第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

売上収益

756,696

877,866

16.0

 

タイヤ事業

648,445

756,576

16.7

 

スポーツ事業

72,772

81,734

12.3

 

産業品他事業

35,479

39,556

11.5

事業利益

74,916

66,975

△10.6

 

タイヤ事業

67,924

58,341

△14.1

 

スポーツ事業

4,303

4,372

1.6

 

産業品他事業

2,673

4,229

58.2

 

調整額

16

33

営業利益

73,284

67,449

△8.0

親会社の所有者に

帰属する当期利益

41,364

46,979

13.6

(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

為替レートの前提

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

1米ドル当たり

109

112

3

1ユーロ当たり

120

127

7

 

当期の世界経済は、米国では景気の拡大が継続し、欧州においても緩やかな景気回復が持続しました。また中国経済につきましても、比較的高い経済成長率を維持しており、地政学的リスクが顕在化している中東地域などの一部の国や地域を除く、多くの新興諸国においては景気の拡大が見られ、世界経済全体としては、総じて堅調に推移しました。

わが国経済につきましても、雇用環境の改善や企業収益の向上、設備投資の増加が見られるなど、比較的堅調に推移しました。

当社グループを取り巻く情勢につきましては、期初から急騰していた天然ゴム価格と石油系原材料であるブタジエン価格相場が、年央には急騰前の水準まで戻しましたが、年間平均ではコストアップとなった一方で、為替につきましては総じて安定的に推移しました。

このような情勢のもと、当社グループは、2020年を目標年度とする長期ビジョン「VISION 2020」の実現に向けて、低燃費タイヤなどの高付加価値商品の更なる拡販を推進するほか、欧米での販売力強化に加えて、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みました。

この結果、当社グループの連結業績は、売上収益は877,866百万円(前期比16.0%増)、事業利益は66,975百万円(前期比10.6%減)、営業利益は67,449百万円(前期比8.0%減)となり、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は46,979百万円(前期比13.6%増)となりました。売上収益は前期から大幅に増加しましたが、原材料価格高騰の影響により、事業利益と営業利益は対前期、減益となりました。当期利益につきましては、税負担の減少などにより増益となりました。

 

セグメントごとの業績は、以下のとおりであります。

 

(タイヤ事業)

タイヤ事業の売上収益は、756,576百万円(前期比16.7%増)、事業利益は58,341百万円(前期比14.1%減)となりました。

国内新車用タイヤは、自動車生産台数が前期を上回る状況のなか、引き続き低燃費タイヤを中心とする高付加価値商品の納入拡大に努めた結果、売上収益は前期を上回りました。

国内市販用タイヤは、夏タイヤでは「ダンロップ」ブランドの長持ちする低燃費タイヤ「エナセーブ」シリーズ、特殊吸音スポンジ「サイレントコア」を搭載し、実感できる「快適性能」を実現した低燃費タイヤ「LE MANS Ⅴ(ル・マン ファイブ)」などの拡販を推進しました。また、「ファルケン」ブランドでは「Red Bull Air Race Chiba(レッドブル・エアレース・千葉) 2017」に協賛するなど、ブランドの認知拡大に努めるとともに、プレミアム商品「AZENIS FK453(アゼニス・エフケー ヨンゴーサン)」などの高性能タイヤの拡販を推進しました。冬タイヤではダンロップ史上No.1の氷上性能を実現し、「効き長持ち性能」と「ライフ長持ち性能」を高次元でバランスさせたスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02(ウインターマックス ゼロツー)」の拡販に注力したことに加えて、降雪の影響で出荷が好調に推移したため、売上収益は前期を上回りました。

海外新車用タイヤは、日系自動車メーカーが生産を伸ばした中国のほか、タイやインドネシアも増販となったことに加えて、2016年より納入を開始したブラジルや欧州においては海外自動車メーカー向けを中心に納入を拡大したことにより、売上収益は前期を上回りました。

海外市販用タイヤは、2017年2月に販売会社を買収した英国を含む欧州、SUV用タイヤを中心に拡販した米州のほか、中国を含めたアジア地域でも販売を伸ばしたことにより、売上収益は前期を上回りました。

以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前期を大幅に上回りましたが、原材料価格高騰の影響により、減益となりました。

 

スポーツ事業)

