文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
現在、世界13か国に展開するNITTAグループ(以下「当社グループ」といいます。)は、国や地域で異なるお客さまのご要望に、コツコツと応え続け、発明と改良の精神をもって、新たな顧客価値の創造に取り組んでいます。
当社グループは、2017年3月に新たな経営理念(以下「理念」といいます。)を制定しました。この理念においては、当社グループを取り巻くステークホルダーに対する当社グループの役割として[使命]、使命達成のために当社グループ社員が持つべき考え方として[価値観]、使命達成のために当社グループ社員が取るべき行動として[行動指針]を制定しております。この理念は、当社グループのあらゆる事業活動や社会貢献の判断基準となっており、この理念に基づき、グループ全体が一丸となり、真のグローバル企業として更なる価値創造に取り組んでまいります。

(2) 目標とする経営指標
当社グループは、いたずらに規模の拡大のみを求めることなく収益性重視の経営を基本とし、中長期的な経営戦略に基づき、経営指標について目標値を設定しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2012年度から2020年度の9年間を対象とする中長期経営計画『V2020』を策定しております。
フェーズ1(2012年度~2014年度)、フェーズ2(2015年度~2017年度)では、当社グループのあるべき姿を掲げ、それを達成するための3大チャレンジとして、①新事業・新製品の創出、②グローバル化の推進、③トータルコスト競争力の向上、に取り組むことにより、フェーズ1、フェーズ2ともに売上目標を達成いたしました。
2018年度からスタートした『V2020』フェーズ3では、グループ力を結集し、変化の激しい時代への対応と『V2020』の成果を確実なものにしつつ、次なる成長を目指しております。2020年度は『V2020』フェーズ3の最終年度にあたりますが、現在の経済状況は新型コロナウイルスの世界的な感染症拡大が、国内外の経済活動に大きな影響を与えており、先行き不透明な状況が続くと思われます。当社グループにおきましては、新型コロナウイルス対策危機管理本部を早期に立ち上げ、時差勤務やテレワークの推進など、感染症拡大防止のための対策を実施しました。従業員及びステークホルダーの皆様の安全を最優先に、機動的かつ柔軟な施策を講じることで、事業への影響を最小限に留めるとともに、最終目標の達成に向けて「着実かつ迅速」に諸施策を実行してまいります。また、今後新型コロナウイルス感染症拡大の収束後においても、この教訓を生かし、グローバルでのIT環境の整備や、資材調達網の拡充、柔軟な勤務体制の整備などの対策をとってまいります。
なお、現時点では、2020年度の連結業績予想は、合理的に算出することが困難であるため未定としております。
『V2020』フェーズ3の概要については、以下のとおりです。
1.あるべき姿
ソフトマテリアル“複合化技術”のグローバルNo.1パートナー
2.『Ⅴ2020』フェーズ3の三大チャレンジ
フェーズ2の三大チャレンジを事業環境に応じてさらに進化させ、下記の項目に重点的に取り組みます。
(1)新事業・新製品の創出と成長
・NITTA INNOVATION 活動の更なる推進
・新事業分野の成長戦略の実行とグループ間シナジーの最大化
(2)グローバルマネジメントの推進
・事業部間とコーポレート機能の連携強化
・NITTAブランドの浸透と強化
(3)トータルコスト競争力の向上
・現場改善活動の自律的向上
・大胆な業務改革と効率化の推進
3.業績目標(連結)
(※)2020年度目標(フェーズ3計画策定時)の売上高1,000億円には新事業を含みます。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループの製品は、多様な業界で使用されており、その売上は様々な要因により増減いたします。当社グループの連結売上高に占める比率で主要な業界は、自動車業界、半導体業界、繊維機械・金融機器・紙工機などの機械類となります。
自動車業界では、ホース・チューブ製品の他、作業ロボットの先端ツールを容易に交換できるメカトロ製品などを製造販売しております。半導体業界では、ベルト製品、ホース・チューブ製品、空調製品及びデバイス機能材製品などを製造販売しております。機械類では、繊維機械・金融機器・紙工機用などのベルト製品の他、工作機械用のホース・チューブ製品やゴム製品などを製造販売しております。また、それぞれの需要業界別において対処すべき課題は以下の通りです。
(自動車業界)
