第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

現在、世界13の国と地域に展開するNITTAグループ(以下「当社グループ」といいます。)は、国や地域で異なるお客さまのご要望に、コツコツと応え続け、発明と改良の精神をもって、新たな顧客価値の創造に取り組んでいます。

当社グループは、2017年3月に新たな経営理念(以下「理念」といいます。)を制定しました。この理念においては、当社グループを取り巻くステークホルダーに対する当社グループの役割として[使命]、使命達成のために当社グループ社員が持つべき考え方として[価値観]、使命達成のために当社グループ社員が取るべき行動として[行動指針]を制定しております。この理念は、当社グループのあらゆる事業活動やサステナビリティに関する取り組みの判断基準となっており、この理念に基づき、グループ全体が一丸となり、真のグローバル企業として更なる価値創造に取り組んでまいります。

 

 


 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、いたずらに規模の拡大のみを求めることなく収益性重視の経営を基本とし、中長期的な経営戦略に基づき、経営指標について目標値を設定しております。 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2022年3月期から2031年3月期の10年間を対象とする中長期経営計画『SHIFT2030』を策定し、全社一丸となってその達成に向けた取り組みを開始しました。

10年後のあるべき姿として、「ものづくりを核としたシフトイノベーター」と定め、それを達成するための3大SHIFTとして、①成長へのSHIFT、②企業価値向上へのSHIFT、③更なるグローバル化へのSHIFT、に取り組んでまいります。

2021年4月からスタートした『SHIFT2030』フェーズ1(2022年3月期~2025年3月期)の定量目標は、売上高900億円、営業利益率5.0%、新製品売上高比率10.0%、海外売上高は2021年3月期比+30%としています。

 

 

『SHIFT2030』の概要は以下のとおりです。

1.あるべき姿

   ものづくりを核としたシフトイノベーター

2.『SHIFT2030』の3大SHIFT

  (1)成長へのSHIFT

      ・既存事業の持続的成長

   ・新事業の探索

   ・新製品開発の加速

  (2)企業価値向上へのSHIFT

   ・品質及びトータルコスト競争力の向上

   ・コーポレートガバナンス、コンプライアンスの強化

   ・ESG推進とSDGsのGOAL達成

  (3)更なるグローバル化へのSHIFT

   ・各事業の更なるグローバル展開

   ・コーポレート部門によるグローバルサポート強化

3.業績目標(連結)

 

2023年3月期実績

2025年3月期目標

売上高

880億円

900億円

営業利益率

5.7%

5.0%

新製品売上比率

9.5%

10.0%

海外売上高成長率

2021年3月期比 +38.6%

2021年3月期比 +30%

 

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループの製品は、自動車業界や半導体業界、その他多様な業界で使用されており、その売上は様々な要因により増減いたします。それぞれの需要業界において対処すべき課題は以下の通りです。

 

自動車業界

自動車業界では、燃料タンク周りやエアブレーキ用のホース・チューブ製品の他、製造ラインにおける作業ロボットの先端ツールを容易に交換できるメカトロ製品などを製造販売しております。自動車業界向けの売上は、自動車メーカーからの新規プログラムの受注や、その生産台数により増減しますが、一旦受注したプログラムは3~5年単位で継続します。また、受注先は自動車メーカーの他、タンクメーカーなどのTier1の会社となります。当社グループは、常に新しいプログラムを受注すべく自動車メーカーやTier1の会社に対する受注活動を行っております。

また、環境問題に対する意識の高まりとともに脱炭素への動きが強くなり、電動車の比率が高まる事が予想されます。これにより現在当社グループが製造販売している製品の需要が減少する可能性があります。当社では、そのような状況に備え、自動車の軽量化や新エネルギーへの対応ニーズに応えるべく、常に新たな製品や用途の開発を進めております。

 

 

半導体業界

半導体業界では、半導体製造装置の部品としてホース・チューブ製品、半導体クリーンルーム向けの空調製品、電子部品製造時に使用される感温性粘着テープなどを製造販売しております。当社グループの売上は半導体業界市場の中でも、半導体製造装置メーカー向けの製品比率が高いため、半導体需要及びそれに伴う半導体メーカーの設備投資の増減により影響を受けます。その需要変動に対応するため、適切で安定的な供給体制を整える事が重要になっています。当社グループでは、需要先の発注計画だけではなく、社内や代理店の在庫等も注視し、常にお客様の要望に応えられる体制構築を目指しております。

 

その他の業界

自動車業界や半導体業界が主要な業界ですが、両方を合わせても当社グループ全体の売上の3割程度であると認識しています。その他の業界としては物流業界や土木業界、食品業界、衛生用品業界、鉄道業界などがあり、その他にも繊維機械、紙工機械、建設機械、工作機械、金融機械などの様々な機械の部品としても使用されているため、業界は多岐にわたっています。

そのため当社の業績は、一部業界の好不調による影響を受けにくく、全体としては安定したものとなっています。一方で、各業界に対する知識の不足や、対応する人的資本の分散が懸念され、当社グループ全体の成長が見通しにくくなることは課題でもあります。今後、事業ポートフォリオの見直しや、製品別損益、事業別RIOCなどの分析・改善を加速し、投下資本の効率的な運用を図るとともに成長分野への投資を進めてまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナブル経営方針

当社グループは、グループ理念である「NITTAは動かす、未来へ導く製品で。世の中を前へ、そして人々を幸せに。」を実現するためには、SDGsをはじめとする社会課題の解決が重要であり、ESG経営を積極的に推進する必要があると考えています。この考えに基づき、当社グループは以下の「サステナブル経営方針」を制定し、企業価値の向上をはかるとともに、産業・社会の持続的発展と環境の維持・保全に貢献しながら事業活動を展開することとしています。

