文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断した
ものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「限りない創造 社会への奉仕」という「社是」のもとに、それを具体化した次の「経営理念」を
掲げており、その実現に向けた企業活動に努めるとともに、社会・株主・顧客・仕入先・従業員等のあらゆる
ステークホルダーに信頼される企業として、発展成長していくことを目指しています。
①私たちは、良き企業市民として、各国・地域に根ざした事業活動および社会貢献活動により、経済・社会の
発展に貢献します。[社会への貢献]
②私たちは、法令の遵守や企業倫理の徹底に向けた体制を構築し、誠実な事業活動を行います。
[適正な事業活動]
③私たちは、仕入先様とのオープンで対等な関係を基本に、互いに企業体質の強化・経営の革新に努め、
グループの総合力を高めます。[持続的な成長]
④私たちは、変化を先取りした研究開発とものづくり技術により、お客様に満足いただける品質・価格で、
タイムリーに商品・サービスを提供します。[お客様の満足]
⑤私たちは、環境に配慮した製品の提供と工程づくりに努め、あらゆる企業活動を通じ、社会と連携して環境・資源を保全し、豊かな地球を未来に残すことに貢献します。[地球環境・資源の保全]
⑥私たちは、労使相互信頼・責任を基本に、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームワークによる
総合力を高め、活力と働きがいのある企業風土を実現します。[人間性の尊重]
(2)今後の経営環境および対処すべき課題
自動車業界を取り巻く事業環境は、大きくかつ急速に変化しています。グローバルでのBEV普及速度は当初想定されていたものより鈍化しているものの、長期的には進展することが見込まれます。電動化を含めた多様なモビリティへの対応は、「2030事業計画」の実現に向けて最も重要な事項です。確かな品質と安全性、モノづくり力に加え、付加価値製品の提案で、カーメーカーを魅了するグローバルサプライヤーを目指していきます。あらゆるカーメーカーへの拡販実現に向け、特に重点地域である米州とインドにおいて「攻め」の挑戦を継続していきます。
前期から続いている従来水準とは異なる賃金上昇、アメリカ新政権による経済政策リスク、中国における日系カーメーカーの動向、さらにアジア地域における中国資本のカーメーカーの動向等、これらは当社グループ一丸となって対処すべき喫緊の課題です。中国における事業活動については構造改革に着手し始めておりますが、さらにスピード感を持って取り組んでいきます。
従来より風土改革に取り組んできましたが、国内カーメーカーにおける認証問題をきっかけとして、さらに労使
協業で、何でも言い合える組織風土づくりや対話活動を強化してきました。現地現物で困りごとに関する対話を継
続的に行い、引き続きより良い組織風土の実現に向けて取り組んでいきます。
当社グループは、サステナビリティ活動をより一層推進していくために、環境(E)・社会(S)・ガバナンス
(G)への取り組みを基盤とした、基本的な考え方とサステナビリティマネジメント体系図を策定しています。
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
当社の社是「限りない創造 社会への奉仕」は豊田綱領に基づき策定され、経営の根幹として脈々と受け継がれ
てきました。
その考え方は「事業活動を通じて環境・社会課題解決に貢献する」サステナビリティの概念と共通しています。
私たちは、これからもステークホルダーや社会から信頼され、必要とされる企業であり続けるために、
サステナビリティ重要課題と中長期事業計画との統合を図った経営に取り組み、時代の変化に即した、社会の
持続的な発展と当社の持続的な成長を目指していきます。
マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)
私たちは「限りない創造 社会への奉仕」を社是とし、当社の成長を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、
「社会的価値」と「経済的価値」の両立を目指しています。
2030事業計画で掲げている「目指す姿」と「提供価値」の実現に向けて、変化する事業環境を考慮し、
社会予測やSDGsなどの様々な社会課題の中から、当社として特に貢献できる重要な分野を「マテリアリティ」と
して選定し、取り組んでいます。
< マテリアリティ特定のプロセス >
< マテリアリティ(サステナビリティ重要課題) >
詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/think/materiality/
(2)サステナビリティへの取り組み
①推進体制
社是・経営理念のもと、事業活動を通じて、社会の持続的な発展と当社の持続的な成長に向けた取り組みを
推進するためのマネジメント体制を構築しています。全てのステークホルダーの皆様との対話を重ね、中期経営
計画の達成に向けたKPI・目標を設定し、PDCAサイクルを回していくことが重要と考えています。
< サステナビリティマネジメント体制 >
②サステナビリティ会議(ガバナンス・リスク管理)
取締役社長を議長とし、社外を含む全取締役、全監査役および海外地域を含めた本部長をメンバーとして構成し
ており、客観性と透明性の高いバランスの取れたサステナビリティの施策を実行しています。(原則年2回開催)
< サステナビリティ会議の概要 >
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目的 |
サステナビリティに関する重点取り組み事項の審議・決定と実施状況の確認 |
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開催頻度 |
原則2回/年 |
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議長 |
取締役社長 |
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構成員 |
全取締役・全監査役(社外取締役・社外監査役を含む)、本部長および海外地域本部長 |
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主なアジェンダ |
・サステナビリティに関する重点取り組み事項の決定 ・重点取り組み事項および目標値の実施状況の報告 ・重要な社外開示項目の決定 |
③サステナビリティKPI・目標
マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)をベースとした、環境・社会課題解決と当社の持続的成長に
つながる中長期KPI・目標値を設定し、それらの達成に向けて単年度のPDCAサイクルを回しています。
環境、人的資本に関する中長期KPI・目標値については、表「マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)」を
ご参照ください。
(3)主な取り組み
①環境の分野(E)
当社は、1993年に第1次環境取組みプランを策定し、環境課題の解決に向け取り組んできました。
2016年2月には、長期目標「TG2050環境チャレンジ(※)」を発表するとともに、マイルストーンとして
2030年までの目標を設定、さらに5年間の活動項目と目標を設定した取組みプランを策定し、環境保全活動を推進
しています。
2025年4月には、世の中の環境動向を鑑み、環境基本方針の内容改訂し「豊田合成グループ環境行動憲章」とし
て、国内外関係会社及び行政・顧客・サプライヤーとも連携して取組みを推進しています。
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブを実現するため、材料調達から廃棄まで
のライフサイクル全体での環境に配慮・貢献した事業活動に努めます。
また、地域社会の一員としての環境マインドを持ち、ステークホルダーとの連携による保全活動に努めます。
<豊田合成グループ環境行動憲章で定める環境行動指針>
(※)TG2050環境チャレンジ
ゴム・樹脂の高分子分野の専門メーカーである当社が象徴としている六角形の「ベンゼン環」(高分子の原
点となる構造体)にちなんだ「6つのチャレンジ」を掲げ、2050年を見据えた長期的視点で環境保全活動を推
進しています。
