第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社を取り巻く環境は、世界規模の経済活動の変化に伴い、大きく変わってきています。そこに新型コロナウイルスの影響も加わり、これまでの経済の流れの延長線から大きく違うステージへと変容する中で、新しい知恵や工夫が求められています。

 このような環境のもと、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030VISION」として定めました。その行動指針は、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」としています。会社は社会のためにあること、また持続的に社会の責任を果たして貢献できる企業であり続けることを常に考えていきます。そして私たちを取り巻くすべてのステークホルダーとの対話を通じて、企業価値を高めていきます。

 この「AR-2030VISION」の実現に向けて、最初のステージの2023年3月期までの2020年4月~2023年3月を第13次中期三ヵ年として、中期計画を策定いたしました。その基本方針は、「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する。」としています。

 中期経営戦略は、「事業が貢献する機会を増やして密着し、素早く課題を解決する技術で経験と実績を積み上げ る」「CSR/ESG経営へ進化させる」といたしました。当社の強みである朝日ラバーらしさを継続して磨き、成長させていく上で、求められる期待に素早く応えて多くの信頼が得られる行動やステークホルダーとの絆を強くする活発な行動を実践し、繰り返し経験と実績を積み上げながらグローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしていくために質的な成長を目指します。

 業績目標は、連結売上高80~90億円、利益指標については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながらも、質的成長を目指すことから、連結営業利益率8%以上といたしました。

 当社グループの重点事業分野を光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の4つに分け、それぞれの製品群を成長させるコア技術、工場の役割を整理し、これまでに整えてきた生産環境を最大限に生かす取り組みを進めてまいります。

 光学事業では、「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進めます。海外の顧客へのアプローチをさらに進めていくため、自動車産業向けの品質マネジメントシステムであるIATF16949の認証を白河工場で2020年12月に取得する予定です。

 医療・ライフサイエンス事業では、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献します。

 機能事業では、ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振 動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供します。

 通信事業では、自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供します。

 これらの事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野の成長のキーワードとなる視点を加えて、さらに進化させてまいります。

 2021年3月期は第13次中期経営計画の初年度となります。その経営方針は、「さらに好奇心を高めて深化・進化・新化しよう」です。新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループが事業活動を行っている国、地域における行政機関の要請等により、従業員やその家族の健康リスク回避や社会における様々な制約がかかることで、事業活動が滞る可能性があります。ただ、顧客および協力会社とも密接に情報交換を行うことで、先の需要の変動情報をつかみ、当事業会計年度まで進めてきたあらゆる事業活動を新たな計画に載せ替えながら、さらなる質的に成長に向けて事業基盤の強化と販売拡大を狙います。

2【事業等のリスク】

 当社グループのリスクマネジメント活動は、事業活動に関わるリスクを抽出、評価、特定し、会社の社訓、経営基本方針、中期経営計画などを踏まえて、当社事業のビジネスチャンスに経営資源を投入するための指針となる年度経営方針を取締役会決議により策定します。組織の内部・外部のリスクを低減する活動として、事業部門の活動方針や会議体のテーマとして重要なリスク低減活動を組み込み、その活動を経営者が半期に一度レビューします。具体的なサイクルは以下となります。

①各月の状況把握

 工場会議、経営会議等の会議体、また主要テーマごとの委員会による内部・外部の課題リスクの状況変化の把握

②トップ診断(半期に一度)

 会社方針および各部門、会議体、委員会の年度計画を内部・外部のリスクに照らして、その活動内容の進捗と変化の確認および今後の活動計画の修正

③リスクマネジメント会議(年に一度)

 各部門、会議体、委員会による内部・外部のリスクの発生頻度また発生時の影響度を抑える活動の評価と内部・外部の課題の変化を踏まえて、新たな課題の発生の有無、課題の発生頻度の変化、発生時の重要度合の変化を評価します。評価の内容は取締役会に報告しています。

 リスクの評価は、今年度の事業活動や会社を取り巻く環境から新たに発生したリスクの項目を挙げ、取締役と本部長それぞれがリスクの発生する可能性と発生した場合の影響度を点数評価して集約し、その点数の積でリスクの重要度を算出します。また、発生可能性または影響度のどちらかでも基準を脅威度とし、重要度と脅威度の高いリスクを特に重要度の高いリスク(マテリアリティ)として選定し、リスクを回避または低減する活動につなげます。