   1.「未来へ導く製品」の開発を通じて、新たな価値を創造し、産業と社会の持続的発展に貢献します。

2.地域および地球環境への影響を考慮して、廃棄物の発生量を削減するとともに省資源・省エネルギーを推進し、環境負荷の低減に努めます。また、生物多様性および生態系や森林資源等の保護等を考慮して、環境保護と環境汚染の予防に努めます。

3.全ての人の尊厳が守られる社会の実現に向け、企業活動において人権侵害を未然に防止するように努めます。

4.新たな価値創造の源泉である人材の多様性を尊重するとともに、人材育成・活用を推進することにより、一人ひとりが感性や創造性を発揮できる職場環境の実現に努めます。

5.法令や社会規範を自ら遵守することはもとより、取引先とも連携し、社会に対して責任ある調達活動に取組むなど、バリューチェーン全体において公正な事業活動を行うように努めます。

 

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する社会課題の解決に向けた取り組みを経営上の重要な課題の一つとして位置付けており、その取り組みを推進するために「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。

当委員会は代表取締役社長が委員長を務め、年4回開催し「NITTAグループ理念」、「NITTAグループ行動憲章」及び「サステナブル経営方針」に基づき、中長期且つESGの観点から、気候変動問題や人的資本などのサステナビリティに関するリスクと機会を分析・評価するとともにその活動の方向性などを審議しております。その結果は年4回取締役会へ報告することとしており、取締役会ではその内容を考慮した上で、重要な事項について審議し、決定しています。

 

サステナビリティ推進委員会の構成

委員長

代表取締役社長

副委員長

代表取締役専務執行役員

委員

取締役、監査役、事業部長等

事務局

経営管理グループ、安全環境品質グループ

 

 


 

②戦略

今後、当社グループを取り巻く環境は、技術革新や社会の価値観の変化等により急速に変わっていきます。そこで想定されるリスクの低減や、事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するために、ESG経営への取り組みが一層重要になっています。

当社グループでは、ESG経営の推進にともない当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定し、中長期経営計画「SHIFT2030」で重点課題として推進しています。

 


③リスク管理

当社グループは、前述のガバナンス体制の下、リスクの低減と事業機会の創出を着実に進めていくためにリスク管理及び機会の特定の取り組みをを強化しています。

リスク管理については、リスクの特定、分析、評価を定期的に実施し、リスク低減のためにリスクアセスメントを実施しています。このリスクアセスメントに基づいて、リスクの「回避」、「低減」或いは「移転」等の措置を事前に講じることによるリスクの発生の可能性を小さくしたり、発生した場合の影響度を最小限にするなどのリスクコントロールを行っています。

事業機会の特定については、特定されたマテリアリティの達成度合いをはじめ、社会の趨勢や変化を踏まえてサステナビリティ推進委員会で見直しを行うとともに、必要に応じて再設定しています。

 

 

④指標

 

 

マテリアリティ項目

関連するSDGs

主な活動

あるべき姿

温室効果ガス削減による低炭素社会の実現

 

環境負荷の低減と循環型社会の実現

 

地球温暖化対策・生物多様性保全に貢献する山林経営


環境に配慮した製品の開発・拡販

・CO2削減製品/省エネ貢献製品の開発

 

2050年におけるカーボンニュートラルの達成

 

持続可能な地球環境の維持

製造効率化によるエネルギー及び材料使用量削減

・省エネルギー対応設備への改良、切替

・3R、廃棄物削減活動の推進

 

グリーン調達の推進

健全な山林経営による山林の維持・拡大

・保有森林面積、蓄材積の維持、拡大

・生物多様性に配慮した環境づくり

 

バリューチェーン全体を通じての社会的責任の発揮

 

働きがいのある魅力的な職場環境の実現

 

顧客満足の追求


ニッタのCSR調達方針の明確化と展開

安心して働ける職場環境を整備

 

ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にし、良き企業市民として社会に貢献

ダイバーシティと機会の均等

・女性の活躍推進

・外国人材の活用推進

・グローバル人材の育成

働き方改革の推進

品質の向上

・部門横断的品質保証体制の強化

コンプライアンス推進とリスクマネジメント強化


コンプライアンスの徹底

・NITTAグループ理念、行動憲章等の教育機会の設定

公正な事業活動を通じた持続的な成長と中長期的な企業価値の向上

リスク管理委員会体制による適切なリスク管理

・調達先のBCP活動の調査

・海外環境規制問題への対応

・リスクの把握と対応策の実施

海外拠点を含めたグループガバナンスの強化

・拠点における内部統制マニュアルの作成、提供

・海外拠点配置人材を含めた経営管理、監査関係人材の育成

公正かつ適正な情報開示とステークホルダーとのコミュニケーション充実への取り組み

 

 

 

 

(2)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループにとって、気候変動は事業継続に影響を及ぼす重要課題の一つであると認識し、2022年5月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。気候変動が当社グループの事業に与えるリスク・機会を分析して経営戦略及びリスク管理に反映するとともに、情報開示を充実させてまいります。

 

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナブル経営方針に係るガバナンスに組込まれています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

当社グループは、事業において気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会については、政策や規制など社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスク・機会と、異常気象の激甚化などによって生じる“物理”リスク・機会を特定しています。

シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表している「科学的根拠を有するシナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすかを検討しました。今回実施したシナリオ分析は、当社ベルト・ゴム製品事業及びホース・チューブ製品事業における原材料・部品の調達、製品開発、製造、販売までのサプライチェーン全体を対象とし、「4℃シナリオ」、「1.5℃シナリオ」の2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討しています。

