文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「限りない創造 社会への奉仕」という「社是」のもとに、それを具体化した次の「経営理念」を掲げており、その実現に向けた企業活動に努めるとともに、社会・株主・顧客・仕入先・従業員等のあらゆるステーク
ホルダーに信頼される企業として、発展成長していくことをめざしています。
①私たちは、良き企業市民として、各国・地域に根ざした事業活動および社会貢献活動により、経済・社会の
発展に貢献します。[社会への貢献]
②私たちは、法令の遵守や企業倫理の徹底に向けた体制を構築し、誠実な事業活動を行います。
[適正な事業活動]
③私たちは、仕入先様とのオープンで対等な関係を基本に、互いに企業体質の強化・経営の革新に努め、
グループの総合力を高めます。[持続的な成長]
④私たちは、変化を先取りした研究開発とものづくり技術により、お客様に満足いただける品質・価格で、
タイムリーに商品・サービスを提供します。[お客様の満足]
⑤私たちは、環境に配慮した製品の提供と工程づくりに努め、あらゆる企業活動を通じ、社会と連携して環境・資源を保全し、豊かな地球を未来に残すことに貢献します。[地球環境・資源の保全]
⑥私たちは、労使相互信頼・責任を基本に、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームワークによる総合力を高め、活力と働きがいのある企業風土を実現します。[人間性の尊重]
(2)今後の経営環境および対処すべき課題
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない状況であり、世界経済の先行きは非常に厳しい状況のまま推移しています。
このような情勢ではありますが、当社グループは「2025事業計画」で掲げた目標の実現に向け、
①重大災害と重要品質問題を絶対に起こさない企業文化と仕組みづくり
②社会の信頼に応える企業を目指したSDGs・ESGへの取り組み推進
③グローバル事業を支える人材づくりと事業運営の仕組みの整備
④イノベーション・新モビリティへの挑戦
⑤伸びる市場・伸ばせる分野への重点戦略
⑥生産現場のモノづくり革新
を2020年度の会社方針に掲げ、本年度を本格的な攻めに転じる「本領を発揮する」年と位置付けました。国内外での新型コロナウイルスの感染状況の影響を注視しつつ、一人ひとりの「創造力」と「想像力」を思う存分発揮し、方針の目標達成に向けて当社グループ一丸となって取り組んでいきます。
また、昨今、世界的にESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が高まる中、当社グループもそれぞれの分野でより一層注力しています。
「環境」の分野では、みどりあふれる豊かな地球を残していくための取り組みを企業の使命と捉え、「TG2050
環境チャレンジ」において、気候変動への対応として脱炭素社会の実現に向けCO2排出量の極小化などの目標を
掲げています。その実現に向け、FCV、電動車の部品開発やクルマの燃費向上に貢献する軽量化製品を提供すると
ともに、ものづくり力を活かして、環境に配慮した生産工程や設備の開発など、社内横断的にCO2低減活動を進めています。
当連結会計年度は、TG‐ESCO(注1)と工場による蒸気放熱対策などの日常改善、ボイラー・冷温水発生器などのユーティリティ設備の高効率化、ボイラー燃料のLNG(液化天然ガス)へのエネルギー置換、国内外への太陽光
発電システム設置など再生可能エネルギーの拡大を積極的に進め、その結果、連結CO2排出量は513千t—CO2、
CO2排出量原単位は59.6t—CO2/億円(基準年度である2012年度比21%低減)となりました。
(注1)TG-ESCO: あらゆるエネルギーロスを徹底的に見つけ、改善する当社独自の活動。
ESCOは、Energy Saving Collabrative Oparationsの略。
また、生物多様性及び生態系の保全活動として、「工場の森づくり活動」もグローバルで継続しており、国内をはじめ、北米やアジア、欧州など28拠点で累計約30万本を植樹してまいりました。2019年から岐阜県・美濃加茂市と連携して、間伐などの里山整備をスタートさせました(豊田合成 樹守(きもり)の里)。
これらの取り組みが評価され、2019年 日本経済新聞社「環境経営度調査」で製造業3位、環境活動に関する情報開示を推進する国際NGOのCDP(注2)による「サプライヤー・エンゲージメント評価」において、最高評価の
Aランクという高い評価を得ることができました。 引き続き、グループ一丸となって、環境保全活動の充実を
図ってまいります。
(注2)CDP:旧名称であるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトの略で、イギリスを拠点とした
国際NGO。
「社会」の分野では、企業の持続的成長に不可欠である活力と働きがいのある企業風土づくりのため、人的
リソーセスの充実や人材育成、仕入先様との関係強化、働き方改革など多くの活動に取り組んでいます。創立70
周年記念事業の一つとして行った推奨服の見直しでは、女性従業員が中心となって生産現場などの意見を幅広く
取り入れながら検討を進めるなど、「ONE TEAM, ONE TG.」のスローガンのもと、一体感の醸成に努めています。
「ガバナンス」の分野では、社会から信頼される誠実な企業であり続けるために、当社グループ全体でコーポ