自動車業界向けの売上は、自動車メーカーの新規プログラムの受注や、その生産台数により売上が増減しますが、一旦受注したプログラムは3~5年単位で継続します。また、受注先は自動車メーカーの他、タンクメーカーなどのTier1の会社となります。当社グループは、常に新しいプログラムを受注すべく自動車メーカーやその協力会社などと共同で受注活動を行っております。
今後、環境問題の意識の高まりとともにハイブリッド車などの電動車の比率が高まってまいります。電動車には当社グループのホース・チューブ製品が使用されなくなる可能性があります。当社では、そのような状況に備え、自動車メーカーの軽量化や燃費ニーズに応えるべく、常に新たなアプリケーションの開発を進めております。
半導体業界では、特に半導体製造装置メーカー向けの比率が高く、半導体需要による半導体製造工場の製造量の変動に連動して、設備投資金額も大きく変動いたします。その需要変動に対して、適切で安定的な供給体制を整える事が重要になってまいります。当社では、需要先の発注計画だけではなく、社内や代理店の在庫等も注視しつつ、常にお客様の要望に応え続ける体制の構築を目指しております。
機械類では、当社グループの需要先は前述の通り多岐にわたっており、需要先の要望も様々です。主要メーカーの要求性能に適合した製品を開発、提案し、新規物件に採用頂くと共に、その交換需要を的確にとらえる事が重要になってまいります。当社では、技術営業を主体とし、大手メーカーの技術的な要望に応え続けるとともに、代理店販売を通してその交換需要を的確にとらえる営業を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのCSR推進並びにリスク管理を統括する機関として、取締役及び監査役並びに委員長が指名した者が出席する「CSR推進・リスク管理委員会」を定期的に開催し、グループ全体のCSR推進並びにリスク管理に係る課題・対応を審議しております。
(1) 当社グループの役員及び使用人の法令遵守の徹底と、CSR活動の推進のために、「NITTAグループ行動憲章」を定めるとともに、「CSR推進・リスク管理委員会」内に「CSR推進部会」を設け、役員及び使用人への教育・研修を推進しております。
(2) リスク管理を担当する機関として、「CSR推進・リスク管理委員会」内に「リスク管理部会」を設置し、リスクの把握及び回避・低減・未然防止に取り組んでおります。
(3) 不祥事の未然防止や早期発見を目的に、経営陣から独立した内部通報制度(NITTAグループホットライン)を設けております。
(4) 事業活動において、品質・環境・労働安全衛生の継続的改善の実行に取り組んでおります。
(5) 会社に著しい損害を及ぼす恐れのある事故その他の事象が発生した場合の初動対応を指揮命令する機関として、「危機管理本部」を発動し、損害の拡大あるいは事業が継続できなくなるリスクに対応します。
(6) 財務報告の適正性を確保するための体制を構築し、運用しております。
(7) 当社グループのリスクに関する内部監査を実施する体制を整備し、運用しております。
リスク管理の体制図は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の(会社の機関関係図)に記載の通りです。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点で予見できない又は重要とみなされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループでは、このような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として様々な対応及び仕組みづくりを行ってまいります。
当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症対策危機管理本部を早期に立ち上げ、時差通勤やテレワークの推進など、感染症拡大防止のための対策を実施しました。また、海外グループ子会社との情報共有強化や新型コロナウイルス感染対策物資の融通など、グローバルでの対応にも務めました。
現時点におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大が当社グループ事業に与える影響は依然として不透明な状況であり、具体的な金額を算定することは困難でありますが、当社グループにおきまして想定される事業リスク及び機会としましては次の通りであります。
①ホース・チューブ製品の主要需要業界であります自動車業界では、生産調整または縮小の動きもあり、当社におきましても需要の減少が予想されます。
②キャッシュレス化の加速により、金融業界では電子取引が一層進むことが予想され、金融機器に組み込まれる当社のベルト製品におきましても需要が減少する可能性があります。
