第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

売上高

848,663

837,647

1.3

 

タイヤ事業

732,168

731,245

0.1

 

スポーツ事業

77,631

70,462

10.2

 

産業品他事業

38,864

35,940

8.1

営業利益

77,067

86,251

△10.6

 

タイヤ事業

73,114

78,416

△6.8

 

スポーツ事業

2,011

3,170

△36.6

 

産業品他事業

1,930

4,648

△58.5

 

調整額

12

17

経常利益

78,894

87,968

△10.3

当期純利益

55,834

53,206

4.9

 

為替レートの前提

 

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増減

1米ドル当たり

121円

106円

15円

1ユーロ当たり

134円

140円

△6円

 

 当期の世界経済は、米国では緩やかな景気拡大が継続しましたが、利上げの実施以降ドル高が進行し、原油相場が下落するなど、景気の先行きに不透明感が出てきました。欧州景気については低調に推移し、アジアを中心とする新興諸国においては中国の経済成長が一段と鈍化したことに加えて、その影響が多くの国・地域に波及して新興国通貨安が進むなど、全体としては不安定な環境のもと、総じて低調に推移しました。

 わが国経済につきましても、円安の定着による企業収益の改善は継続しているものの、中国、アジア地域での需要の減退により輸出が停滞したことに加えて、暖冬により個人消費が低迷するなど、総じて低調に推移しました。

 当社グループを取り巻く情勢につきましては、為替の円安により輸出環境が改善したほか、天然ゴム相場が引き続き低位で安定的に推移したことに加えて、原油相場も大幅に下落しましたが、世界的な需要の停滞によりタイヤ販売における競合他社との競争が激化するなど、厳しい状況で推移しました。

 このような情勢のもと、当社グループは、2020年を目標年度とする長期ビジョン「VISION 2020」の実現に向けて、低燃費タイヤなどの高付加価値商品の更なる拡販を推進するほか、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みましたが、主力のタイヤ事業において、新興諸国での販売が低迷したことに加えて、国内の冬タイヤ販売も暖冬により想定を下回りました。

 この結果、当社グループの連結売上高は848,663百万円(前期比1.3%増)、連結営業利益は77,067百万円(前期比10.6%減)、連結経常利益は78,894百万円(前期比10.3%減)、連結当期純利益は55,834百万円(前期比4.9%増)と、円安の効果などにより増収となりましたが、営業利益と経常利益は減益となりました。

 当期純利益は、スポーツ事業の海外子会社に関する特別損失の計上があったものの、米国グッドイヤー社との提携解消に伴い過年度に計上した欧州合弁会社の評価損に係る税負担の解消も実現したことなどにより増益となり、過去最高を更新しました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① タイヤ事業

 タイヤ事業の売上高は、732,168百万円(前期比0.1%増)、営業利益は73,114百万円(前期比6.8%減)となりました。

 国内市販用タイヤは、夏タイヤではダンロップブランドの長持ちする低燃費タイヤ「エナセーブ」シリーズ、及び「LE MANS 4(ル・マン・フォー)」「VEURO VE303(ビューロ・ブイイーサンマルサン)」といった特殊吸音スポンジ「サイレントコア」搭載タイヤの販売拡大により、低燃費タイヤの販売数量は前期を上回りましたが、冬タイヤでは「WINTER MAXX(ウインター・マックス)」の販売は前期を上回ったものの、最大需要期の降雪が無く、全国的に気温が高かったことが影響し、冬タイヤ全体では前期を下回ったため、売上高は前期を下回りました。

 国内新車用タイヤは、引き続き低燃費タイヤを中心とする高付加価値タイヤの納入拡大に努めましたが、自動車生産台数が前期を下回ったため、販売数量、売上高は前期を下回りました。

 海外市販用タイヤは、政情不安が続く中近東諸国のほか、ロシアやインドネシアなどの新興諸国で市況が低迷し、競争が激化しましたが、市況が好調な米国を中心にグローバルに拡販し、販売数量が増加したことに加えて、為替の円安効果などにより、売上高は前期を上回りました。

 海外新車用タイヤは、インドネシアや中国では景気の低迷などにより販売数量が減少しましたが、タイでは高シェア納入車種の販売が好調に推移し、米国では非日系メーカーへの納入拡大により増販となったことに加えて、為替の円安効果もあり、売上高は前期を上回りました。

