第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、将来の朝日ラバーグループ全体が目指していく姿として、2020年を見据えたビジョン「AR-2020 VISION」を定めました。これは、①技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。②現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。③人財こそが、事業運営の要とし、人材の育成を行う。という3つの姿です。

 この「AR-2020 VISION」の最終年度である2020年3月期に向けて、2017年4月からスタートの三ヵ年の中期経営計画「V-2計画」を策定しました。

 当連結会計年度は「V-2計画」の二年目として、グループ全社で取り組みを進めた結果、連結売上高は前期を上回ることができましたが、利益面は戦略的に重点投資を優先したため前期を下回る結果になりました。

 当社を取り巻く環境は世界経済の変化に伴いめまぐるしく変わろうとしています。自動車産業をはじめとする当社が主要事業としている分野では、市場とサプライチェーンのグローバル化が更に進むとともに、新たな価値を求める市場のニーズが強くなっております。先行きが見通しにくい状況が続いていますが、当社独自の技術を生かした製品を先行的に開発し、市場に対して提案力を高め続けることが、当社の継続的な成長を支える最重要な取り組みと考えております。

 変化する事業環境への対応と、将来に向けた持続的な成長を続けるため、若手人材を事業の課題に直面させる機会を増やし、意見を持って活躍できる機会を広げる取り組みをスタートさせました。さらに、従業員がいきいきと働くことができる環境を整えることが、従業員の幸せと事業の持続的成長、そして社会への貢献につながると考えています。

 事業においては、開発テーマの具現化に向けた事業化投資と将来成長が見込める分野の基礎力をつける取り組みを進めていきます。研究部門がコア技術を強く育て、技術部門が正しく機能を磨き、製造部門が高い技術力を生かして製品に仕上げ、管理部門が自社の活動を正しく見えるような環境づくりを進めていく。こうした活動を日々進めていくために、リスクマネジメント体制を整え、変化に柔軟に対応できる組織づくりを進めていきます。

 2020年3月期は「V-2計画」の最終年度となります。中期経営方針である質的成長に向けてさらに事業基盤を構築していきます。

 車載・照明事業分野では、第12次中期経営計画に則して、従来の自動車インテリア照明に加えて、新たにエクステリア市場への参入を開始いたします。また、2020年末までに自動車産業の国際的な品質マネジメント規格であるIATF16949の認証取得を目指し、事業基盤の強化と販売拡大を狙います。

 医療・ライフサイエンス事業分野では、当社独自開発の医療用回路部品の市場投入などを計画し、医療・衛生用ゴム製品を製造する第二福島工場と白河第二工場の主力製品を更に強化してまいります。

 また環境面では、既に保有する太陽光発電システムの一部を増強して、再生可能エネルギーの利用率を高めた工場操業を進めてまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

(1)海外展開におけるリスク

 当社グループは、海外子会社4社を含み、北米、欧州、アジアを中心に販売活動を展開しております。グローバルな販売活動を展開するうえで、法的規制や政情不安などによる影響を受けるリスクを完全に回避できる保証はありません。また、為替変動による売上高の変動など、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)本社及び福島工場等の不動産を保有することによる地価変動に係わるリスク

 埼玉県さいたま市の本社および生産拠点である福島県西白河郡の福島工場と第二福島工場、福島県白河市の白河工場と白河第二工場の立地する土地は、当社グループが保有しております。周辺環境の変化などにより大幅に地価が変動し、資産価値に影響を受ける可能性があり、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)品質不具合が流出した場合の製造物責任法による損害賠償責任発生のリスク

 当社グループでは、顧客に提供する製品の品質には、製品設計、工程管理、検査体制に至るまで、万全の体制を整えるべく努力しております。しかし、万一、顧客に納品した製品に不具合があり、それが最終製品として市場に流出し、検証の結果、当社製品による不具合が認められ、製造物責任法による損害賠償責任が発生した場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)生産拠点である各工場の閉鎖または操業停止のリスク

 当社グループの生産拠点は、福島県西白河郡の福島工場と第二福島工場、福島県白河市の白河工場と白河第二工場及び中国広東省東莞市の工場であり、火災、地震、その他の災害等により工場が閉鎖もしくは操業停止する可能性があります。この場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(5)原材料市況の変化によるリスク

 当社グループの製品は、ゴム原料およびその添加物を仕入れ、加工し、製品として販売しています。こうした原材料の価格は、グローバルな市況の変化に影響を受け変動することがあります。この場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(6)新製品・開発製品の納品時期の遅れによる、期間の売上高及び利益が変動するリスク

