文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、健康・創造・志の三つの思いを調和させ、「世界の人々の健康と豊かな暮らしに貢献し、人々に喜ばれ、信頼される企業になる」を経営理念のひとつとして掲げています。また、豊かさの追求、世界№1・オンリーワン企業を目指す、信用の確立、継続的な成長と発展、イノベーションへの挑戦、を全ての活動につながる価値観として位置付け、さらに熱意、誠意、創意を基本的な行動原則としています。この価値観と行動原則が経営理念を支えています。そして、真に社会的ニーズに応え、社会貢献につながる強固な経営基盤を構築することを目標にしています。
世界最高水準のゴムの薄膜化技術および新素材を基にコア技術を生かしたゴム製品、および独自の技術力とノウハウを駆使・凝縮した高機能かつバリエーション豊富な精密機器(緩衝器)製品を主力としております。創造性のある高品質・高付加価値で安全な、そして環境にも配慮した製品を市場に提供することによって社会的責任を果たし社会経済の発展に貢献できるものと確信しています。企業の継続的発展・企業価値の最大化を目指し実現して行くことで、株主、取引先、投資家、従業員、地域社会等の全ての人々の信頼と期待に応え、企業市民としての責任を果たしてまいります。
(2)目標とする経営指標
着実な事業拡大と効率的な事業運営により経営ビジョンを実現してまいります。「成長戦略」の推進を基本方針として、設備投資等を核とした成長投資を積極的に展開した「第3次新中期経営計画(2018年3月期から2020年3月期まで)」を終了し、「第4次新中期経営計画(2021年3月期から2023年3月期まで)」が進行しております。この中期経営計画のポイントは「第3次新中期経営計画に基づく投資の効果実現・投資回収」と「有利子負債水準の適正化」です。これらを踏まえ、当面の目標とする経営指標は、自己資本比率30%台半ば、自己資本当期純利益率(ROE)10.0%以上とし、企業価値の向上に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
中期経営計画は、従来の実績と課題を念頭に置き長年培った技術力に磨きをかけると同時にユーザーの多様なニーズに応えられる新製品の開発を行い、海外も含めた新市場の開拓を柱とした営業基盤強化と、コスト意識を持って収益改善と財務体質強化を図り、強固な経営基盤の確立と持続的成長の実現を可能とする中長期的な方向性を明確にしております。
セグメントごとの経営戦略は以下のとおりとなります。
なお、当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
<医療機器事業>
医療機器事業の中核を構成するコンドーム製造販売事業は、「医療器具」として認可等の事業参入障壁がある一方、市場規模は人口動態、特に生産年齢人口との関連性が高く、国内のみならず主要先進国における市場のピークアウトが想定されます。当社は生産設備の刷新に着手し、天然ゴムに代わる新素材(合成ゴム)製品や薄型製品などの高付加価値市場への製品投入を強化していきます。海外市場に向けては「Made in Japan」に対する信頼やニーズを活かしてOEM戦略により新たな市場開拓に取り組んでまいります。
<精密機器事業>
精密機器事業の主力製品であるショックアブソーバおよびロータリーダンパーは住宅設備、家電、自動車、産業用生産設備等の多岐にわたる市場で展開をしております。総合緩衝器メーカーという他に類をみないグローバルニッチ企業を目指し、「Motion Control Technology」を旗印に消費者ニーズの多様化、製品の高付加価値に資する創造的かつハイレベルな製品開発を継続してまいります。
<SP事業>
長年にわたり培ってきた、ゴム風船やフィルムバルーンを媒体とした広告・店頭販促用品での対面コミュニケーションのサポート経験や国内外のサプライチェーンの組織化ノウハウを活かして、バルーンの使用によるヒューマンタッチなビジネスを企画提案し、具体化できる国内随一の企業として存在感を発揮してまいります。
<食品容器事業>
国内最大手のゴム製食品容器メーカーとして、根強い需要に対して安定した品質と納期で製品供給を行ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大が経営環境に及ぼす影響につきましては不確定かつ広範囲にわたる可能性もありますが、人々の生活様式がより「安全」「安心」「快適」な暮らしに価値観を求めていくものと考え、そうした価値観にお応えできるよう、従来以上に「健康で豊かな暮らし」に貢献できる製品を開発・提供してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く中長期的経営環境につきましては、高度化、多様化する需要環境、技術革新、生産拠点のグローバル化、安全や環境問題、ガバナンスへの取り組み強化等、その基本的構図は大きく変わらないものと予想されます。