③各業界における設備投資の減少が予想され、それらに組み込まれる当社製品につきましても、同様に需要が減少する可能性があります。
①外出自粛の影響によりeコマースの更なる拡大が見込まれ、それに伴う物流業界の需要が拡大することにより、当社の搬送用や段ボール製造設備用のベルト製品需要の増加が期待されます。
②空気清浄化のニーズが高まり、当社のフィルタ製品に対する需要が発生することが期待されます。
③工場における省力化、少人数化ニーズの高まりによりロボット化が進むことが予想され、当社のメカトロ製品の需要拡大が期待されます。
④テレワークやWeb会議などITを活用した当社グループの事業運営の可能性が開け、省スペースや省力化、グローバルでの連携強化など業務の効率化が期待されます。
⑤当社グループ製品の需要業界は多岐にわたるため、特定の業界の業況だけに左右されないことは、有事において当社の強みであると認識しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦の長期化による中国経済の減速などに加え、第4四半期以降、新型コロナウイルスの感染症拡大が各国の経済活動に影響を与え、先行きの不透明感が一段と増しました。また、国内経済は、外需の低迷や国内の設備投資に対する慎重姿勢により、製造業を中心に厳しい状況が続きました。なお、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、一部でサプライチェーンの停滞などが見られたものの重大な影響はございません。
当社グループの主要需要業界におきましては、物流業界向けは堅調でしたが、半導体業界向けや工作機械業界向けが低調でした。
このような環境下、当社グループの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比53億1千2百万円減(6.0%減)の838億6千1百万円となりました。
損益面では、売上高の減少に加え、原材料価格の上昇や先行投資による人件費及び減価償却費が増加した影響により、営業利益は35億2千7百万円と前連結会計年度比21億3千5百万円の減益(37.7%減)となりました。
また、経常利益については、前連結会計年度において、中国の持分法適用会社の合弁契約に準じた利益配分の見直しを行った影響等により、持分法投資利益が18億1千3百万円減少したこともあり、75億4千3百万円と前連結会計年度比39億3千1百万円の減益(34.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、61億4千8百万円と前連結会計年度比28億2千3百万円の減益(31.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ベルト・ゴム製品事業
主力のベルト製品(受注額148億4千万円、前期比3.6%減、当社単独ベース)は、国内では物流業界向けの搬送製品が堅調でしたが、半導体製造装置向けのベルト製品や工作機械向けのゴム製品(受注額46億1千2百万円、前期比2.2%減、当社単独ベース)が低調でした。海外では、米国は物流業界向けや郵便業界向けのベルト製品が堅調でしたが、欧州及び中国の繊維機械向けのベルト製品や中国の工作機械向けのゴム製品が低調でしたした。ベルト・ゴム製品の生産規模は、129億1千万円(前期比0.3%増・販売価格ベース、当社単独ベース)となりました。
以上の結果、売上高は269億8千9百万円と前連結会計年度比12億7百万円の減少(4.3%減)となりました。セグメント利益は、減収の影響で19億7千4百万円と前連結会計年度比4億円の減少(16.8%減)となりました。
ホース・チューブ製品事業
ホース・チューブ製品(受注額205億1千4百万円、前期比7.8%減、当社単独ベース)は、国内、海外ともに自動車向けや半導体製造装置向けのチューブ製品等や建設機械向けのホース製品が低調でした。ホース・チューブ製品の生産規模は、207億9千4百万円(前期比7.8%減・販売価格ベース、当社単独ベース)となりました。
以上の結果、売上高は295億5千6百万円と前連結会計年度比36億9千2百万円の減少(11.1%減)となりました。セグメント利益は、設備投資による減価償却費等の増加や人員増による人件費増加などの影響で12億8千4百万円と前連結会計年度比14億8千8百万円の減少(53.7%減)となりました。
化工品事業
化工品製品(受注額130億7千9百万円、前期比2.7%増、ニッタ化工品株式会社単独ベース)は、国内では、鉄道向け高機能製品や遮水シートなどの建設資材製品が堅調でした。海外では、OA機器向け高機能製品が低調でした。化工品製品の生産規模は、131億1千7百万円(前期比0.5%増、販売価格ベース、ニッタ化工品株式会社単独ベース)となりました。
