(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは『 Yes,We Do! 』という創業の精神に基づき、お客様の要請に応えることが即ち社会の要請に応えることであると考え、厳しい競争環境に直面しながらも、主力である自動車関連部品を中心に、さまざまな分野の高品質製品を供給しつづけることによって業界内に独自の地位を築いてまいりました。
2013年12月に創業60周年を迎えた当社グループは、節目として『新しい価値創造に挑戦し、夢あふれる未来づくりに貢献する』という企業理念を掲げ、同時に10年後に向けた「2023経営ビジョン」と「経営戦略の柱」を策定し、その推進を図っております。また、2017年には本社各部門の従業員が作り上げた部門バリューをベースに全社共通のフコクバリュー『それぞれの挑戦 さまざまな貢献 みんなの成長』をまとめ上げ、グループの一体感醸成に向けたマインドを確認いたしました。
FUKOKU WAYとは、この創業の精神から企業理念、フコクバリューに至るまでのフコクの価値観の総称です。今後もFUKOKU WAYに則って、ものづくりの進化と主力事業のグローバル展開、新規事業の開拓に注力しながら企業価値の向上を図るとともに、お客様を始めとする全てのステークホルダーに対する社会的責任を果たしていく所存です。
当社グループでは2016年度に3ヵ年の中期経営計画を策定し、2019年度に連結売上高840億円、経常利益率6%の達成を目指しておりましたが、足下の収益力低下を総括し、本体の構造改革(FRP=Fukoku Revival Plan)の進捗を挽回しながら、既存事業における不採算要因を炙り出して確実に対策していくことを優先するため、この中期経営計画の凍結を決定いたしました。
2019年度において確実なV字回復のベースを固めつつ、2020年度に新3ヵ年計画並びに目標とする経営指標を策定する予定としております。
当社グループの事業は主力である自動車関連を始め、建機、鉄道、OA、医療などのさまざまな分野でグローバル展開している国内外メーカーに製品を供給することで成り立ち、目まぐるしく変化する世界情勢と最適地生産・調達の流れの中で、熾烈な競争にさらされております。
足下の経済情勢を見ますと、日本国内は企業業績の回復や雇用環境の改善によって比較的安定した景況を示し、欧米を中心とした先進国も概ね堅調を維持してきましたが、一方で米国トランプ政権の政策運営の不確実性や保護主義的傾向、中国や新興国の経済変動、戦争やテロにつながる地政学的リスク等が各国の政治・経済にさまざまな影響を与えており、不透明感を拭えない状況が続いております。
自動車産業はリーマンショック以降、グローバルベースで生産を伸長させてきましたが、足下では主に中国や先進国の市場における需要の停滞感が影を落とし、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)に代表される技術的潮流やIoT化等を伴う大きな変革への対応を迫られるなど、日本国内の各メーカー、サプライヤーともに従来の枠組みを超えたビジネスへの適応を模索している状況です。同時に、インドを始めとする新興国市場への進出も引き続き重要な課題となっております。
長期的・持続的な発展を目指す当社グループとしましても、このような変化に対応を図るため、アジア・アセアンに加えて東欧や中米に拠点を拡げてきたほか、事業の再編やマネジメントシステムの継続的整備、ものづくりの体質強化に向けたFRP(Fukoku Revival Plan)の推進などに取り組んできました。現状はこれまでの投資先行のコストの圧迫や既存事業の体質改善の遅れ等の影響を被って一時的に収益力が弱まっておりますが、回復に向けた着実な対策を打てる体制を整えるとともに、世界中のお客様の要望に応える商品並びにサービスを提供していくため、引き続き新技術・新商品の開発や原価低減に注力してまいります。
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大量買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大量買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。
ただし、株式の大量買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大量買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。
当社は、多数の株主及び投資家の皆様に中長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させるため、ⅰ)FUKOKU WAYの実践による中長期的な企業価値向上、ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化、ⅲ)安全で高品質な製品の提供、に取組んでおります。
これらの取組みは、株主及び投資家の皆様をはじめ、お得意先、お取引先、従業員あるいは地域社会等のすべてのステークホルダーから評価され、そして、そのことが株主価値の最大化に資するものであると考えております。
当社取締役会は、当社株式等の大量買付行為等を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主及び投資家の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大量買付行為等を行おうとする者との交渉の機会を確保するために、2018年6月28日開催の第65回定時株主総会において、当社株式等の大量買付行為等に関する対応策(以下「買収防衛策」といいます。)の継続について、株主の皆様のご承認をいただきました。