 以上の結果、タイヤ事業の売上高は前期を上回りました。

 

 スポーツ事業

 スポーツ事業の売上高は、77,631百万円(前期比10.2%増)、営業利益は2,011百万円(前期比36.6%減)となりました。

 ゴルフ用品市場は、国内、米国において比較的好天に恵まれたことなどによりゴルフ場入場者数が前期を上回り、ゴルフ用品市場が好調に推移するなか、国内では主力のゴルフクラブ「ゼクシオ エイト」が好調な販売を持続したことに加えて、平成27年12月に発売の「ゼクシオ ナイン」の初期展開が順調に推移しました。ゴルフボールにおいても「スリクソン」ブランド製品の販売が好調を持続したことなどにより、当期においてもゴルフクラブ、ゴルフボールはシェアNo.1(※)を確保しました。

 また海外市場においては、「ゼクシオ」「スリクソン」「クリーブランドゴルフ」の3ブランドを戦略的に展開し、各地でシェアアップを図りました。

 国内のテニス用品市場では、錦織圭選手の活躍効果などにより市況が好調のなか、「スリクソン」「バボラ」ブランド製品販売が拡大し、テニスラケットにおいてシェアNo.1(※)を確保しました。

 このほか、ゴルフ、テニス用品事業に次ぐ第3の柱とするべく事業化したウェルネス事業においては、24時間営業のコンパクトジム「ジムスタイル24」の展開を開始し、売上高の増加に寄与しました。

 以上の結果、スポーツ事業の売上高は前期を上回りましたが、円安による仕入コストの増加などにより、営業利益は前期を下回りました。

 ※.株式会社矢野経済研究所調べによる店頭販売金額シェア

 

③ 産業品他事業

 産業品他事業の売上高は、38,864百万円(前期比8.1%増)、営業利益は1,930百万円(前期比58.5%減)となりました。

 建物の揺れを低減する戸建て住宅用制震ダンパー「ミライエ」では、平成24年の発売以来、平成27年9月には累計販売棟数が1万棟を超え、順調に販売を拡大しました。医療用ゴム部品については、平成27年1月に買収しましたスイス子会社の生産拠点と欧州における新たな販路を活用し、グローバルに販売を拡大しました。スポーツ施設用人工芝では、耐久性を徹底的に追求したロングパイル人工芝「ハイブリッドターフ EX(イーエックス)」が引き続き市場で好評を博しました。

 プリンター・コピー機用精密ゴム部品も海外市場を中心に順調に販売を伸ばしたことに加えて、為替の円安も増収に寄与しました。

 以上の結果、産業品他事業の売上高は前期を上回りましたが、新規事業の一部をタイヤ事業へ組み替えた影響などにより、営業利益は前期を下回りました。

 

なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益に対応しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ63百万円(同0.1%減)減少し、当連結会計年度末には53,521百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、86,995百万円(前連結会計年度比21,946百万円の収入減少)となりました。

 これは主として、税金等調整前当期純利益73,929百万円の計上、減価償却費55,145百万円の計上、売上債権の減少17,009百万円、たな卸資産の増加9,399百万円及び仕入債務の減少11,018百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、32,991百万円(前連結会計年度比38,593百万円の支出減少)となりました。

 これは主として、生産能力拡大に伴う有形固定資産の取得による支出57,474百万円があった一方、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消に伴う対価を受領したためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、50,554百万円(前連結会計年度比18,047百万円の支出増加)となりました。

 これは主として、短期借入金、社債及び長期借入金の純額で34,513百万円の返済を行ったほか、配当金の支払14,428百万円及び少数株主への配当金の支払3,385百万円を行ったためであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

677,523

+0.5%

スポーツ事業

38,348

+0.3%

産業品他事業

30,296

+29.6%

合計

746,167

+1.4%

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

産業品他事業の増加は、主としてLonstroff Holding AG買収によるものであります。

 