その実現に向けたロードマップとして、5カ年計画である環境取組みプランを策定して活動しています。
また、2023年8月に気候変動問題への対応を強化するためカーボンニュートラル(Scope1、2)の実現時期を
2050年から2030年に前倒しすることを宣言しています。

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項目 |
範囲 |
実績 |
削減の主な活動 |
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2023年 |
2024年(概算値) |
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CO2排出量(Scope1) (注1) |
連結 |
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・ボイラー・冷温水発生器などの ユーティリティ設備の高効率化 ・太陽光発電システム設置など再生可能 エネルギーの利用拡大 |
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(Scope2) (注1) |
連結 |
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(Scope3) (注1) |
連結 |
(注2) |
― (注2) |
・リサイクル材、バイオマス材の開発・ 活用・物流における積載効率、運航 ルートの効率化 ・製品の軽量化 |
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廃棄物量 |
単体 |
4.6 千t |
4.3 千t |
・徹底的な分別による有価物化の推進 ・発生源対策として歩留改善 ・ゴムの廃棄物削減に向けた脱硫再生に よるリサイクルの推進 |
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水 (売上高当り取水量) |
単体 |
0.51千t/億円 |
0.47千t/億円 |
・冷却機器の更新 ・製品の洗浄方法の変更 (蒸気式⇒電気式) |
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生物多様性 (緑の復元面積) |
単体 |
13ha |
14ha |
・里山整備の拡大(森町工場での新規 実施) ・干潟の保全活動 ・平和町工場のビオトープが環境省の 「自然共生サイト」に認定 |
過去の実績値については当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/environmental/report8/
(注1)Scope1: 企業自身が直接排出したCO2排出量(化石燃料・天然ガス等)
Scope2: 企業が間接的に排出したCO2排出量(購入電力等)
Scope3: 企業が間接的に排出するサプライチェーンでの温室効果ガス排出量
(原材料製造、輸送、出張、通勤など)
(注2)Scope3の2024年度実績データは算定中につき、「豊田合成レポート2025」で開示予定
これらの取り組みは、2024年 日本経済新聞社「SDGs経営度調査」の環境評価価値でS評価を得ています。引き続き
顧客・サプライヤーと連携し、各Scopeの排出量低減と情報開示などを進め、環境保全活動の充実を図っていきま
す。
ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社は、気候変動への対策として、CO2排出量削減による脱炭素社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つ
として掲げ、2019年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
TCFDの考え方に基づき、シナリオ分析を行い事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動
を実施しています。なお、今後も財務への影響を検証するなど充実していきます。
a.ガバナンス
2016年2月に長期の環境活動計画となる「TG2050環境チャレンジ」をカーボンニュートラル・環境委員会
で策定し、公表を行い、当社グループで持続可能な社会の実現に向けて活動を強化しました。
カーボンニュートラル・環境委員会は取締役社長が委員長を務め、年2回開催し、サプライヤーへの影響
も含めて気候変動によるリスクと機会について審議し、中長期目標の認定、実現に向けたシナリオの策定を
行い、経営戦略へ反映しています。その結果を取締役会、経営会議等へ定期的に報告しています。
b.戦略
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでもCO2削減に取り組んできました。昨今の社会的
要請の高まりを受け、工場CO2排出量ゼロの達成時期を2050年から2030年に前倒し、さらに2030年再生可能
エネルギー導入率100%とより高い目標に見直しました。
その実現のため、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した「4℃シナリオ(注3)」、
「1.5℃/2.0℃シナリオ(注4)」などを考慮し、下記のとおり事業活動に与える気候関連のリスク
(物理リスクおよび移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
(注3)4℃シナリオ:産業革命前と比べ4℃前後上昇するシナリオ
(注4)1.5/2.0℃シナリオ:産業革命前に比べ21世紀末に世界平均気温の上昇幅が1.5/2.0℃に抑えられる
シナリオ
< 物理リスク > 気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク
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影響する項目 |
リスク |
影響 (注5) |
機会 |
影響(注5) |
対応 |
|
|
急性 |
・異常気象による大規模災害 |
・河川の氾濫、巨大台風、サプライチェーンの分断、渇水などに よる生産支障 |
大 |
・BCPのレジリエンス強化による盤石な生産体制の確保と競争力の向上 |
中 |
・BCPのレジリエンス体制・訓練の強化 ・緊急時における重要インフラの確保 ・土地・建屋の耐久性、浸水リスクの 点検・改修 ・耐久、耐水、耐熱性に優れた機能性材料開発および新製品開発 |
|
慢性 |
・気温上昇 ・降水、気象パターンの変化 |
・温暖化による製品耐久 性の不足で品質不具合 |
中 |
・製品の耐久性の充実で付加価値が向上し、収益向上 |
中 |
|
< 移行リスク > 脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク
|
影響する項目 |
リスク |
影響 (注5) |
機会 |
影響 (注5) |
対応 |
|
|
政策 ・ 規制 |
・電動化の促進施策 (ZEV(注6)、 燃費、ガソリン車 規制) ・政府のカーボン ニュートラル宣言 (CP(注7) 制度、補助金の 拡大) |
・BEV開発の加速に伴うガソリン車専用部品の売上減少 ・炭素税の導入による コスト競争力の低下 |
大
大 |
・ZEVであるBEV/FCEVの製品開発が進み売上増加 ・国の支援(補助金等)を活用した環境配慮型の製品、工法開発の伸展で競争力を確保 ・燃費(電費)向上に向けた軽量化の製品・部品の売上増加 |
大
中
中 |
・BEV/FCEV向けの新製品開発 ・BEV先行市場・OEMへの拡販 ・高分子材料の知見を活かした樹脂・ ゴム製品の高い耐久性・軽量化、 脱炭素化 ・ICPの導入による取り組みの加速 ・2030年へのカーボンニュートラル 前倒し ・省エネ、創エネによる工場・オフィス のZEB(注8)化 |
|
市場 |
・CASE、MaaS市場 拡大 ・グリーンテクノロ ジー(注9)に よる新分野の市場 拡大 |
・ユーザーの価値観、 使い方の変化で従来 製品の売上減少 ・環境負荷の高い製品の不買化による売上減少 |
中
中 |
・カーシェアの拡大に伴う除菌/抗菌製品の売上増加 ・グリーンテクノロジーの開発による事業拡大 |
中
大 |
・深紫外線LED技術を活かした除菌/浄化製品の開発 ・GaNパワーデバイスの開発・商品化 ・自動運転向けの新製品開発 ・非自動車ビジネスの拡大(ヘルスケア、エネルギーなど) |
|
技術 |