スポーツ事業の売上収益は、81,734百万円(前期比12.3%増)、事業利益は4,372百万円(前期比1.6%増)となりました。

国内ゴルフ用品市場では、主力のゴルフクラブ「ゼクシオ ナイン」が好調な販売を持続したことに加えて、2017年12月に発売した「ゼクシオ テン」の初期展開が想定を上回る状況となりました。ゴルフボールについても「スリクソン」、「ゼクシオ」ブランドで新商品を投入し、好評を博した結果、当期もゴルフクラブ、ゴルフボールにおいてシェアNo.1(※)を確保しましたが、市場の縮小と競争激化により、国内ゴルフ用品全体としては、売上収益は前期を下回りました。

国内のテニス用品市場では、「スリクソン」、「バボラ」ブランドで新商品を投入するなど拡販に努めた結果、当期においてもテニスラケットでシェアNo.1(※)を確保し、売上収益は前期を上回りました。

海外のゴルフ用品市場においては、グローバルに「スリクソン」、「ゼクシオ」、「クリーブランドゴルフ」のブランドで積極的に拡販に努めた結果、欧米や韓国を中心に増販となり、売上収益は前期を上回りました。

また、ウェルネス事業でも積極的な店舗展開により、売上収益は前期を上回ったほか、2017年4月に買収が完了した、「ダンロップ」ブランドのスポーツ用品事業、ライセンスビジネスが増収に寄与しました。

以上の結果、スポーツ事業の売上収益は前期を上回り、事業利益も増益となりました。

※株式会社矢野経済研究所調べによる店頭販売金額シェア

 

(産業品他事業)

産業品他事業の売上収益は、39,556百万円(前期比11.5%増)、事業利益は4,229百万円(前期比58.2%増)となりました。

制振事業では、住宅用制震ユニット「ミライエ」の販売が好調に推移し、年間目標である7千5百棟の販売を超過達成しました。医療用精密ゴム部品については、スイスのロンストロフ社を核として欧州中心にグローバル展開を進めており、順調に販売を伸ばしました。

また、OA機器用精密ゴム部品では、プリンター・コピー機の生産回復と新規獲商により、増収となりました。

体育施設や土木海洋といったインフラ系商材においても、2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要の取り込みが始まるなど、比較的好調に推移しました。

以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を上回り、大幅な増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,964百万円減少し、当連結会計年度末には64,528百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、76,109百万円(前連結会計年度比52,081百万円の収入の減少)となりました。

 これは主として、棚卸資産の増加9,534百万円、営業債権及びその他の債権の増加15,581百万円、法人所得税の支払額25,207百万円などの減少要因があったものの、税引前利益65,733百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上56,010百万円、営業債務及びその他の債務の増加3,095百万円などの増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、100,724百万円(前連結会計年度比58,580百万円の支出の増加)となりました。

 これは主として、有形固定資産の取得による支出64,484百万円、英国タイヤ販売会社「Micheldever Group Ltd.」及びその子会社株式の取得、海外のDUNLOP商標権並びにDUNLOPブランドのスポーツ用品事業及びライセンス事業の譲受に伴う子会社株式の取得による支出32,665百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、21,706百万円(前連結会計年度は71,055百万円の支出)となりました。

 これは主として、前述の英国タイヤ販売会社の取得、DUNLOPブランド商標権並びに事業の譲受に加えて、ダンロップスポーツ㈱の吸収合併に際して、同社の非支配株主への割当てを目的とした自己株式の取得17,061百万円に伴い、短期借入金、長期借入金及び社債が純額で55,757百万円増加したほか、配当金の支払13,116百万円を行ったことなどによるものであります。

 

(3)並行開示情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

(のれんの償却停止)

 日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が1,445百万円減少しております。当連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が5,039百万円減少しております。

 

(退職後給付に係る費用処理)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりましたが、IFRSでは、数理計算上の差異は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、純損益として認識しております。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で1,611百万円増加、「その他の包括利益」が1,070百万円増加しております。当連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で1,621百万円増加、「その他の包括利益」が1,160百万円増加しております。

 

(表示組替)

 日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」及び「持分法による投資利益」として表示しております。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

