独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2025年6月23日

株式会社フコク

取締役会 御中

 

EY新日本有限責任監査法人

 

東京事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

日  置  重  樹

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

大  久  保  豊

 

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社フコクの2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社フコク及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

(1)固定資産の減損損失認識の判定

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2025年3月31日現在、連結貸借対照表上、有形固定資産29,000百万円及び無形固定資産1,903百万円(両者合計で資産合計の38.9%)を計上している。会社は原則として親会社及び連結子会社ごとに事業区分を基準として資産のグルーピングをし、営業活動から生じる損益が継続してマイナスの場合等に減損の兆候を識別している。

当連結会計年度に減損の兆候が識別されている資産グループのうち、連結子会社上海フコク有限公司の防振事業に関しては、第5【経理の状況】1【連結財務諸表等】【注記事項】(連結損益計算書関係)に記載されているとおり、中国市場の景気低迷に伴う業績悪化のため、282百万円の減損損失を計上している。

また、第5【経理の状況】1【連結財務諸表等】【注記事項】(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、連結子会社タイフコク株式会社(以下、TFC)の防振事業に係る資産グループ(有形固定資産1,404百万、無形固定資産-百万円。資産合計の1.7%)については、タイ国での自動車ローン審査厳格化による新車需要の低迷並びに商用車の販売不振による会社製品の需要低減により、継続して営業損失が計上されていることから、減損の兆候が識別されている。

減損損失認識の要否の判定における将来キャッシュ・フローの見積りは、親会社の取締役会により承認された翌連結会計年度の予算及びその後2か年、合計3か年の中期計画を基礎とし、経済的残存使用年数に相当する期間に亘り見積っている。当該見積りにおける主要な仮定には以下のものが含まれる。

 

主要な仮定

(1)将来の販売数量

(2) 残存耐用年数到来時の不動産処分価格

 

これらの仮定については経営者による判断を必要とし、また現地市場の需要回復等の外部環境の変化は不確実性が高く、減損要否の判断は大きく影響を受ける。そのため、当監査法人は減損の兆候を識別しているTFCの防振事業に係る減損損失の認識の判定について、特に不確実性が高いものと判断し、当該事項を監査上の主要な検討事項とした。

当監査法人は、TFC防振事業について、資金生成単位の減損の検討における使用価値の見積りを評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

・経営者の見積りプロセスの有効性を評価するため、見積りの基礎となる、取締役会によって承認された翌連結会計年度の予算及びその後2か年、合計3か年の事業計画を入手し、前連結会計年度末において策定した事業計画に対し、当連結会計年度の実績及び当連結会計年度末に見直した翌連結会計年度以降の事業計画と比較を行い、差異がある場合にはその原因分析を実施した。

・将来キャッシュ・フローの見積期間を検証するため、主要な資産の選定方法及び当該資産に係る経済的残存使用年数の計算を検討した。

・事業計画に含まれる主要な仮定について、下記の手続を実施した。

【左記(1)に対応する手続】

a) TFCの将来の販売数量の増加について、主要な契約に関する販売計画について経営者へ質問した。

b) 翌連結会計年度以降に見込まれている販売数量の推移について、外部機関が公表する各国自動車販売台数に関する市場見通しとの整合性を検討した。

c) 翌連結会計年度以降に見込まれている販売数量の増加について、受注獲得に不確実性のある契約、自動車メーカーの生産調整等の外部環境の変化の影響を受ける可能性のある契約について、経営者への質問及び関連資料から監査人の許容範囲を設定した上で感応度分析を実施し、割引前将来キャッシュ・フローの変動額と帳簿価額の比較分析を実施した。

【左記(2)に対応する手続】

d) 経営者が利用した外部の専門家である鑑定評価会社の適性、能力及び客観性について、海外現地監査人に監査手続を指示し、その実施結果を監査調書にて確認した。

e) 会社が利用した鑑定評価会社による不動産鑑定評価書を閲覧し、当該不動産鑑定評価の前提条件や採用した評価手法、評価額決定に至る判断過程を把握するとともに、海外現地監査人に監査手続を指示し、鑑定評価に使用された取引事例比較法等による評価額について、入手可能な近隣の同種の物件の取引事例との比較等を実施した。

 

 

(2)連結子会社で発生した不正出金と着服の検討

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

連結子会社である上海フコク有限公司(以下、「上海フコク」という。)の従業員が不正な経理処理により資金を着服した可能性が発覚した。これを受けて会社は、外部専門家で構成される特別調査委員会を2024年11月29日付にて設置し、調査を実施し、2025年2月14日付で、特別調査委員会より調査報告書を受領している。

特別調査委員会による調査の結果、上海フコクの従業員による過年度からの当該子会社の預金・現金の不正出金と着服、及びその偽装工作として虚偽の支払費用計上の事実が確認された。

2025年3月期決算における連結財務諸表に与える影響額については、2011年1月から2024年10月までの間に私的な用途のために不正出金した金額423百万円を債権計上するとともに、貸倒引当金繰入額として営業外費用に同額を計上している。

当該不正な出金額及びこれに派生する会計的な影響を把握する必要があり、そのためには、不正な出金の内容及び発生原因、当該不正な出金が行われた範囲、類似した取引の有無等を調査する必要がある。

そのため、当監査法人は不正な出金額を検討するには不正調査や法令に関する専門的な知識及び慎重な判断が必要となることから、当該事項を監査上の主要な検討事項とした。

当監査法人は、不正な出金額の把握及び追加税金等の見積りの妥当性を検討するため、当監査法人の不正調査専門家を関与させた上で、以下の監査手続を実施した。

・設置された特別調査委員会の調査委員に関する適性、能力及び客観性について当監査法人の不正調査専門家による個別の調査結果に基づき確認した。

・特別調査委員会の調査内容及び調査結果の信頼性を検討するため、特別調査委員会の設置以降、特別調査委員会と随時協議を実施するとともに、特別調査委員会が行った調査の範囲、実施した手続、調査結果、結論及びその根拠を調査関連資料の閲覧により確認した。

・当該不正な出金額を網羅的かつ正確に把握するために、特別調査委員会の指揮監督下で実施され作成された検証結果、デジタル・フォレンジック調査及びヒアリング調査の実施結果等を調査関連資料の閲覧により確認した。

・類似取引の有無を把握するため会社が実施し、特別調査委員会が検証した検討プロセス及びリスク評価結果を調査関連資料の閲覧により確認した。

・特別調査委員会及び会社による調査結果に基づく必要な修正処理金額と会計仕訳の金額一致を確認した。

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社フコクの2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社フコクが2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は開示すべき重要な不備があるため有効でないと表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

強調事項

内部統制報告書に記載されているとおり、会社の中国連結子会社の支払プロセスにおける内部統制及び決算財務報告プロセスにおけるレビュー統制には開示すべき重要な不備が存在しているが、会社は開示すべき重要な不備に起因する必要な修正について全て財務諸表及び連結財務諸表に反映している。

これによる財務諸表監査に及ぼす影響はない。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E01113-000 2025-06-23 E01113-000 2025-06-23 jpcrp_cor:Row1Member E01113-000 2025-06-23 jpcrp_cor:Row2Member