・エネルギー生産・ 転換技術の開発・ 普及 ・再生可能エネルギ ー技術の進歩、 普及 ・省エネ技術の普及 |
・新たなエネルギー資源への対応による生産 技術コストの増加 ・技術普及の乗り遅れによる競争力の低下(CO2削減の鈍化、炭素税によるコスト増) |
中
中 |
・省エネ活動によるエネルギーコストの削減による競争力の確保 ・環境に配慮した製品開発、工程整備が進み収益向上 |
大
中
|
・工場エネルギーの最適化を推進 ・IoT、デジタル活用による生産プロセスの効率化による省エネ ・再生可能エネルギーの積極的な導入 ・CAR to CARリサイクルや製品ライフサイクルでの負荷低減の推進 ・水素タンク事業の拡大 |
|
評判 |
・顧客の評価の変化 ・投資家の評判の 変化 |
・発注条件に環境配慮(脱炭素、 リサイクル材料など)が加わり対応できず競争力の低減 |
中 |
・自動車部品のゴム・樹脂分野で先んじたグリーンテクノロジーの開発による競争力の向上 |
中 |
・環境配慮型の製品開発と事業化(高機能材料、バイオ材料、リサイクル材料 開発) |
(注5)影響:発生の頻度・規模による事業への影響度。
(注6)ZEV: Zero Emission Vehicleの略。走行時にCO2等の排出ガスを出さないEV/FCEV等。
(注7)CP: Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。
(注8)ZEB: Net Zero Energy Buildingの略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、年間1次エネルギー収支ゼロとする
建築物。
(注9)グリーンテクノロジー:環境問題を解決、あるいは緩和するための技術・製品(例:軽量化や脱炭素に資する技術・製品など)
c.リスク管理
当社は、カーボンニュートラル・環境委員会、内部統制委員会やマネジメントシステム(ISO14001)
で、気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)を管理しています。リスク管理のプロセスは、リ
スクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、委員会等で回避・軽減・移
転・保有などの対策を決定し、進捗管理をしています。
重要リスクについては定期的に取締役会に報告しています。
d.指標及び目標
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでもCO2削減に取り組んできました。昨今の社会的
要請の高まりを受け、自社の生産活動などで発生するCO2排出量(Scope1,2)について、カーボン
ニュートラル実現時期を2050年から2030年に前倒し、さらに2030年再生可能エネルギー導入率100%とより
高い目標に見直しました。また、環境に配慮した生産工程や設備の開発など、社内横断的にCO2低減活動を
進めていきます。さらに5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動
を推進しています。
< 中長期目標 >
|
取組み |
目標年 |
目標値 |
|
第7次環境取組みプラン |
2025年 |
Scope1+ Scope2における CO2排出量2015年度比 25%減 |
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2030年マイルストーン |
2030年 |
・Scope1+ Scope2における再生可能エネルギーなどを 組み合わせ、カーボンニュートラルを実現 ・再生可能エネルギー導入率100% ・Scope3におけるCO2排出量2019年度比 27.5%減 |
|
TG2050環境チャレンジ |
2050年 |
・Scope1+ Scope2+ Scope3におけるカーボンニュートラル ・製品技術での環境社会への貢献 |
イ)循環型社会の構築への取り組み
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、循環型社会への対応として、廃棄物低減、水リスク低減に
よる循環型社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、取り組みを推進しています。
a.ガバナンス
b.戦略
当社は、廃棄物量・水リスクの極小化やリサイクルしやすい製品設計を通じて、循環型社会の実現に
向け、取り組みを進めてきました。昨今の資源循環を取り巻く動向など事業活動に与えるリスクと機会を
抽出し、活動へ反映させています。
廃棄物低減としては、製品設計段階では自動車のライフサイクル全体を考え、リサイクルしやすい製品
や材料の開発・設計、廃材リサイクル技術の開発を推進しています。また、生産段階では、発生源対策と
リサイクルを推進しています。
水リスク低減としては、国内外の拠点を水量・水質の両面でリスク評価し、それぞれリスクのレベルを
付け、リスクレベルごとに対策を分けて活動をしています。
< リスクと機会 >
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影響する項目 |
リスク |
機会 |
対応 |
|
資源の枯渇 (不足) |
・原材料の調達難や価格 高騰による収益悪化 と生産支障 |
・リサイクル技術、材料使用 量の削減による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上 |
・軽量化に向けた製品開発の推進 ・原材料のリサイクル技術開発 ・植物由来のバイオ材や リサイクル材の活用拡大 |
|
水リスク (量・質) |
・生産に必要な水の確保 難による生産支障 ・水質悪化による製品 品質の悪化 ・水害による生産支障 |
・水の再利用、使用量の削減 による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上 |
・水の再利用技術の開発 ・雨水の利用の活用拡大 ・生産体制の見直し、電気設備の 設置場所見直し
|
c.リスク管理
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期計画である「TG2050環境チャレンジ」の中の項目として、廃棄物量・水リスク
の極小化を目指して、2030年マイルストーンとして目標を設定し、取り組んでいます。更に5年ごとに
「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しています。
< 中長期目標 >
|
項目 |
2025年目標 第7次環境取組みプラン |
2030年目標 マイルストーン |
2050年目標 TG2050環境チャレンジ |
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廃棄物 低減 |
豊田合成 |
2012年度比 40%削減 |
2012年度比 50%削減 |
廃棄物量の 極小化 |
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海外関係会社 |
2015年度比 50%削減 |
2015年度比 55%削減 |
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|
水リスク<グローバル> |
高リスク エリア |
水質 (4拠点) |
2拠点で 対策完了 |
4拠点(全拠点)で 対策完了 |
水リスクの 極小化 |
|
取水量 (7拠点) |
3拠点で 対策完了 |
7拠点(全拠点)で 対策完了 |
|||
|
低リスクエリア |
2019年度比 売上高当り 取水量 6%削減 |
2019年度比 売上高当り 取水量 11%削減 |
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ウ)生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築への取り組み
当社は、自然から原材料や水など多くの資源を受けている一方で、CO2排出や排水など、自然環境に影響を与えて
います。ネイチャーポジティブの実現に向け、生物多様性の保全活動を推進しています。
具体的な活動としては「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでは自然との共生を目指したさまざまな取組みを推進してきました。現在は、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに則り、自然資本に関連する事業リスクおよび機会を特定し、それらを経営戦略に反映させる活動を進めています。