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 上記の方法により、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、下記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

1.重要度の高いリスク

(1)主要製品・新規受注製品の大幅な減少(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高)

 当社製品は、そのほとんどがゴム部品として顧客のもとで最終製品として組み込まれ、市場へと展開されます。この最終製品の販売動向については顧客に依存するものであり、顧客の販売戦略上、計画していた販売数量に変動が生じることがあります。また、当社独自技術を生かしてお客様に新しい付加価値を提案できる新製品・開発製品の市場連結供給を継続的に行うこと、また、既存製品でも新しいお客様に向けた製品開発で市場の開拓により、持続的に事業を成長させていく活動を進めています。品質、価格、納期などの条件を顧客と決定し、受注した製品の量産を進めていますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の販売戦略上の事情により、受注数量が計画よりも減少することがあり、売上高の減少と利益の減少につながる可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、顧客への密着活動による売上予測の精度向上に取り組み、取締役会への情報共有化を図り、営業部門から工場部門への情報展開と柔軟な生産体制の実現に取り組んでまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが増加していると認識しており、影響度は減少していると判断しています。

(2)新製品立ち上げ・自社開発の遅れ(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:高 影響度:高)

 当社グループでは、当社独自の技術を生かしてお客様のニーズに合わせた新製品の開発に取り組んでいますが、独自の技術のさらなる深掘と強化、また技術の複合化によりこれまでにない付加価値を生み出す取り組みは、短期の受注活動には結びつかないものの、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化による中期的な事業規模の拡大につながるため、経営の重要課題として一定の経営資源を投入し継続的に取り組んでいます。新製品開発の取り組みはロードマップを作成し、計画的に進めていますが、特に難易度の高いテーマの進捗の遅れや他社の技術開発の動向を踏まえた計画の見直しなどによる新製品開発の遅れは、将来の受注減による売上高の減少と継続的な事業の成長に大きく影響する可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、日々の進捗管理と経営会議への報告による対応により、遅延する可能性がある場合は生産活動との協調により人的資源の投入を図るなど、影響度の低減に取り組んでまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はほぼ同等であると判断しています。

(3)重大なクレーム(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:中 影響度:高)

 当社グループでは、顧客に提供する製品の品質には、製品設計、工程管理、検査体制に至るまで、万全の体制を整えるべく努力しております。しかし、万一、顧客に納品した製品に不具合があった場合、返品や代納の対応による売上原価の増加だけでなく、お客様の信頼を損ない、将来の受注減による売上高の減少につながります。さらに、それが最終製品として市場に流出し、検証の結果、当社製品による不具合が認められ、製造物責任法による損害賠償責任が発生した場合、損失の計上により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、お客様の要求事項の確認と不具合発生時の速やかな情報伝達により早期に適切な対応がとれる体制をさらに整えてきました。また製造工程のルールを守る意識付けとQCサークル活動の推進による改善により、不良品を社外に流出させない取り組みを進めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社内品質異常や工程不良の頻度を鑑み、やや増加していると認識していますが、影響度は減少していると判断しています。

(4)原材料価格の高騰(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループの製品は、ゴム原料およびその添加物を仕入れ、加工し、販売しています。こうした原材料の価格は、グローバルな市況の変化に影響を受け変動することがあります。年度計画策定時に比べて大幅に高騰した場合、売上原価の増加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、市場動向の情報収集と代替材料の検討、コストアップ要請材料の価格交渉を実施してまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが減少していると認識しており、影響度はほぼ同等であると判断しています。

(5)各ハラスメント問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループ内で発生するハラスメントは、職場環境と人間関係の悪化を招き、従業員の肉体的精神的健康を阻害すると同時に、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、ハラスメントに関する理解を促す教育を実施し、ヘルプラインの社内窓口と社外窓口の利用を促し、何かあれば相談できる環境づくりに努めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は従業員の増加などの理由によりやや増加していると認識しているものの、影響度は減少していると判断しています。

