当社は2024年5月に、『2030年 グローバル中長期経営計画』を策定し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取り入れ、当社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献すべく尽力してまいりました。しかしながら、当該計画における具体的な成長戦略ストーリーを描き切れておらず、資本政策に関する取り組みも不十分でした。そのため、当該計画公表後も、PBR1倍割れの状態が継続していました。
このような状況を踏まえ、事業戦略・資本政策・ガバナンスの透明性を最大限に高め、PBR1倍以上の早期達成と持続的な企業価値向上を推進する基盤を固めるため、2025年2月10日に『2030年 グローバル中長期経営計画』追補版を公表いたしました。これにより、PBR1倍を実現することができました。
事業戦略においては、日本セグメントは、軽量・静音の差別化製品のブランド戦略による顧客へのプロモーション、AIを活用した製品や金型設計、材料開発等の開発期間の短縮等により、日本車への当社製品装着シェアアップを図ってまいります。
海外セグメントにおいては、北米セグメントのメキシコ拠点の業績改善に加え、東アジアセグメントにおける日本車以外の中国メーカー、欧州メーカーの受注拡大、生産体制の強化による収益性回復と競争力の向上を図ってまいります。
一方で、2024年5月には、メキシコの連結子会社における棚卸資産の誤謬問題が生じました。
当社といたしましては財務報告に係る内部統制の整備および運用の重要性を認識しており、各関係会社の内部統制及び本社からのモニタリング体制のさらなる強化を図ることは、財務報告の信頼性確保や企業価値の向上を実現するために必要不可欠であると考えており、引き続き、各社における個別業務の局所的な改善対応に留まることなく、本質的な体制強化に取り組むことで、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼確保に努めてまいります。
『2030年 グローバル中長期経営計画』ロードマップ


2030年中長期経営目標の財務目標
当社は、資本コストを低下させ、ROE達成を狙う目的から、KGIとして最適な自己資本比率を55%と定め2031年3月期までの達成を目指します。

サステナブル経営の推進(非財務目標)
当社は、環境及び社会課題の解決を企業活動の前提条件と捉え、持続可能な社会と社会的責任を果たすべく、取り組むべき重点課題(マテリアリティ)を特定し、具体的な取り組みと各KPIを設定いたしました。社会の環境の変化に対応しながら、未来に向けて以下ESGの取り組みを進めてまいります。

社内調査報告書への対応状況
2024年8月16日付「当社連結子会社における棚卸資産の計算等に関する調査結果及び再発防止策の策定に関するお知らせ」において公表しましたとおり、ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.において棚卸資産に関する単価・数量・決算整理仕訳の誤り等による棚卸資産の過大計上が判明したことを受け、当社の取締役会にて再発防止策を決議いたしました。当社は、外部の専門家の協力も得ながら、本件子会社における再発防止策および当社における再発防止策を着実に遂行してまいりました。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の整備および運用が重要であることは言うまでもなく、各関係会社の内部統制および本社からのモニタリング体制のさらなる強化を図ることは、財務報告の信頼性確保に加え、『2030年 グローバル中長期経営計画』追補版が目指す企業価値の向上を実現するために必要不可欠であるとの認識のもと、引き続き、各社における個別業務の局所的な改善対応に留まることなく、本質的な体制強化に取り組むことで、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼確保に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、取締役会による監督体制下にESG推進委員会を設置し、ガバナンス体制を構築しております。
①取締役会による監督体制
取締役会は、年4回開催されるESG推進委員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受けております。
②ESG推進委員会と各分科会
非財務目標のE・S・Gそれぞれの重要課題に対する具体案を検討・議論することを目的に、ESG推進委員会の下部組織として次の各分科会を設置し、毎月会合を開催しております。
・E分科会(環境対応部会)
・S分科会(社会性向上部会)
・G分科会(ガバナンス向上部会)
ESG推進委員会は、各分科会から報告を受けた内容に基づいてESG経営に関する戦略の方向性を協議し、取締役会へ報告しております。なお、取締役会にて承認された決定事項の通達や予算の実行等については、ESG推進委員会が各分科会へ指示し、それを受けた各分科会が執行組織に対応を指示しております。
③ESG推進に係る経営者の役割
ESG推進に係る事項は、ESG推進委員会が統括しており、代表取締役社長が委員長を務めております。また、各分科会のリーダーと副リーダーは取締役や執行役員を主要メンバーとして構成しており、当社経営層を中心とした推進体制を構築しております。
④サステナビリティに係る所管部門
サステナビリティ推進室は、ESG推進委員会の事務局を担当するとともに、全社的なサステナビリティに係る対応の推進およびESG推進に係る事項を含む施策を検討・立案し、ESG推進委員会に提言しております。
当社グループのサステナビリティに係るガバナンス体制図は、
サステナビリティに係るリスクは、ESG推進委員会にて評価し、定期的に取締役会に報告しております。
①サステナビリティに係るリスクを識別・評価するプロセス
サステナビリティに係るリスクについては、社内の関係部門および関係会社にて関連するリスクおよび機会を特定し、サステナビリティ推進室が識別の上、ESG推進委員会に報告します。