当社の買収防衛策の主な内容は、当社の株式等保有割合が20%以上となるような買付等を行う者または提案する者に対して、ⅰ)買付行為の前に、当社取締役会に対して、買付等の内容検討に必要な情報及び当社が定める手続きを遵守する旨の誓約文を提出すること、ⅱ)その後、当社取締役会から独立した第三者により構成される独立委員会が、その買付等の内容と当社取締役会の事業計画等を比較検討する期間を設けるとともに、当社が定める手続きを遵守しなかった場合または当社の企業価値・株主共同の利益を害するおそれがある場合等には、新株予約権の無償割当ての方法による対抗措置を講じるというものであります。
なお、この買収防衛策の詳細については、2018年5月15日付けで「当社株式等の大量買付行為等に関する対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしております。このプレスリリースの全文は、インターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttp://www.fukoku-rubber.co.jp/)に掲載しておりますのでご参照下さい。
それは、ⅰ)FUKOKU WAYの実践による中長期的な企業価値向上、ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化、ⅲ)安全で高品質な製品の提供といった取組みを事業の重要な課題として推し進めることが、更なる高収益事業構造の構築ひいては企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えること、及び、買収防衛策は、企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入されたものでありますので、いずれも当社基本方針に沿うものと考えます。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
日本国内及び海外展開先の経済状況の変化によって、当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは、自動車メーカーや1次部品メーカーに対する売上が多数を占め、自動車産業に大きく依存した状況にあり、世界の自動車の市場や技術革新の動向によって当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは、従来より積極的に海外への事業拡大を図っておりますが、進出した地域の固有の事情、あるいは各国の体制や法律の変化等によって計画に支障をきたした場合には、当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループが推進する戦略的提携や合弁事業は、パートナーの経営方針や経営環境の変化によって維持できなくなる場合があり、そのことによって当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入しており、原材料及び部品の高騰などによって当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは海外に多くの取引先や提携先を持ち、事業所を展開しておりますため、為替レートの変動によって当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは長年にわたり、自社製品に関連する多数の特許及び商標を保有しております。このような知的財産が広範囲にわたって保護できない場合、あるいは不当に侵害された場合には、事業活動が影響を被る可能性があります。
大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
自動車部品業界は広範囲な環境その他の法的規制に服しております。そのため、これらの規制を遵守するための費用が当社グループの事業にとって重大な金額となる可能性もあります。
情報セキュリティ
当社グループは、事業活動を通して得意先、取引先等の個人情報や機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。万一、サイバー攻撃その他によって情報セキュリティの仕組みが無効化し、これらの情報が流出したり、破壊された場合や、システムの停止等に陥った場合には、当社グループの業績や財務状況が影響を被る可能性があります。
当社グループは国内外に広く事業を展開しており、地震や津波等の自然災害、戦争、電力不足等の社会インフラの麻痺、伝染病、テロ、ストライキ等の事象が発生した地域においては、原材料や部品の調達、生産活動、製品の販売及び物流などに遅延や停滞が生じる可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバルの経済情勢を見ますと、米国を中心に総じて堅調な推移を示す一方、年度末にかけてはトランプ政権の保護主義的な通商政策に起因する貿易戦争などの影響により中国の景気減速が進み、アジア諸国や欧州の一部でも弱含みとなるなど、しだいに減速の気配が強まり、楽観を許さない状況を呈しました。
わが国におきましては、西日本豪雨などの被災に苦しみながらも、内需を軸とした企業業績の好調や雇用情勢の安定などを背景に、景況感は概ね緩やかな回復傾向を示しました。一方、金融市場ではグローバルの経済情勢の影響を受けて株価と為替の変動に悩まされるなど、引き続き不透明感の拭えない状況が続いております。