(6)社外の革新的な技術、新製品、新製法の出現(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループでは、独自の技術を応用した製品開発と事業展開を図ることで、お客様への付加価値の提案による差別化を事業戦略の柱としておりますが、既存製品や既存事業または今後展開を検討している製品や事業に対し、同業種異業種を問わず、機能または価格等の面で決定的に顧客に選択優位性を与える革新的な技術、新製品、新製法の出現は、市場の独占や寡占状態となり当社製品や事業が排斥されることにより、将来の受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、技術と知財トレンドの動向について顧客からの情報や展示会およびセミナーでの情報収集、また論文などの文献情報やWEBから調査し、市場や社会のニーズから必要となる技量や技術の構築に努めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度は減少していると判断しています。

(7)感染症の拡大(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:低 影響度:高)

 当社グループが事業活動を行っている国、地域において感染症が拡大した場合、多くの従業員やその家族の健康が損なわれる恐れがあります。また、行政機関の要請等により、事業活動に様々な制約がかかることで、営業や生産、開発活動が滞る可能性があります。顧客や最終消費地において感染症が拡大した場合も同様に多くの方々の健康が損なわれ、企業の活動が停滞し、需要が大きく低下するおそれがあり、受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、特に世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスへの対応として、地域の情報を適時に入手し予防措置を講ずるなど、従業員の健康管理体制を十分に整え、不要不急な出張を制限するなど対策をとり、発生可能性を抑える活動を進めています。また、顧客とも密接に情報交換を行うことで、先の需要の変動情報をつかみ、生産体制に反映させています。

 感染症の拡大リスクは、発生可能性は低く抑えられているものの、当社を取り巻く環境は依然として厳しく、発生した場合の影響度は依然として高いと考えております。

(8)メンタルヘルス問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 従業員のメンタルヘルス問題は従業員の精神的な健康を阻害し、やりがいや働きがいが失われ、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このリスクへの対応として、当連結会計年度では、個人情報に配慮したヘルスチェックによる自己診断と組織分析による傾向の把握により職場環境の改善に取り組んでまいりました。また、ハラスメントなど行為者の問題行動の防止だけでなく、常にコミュニケーションを図り、普段とは違う表情や行動が表れていないかを常に確認するよう管理者への指導に努めてまいりました。また、心身の不調があればいつでも相談できるよう社内と社外に窓口を設けています。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は従業員の増加などの理由によりやや増加していると認識していますが、影響度は減少していると判断しています。

(9)顧客からの大幅コストダウン要求(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループの製品は、顧客の要求仕様を踏まえて品質、価格、納期などの条件が決定し、量産していますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の事情により、価格を大幅に下げるコストダウンを要求されることがあります。大幅なコストダウンは販売単価の継続的な下落が売上高の減少につながり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、コストダウンの抑制交渉と、工場での材料歩留りの向上や購入材の価格交渉など原価低減活動を行うと同時に、顧客には販売単価を維持しながら機能面をアップできるような付加価値を提案できるよう技術の進化やものづくりの効率性の向上に努めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度は減少していると判断しています。

(10)採用募集の未達(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループでは、継続的な事業の成長と働く環境の活性化に向けて、中期的な計画のもと、毎年の定期採用と臨機応変な中途採用を行っておりますが、少子化に伴う学生数の減少や募集企業の増加により、当社グループの採用募集活動にエントリーする人材の不足や、求める人材とのアンマッチなどにより、計画した採用を実施できないことがあり、持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、インターンシップや工場見学の受け入れなど大学や学校との関係づくりの強化や採用媒体の見極めによる効率的な採用活動を努めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが減少していると認識しており、影響度も減少していると判断しています。

(11)外注先管理の不備(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社グループで取り扱う製品には、特別な製法による生産や臨機応変な受注対応を可能にするため、協力会社と契約し、一部の工程や完成品を外注していますが、金型や生産設備など当社から貸与している資産の劣化や損傷、また品質管理体制などの状態把握や当社以外の取引の状況、資金繰り状態などにより、期待した製品や部材の供給が滞るなど業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、与信や品質管理体制、健全な就労状態などの外注先評価を実施し、課題に対して早期に情報を入手し対策をとるなど、サプライチェーンの強化に努めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はほぼ同等であると判断しています。

(12)得意先からの取引停止通告、内製化方針(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)