詳細につきましては、当社ウェブサイト内の「TNFD」をご参照ください。
「TNFD」ページURL
②社会の分野(S)
ア)人材戦略
2030事業計画において、経済的/社会的価値を再定義し、それを実現するために事業構造の改革を進めると
ともに、環境の変化に柔軟に対応し、新たな価値を創出できる「高分子型組織」をめざして、人と組織の活性
化に取り組んでいます。
当社が社会に提供する価値の源泉は「人」にあります。ゴムや樹脂といった高分子技術によって培われた専
門力と、それを製品として形にする組織力を結集し、「高分子型組織」として2030事業計画で掲げた事業成長
と構造改革を推進するため、私たちは2つのテーマに基づく人材戦略を進めています。
<2030事業計画と人材戦略>
a.戦略
・人材ポートフォリオに基づく配置・育成・確保
事業成長・事業基盤強化を支える取り組みとして、これまでも中期での要員計画を立案する中で、各部
のニーズに基づき強化分野の必要人員数を整理し、既存業務の効率化を進めることにより、要員構造の転
換(強化分野へのリソーセスシフト)にチャレンジしてきました。
要員構造を変えていくというこれまでの方向性はふまえつつ、2030事業計画の実現に向けて全社的な重
点強化分野と必要人材の要件をあらためて整理し、事業ポートフォリオに基づいた人材ポートフォリオと
してまとめることで、量(人員数)の管理だけでなく質の管理を強化していきます。そのために人材ポー
トフォリオにおける「人材の3本柱」を定義しました。
<人材の3本柱>
これらをさらに「15の人材」タイプに層別、各々の専門性をあるべき人材ポートフォリオとして整理
して、現有人材と2030事業計画の実現に向けた必要人材とのギャップを洗い出し、計画的な人材の確
保・配置・育成計画の立案につなげていきます。
併せて、従業員個人のキャリア形成や成長を実現していくためにも、人材ポートフォリオを活用しなが
ら、目指したいキャリアイメージの具体化や必要な専門性の習得を促していきます。
・多様な人材のウェルビーイングの実現
事業の持続的な成長のために「ウェルビーイングの実現」は不可欠であると考えています。その実現
に向け、従業員が入社後に体験するエクスペリエンスを通じて、心理的安全性の確保やエンゲージメン
トの向上に取り組んでいます。
心理的安全性の確保という点では、双方向のコミュニケーションを軸に、労使間の対話を活性化し、
従業員が安心して本音を語れる風通しの良い職場づくりを推進してきました。特に職場での上司との関
係は、従業員一人ひとりが活力を感じるうえでも重要であり、マネジメント改革を通じて、思いやりと
信頼に基づく「安心できる居場所づくり」の整備に取り組んでいます。
さらに、従業員が当社で働く意義を実感することが、仕事への目的意識やエンゲージメント向上につ
ながると考え、「ビジョンへの共感」を促進する施策を展開しています。従業員が自らキャリアを築
き、成長する機会を得られる環境づくりにも注力し、一人ひとりが「活躍できる舞台」で輝けるよう支
援しています。
b.ガバナンス および c.リスク管理
人材戦略に基づく施策に関しては、「人事会議」(年2回開催)にて、また、部長職以上、関係会社役員
などの重要なポジションの任免や、将来の登用計画などについては「GSC:Global Succession Committee」
(年5回開催)にて審議しています。これにより、経営戦略の実現を念頭に置いた人材育成や配置などを
行っています。人事会議、GSCとも議長は総務・人事本部長が務め、人事会議は取締役社長以下、取締役、
監査役、執行役員、GSCは取締役と本部長以上が参加し、議論を行っています。
d.指標及び目標
< 2024年度重点項目の実績と2025年度・2030年度目標値[単体] >
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重点項目 |
2024年度実績 |
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2030年度目標 |
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400名 |
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100名(8.8%) |
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(グローバル) |
(グローバル) |
60% (グローバル) |
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30%以上 |
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[国内グループ全体] |
法定雇用率達成 [国内グループ各社] |
- |
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75%以上 |
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- |
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|
- |
(注)中途採用者の在籍比率と同等の管理職比率を使用しています。
◇主な取り組み
・女性管理職の人数
製造業の傾向として、女性従業員比率が低く、男性従業員が標準となっている職場環境、ロールモデ
ルの不足により、当社において女性管理職の登用・育成が遅れていました。そのため、女性管理職登用
の目標数を2025年度までに45名、2030年度までに100名とし、女性活躍の施策を加速させています。
具体的な施策としては、スタッフ系従業員には自身をまず知り、強みを活かしたリーダーシップ像を
描くための「エンカレッジプログラム」を開設しました。一方、製造現場の従業員向けには、女性リー
ダーを中心に誰もが働きやすい職場環境づくりに向けた取り組みを始めました。
・ナショナルスタッフ幹部比率
各地域において積極的な登用を加速するために、2021年度に、ナショナルスタッフ幹部(副社長以
上)登用の基本方針・ターゲットを定め、実現に向けて各事業体にて取り組みを進めています。
また、2025年度までにナショナルスタッフ幹部比率40%達成を目指し、各地域でハイポテンシャル人
材の評価・育成計画の作成を進めています。主な施策としては、ナショナルスタッフ幹部候補への「経
営スキル基礎研修」「課題設定型問題解決研修」の実施などによりナショナルスタッフの育成を進めて
いるほか、地域でのサクセッションコミッティを米州、東南アジア、中国で開催し、幹部後継者候補の
育成・採用の活動状況や課題を共有しています。
・障がい者雇用
これまでも当社では、障がいを持つ方々の製造現場での採用を進めてきました。製造現場で働く日常
のイメージを持ってもらえるよう、特別支援学校と連携しながら採用前のインターンシップを実施して
います。実務を体験することにより、入社後は職場に早く馴染むことができ、その後の活躍につなげる
ことができています。
また、2024年度からは、スタッフ職での採用強化を図っています。受け入れ職種の拡張や、障がい者
向け就職セミナーへ積極的に参加し、選ばれる企業となるよう取り組みを進めています。また、当社で
長く働いていただけるよう各事業所に生活相談員を配置し、定期ケア面談による困りごとの吸い上げな
ど、働きやすい職場環境づくりも継続しています。
・サーベイスコア肯定率結果(従業員エンゲージメント肯定率)
2021年度より、従業員エンゲージメント向上をねらい、国内外出向者も含めた全従業員を対象に、エ
ンゲージメントサーベイを開始しました。2015年度より進めてきた風土改革の取り組み効果を確認しつ
つ、当社への帰属意識や仕事への貢献意欲を示すエンゲージメントスコアを把握することにより、さら
に働きがいのある職場づくりに向けての施策を推進してきました。サーベイの回答率は、開始以来97%
を下回ることはなく、また「サーベイ」によって前向きな変化が起こることへの期待」を問う設問のス
コアは66%を下回ることなく、現在に至ります。2024年度より、多様化する価値観や社会環境の変化を
ふまえ、従業員一人ひとりのウェルビーイングを実現するために不可欠な「心理的安全性」と「エンゲ
ージメント」を支える「エクスペリエンス(仕事やキャリアが従業員の期待に沿った体験となっている
