(1) 経営方針と経営戦略
当社グループは「ゴムからはじまる、未来がひろがる」を合言葉に、創業以来ものづくりで培った設計・試作・評価・量産のノウハウを集結させ、今までにない価値創造に挑戦し社会に提案し続ける企業、また、世界中のお客様や社会の声に真摯に耳を傾け、『安心』『安全』『快適』をお届けするグローバル企業を目指しております。
現在の経営方針は2021年2月24日発表の中期経営計画(2021年度-2023年度)で掲げたとおりであり、最終年度として以下の目標を目指し、グループ一丸となって取り組んでおります。
(目標)2023年度:連結売上高 800億円、経常利益率 7%、ROE 8%、連結配当性向 30%

(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、経営環境への変化に対して以下の如く鋭意取り組んでおります。
①CASE対応
自動車業界の大変革に対応できる開発体制を構築し、競争力のあるCASE対応製品群を拡充する。
②事業ポートフォリオの転換
持続的な成長の実現に向けて、基盤技術を活かし、ライフサイエンス事業を自動車関連事業と並ぶ柱に育てるとともに、更なる新規事業開拓を行う。
③グローバリゼーション対応
アセアン・インド地区、中国地区にエリア本部を設立し、現地完結型のスピード経営を推進する。
欧州地区はフコクチェコ(有)を閉鎖しましたが、アライアンスにより競争力を強化する。
④DX推進
会社の基盤強化、生産性向上、更なる顧客ニーズに合わせた製品・サービス提供のため、DXを推進する。
⑤ESG対応
サステナビリティ委員会を設置するとともに、更なるサステナビリティ経営推進のため、2023年度よりサステナビリティ推進課を設置。重要課題(マテリアリティ)への取り組み、TCFDの考えに基づく情報開示等を強化する。
⑥多様な人材が活躍できる職場環境づくり
グローバル企業として持続的成長を実現するため、人材育成と働きがいのある職場環境づくりをさらに強化する。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サスティナビリティ全般
①基本方針
当社グループは、2022年5月に制定した「サステナビリティ基本方針」に則り、地球環境や社会の様々な課題を解決し持続可能な世界の実現に貢献することを経営の最重要事項と捉え、以下3つの項目を柱として取り組みを推進しております。
ⅰ)環境への配慮、コンプライアンスの遵守
地球環境を大切にし、高品質・長寿命・省エネルギー・省資源を実現する製品やサービスを提供します。各国の法令の遵守、人権への配慮、各国の伝統や文化の尊重、多様性の確保、公正かつ健康的な労働条件、個人情報の保護等、コンプライアンスを重視した事業活動を推進します。
ⅱ)ステークホルダーとの相互信頼関係構築
正確で明瞭な情報開示に努め、お客様・取引先・従業員・株主・地域社会等のステークホルダーとの双方向の対話を通じて当社グループへの期待や要請を確認し、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。
ⅲ)サステナビリティ推進に向けた企業文化醸成
経営トップのリーダーシップのもと、当社グループのすべての社員に対してサステナビリティ推進のための教育・啓発を継続するとともに、ひとり一人の知恵を結集し、新しい価値の創造に挑戦します。
②重要課題(マテリアリティ)
ESGの領域に積極的に取り組み、ステークホルダーからの期待に応えるため、下記のとおり特に重要とされるマテリアリティを特定して活動を進めております。
<フコクのマテリアリティ>

当社グループは、サステナビリティ基本方針の具現化のため、当社グループ全体を統括するサステナビリティ委員会を設置し運営しております。同委員会では代表取締役を委員長とし、経営課題として重要なサステナビリティに関するリスクと機会を特定し、マネジメントするため、中長期計画の策定、当社グループ全体の活動推進、その進捗のモニタリング等を実行しております。その結果は定期的に取締役会に報告され、取締役会ではその報告内容の管理及び監督を行っております。又、2023年度より更なるサステナビリティ経営推進と情報開示強化のため、サステナビリティ推進課を設置しました。
④リスク管理
当社グループは、サステナビリティ委員会にてサステナビリティ課題におけるリスクのモニタリングや再評価、重要リスクの絞り込み等を行い、今後の戦略に反映しリスクに対応しております。
⑤指標及び目標
当社グループは、サステナビリティに関する重要課題、非財務指標を当社の経営計画に織りこんでおります。今後も当社グループは、ものづくりやサービスを通して世界中の皆様に安心・安全・快適を提供するため、環境への配慮、品質の強化、SCM体制の構築、ガバナンスの強化等を進め、持続可能な経営を推進すべく基盤強化を図ってまいります。
(2) ESGへの具体的取り組み
① 環境への取り組み(E)
気候変動を始めとする環境課題は、社会の重要課題の1つであり、国内外に広く事業を展開し、ものづくりやサービスを提供する当社グループにおいても最重要課題の1つとしております。当社は、2022年6月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について分析と対応を強化し、関連情報の開示を積極的に推進しております。