 当社の主要製品は、品質、価格、納期等の顧客要求仕様に沿って量産体制を整え、顧客の発注情報を受けて生産、出荷しています。また、顧客との密着営業によって、不具合や要求仕様の変化に対して情報を早期に入手し、改善を進めることで継続した取引を維持していますが、当社が提供している製品を顧客自身で内製化する方針に変更したり、競合メーカーにシェアを奪われるなど、何らかの理由で取引の停止を通告された場合、将来の受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、日常の営業活動で顧客満足度の把握、競合メーカーの出現や内製化などの情報を掴み、適時関係部門と共有してまいりました。また技術を継続的に深化させることで、付加価値の継続的向上に努め、顧客への提案に取り組んでまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度もほぼ同等であると判断しています。

2.脅威度の高いリスク

(1)大規模地震の発生(社外要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:中)

 当社の国内の生産工場はすべて福島県南部に位置しており、当社グループの生産高の約9割を担っています。当社の生産工場の建屋は、震度5以下の地震に対する耐震を備えていますが、福島県南部で震度6以上の大規模地震が発生した場合、工場の生産設備の被害や従業員の被災状況によっては、継続した生産活動が損なわれる可能性があり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、すでに策定しているBCM(事業継続マネジメント)方針に沿ってBCP(事業継続計画)を適宜見直し、被災した場合の緊急対応体制の構築と、稼働率が低下した場合でも事業を継続するための手続きを整備しています。また、従業員の被災状況を把握するために導入した安否コールシステムの定期訓練を実施、システムの安定性と利用について周知を図ってまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度は減少していると判断しています。

(2)工場の火災、爆発(社内要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:中)

 当社製品はゴムのベース材料に薬品など様々な添加物を配合することで、ゴムの機能を特化した独自の付加価値を提供していますが、そのほとんどは引火性の低い材料であるものの、何らかの理由で火災が発生したり、薬品が爆発したりする可能性はゼロではありません。火災や爆発が発生した場合、従業員の被災や生産設備や環境の損害により、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、安全衛生委員会による安全パトロールによる危険箇所の特定とチェックを工場ごとに相互に行い、火災や爆発の発生を未然に防ぐ活動を進めています。また、地域の消防署の協力を得て、工場ごとに消防訓練を行い、火災の際の避難経路や手順の確認、消火活動の実施など被災した場合の被害を最小限に抑える活動に取り組んでまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はほぼ同等であると認識しており、影響度は減少していると判断しています。

(3)コンピュータ故障によるデータ消失(社外要因 情報リスク 発生可能性:低 影響度:中)

 当社では、受注から製造、納品までの営業、生産活動と、会計処理までを一貫したERPシステムを導入し、各プロセスの状況を見える化によるピンポイントの生産性改善や内部統制の財務報告の有効性を確保する体制を整えています。コンピュータシステムはサーバーをクラウド化することで地震等の災害リスクを減らし、定期メンテナンスによる強化を続けていますが、マルウェアなど悪意ある攻撃や災害などにより、データが破損または消失する可能性があり、その程度によっては、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす場合があります。

 このリスクへの対応として、当連結会計年度では、クラウド業者との情報共有を進め、サーバーのバックアップを強化することでデータの破損または消失を防ぐ活動を進めてまいりました。

 この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが増加していると認識していますが、影響度は減少していると判断しています。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度の業績は、連結売上高は74億8千9百万円(前期比2.8%減)となりました。利益面では、連結営業利益は3億2千5百万円(前期比32.7%減)、連結経常利益は3億4千6百万円(前期比31.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億2千6百万円(前期比64.0%減)となりました。

 セグメント別の業績は、次のとおりです。

 工業用ゴム事業

 工業用ゴム事業では、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大による受注への影響は小さく、主力製品である自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が増加いたしましたが、自動車用精密ゴム製品の受注は市場の競争環境の変化を受けて減少いたしました。また、認証・認識ビジネスに対応するRFIDタグ用ゴム製品の受注は引き続き提案活動を推し進めるものの低調となりました。

 この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は62億7千6百万円(前期比3.4%減)となりました。またセグメント利益は4億4千4百万円(前期比30.7%減)となりました。