642,263

8.2%

スポーツ事業

39,446

6.0%

産業品他事業

25,719

2.3%

合計

707,428

7.9%

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

756,576

16.7%

スポーツ事業

81,734

12.3%

産業品他事業

39,556

11.5%

合計

877,866

16.0%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針及び経営戦略等

当社は、株主をはじめ全てのステークホルダーに期待され信頼されるグローバルな企業として企業価値を高めていくとともに、広く地域・社会に貢献し、快適で魅力ある新しい生活価値を創出し続けることを、会社の基本方針としております。

また、会社経営の基本精神である企業理念は次のとおりであります。

・現地現物主義に立ってお客様の期待に応え、より良い製品を責任を持って提供します。

・堅実な経営基盤をもとに時代の変化に柔軟に適応し、新しい時代を切り開きます。

・独自技術及び研究開発を充実させ、新たなニーズを積極的に開拓します。

・地球環境に責任を持った企業活動と環境に優しい技術開発を進めます。

この基本方針に則り、当社グループは、2020年を目標年度とした長期ビジョン「VISION 2020」を策定し公表しております。このビジョンの目標達成イメージは、従来から取り組んできた「世界一の現場力・開発力・技術力」と「業界No.1の収益力」の実現に加えて、「新市場への挑戦」「飽くなき技術革新」「新分野の創出」といった「新たな挑戦」を原動力として、世界一の価値をさまざまな事業領域で提供し続ける企業集団となることであります。

具体的な数値目標として、2020年に連結売上高1兆2,000億円、連結営業利益率12%以上(日本基準)などを掲げ、ビジョンの行動イメージである「Go for NEXT」を念頭に、目標達成に向けて邁進しておりましたが、「VISION 2020」を策定した2012年と現在では、当社を取り巻く環境は国際情勢の変化や技術革新など、当時の想定を超える変化を遂げております。

内外の環境変化や前中期計画の進捗状況を踏まえ、「VISION 2020」の達成に向けた最終ステージとして、また、2020年以降を見据えた施策として、2018年度を初年度とする新たな5ヵ年の中期計画を策定しております。この新中期計画では「VISION 2020」における2020年の数値目標は売上収益1兆円、事業利益1,000億円(IFRS)としており、新たな中期計画の最終年度となる2022年には売上収益1兆1,000億円、事業利益1,300億円を目指します。

具体的な経営戦略としましては、新興諸国を中心とした成長市場での拡販、欧米事業の拡大、新たな技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」の推進、次世代新工法の導入拡大、環境対応商品の拡充、新規顧客の開拓、制振技術の普及、ヘルスケアビジネスの展開などに経営資源を投入することに加えて、2018年1月1日のスポーツ事業統合によるDUNLOPブランドの活用に注力し、持続的成長の実現を通じて企業価値の最大化を目指します。

 

(2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

今後の世界経済の見通しにつきましては、概ね堅調に推移すると予想されますが、米国における保護主義政策の進行や、英国のEU離脱によるグローバルな影響、北朝鮮や中東地域での地政学的リスクの顕在化など、景気の不確実性も一層高まっていくものと予想しています。

わが国経済においても、景気は回復傾向にあるものの、消費マインドの改善に繋がる財政不安の解消や賃上げ動向には不透明感があり、予断を許さない状況が続くものと予想しております。

このような経営環境に対応するため、当社グループは、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載したリスク要因を踏まえながら、次のような課題に取り組んでまいります。

 

(タイヤ事業)

国内市場におきましては、低燃費タイヤにおけるプレゼンスの維持向上を目指して今後も新商品を順次投入してまいります。「ダンロップ」ブランドでは、耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を向上させ、「より最後まで使える長持ち」を実現した乗用車用低燃費タイヤ「エナセーブ EC204(イーシー・ニーマルヨン)」や、当社従来品からライフ性能を20%以上伸ばし、耐偏摩耗性能も向上させたトラック・バス用オールシーズンタイヤ「SP680(エスピー・ロクハチゼロ)」を2018年2月から発売しました。また、「ファルケン」ブランドでは高い高速操縦安定性能と優れたウエット性能を実現した、乗用車用の新世代フラッグシップタイヤ「AZENIS FK510(アゼニス・エフケーゴーイチゼロ)」シリーズを2018年2月から発売しました。

海外市場におきましては、新興諸国での拡販を継続することに加えて、ブランド価値向上を図っている「ファルケン」タイヤで欧米における拡販を継続するほか、中国を含む新興諸国で拡大する環境規制に適合した商品の投入など、地域特性に応じた商品の投入もグローバルに進めてまいります。