当社が優先的に対処すべき事業上の課題は、各事業の成長性と収益性からみて、その事業領域に相応しい経営資源を適正に配分していくこと、および事業ポートフォリオの見直しや事業継続の可否判断を適時適切に実施していくことです。製造業として生産設備や研究開発への投資はもとより、人財の確保やIT化投資など多岐にわたる必要投資を限られた経営資源の中から選択・決定していかなくてはならず、そのためには意思決定の基準や枠組みの更なる高度化が必要です。また財務上の課題として、前中期経営計画に基づく成長投資に伴い増加した有利子負債の適正化があげられます。投資の成果による営業キャッシュ・フローの強化とともに、有利子負債削減の優先順位を上げて、株主還元、内部留保、投資の配分を適正に実施していきます。
かかる課題認識の下、中長期的な経営の基本方針に基づき、経営体質の強化、持続的な事業の成長、企業価値の向上を実現するために、以下の経営課題に取り組んでまいります。
① 技術力の強化、新製品の開発
新技術、新製品の開発は「ものづくり」に真摯に取り組む当社の生命線と考えております。医療機器事業の中核であるコンドーム市場では、新素材製品や薄さを追求した製品を中心に展開するなど、国内外の市場で環境変化が見られます。海外も含め新たなマーケットを創造すべく、新素材の開発、革新的製法への転換、斬新な発想に基づく製品開発、生産拠点の整備を進めてまいります。精密機器事業ではハイレベルでユニーク、かつコストパフォーマンスに優れた独自の製品を生み出す技術力をバックに、新たな素材開発と機能性を睨んだ製品開発に注力し次期成長エンジンを生み出すことでニッチトップ企業を目指してまいります。また、営業部門と技術・研究開発部門の緊密な連携を通し、ユーザーのニーズを的確に先取りすることで製品開発に生かしてまいります。
生産工場においては、新製品開発と効率生産を可能にする最新設備の拡充を継続的に推進してまいります。さらに、永年培ってきた技術・技能を受け継ぐべき人材の育成に取り組んでまいります。特に、中核となる戦略製品群につきましては、革新的な生産技術の開発にチャレンジし、競合他社との差別化とリーディングカンパニーとしての揺るぎ無い地位を確立してまいります。
② 新分野・新商材・新規事業への取組み
将来にわたって持続的成長を遂げていくためには、当社の中核事業に加え、既存の独自技術・営業基盤を生かした新たなコア事業の創出が重要な課題と認識しております。世界に通用する技術や優位性の高い製品の開発に積極果敢に取り組むと同時に、共同開発や技術提携等により新たな可能性を追求してまいります。海外も含め積極的に新分野を開拓し、新規事業領域の拡大と成長分野への進出、事業基盤の拡充に取り組んでまいります。
③ 生産性向上と効率性を追求した設備投資
生産革新によるQCDの追求を基本方針として、全社を挙げてコスト意識の徹底を図ってまいります。同時にISOをベースとした管理体制の整備と強化に注力し、生販一体となった業務運営による生産性の向上と効率性を追求いたします。自動化生産設備の開発と積極的な導入を柱とした生産能力の拡大だけでなく、既存設備の整備・更新にあたっては抜本的な生産システムの再構築を視野に、不良率の低減を始めとしたローコスト運営に資するシステム化を図り、投資効率の高い設備改革に取り組んでまいります。その一環として増設を展開してきた新栃木工場は、フル稼働体制を構築し維持しております。さらに新たな生産拠点として竣工した栃木千塚工場へのメディカル部門の移転が2021年3月に完了し、稼働を開始しております。今後は安定的なフル稼働体制の早期確立を喫緊の課題として取り組んでまいります。生産能力の増強と開発力の強化に取り組むと同時に、生産拠点の防災対策のみならず、多角的な視点から実効性の高い事業継続計画(BCP)の策定を進めてまいります。
④ 海外市場の開拓、ネットワークの拡大
成長が見込める海外市場を開拓すべく新規の販売ネットワークの拡大に取り組んでまいります。中国に有する販売拠点の拡充や協力工場との連携を進め、高度な技術に裏付けされた当社製品とブランド力を前面に掲げ、中国、欧米、東南アジアへ向けて多面的な取組みを推進いたします。また、取引ウェイトが高くなる海外の顧客への対応力強化のためにドイツ代表事務所を中心に、営業および技術面のサポート体制を拡充いたします。
⑤ 人材の採用と育成
企業の成長を目指すうえで組織体制の強化は不可欠であり、中長期的視点で優れた人材を継続的に採用し育成してまいります。個々の能力とモチベーション、さらに新たな創意工夫を引き出すために働きがいのある職場環境の整備・拡充を行い、働く人の視点で働き方改革を推進してまいります。
⑥ 財務体質の強化
製造業としてその根幹をなす生産設備および研究開発関連への投資資金を確保するために、収益の拡大を図ってまいります。生産性向上と合理化の推進に向けた投資により総合的なものづくりシステムの改善を図り、生産サイクルにおける適正棚卸資産の維持と製造・管理コストの削減に努めてまいります。同時に、経営環境の変化に柔軟に対応し持続的成長の実現に向けて、自己資本の増強と有利子負債の削減等を柱とする財務体質の強化に努めてまいります。
⑦ 経営管理体制の整備と強化
企業の持続的成長と企業価値の向上の実現に向けて、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。内部統制、リスク管理、情報管理、コンプライアンスへの取組みを強化徹底し、より信頼性と透明性の高い経営を実現し、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めてまいります。さらに、成長戦略を推進し業容の拡大を支えるために、変化に強く柔軟な対応が可能となるITシステムの整備と再構築を推進する、デジタル推進室を設置し、全社的なデジタル化活動を強化いたします。