カーボンニュートラル達成やサーキュラーエコノミーの実現に向けて環境目標を掲げ、環境に配慮したものづくりを進めるとともに、製品や技術で環境社会へ貢献できるよう取り組みを推進しております。
ⅰ)気候変動への取り組み
a.ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長を委員長とする全社環境委員会で、気候変動を含む環境関連の重要課題を審議・決定し、環境マネジメントシステム(ISO14001)でグループ全体のマネジメントを行っております。全社環境委員会にて事業に重要な影響を及ぼすと判断された気候変動を含む重要課題についてはサステナビリティ委員会にて審議・決定を行い、マネジメントを行っております。
b.事業戦略
当社グループは、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と気候変動リスクと機会が事業に与える影響を把握し、その影響に対する戦略策定を進めております。
<気候変動による主なリスク及び機会>

今後、TCFD新ガイダンスに準拠したシナリオ分析の中で、精緻な財務インパクトの把握についても検討を進めてまいります。
c.リスク管理
当社グループは、サステナビリティ委員会、リスク管理委員会、環境統括部門によるマネジメントシステム(ISO14001)で、リスクのモニタリングや再評価、重要リスクの絞り込み等を行い、戦略に反映しリスクへ対応しております。
d.指標と目標
当社は、サーキュラーエコノミーに向けた活動として「2025年に製造工程の廃棄物の50%削減」「2040年までに埋立処分率1%以下」、またカーボンニュートラルに向けた活動として「2030年にCO2の46%削減(2013年基準)」「2050年までにカーボンニュートラル」を目標に設定し活動を推進しております。また、新たに国内・海外子会社の環境目標(ガイドライン)を設定し、「2030年にCO2の30%削減」「2050年までにカーボンニュートラル」を追加しました。
<製造工程廃棄物削減>
サーキュラーエコノミーに向けた活動として「2025年に製造工程の廃棄物の50%削減」、更に「2040年までに埋立処分率1%以下」を設定し、工法開発による不良低減や、環境配慮型製品や工法開発を進めております。

<カーボンニュートラル方針>
「カーボンニュートラル方針」を新たに設定し、2050年までにカーボンニュートラル達成のため、まずは2030年までに工場のものづくり現場による省エネ活動や、製品、技術、生産革新による削減活動を重点取組事項として活動推進しております。

(注)日本国内の排出量は温対法に基づき算定しております。
脱炭素社会へ貢献するため、Scope3算定及び目標設定を検討しております。
②社会への取り組み(S)
当社グループは、多様なステークホルダーと良好な関係を築いていくことは企業価値向上に欠かせないものと認識しております。今後も多様なステークホルダーとの双方向の対話や関わりの中で事業活動を推進してまいります。また、事業環境の大きな構造変化や社会課題に対して、課題解決に貢献するものづくりやサービスを提供し続けるため、多様な人材が活躍できる職場環境づくり(人的資本)、知財や研究開発力の強化(知的資本)、DX推進やグローバル生産体制の強化(製造資本)を進めております。
ⅰ)人材戦略
当社は、多様な人材が個性・能力を発揮し力を合わせることが、新しい価値創造や高い成果を生み出す原動力となり、当社の持続的成長の実現に繋がると考え、「幅広い視点から自ら深く考え動く人材の育成」「ダイバーシティ&インクルージョン」「働きがいのある職場環境づくり」を人材戦略の3つの柱とし、人材の多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に取り組んでおります。この人材戦略立案と推進のため、2023年度より人事企画部を設置いたしました。
<人材戦略の3つの柱>
b.指標・目標
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、
③ガバナンスへの取り組み(G)
ガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
当社グループは、世界各地に工場及び事業所を保有しており、各国の政治体制下における政策、及び経済状況の影響を受ける可能性があります。これに対し、積極的に情報収集を進め、さまざまなケースを想定して対策を講ずるべく努めております。
当社グループは、自動車関連部品が売上高の8割以上を占めており、自動車メーカー及び一次部品メーカーの経営戦略、生産動向の影響を受けます。特に、自動車メーカーのEV化、一次部品メーカーの統合やグローバル生産体制の見直しは、当社グループの需要動向に大きな影響を及ぼす可能性があります。顧客からの要請・ニーズの変化等を想定し、日常的な情報収集を進め、必要な技術開発投資などを適切に判断しながら対応策を検討しております。
当社グループが推進する戦略的提携や合弁事業は、パートナーの経営方針や経営環境の変化により維持不可能となった場合には、当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。これに対し、パートナーと常に良好なコミュニケーションを維持しながら情報交換や必要な交渉に努め、不測の事態の回避を図ると同時に、状況の変化に即応できる態勢を維持しております。