当社グループの主要顧客先である自動車産業におきましては、EV化等に代表される市場構造の変化が加速する中、エリアごとの経済情勢によって販売動向に浮き沈みが見られ、グローバル全体の生産についてもしだいに頭打ちの傾向を示すようになってきました。
このような状況下、当社グループの受注は概ね底堅く推移し、連結売上高は前年同期比3.6%増の779億49百万円となりました。損益面では、米中貿易摩擦に起因する市場や為替の変調、材料費や人件費の上昇、主要事業のプロダクトミックスの変化、製造移管の遅れや合理化の遅れ等々の要因が重なり、営業利益は前年同期比29.7%減の19億83百万円、経常利益が同23.7%減の21億7百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益については主に当社の機能品事業セグメントにおける固定資産の減損損失等の計上により、26億90百万円の損失(前年同期は2億43百万円の損失)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
中国においてワイパーブレードラバーやシール部品等の販売に若干の下振れが見られたものの、国内外における受注は概ね堅調に推移したことから、売上高は前年同期比1.4%増の342億61百万円となりました。一方、セグメント利益については、材料費や人件費の上昇、子会社間の製造移管の遅れや合理化の遅れ、為替変動の影響等によって前年同期比34.8%減の16億58百万円となりました。
本セグメントでは、当社が保有する事業用資産において収益性の低下による減損の兆候が見られたことから、将来の回収可能性を検討した結果、減損損失34億91百万円を特別損失として計上しました。同様に、当社の連結子会社である上海フコク有限公司においても減損損失46百万円を特別損失として計上しました。
中国では韓国車向けダンパーの不振が尾を引いているものの、日本車や鉄道、建機向けの販売がカバーするなど全体としては好調な受注に支えられ、売上高は前年同期比6.0%増の299億45百万円となりました。一方、セグメント利益については、中国の減収インパクト、増産投資先行の負担、材料費や人件費の上昇、為替変動の影響等によって前年同期比7.7%減の25億46百万円となりました。
本セグメントでは、当社の連結子会社である東莞フコク有限公司が保有する事業用資産において、他の連結子会社への生産移管を完了したことから、遊休設備の減損損失9百万円を特別損失として計上しました。
主に国内トラック及び小型建機関連の受注が堅調に推移したことから、売上高は前年同期比3.6%増の71億6百万円となりました。一方、セグメント利益については、採用難や人件費上昇の影響等によって同61.6%減の41百万円となりました。
国内外とも主に商用車向けの受注が堅調に推移したことから、売上高は前年同期比6.6%増の37億5百万円となりました。損益面ではタイの事業が引き続き改善の途上にあり、1億71百万円の損失となりました(前年同期は2億76百万円の損失)。
OA関連部品の上振れなど、国内を中心に堅調な受注に支えられ、売上高は前年同期比3.1%増の36億5百万円となりました。また、この増収効果によってセグメント利益は同30.0%増の3億27百万円となりました。
本セグメントでは、当社が保有する事業用資産において収益性の低下による減損の兆候が見られたことから、将来の回収可能性を検討した結果、減損損失1億36百万円を特別損失として計上しました。
財政状態の状況は次のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末に比べて27億82百万円減少し、675億84百万円となりました。
主な要因は、減損損失に伴う有形固定資産の減少等による固定資産の減少28億56百万円によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べて13億59百万円増加し、355億48百万円となりました。
主な要因は、電子記録債務の増加等による流動負債の増加9億85百万円によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べて41億41百万円減少し、320億36百万円となりました。
主な要因は、為替換算調整勘定の減少10億36百万円、利益剰余金の減少30億21百万円等によるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億84百万円増加し、97億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は70億26百万円(前年同期は70億31百万円)となりました。これは主に減価償却費51億21百万円、仕入債務の増加4億64百万円、売上債権の減少1億86百万円による資金の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は58億20百万円(前年同期は60億55百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得が59億97百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億49百万円(前年同期は2億36百万円)となりました。これは主に配当金の支払が3億31百万円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社が連結財務諸表を作成する際の会計基準、および当社の重要な判断と見積りに大きな影響を与える会計方針については「第5 経理の状況」を参照願います。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前年同期比27億82百万円(4.0%)減の675億84百万円となりました。うち流動資産は同74百万円(0.2%)増の382億51百万円、固定資産は同28億56百万円(8.9%)減の293億33百万円となっております。固定資産の減少は、減損損失に伴う建物及び構築物、土地、機械装置及び運搬具等の有形固定資産の減少等によるものです。