 当社グループでは、新製品・開発製品を市場供給するために、日々、創意工夫と改善努力を積み上げる企業風土を醸成し、顧客に満足していただける製品を提供できるよう取組んでおります。こうした新製品・開発製品の受注は、顧客との綿密な打合せによりスケジュール化され量産が開始されますが、当社グループ内の設計や工程に関わる問題、顧客の生産計画・販売計画に起因する製品の量産開始と納品時期が遅れ、計画していた期間内の売上高および利益が変動することがあります。この場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7)当社製品を最終的に採用された顧客の販売戦略による売上高及び利益が変動するリスク

 当社製品は、そのほとんどがゴム部品として顧客のもとで最終製品として組み込まれ、市場へと展開されます。この最終製品の販売動向については顧客に依存するものであり、顧客の販売戦略上、計画していた販売数量に変動が生じることがあります。この場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした変動を少なくするよう事前に顧客との綿密な調整を重ね、当社グループの販売戦略を立案させていくよう取組んでまいります。

(8)法規制の変更による環境対応のリスク

 当社グループでは、ISO14001を取得し、特に環境対応において経営の重要課題と認識し、全ての業務において環境への配慮を念頭においた活動を続けております。ゴム製品を生産している当社工場内では、適正管理下において一部使用している削減対象物質については削減計画を立案し、代替物質の検証も行いながら、顧客に満足していただける製品の提供を目指しています。しかし、環境に関する法規制の変更等により、現在は許可されている物質の使用が認められなくなった場合、製品性能を損なわないための代替物質で補う必要があります。この場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(9)知的財産に関するリスク

 知的財産の保護は当社グループの事業展開において非常に重要であり、知的財産権保護のための体制を整備しその対策を実施しておりますが、他社との間に知的財産を巡って紛争が生じたり、他社から知的財産の侵害を受けたりする可能性があります。また、新製品・開発製品の市場投入を進める上で、特許の不成立や取得した特許を適切に保護できない場合、想定より早く他社の市場参入を招く可能性があり、この場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績

 当社グループは、2020年を見据えたビジョン「AR-2020 VISION」を策定し、2017年4月から第12次中期経営計画「V-2計画」をスタートしております。中期経営方針として「AR-2020 VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」を掲げ、継続的な成長を可能にする強固な事業基盤を整備し、ゴムの基礎技術と製品力を磨いて質的な成長を目指しております。

 重点事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他の3つとし、特に研究開発として車載・照明分野では感性認知支援領域、医療・ライフサイエンス分野ではウェアラブル領域、その他分野では再生エネルギー領域における「プラズマ気流制御電極の開発事業」を国立研究開発法人産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所から支援いただきながら進め、それぞれの研究計画通りに評価を積み上げ、信頼性の向上に努めてまいりました。

 当連結会計年度における事業環境は、2018年末から急速な世界経済の景気減速感を受けておりますが、第12次中期経営計画に則した各重点事業分野への施策遂行、そして経営基盤の強化につながる基幹システムの変更など着実に前進させてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は77億6百万円(前期比2.3%増)となりました。利益面では、材料開発や工程改善、ものづくりの構築に関する先行投資の実施と業務の効率化を図るべく中途採用を行ったことなどによる費用増により、連結営業利益は4億8千3百万円(前期比13.7%減)、連結経常利益は5億8百万円(前期比13.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億5千2百万円(前期比23.3%減)となりました。

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 工業用ゴム事業

 工業用ゴム事業では、RFIDタグ用ゴム製品の受注が好調に推移、前期比1.5倍の売上増となりました。主力製品の自動車内装照明用のASA COLOR LEDの売上高は微減となりましたが、自動車のスイッチ用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの受注が好調に推移いたしました。

 この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は64億9千8百万円(前期比2.1%増)となりました。一方、連結セグメント利益は6億4千1百万円(前期比7.5%減)となりました。

 医療・衛生用ゴム事業

 医療・衛生用ゴム事業では、採血用・薬液混注用ゴム栓およびプレフィルドシリンジガスケットなど、医療用ゴム製品全般において受注が堅調に推移いたしました。

 この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は12億7百万円(前期比3.4%増)となりました。連結セグメント利益は1億6千2百万円(前期比12.0%減)となりました。

(2)財政状態

(資産の状況)

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて5千8百万円減少し、104億4千9百万円となりました。この主な減少要因は、工業用ゴム事業において自動車関連ゴム製品及びRFIDタグ用ゴム製品の増産対応の設備投資があったことで機械装置及び運搬具が増加したものの、支払手形及び買掛金、電子記録債務の支払いにより現金及び預金が減少したものであります。