ESG推進委員会は、識別されたサステナビリティに係るリスクについて、リスクの潜在的な大きさを評価し、重要度に応じて対策案の検討を各分科会に指示した上で目標を設定し、取締役会に報告します。取締役会は、各リスクについて、対策案や設定した目標を監督します。
当社グループのサステナビリティに係るリスク管理プロセス図は、以下のとおりであります。

サステナビリティ全般に関するリスク・機会を管理するための指標として、中長期目標を設定し取り組んでおります。
なお、この中長期目標は
詳細につきましては、当社ホームページおよび2024年11月に発行いたしました
当社ホームページ(サステナビリティ)
https://www.nishikawa-rbr.co.jp/sustainability/
CSR報告書2024
https://www.nishikawa-rbr.co.jp/sustainability/csr.html
また
(4)戦略
〈気候変動〉
当社グループは気候変動によるリスクと機会を認識し、事業戦略への反映を進めております。主なリスクとして、カーボンニュートラルの実現への移行に際し、国内外において、炭素税の上昇やCO2排出量削減義務の強化、排出量取引制度などの導入が進む際に、社会や顧客のニーズの変化に対して発生する研究開発費や設備投資によるコストアップ、業績悪化など財政状況への悪影響があります。一方でこれらのニーズは新たな成長機会とも捉えております。
これらのリスクを踏まえてCO2排出量の削減目標を設定し、軽量化、リサイクル、低CO2材料や設備の導入といった環境に配慮した技術の革新に加え、再生可能エネルギーの導入を推し進めています。これらの開発テーマは四半期毎に開催されるESG推進委員会で審議された後、取締役会に上程されます。またCO2排出量の実績値につきましては取締役会にて報告し、進捗をチェックしております。
〈人的資本〉
①人材育成方針
当社においては、人権尊重を土台とし人的資本経営の実現に向けて、経営戦略や事業戦略のために必要なスキル・分野を見える化したうえで、必要人材の採用と育成を行い、人材活躍の最大化を図り、組織力を向上させ続ける事を目的に戦略に合致する専門性を備えた人材を確保するための社内制度を整備しております。
具体的には、必要人材要件から、戦略的人材確保として、外部からの社員採用とアウトソーシングの活用、人材育成として、選抜教育や社内外を通じた教育プログラム開発を進めると共に、並行して、職能・職位によって求められるスキルに基づき、年次毎に個々の社員の状態を確認の上でOJTを進めております。またOJTを補完するために全社・職掌・部門としてのOFF-JTと、自ら成長しようとする意欲に基づく各人の自己啓発を通じて能力開発を行い、組織の細分化により能力の活用を図っております。
②職場環境整備方針
当社では、西川ゴムグループスローガンである「しなやかでたくましい会社」であり続けるために、「ダイバーシティの推進」「人権尊重」「働き方改革」を重要課題として掲げております。
具体的には、人種・国籍・性別・年齢を問わずに人材を活用することでダイバーシティ(多様性)を高め、女性活躍行動計画を推進し、ワークライフバランスの充実を図ることにより、会社としての魅力を高め、社員のやりがい、働きがいに資する人事制度の再構築と、より働きやすい職場づくりを目指しております。
③人的資本に関する指標および目標
当社では、上記の方針に基づき下記の活動および仕組みづくりを推進しております。また、その成果を把握するために、以下の通り目標を掲げ活動を推進しております。
なお現時点においては、法律や制度が異なる海外子会社を含めて連結目標を一元的に管理することが困難であることや、実施事項が単体のみであるものも含まれていることから、関係会社の一部を対象から外しております。
(注)1 男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、「
2 障がい者の法定雇用率は2025年4月時点で2.5%であり、2026年7月に2.7%へ引き上げられることとなっております。
3 ワーク・エンゲイジメントスコアは、ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度、新職業性ストレス簡易調査票(80項目)より算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社は、グループ全体のリスク管理に関する基本的な事項および体制の構築と方法を“リスクマネジメント規則”において定めており、リスクを特定・分析・評価して対策を講じ、その対策結果やリスクにかかる内外環境の変化についてモニタリングした結果を踏まえ、取り組みを改善するサイクルを継続的に実施してまいります。
またリスクが顕在化したときの対応措置につきましては、クライシスマネジメント規則等に定めた体制にて、迅速に対応いたします。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主要顧客は国内外の自動車メーカーであり、自動車用部品の取引が売上高の大半を占めております。そのため当社グループが展開している各国の市場において、経済の低迷や通商政策の転換、物価等の動向による消費者の購買意欲低下、材料供給不足等により生産調整が生じ自動車生産台数が減少した場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業展開する国や地域において、地震や豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業活動、業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社および当社グループは、災害発生時における災害対策および事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、衛星電話の設置、防災訓練等の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じております。また、生産現場においては、地震への減災対策、土砂災害、二次災害の防止対策を進めております。これらの事前対策により被害の最小化、当社グループの業績および財政状況に対する影響の低減に努めております。