⑧ 企業文化の醸成
当社のあるべき姿を見据え、従来から判断や行動の基本としてきた経営理念、価値観、行動指針を「FUJILATEX WAY」として改めて明確にし、すべての活動につながる価値観を体系化しております。今後はこの企業ビジョンを全役職員で共有すべく、あらゆる機会を捉えひとりひとりの理解が深まるよう様々な施策により継続的に展開してまいります。日々の業務活動の拠り所とし、さらに社会貢献につながることを願いとして積極的に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(知的財産に関するリスク)
当社グループは、開発する製品は多種、広範囲で、これに関連する知的財産権もまた複雑で多岐にわたっております。新製品の開発にあたっては、他者の権利を侵害しないように細心の注意を払っております。現在、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟は提起されておりませんが、権利侵害等の理由により第三者から販売差し止め等の訴訟を提起される可能性があります。また、第三者による権利侵害があり類似品が製造されることを完全に防止できない可能性があります。
このように、知的財産権における保護の失敗や不当な侵害は、当社グループの事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(金利変動によるリスク)
当社グループは、相対的に有利子負債比率が高い水準にあります。金利の固定化、金利スワップ取引等による金利変動リスクの回避を視野にいれ、調達コストの低減を心がけておりますが、今後金利が上昇した場合には経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(資金調達に係るリスク)
当社グループは、金融機関と締結している借入に係る契約の一部に財務制限条項が付されており、同条項に抵触し、期限の利益を喪失した場合には当社の財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料高のリスク)
当社グループ製品の主要原材料はいずれも値上げ圧力が強く、さらには天然ゴムの商品市況の影響による価格上昇も要因となり、製品原価に影響を及ぼす可能性があります。製品価格への転嫁は難しい状況下にあり、合理化等の企業努力で値上げコストを吸収していく方針ですが、業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料・部品の調達リスク)
当社グループは、合理的な価格で適切な品質および量の原材料、部品等を調達しており、その調達はサプライヤーの供給する能力に依存しております。需要過剰の場合は十分な供給ができない可能性があり、価格が高騰する可能性があります。さらに、自然災害等によりサプライチェーンが被害を受けた場合は生産活動に影響を及ぼす可能性があります。調達に関連するリスクを回避するため、複数のサプライヤーを確保し緊密な関係構築に努めておりますが、供給不足等の問題が発生した場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
(災害発生のリスク)
当社グループの生産拠点は、栃木県に集中しており、予期せぬ地震や停電その他の災害が発生した場合には、開発、生産拠点等が大きな損害を受け、業績に影響を与える可能性があります。
(国際的活動及び海外進出のリスク)
海外で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。
・政治的、経済的、法制的、社会情勢の変化に伴う影響
・為替レートの変動
・社員の採用と雇用維持およびマネジメント
国際的活動に当社グループが十分に対処できない場合、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(資産価値の変動、減損会計に対するリスク)
当社グループの保有する土地や設備、有価証券などの資産価値低下等による減損処理が必要となった場合、業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(法的規制などのリスク)
当社グループの製造するコンドーム製品、メディカル製品等は基本的に薬機法の規制を受けており、これらの製造販売を行うためには、厚生労働大臣の承認、製造所については都道府県知事の許可を必要とします。許認可の未承認や取り消し等により事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(製品の品質問題に関するリスク)
当社グループは品質管理には万全を期しておりますが、現在の技術・管理水準を超える品質に与える重大な問題等により、製造物責任に基づく製品の回収・損害賠償責任等に至るおそれがあり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(情報システム・セキュリティリスク)