当社グループは多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入しており、原材料及び部品の高騰、供給逼迫、さらには取引先の廃業などによって影響を被る可能性があります。これに対し、取引先との良好な関係を維持しつつ、製造原価の低減に資する選択的購入や切り替え、災害等の不測の事態における安定調達を目的として、継続的に取引先の拡充や適正化を進めると同時に、取引先の経営状況の把握や必要な支援の提供等にも努めております。
当社グループは海外に多くの取引先や提携先を持ち、事業所を展開しておりますため、為替レートの変動によって当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。これに対し、継続的に変動を注視するとともに、必要に応じてネッティングや予約等の施策を講じ、可能な限りマイナスインパクトを軽減するべく努めております。
当社グループが保有する、自社製品に関連する多数の特許及び商標等の知的財産が広範囲にわたって保護できない場合、あるいは不当に侵害された場合には、事業活動が影響を被る可能性があります。これに対し、常に侵害にあたる事実の把握に努めており、そのような事実を認めた場合には適切な対抗手段を取れる体制を整えております。
大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。これに対し、設計から製品のリリースまでの全プロセスにおいて顧客や取引先との密なる連携に基づく工程並びに機能、品質の作りこみを常に心掛けております。また、万一の事態においては迅速なリカバリーと供給体制の維持に努めます。
自動車部品業界は広範囲な環境その他の法的規制に服しており、これらの規制を遵守するための費用が、当社グループの事業にとって重大な金額となる可能性もあります。これに対し、日常的に情報の取得に努め、材料変更、工法・設備の改良、生産地変更など、負担軽減に向けた対応策を講じております。
当社グループは、事業活動を通して得意先、取引先等の個人情報や機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。万一、サイバー攻撃その他によって情報セキュリティの仕組みが無効化し、これらの情報が流出または破壊された場合や、システムの停止等に陥った場合には、当社グループの業績や財務状況が影響を被る可能性があります。これに対し、万全のセキュリティを企図したグループ・ネットワークを構築し、日々の進化を図るとともに、当社グループ内の情報セキュリティ教育・啓蒙にも努めております。
(災害・戦争・社会インフラ麻痺等の影響)
当社グループは国内外に広く事業を展開しており、地震や津波等の自然災害、戦争、電力不足等の社会インフラの麻痺、伝染病、パンデミック、テロ、ストライキ等が発生した地域においては、原材料や部品の調達、生産活動、製品の販売及び物流などの遅延や停滞、また、受注減少や取引停止の可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績と財務状況が影響を被る可能性があります。これに対し、日常的に情報の収集と共有を進めているほか、万一の事態においては危機対策本部を設け、「安全最優先」の基本方針に則って従業員の安全・安心を守ると同時に、当社グループ内の連携と相互支援を強めるなど、経営への影響を最小限に留めるよう努めております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症による影響が徐々に緩和され、内需を中心に緩やかに持ち直しの動きがみられた一方で、ウクライナ情勢など地政学リスクの顕在化、急激な為替変動や物価上昇など不安定な状況が続きました。自動車業界においては、需要が高い水準にあるものの、半導体の供給不足等により、自動車メーカーは生産計画の下方修正を余儀なくされております。
このような経済情勢の下で、当社グループにおいては、円安の影響により円換算時の収益増がありましたが、自動車メーカーの生産調整の影響による操業度の低下、また、資源価格高騰による原材料費や燃料費の上昇が、損益に大きな影響を与える状況となっております。
当連結会計年度の業績については、自動車メーカーの生産調整による減収の影響を受けましたが、為替の影響により、連結売上高は前年同期比15.1%増の823億18百万円の増収となりました。営業利益は、原材料費や輸送費及び燃料費の上昇の影響を合理化や販売価格への転嫁等により吸収し、前年同期比14.9%増の20億10百万円、経常利益は同24.4%増の31億39百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.4%増の21億35百万円となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
売上高は、自動車メーカーの生産調整による操業度低下がありましたが、為替換算の影響により、前年同期比7.9%増の333億61百万円となりました。セグメント損益については、原材料価格の上昇と輸送費の高騰の影響が大きく、前年同期比14.3%減の26億89百万円の利益となりました。
売上高は、建設機械向けの受注好調と電気自動車向け新製品の販売、及び為替換算の影響により、前年同期比22.5%増の347億24百万円となりました。セグメント損益については、合理化効果と金具鋼材費の上昇を販売価格へ転嫁したことにより、前年同期比83.6%増の15億14百万円の利益となりました。