以上の結果、売上高は131億5千2百万円と前連結会計年度比6千9百万円の減少(0.5%減)となりました。セグメント利益は、人員増による人件費増加やシステム関連費用の増加の影響で1億9千万円と前連結会計年度比3億4千万円の減少(64.1%減)となりました。
その他産業用製品事業
空調製品(受注額34億8千3百万円、前期比5.9%減、当社単独ベース)は、リピート向けは好調でしたが、新設建築物件向けは低調でした。感温性粘着テープ(受注額12億2千9百万円、前期比0.3%減、当社単独ベース)は、電子部品製造向けが低調でした。
以上の結果、売上高は106億1千8百万円と前連結会計年度比3億4千6百万円の減少(3.2%減)となりました。一方、セグメント利益は、経費削減効果などにより1億3千3百万円と前連結会計年度比9千3百万円の増加(228.6%増)となりました。
不動産事業
テナントの入退去などの影響により、売上高は8億8千7百万円と前連結会計年度比2千2百万円の減少(2.5%減)となりました。セグメント利益は、3億3千6百万円と前連結会計年度比2千万円の減少(5.8%減)となりました。
経営指導事業
経営指導の対象となる関係会社の売上が減少した結果、売上高は13億円と前連結会計年度比1千8百万円の減少(1.4%減)となり、セグメント利益は、11億7千9百万円と前連結会計年度比2百万円の減少(0.2%減)となりました。
その他
「その他」の区分に含まれる自動車運転免許教習事業や北海道における山林事業で構成されるその他の事業の売上高は、13億5千6百万円と前連結会計年度比4千5百万円の増加(3.5%増)となり、セグメント利益は、1億4百万円と前連結会計年度比1千4百万円の増加(16.1%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は1,299億2千2百万円となり、前連結会計年度末に比べて41億2千4百万円の減少となりました。流動資産は670億6千2百万円となり40億6千9百万円の減少となりました。主な要因は売上減に伴い受取手形及び売掛金や電子記録債権が減少、また退職給付信託に拠出したことにより現金及び預金が減少したことによるものです。
固定資産は628億6千万円となり5千4百万円減少しました。そのうち有形固定資産は248億2千3百万円と11億9千9百万円増加しました。無形固定資産は13億5千9百万円と4千1百万円の増加となりました。投資その他の資産は366億7千7百万円と12億9千5百万円減少しました。
負債合計は245億3千5百万円と34億7千8百万円の減少となりました。主な要因は売上減に伴い支払手形及び買掛金や電子記録債務の減少、また退職給付信託に拠出したことに伴う退職給付に係る負債の減少によるものです。
純資産合計は1,053億8千7百万円となり6億4千5百万円の減少となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金は増加しましたが、韓国ニッタムアーの完全子会社化に伴う資本剰余金及び非支配株主持分の減少、及び為替換算調整勘定が減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の77.7%から80.6%となりました。
期末発行済株式総数(自己株式控除後)に基づく1株当たり純資産は、前連結会計年度末の3,570.87円から3,615.29円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6億4千1百万円増加し、253億5千9百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較し15億2千7百万円少ない、76億7千万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の減少及び退職給付信託に拠出したことに伴う退職給付に係る負債の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較し23億4千2百万円少ない、13億2千9百万円の支出となりました。これは主に定期預金が減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較し30億1千6百万円多い、56億5千2百万円の支出となりました。これは主に韓国ニッタムアーの完全子会社化による子会社株式の取得によるものです。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であってもその容量、構造、形式等は、必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