 

4℃シナリオ

気候変動対策が現状から進展せず、地球平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末ごろに約4℃上昇するとされるシナリオ。異常気象の激甚化や海面上昇など、物理的なリスクが大きくなる一方、企業活動や消費活動に対する締め付けは現行より強化しないとされています。

1.5℃シナリオ

カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、地球平均気温が産業革命期以前と比較して、今世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられるとするシナリオ。物理的なリスクの高まりは抑制される一方で、税制や法規制という形で企業活動や消費活動に対する締め付けが強まるとされています。

 

 

 

 

項目

売上総利益への影響(注)

事業インパクト

4℃

1.5℃

リスク

機会

移行

政策及び規制

炭素価格(炭素税)

(1.5℃)生産活動でCO2を排出しているため、炭素税が導入されることでCO2排出に伴うコストが増加する

排出権取引
GHG排出規制への対応

1.5℃)排出権取引制度の強化や対象地域の拡大により、GHG排出枠を超えた場合クレジット購入などの追加コストが発生する

プラスチック規制

(1.5℃)プラスチックに関する規制の進行に伴い、代替材料の置き換えやリサイクルの高度化に対応するための費用が増加する

森林保護に関する政策

(1.5℃)森林吸収・炭素除去系クレジットの活性化に伴い、植林活動が推進され、CO2吸収機会の拡大、植林地域における雇用や産業を創出

再エネ政策

(1.5℃)排出規制強化(炭素税等)に伴い再エネ需要が高まり、再エネ価格が上昇しエネルギーコストが増加する

(1.5℃)再エネ政策が進み、木質バイオマス発電の需要が伸びるため、間伐材等燃料提供の機会が増える

省エネ政策

(1.5℃)省エネ政策の強化による、設備什器の高効率機への更新が迫られた場合の支出が増加する

技術

再エネ・省エネ技術の普及

1.5℃)省エネ政策の規制強化に伴い、省エネ製品の需要が拡大する。そのため、「ゼロシーム」をはじめとする省電力製品の売上が増加する


(1.5℃)省エネ需要の拡大に伴い、消費電力量を軽減できる「伝動用ベルト」の売上が増加する

低炭素技術の進展

(1.5℃)EVの進展に伴いエンジン部品(内燃機関)の需要が減少に伴い、自動車向け燃料チューブの売上が減少する

(1.5℃)軽量かつ高強度を要する材料として期待されている「Namd」が技術開発により航空機や自動車に応用できた場合、軽量化が課題となっているEVや電動航空機での需要拡大により売上が増加する


(1.5℃)大規模データセンターの増加に伴い、サーバーの冷却需要が増加し、冷却配管用のニーズが高まり、樹脂チューブの需要が高まる


(1.5℃)低炭素化社会への移行に伴い、スマートシティー化が行われる。そのため、半導体ニーズの拡大により「半導体関連部品」の売上が拡大する


(1.5℃)部品の軽量化やバッテリーの冷却需要があるEV・FCVの進展に伴い、冷却配管用樹脂チューブの売上が増加する

 

(注)定量分析を行った項目は1~5段階で評価し、定性分析を行った項目は大・中・小の3段階で評価

 

 

項目

売上総利益への影響(注)

事業インパクト

4℃

1.5℃

リスク

機会

物理

急性

異常気象の激甚化
(台風、豪雨、土砂、高潮等)

(4℃)生産拠点やサプライチェーンへ甚大な影響を及ぼし、操業停止や物流機能の停止、対応コストが増加する


(4℃)調達資材の納期遅延や調達(運搬)コストが増加する

慢性

平均気温の上昇

(4℃)空調負荷が増加し、エネルギーコストが増加する

(4℃)気温上昇に伴い、外出機会が減少し宅配サービスの需要が拡大する。そのため、荷物搬送に使用するベルト類の売上が増加する


(4℃)平均気温の上昇に伴い、定温・冷蔵・冷凍状態の維持が困難になる。そのため、コールドチェーン輸送の需要拡大により「低温特性が高いベルト」の売上が増加する


(4℃)異常気象をはじめとする自然災害の影響により、施設や道路などの破損頻度が増加する。
そのため、建設機械の需要が増加し、「ホース製品」の売上が増加する

 

(注)定量分析を行った項目は1~5段階で評価し、定性分析を行った項目は大・中・小の3段階で評価

 

▼評価基準(定量分析)

1,000万円以下の損害

若干の(10%未満)の利益減少

10%超の利益減少

大幅な(30%超)利益減少

赤字化

 

これらの分析・評価及び対応策の検討は、社外のコンサルティング会社と連携しながら、サステナビリティ推進委員会での議論を踏まえて実施したものです。

今後も外部環境の動向や変化を踏まえ、定期的にリスクと機会の分析・評価の見直しを行っていく方針です。

 

  <対応策>

列挙したリスクに対するレジリエンスを強化するために以下のような取り組みを推進しています。

分類

リスク対応の方策

大分類

中分類

小分類

移行

政策・規制

炭素価格(炭素税)

・コージェネレーションシステムの高効率運用
・再エネ由来電力への切り替え
・インターナルカーボンプライシングの導入

再エネ政策

・オンサイトPPA導入

省エネ政策

・照明のLED化
・エネルギー効率の高い機器への変更

技術

低炭素技術の進展

・EV向け自動車部品、環境負荷低減ベルトなどの
「環境配慮型製品」の開発、販売促進

物理

急性

異常気象の激甚化
 (台風、豪雨、土砂、高潮等)