(2)受注状況

 当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

732,168

+0.1%

スポーツ事業

77,631

+10.2%

産業品他事業

38,864

+8.1%

合計

848,663

+1.3%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

 今後の世界経済の見通しにつきましては、米国では引き続き緩やかな経済成長が見込まれ、欧州においても財政への懸念はありますが景気の回復が予想されています。新興諸国においても底堅い経済成長が見込まれますが、米国の金融政策正常化に伴う新興国通貨安の進行と景気の低迷懸念や、原油などの資源価格の下落、地政学的リスクの顕在化など、景気の不確実性が一層増してくるものと予想しています。

 わが国においても、景気の回復は持続するものと予想されますが、財政問題への先行き不安による消費マインドの冷え込みなどが懸念されます。

 このような経営環境に対応するため、当社グループは、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載したリスク要因を踏まえながら、次のような課題に取り組んでまいります。

 

〔タイヤ事業〕

 国内市場におきましては、低燃費タイヤにおけるプレゼンスの維持向上を目指して今後も新商品を順次投入してまいります。ダンロップブランドでは、低燃費性能を進化させた「サイレントコア」搭載の「LE MANS 4(ル・マン・フォー)」40サイズを平成28年2月よりリニューアル発売いたしました。

 ファルケンブランドでは、ウエットグリップ性能を向上させた「ZIEX ZE914F(ジークス・ゼットイーキューイチヨンエフ)」を平成28年2月より発売いたしました。

 海外市場におきましては、新興諸国での拡販を継続することに加えて、グッドイヤー社との提携解消により経営の自由度が増した欧米における拡販を積極的に展開するほか、豪州においては平成27年3月より営業を開始しました販売会社において、「ファルケン」「スミトモ」両ブランドタイヤの拡販を進めてまいります。また、拡大する環境規制に適合した商品の投入など、地域特性に応じた商品の投入もグローバルに進めてまいります。

 開発面では、平成26年度省エネ大賞「資源エネルギー庁長官賞」や、第24回地球環境大賞「日本経済団体連合会会長賞」を受賞しました、石油由来の素材を全く使わない究極のエコタイヤである、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 100」に加えて、平成27年10月に完成し、第44回東京モーターショー2015で発表しました、タイヤの相反性能である低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能の大幅な向上が可能となる新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を採用したコンセプトタイヤ「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」や、パンクが発生しないエアレスタイヤテクノロジー「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」、空気漏れを防ぐシーラントタイヤテクノロジー「CORESEAL(コアシール)」の実用化を進めていくなど、今後も当社独自の先進技術を活用した魅力ある商品を具体化し、順次展開してまいります。

 生産面では、世界各地での増販にあわせて供給能力を拡大してまいります。平成27年6月に稼働を開始した、欧
州、ロシア、中近東、アフリカ地域への供給に適したトルコ工場のほか、平成27年10月より当社の拠点となりまし
た、米国のバッファロー工場や南アフリカ工場の能力増強投資を行っていくなど、今後も持続的な成長を支える供給体制の構築に努めてまいります。

 

〔スポーツ事業〕

 ゴルフ用品では、国内でのトップシェアを維持すべく、主力のゴルフクラブ、「ゼクシオ ナイン」を軸にスリクソン、クリーブランドゴルフの拡販に努めてまいります。ゴルフボールでは、高価格帯の「ゼクシオ UX-AERO (ユーエックス-エアロ)」などの新商品を順次投入いたします。海外市場においても国内同様、「ゼクシオ」、「スリクソン」ゴルフクラブの販売拡大や、スリクソンゴルフボールのシェアアップなどに継続して取り組んでまいります。

 テニス用品では、国内でスリクソンのテニスラケット「REVO CV(レヴォ・シーブイ)」シリーズの新商品を積極的に投入するとともに、テニスボールでも拡販に注力してまいります。ウェルネス事業では、コンパクトジムの新規出店を拡大してまいります。

 

〔産業品他事業〕

 プリンター・コピー機用精密ゴム部品や制振事業では、グローバルに新市場を開拓し、世界で認められる安全で高品質な商品の供給と拡販に努めてまいります。医療用ゴム部品では、欧州市場を中心にグローバル展開を進めてまいります。スポーツ施設用人工芝では、平成27年12月に発売しました新製品「ハイブリッドターフ EVO.(エヴォ)」の拡販を図ってまいります。全ての商材において、品質や機能面で付加価値の高い商品を開発、提供することにより、さらなる成長を目指してまいります。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関し、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項のうち主なものは以下のとおりであります。