か測るもの)」を確認するためにサーベイを更新。この変更に伴い、エンゲージメントを測定する設問
を5問から3問へ変更しました。目標値については維持し、2025年度には70%を目指します。サーベイ
結果に基づき、一人ひとりのモチベーションの源泉を把握し、より高いエンゲージメント、その先には
それぞれのウェルビーイング向上につながることをねらい、「従業員目線」で期待に沿ったマネジメン
ト施策を実施しています。
イ)人権の取り組み
豊田合成グループは、「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規
範を支持・尊重するとともに、「豊田合成グループ行動憲章」において、「人権や個人の多様性・人格・個性を
尊重し、差別的行為やハラスメント行為等を行わず、労使協調のもとで常に健全で働きやすく安全な職場づくり
を努めます」との基本方針を定め、人格・人権の尊重、公正な採用、強制労働や児童労働およびあらゆる形態の
ハラスメントの禁止を明言しています。
人権方針の策定については、2022年4月に「豊田合成グループ人権方針」を策定しております。本方針は、外
部有識者の助言をふまえて作成し、全役員と本部長が参加するサステナビリティ会議での審議を経て、取締役会
で承認されております。
人権の取り組みを進める体制については、経営層のコミットメントを高めるため、サステナビリティ会
議で年2回進捗を報告しています。
また「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、同原則で記されている人権デューデリジェンスを2022年に
開始しました。
人権デューデリジェンスとは、企業の事業、サプライチェーン及びその他のビジネスの関係に関して、人権へ
の影響を特定し、その負の影響を防止・軽減し、実施状況及び結果について調査を行い、どのように負の影響に
対処したかを伝える一連のプロセスを指します。
< 当社グループ内における顕著な人権課題 >
豊田合成グループ人権方針
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/social/report2/pdf/TG_human_rights.pdf
ウ)その他の取り組み
・品質保証
世界のお客様に安心・安全な製品をお届けできるようクルマの基本性能(走る・曲がる・止まる)や安全に直結
する保安部品の生産工程を中心に自工程完結を進めています。リコール、サービスキャンペーンなどの「重要な
品質問題(重品)」を絶対に出さない取組みとして、設備・管理要件のグローバル統一(人作業から設備保証への
置換含む)を継続して推進しています。
加えて、品質保証システムについては、ISO9001/IATF16949の認証を取得し、品質マネジメントシステムを確
立するとともに、CASE、MaaSなどにより様変わりする新規技術・新規開発品、ソフトウェアやコトビジネス等の
新規事業分野や、新規の顧客・アライアンス先・仕入先様との連携に対応できるよう継続的に品質保証システム
の改善に取り組んでいます。
・DX
事業運営や経営管理の効率化・高度化を実現するため、業務プロセス改善や情報の一元化を推進しています。
また、生成AIやデータ分析、クラウド環境の利用など先進的なデジタル技術の採用と、それらを活用できるデ
ジタル人材の育成にも取り組んでいます。非効率な業務や作業を見直し、そのリソーセスをより付加価値の高
い業務へシフトすることや、現場・事業・経営のあらゆる層でデータに基づく意思決定を促すためのIT・デジ
タル基盤を構築しています。
・サプライチェーンマネジメント
当社はサプライヤーとの共存・共栄の考えのもと、調達基本方針を定め、サプライヤーの皆様とパートナーシ
ップを深めながら、持続的な成長をともに目指しています。
当社が直接取引しているサプライヤーの数は、約600社、海外拠点を含むグローバルでは2,000社以上になりま
す。グローバルでの事業展開においてSQDCのあらゆる面を考慮し、さらに現地調達を推進していくために各地域
の調達担当者間での連携に取り組んでいます。
・安全健康
当社では安全衛生・健康に関する基本理念に安全と心身の健康の確保を最も重要な経営課題のひとつと位置付
け、全ての事業活動において安心で働きやすい職場環境を確保します。
当社では上記基本理念に基づき、安全衛生宣言を定めて企業活動を展開しています。
これを踏まえ、社会的責任を果たすための基盤強化として、従業員一人ひとりが将来にわたって、
いきいきと健康に働けることが必要不可欠であるという認識のもと従業員の健康維持/増進のため、健康経
営に取り組んでいます。健康KPIとして定めている「健康チャレンジ8」(体重・朝食・飲酒・間食・タバコ・
運動・睡眠・ストレスの8項目)のうち、ポイントの低い”運動”への取り組みとして、年に1度の健康診断を
活用した握力/柔軟性測定イベントを実施し一人ひとりが”健康を考える日”として筋力の重要性、運動実践な
どを自分事として考えるための動機づけを行っています。
・地域社会貢献
当社は、経営理念にもある「良き企業市民」であるべく「社会福祉」「環境保全」「青少年育成」「地域
防犯」の4つの柱で従業員による社会貢献の取り組みを世界各地で積極的に行っています。
今後も社内で社会貢献活動への参加機会を増やすとともに、地域のためになる活動を推進していきます。
詳細な取り組み内容は、統合報告書をご参照ください。
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/
③ガバナンスの分野(G)
2023年6月にチーフオフィサー制度を導入し、社長の権限と責任の一部をチーフオフィサーに委譲すること
により、重点機能について事業本部・地域本部の枠を超えてグローバル全体で管理し、戦略性の高い業務執行
の実現と経営のスピードアップを図っています。
当社グループは、取締役社長が委員長であり、社内取締役、執行役員、常勤監査役等で構成する内部統制委員会(以下「当委員会」)において、法令遵守とリスクマネジメントの状況を確認し、不正の未然防止活動とリスク低減活動の取り組みを推進しています。また、内部監査の状況についても当委員会に報告しています。
当委員会はリスクの重要性を評価して重点リスクを特定し、対応活動を決定し、実行状況の確認を行っています。
このリスクマネジメントの主な活動は下記①~④のとおりです。これら一連の活動を繰り返し、リスク低減活動を推進しています。また、当社では、リスクを機会と捉えて事業成長につなげる「事業戦略リスク」と、発生時の損失を最小限に抑えるための「経営基盤リスク」に分類し、各々のリスク低減活動に取り組んでいます。重点リスクに対する具体的な取り組み事例としては、事業戦略リスクに対しては、国際情勢不安、景気低迷、BEV普及のスローダウンなど環境の変化をふまえて各戦略へ落とし込んでいます。また、経営基盤リスクに対しては、自動車業界での品質認証問題をふまえて、体制基盤強化として独立した法規認証管理の組織を設置・運営を行うとともに、職場風土改革として各職場での困り事の抽出・改善を行っています。
①PLAN
まず本社各部門、関係会社が法令改正・外部要請・外部事業環境変化をふまえ、当社グループを取り巻くリスクの
洗い出し、見える化(リスクアセスメント)をしています。次に、役員等へのヒアリングを行い、経営目線、
将来目線でのリスクを抽出しています。その後、発生可能性、影響度等の観点から当社グループとしての
重点リスクを特定しています。
また、各対応部門が重点リスクに対し「発生可能性を下げる」「影響度を下げる」等の考え方から対応策を
策定しています。
②DO、③CHECK
各対応部門が対応策を実行、その状況を確認し、当委員会にて報告します。
④ACTION
対応策の実行状況に応じて活動の改善、修正を行い、より実効性のある対策にします。
リスクマネジメントの主たる活動
当社グループの財政状態、経営成績(サステナビリティ含む)および株価などに影響を及ぼす可能性のある
リスクとしては、以下のようなものがあります。当委員会において選定された主な重点リスクは以下の各リスクに
含まれています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが
判断したものです。また、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、米州、欧州・アフリカ、中国、アジア、インドを含む当社グループの主要市場における景気低迷、感染症の流行などによる社会的かつ経済的混乱、および