・BCP対策

 

     ▼インターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入

2023年4月1日から当社および国内子会社において、自社の基準で二酸化炭素の排出量を仮想的に費用換算し、設備投資判断の参考とする「インターナルカーボンプライシング制度」を導入しました。

社内炭素価格を18,000円/1t-CO2と設定し、同制度を投資判断の基準の一つとして活用していくことで、低炭素・脱炭素設備・省エネ投資など、二酸化炭素の排出量削減に貢献する投資を加速していきます。

 

 

③リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、サステナブル経営方針に係るリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ③リスク管理」を参照ください。

 

④指標と目標

当社グループは、生産段階における温室効果ガス(以下、「GHG」とします。)排出量の削減に関する基本方針として、2030年度までに2013年度対比46%削減、2050年度までに「カーボンニュートラル実現」を目指すと定め、その実現に向けて取り組んでいます。GHG排出量削減のために、①エネルギー使用量自体を削減する省エネの徹底、②再生可能エネルギーの活用拡大、③GHGフリーエネルギーの購入の3つの視点での取り組みを進めて参ります。

 


 

※当社の主力事業であるベルト・ゴム製品事業とホース・チューブ事業の2事業を対象としています。

当事業年度は省エネ推進活動に加え、一部の国内生産拠点において、非化石証書による再生可能エネルギーの導入やコージェネレーションシステムの高効率運用、並びに、自家使用太陽光発電システムの導入を実施しました。今後、2030年度の目標達成に向け、省エネ活動を継続し、海外を含む他の生産拠点においても再生可能エネルギーの導入等を推進し、GHG排出量の更なる削減に努めてまいります。

 

 

(3)人的資本への取り組み

①ガバナンス

人的資本に関するガバナンスは、サステナブル経営方針に係るガバナンスに組込まれています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

当社グループは、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を定め、人材の育成と働きやすい職場環境の実現に向けた取り組みを行っています。「人材が最大の経営資源である」という考えのもと、グループ理念の4つの「価値観」に沿った「行動指針」を実践できる人材の育成に取り組んでいます。

   <価値観>     <行動指針>

   熱意 Passion    情熱を持って挑戦し、変化を起こしつづける

   進取 Innovation  柔軟な発想とものづくりで、未来を切り拓く

   誠実 Integrity   ひたむきに取り組み、お客様の期待を超える

   敬意 Respect    互いを尊重し、グローバルに社会や環境に貢献する

 

人材の育成は採用から始まると捉え、「NITTAグループ行動憲章」及びその実践書に基づき、多様な人材を採用し育成することとしています。多様性はイノベーションの源泉であると認識し、社員の多様性を確保するとともに、社員が多彩な能力をより良く発揮できるよう、一人ひとりの社員にとって適切かつ有効な人材育成が実現できる体制を整備しています。

具体的には、社員の個性と自主性を尊重しながら、ニッタ人材開発プログラムに基づき育成しています。研修タワープログラムを構築し、社員の多彩なキャリア形成のため、階層別の研修に加えて、グローバル人材育成、NI(ニッタ・イノベーション)研修、知財研修、デジタル人材育成などのテーマ別の研修を設け、人事部門のみならず社内の各専門部門が連携し人材の育成を行っています。

 

 (ニッタ人材開発プログラム)

 


 

(研修タワープログラム)


 

また、刻々と変化していく社会環境の中で会社が持続的に成長していくためには、社員が健康かつ安心して生き生きと働ける職場環境の整備が重要であると考え、健康経営を推進し、3つの健康(健康なからだ・健康なこころ・健康な職場)を実現することを目指しています。具体的には、心身の健康維持・向上に関する施策の実施、育児・介護に携わる社員のサポート、長時間労働を防止する取り組み、あらゆるハラスメントへの対策などを進めています。

 

③リスク管理

人的資本に関する主なリスクは、サステナブル経営方針に係るリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)サステナブル経営方針 ③リスク管理」を参照ください。

 

④指標と目標

当社は、社員の多様性の確保、一人ひとりの社員にとって適切かつ有効な人材育成体制の整備、並びに、社員が健康かつ安心して生き生きと働ける職場環境の実現に向けて様々な取り組みを行っており、それらに関する指標と目標を次の通り設定しています。また、これまでの取り組みの実績は以下の通りです。

 

<指標と目標>

指標

目標

備考

女性管理職比率

11%(2025年度)

全産業平均10.6%

業界平均3.2%

男性育児休業取得率

50%(2025年度)

全国平均13.97%

健康経営目標

健康経営目標値の達成(2025年度)

<目標設定時実績>

(a)生活習慣改善に関心のある人の割合を85%まで高める

2021年度:74.0%

(b)歩行等の身体活動を1日1時間以上している人の割合を50%まで高める

2021年度:40.0%

(c)就寝前2時間以内の食事が週に2回以下の人の割合を70%まで高める

2021年度:63.7%

 

 

 

<取り組みの実績>

・女性管理職比率推移

・男性育児休業取得率推移



 

女性管理職比率、男性育児休業取得率の当事業年度の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ①提出会社」に記載しております。

 

 

・健康経営

健康経営目標

2021年度

2022年度

(a)生活習慣改善に関心のある人の割合を85%まで高める

74.0%

75.6%

(b)歩行等の身体活動を1日1時間以上している人の割合を50%まで高める

40.0%

37.4%

(c)就寝前2時間以内の食事が週に2回以下の人の割合を70%まで高める

63.7%

59.9%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループの企業価値の持続的向上、コンプライアンス推進並びにリスク管理を統括する機関として、取締役、監査役及び事業部長等が出席する「サステナビリティ推進委員会」、「コンプライアンス推進委員会」、「リスク管理委員会」を定期的に開催し、グループ全体のサステナビリティ、コンプライアンス並びにリスク管理に係る重要な事項について審議し、取締役会に定期的に報告しております。