記載内容のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

(1)為替変動の影響

為替の変動は、当社グループが輸出販売する製品の価格、購入する原材料の価格及び外貨建資産・負債の価値、外貨建財務諸表の邦貨換算等に影響を与えますが、円が米ドルを始めとする他の通貨に対して円高になると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、連結売上高に占める海外売上高の割合を平成13年12月期の25.2%から平成27年12月期の56.3%へ高めてきており、今後も当社グループの
業績等が為替変動により受ける影響は拡大する可能性があります。
 このため、当社グループでは、為替予約や通貨毎の輸出入のバランス化等により、為替変動によるリスクの軽減
を図っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではありません。

 

(2)原材料価格の変動

当社グループの製品の主要原材料は、天然ゴム、石油化学製品及び金属材料です。従って、天然ゴム価格、原油
価格、鋼材価格等の商品市況価格が上昇すると、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金利の変動

当社グループは、有利子負債の削減を推進し財務体質の改善を図るとともに、資金調達手段の多様化や金利スワ
ップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じておりますが、金利が中長期的に上昇した場合、
資金調達コストが上昇し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の品質による影響

当社グループでは、所定の品質基準に基づき、製品の品質確保に万全の対策を講じておりますが、製品の欠陥やクレームの発生を皆無にすることは困難です。

当社グループは、欠陥が発生した場合又は裁判等により欠陥が認定された場合に備え、欠陥に起因する損害賠償等の諸費用に対する損害保険を付保しておりますが、保険で補償されない費用が発生する可能性があります。また、クレームに対する処理費並びに製品の回収・交換による費用が発生する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績や財政状態並びに社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)グッドイヤー社との提携について

当社は、平成27年10月1日付で、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消について、全ての手
続きを完了いたしました。このことにより、同社との提携関係の変化あるいは同社との合弁会社の業績等が当社グ
ループの業績に影響を及ぼす可能性は消滅しております。

 

(6)災害時の影響

当社グループは日本・アジア地域を中心に世界の広範な地域で事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疾病、戦争、テロ等に直接又は間接の影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消

当社は、平成27年5月28日開催の取締役会において、グッドイヤー社とアライアンス契約及び合弁事業並びにクロスライセンス契約の解消の契約を締結することを決議し、平成27年6月4日付で同契約を締結、平成27年10月1日付ですべての手続きを完了しました。

 

(2) 吸収合併契約

当社は、平成27年11月5日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるダンロップグッドイヤータイヤ株式会社を当社に吸収合併することを決議し、同日付で合併契約書を締結しております(平成28年1月1日発効)。

詳細は、第5「経理の状況」2「財務諸表等」の重要な後発事象に記載しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、23,372百万円であります。

 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1)タイヤ事業

 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。

 材料開発では、平成27年8月に、より環境に配慮した高性能な商品提供を目指すため、従来のパラゴムノキ由来の天然ゴムに代わる、新たな天然ゴム資源として「ロシアタンポポ」に着目し、米国ベンチャー企業であるKultevat(カルテヴァット)社とその実用化検討のための共同研究を開始しました。

 開発技術につきましては、当社独自の新材料開発技術「4D NANO DESIGN(フォーディー・ナノ・デザイン)」をさらに進化させた「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を平成27年度に完成させ、この新技術を採用したコンセプトタイヤを「東京モーターショー2015」に参考出品しました。今後も、平成28年度以降に発売する商品への採用を目指して、大型の実験施設や計算施設を融合的に活用しながら開発活動を推進していきます。更に平成32年を目標年度として、素材開発からタイヤ性能までの一気通貫の大規模なシミュレーションである「NEXT 4D NANO DESIGN(ネクスト・フォーディー・ナノ・デザイン)」の基礎構想にも着手しています。

 また、平成27年10月には空気充填が不要のためパンクが発生しないエアレスタイヤテクノロジー「GYROBLADE (ジャイロブレイド)」と、トレッド部(※)の損傷による空気漏れを防ぐシーラントタイヤテクノロジー「CORE SEAL(コアシール)」の2つの技術を新たに開発し、スペアタイヤレスによる環境負荷低減に取り組んでいます。