 医療・衛生用ゴム事業

 医療・衛生用ゴム事業では、プレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品ともに受注は堅調に推移いたしました。さらに受注力を向上させるため、医療生産エリア拡充に向けた活動も開始いたしました。

 この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は12億1千3百万円(前期比0.5%増)となりました。セグメント利益は1億8千7百万円(前期比15.4%増)となりました。

② 財政状態の状況

(資産の状況)

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて5千4百万円減少し、103億9千5百万円となりました。この主な減少要因は、商品及び製品、仕掛品、繰延税金資産が増加したものの、借入金の返済及び未払法人税等の支払いにより現金及び預金が減少したものであります。

(負債の状況)

 当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて3千9百万円減少し、59億3千9百万円となりました。この主な減少要因は、電子記録債務及び退職給付に係る負債が増加したものの、1年以内返済予定の長期借入金、未払法人税等、流動負債のその他及び長期借入金が減少したものであります。

(純資産の状況)

 当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて1千5百万円減少し、44億5千6百万円となりました。この主な減少要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金が増加したものの、投資有価証券の時価評価下落によりその他有価証券評価差額金が減少したものであります。

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1千3百万円増加の8億4千7百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、8億7千1百万円の収入(前期は5億4千万円の収入)となりました。
 これは主に、減価償却費5億5千万円(前期は4億9千7百万円)、退職給付に係る負債の増加2億1千9百万円(前期は4千9百万円の増加)、仕入債務の増加1億7千2百万円(前期は3億4百万円の減少)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6億4千4百万円の支出(前期は7億4千7百万円の支出)となりました。
 これは主に、有形固定資産の取得による支出7億7千5百万円(前期は8億4千8百万円の支出)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2億8百万円の支出(前期は1億7百万円の支出)となりました。
 これは主に、長期借入れによる収入11億円(前期は12億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出12億3千1百万円(前期は12億円の支出)、配当金の支払額9千1百万円(前期は1億1千万円の支払)によるものであります。

④生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

6,198,213

△4.7

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,421,827

14.3

合計(千円)

7,620,040

△1.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業

6,207,036

△3.5

663,635

△9.4

医療・衛生用ゴム事業

1,253,073

1.1

180,409

28.5

合計

7,460,110

△2.8

844,044

△3.3

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

6,276,145

△3.4

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,213,061

0.5

合計(千円)

7,489,207

△2.8

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 日亜化学工業株式会社

1,571,767

20.4

1,798,808

24.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、2020年を見据えたビジョン「AR-2020 VISION」を策定し、2017年4月から第12次中期経営計画

「V-2計画」をスタートし、中期経営方針として「AR-2020 VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」を掲げ、継続的な成長を可能にする強固な事業基盤を整備し、ゴムの基礎技術と製品力を磨いて質的な成長を目指してまいりました。

 重点事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他の3つとし、特に研究開発として車載・照明分野では感性認知支援領域、医療・ライフサイエンス分野ではウェアラブル領域、その他分野では再生エネルギー領域における「プラズマ気流制御電極の開発事業」を国立研究開発法人産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所から当期も引き続き支援いただきながら、それぞれの分野における研究計画通りに評価を積み上げております。

 当連結会計年度における事業環境は、前連結会計年度後半から影響を受け始めている世界景気変調の兆しが鮮明となり、長期的な経済摩擦など景気の揺れ動きが続きました。また、今年に入って世界的な新型コロナウイルス感染症拡大による経済停滞の影響で先行きが不透明な状況が続いております。

 第12次中期経営計画の最終年度にあたる当期は、経営方針として「好奇心を高めて深化・進化・新化しよう」を掲げて積極的に施策遂行に取組みました。基礎力を鍛えて質を高める深化、より優れた価値に進化、新たな道へ挑戦する新化を戦略に掲げ、各重点事業分野への新たな展開を着実に前進させ、厳しい事業環境を機会と捉えて活動してまいりました。結果として第12次中期経営計画で掲げる定量目標対比は、連結売上高は達成、連結営業利益率は未達成となりましたが、積極的な取組は次年度以降に向けて新たな事業基盤を形成することができました。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 工業用ゴム事業