当社グループは経営情報資産・ネットワーク設備等については、社外への漏えいおよび不正アクセスを防ぐためにクラウド化、ファイアウォールなどのセキュリティの強化、社内啓蒙に努めております。しかし、予期しないコンピュータウイルスの発生・不正アクセスなどその規模によっては業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(環境保全に関するリスク)
当社グループは水質汚染、有害物質、廃棄物などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用対象となる多数の製造設備を保有しております。設備の管理や生産活動には万全の注意を払い、様々な対策を講じております。環境関連法令および規制等の遵守、追加的な環境改善への取組み、不測の事態への対応等が極めて困難な場合や関連費用の増加、違反による事業停止などにより業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(人財確保に関するリスク)
当社グループは創業以来培ってきた技術を基に最先端の技術開発を推進し競争力を維持する為に、優秀な人財の確保は不可欠です。事業拡大や展開に合わせて計画通りに人財が確保・教育できない場合は業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症のリスク)
新型コロナウイルス感染症の収束までに経済活動の低迷が長期化することによる需要減少に伴い、当社グループの収益が減少する可能性があります。その場合には固定資産の減損リスクなど当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの従業員が新型コロナウイルスに感染し、従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合には、工場における生産および出荷に支障をきたし、一定期間操業を停止する可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による足元の業績への影響は2021年3月期の業績公表時点で以下の通りと想定しております。新型コロナウイルス感染症の収束時期の予測は困難ですが、感染症の影響については2021年9月末で収束するシナリオを前提にしております。
|
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売上への影響 |
影響解消想定時期 |
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医療機器事業 |
コンドーム事業 影響なし メディカル事業 △2%弱程度 |
- 2021年9月(第2四半期末) |
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精密機器事業 |
影響なし |
- |
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SP事業 |
△35%程度 |
2021年9月(第2四半期末) |
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食品容器事業 |
影響なし |
- |
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計 |
売上への影響額 △190百万円程度 |
- |
(注) 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
新型コロナウイルス感染症による影響の他に、事業セグメントにおける主要なリスクは以下のとおりと認識しております。
<医療機器事業>
ヘルスケア部門の新生産ライン(検査・包装工程)の稼働時期に著しい遅延が発生すること
<顕在化する可能性> 中 (ただし遅延する場合の期間については現時点で想定不能)
<時期> 2022年1月 (検査工程稼働開始予定時期)
2021年11月 (包装工程稼働開始予定時期)
<影響> コンドーム事業の製造原価削減効果が繰延べ
<対応策> 生産技術部門と製造メーカー等との連携強化
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、年度初めに全国を対象とした緊急事態宣言が発出されたことを受けて景気が急速に悪化し、第1四半期の実質GDP成長率は大幅に落ち込みましたが、その後宣言が解除されると景気は緩やかに持ち直しました。年末にかけて感染症が拡大し、年明けに一部地域を対象に2回目の緊急事態宣言が発出・延長されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期と経済活動への影響の見通しは不透明な状況が続きました。
世界経済についても、欧州や米国でロックダウン等の強力な行動制限措置が実施され景気は急速に悪化しましたが、大規模な経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の力強さは各国間でばらつきがでるものの、経済回復途上にあるとの見通しがIМFから発表されています。