 

(1) 当社グループは、中長期かつESGの観点から、地球環境の保全と社会の継続的な発展に貢献する事業活動を展開するため、「サステナビリティ推進委員会」内に「サステナビリティ推進部会」を設け、当社グループの企業価値の持続的向上を図る取り組みを推進しております。

(2) 当社グループの役員及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する体制を整備、運用するために、「NITTAグループ行動憲章」を定めると共に、「コンプライアンス推進委員会」内に「コンプライアンス推進部会」を設け、役員及び従業員へのコンプライアンス教育・研修を推進しております。

(3) 当社グループ全体のリスク管理業務を担当する機関として、「リスク管理委員会」内に「リスク管理部会」を設置し、当社グループとしてのリスクの把握及び対策を推進しております。

(4) 不祥事の未然防止や早期発見を目的に、経営陣から独立した内部通報制度を設け、運用しております。

(5) 「品質・環境・労働安全衛生方針」に基づき、事業活動における品質、環境、労働安全衛生の継続的改善に取り組んでおります。

(6) 重大な損害を及ぼす恐れのある事故その他の事象が発生した場合には、初動対応を指揮命令する機関として、「危機管理本部」をすみやかに設置し、損害の拡大あるいは事業が継続できなくなるリスクに対応します。

(7) 適正な財務報告を確保するための体制を構築し、運用しております。

(8) 当社内部監査部門が定期的に当社グループの全社統制監査を実施し、当社監査役に報告しております。

 

リスク管理の体制図は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の(会社の機関関係図)に記載の通りです。

 

(リスクの分類)

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点で予見できない又は重要とみなされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループでは、このような経営及び事業リスクを最小化するために、様々な対応及び仕組みづくりを行ってまいります。

 

リスクの種類

リスクの内容

リスク低減のための主な取り組み

災害以外の要因による資材・部材の供給途絶

・当社が生産上必要とする製品の生産中止

・戦争、紛争の影響による供給停止・遅延

・外注先の突然の倒産・事業停止

・代替製品の探索

・メーカーに強い調達先の探索

景気後退・悪化による事業計画、事業見通しの未達

・景気等による販売不振

・重要客先の離反、倒産

・業況報告会における各事業部の予算進捗状況の把握

・開示すべき情報が生じた場合は、適時、適切な開示を徹底

業務運営に支障をきたす疾病

・感染症の社内蔓延

・従業員に対する予防接種補助制度を実施

・感染症の流行状況に応じて注意喚起を実施

 

 

 

リスクの種類

リスクの内容

リスク低減のための主な取り組み

火災・爆発事故

・火災、爆発事故、保有森林での火災

・引火、爆発性ガス流出ならびに災害に起因する事業中断リスク

・各種安全パトロール、環境パトロールによる危険個所の確認と改善指示

・火気使用工事事前申請システムを運用し工事ごとのリスクアセスメント

・構内放送による火災予防

自然災害 (地震)

・地震/津波/噴火等の災害

・災害に起因する事業中断リスク

・備蓄品の更新と追加

・総合防災訓練を継続実施

・安否確認システムの返信訓練実施

自然災害(風水災)

・台風、防風、大雨、洪水、土砂崩れ、落雷等の自然災害ならびに災害に起因する事業中断リスク

・台風接近に伴う注意喚起

・大雨による冠水リスクに対しての対策を推進

情報システム・ネットワークへの外部からの攻撃・侵入

・ランサム型のウィルス攻撃

・重要なデータの喪失

・重要なデータの社外流出

・サプライチェーンリスクを考慮したトータルでのリスク低減

・ファイアウォールの構築

・データバックアップ体制の構築

製造物責任(PL)を問われる事故

・製品の欠陥(設計、材料選定、製法、製造過程、製品検査、輸送、保管)

・取扱説明書の不備

・デザインレビューの徹底

・品質管理委員会での指導対応

故意または重大な過失による環境汚染事故

・水質汚濁

・土壌汚染

・大気汚染

・環境汚染につながる薬品等の運搬時転倒による流出防止を踏まえ、改善指示や緊急事態訓練実施

・安全衛生委員会での緊急事態発生報告書の事例報告及び注意喚起

不正な取引

・談合、不当な取引制限

・ワークフローによるカルテルリスク申請

・コンプライアンス教育の実施

原材料価格・在庫・製品価格の変動

・原油、ガス、原材料の大幅な値上げ等の変動

・市況による在庫価値、製品価値の下落

・値上げ理由の正当性追求

・素原料価格推移注視による値下げ交渉機会損失の防止

・代替品だけでない新たな友好的なコストダウン手法を探索

事故

・交通事故(業務上・業務外)
・自転車事故

・ドライブレコーダーデータ入手の徹底

・車両管理ツールによる事故可能性の検証と危険運転の発見と検証

・安全運転5つの行動の推進継続

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況
(i)経営成績

当連結会計年度の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や世界的な金融引き締めなどの影響で景気に下振れが見られ、また、原油をはじめとする資源・エネルギー価格の高騰が継続するなど、景気減速の懸念が高まる状況となりました。国内経済は、新型コロナウイルス感染症対策の行動制限緩和により社会経済活動は正常化へと向かいましたが、資源・エネルギー価格の高騰や物価の上昇による消費の下振れ懸念や、堅調であった半導体需要の減少など、先行きの不透明感を払拭できない状況が続きました。