 車載・照明事業分野では、強みである自動車インテリア照明製品の強化を行うとともに、あらたに自動車エクステリア照明市場への参入を果たすなど、事業が貢献できる範囲が拡大しました。そして中国子会社の東莞朝日精密橡膠制品有限公司は、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格であるIATF16949の認証を取得し、さらにお客様との信頼感が高まる事業基盤へと強化されました。また新規開発製品としてウェアラブル分野に提案した伸縮配線は、弾性無限への挑戦で新たな事業につながる機会を導きました。

 医療・衛生用ゴム事業

 医療・衛生用ゴム事業分野では、主力製品であるプレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品に加えて、新たに当社独自開発の医療回路製品を市場に投入するなど一歩前進した活動を始めました。この取組みは、海外からの輸入品に依存する比率が高い医療回路製品の国産化を進めることで調達リスクを下げるものです。取扱う製品の範囲が広がることで顧客視点に立った事業の強化につながりました。これら製品を製造する第二福島工場と白河第二工場において、それぞれが有する工場環境を生かした生産エリア拡充に向けた活動も開始いたしております。製品の取扱いを増やしながら信頼の積み重ねで新たな事業につながる基盤が形成されました。

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。金融機関からの借入金は主として固定金利で調達しております。また、資金調達の機動性確保及び資金効率の改善等を目的に、主要取引金融機関と10億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は10億円であります。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は30億4千5百万円となっております。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。なお、コロナウイルス感染症の会計上の見積り影響につきましては、「連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

  (有価証券)

 時価のあるものについては、決算期末日の市場価格等に基づく時価法、時価のないものについては移動平均法による原価法により算出しております。また、時価のある有価証券については、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして減損処理をしております。

 市場動向により時価が下落し、減損処理による投資有価証券評価損の金額が大きくなり経営成績に影響を与える可能性があります。

 (貸倒引当金)

 当社グループは債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 債権管理を適時行っておりますが、顧客の財政状態の悪化等で債権回収不能見込み額が大きくなり経営成績に影響を与える可能性があります。

 (退職給付に係る負債)

 従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を計上しております。

 退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。

 一部の連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。

 割引率などの退職給付債務の算定に使用する見積りの前提が市場金利の変動等により、数理計算上の差異発生額が大きくなった場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

 (有形固定資産の減損損失)

 当社グループは、減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。使用価値の算定において、当該資産又は資産グループから得られる割引後キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 減損の兆候の有無等については、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、減損損失を計上する可能性があります。

 (繰延税金資産の回収可能性)

 繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。

 将来課税所得が十分に得られない状況であると判断した場合に、繰延税金資産を多額に取崩し、法人税等調整額計上により、経営成績に影響を与える可能性があります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは2014年に2020年を見据えた「AR-2020 VISION」として、①技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。②現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。③人財こそが、事業運営の要とし、人材育成を行う。という長期ビジョンを掲げ、2017年から始まった「V-2計画」においては、「AR-2020 VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」という方針のもと、スローガンとして、「弾性無限への挑戦」を掲げ、最終年度となる今期は、研究開発においても当社子会社の研究所と共に、顧客価値が高まるゴム素材・ゴム製品を追求する活動を行ってまいりました。

 現在の研究開発は、当社工場の技術グループ・開発部および子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&D Co., Ltd.)において、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進しております。

 株式会社朝日FR研究所は、継続的に3つのコア技術「色と光のコントロール技術」、「素材変性技術」、「表面改質およびマイクロ加工技術」の深掘りを行っております。

 当連結会計年度におきましては、ASA COLOR LEDにおいては、引き続き埼玉大学と共同研究を行い、新たな照明分野への提案を開始しました。プラズマ制御電極の開発においては2020年度も、福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業に採択され引き続き重要な基本的データを取得できたこと、マイクロ流体デバイスにおいては産総研と共同研究を行い、シリコーンゴムの特徴を生かした配合および表面改質技術でバイオテクノロジー分野でのエビデンスデータを取得し始めました。これらをはじめ外部研究機関・企業等との連携を深めてまいりました。

 また、研究成果を事業へ導くために当社グループ間の連携も図りながら市場に応える体制を強化しました。

 株式会社朝日FR研究所の研究員は13名、これは全従業員の2.5%であります。当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は170,407千円であります。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載はおこなっておりません。