売上高は、建設機械向けの受注好調により、前年同期比17.8%増の64億80百万円となりました。セグメント損益については、合理化効果と金具鋼材費の上昇を販売価格に転嫁し2百万円の利益となりました(前年同期は1億75百万円の損失)。
売上高は、受注が回復基調となったことを受けて、前年同期比17.3%増の51億34百万円となりました。セグメント損益については、前年同期比24.0%増の1億16百万円の利益となりました。
売上高は、前年同期比11.0%増の33億80百万円となりました。セグメント損益については、売上高回復に伴う操業度が改善したことにより、前年同期比16.7%増の6億7百万円の利益となりました。
財政状態の状況は次のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末に比べて64億90百万円増加し、715億30百万円となりました。
主な要因は、円安下での為替換算に伴う商品及び製品、並びに売掛金の増加等による流動資産の増加47億83百万円によるものです。固定資産は、設備投資に伴う有形固定資産の増加等により17億6百万円増加しております。
負債は、前連結会計年度末に比べて29億15百万円増加し、335億77百万円となりました。
主な要因は、借入金の増加等による流動負債の増加35億53百万円によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べて35億75百万円増加し、379億52百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金の増加14億15百万円、為替換算調整勘定の増加19億57百万円等によるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億95百万円増加し、94億78百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は35億15百万円(前年同期は53億44百万円)となりました。これは主に減価償却費44億71百万円、税金等調整前当期純利益35億11百万円による資金の増加と、売上債権の増加15億72百万円、棚卸資産の増加8億76百万円、退職給付に係る資産負債の減少7億22百万円等による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は39億88百万円(前年同期は28億46百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得が41億3百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は7億53百万円(前年同期は28億15百万円の支出)となりました。これは主に借入による収入が返済を15億76百万円上回ったこと、配当金の支払が7億56百万円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前年同期比64億90百万円(10.0%)増の715億30百万円となりました。うち流動資産は同47億83百万円(12.7%)増の425億28百万円、固定資産は同17億6百万円(6.3%)増の290億1百万円となっております。流動資産の増加は、円安下での為替換算に伴う商品及び製品、並びに売掛金の増加等によるものです。固定資産の増加は、設備投資に伴う有形固定資産の増加とDX推進のためのソフトウェア投資に伴う無形固定資産の増加等によるものです。
当連結会計年度末の負債の合計は、前年同期比29億15百万円(9.5%)増の335億77百万円となりました。うち流動負債は同35億53百万円(15.6%)増の263億45百万円、固定負債は同6億38百万円(8.1%)減の72億32百万円となっております。流動負債の増加は、短期借入金の増加等によるものです。固定負債の減少は、退職給付制度の移行に伴う退職給付に係る負債の減少等によるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、前年同期比35億75百万円(10.4%)増の379億52百万円となりました。その主な要因は、増収に加え、原材料費や輸送費等のコスト上昇の影響を生産合理化や販売価格への転嫁等で吸収したことによる利益剰余金の増加と、為替換算調整勘定の増加によるものです。為替換算調整勘定は主として米ドル、中国元及びタイバーツの為替変動の影響により前連結会計年度末の10億25百万円から29億83百万円に増加しました。非支配株主持分は、非支配株主に帰属する当期純利益59百万円の計上並びに為替換算調整勘定の増加により、前年同期比1億80百万円(8.4%)増の23億33百万円となりました。
上記の結果、自己資本比率は前年同期比0.3ポイント増の49.8%、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産は前年同期比209.07円増の2,211.12円となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による影響が徐々に緩和され、内需を中心に緩やかに持ち直しの動きがみられた一方で、ウクライナ情勢など地政学リスクの顕在化、急激な為替変動や物価上昇など不安定な状況が続きました。自動車業界においては、需要が高い水準にあるものの、半導体の供給不足等により、自動車メーカーは生産計画の下方修正を余儀なくされております。