このような状況の下、当社は年度初めに社内計画比12%程度減収との想定をしており、第2四半期終了時点では減収幅が更に拡大しておりましたが、2020年12月以降、第4四半期にかけて精密機器事業での受注急増を受けた業績の急回復により、ほぼ想定通りの売上となりました。
当社は「世界の人々の健康と豊かな暮らしに貢献する」との経営理念に基づく製品造りに注力し、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。また、生産能力の向上と生産体制の効率化を狙い、生産設備増設と増築をした新栃木工場に続き、医療用メディカル製品の生産を柱とする栃木千塚工場を竣工し、旧工場からの生産移管が2021年3月に完了いたしました。
生産設備の整備により生産体制の強化と生産性向上が実現いたしましたが、さらに、総人員の適正配置、間接費用の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し、企業体質の強化と強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。
医療機器事業が展開する主力のコンドーム事業については、国内市場向けは依然として少子高齢化に伴う市場縮小の傾向が続いておりますが、取扱いアイテムの構成見直しと製造コストの削減による採算強化、新ブランド構築による新たな市場拡大に取り組んでおります。
精密機器事業においては、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、ハイレベルな製品開発、「with コロナ」時代に即した新たな非対面営業による提案営業の試み、QCDの強化に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の売上高は、6,850百万円と前年同期と比べ362百万円(△5.0%)の減少となりました。
また、利益面につきましては、生産合理化と投資計画の見直しや諸経費の節減を実施したことにより、営業利益は269百万円と前年同期と比べ233百万円(652.9%)の増益、経常利益は226百万円と前年同期と比べ193百万円(569.1%)の増益となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は170百万円(前年同期は26百万円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては主要な販売チャネルとしての大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心に販路開拓に注力いたしました。また引き続きネット販売への取組みを強化すると同時に、ドラッグストア、量販店とのタイアップ企画や販促キャンペーンへの展開、SNSを媒体としたWeb広告に取り組みました。また、安定生産と増産に向けて継続的に設備の更新、改良および整備に取り組みました。
国内市場では消費の減少傾向、価格の二極化、新素材製品のシェア上昇傾向が続きました。天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされましたが、新素材コンドームSKYNが好調だったことや、ネット販売の伸長により増収となりました。輸出については、日本製高品質を訴求した営業活動を継続したものの、海外市場での景気足踏みに伴う在庫調整により受注が減少し、大幅な減収となりました。
利益面では不採算製品の見直し、生産歩留まりの向上、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、前期比で改善となりました。
メディカル製品については、上半期の緊急事態宣言下での一般診療の急減に伴う需要急減やロックダウンによる欧州への輸出停止の影響が大きく、下半期に売上が回復したものの通年では減収となりましたが、生産部門・販売部門一体による効率化、費用削減、生産歩留まり向上策により、前期比増益となりました。
この結果、売上高は2,145百万円と前年同期と比べ42百万円(△2.0%)の減少となりました。
セグメント損益は、コンドームの生産調整に伴う原価率上昇、在庫調整、不良在庫の処分、メディカル製品生産の新工場通年稼働による減価償却費負担増などの利益圧迫要因を主な要因として、73百万円の損失(前年同期は195百万円の損失)となりました。
精密機器事業
精密機器事業は国内・海外ともに新型コロナウイルス感染症の売上への影響が年間を通して続くことにより約2割の減収を想定していましたが、実質的に6ヶ月で影響が収束し、減収幅も縮小いたしました。特に、第3四半期の後半以降は取引先の需要が急回復し、生産設備用市場では半導体・通信機器装置に続いて他の業種向けの需要も拡大いたしました。また、海外向け取引では部材調達確保に向けた動きが国内よりも早く、年度後半の伸び率は国内向けよりも高くなりました。
製品別ではユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーは、より一層の製品バリエーション強化と性能面の進化により前年比若干の減収にとどまりました。生産設備向けショックアブソーバは横這い、住宅設備関連分野向けダンパーは年度前半の生産調整の影響を受けるも米国市場向けが好調で前年比若干の減収となりました。また、免制振機器は販路強化や地震発生による防災意識の高まりにより増収となりました。