それに伴う自動車需要の縮小は当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定の得意先への販売依存度について
当社は、トヨタ自動車株式会社の関連会社であり、当社グループは同社およびその子会社(以下、同社グループ)に各種自動車部品を販売しています。連結売上収益に占める同社グループへの売上収益は前連結会計年度 57.3%、
当連結会計年度 57.3%を占め、当社グループの経営成績は、同社グループの自動車生産台数、当社グループ製品の
装着率および同社グループの購買政策などにより影響を受ける可能性があります。
(3)為替レートの変動について
為替レートの変動は、各国経済に大きな影響を及ぼすとともに、当社グループ各社での価格競争力、取引価格などに大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社の外貨建取引における外貨額および連結財務諸表作成のための海外関係会社の財務諸表数値は、決済・換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受け、当社グループの
財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)国際的活動および海外進出に潜在するリスクについて
当社グループの生産および販売活動は、日本をはじめとして米州、欧州・アフリカ、中国、アジア、インドの諸地域で展開しています。これらの海外市場への事業進出には、事業活動に係る内部要因リスク以外に、以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①予期しえない法律または規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
②不利な政治的または経済的要因の発生
③人材の採用・確保の難しさと労務問題に係るリスク
④社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
⑤地政学的リスク、自然災害、感染症、その他の要因による社会的または経済的混乱
(5)知的財産権について
当社グループは、他社製品との差別化を図るために独自の技術とノウハウの蓄積および知的財産権の取得に努めていますが、新たに開発した全ての製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。その
ため、第三者が類似製品を製造・販売することを効果的に防止できない可能性があります。また当社グループでは、
第三者の知的財産権に配慮しながら、製品や技術の開発を行っていますが、これらの開発成果が将来的に第三者の
知的財産権を侵害していると判断される可能性があります。また、これらに起因して訴訟等を受けた場合、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新製品開発力について
当社グループは、「高分子の可能性を追求し、より良い移動と暮らしを未来につなぐ会社」を目指し、
市場ニーズの先取りにより顧客の満足が得られるように日々研究開発を進め、先進技術を導入した積極的な
製品開発に取り組んでいます。今後においても、継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、
新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとするさまざまな
リスクが含まれています。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、必ずしも新製品または新技術の創造につながる保証はありません。
③顧客からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が
成功する保証はありません。
④急速な技術の進歩や市場ニーズの変化により、当社グループ製品の商品価値が急激に低下する可能性が
あります。
⑤現在開発中の新製品・新技術の市場投入が遅れ、収益機会を逸する可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発
できない、または遅れた場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性
があります。
(7)製品の品質不具合について
当社グループは、世界的に認められた品質管理基準に従って各種の製品を製造していますが、全ての製品について品質不具合が無く、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)価格競争
当社グループの収益基盤である自動車部品事業での価格競争は大変厳しいものとなっています。
当社グループは、顧客の要望に応えて、高品質で高付加価値の製品を全世界に供給する企業であると考えていますが、完成車メーカーからの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存競合先間の提携により、将来においても有効に競争できるという保証はありません。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を
及ぼす可能性があります。
(9)原材料・部品供給元への依存、物流
当社グループは、原材料、部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、取引基本
契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市場の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の突発的
な事故、地政学的リスクなどによる生産停止や納入遅れ、物流の遮断および経営問題などにより、原材料・部品の
不足、原材料・部品価格の高騰が生じないという保証はありません。このような場合、当社グループ製品の原価
上昇、さらには生産停止などが起こり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)災害や停電等による影響について
当社グループは、製造ライン中断による影響を最小限にするため、生産設備における定期的な検査と点検を
行っています。しかし、当社グループの生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象のほか原材料、
部品の調達先や製品の納入先での災害などの発生により影響を受ける可能性があり、これらの影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の多くは、中部地方に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務による影響について
当社グループの従業員退職給付費用、退職給付債務および制度資産は、割引率など数理計算上で設定される前提
条件に基づいて算出されています。このため、実際の金利水準の変動や制度資産の運用利回りが悪化した場合には、
財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的手続について
当社グループは、ビジネス活動においてコンプライアンスの実践を基本においていますが、様々な訴訟および
規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの財政状態および経営成績に
影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報セキュリティ
当社は日々高まる情報セキュリティのリスクに対して、サイバー攻撃を重要な経営リスクとして位置づけ、
中期的な推進計画を策定し、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)や詐欺メールへの対策、社員への啓発・
教育などセキュリティ対策を強化しています。また当社国内外関係会社に対しては、日常点検や監査を通じて
セキュリティレベルの底上げを行うなど、当社グループとしての信頼の維持と向上に努めるとともに、当社仕入先
とも情報セキュリティ対策強化の取り組みを行うことで、サプライチェーン全体の安全性確保に努めています。
しかし万一、外部からのサイバー攻撃やコンピューターウィルスの拡散による社内情報システムの停止や機密情報
の漏洩または喪失があった場合、被害の規模により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性
があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、不動産不況を背景とする中国経済の減速はあったものの、アメリカでの労働需要を背景とした賃金上昇による消費の下支えもあり、全体としては緩やかに成長しました。
日本経済は、2024年3月の17年ぶりの利上げや、高水準の賃金引上げ等、経済好循環に向けた動きが定着しつつあります。一方、アメリカの政権交代に伴う政策変更により不確実性が高まっており、その動向及び各方面へ波及する影響についての注視が必要です。
自動車業界では、BEV(電気自動車)普及速度にやや減速感が見られるものの、電動化を含めた多様なモビリ
ティの実現に向けた対応が求められています。
当社は、2023年8月に策定した「2030事業計画」に掲げる2つの軸によって成長を目指します。一つ目の軸としては、BEVをはじめとしたあらゆるモビリティ社会を支える「安心・安全」「快適」をカタチにして社会に貢献することを掲げています。二つ目の軸としては、豊かな地球環境を未来に残していくため、当社の強みであるゴム・樹脂の高分子技術の知見を活かし「脱炭素」に貢献することを掲げました。このように社会的価値と経済的価値を両立させることで、持続可能な事業の発展を目指していきます。
〈安心・安全への貢献〉
自動車全体の安全性能は年々向上していますが、交通事故死傷者ゼロに向けては解決すべき多くの課題があります。新興国では自動車の急速な普及に伴い交通事故も増加しており、より安全性が求められています。当社の重点地域であるインドでは、法規やアセスメントの導入により自動車へのエアバッグの装着が加速しており、当社もそれに対応すべく、インド北部で新工場の稼働を開始し、さらに、インド南部においても工場を新設します。
2024年11月に「自動車の安全システムに関する国際シンポジウム」(Airbag2024)においてエアバッグに関する研究成果を発表しました。グローバルで安全分野をリードする欧州の安全アセスメント「Euro(欧州) NCAP」のボードメンバーと交流を行い、将来の自動車安全の検討に当社も関与する機会を得ました。
これらの取り組みを通じ、さらなる安全を目指したアセスメントに対応する製品を開発し、交通事故死傷者低減に貢献していきます。
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<将来の欧州NCAPにも対応する当社の技術> |
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衝突安全 |
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予防安全 |
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♦高齢者保護・多様性対応
様々な乗員体格や姿勢に対応する可変エアバッグ |
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◆交通弱者保護
歩行者やサイクリストが自動車の堅い部位に衝突した際に保護 |
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◆ドライバーの状態監視・自動運転時のドライバーの関与
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〈快適への貢献〉
BEVらしい車内空間の実現と内装デザインの多様化に寄与する「LED陰影イルミネーション」や、ミリ波レーダ透過機能と発光機能を併せ持つ新しいエンブレムを開発するなど、モビリティの変化に対応しながら、より快適な車内空間づくりを目指しています。
昨今、車内の開放感や前方視認性の向上のため、省スペース化のニーズが高まっています。それに対応すべく、「超薄型レジスタ」を開発し、2025年3月に中国で発売されたトヨタ自動車の新型BEVである「bZ3X」に搭載されました。
さらに、日本のBEV能力増強対応として拡張した瀬戸工場では、製品の組付け・搬送の自動化や生産工程を一元管理するIoTシステムなどを通じて「工場のスマート化」を実現し、モノづくり力の強化を進めました。加えて、重点地域である北米においてもBEV向けの生産能力強化の一環として、アメリカのミズーリ州およびケンタッキー州において、工場の拡張投資を開始しました。
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<LED陰影イルミネーション> |
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<発光機能付きミリ波レーダー対応エンブレム> |
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<北米における内外装部品の生産体制> |
〈脱炭素への貢献・新事業への取り組み〉
ゴムや樹脂の材料技術・加工技術を活用し、水素社会や循環型社会の実現に向けた取り組みを加速させます。
水素に関する事業としては、燃料電池トラック向けに開発し市場に投入した「大型高圧水素タンク」が、船舶にも採用されました。さらに、将来の水素社会の実装実現に向けて「ポータブル水素カートリッジ」用の水素タンクを開発し、顧客に採用されました。
当社製品の主要材料となるゴムおよび樹脂、それぞれでリサイクルも促進しています。ゴムの分野では、自動車に使用されるゴムの資源循環を加速させるため、森町工場のリサイクル工程の生産能力を2倍に強化しました。樹脂の分野では、使用済車両(ELV)リサイクル材料を活用したグラブボックスやロアグリルが完成車に搭載されました。
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ポートブル水素カートレッジ |
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グラブボックス |
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ロアグリル |
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(提供:トヨタ自動車) |
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ELVリサイクル材料を活用した製品 |
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当期の売上収益は、顧客の生産台数減少等により、1兆597億円(前期比 1.1%減)と減収となりました。
利益については、原価改善や為替影響はあるものの、減販影響等により、営業利益は 598億円
(前期比 11.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は 363億円(前期比 29.4%減)となりました。
当期末における総資産は、主に現金及び現金同等物の減少に伴い、前期末に比べ 203億円減少し、
9,130億円となりました。また、負債は主に社債及び借入金の減少により、前期末に比べ 419億円減少し、
3,246億円となりました。
資本については、主に利益剰余金の増加により、前期末に比べ 216億円増加し、5,884億円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメント区分を変更しています。詳細については、
「連結財務諸表注記 6. セグメント情報(1)報告セグメントの概要」をご覧ください。
a.日本
売上収益は、顧客の生産台数減少等により 4,399億円(前期比 0.8%減)となりました。
営業利益については、減販影響等により、114億円(前期比 28.2%減)となりました。
b.米州
売上収益は、為替影響等により 4,039億円(前期比 1.7%増)となりました。
営業利益については、市況影響や昇給影響はあるが、原価改善等により341億円(前期比 30.1%増)
となりました。
c.欧州・アフリカ
売上収益は、顧客の生産台数減少等により 327億円(前期比 5.2%減)となりました。
営業利益については、原価改善等はあるが、減販影響等により26億円(前期比 3.1%減)となりました。
d.中国
売上収益は、顧客の生産台数減少等により、949億円(前期比 17.0%減)となりました。