当連結会計年度は、中長期経営計画『V2020』フェーズ3の2年目であり、『V2020』の目標を達成するための3大チャレンジとして、新事業・新製品の創出と成長、グローバルマネジメントの推進、トータルコスト競争力の向上、の3つをあげて取り組みを進めてきました。
(i)新事業・新製品の創出と成長
まず、新事業では、2017年度に株式を取得したニッタ化工品株式会社について、当連結会計年度に新たにTOYO TIREグループよりトラック・バス用空気バネ事業を取得しました。既存の鉄道用空気バネ事業と製法を同じくするもので、技術・製品開発面、資材調達面及び製造面において、シナジー効果が期待できます。
新製品については、クリーンルーム内に存在する微量の低濃度有害ガスを除去するケミカルフィルタの開発、介護や医療の現場でストレスフリーに操作できる体圧分布測定システムの開発などを行ってまいりました。
(ii)グローバルマネジメントの推進
1989年に東陽特殊硝子株式会社と折半出資で設立した韓国ニッタムアー㈱について、グローバルマネジメント推進の一環として、当社グループの事業展開における相乗効果の発揮や意思決定の迅速化を図るため、合弁相手と協議し、100%子会社化することで合意しました。また、主要顧客の現地調達ニーズに対応するべく、タイ及びメキシコ工場に設備の増強を行いました。
国内においても、軽搬送市場での更なるシェア拡大を図るため、広幅ベルトの製造設備の導入を進めております。
(iii)トータルコスト競争力の向上
当社グループでは、間接業務の「ムダ」を排除し、質の向上と効率化に取り組む、自工程完結活動を進めており、当年度は対象となる間接業務部門を増やし、更なる効率化を図りました。
この運動は今年で5年目を迎えますが、2019年度の業務削減時間は約2万9千時間に及び、残業時間の削減や新たな業務の取り込みなどが図れております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。
中長期経営計画『V2020』のフェーズ3の2年目である2020年3月期の達成状況は以下のとおりです。
売上高は計画比61億3千8百万円減(6.8%減)となりました。これは主に半導体業界をはじめとした当社製品主要需要業界の需要が低調であったことによるものです。営業利益率は4.2%となり、計画比1.8ポイントの減少となりました。減収による営業利益の減少をカバーするため、原価低減や経費削減に努めましたが、原材料価格の上昇や先行投資による人件費及び減価償却費などの固定費負担増の影響もあり、計画を下回る結果となりました。
新事業・新製品売上比率は28.1%となりましたが、ニッタ化工品の売上が新事業として加わっているためです。海外売上比率はアジア地区での売上高減少のため26.0%となり、計画比4.0ポイント減となりました。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ53億1千2百万円減少し、838億6千1百万円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。これは、当社グループの主要需要業界のうち堅調であった物流業界を除いた大半の業界において、需要が減少したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ21億3千5百万円減少し、35億2千7百万円(前連結会計年度比37.7%減)となりました。減収により営業利益が落ち込んでおりますが、それに加え、原材料価格の上昇や先行投資による人件費や減価償却費のなどの固定費負担が、売上高の減少率よりも大きく営業利益を悪化させた要因です。
(持分法による投資利益)
当社グループの持分法適用会社には、ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループと、ニッタ・デュポン㈱グループの2グループがあり、それぞれの主要需要業界は自動車業界と半導体業界となります。
ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループは合弁契約に従って、日本を含むアジア地区で自動車メーカーや一般産業向けのタイミングベルト、テンショナー、プーリーなどの製造販売を行っております。ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループの2019年度の業況は、全地域で自動車メーカー向けの売上が落ち込み減収減益となりました。
ニッタ・デュポン㈱グループは合弁契約に従って、日本及び海外の日系メーカーを中心に半導体研磨剤の製造販売を行っております。ニッタ・デュポン㈱グループの2019年度の業況は、国内の需要低迷や中国において先端プロセスの半導体工場の立ち上げが遅れたことにより、減収減益となりました。