利益面では受注増に伴う生産効率向上、人員の適正配置や工数削減による製造経費削減、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、原価率が改善しました。
この結果、売上高は4,200百万円と前年同期と比べ228百万円(△5.2%)の減少となりました。
セグメント利益は、731百万円と前年同期と比べ44百万円(6.5%)の増益となりました。
SP事業
年度初めの時点では新型コロナウイルス感染症による売上への影響が第2四半期で収束する想定でしたが、2度にわたる国内緊急事態宣言により、主力のゴム風船およびフィルムバルーンがプロモーションツールとして各種イベントで使用される機会や対面型販売の減少が通年で発生いたしました。また、新商材開発により下半期から売上回復傾向にありましたが、海外からの部材調達に一部遅れが生じたことによる売上減少も重なりました。
この結果、売上高は310百万円と前年同期と比べ112百万円(△26.6%)の減少となりました。
セグメント損益は、29百万円の損失(前年同期は8百万円の損失)となりました。
食品容器事業
海外向け案件や主力販売先との取引が伸びたことにより、売上高は194百万円と前年同期と比べ21百万円(12.5%)の増加となりました。
セグメント利益は、単価の改善効果もあり、76百万円と前年同期と比べ43百万円(131.2%)の増益となりました。
生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
医療機器事業 |
906,039 |
△7.5 |
|
精密機器事業 |
4,072,203 |
△5.2 |
|
食品容器事業 |
174,561 |
71.9 |
|
計 |
5,152,804 |
△4.1 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
5 当連結会計年度の食品容器事業におきまして、生産実績に著しい変動がありました。これは、食品容器の需要増加に伴う生産体制の見直しを行ったことにより、生産量が増加した事が要因であります。
② 仕入実績
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セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
医療機器事業 |
585,722 |
17.8 |
|
精密機器事業 |
79,958 |
3.2 |
|
SP事業 |
254,042 |
5.5 |
|
食品容器事業 |
8,892 |
△24.0 |
|
計 |
928,615 |
12.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
③ 受注実績
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
精密機器事業 |
3,788,045 |
1.4 |
788,767 |
61.2 |
|
計 |
3,788,045 |
1.4 |
788,767 |
61.2 |
(注)1 精密機器事業の一部についてのみ受注生産を行っており、他の精密機器事業及び他のセグメント事業については見込み生産を行っております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度の精密機器事業におきまして、受注残高に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により減少しておりました受注が当連結会計年度後半より急回復し、特に半導体、通信機器、住宅設備等の緩衝器の受注高が増加したことによるものであります。
④ 販売実績
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
医療機器事業 |
2,145,898 |
△2.0 |
|
精密機器事業 |
4,200,034 |
△5.2 |
|
SP事業 |
310,001 |
△26.6 |
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食品容器事業 |
194,828 |
12.5 |
|
計 |
6,850,762 |
△5.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
ピップ株式会社 |
763,481 |
10.6 |
826,269 |
12.1 |
|
ダイドー株式会社 |
767,754 |
10.6 |
790,037 |
11.5 |
|
株式会社テック |
768,677 |
10.7 |
- |
- |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
5 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