このような経済情勢の下で、当社グループにおいては、自動車メーカーの生産調整による減収の影響を受けましたが、為替の影響により、連結売上高は前年同期比15.1%増の823億18百万円となりました。営業利益は、原材料費や輸送費及び燃料費の上昇による外部要因の影響をグローバルでの最適地生産や歩留まり向上などの合理化や販売価格への転嫁等の企業努力により吸収し、前年同期比14.9%増の20億10百万円、経常利益は子会社が所有する固定資産の売却益や為替差益等による一過性の収益により同24.4%増の31億39百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は同2.4%増の21億35百万円となりました。これにより、1株当たりの当期純利益は132.61円(前年同期は127.24円)となっております。
なお、セグメント別の業績分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
c. キャッシュ・フローの分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比18億29百万円減の35億15百万円となりました。売上の増加による売上債権の増加が主な要因となります(前年同期は売上債権の減少)。なお法人税等の支払額は7億88百万円(前年同期は6億1百万円)となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比11億42百万円増の39億88百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出の増加が主な要因となります。これは生産合理化等の設備投資を実施したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億53百万円の収入(前年同期は28億15百万円の支出)となりました。設備投資等により、借入金の収入が返済を上回り15億76百万円の収入となったことが主な要因となります。一方、配当金の支払額は7億56百万円となっております。
現金及び現金同等物に係る換算差額は、主に中国元及び米ドルの為替変動の影響により4億15百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて6億95百万円増加し、94億78百万円となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資並びに配当金の支払いであります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくことを基本方針としております。
また、突発的な資金需要に備え、当社は主要な取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結し、手許流動性リスクに備えております。なお、これについて当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当連結会計年度末における有利子負債は130億54百万円となっており、前連結会計年度末に比べ20億84百万円増加しております。
キャッシュ・フローの状況の詳細については、「c.キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは2024年3月期に、連結売上高800億円、経常利益率7%、ROE8%の目標を達成するため、既存事業の拡販、新規事業の創出、及び合理化推進や生産性向上に取り組んでおり、その達成状況は「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針と経営戦略」のとおりです。
中期経営計画初年度であった2022年3月期及び2023年3月期は、売上高は概ね計画線上で推移したものの、利益面においては、計画を下回る形となりました。これは中期経営計画策定時に想定していた外部要因と比較し、半導体不足に伴う生産調整や原材料価格高騰が収益面に影響を与えたこと等の要因によるものです。
中期経営計画最終年度である2024年3月期におきましても、その計画数値には届かない見通しではありますが、時系列的においては、売上・利益面共に総じて右肩上がりで伸張する計画です。
尚、中期経営計画の3年目となる2024年3月期の業績予想としては、2023年5月15日発表の決算短信にて公表のとおり、売上高880億円、営業利益39億円、経常利益40億円、当期純利益29億円を掲げております。
今後の見通しとしましては、新型コロナウイルス感染症における行動規制緩和により、徐々に経済活動の正常化がみられる一方、依然として半導体供給不足は先行き不透明な状況です。また、ロシア・ウクライナ情勢並びにこれに伴う世界的な為替変動及び物価高騰の影響についても、予断を許さないところであります。
このような状況の中、CASE対応を含む社会的ニーズの高い次世代製品の開発・育成が急務となり、既存のビジネスモデルを超越した価値の創造が求められています。この大きな変化をチャンスととらえ、フコクは新たな一歩を踏み出し、より成長し、発展していくために、この度の経営体制刷新とともに現在「新中期経営計画2026」を策定しました。