レート・ガバナンスの充実を図っています。2019年には取締役総数9名の3分の1にあたる3名の社外取締役を選任しました。なお、取締役会の透明性と客観性を高めるため、2018年度に役員人事委員会・役員報酬委員会を設置し、本年3月には両委員会の議長を社外取締役に変更しました。また、法令遵守はもちろんのこと、従業員一人
ひとりが高い倫理観を身につけて行動できるよう、グループ全体でコンプライアンス研修や定着度アンケートなどの啓発活動にも取り組んでいます。
当社グループは、コンプライアンス・リスク管理委員会(以下、当委員会という)において、法令遵守とリスク管理の状況を確認し、不正およびリスクの未然防止の取組みを推進しています。構成員としては委員長である社長、社内
取締役、執行役員、常勤監査役から構成しています。
当委員会はリスクの重要性について重点リスクを選定し、対応活動を決定し、実行状況の確認を行っています。このリスク管理活動のステップは下記のとおりです。これら一連のステップを繰り返し、不正およびリスクの未然防止を
推進しています。
①重点リスクの選定
まず本社機能部門、関係会社が法令改正・事業環境変化をふまえ、当社を取り巻くリスクの洗い出し、
見える化(リスクアセスメント)をしています。次に、役員等へのヒヤリングを行い、経営目線、将来目線での
リスクを抽出しています。その後発生可能性、影響度等の観点から当社グループとしての重点リスクを選定して
います。
②対応策の決定
各対応部門が重点リスクに対し「発生可能性を下げる」「影響度を下げる」等の考え方から対応策を決定して
います。
③対応策の実行状況を確認
各対応部門が対応策の実行状況を確認し、当委員会にて報告します。
④活動の改善、修正
対応策の実行状況に応じた必要な活動の改善、修正を行い、より実効性のある対策にします。
(図)リスク管理活動のステップ
当社グループの財政状態、経営成績および株価などに影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。当委員会において選定された重点リスクは以下の各リスクに含まれています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断
したものです。また、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、米州、アジア、欧州・アフリカを含む当社グループの主要市場における景気低迷、疫病の流行による社会的かつ経済的混乱、およびそれに伴う自動車需要の縮小は当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定の得意先への販売依存度について
当社は、トヨタ自動車㈱の関連会社であり、当社グループは同社に各種自動車部品を販売しています。連結売上収益に占める同社への売上収益は前連結会計年度28.0%、当連結会計年度28.9%を占め、当社グループの経営成績は、同社の自動車生産台数、当社グループ製品の同社自動車への装着率および同社の購買政策などにより影響を受ける可能性があります。
(3)為替レートの変動について
為替レートの変動は、各国経済に大きな影響を及ぼすとともに、当社グループ各社での価格競争力、取引価格などに大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社の外貨建取引における外貨額および連結財務諸表作成のための海外関係会社の財務諸表数値は、決済・換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受け、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)国際的活動および海外進出に潜在するリスクについて
当社グループの生産および販売活動は、日本をはじめとして米州、アジア、欧州・アフリカの諸地域で展開しています。これらの海外市場への事業進出には、事業活動に係る内部要因リスク以外に、以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①予期しえない法律または規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
②不利な政治的または経済的要因の発生
③人材の採用・確保の難しさと労務問題に係るリスク
④社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
⑤テロ、戦争、自然災害、疫病、その他の要因による社会的または経済的混乱
なお、2020年年初に顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に蔓延しております。そこで当社グループ
は、社長を本部長とする緊急対策本部を設置し、a.在宅勤務や社内イベントの中止といった感染防止策の実施、
b.感染者が発生した場合の対策の実施、c.仕入先も含めて課題を把握することによる生産体制の維持、
d.収益改善策などを実行することで、新型コロナウイルスの影響の極小化を図っています。
(5)知的財産権について
当社グループは、他社製品との差別化を図るために独自の技術とノウハウの蓄積および知的財産権の取得に努めていますが、新たに開発した全ての製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。そのため、第三者が類似製品を製造・販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また当社グループでは、第三者の知的財産権に配慮しながら、製品や技術の開発を行っていますが、これらの開発成果が将来的に第三者の知的財産権を侵害していると判断される可能性があります。また、これらに起因して訴訟等を受けた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新製品開発力について