当社グループの取引には外国通貨も使用しており、可能な限り為替変動の影響を受けないよう使用する各通貨のバランスをとっておりますが、市場状況の変化によって大幅な通貨変動の影響を受けた場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要顧客である自動車メーカーはグローバル化に伴い世界同一品質および同一価格確保のため、あるいはグローバル展開車種増加のため、世界規模での一括発注を進めています。当社グループの生産および販売も、国内、北米、欧州、アジア等グローバルに展開しておりますが、その殆ど全ての地区で競合他社と受注競争をしております。その結果、熾烈な価格競争により利益を圧迫することで、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、米国、タイ、中国、インド、メキシコ、インドネシア等に海外進出を行っており、当該地域における経済環境、市場動向等を検討し、計画的に事業展開していく予定ですが、進出国の政治的、経済的事情による影響を受け、事業の一時的縮小または中断などによる利益減少を招き、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、メキシコの連結子会社ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.は、半導体不足等の影響で落ち込んでいた生産が回復し、各得意先の販売数量も回復はみられましたが、原材料・エネルギー価格高騰などにより、継続的に営業損益がマイナスとなっており、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、米国の連結子会社ニシカワ・クーパー LLCは、米国経済の回復とともに、主要顧客である日系自動車メーカーの生産台数が増加し、売上は対前年増となっていますが、同時に北米の労働市場の需給バランスの崩れが急激な物価上昇を招き、原材料やエネルギー費の高騰と、逼迫する労働力の確保のために、想定以上にコストが増加しているため、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料および部品を複数のグループ外供給元から調達しておりますが、原材料価格の上昇や、資材の需給バランスによる影響で品不足が発生する場合、製品原価の上昇につながり、これらを販売価格に十分に転嫁できない場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、全ての役員および社員に対し、情報の取り扱いに関する規則を定め、高い情報セキュリティレベルを確保することを重要事項と認識しております。当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運営するとともに、情報システム運営上の安全性確保のため、サイバーセキュリティリスクも考慮し、情報システム管理基準を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおります。しかし、こうした対策を行ったとしても、不正アクセス、サイバー攻撃等による機密情報・個人情報の漏洩、機器の破損による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては当社グループの業績および財政状況、ならびに社会的信用の失墜や訴訟等により企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、当社グループ含め、情報管理に対する啓蒙活動を行うとともに、近年高度化、巧妙化しているサイバー攻撃への対応を強化し、情報管理体制の維持・強化等を推進しております。
当社グループは「品質第一」に徹し品質マネジメントシステムの徹底遵守と継続的改善を行っております。当社グループの製品は主として自動車の各シール部分に装着される場合が多く、自動車のボディーやドア、ガラスの建付け等相手部品との出来栄えや組合せで機能するもので、部品相互の関係で予期せぬ不具合が発生した場合、製品の不具合による損害賠償発生等により、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 重要な訴訟等の発生
当社グループを相手とした訴訟が提起され、当社の主張と相違する結果となった場合、その請求内容等によっては、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、法令および社内の諸規定等を遵守するため、グローバル・コンプライアンス管理体制の強化を図り、定期的なコンプライアンス教育を実施する等、活動を推進しております。
(10) 内部統制の構築等
当社グループは、財務報告に係る内部統制の整備および運用の重要性を認識しており、各関係会社の内部統制および本社からのモニタリング体制のさらなる強化を図ることは、財務報告の信頼性確保や企業価値の向上を実現するために必要不可欠であると考えており、各社における個別業務の局所的な改善対応に留まることなく、本質的な体制強化に取り組み、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼確保に努めております。
しかし、こうした対応を行ったとしても、当社の財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、さらに内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社の財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社の財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、不安定な国際情勢に起因する資源・エネルギー価格の高騰、中国での長引く不動産不況による景気減速、米国政権交代に伴う関税問題などもあり、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