また、ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループの中国での合弁契約において利益配分の見直しを行った影響もあり、持分法による投資利益が減少しております。
上記の結果、当連結会計年度における持分法投資利益は、前連結会計年度に比べ18億1千3百万円減少し、37億4千6百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、上記要因による持分法投資利益の減少等により、前連結会計年度に比べ39億3千1百万円減少し、75億4千3百万円(前連結会計年度比34.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ28億2千3百万円減少し、61億4千8百万円(前連結会計年度比31.5%減)となりました。特別利益は3百万円を計上しましたが、特別損失は感温性粘着テープ製品製造設備などの減損損失1億2千2百万円の計上により1億5千4百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,299億2千2百万円となり、前連結会計年度末に比べて41億2千4百万円の減少となりました。主な要因は売上債権の減少や退職給付信託に現金及び預金を拠出したことによるものです。
(負債)
負債合計は245億3千5百万円と34億7千8百万円の減少となりました。主な要因は退職給付信託に拠出したことにより退職給付に係る負債が減少したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は1,053億8千7百万円と6億4千5百万円の増加となり、自己資本比率は80.6%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ① 財政状態及び経営成績の状況 (i)経営成績」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは76億7千万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を253億5千9百万円保有しております。また、換金性の高い金融資産も保有している事から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮しても、現時点で予測可能な将来の資金需要に対して不足が生じる懸念は少ないと認識しております。
営業活動上の運転資金や設備投資、研究開発のための資金、配当支払など、主に短期的に資金需要を満たすための資金は、原則として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、M&A等の巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
株主還元の考え方
当社では、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置づけ、企業体質の強化・充実を図りつつ、業績に応じた適正な利益配分を行う事を基本方針としております。具体的には、通期業績と先行きの業績見通しをベースとして、連結配当性向等を勘案し、更には一定の水準維持をも念頭に、株主還元に取り組んでまいります。内部留保金につきましては、長期的な視点に立って、研究開発投資、新規事業への投資、製造設備の増強・合理化投資など企業価値の増大の諸施策に活用してまいります。
また、上述の基本方針のもと、今中期経営計画『V2020』のフェーズ3の期間においては、連結配当性向20~30%を目安に、安定的かつ着実な配当を継続的に実施する事で、株主の皆様のご期待にお応えしてまいりたいと考えています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用する事が必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じた合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中長期経営計画『V2020』の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去の業績、予算など)及び新型コロナウイルスの感染症拡大の影響等を整合的に修正し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社並びにグループ各社は、長期的な収益力強化のため、技術開発を重視し、高付加価値素材の探求、設計から製品化までの一貫した研究体制の確立を基本として、新材料に関する基礎研究及びその応用研究と新技術、更には生産技術全般の開発まで幅広く進めております。