 商品につきましては、高純度天然ゴム「UPNR(ユーピーエヌアール)」をトラック・バス用タイヤで初めて採用し、高い耐摩耗性能を維持しつつ低燃費性能を高めた低燃費オールシーズンタイヤDUNLOP「エナセーブ SP688 Ace(エスピーロクハチハチエース)」を平成28年3月から発売しました。

 当事業に係る研究開発費は19,865百万円であります。

 (※)タイヤが路面と接触する部分

 

(2)スポーツ事業

 ダンロップスポーツ㈱並びにクリーブランド社に研究開発部門を設置しており、最新のコンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。

 独自のデジタルシミュレーション技術である「デジタルインパクトテクノロジー」は、ゴルフスイングにおけるインパクトの瞬間を1億分の1秒ごとに細分して分析することを可能にした高精度のシミュレーション技術である「デジタルインパクト」から、さらに対象をインパクトの前後にまで拡大し、人間の感性・フィーリングといった領域まで踏み込んだ「デジタルインパクトⅡ」へと発展させており、ゴルフボールやゴルフクラブ等の商品開発に大きな成果をあげております。

 ゴルフクラブにおいては、「ゼクシオ」ブランドにおいて、「ゼクシオ ナイン」を平成27年12月に発売しました。シャフトでは、航空宇宙用途向け先端素材を採用した「MP900シャフト」を新開発し、シャフトの各部で性能を引き出す「部分最適構造」にすることで、ヘッドの加速感と爽快な振り抜き感を実現しております。

 ゴルフボールにおいては、「ゼクシオ」ブランドにおいて、「ゼクシオ UX-AERO(ユーエックスエアロ)」シリーズを平成28年3月に発売しました。新開発の「高反発大径スーパーソフトE.G.G.コア」が、高打ち出し・低スピンとボールスピードアップを可能にし、飛距離アップを実現しています。また、「シームレス高弾道324スピードエアロディンプル」を採用することで、空気抵抗を軽減し、より遠くまで伸びる弾道を実現しております。

 当事業に係る研究開発費は1,602百万円であります。

 

(3)産業品他事業

 高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム部品、プリンター・コピー機用精密ゴム部品等の商品において、
消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。

 制振事業においては、戸建て住宅用制震ダンパー「ミライエ」では、「ミライエ・2×4(ツーバイフォー)」や「ミライエ・リフォーム」等、商品ラインナップを拡充し、お客様の要求に幅広く対応できる体制を整えました。

 また、医療用ゴム部品分野におきましては、平成27年1月にスイスのLonstroff Holding AG社を買収し、欧州における製造・販売拠点を確保しました。今後も市場からの要求が強まることが予想されているこの分野におきましても、高い機能性を持つ新商品の開発を推進してまいります。

 当事業に係る研究開発費は1,905百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。

 連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

 当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び2.財務諸表等 (1)財務諸表 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因と当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは原材料価格、販売価格及び数量構成他の変化によるものであります。

 主力のタイヤ事業については、当連結会計年度においても原材料価格が下落した一方で、海外市販市場を中心に競争が激化したことにより販売価格も下落しました。また、冬タイヤの最大需要期に降雪が無く、全国的に気温が高かったことが影響し、数量構成他要因も悪化しました。この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体で約377億円の増益要因、販売価格で約267億円の減益要因、数量構成他で約73億円の減益要因となりました。低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販、海外工場における生産能力の増強や生産性の改善など、収益力の向上を目指してさまざまな対策に取り組みましたが、タイヤ事業全体では減益となりました。

 スポーツ事業については、国内市場でゴルフクラブ、ゴルフボールにおいて当期もシェアNo.1を確保し、ゴルフ、テニス用品事業に次ぐ第3の柱として事業化したウェルネス事業も売上高の増加に寄与しましたが、為替の円安による仕入コストの増加などにより、減益となりました。

 産業品他事業については、戸建て住宅用制震ダンパー「ミライエ」の販売を拡大し、医療用ゴム部品やプリンター・コピー機用精密ゴム部品及びスポーツ施設用人工芝なども順調に推移しましたが、新規事業の一部をタイヤ事業へ組み替えた影響などにより、減益となりました。

 以上の結果、連結売上高は848,663百万円と前連結会計年度に比べ11,016百万円(+1.3%)の増収、連結営業利益は77,067百万円と前連結会計年度に比べ9,184百万円(△10.6%)の減益となり、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下し、9.1%となりました。