当社グループは、「大きな環境変化に柔軟かつ迅速に対応し、世界のお客様へ「安心」「安全」「快適」をお届けするグローバルカンパニー」を目指し、市場ニーズの先取りにより顧客の満足が得られるように日々研究開発を進め、先進技術を導入した積極的な製品開発に取り組んでいます。今後においても、継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとするさまざまなリスクが含まれています。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、必ずしも新製品または新技術の創造につながる保証はありません。
③顧客からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が
成功する保証はありません。
④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤急速な技術の進歩や市場ニーズの変化により、当社グループ製品の商品価値が急激に低下する可能性がありま
す。
⑥現在開発中の新製品・新技術の市場投入が遅れ、収益機会を逸する可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発
できない、または遅れた場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす
可能性があります。
(7)製品の品質不具合について
当社グループは、世界的に認められた品質管理基準に従って各種の製品を製造していますが、全ての製品について品質不具合が無く、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)価格競争
当社グループの収益基盤である自動車部品事業での価格競争は大変厳しいものとなっています。
当社グループは、顧客の要望に応えて、高品質で高付加価値の製品を全世界に供給する企業であると考えていますが、完成車メーカーからの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存競合先間の提携により、将来においても有効に競争できるという保証はありません。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)原材料・部品供給元への依存、物流
当社グループは、原材料、部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市場の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の突発的な事故、疫病による生産停止や納入遅れ、物流の遮断および経営問題などにより、原材料、部品の不足が生じないという保証はありません。このような場合、当社グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)災害や停電等による影響について
当社グループは、製造ライン中断による影響を最小限にするため、生産設備における定期的な検査と点検を行っています。しかし、当社グループの生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象のほか原材料、部品の調達先や製品の納入先での災害、疫病流行による当局からの社会的制限(都市封鎖・外出禁止等)などの発生により影響を受ける可能性があり、これらの影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内
工場や仕入先などの取引先の多くは、中部地区に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務による影響について
当社グループの従業員退職給付費用、退職給付債務および制度資産は、割引率など数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。このため、実際の金利水準の変動や制度資産の運用利回りが悪化した場合には、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的手続について
当社グループは、ビジネス活動においてコンプライアンスの実践を基本においていますが、様々な訴訟および規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、一部の競争当局による決定に関連し、米国等で提起された民事訴訟等に対応しています。その結果を予測することは困難ですが、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報セキュリティ
当社は高まる情報セキュリティのリスクに対して、中期の情報セキュリティ推進計画にもとづき、外部からの
サイバー攻撃(侵入防止・検知)への対策、標的型攻撃に対する社員への啓発・教育などセキュリティ対策を強化
しています。また当社国内外関係会社に対しても、日常点検や監査を通じてセキュリティレベルの底上げを行う
など、当社グループとしての信頼の維持と向上に努めています。
しかし万一、外部からのサイバーテロやコンピューターウィルスの侵入、自然災害によるインフラ障害等により
機密情報の漏洩または喪失があった場合、被害の規模により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす
可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、前半は緩やかな回復基調でしたが、米中の関税の引き上げなど高まる貿易障壁をめぐる不透明感が増大するにつれて、後半にかけて減速しました。
日本経済においても、前半は弱い伸びに留まり、後半は消費増税や大型台風などの自然災害の影響により
景気は減速しました。
自動車業界は、国内では主要顧客メーカーの新モデルの投入効果もあり、3年連続で販売台数は500万台超えを維持しましたが、一方、海外では米国市場が頭打ちとなり、中国市場も米中貿易摩擦などによる消費
マインドの落込みがあり、世界全体の販売台数は、2年連続で前年度比減少となりました。
そのような中、昨年末に中国で発生した新型コロナウイルスの感染が、年明け以降世界的に拡大し、国家間の往来制限、サプライチェーン寸断による生産停止、消費マインドの大きな冷え込みなどにより国内外の経済および自動車市場は急速に悪化しています。
このような情勢のなか当社グループは、一昨年5月に掲げた中長期経営計画である「2025事業計画」の実現に向けた「活動の3本柱」を定め、重点的に取り組んでいます。
活動の柱Iは「イノベーション・新モビリティへの挑戦」であり、革新的な技術により従来と異なる新領域での早期事業化に取り組んでいます。
まず、次世代誘電ゴムe-Rubberは、2020年1月に米国ラスベガスで開催された電子機器見本市「CES2020」への初出展も果たし、触覚ハンドやAR(拡張現実)と融合したハプティクス技術(触覚を疑似的に再現する技術)を紹介しました。今後も医療やエンターテイメントなど、様々な分野でのビジネス展開を目指していきます。
次にCASE対応として、2018年度社内に創設したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用により
スタートアップ企業へ積極的に出資し、内外装製品に関わるモジュール開発など新技術の開発を加速
させました。その他、青色LEDの開発・生産で培った技術やノウハウを活かした「縦型GaNパワー半導体」や
クルマの様変わりに対応した製品開発にも引き続き注力していくことで、新技術、新製品の事業化を一層
進めていきます。
活動の柱IIは「伸びる市場・伸ばせる分野への重点戦略」であり、伸びる市場として当社グループの収益を支える米州地域では米国オハイオ州に同地域で2つ目の研究開発と営業の拠点を新設しました。お客様の近隣に設計や営業機能を置くことで、内外装製品やエアバッグの開発のスピードアップと更なる新製品の拡販を
図っていきます。
また大型の内外装製品の商圏拡大を狙い米国中南部の生産子会社TGミズーリ株式会社、TGケンタッキー
有限責任会社、豊田合成テキサス有限責任会社の3社における大型成型機や塗装設備の生産能力増強を決定
しました。伸びる市場へ積極的な投資を図りながら更なる収益拡大に努めていきます。
さらに、自動車の世界最大市場であり今後も成長が見込める中国では、内陸部における事業拡大を目指し、湖北豊田合成正奥橡塑密封科技有限公司の工場の拡張と生産設備の増設を決定しました。
次に伸ばせる分野として、グローバルでのエアバッグの需要拡大に対応するため、ベトナムの豊田合成
ハイフォン社において、第2の拠点となるタイビン工場での生産を開始し、2021年には更なる工場拡張を予定
しています。
また、樹脂化によって軽量化を図ることにより、環境性能の向上に寄与する樹脂フューエルフィラー
パイプ、樹脂ターボダクト、そして、デザインと機能を両立したミリ波エンブレム、更には意匠性の高い
めっき製品など、高付加価値製品の国内外顧客への積極的な拡販を進めています。
活動の柱IIIは「生産現場のモノづくり革新」であり、検査工程などの自働化による省人や、IoT技術によるロス低減に取り組みました。まず自働化による省人の取り組みとしては、平和町工場の新棟に設置した樹脂
フューエルフィラーパイプの生産工程を「自働化モデル工場」とし、昨年5月に稼働を開始。次にIoT技術に
よるロス低減の取り組みとしては、ビッグデータ解析による不良ロス低減をはじめ、内製インフレータの生産
状態の常時見える化による設備停止ロス低減などに取り組みました。今後は社内の全製品領域はもちろん関係
会社にも展開し、当社グループ全体の生産性向上を目指していきます。
なお、「活動の3本柱」に加え、持続的な成長の実現に向けた収益構造改革を進めてきましたが、
2019年12月30日付で、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社(以下「TGM」)およびアメリカの
生産子会社メテオールシーリングシステム有限会社の全株式をドイツのSCUR-Alpha1123 GmbH(現在は
AEQPH GmbHに社名変更)に譲渡したことで構造改革に一区切りをつけ、今後の企業価値向上に資する
ことができたと考えています。
この結果、当期の売上収益は、ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大に
よる自動車生産台数の減少により 8,129億円(前期比 3.3%減)と、減収となりました。
利益につきましても、新型コロナウイルスによる減販影響に加え、ドイツの生産子会社 TGMの事業整理
損失等の影響により、営業利益は 178億円(前期比51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。
当期末における総資産は、主に有形固定資産の増加に伴い、前期末に比べ 10億円増加し、7,091億円と