一方、日本経済は、物価上昇の継続が影響し、個人消費の持ち直しに一部足踏みが残るものの、インバウンド需要や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が見られました。
自動車業界におきましては、東アジアでは自動車生産台数は前期比で増加しましたが、日本、北米および東南アジアでは自動車生産台数は前期比で減少しました。
当社グループにおきましては、全員経営を掲げ、企業価値向上への取り組みを進めております。当連結会計年度における売上高は為替等が寄与し、当連結会計年度における売上高は120,639百万円(前期比2.3%増)、営業利益は7,324百万円(前期比11.7%増)、経常利益は7,617百万円(前期比14.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,957百万円(前期比21.5%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(日本)
自動車生産台数が前期比で減少したものの、当社受注車種の影響などにより、売上高は57,710百万円(前期比3.5%増)となりましたが、内部統制強化プロジェクト対応のための支出や、賃金の引き上げ等が影響し、営業利益は4,767百万円(前期比8.9%減)となりました。
(北米)
自動車生産台数が前期比で減少したものの、当社受注車種および為替の影響などにより、売上高は45,239百万円(前期比5.4%増)となりました。営業利益は米国拠点の回復により前期よりも改善しましたが、メキシコ拠点の業績が影響し、営業損失は145百万円(前期は営業損失1,712百万円)となりました。
(東アジア)
自動車生産台数が前期比で増加しましたが、当社の受注車種が減少したことにより、売上高は11,025百万円(前期比16.2%減)となり、営業利益は365百万円(前期比48.4%減)となりました。
(東南アジア)
自動車生産台数が前期比で減少したことなどにより、売上高は12,876百万円(前期比0.2%減)となりましたが、インドネシア拠点の業績改善により、営業利益は2,542百万円(前期比5.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,001百万円増加し、41,592百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、9,243百万円(前期比5,641百万円の収入減)となりました。主な要因は、法人税等の支払額が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4,342百万円(前期比817百万円の支出減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、2,877百万円(前期比6,526百万円の支出減)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産実績には、外注先に委託した生産分を含んでおります。
2 金額は、販売価額により表示しております。
ⅱ 受注実績
当社グループは、各自動車メーカーをはじめとして納入先より四半期毎および翌月の生産計画の内示を受け、見込生産を行っているため、受注実績に該当する事項はありません。
ⅲ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社は2024年5月に、『2030年 グローバル中長期経営計画』を策定し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取り入れ、当社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献すべく尽力してまいりました。しかしながら、当該計画における具体的な成長戦略ストーリーを描き切れておらず、資本政策に関する取り組みも不十分でした。そのため、当該計画公表後も、PBR1倍割れの状態が継続していました。
このような状況を踏まえ、事業戦略・資本政策・ガバナンスの透明性を最大限に高め、PBR1倍以上の早期達成と持続的な企業価値向上を推進する基盤を固めるため、2025年2月10日に『2030年 グローバル中長期経営計画』追補版を公表いたしました。これにより、PBR1倍を実現することができました。
事業戦略においては、日本セグメントは、軽量・静音の差別化製品のブランド戦略による顧客へのプロモーション、AIを活用した製品や金型設計、材料開発等の開発期間の短縮等により、日本車への当社製品装着シェアアップを図ってまいります。
海外セグメントにおいては、北米セグメントの立て直しに加え、東アジアセグメントにおける日本車以外の中国メーカー、欧州メーカーの受注拡大、生産体制の強化による収益性回復と競争力の向上を図ってまいります。
[2026年3月期連結業績見通し]
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産の額は138,400百万円となり、前連結会計年度末に比べ668百万円の増加となりました。主な増加は、現金及び預金などで、主な減少は、投資有価証券などであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は46,679百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,542百万円の減少となりました。主な減少は、未払法人税等、繰延税金負債などであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は91,721百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,211百万円の増加となりました。主な増加は、利益剰余金、為替換算調整勘定などであります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ2,734百万円増加し、120,639百万円(前期比2.3%増)となりました。
