文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
昨年前半は世界規模の経済活動が大きく減速いたしましたが、各国での絶え間ない工夫と対応が続けられ、市場によっては徐々に回復の兆しが見られます。感染症の拡大防止から抑制を経て経済成長への取り組みが、あらゆる業界で続けられています。
このような環境のもと、当社は、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定め、その行動指針は、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」としています。会社は社会のためにあること、また持続的に社会の責任を果たして社会に貢献できる企業であり続けることを常に考えていきます。そして私たちを取り巻くすべてのステークホルダーとの対話を通じて、企業価値を高めていきます。
この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、最初のステージの2023年3月期までの2020年4月~2023年3月を第13次中期三ヵ年の経営計画を策定し、その基本方針は、「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する。」としています。
中期経営戦略は、「事業が貢献する機会を増やし密着して、素早く課題を解決する技術で経験と実績を積み重ねる」「CSR/ESG経営へ進化させる」といたしました。当社グループの強みである朝日ラバーらしさを継続して磨き、成長させていく上で、求められる期待に素早く応えて多くの信頼が得られる行動やステークホルダーとの絆を強くする活発な行動を実践し、繰り返し経験と実績を積み上げながらグローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしていくために質的な成長を目指します。
業績目標は、連結売上高80億~90億円、利益指標については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながらも、質的成長を目指すことから、連結営業利益率8%以上といたしました。
当社グループの重点事業分野を光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の4つに分け、それぞれの製品群を成長させるコア技術、工場の役割を整理し、これまでに整えてきた生産環境を最大限に生かす取り組みを進めてまいります。事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野の成長のキーワードとなる視点を加えて、さらに進化させてまいります。
新製品・開発製品の市場供給と新規顧客開拓、顧客満足の追求は、当社グループが継続して取り組む事業方針です。新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来の手法によるお客様への密着活動や新製品・開発製品の市場供給活動ができなくなる一方で、WEBツールによるコミュニケーションや動画など新しい手法で取り組んできたPR活動は、あらためて当社の技術の優位性の認識とお客様が求めている課題解決の道筋を再確認する機会となりました。3Dプリンタ導入によるサンプル提供のスピードアップや生産設備の稼働効率を上げる活動など、絶え間ない改善活動と創意工夫を続けていく活動を続けています。
当社グループの連携した活動が、企業価値を高めていく重要な位置づけとなっていますが、昨年、海外子会社の棚卸資産の過大計上が発見され、当連結会計年度の第2四半期決算を訂正することとなり、関係する皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけいたしました。従業員による不正ではないものの、現場の従業員、管理職、経営陣の問題意識の気づきと情報共有が遅れたことにより、当社グループのガバナンス体制に大きな課題があることを認識することとなりました。再発防止として、会計システムの正確な理解および現物管理と数値管理の正確な運用の徹底、当該子会社における責任体制の明確化と連携の強化、当該子会社の管理部門の情報共有化の仕組みづくりと連携の強化と問題発生時の迅速な伝達体制の構築、当社による海外子会社管理体制の強化と情報共有の仕組みづくりを掲げ、それぞれ具体的対策に着手しています。当社においても、ルールの徹底と順守体制を進めてまいります。
当社グループを構成する岩盤は、市場やお客様とのつながり、コア技術、そしてそれらを実現する一人ひとりの従業員です。市場やお客様とのつながりをさらに太く、グローバルに広く築いていく。そこで集めたニーズを実現するゴムのコア技術をさらに磨き、鍛えていく。こうした活動を継続していくためにはそれぞれの従業員の働く環境を整えて、やりがいを持って活躍していただく。これにより企業価値の質を高めていくことで、さらなる成長につなげていきたいと考えています。
私たちは、「個性を尊重し特徴ある企業に高めよう。豊かな人間関係、生活の向上を目指し社会に奉仕しよう。」という当社の社訓を心に刻み、さらに次の世代へとつなげていきます。