営業利益については、減販影響や減損により、72億円の営業損失(前期は営業利益 50億円)となりました。
e.アジア
売上収益は、顧客の生産台数減少等により、1,385億円(前期比 0.7%増)となりました。
営業利益については、市況回収等はあるが、減販影響等により141億円(前期比 0.4%減)となりました。
f.インド
売上収益は、顧客の生産台数増加等により、423億円(前期比 20.2%増)となりました。
営業利益については、増販効果や原価改善等により、43億円(前期比 24.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
期末における現金及び現金同等物は、前期末 1,460億円に比べ 272億円減少し、1,187億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは 920億円(前期比 28.3%減)の収入となりました。
これは主に、税引前利益 591億円、減価償却費及び償却費 532億円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは 718億円(前期比 76.5%増)の支出となりました。
これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出 583億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは 506億円(前期比 4.5%減)の支出となりました。
これは主に、外部借入金の圧縮を進めたことで、長期借入金の返済による支出 253億円等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
431,176 |
3.8 |
|
米州 |
345,181 |
3.4 |
|
欧州・アフリカ |
31,394 |
△5.7 |
|
中国 |
91,088 |
△16.6 |
|
アジア |
85,324 |
△6.6 |
|
インド |
42,019 |
20.0 |
|
合計 |
1,026,185 |
0.8 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループ(以下「当社および連結子会社」)は、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとして
各納入先より生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
402,678 |
△0.1 |
|
米州 |
400,450 |
1.6 |
|
欧州・アフリカ |
31,275 |
△5.6 |
|
中国 |
92,132 |
△15.9 |
|
アジア |
91,204 |
△4.9 |
|
インド |
42,057 |
20.4 |
|
合計 |
1,059,798 |
△1.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先への販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
243,544 |
22.7 |
235,851 |
22.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断した
ものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる
見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上収益は、顧客の生産台数減少等により、
1兆597億円(前期比 1.1%減)と減収となりました。
利益については、原価改善や為替影響はあるものの、減販影響等により、営業利益は 598億円
(前期比 11.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は 363億円(前期比 29.4%減)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりです。
a.当社グループの財務方針
成長性・安全性・効率性のバランスをとりながら、資本コストを意識した効率的な事業運営を進める
ことで企業価値向上につとめます。
(成長性)
2030事業計画に沿って、研究開発も含めた投資は、高成長・高収益が期待できる分野に重点的に
リソーセス配分をしていきます。
事業軸ではセーフティシステム・内外装、地域軸では米州・インドです。
(安全性)
成長機会を逃さぬよう、あらゆる投資機会に機動的に対応できる自己資金および資金調達力を確保して
いきます。手元資金に関しては、グループファイナンスの導入により本社主導で資金の効率化と平準化を
進め、連結月商1か月を目安としております。
(効率性)
資本コストを意識した効率的な事業運営を進めるため、TG-ROICと名付けた当社独自のROIC計算式を
用い、各事業・地域の固定資産・棚卸資産のリソーセスに見合ったリターンを追求するとともに効率化を
進めていきます。2030年のROE 10%を目指して、連結でのTG-ROIC 20%を目標に、各事業・地域の
目標値を設定し、事業ポートフォリオの改善につなげていきます。
株主還元については、安定的かつ継続的な増配を実現するため、DOE(株主資本配当率:配当額÷株主
資本(連結))2.5%を下限目標としております。また、適切な資本構成を構築するため、機動的な自己
株式の取得にも取り組み、従来以上に資本効率向上も意識して、投資家の皆様の期待に応えていきます。
加えて、非財務情報を含む積極的な情報開示や、株主構成の多様化、特に個人株主の増加を図ることで
株主資本コストの低減にも努めていきます。
b.資金需要
当社グループでは、当連結会計年度において、574億円の設備投資を実施しています。
今後も、重点とする各事業、地域を中心に、TG-ROICをモノサシにメリハリをつけた設備投資を実施する
とともに、安定的かつ継続的な増配を基本とした株主還元も実施します。また、事業環境や成長機会に
応じたM&Aやアライアンス、もしくは資本効率向上の観点からの追加的な株主還元に回すなど戦略的に配分
していきます。
c.資金調達方法
当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金の流動性確保と財務の安定性・健全性維持を資金調達の
基本としており、金融機関からの借入や社債の起債など資金効率を考えた多様な資金調達を行っています。
また、グループファイナンスにより、グローバルでの資金効率も図っています。
当連結会計年度末における社債および借入金を含む有利子負債の残高は 1,095億円となっています。
d.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末 1,460億円に比べ 272億円減少し、1,187億円と
なりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、
「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(1)技術援助を受けている契約
技術援助を受けている契約で重要な契約等はありません。
(2)技術援助を与えている契約
技術援助を与えている契約で重要な契約等はありません。
当社グループの研究開発体制は、当社の開発本部・自動車関連の各事業本部・新価値事業本部(日本地域)、
海外子会社の豊田合成ノースアメリカ株式会社(米州地域)、豊田合成ヨーロッパ株式会社(欧州・アフリカ地域)
豊田合成(中国)投資有限公司(中国地域)、豊田合成アジア株式会社(アジア地域)、
豊田合成ウノミンダインディア株式会社(インド地域)、が連携し、グローバルな研究開発活動を展開しています。
最近の主な成果としては、次世代の操舵システムに対応した新型ハンドル「ステアバイワイヤシステム用ステアリングホイール」、車載エアコン用の「超薄型レジスタ」、高圧水素タンクが持ち運び可能な「ポータブル水素カートリッジ」、より静かな車内空間づくりに貢献する「シーリング部品による音の体感システム」などの革新的な新製品・新技術を開発しています。
また脱炭素社会の実現に向けて、ゴム・樹脂製品のリサイクル技術やバイオ素材の開発、BEVをはじめとする新モビリティ社会への対応として、電動車向けの製品および生産技術の開発、更には今後の自動運転技術の進展に対応した付加価値の高い製品開発なども積極的に推進しています。
なお、当事業年度に係る研究開発費は