(負債の状況)

 当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて2億5百万円減少し、59億7千8百万円となりました。この主な減少要因は、電子記録債務が減少したものであります。

(純資産の状況)

 当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて1億4千6百万円増加し、44億7千1百万円となりました。この主な増加要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益計上による収入があったものの、主に工業用ゴム事業において積極的な設備投資と有利子負債の圧縮及び法人税等の支払額増加等により連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ3億3千万円減少の8億3千4百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、5億4千万円の収入(前期は11億2千6百万円の収入)となりました。
 これは主に、仕入債務の減少3億4百万円(前期は1億8千1百万円の増加)があったものの、税金等調整前当期純利益5億2千1百万円(前期は5億8千7百万円の利益)、減価償却費4億9千7百万円(前期は4億1千7百万円)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、7億4千7百万円の支出(前期は8億1百万円の支出)となりました。
 これは主に、有形固定資産の取得による支出8億4千8百万円(前期は5億5千9百万円の支出)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1億7百万円の支出(前期は4億4千7百万円の支出)となりました。
 これは主に、長期借入れによる収入12億円(前期は11億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出12億円(前期は11億6千1百万円の支出)、配当金の支払額1億1千万円(前期は8千5百万円の支払)によるものであります。

 また、当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの借入金による調達を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は31億7千5百万円となっております。

(4)生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

6,503,010

1.1

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,243,486

6.8

合計(千円)

7,746,496

2.0

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業

6,433,165

1.0

732,744

△8.2

医療・衛生用ゴム事業

1,238,895

6.1

140,396

28.8

合計

7,672,060

1.8

873,140

△3.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

6,498,989

2.1

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,207,462

3.4

合計(千円)

7,706,452

2.3

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 日亜化学工業株式会社

1,548,362

20.6

1,571,767

20.4

 富士通フロンテック株式会社

568,752

7.5

898,605

11.7

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。

 (収益の認識)

 当社グループの売上高は、顧客への出荷日をもって計上しております。また、売上高のうち金型の売上高は、顧客指定の手続きを経て、検収が確定したものを計上しております。

 (有価証券)

 時価のあるものについては、決算期末日の市場価格等に基づく時価法、時価のないものについては移動平均法による原価法により算出しております。また、時価のある有価証券については、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして減損処理をしております。

 (貸倒引当金)

 当社グループは債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 (退職給付に係る負債)

 従業員の退職給付に備えるため、当社及び一部の連結子会社は、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産額に基づき計上しております。

 なお、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。

 (繰延税金資産の回収可能性)

 繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは2014年に2020年を見据えた「AR-2020 VISION」として、①技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。②現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。③人財こそが、事業運営の要とし、人材育成を行う。という長期ビジョンを掲げ、中期経営計画、単年度経営計画、事業計画を策定して各個人ごとの目標管理へとつなげて活動を推進してきました。2017年から始まった「V-2計画」においては、「AR-2020 VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」という方針のもと、スローガンとして、弾性無限への挑戦を掲げ、2年目となる今期は、研究開発においても当社子会社の研究所と共に、機能性のあるゴムを追求する活動を行ってまいりました。

 現在の研究開発は、当社工場の技術グループおよび子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&D)において、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進しております。

 株式会社朝日FR研究所は、継続的に3つのコア技術「色と光のコントロール技術」、「素材変性技術」、「表面改質およびマイクロ加工技術」の深掘りを行っており、今期はこれらに加え、新たなものづくり技術に挑戦いたしました。

 当連結会計年度におきましては、ASA COLOR LEDにおいては、埼玉大学と2015年度から3カ年で戦略的基盤技術高度化支援事業の成果として特許を出願することができました。プラズマ制御電極の開発においては平成29年度福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業に採択され引き続き重要な基本的データを取得できたこと、マイクロ流体デバイスにおいては埼玉県産学連携研究開発プロジェクトを引き続き産総研と共に進め、新たな表面改質技術を手に入れることができ、外部研究機関・企業等との連携を深めてまいりました。

 株式会社朝日FR研究所の研究員は10名、これは全従業員の1.8%であります。当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は182,660千円であります。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載はおこなっておりません。

1.工業用ゴム事業

 株式会社朝日FR研究所と当社技術グループが連携して、研究開発から量産までのフェーズに合わせて素材開発、製品開発、生産技術開発を行っております。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次の通りです。