開発面では、第45回東京モーターショー2017で発表しました、未来のモビリティ社会で求められる性能を実現する技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマート・タイヤ・コンセプト)」を、自動車業界の技術革新による環境変化に対応すべく活用し、今後も当社独自の先進技術で魅力ある商品を具体化し、順次展開してまいります。

生産面では、世界各地での増販にあわせて供給能力を拡大してまいります。欧州、ロシア、中近東、アフリカ地域への供給に適したトルコ工場のほか、米国工場やブラジル工場、南アフリカ工場の能力増強投資を継続するなど、今後も持続的な成長を支える供給体制の構築に努めてまいります。

 

(スポーツ事業)

ゴルフ用品では、国内でのトップシェアを維持すべく、主力のゴルフクラブ新商品、「ゼクシオ テン」を軸に「スリクソン」、「クリーブランドゴルフ」のゴルフクラブの拡販を進めてまいります。ゴルフボールでは、高価格帯の「ゼクシオ」ブランドのほか、「スリクソン」などの新商品を順次投入します。海外市場においても国内同様、「ゼクシオ」、「スリクソン」、「クリーブランドゴルフ」ゴルフクラブの販売拡大や、「スリクソン」ゴルフボールのシェアアップなどに継続して取り組んでまいります。

テニス用品では、従来の「スリクソン」ブランドに加えて、全世界で利用可能となった「ダンロップ」ブランドを積極的に活用し、一層の拡販を進めてまいります。

ウェルネス事業では、引き続き新規出店及び会員獲得に努めてまいります。

 

(産業品他事業)

医療用精密ゴム部品は、2017年8月に設立を決定しました、スロベニア共和国の新拠点建設を2019年4月の稼働に向けて進めながら、欧州市場を中心にグローバル展開を継続してまいります。

制振事業では、「ミライエ」を中心にさらにラインアップを整備して、安全で高品質な商品の供給に努めてまいります。

OA機器用精密ゴム部品では、新規市場・新規顧客の開拓を進めてまいります。

インフラ系ビジネスでは、東京オリンピック・パラリンピック需要を確実に捉え、個別具体的な物件に対応し、拡販に繋げてまいります。

全ての商材において、品質や機能面で付加価値の高い商品を開発、提供することにより、更なる成長を目指してまいります。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関し、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項のうち主なものは以下のとおりであります。

記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

(1)為替変動の影響

為替の変動は、当社グループが輸出販売する製品の価格、購入する原材料の価格及び外貨建資産・負債の価値、外貨建財務諸表の邦貨換算等に影響を与えますが、円が米ドルを始めとする他の通貨に対して円高になると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、連結売上収益に占める海外売上収益の割合を2001年12月期の25.2%(日本基準での数値)から2017年12月期の63.1%(IFRSでの数値)へ高めてきており、今後も当社グループの業績等が為替変動により受ける影響は拡大する可能性があります。

このため、当社グループでは、為替予約や通貨ごとの輸出入のバランス化等により、為替変動によるリスクの軽減を図っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではありません。

 

(2)原材料価格の変動

当社グループの製品の主要原材料は、天然ゴム、石油化学製品及び金属材料です。従いまして、天然ゴム価格、原油価格、鋼材価格等の商品市況価格が上昇すると、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金利の変動

当社グループは、有利子負債の削減を推進し財務体質の改善を図るとともに、資金調達手段の多様化や金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じておりますが、金利が中長期的に上昇した場合、資金調達コストが上昇し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の品質による影響

当社グループでは、所定の品質基準に基づき、製品の品質確保に万全の対策を講じておりますが、製品の欠陥やクレームの発生を皆無にすることは困難です。

当社グループは、欠陥が発生した場合又は裁判等により欠陥が認定された場合に備え、欠陥に起因する損害賠償等の諸費用に対する損害保険を付保しておりますが、保険で補償されない費用が発生する可能性があります。また、クレームに対する処理費並びに製品の回収・交換による費用が発生する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績や財政状態並びに社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)災害時の影響

当社グループは日本・アジア地域を中心に世界の広範な地域で事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疾病、戦争、テロ等に直接又は間接の影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