なりました。また、負債は主に借入金等の増加により、前期末に比べ 109億円増加し、3,389億円と
なりました。
資本については、主にその他の資本の構成要素の減少等により、前期末に比べ 98億円減少し、3,702億円と
なりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
①日本
主に新型コロナウイルスの影響等により、売上収益は 4,051億円(前期比 0.5%減)となりました。
利益については、前期計上した独禁法関連損失の反動があったものの、第3四半期にドイツの生産子会社
TGM全株式の譲渡による事業整理損失を計上したことや新型コロナウイルスによる減販影響等により、
セグメント損失は 50億円(前期利益 110億円)となりました。
②米州
売上収益は本年2月までは日系や外資系カーメーカーへの拡販がありましたが、3月以降の新型コロナ
ウイルスによる減販影響や為替の影響等により 2,435億円(前期比 2.2%減)となりました。
利益については、新型コロナウイルスによる減販影響等により、166億円(前期比5.1%減)
となりました。
③アジア
売上収益は、本年1月までの中国における主要顧客の生産台数の増加はあったものの、中国を中心とした新型コロナウイルスによる影響等により 1,882億円(前期比 5.8%減)となりました。
利益については、主に中国での新型コロナウイルスによる減販影響や市場の不振を背景としたタイの減販
影響等により、106億円(前期比 17.0%減)となりました。
④欧州・アフリカ
売上収益は 365億円(前期比 20.4%減)となりました。利益については、新型コロナウイルスによる
減販影響はあったものの、第3四半期にドイツの生産子会社 TGMを連結から除外したこと等により、
セグメント損失は 42億円(前期損失 47億円)と、損失額を縮小することができました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期 574億円の収入に比べ 652億円の収入となり、77億円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期 554億円の支出に比べ 541億円の支出となり、13億円支出が減少しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の減少などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 77億円の収入に比べ 125億円の収入となり、47億円収入が
増加しました。これは、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
397,026 |
3.2 |
|
米州 |
238,833 |
△3.5 |
|
アジア |
161,478 |
△4.0 |
|
欧州・アフリカ |
34,949 |
△20.8 |
|
合計 |
832,287 |
△1.4 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループ(当社および連結子会社。以下同じ。)は、主にトヨタ自動車㈱をはじめとして各納入先より生産計画の提示をうけ、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
377,858 |
△0.0 |
|
米州 |
239,499 |
△2.4 |
|
アジア |
160,207 |
△7.6 |
|
欧州・アフリカ |
35,372 |
△19.5 |
|
合計 |
812,937 |
△3.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先への販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
235,793 |
28.0 |
234,955 |
28.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上収益は、8,129億円(前期比 3.3%減)と減収となりました。売上収益の減少は、日本でトヨタ自動車向けの販売台数増加による増収はあったものの、
ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大による自動車販売台数の減少による
ものです。
利益につきましても、営業利益は 178億円(前期比 51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。営業利益の減少は、新型コロナウイルスによる減販影響に
加え、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社の事業整理損失等の影響によるものです。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等の
リスク」に記載しています。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりです。
a.当社グループの財務方針
当社グループは2018年5月に公表した「2025事業計画」でROE10%を目標として掲げました。
これは、株主資本コストを安定的に上回るROEを達成することで株主価値を向上させていくこと、加えて
現在の資本市場において当社グループが選ばれるために必要な資本効率を達成することを目的として設定
したものです。