(1) ASA COLOR LED

 ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオメーカー・キースイッチなどのバックライト照明に広く使われております。高輝度で、低コストの新しいLEDパッケージに適合する新しい製造手段を開発するなど、「色と光のコントロール技術」を継続的に進化させてきました。

 また、前述の埼玉大学と進めている、色のバラツキが少なく、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDの蛍光体層開発は特許出願まで終了し、マーケティングを開始しました。引き続き実証実験を繰り返しながら、埼玉大学との共同研究を継続することにいたしました。

(2) ASA COLOR RESIST INK

 主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インクの開発を進めております。今期もお客様の要望に即した素材に改良され、採用が進んでおります。

 また経済産業省が推進する新市場創造型標準化制度に関して関連する業界団体方々と原案作成委員会にて日本工業規格(JIS)の取得を達成しました。これにより弊社の技術や特許が標準として採用されることになり、今後の展開に大きな力になります。

(3) ASACOLOR LENS

 当社のシリコーンゴムの技術と、光学設計、金型設計技術の相乗効果により、新しい用途へのLENSの採用が決まりました。今後、この用途でお客様の信頼を勝ち取って増大させていきます。当社としては念願の採用となり今後も注力していきます。

(4) 表面改質技術

 ①RFIDタグ用ゴム製品

 「表面改質およびマイクロ加工技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグは、ゴムの柔軟性や接着剤では達成できない接着強度による防水性でICやアンテナの保護に活用されており、その信頼性からより多くのエンドユーザーへ販売が伸びることができました。現在は新たな市場の要求に対応した研究開発を行っており、次世代の製品を開発しております

 ②マイクロ流体デバイス

 ライフサイエンス分野におけるマイクロ流体デバイスは、診断並びに幹細胞を含めた細胞培養などの分野で多くのお客様と共同研究開発を継続しております。細胞培養用途では、前述の産総研との共同開発によるエビデンスデータが揃ってきており、大学や、国のプロジェクトへの供給を開始しております。超薄膜シリコーンゴムシートのマーケティングも先端医療分野への展開を開始しております。

 

 ③F-TEM

 高熱伝導率で柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、昨年から標準モデルを供給して実証実験を開始しており、多くのお客様のリピートも増え、よりニーズに合わせるために素子メーカーと共同で開発に着手しております。既存のセラミックスからゴムになった時のCAEを導入し、朝日FR研究所でそのシミュレーションを繰り返すことで、既存品との違いを明確に証明できるようになりました。

(ペルチェ素子とは、直流電流を流すことによって一方の面から他方の面に熱を移動させる効果のある熱電変換デバイスで、冷却と加熱及び温度制御を行うことができる半導体素子のことです。)

(5)その他の技術開発

 ①CAE解析

 上述した、CAE解析技術を進化させております。この技術と我々の持っているコア技術も活用して、新しい配線技術を研究機関と共同開発を開始しました。

 ②卓球用ラバー

 継続してお客様が満足する材料開発(素材変性技術)を行って、次世代モデルへの技術開発を推進しました。

 ③シリコーンゴム技術開発

 素材変性技術の側面からのシリコーンゴム開発を深化させることで、新たな自動車メーカーへの採用が決まりました。弊社のASA COLOR LEDおよび、ラバースイッチが採用になり、今後もこの技術の優位性で継続してお客さまからの信頼を継続できるものと思われます。

2.医療・衛生用ゴム事業

 高信頼性・高衛生性ゴム製品の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次の通りです。

(1) ディスポーザブル医療製品

 プレフィルドシリンジガスケットは、素材変性技術による材料開発と生産技術開発を推進しました。併せて独自の表面改質技術による低摺動コーティング材を組み合わせることで、お客さまからとても高い評価を頂き、継続して新しい製品の試作や開発が推進されました。更なる表面改質技術の新化によって新たなお客様の開拓を進める計画です。

 回路製品である薬液混注用ゴム栓は、薬液のシール性能が高い弊社の生産技術力によってお客さまからの信頼を勝ち取っております。その高い品質の維持向上から、お客様への販売数量が増大しております。また回路製品においては、新しい弊社内での取り組みが開始され、先ずは国内市場に早期に出荷できるような開発を来期はよりスピードを上げて推進いたします。

(2)医療用シミュレーター

 低高度ゴムを活用した人体の縫合モデル等を株式会社タナック様の協力を得て提供を始めました。この製品や技術を今までお付き合いのなかったお客様へも提供できるようになり、それによって我々の技術を違う形で拡販できるような活動につなげていく土台ができてきました。

 これからも医療機器市場に対する安心・安全を高める活動を積極的に推進してまいります。