当社グループ製品の主要需要業界におきましては、これまで堅調に推移してきた半導体業界向けや物流業界向けは、設備投資の抑制などにより年度後半にかけて減速しました。一方、半導体不足等の影響を受け低調に推移していた自動車業界向けは、年度後半にかけて回復傾向となりました。

このような環境下、当社グループの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比42億6千5百万円増(5.1%増)の880億円となりました。

損益面では、原材料価格やエネルギー価格及び物流コストなどの上昇、また、コロナ禍からの営業活動再開に伴う販管費増加の影響もあり、営業利益は49億8千9百万円と前連結会計年度比3億4千7百万円の減益(6.5%減)となりました。

また、経常利益は、持分法適用会社の主要需要業界である半導体業界向けが概ね堅調に推移した反面、自動車業界向けが低調であったため、持分法による投資利益は減少しましたが、円安の影響で為替差益が増加した結果、129億円と前連結会計年度比2億9千2百万円の減益(2.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、108億5千3百万円と前連結会計年度比3億6千4百万円の増益(3.5%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

ベルト・ゴム製品事業

主力のベルト製品(受注額154億6千5百万円、前期比23.7%減、当社単独ベース)、ゴム製品(受注額45億5千8百万円、前期比4.7%減、当社単独ベース)は、国内では、物流業界向けは概ね堅調でしたが年度後半にかけて減速傾向となりました。電子部品業界向けの感温性粘着テープが低調でした。海外では、繊維業界向け等のベルト製品が堅調でした。

ベルト・ゴム製品の生産規模は、143億4千4百万円(前期比0.1%増・販売価格ベース、当社単独ベース)となりました。

以上の結果、売上高は286億円と前連結会計年度比26億8千4百万円の増加(10.4%増)となりました。セグメント利益は、31億2千2百万円と前連結会計年度比5億3千2百万円の減少(14.6%減)となりました。

 

 

ホース・チューブ製品事業

ホース・チューブ製品(受注額225億9千8百万円、前期比1.4%減、当社単独ベース)は、国内では、半導体製造装置向けや建設機械向け製品が堅調に推移しました。自動車業界向け製品は半導体不足による生産調整等の影響を受けておりましたが、年度後半にかけて回復傾向となりました。海外では、アジア圏で建設機械向けホース製品が低調でしたが、EV車製造ライン向けのメカトロ製品や半導体製造装置向けチューブ製品が堅調に推移しました。

ホース・チューブ製品の生産規模は、231億3千3百万円(前期比0.3%減・販売価格ベース、当社単独ベース)となりました。

以上の結果、売上高は332億5千1百万円と前連結会計年度比11億3千8百万円の増加(3.5%増)となりました。セグメント利益は、9億3千5百万円と前連結会計年度比5億9千万円の減少(38.7%減)となりました。

 

化工品事業

化工品製品(受注額148億6千1百万円、前期比8.4%増、ニッタ化工品株式会社単独ベース)は、国内では、鉄道向けゴム製品が堅調に推移しましたが、土木業界向けの遮水製品等が低調でした。海外では、OA機器向けエラストマー製品や鉄道向けゴム製品が堅調に推移しました。

化工品製品の生産規模は、149億7千3百万円(前期比10.0%増、販売価格ベース、ニッタ化工品株式会社単独ベース)となりました。

以上の結果、売上高は115億9千7百万円と前連結会計年度比5億5千6百万円の減少(4.6%減)となりました。セグメント利益は、2億2百万円と前連結会計年度比2億8千7百万円の増加となりました。

 

その他産業用製品事業

空調製品(受注額42億3千2百万円、前期比3.6%増、当社単独ベース)は、半導体や電子部品、製薬業界等のクリーンルーム向けフィル他製品や測定器の需要が堅調でした。

以上の結果、売上高は104億4千9百万円と前連結会計年度比6億8千6百万円の増加(7.0%増)となりました。セグメント利益は、2億2千7百万円と前連結会計年度比4百万円の増加(1.8%増)となりました。

 

不動産事業

コロナ禍で減少していたテナント収入の回復などにより、売上高は8億3千7百万円と前連結会計年度比2千6百万円の増加(3.3%増)となりました。セグメント利益は、1億8千3百万円と前連結会計年度比4千万円の減少(18.0%減)となりました。

 

経営指導事業

経営指導の対象となる関連会社の業績が好調に推移した結果、売上高は19億6千8百万円と前連結会計年度比3億2千3百万円の増加(19.6%増)となりました。セグメント利益は、17億2千5百万円と前連結会計年度比2億6千7百万円の増加(18.4%増)となりました。

 

その他

自動車運転免許教習事業や北海道における山林事業等で構成されるその他の事業の売上高は、12億9千5百万円と前連結会計年度比3千6百万円の減少(2.8%減)となりましたが、セグメント利益は、1億5千8百万円と前連結会計年度比4千1百万円の増加(35.1%増)となりました。

 

 

 

(ii)財政状態

当連結会計年度末における資産合計は1,583億8千5百万円となり、前連結会計年度末に比べて109億3千4百万円の増加となりました。流動資産は840億2千4百万円となり46億8千1百万円の増加となりました。主な要因は現金及び預金や棚卸資産が増加したことによるものです。

固定資産は743億6千万円となり62億5千3百万円増加しました。そのうち有形固定資産は259億5千2百万円と20億2千1百万円増加しました。無形固定資産は7億8千4百万円と1億6千5百万円の減少となりました。投資その他の資産は476億2千3百万円と、43億9千6百万円増加しました。