海外におきましては、北米において自動車生産台数が前期比で減少したものの、当社受注車種および為替の影響などにより増収となりました。東アジアにおいては自動車生産台数は前期比で増加しましたが、当社受注車種の影響により減収となりました。東南アジアにおいては自動車生産台数が前期比で減少したことなどにより減収となりました。
国内におきましては、自動車生産台数が前期比で減少したものの、当社受注車種の影響などにより、増収となりました。
なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、原材料および物流費高騰が継続する中、全社員が一丸となって精力的・継続的に取り組みを進めております合理化・効率化活動の継続などにより、前連結会計年度に比べ768百万円増加し、7,324百万円(前期比11.7%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ1,303百万円減少し、7,617百万円(前期比14.6%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,081百万円減少し、3,957百万円(前期比21.5%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,001百万円増加し、41,592百万円となりました。キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ⅱ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは現在、必要な運転資金および設備投資資金については、自己資金または借入等により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、短期借入金の残高は11,115百万円、長期借入金の残高は7,310百万円であります。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金および設備投資資金を調達していく考えであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当連結会計年度において、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益、費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループにおける研究開発活動は、当社が一元的に行っております。自動車や住宅の快適居住空間をシール&フォームエンジニアリングで支えるブランドカンパニーとして、先進技術を積極的に取り入れ、既存分野・概念にとらわれない幅広い技術開発にチャレンジし続けています。
当連結会計年度中の主な研究開発活動
(1) 自動車用部品
当社はシール部品を主力商品としており、ドアウェザーストリップやボディーサイドウェザーストリップなど、高品質な製品を提供しております。主要原料には合成ゴムや熱可塑性樹脂を使用し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めております。
当連結会計年度は、環境(Environment)への負荷低減と電気自動車(Electric Vehicle)向けの両立を目指した新技術と新商品の開発を進めており、それらを包含した統合ブランド「ESquare®」を誕生させました。
近年、受注活動においてカーボンニュートラルなどの循環型社会への取り組みが重要視され始めた一方で、BEV(Battery Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)に特化した新興自動車メーカーの台頭が自動車業界の勢力図を変えつつあり、当社の研究開発活動を取り巻く状況は大きな転換期を迎えております。
統合ブランド「ESquare®」の確立は、当社が事業活動で求められているカーボンニュートラルの推進と、電気自動車の開発メーカーに求められている車体の軽量化や静粛性のニーズに応えることで、競合他社との差別化を図るというサステナビリティブランディングの一つです。
第一段階として、統合ブランド「ESquare®」の中に新規開発したゴム材料の「GreenRubber®」と、シール部品のコーティング塗料に適用した「GreenCoat®」を開発し、シール部品の軽量化(ゴム基材の低比重化促進)と、それに付随した使用材料の低減及び製造にかかわるエネルギー低減によるCO2削減を実現しております。合わせて、軽量化による遮音性の悪化防止及び車体のきしむ音やガラスの作動音などの異音防止の更なる改善効果により車内空間の快適性も向上させております。用途に応じて、「GreenRubber®」は4種類、「GreenCoat®」は2種類の新商品を開発いたしました。
また、この開発には評価分析技術、製品形状設計技術、生産技術の開発を並行して行い、各開発材で特許を取得いたしました。今後は、「ESquare®」をベースに、発泡、軽量化、複合化などの技術をさらに進化させ、組み合わせて発展させ、市場シェアの拡大と持続可能な成長を追求してまいります。
(2) 一般産業資材
住宅市場に向けても、得意先動向である住宅長期保証に対応したシール製品開発や機能性を向上させたシール製品開発を、コア技術である押出・発泡を基軸に進めております。
住宅の外壁目地シール材では、これまで湿式シーリング仕様の目地材で防水保証30年でしたが、当社は「乾式ガスケット仕様」で30年の長期保証ができる目地シール材を開発いたしました。
当社の優位技術である低比重高発泡スポンジ「Hysoft®」を配置し、自在に変形するスポンジで長期の止水力向上を実現いたしました。施工しやすい製品設計は、特許も多数取得しております。
今後も材料・製品仕様の双方から、各得意先要望へのきめ細かい対応さらには新規顧客開拓を進め、受注・売上アップを確実に進めてまいります。
当連結会計年度において当社が支出した研究開発費の総額は
なお、当社グループのセグメントは地域別に構成されており、研究開発活動の全てを日本で行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては記載を省略しております。