当社グループは、これまでの安定的な利益の積み重ねの結果、自己資本比率は50%前後で推移しており、
安全性の観点からは十分な財務体質を有していると認識しています。一方、ROE 10%を達成するためには
資金面での一定のコントロールが必要であると考え、2018年11月に以下の3点からなる財務方針を公表
しました。
まず「株主還元」ですが、足元はコロナショックの影響で急激に事業環境が悪化していますが、成長の
ための投資資金を確保した上で、「連結配当性向30%以上を基本」とし、さらに配当以外の選択肢を排除
しないという考えから、「様々な観点からトータルとして株主に報いる」との株主還元の方針を定め
ました。
次に「設備投資」については、足元のコロナショックへの対応として当面は必要性を精査しキャッシュ
アウトに厳格に望んでいきますが、成長のための投資資金として年500億円程度を確保する考えです。
年500億円は過去最高水準の設備投資額ですが、変革期にある自動車産業の中にあっても持続的な成長を
実現していくために必要なものと考えています。
最後に「手許資金」については、金融危機や自然災害などが発生した際に当面の事業運営が行える水準と
してのリスク対応資金も含め、「連結月商+300億円程度の現預金((一年以内の)短期借入金は除外)」を
確保する考えです。更にコロナショックへの対応として手元流動性を確保するために、「第5 経理の状況
1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」に記載のとおり、主要取引金融
機関から長期借入金200億円を調達し、さらに総額300億円のコミットメントライン契約を締結しました。
b.資金需要
当社グループでは、当連結会計年度において、418億円の設備投資を実施しています。
今後も、市場のグローバル化や成長市場における事業強化などへの対応を含め、国内外における
設備投資、出資などについて長期的な視野で資金需要を認識していきます。
c.資金調達方法
当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金の流動性確保と財務の安定性・健全性維持を資金調達の
基本としており、金融機関からの借入や社債の起債など資金効率を考えた多様な資金調達を行っています。
また一部の地域のグループ子会社では、キャッシュ・マネジメント・システムの導入により域内の資金効率
も図っています。
なお、当連結会計年度末における社債および借入金を含む有利子負債の残高は1,480億円となって
います。
d.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円と
なりました。これは、安定した営業キャッシュ・フローを創出するなか、昨年12月にドイツの生産子会社
豊田合成メテオール有限会社の全株式を譲渡、および事業拡大に向け継続的な投資を実施した結果による
ものです。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、
「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(1)技術援助を受けている契約
技術援助を受けている契約で重要な契約等はありません。
なお、以下の契約は当連結会計年度において、契約終了となっています。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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豊田合成㈱ (当社) |
インティアオートモーティブインテリアズオブアメリカ㈱ |
米国 |
ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス |
2002年11月18日より 2019年5月10日まで |
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ダイムラー㈱ |
ドイツ |
ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス |
2011年11月10日より 2019年9月23日まで |
(2)技術援助を与えている契約
技術援助を与えている契約で重要な契約等はありません。
当社グループはゴム樹脂の自動車部品専門メーカーとして国際競争力のある製品づくりを目指し、品質・性能向上や低コスト化などの顧客ニーズに加え、安全・環境・省資源を開発の重点に掲げ、電気自動車、燃料電池自動車、自動運転技術などの動向を先取りした製品・技術の開発に取り組んでいます。
当社グループの研究開発体制は、当社の開発本部・生産本部(日本地域)、海外子会社の豊田合成ノースアメリカ㈱(米州地域)、豊田合成アジア㈱(アジア地域)、豊田合成(中国)投資有限公司(アジア地域)、豊田合成ミンダ・インディア㈱(アジア地域)、豊田合成ヨーロッパ㈱(欧州・アフリカ地域)が連携し、グローバルな研究開発活動を展開しています。
最近の主な成果としては、車両のフロントマスクを大胆に装飾する「超大型スピンドルグリル」、青色LEDの技術を用いて電力変換器の高効率化・小型化を可能にする「縦型GaNパワー半導体」、次世代ゴム“e-Rubber”を活用しモノの形状や硬軟などを感知できる「e-Rubber触覚ハンド」などの独創的な新製品・新技術を開発しています。また、各種環境規制に対応した材料および製品、生産技術の開発、さらには今後の自動運転技術の進展に対応した付加価値の高いモジュール製品の開発なども積極的に推進しています。
なお、当事業に係る研究開発費は