当社グループの研究開発活動は、グループ全体の技術戦略の議論を行う技術戦略会議を設け、仮説検証マーケティング手法を活用しながら、ニーズに応え新事業・新製品に直結するよう、迅速な経営判断の元で実行しています。新製品・新規事業開発に関しては、当社テクニカルセンターに開発研究グループを設け、新材料・新技術の開発およびコア技術の集積と向上に向けて各事業部と連携して研究活動を行なっております。また、既存事業分野の関連技術と製品開発活動に関しては、当社各事業部及びグループ各社の技術部門によりそれぞれ該当分野別に推進されております。
当連結会計年度の研究開発費は
(1) ベルト・ゴム製品事業
当社工業資材事業部を中心に、平ベルト・ゴム成形品の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は、ベルト事業では物流・金融・紙工・郵便・繊維・食品など幅広い用途向け平ベルトの開発を進め、グローバルOEMでの採用に結び付けております。ゴム化成品事業においても建設資材分野で市場要求を捉えた新製品を上市し成果に結びついています。また、両事業とも新たな市場に対する開発も推進しています。
当事業に関わる研究開発費は
(2) ホース・チューブ製品事業
当社ニッタ・ムアー事業部を中心に、樹脂ホース・チューブ・継手及び自動工具交換装置の研究開発を行っております。当連結会計年度は、半導体製造装置・工作機械・建設機械・産業車両・自動車用途に各種ホース・チューブの開発、またロボット向け自動工具交換装置のラインアップ拡充などの開発に取り組みました。さらに、製販技一体の開発チーム活動により、新規分野・新用途分野での新規案件の発掘及び開発着手に結び付けております。
当事業に関わる研究開発費は
(3) 化工品製品事業
ニッタ化工品㈱を中心に、鉄道車輛及び一般工業用機器向け防振装置・複写機用清掃部材・樹脂製品・引布製品に関するゴム・ウレタン・樹脂材料・製品構造の研究開発を行っております。当連結会計年度は国内外市場向け鉄道車輛用防振用途・複写機用途に新規材料、構造設計の開発に取り組みました。また、ゴム引布加工品・防水分野で製品のラインナップ拡充を行いました。各分野の要求仕様の高度化に応じて新規材料の採用、新構造の提案を実施すべく評価能力の向上と共に開発を推進しております。
当事業に関わる研究開発費は
(4) 「新製品・新規事業開発」及び「その他産業用製品事業」
テクニカルセンターで基礎研究から取り組んできました、当社独自のCNT(Carbon Nano Tube)を用いたCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、Namd™(エヌアムド)の技術名称を冠してバドミントンラケットやゴルフクラブなどのレジャー用途で実用化に成功し、その後一般産業分野でも多くの引き合いを頂戴しており、今後さらにアプリケーションの拡大が期待されています。また新事業、新製品創出のための新規事業探索専任チームNIC(Nitta Innovation Crew)は、当社の事業領域を拡大すべく新たな用途展開を探索し、新製品の開発に取り組んでおります。その活動の成果の一つである、昨年度から受注を開始したロボットハンドSOFTmatics™(ソフマティックス)は、人手不足の食品工場等へ順次製品出荷を行っています。テクニカルセンターでは他にも、エラストマーを中心としたソフトマテリアル複合化技術をTPF(Technical Platform)として自動車、機械、エネルギー、エレクトロニクス、ロボット関連から食品・医療機器、および過酷な環境に耐える耐久素材まで幅広く製品開発を進めております。そして、さらに製品開発力の幅を広げるため、グループ内の幅広い派生技術群、営業的知見及び開発成果などを全社で共有することを目的とした社内イノベーションフォーラムを開催し、全社的なイノベーション力を向上することにも努めております。
一方、知的財産の分野においては、高度な特許情報分析ツール等の活用により、当社の技術戦略と連携したグローバルな知的財産権利の取得と知財権利網の維持強化に努めております。
空気清浄分野では、従来の半導体クリーンルームや一般ビル空調向けの粒子フィルタだけでなく、浮遊細菌、カビにも注目し、制菌機能に更に防カビ機能を付与したフィルタを開発することで、最先端製剤工場から食品工場まで、安全、安心なモノづくりを提案しています。感温性粘着テープのインテリマーや、面圧力分布測定システムのタクタイルセンサーについては、ディスプレイパネル製造プロセスなどの新たな用途や、半導体・セラミックコンデンサなどの既存の電子部品の製造プロセスでの顧客要求に応えるべく製品の改良、性能向上のための技術開発を行っております。
「新製品・新規事業開発」及び「その他産業用製品事業」に関わる研究開発費は638百万円です。