当連結会計年度末の負債の合計は、前年同期比13億59百万円(4.0%)増の355億48百万円となりました。うち流動負債は同9億85百万円(3.8%)増の267億80百万円、固定負債は同3億74百万円(4.5%)増の87億67百万円となっております。流動負債の増加は、主として仕入債務の増加および短期借入金の増加等によるものです。仕入債務の増加は売上高の増加によるものであり、短期借入金の増加は当社において為替リスクヘッジ目的のため、外貨借入(米ドル建)を実施したことによるものです。また固定負債の増加は、繰延税金負債の増加等によるものです。これは当社において今後の業績見通しを勘案し、繰延税金資産の一部を取り崩したことによって、相殺される繰延税金負債が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前年同期比41億41百万円(11.4%)減の320億36百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失26億90百万円の計上による利益剰余金の減少と、為替換算調整勘定が主として韓国ウォン及び中国元の為替変動の影響により前連結会計年度末の12億81百万円から2億45百万円に減少したこと等によるものです。非支配株主持分は、非支配株主に帰属する当期純利益1億94百万円の計上による増加よりも、為替換算調整勘定と支払配当金による減少が上回ったことにより、前年同期比39百万円(1.6%)減の24億2百万円となりました。
上記の結果、自己資本比率は前年同期比4.1ポイント減の43.8%、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産は前年同期比247.69円減の1,789.20円となりました。
当連結会計年度(以下「当期」という)における当社グループの連結売上高は前年同期比で3.6%増加し、779億49百万円となりました。
世界経済は概ね堅調に推移しておりましたが、米中貿易摩擦等の影響によってしだいに減速の気配を強め、わが国でも外需の弱含みが懸念材料となるなど、当社グループの客先であるグローバルの自動車産業に対しても成長鈍化の不安が影を落とし始めました。そのような中、中国における減収、アセアンその他における増収など、エリアによる浮き沈みは見られましたが、当社グループの各事業セグメントは総じて堅調に売上を伸ばしました。
損益面についても当初は増益見通しでしたが、全体の増収がプロダクトミックスの変化で原価率の上昇につながったほか、増産対応の中でのフコク本体の構造改革の進捗や合理化の遅れ、拠点間の移管の遅れ、材料費や人件費の上昇等々の要因が重なったことにより、営業利益は前年同期比29.7%減の19億83百万円、経常利益は同23.7%減の21億7百万円と伸び悩みました。このような傾向は全てのエリアと、新事業を除く全ての事業セグメントに及んでおります。
親会社株主に帰属する当期純損益は、主としてフコク本体の機能品事業セグメントにおける固定資産の減損損失等の計上によって26億90百万円の損失(前年同期は2億43百万円の損失)となり、2期連続の赤字を計上しました。これにより、1株当たりの当期純損益は162.45円の損失(前年同期は14.72円の損失)となっております。
なお、セグメント別の業績分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」を参照願います。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比4百万円減の70億26百万円となりました。税金等調整前当期純損失が16億15百万円(前年同期は7億40百万円の利益)となりましたが、そのうち非資金損益項目である減損損失が36億84百万円及び減価償却費が51億21百万円(前年同期は48億84百万円)あったことで、前年同期と同程度の営業活動によるキャッシュ・フローとなりました。なお法人税等の支払額は6億70百万円(前年同期は11億97百万円)となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比2億35百万円減の58億20百万円の支出となりました。主として当社、サイアムフコク株式会社及びタイフコク株式会社における機械装置等の有形固定資産の取得による支出が59億97百万円(前年同期は57億17百万円)あったこと、また資金需要に備えた定期預金の払戻と預入の差による収入が2億27百万円(前年同期は3億10百万円の支出)あったことが主な要因となります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比12百万円増の2億49百万円の支出となりました。配当金の支払額が前年同期と同等の3億31百万円あったこと、非支配株主への配当金の支払額が1億2百万円(前年同期は1億14百万円)あったこと、また借入れによる収入が借入金の返済を上回り2億52百万円(前年同期は3億53百万円)の収入となったことが主な要因となります。
現金及び現金同等物に係る換算差額は、主に韓国ウォン及び中国元の為替変動の影響により2億72百万円の減少要因となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて6億84百万円増加し、97億89百万円となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資並びに配当金の支払いであります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくことを基本方針としております。