前中期経営計画は体質強化に注力し、土台作りは完了したとの認識です。今回の中期経営計画は「既存事業の強化」と「成長事業・新事業の拡大」の事業戦略の両輪に加え、ESGの各観点を重視した経営基盤の改革に取り組むことによって「収益力の最大化」を狙います。そして、将来への飛躍のファーストステップとして位置付けております。
長期的にはフコク独自のコア技術で高付加価値製品・ソリューションを提供し続けることで収益力の極大化を狙います。飛躍的成長を経て、サスティナブルな社会の実現に貢献出来る「心から愛される企業」を目指します。
(目標)2026年度 連結売上高1,200億円、営業利益率 8.0%、ROE 12.0%、連結配当性向30%
詳細は,2023年6月28日発表の「新中期経営計画2026」をご覧ください。

セグメント別の状況は以下のとおりであります。

地域別の状況は以下のとおりであります。

技術供与契約
日本政府は2050年カーボンニュートラルを宣言し、自動車メーカーでは製品のライフサイクル全体で多くのCO2を排出していることから、BEV(Battery EV:電気自動車)やFCEV(Fuel Cell EV:燃料電池車)などZEV(Zero Emission Vehicle)へのシフトを急速に進めています。 当社グループは、自動車用ゴム部品を主要製品とするサプライヤーとして、持続可能な脱炭素社会の実現に向けて社会的課題の解決に取り組むと同時に、技術開発本部と関連部門とが相互に連携しながら、独自の技術を活かした新製品のスピーディな開発を推進しております。
ゴムを構成する原材料の多くは石油由来であるため、原材料についてはバイオマス原料やCO2発生量の少ない原料へのシフト、生産プロセスにおいて低エネルギーで製造を可能とする易加工性の材料開発を進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
自動車分野においては、電動油圧ブレーキ用グロメット、ディスクブレーキ用ピストンシール、冷却モジュール用バルブ、冷却モジュール用パッキン、等速ジョイント用ブーツ等を国内外の顧客向けに開発しております。非自動車分野においては産業機器向けリニアガイド用シール、エアーシリンダー用シールを国内の顧客向けに開発しています。また、CASE時代に対応し、EV車バッテリーの熱マネジメント用のバルブやシール等の開発も進めております。
特に当社の主軸商品であるワイパーブレードラバーにおいては、顧客ごとに異なるワイパーブレード構造や押し付け力性能に応じたラバー形状を最適設計するシミュレーションツールを開発しました。さらに、車輛評価が可能な大型環境試験室を導入することで、Tier1にて行う性能評価の一部を自社で実施することが可能となり、開発期間の大幅な短縮を実現いたしました。また、環境対応の一環としてカーボンニュートラル材を使用したワイパーブレードラバーの研究を開始し、安全対応として自動運転に必要な光学センサー用の特殊ラバー等の検討を進めております。
CASE時代に対応した商品について、EV電池用緩衝材であるバッテリーホールドシートやセンサー用防振ゴム等の開発に積極的に取り組んでおり、この他、宇宙関連機器用防振ゴム等、新たな分野においても開発を行っております。
自動車分野においては、共創により足回り防振ゴムブッシュ等の新規受注を獲得し、サスペンション用ブッシュ等の各種防振ゴム、クランクシャフト用ダンパープーリー等を国内外の顧客向けに開発しており、更なる拡販活動を積極的に行っております。2023年度はASEAN地域に技術者を新たに派遣し、グローバルな開発を迅速に行える体制を構築します。
一般産業分野においては、建機のキャビン用液封マウント、林業用機械のキャビン用小型液封マウント、住宅用防振ゴム、鉄道軌道用防振ゴム、鉄道関連の台車周辺緩衝ゴム等を国内外の顧客向けに幅広く開発しております。
長寿命、高い防振性能、カーボンニュートラル対応商品等、昨今増加している顧客ニーズにお応えするため、新材料、新形状を積極的に採用し、新しい付加価値をご提供できるよう開発を進めております。
2022年度より開始しました航空宇宙分野の取り組みは、OEM製品の開発と並行して、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステム(JISQ9100)の認証を取得しました。2024年度の量産開始を目指して、新分野参入の足場造りに注力しております。
半導体分野においては、シリコンウエーハメーカーのお客様が、動画や画像等を保管するデータセンターや自動車の自動運転等によるシリコンウエーハの需要増加に対して、生産体制の増強を進めておりますので、当社におきましてもシリコンウエーハのカットが従来の3倍速以上でも対応できる高耐久性スライスローラーの量産を開始しました。
ライフサイエンス事業においては、2023年6月より迅速細菌検査キット「RaST-TAS β-ラクタマーゼ・スクリーニング試薬キット」を株式会社スギヤマゲンより発売開始しました。また、再生医療や細胞加工で使用される細胞凍結保護液や細胞凍結バッグ、細胞分散酵素液等を上市し、その他の製品においても、大学、企業並びにクリニック等で評価頂いております。細胞加工技術を活用した化粧品原料は、更なる用途開発と有効性のエビデンスを蓄積すると共に、ナノレベルまでの粉砕加工した製品を開発検討しております。
さらに、超音波モータやリニアアクチュエータを活用した非磁性、高精度をキーワードとした医療デバイスの用途開発を継続しております。