万円であります。

 

(2) 海外ベルト事業

国内ベルト事業と同じく、主に当社及び三ツ星ベルト技研㈱が中心となって研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、国内ベルト事業に係る研究開発費に含まれております。

 

(3) 建設資材事業

当連結会計年度の主な研究開発成果としては、ファストバック防水工法、アクリルゴム系塗膜防水材等をあげることができます。

当事業に係る研究開発費は101百万円であります。

 

(4) その他

当連結会計年度の主な研究開発成果としては、社内生産ラインの自動化装置等をあげることができます。

当事業に係る研究開発費は373百万円であります。