(2)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,131百万円で前年比211百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の145百万円、電子記録債権の108百万円の増加、および受取手形及び売掛金の57百万円の減少などであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、6,303百万円で前年比431百万円減少しました。主な要因は、機械装置及び運搬具の148百万円の増加、および建物及び構築物の158百万円、建設仮勘定の379百万円の減少などであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、5,802百万円で前年比377百万円増加しました。主な要因は、1年内償還予定の社債の200百万円、短期借入金の205百万円の増加、および未払消費税等の115百万円の減少などであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,329百万円で前年比786百万円減少しました。主な要因は、社債の200百万円、長期借入金の496百万円の減少などであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、3,304百万円で前年比187百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の132百万円の増加などであります。この結果、自己資本比率は26.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,320百万円と前年同期と比べ145百万円(12.4%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ266百万円(60.5%)増加し、705百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の225百万円、減価償却費の476百万円、仕入債務の増加額の83百万円などであり、主な減少要因は未払消費税等の減少額115百万円などであります。未払消費税等の減少額は、当期の中間納付額が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ403百万円(78.4%)減少し、111百万円となりました。
資金の主な減少要因は有形固定資産の取得104百万円であります。これは主にコンドーム生産設備の導入によるものであります。なお、主に前期に建設仮勘定で計上していた設備が当期に完成したこともあり、当期の支出は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は前年同期と比べ134百万円(42.6%)増加し、450百万円となりました。
資金の主な増加要因は短期借入れによる収入205百万円などであり、主な減少要因は長期借入金の返済541百万円、リース債務の返済156百万円などであります。営業活動によるキャッシュ・フローを設備投資、有利子負債の削減、内部留保、株主還元にバランス良く配分する方針に基づき活動し、財務体質の強化に努めております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入を資金の源泉としております。運転資金等の短期の資金需要につきましては自己資金に加えて35億円のコミットメントライン契約により機動的な調達を確保しております。設備投資等の長期資金需要につきましては、資金需要の期間および目的を勘案し、金融機関からの長期借入やリース等の選択肢から最適な調達方法を検討して対応しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いております。これらの見積りおよび仮定については過去の実績等に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については不確実性を含んでおりますが、2021年9月末で収束するシナリオを前提とし、期末時点で入手可能な情報を元に見積りを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、「健康と豊かさに貢献する」ために時代をリードする製品造りを基本理念とし、当連結会計年度の研究開発活動は、栃木・新栃木・真岡・栃木千塚工場の研究部署においてそれぞれの製品群につき新製品の試験的製作、あるいは新技術の研究等に取り組みつつ次期展開にも備えております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(医療機器事業)
当社が中心となってコンドームの改良から製品の開発および新しい医療機器の開発研究、さらに生産技術の開発に至るまで行っております。当事業に係る研究開発費は、
(精密機器事業)
当社が中心となってショックアブソーバ(緩衝器)のソフト&サイレンスを実現する製品の開発、さらに生産技術の開発に至るまで行っております。当事業に係る研究開発費は、
(全社共通)
当社が中心となって新製品の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、16百万円であります。