1.工業用ゴム事業

 株式会社朝日FR研究所と当社技術グループが連携して、研究開発から量産までのフェーズに合わせて素材開発、製品開発、生産技術開発を行っております。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次の通りです。

(1) ASA COLOR LED

ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオ・キースイッチなどのバックライト照明に広く使われております。高輝度で、低コストの新しいLEDパッケージに適合する新しい製造手段を開発するなど、引き続き「色と光のコントロール技術」を進化させてきました。

 また、埼玉大学と進めている、色のバラツキが少なく、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LED開発は、商標登録を済ませ、マーケティングを継続しており多くの反響にひとつずつ対応し始めました。埼玉大学との共同研究を継続することで、当社の得たニーズをスピーディーに開発に反映することができています。

(2) 白色シリコーンインキ

 主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インキの開発を進めております。より分かりやすい名称に変更し、日本工業規格(JIS)の取得も行うことで、マーケティングのさらなる推進を行いました。今期もお客様の要望を頂き、採用が進んでおります。

(3) ASA COLOR LENS

 当社のシリコーンゴム技術と、光学設計、金型設計技術および朝日FR研究所のシリコーンゴムの基盤技術・管理技術により、新しい用途への採用ならびに量産を始めることができました。この用途でお客様の更なる採用増大を狙います。

(4) 表面改質技術

 ①RFIDタグ用ゴム製品

 「表面改質技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグ用ゴム製品は、ゴムの柔軟性や接着剤では達成できない接着強度による防水性で、ICチップやアンテナの保護に活用されています。新たな技術改良が生まれ、次世代の製品開発を推進しながら、引き続きお客様の要望に応えてまいります。

 ②マイクロ流体デバイス

 ライフサイエンス分野におけるマイクロ流体デバイスは、検査、診断および細胞培養分野で継続して多くのお客様と秘密保持契約に基づいた研究開発を行っております。細胞培養用途では、産業総合技術研究所との共同開発によりエビデンスデータを揃えながら信頼性の高いデバイスへと進化しました。また、超薄膜シリコーンゴムシートにおいては、先端医療分野へサンプル供給が始まっております。

 ③F-TEM

 柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、標準モデルをECサイトで販売する活動を開始しました。さらにフレキシブルで信頼性の高い製品開発を進めながら競争優位を維持してまいります。

 

(5)その他の技術開発

 ①伸縮配線

 切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久力に優れた新しい伸縮配線を開発しました。新しい伸縮配線は生体センシングの分野での活用が見込まれ、一例として、早稲田大学と北里大学との共同研究で発表された、新しいウェアラブル筋電計測デバイスの一部に用いられました。

 ②卓球ラケット用ラバー

 お客様が満足する生産技術と材料開発(素材変性技術)を行って、次世代モデルへの応用を提案し続けております。

 ③シリコーンゴム技術開発

 風車用シリコーンゴムと電極との複合品、超薄膜シリコーンゴムシート、マイクロ流体デバイスなど、多くの研究開発品を生み出してきました。これからもシリコーン素材が有する無限の可能性を追求し続け、弛むことなく基盤技術開発を行うことで、多くの分野に貢献できるものと確信しております。

2.医療・衛生用ゴム事業

 高信頼性・高衛生性ゴム製品の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次の通りです。

(1) ディスポーザブル医療製品

 プレフィルドシリンジガスケットには独自の表面改質技術による低摺動コーティング技術が用いられております。新素材の研究と表面改質技術の進化・新化によって、新たなお客様と共同開発に進むことができました。

 回路製品である薬液混注用ゴム栓は薬液等のシール性能が高いマイクロ加工技術によって、お客様から高い信頼を頂いております。新たに当社独自開発の医療回路製品を市場に投入するなど積極的に技術開発を推進しております。(2) 医療用シミュレーター

 臓器モデルや低硬度ゴムを活用した人体縫合モデルなどの医療用シミュレーター製品開発を、株式会社タナック様の協力を得ながら行っております。当社の製品が多くの人々のQOLに寄与しているという自覚のもとに、これからも医療機器市場に対する安心・安全をさらに好奇心を高めて深化・進化・新化させる活動を推進してまいります。