負債合計は289億3千5百万円と6億9千9百万円の増加となりました。純資産合計は1,294億5千万円となり102億3千5百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加や為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の80.3%から81.3%となりました。
 期末発行済株式総数(自己株式控除後)に基づく1株当たり純資産は、前連結会計年度末の4,188.15円から4,623.35円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、354億3百万円(前連結会計年度末比45億3千1百万円の増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、119億9千5百万円の収入(前連結会計年度比29億8千3百万円の収入増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益128億3千1百万円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、30億4千4百万円の支出(前連結会計年度比1億7千万円の支出増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出34億2千4百万円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、49億6千8百万円の支出(前連結会計年度比16億1千万円の支出増)となりました。これは主に配当金の支払額32億7千7百万円、自己株式の取得による支出15億6千1百万円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であってもその容量、構造、形式等は、必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

このため、生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比42億6千5百万円増(5.1%増)の880億円となりました。主要な需要業界であります物流業界向けや半導体業界向けは、前連結会計年度から当連結会計年度の前半までは好調に推移していましたが、年度の後半にかけて減速傾向となりました。物流業界向けでは、主に欧米での需要が物流倉庫の設備投資抑制などの影響を受け減少し、半導体業界向けは旺盛であった需要の減速が影響しています。自動車業界向けは半導体不足等の影響を受け低調に推移していましたが、当連結会計年度の後半にかけて回復傾向となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ3億4千7百万円減少(6.5%減)し、49億8千9百万円となりました。原材料価格やエネルギー価格の上昇や、コロナ禍からの営業活動再開に伴う販管費増加の影響もあり、減益となりました。原材料価格の上昇に対して、販売価格への転嫁を進めていますが、原材料価格の上昇額を吸収するだけの転嫁は進んでいません。

(持分法による投資利益)

当社グループの持分法適用会社には、ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループと、ニッタ・デュポン㈱グループの2グループがあり、それぞれの主要需要業界は自動車業界と半導体業界となります。

ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループは合弁契約に従って、日本を含むアジア地区で自動車メーカーや一般産業向けのタイミングベルト、テンショナー、プーリーなどの製造販売を行っております。ゲイツ・ユニッタ・アジア㈱グループの2022年度の業況は、中国でのロックダウンの影響などもあり減収となりました。

ニッタ・デュポン㈱グループは合弁契約に従って、日本及び海外の日系メーカーを中心に半導体研磨材料の製造販売を行っております。ニッタ・デュポン㈱グループの2022年度の業況は、旺盛な半導体需要を受け増収となりました。

上記の結果、当連結会計年度における持分法投資利益は、前連結会計年度に比べ3億7千6百万円減少し、68億9千4百万円となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ2億9千2百万円減少(2.2%減)し、129億円となりました。前連結会計年度より持分法による投資利益は減少しましたが、円安により為替差益は増加しています。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3億6千4百万円増加(3.5%増)し、108億5千3百万円となりました。前連結会計年度より減損損失の計上や法人税等が少なかったことが影響しています。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は1,583億8千5百万円となり、前連結会計年度末に比べて109億3千4百万円の増加となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の増加による現金及び預金の増加や棚卸資産の増加、持分法適用会社の評価により投資有価証券が増加したこと等によるものです。

(負債)

負債合計は289億3千5百万円と6億9千9百万円の増加となりました。繰延税金負債や退職給付に係る負債の増加によるものです。

(純資産)

純資産合計は1,294億5千万円と102億3千5百万円の増加となり、自己資本比率は81.3%となりました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ① 財政状態及び経営成績の状況 (i)経営成績」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは119億9千5百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を354億3百万円保有しております。

営業活動上の運転資金、設備投資、研究開発のための資金及び配当支払など、主に短期的に資金需要を満たすための資金は、原則として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、M&A等の巨額の資金需要に対応する場合は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、自己資金もしくは銀行等から資金調達を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。

 

株主還元の考え方

当社では、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置づけ、企業体質の強化・充実を図りつつ、業績に応じた適正な利益配分を行うことを「基本方針」としております。また、中長期経営計画『SHIFT2030』のフェーズ1(2022年3月期~2025年3月期)の期間における配当方針は、この「基本方針」を維持しつつ、連結配当性向30%を目安に、安定的且つ着実な配当を継続的に実施する事で、株主の皆様のご期待にお応えしてまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用する事が必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じた合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社並びにグループ各社は、NITTAグループ理念における使命に基づき、長期的な成長と企業価値向上を目指し、技術開発を重視しています。設計から製品化までの一貫した研究体制の確立を基本として、新材料に関する基礎研究及びその応用研究と新技術、更には生産技術全般の開発まで幅広く進めております。

当社グループの研究開発活動は、グループ全体の技術戦略の議論を行う技術戦略会議を設け、仮説検証マーケティング手法を活用しながら、市場や顧客ニーズに応える重要な新規事業及び新製品の創出に直結するよう、迅速な経営判断の下で実行しています。新規事業・新製品に関する技術開発は、当社テクニカルセンターに開発研究グループを設け、新材料・新技術の開発及びコア技術の集積と向上に向けて関連する部門や外部機関と連携して開発研究活動を行なっております。また、既存事業分野の関連技術と製品開発活動に関しては、当社各事業部及びグループ各社の技術部門によりそれぞれ該当分野別に推進されております。

当連結会計年度の研究開発費は1,825百万円であり、「新製品・新規事業開発」、「ベルト・ゴム製品事業」、「ホース・チューブ製品事業」、「化工品事業」、「その他産業用製品事業」に投入しております。