 営業外損益では、デリバティブ評価益の減少の一方で為替差損も減少したことに加え、金融収支の改善及び持分法による投資利益の増加などにより、当連結会計年度では収益と費用の純額で110百万円の増益となりました。

 この結果、連結経常利益は78,894百万円と前連結会計年度に比べ9,074百万円(△10.3%)の減益となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下し、9.3%となりました。

 特別損益では、前連結会計年度においては特別利益として固定資産売却益232百万円、特別損失として固定資産除売却損686百万円、減損損失103百万円が発生した結果、純額では557百万円の損失でありました。当連結会計年度においては特別利益として合弁事業解消に伴う譲渡益等158百万円、投資有価証券売却益74百万円、特別損失としてのれん償却額3,948百万円、固定資産除売却損875百万円、減損損失374百万円が発生した結果、純額では4,965百万円の損失となり、前連結会計年度に比べ4,408百万円の損失の増加となりました。

 一方で、米国グッドイヤー社との提携解消に伴い過年度に計上した欧州合弁会社の評価損に係る税負担の解消も実現しました。

 以上の結果、法人税等及び少数株主利益を控除後の当期純利益は55,834百万円と前連結会計年度に比べ2,628百万円(+4.9%)の増益となりました。

 セグメント業績の分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」の項に記載のとおりであります。

(3)経営戦略の現状と見通し

当社は、株主をはじめ全てのステークホルダーに期待され信頼されるグローバルな企業として企業価値を高めていくとともに、広く地域・社会に貢献し、快適で魅力ある新しい生活価値を創出し続けることを、会社の基本方針としております。

また、会社経営の基本精神である企業理念は次のとおりであります。

・現地現物主義に立ってお客様の期待に応え、より良い製品を責任を持って提供します。

・堅実な経営基盤をもとに時代の変化に柔軟に適応し、新しい時代を切り開きます。

・独自技術及び研究開発を充実させ、新たなニーズを積極的に開拓します。

・地球環境に責任を持った企業活動と環境に優しい技術開発を進めます。

この基本方針に則り、当社グループは、2020年を目標年度とした長期ビジョン「VISION 2020」を策定し公表しております。このビジョンの目標達成イメージは、従来から取り組んできた「世界一の現場力・開発力・技術力」と「業界No.1の収益力」の実現に加えて、「新市場への挑戦」「飽くなき技術革新」「新分野の創出」といった「新たな挑戦」を原動力として、世界一の価値をさまざまな事業領域で提供し続ける企業集団となることであります。

具体的な数値目標として、2020年に連結売上高1兆2,000億円、連結営業利益率12%以上などを掲げ、ビジョンの行動イメージである「Go for NEXT」を念頭に、目標達成に向けて邁進してまいります。

具体的な経営戦略としましては、新興諸国を中心とした成長市場に加え、経営の自由度が増した欧米における拡販、シミュレーション技術の更なる進化と活用、次世代新工法の適用拡大、環境対応商品の拡充、新規顧客の開拓、制振技術の普及、ヘルスケアビジネスの展開などに経営資源を投入することにより、持続的成長の実現を通じて企業価値の最大化を目指します。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

・財政状態

当連結会計年度末の総資産は936,154百万円と前連結会計年度末に比べ37,433百万円減少しました。売上債権等の流動資産は6,888百万円減少し、固定資産は30,545百万円減少しております。流動資産の減少は主として売上債権の減少によるものです。また、固定資産の減少は、設備投資の増加による有形固定資産の増加の一方、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消に伴う投資有価証券の売却などが主な要因です。

当連結会計年度末の負債合計は482,386百万円と前連結会計年度末に比べ44,241百万円減少し、有利子負債残高は260,631百万円と前連結会計年度末に比べ35,116百万円減少しました。

また、純資産は453,768百万円、1株当たり純資産額は1,615円81銭となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は45.3%と、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント向上しております。

 

・キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローでは54,004百万円のプラスとなりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少などに加え、グッドイヤー社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消に伴う対価の受領などが主な要因であります。

今後、主に海外での増販に対応するため、生産能力増強のための設備投資を継続する方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現し、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図る所存であります。