子会社株式の取得

当社は、2016年12月27日開催の取締役会において、Micheldever Group Ltd.の全株式を、同社の株式を保有するPEファンドGraphite Capital Management LLP.等より取得し、子会社化することについて取締役会決議を行い、2017年1月5日付で株式譲渡契約を締結しております。その後、必要な各種承認手続きが完了し、2017年2月10日付で取得が完了しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 28.企業結合」に記載しております。

 

(商標権及び事業の譲受)

当社は、2016年12月27日開催の取締役会において、スポーツ事業子会社であるダンロップスポーツ㈱(以下「ダンロップスポーツ」という。)との合弁会社としてダンロップインターナショナル㈱(以下「ダンロップインターナショナル」という。)を設立し、Sports Direct International plcから、海外のDUNLOP商標権並びにDUNLOPブランドのスポーツ用品事業及びライセンス事業を譲り受けるための契約を締結することについて取締役会決議を行い、同日付で、同契約を締結しております。その後、必要な各種承認手続きが完了し、2017年4月3日付で事業の譲受が完了しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 28.企業結合」に記載しております。

 

(当社及びダンロップスポーツ並びに当社及びダンロップインターナショナルの合併契約による当社グループのスポーツ事業統合について)

(1)吸収合併契約の締結

当社は、2017年8月29日開催の取締役会において、ダンロップスポーツ(以下当社と併せて「両社」という。)との間で、当社を吸収合併存続会社、ダンロップスポーツを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことについて取締役会決議を行い、両社の間で吸収合併契約を締結しております。

また、当社とダンロップインターナショナルは、同日、後述(2)に記載の株式譲渡及び両社の合併の効力発生を停止条件として、当社を吸収合併存続会社、ダンロップインターナショナルを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことについて取締役会決議を行い、当社とダンロップインターナショナルとの間で吸収合併契約を締結しております。

 

(2)株式譲渡契約の締結

当社は、2017年12月28日付でダンロップスポーツが保有するダンロップインターナショナルの全ての株式を譲り受けることについて、前述(1)と同日、取締役会決議を行い、両社の間で株式譲渡契約を締結しております。

 

同決議通り、当事業年度中に株式の譲受によりダンロップインターナショナルを当社の完全子会社とした後、2018年1月1日を効力発生日として、本統合を実施しております。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 31.後発事象」及び「2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な後発事象」に記載しております。

6【研究開発活動】

当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、25,720百万円であります。

 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1)タイヤ事業

 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、2017年に本格稼働した欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。

 材料開発では、2015年に完成させた材料開発促進技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を初めて採用した長持ちする低燃費タイヤ、DUNLOP「エナセーブ NEXT Ⅱ(ネクスト・ツー)」を2016年11月に発売しました。この商品は、地球環境の持続可能性を確立するための技術開発などについて独自性、将来性や実現性を総合判断し表彰される「日経地球環境技術賞」を2017年10月に受賞しました。また「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、2017年2月に「Tire Technology of the Year」(※)を、同年4月には「平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で科学技術省を受賞するなど、国内外で高く評価されました。

 一方、2017年5月には路面の滑りやすさや4輪それぞれのタイヤにかかる荷重などをリアルタイムに検知するタイヤセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」を発表しました。これはタイヤの回転により発生する車輪速信号を解析することで空気圧低下を検知する「タイヤ空気圧低下警報装置DWS」の技術を応用したものであり、追加のセンサーを必要とせずにソフトウエアによって推定することが可能です。この技術は車両のより安全な走行に寄与するものであり、今後、急速に進む自動運転車の高度化にも繋がる技術であると考えております。また2017年10月には、未来のモビリティ社会で求められる性能を持ったタイヤを開発するための技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を発表しました。この技術は、「SENSING CORE」などの安全を支える技術と、環境に寄与する技術、それらを支えるシミュレーション及び解析と言う3つの技術で構成されており、これらの技術を織り込んだ商品開発を進めてまいります。

 当事業に係る研究開発費は22,372百万円であります。

 ※毎年欧州で開催されている「Tire Technology Expo」にて優秀な技術に贈られる賞

 

(2)スポーツ事業

 ダンロップスポーツ㈱(2018年1月1日付で当社が吸収合併)並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。

 兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。

 これらの技術によりゴルフクラブでは、10代目となる「ゼクシオ テン」を開発し2017年12月に発売しました。このクラブは、独自のシャフト構造・剛性設計によりスイングを安定させ、打点を芯に集めるシャフトと芯の反発性能を最大限に高めたヘッドとの相乗効果である「TRUE-FOCUS IMPACT(トゥルー・フォーカス・インパクト)」により、ボールを芯で捉えて大きく飛ばすことができます。

 ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を2017年2月に発売しました。このボールは新構造のコアによりドライバーショットでの最適な打ち出し条件を可能にし、「強弾道338スピードディンプル」を採用することで、飛距離アップを実現しております。

 当事業に係る研究開発費は1,499百万円であります。

 

(3)産業品他事業

 高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム部品、プリンター・コピー機用精密ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。

 制振事業では、戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」の制振性能を検証するため、2017年1月と2018年1月に実大振動台実験を行った結果、揺れ幅を最大95%(※)低減することが確認できました。

 当事業に係る研究開発費は1,849百万円であります。

 ※振動台実験の結果によるものであり、建物形状、配置プラン、地震波によって異なります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

 連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

 当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因と当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは原材料価格、販売価格及び数量構成他の変化によるものであります。

 主力のタイヤ事業において、当連結会計年度においては年初から急騰していた天然ゴム価格と石油系原材料であるブタジエン価格相場が、年央には急騰前の水準まで戻しましたが、年間平均ではコストアップとなりました。この原材料価格の変動を受け、主に国内外の市販市場において価格改定を実施したことにより、価格要因は改善しました。また、販売環境の改善によりタイヤ販売本数は前連結会計年度を上回り、降雪の影響もあって国内市販市場における冬タイヤの出荷が好調に推移したため、数量要因及び構成要因も改善しました。この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体で約360億円の減益要因、販売価格で約95億円の増益要因、数量構成他で約197億円の増益要因となりました。低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販、海外工場における生産能力の増強や生産性の改善など、収益力の向上を目指してさまざまな対策に取り組みましたが、タイヤ事業全体では減益となりました。

 以上の結果、売上収益は877,866百万円と前連結会計年度に比べ121,170百万円(16.0%)の増収、事業利益は66,975百万円と前連結会計年度に比べ7,941百万円(△10.6%)の減益となり、売上収益事業利益率は前連結会計年度に比べ2.3ポイント低下し、7.6%となりました。

 その他の収益及び費用では、当連結会計年度では収益と費用の純額で2,106百万円の増益となりました。

 この結果、営業利益は67,449百万円と前連結会計年度に比べ5,835百万円(△8.0%)の減益となり、売上収益営業利益率は前連結会計年度に比べ2.0ポイント低下し、7.7%となりました。

 金融収益及び費用では、為替差益の減少の一方で、デリバティブ評価損も減少したことにより、当連結会計年度では収益と費用の純額で1,428百万円の増益となりました。

 以上の結果、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は46,979百万円と前連結会計年度に比べ5,615百万円(13.6%)の増益となりました。

 セグメント業績の分析は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

・財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、1,018,266百万円と前連結会計年度末に比べて120,632百万円増加しました。売上収益の増加による営業債権及びその他の債権の増加や、原材料価格の高騰に伴う棚卸資産の増加などにより流動資産は53,414百万円増加しました。また、英国タイヤ販売会社「Micheldever Group Ltd.」及びその子会社の取得、海外のDUNLOP商標権並びにDUNLOPブランドのスポーツ用品事業及びライセンス事業の譲受に伴うのれん及び無形資産の増加などにより、非流動資産は67,218百万円増加しました。

連結会計年度末の負債合計は、527,380百万円と前連結会計年度末に比べて89,287百万円増加し、有利子負債残高は、273,452百万円と前連結会計年度末に比べて69,234百万円増加しました。

当連結会計年度末の資本合計は490,886百万円と前連結会計年度末に比べて31,345百万円増加しました。うち親会社の所有者に帰属する持分は459,907百万円と、ダンロップスポーツ㈱の吸収合併に際して自己株式の取得を行いましたが、前連結会計年度を上回る当期利益の計上などにより、30,591百万円増加しました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は45.2%1株当たり親会社所有者帰属持分は1,810円56銭となりました。

 

・キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローでは24,615百万円のマイナスとなりました。

今後、主に海外での増販に対応するため、生産能力増強のための設備投資を継続する方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現し、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図る所存であります。