(1) ベルト・ゴム製品事業

当社工業資材事業部を中心に、平ベルト・ゴム成形品の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は、ベルト事業では物流・金融・紙工・繊維など幅広い用途に向けた高機能平ベルトの開発を進め、グローバルOEMでの採用に結び付けております。さらに省エネ製品の開発、製造工程の環境負荷低減にも取り組んでいます。ゴム化成品事業においても建設資材分野で製品ラインナップ追加を目指し開発継続中です。インテリマーの感温性粘着テープでは半導体・セラミックコンデンサなどの電子部品の製造プロセスの顧客要求に応えるべく製品の改良、性能向上のための技術開発を行っており、感温性調光微粒子では調光機能により省エネに寄与する製品の開発を行っています。また、両事業とも新たな市場に対する開発も推進しています。

当事業に関わる研究開発費は850百万円であります。

(2) ホース・チューブ製品事業

当社ニッタ・ムアー事業部を中心に、樹脂ホース、チューブ、継手及び自動工具交換装置の研究開発を行っております。当連結会計年度は、半導体製造装置、医療装置、工作機械、建設機械、産業車両、飲料用機器、自動車用途向けに各種ホース・チューブ、継手の開発、及び自動車用途向けとして新エネルギー車向けの製品開発に取り組みました。また、メカトロ製品としては、ロボット向け自動工具交換装置に加え、食品等の柔らかい製品を把持できるハンドリング用ロボットハンドのSoftmatics製品などラインナップ拡充に向けた製品開発を推進しました。さらに、製販技一体の開発チーム活動の継続により、新規分野・新用途分野での新規案件の発掘及び開発着手に結び付けております。

当事業に関わる研究開発費は417百万円であります。

(3) 化工品事業

ニッタ化工品㈱を中心に、鉄道車輛部品(空気ばね・軸ばね)及び一般産業用防振ゴム、OA機器用クリーニングブレード、樹脂及び引布製品に関する材料及び製品構造の研究開発を行っております。当連結会計年度は海外市場向け鉄道車輛部品の新規材料、OA機器用クリーニングブレードにおいては新機能材料の開発及び新工法開発に取り組みました。また、樹脂製品においてはニーズに応じた製品改良・性能向上を実施しラインナップ拡充を行いました。各分野とも高度で多岐にわたるニーズに応じた新規材料の採用・新構造提案を実施すべく、評価手法・解析手法の能力向上とともに開発を推進しております。

当事業に関わる研究開発費は225百万円であります。

(4) 「新製品・新規事業開発」及び「その他産業用製品事業」

テクニカルセンターで基礎研究から取り組んできました、当社独自開発のCNT(Carbon Nano Tube)を用いた炭素繊維複合化技術であるNamd™(エヌアムド)は、技術名称を冠してバドミントンラケットやゴルフクラブなどのスポーツ・レジャー用途での実用化を皮切りに、現在は、第二世代の2G-Namd™(ツージー・エヌアムド)の上市により、今後一般産業分野でのアプリケーションの拡充を行っていきます。

その他にもテクニカルセンターでは、ソフトマテリアル複合化技術をTPF(Technical Platform)として自動車、工作機械、エネルギー、エレクトロニクス、ロボット関連から食品・医療機器、及びSDGsを意識した環境配慮型製品まで幅広い研究開発と製品開発を進めております。当社におけるイノベーション活動(Nitta Innovation(NI)活動を加速させるためにテクニカルセンター内においてサークル活動(NIサークル)を実施し、さらに製品開発力の幅を広げるため、グループ内の幅広い派生技術群、営業的知見及び開発成果などを全社で共有することを目的とした社内イノベーションフォーラムを開催し、全社的なイノベーション力をより向上させることにも努めております。

また、中長期経営計画『SHIFT2030』で目指す新事業の探索と新製品の開発を加速させるため、経営戦略室に「新事業探索チーム」と「再生医療事業化プロジェクト」を新設し、探索力を強化しています。「再生医療事業化プロジェクト」では、国内初の再生・細胞医療に特化した受託開発・製造企業と共同で、再生医療等製品の製造用機器及びその消耗部材(シングルユース部素材)を開発中です。

SDGsへの取り組みとしては、自社が北海道に保有している山林の保全活動を推進するため、森林資源から木質新素材セルロースファイバーなどの天然由来の素材原料の製品への添加や代替使用などにより、機能発現と石油由来原料の削減を両立した新製品や新用途の開発に取り組んでいます。

これらの新事業・新製品開発や既存事業における製品開発を推進するに当たり、知的財産の分野においては、高度な特許情報分析ツール等の活用により、当社の技術戦略と連携したグローバルな知的財産権利の取得と知財権利網の構築維持強化にも努めております。

空気清浄分野では、フィルタ性能の国際規格へのハーモナイズが進む中、安心で安全な空気環境を求めるニーズに対応し、PM2.5や省資源・省エネルギーなどの環境面や感染症対策などの安全面に貢献する製品の開発、さらにグローバルに先端技術を支える最先端半導体製造装置用フィルタやケミカルフィルタの開発、鉱山・重工・建築分野の作業者の健康を保護する製品の開発など、様々な市場要求に取り組みました。また、ライフサイエンス分野における無菌製造・操作環境の維持・管理に資する技術として、有効性や安全性が高い過酢酸製剤を活用したバイオ除染技術・製品の開発も進めており、独自技術のVPA(Vaporized Peracetic Acid:蒸気化過酢酸)を活用した高性能エアフィルタの除染技術を開発し、事業展開を進めております。

「新製品・新規事業開発」及び「その他産業用製品事業」に関わる研究開発費は332百万円です。