また、突発的な資金需要に備え、当社は主要な取引銀行との間で合計40億円のコミットメントライン契約を締結し、手許流動性リスクに備えております。なお、これについて当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当連結会計年度末における有利子負債は111億円となっており、前連結会計年度末に比べ92百万円増加しております。
キャッシュ・フローの状況の詳細については、「c.キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。
当社グループは収益の多くの部分を自動車産業に依存しておりますが、リーマンショック以降の急激な市場並びに技術動向の変化の中、各国の自動車メーカー、部品メーカーも大きな転機を迎えております。グローバルでは引き続き北米や中国の市場動向に左右され、さらにインド市場が存在感を増す一方で、欧州が環境対応や自動運転等の新技術を牽引しております。その中で各国の政策や地政学的リスクが影響を与えるということで、日系メーカーも予断を許さない複雑な事業環境の下で対応を迫られている状況です。特に、CASEに代表される近年の技術的な「潮目」を意識しながらの舵取りが重要性を増しているという認識の下、当社グループも積極的な情報収集や事業ポートフォリオの見直し等を進めております。同時に建機や鉄道、OAその他の産業機器など、自動車以外の事業領域においても一層の発展を図り、収益の柱を増やしていくことが重要な課題となっております。
このような変化を見据えつつ、当社グループといたしましても、確固とした企業理念の制定、10年先を目指した経営ビジョンの構築と浸透、中期計画の再確認等を行い、目まぐるしい市場と顧客の動きに対応するためのグローバル化戦略を模索してきました。また、昨今のコンプライアンスやコーポレートガバナンス重視の社会的な要請にも十分に応えるべく、資本と経営の分離、透明性の高い経営体制の構築を推進しております。
現在はアセアン、中国、韓国、インド、北米、メキシコ、チェコに拠点を築き、顧客志向で主要市場の動向に追随していくエリア拡販体制を整えており、拠点の増設や再整備、商品群の海外展開、R&Dやグローバル管理を始めとする本社機能の強化等のコストが継続的な負担となっている状況ですが、引き続き既存事業の拡大と改善によって収益を確保しながら、新たな将来性のある分野への投資並びに一層の高収益体質の獲得を目指してまいります。
技術供与契約
当連結会計年度の研究開発活動は、自動車分野の重点商品を中心として、産業機械、OA機器など成長産業分野の商品開発活動を実施しております。また、新素材や新技術の研究とその用途開発にも積極的に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
事業の種類別セグメントの新規研究開発活動の結果を示すと、次の通りであります。
① 国内部品メーカー向けに、新ワイパーブレードラバーの量産を開始いたしました。
② 国内部品メーカー向けに、HV車用冷却装置の多機能パッキンを新たに受注いたしました。
③ 国内自動車メーカー向けに、樹脂ブーツの開発を新たに開始いたしました。
④ 国内部品メーカー向けに、樹脂ブーツの量産を新たに開始いたしました。
⑤ 国内部品メーカー向けに、エンジン点火プラグ用のシールを新たに受注いたしました。
⑥ 海外部品メーカー向けに、新ワイパーブレードラバーの量産を開始いたしました。
⑦ 海外部品メーカー向けに、4輪キャリパー用シールの量産を新たに開始いたしました。
① 当社インドネシア子会社で生産する、日系部品メーカー向け2輪用冷却装置のパッキンを新たに受注いたし ました。
② 当社アメリカ子会社で生産する、日系部品メーカー向けの樹脂ブーツを新たに受注いたしました。
③ 当社中国子会社で生産する、日系部品メーカー向けの樹脂ブーツを新たに受注いたしました。
④ 当社タイ子会社で生産する、日系部品メーカー向けの樹脂ブーツを新たに受注いたしました。
⑤ 当社インドネシア子会社で生産する、日系部品メーカー向けの樹脂ブーツを新たに受注いたしました。
⑥ 当社メキシコ子会社で生産する、日系部品メーカー向けの樹脂ブーツを新たに受注いたしました。
① 国内乗用車メーカー向けに、ディーゼルエンジン用アイソレーションダンパープーリーの量産を新たに開始いたしました。
② 国内乗用車メーカー向けに、ガソリンエンジン用ダンパープーリーの量産を新たに開始いたしました。
③ 国内乗用車メーカー向けに、ガソリンエンジン用ダンパープーリーを新たに受注いたしました。
④ 国内商用車部品メーカー向けに、ポンプ用防振部品を新たに受注いたしました。
① 建設機械メーカー向けに、キャビン用液封マウントの量産を新たに開始いたしました。
② 国内鉄道向けに、車両用の防振ゴムの量産を新たに開始いたしました。
③ 海外の地下鉄向けに、車両用の防振ゴムを新たに受注いたしました。
① 当社中国子会社で生産する、中国乗用車メーカー向けガソリンエンジン用ダンパーを新たに受注いたしました。
② 当社インドネシア子会社で生産する、日系乗用車メーカー向けガソリンエンジン用ダンパープーリーの量産を新たに開始いたしました。
③ 当社インド子会社で生産する、日系乗用車メーカー向けディーゼルエンジン用ダンパープーリーの量産を新たに開始いたしました。
④ 当社インドネシア子会社で生産する、日系商用車メーカー向けサスペンション用防振部品を新たに受注いたしました。