当社グループのリスクマネジメント活動は、事業活動に関わるリスクを抽出、評価、特定し、会社の社訓、経営基本方針、中期経営計画などを踏まえて、当社事業のビジネスチャンスに経営資源を投入するための指針となる年度経営方針を取締役会決議により策定します。組織の内部・外部のリスクを低減する活動として、事業部門の活動方針や会議体のテーマとして重要なリスク低減活動を組み込み、その活動を経営者が半期に一度レビューします。具体的なサイクルは以下となります。
①各月の状況把握
工場会議、経営会議等の会議体、また主要テーマごとの委員会による内部・外部の課題リスクの状況変化の把握
②トップ診断(半期に一度)
会社方針および各部門、会議体、委員会の年度計画を内部・外部のリスクに照らして、その活動内容の進捗と変化の確認および今後の活動計画の修正
③リスクマネジメント会議(年に一度)
各部門、会議体、委員会による内部・外部のリスクの発生頻度また発生時の影響度を抑える活動の評価と内部・外部の課題の変化を踏まえて、新たな課題の発生の有無、課題の発生頻度の変化、発生時の重要度合の変化を評価します。評価の内容は取締役会に報告しています。
リスクの評価は、今年度の事業活動や会社を取り巻く環境から新たに発生したリスクの項目を挙げ、取締役と本部長それぞれがリスクの発生する可能性と発生した場合の影響度を点数評価して集約し、その点数の積でリスクの重要度を算出します。また、発生可能性または影響度のどちらかでも基準を脅威度とし、重要度と脅威度の高いリスクを特に重要度の高いリスク(マテリアリティ)として選定し、リスクを回避または低減する活動につなげます。

上記の方法により、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.重要度の高いリスク
(1)主要製品・新規受注製品の大幅な減少(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社製品は、そのほとんどがゴム部品として顧客のもとで最終製品として組み込まれ、市場へと展開されます。この最終製品の販売動向については顧客に依存するものであり、顧客の販売戦略上、計画していた販売数量に変動が生じることがあります。また、当社独自技術を生かしてお客様に新しい付加価値を提案できる新製品・開発製品の市場連結供給を継続的に行うこと、また、既存製品でも新しいお客様に向けた製品開発で市場の開拓により、持続的に事業を成長させていく活動を進めています。品質、価格、納期などの条件を顧客と決定し、受注した製品の量産を進めていますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の販売戦略上の事情により、受注数量が計画よりも減少することがあり、売上高の減少と利益の減少につながる可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBミーティングにより営業部門と技術部門が一緒に顧客にアプローチすることで密着活動を推進して売上予測の精度向上に取り組み、取締役会への情報共有化を図り、営業部門から工場部門への情報展開と柔軟な生産体制の実現に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが増加していると認識しており、影響度は減少していると判断しています。
(2)社内ルールの逸脱(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループの活動は、顧客への提案活動から設計、受注、仕入、製造、販売という事業プロセスを通じて収益を上げる活動を進めていますが、その品質や財務報告の信頼性は社内ルールの順守が前提であり、これを逸脱することで正しい事業活動を妨げ、株主をはじめとする市場関係者に正しい情報を伝えることができず、社会の一員としての企業の信頼を損ねる可能性があります。海外子会社における棚卸資産の過大計上は、2021年3月15日に公表した調査報告書のとおり、2021年3月期第2四半期の報告書を訂正することとなり、関係する皆様に多大なご迷惑をおかけしました。このたびの棚卸資産の過大計上は、当該子会社の従業員による不正の事実はなく、当該子会社における生産管理ERPシステムに関する理解不足と連携不足、仕掛品の現物管理における対応遅延と数値に対する認識不足、そして不明確な責任体制と部門間の連携不足であること、また、当社による海外子会社に対する不十分な管理体制も一因となっています。
再発防止として、会計システムの正確な理解および現物管理と数値管理の正確な運用の徹底、当該子会社における責任体制の明確化と連携の強化、当該子会社の管理部門の情報共有化の仕組みづくりと連携の強化と問題発生時の迅速な伝達体制の構築、当社による海外子会社管理体制の強化と情報共有の仕組みづくりを掲げ、それぞれ具体的対策に着手しています。当社においても、ルールの徹底と順守体制を進めてまいります。
(3)感染症の拡大(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:低 影響度:高)
当社グループが事業活動を行っている国、地域において感染症が拡大した場合、多くの従業員やその家族の健康が損なわれる恐れがあります。また、行政機関の要請等により、事業活動に様々な制約がかかることで、営業や生産、開発活動が滞る可能性があります。顧客や最終消費地において感染症が拡大した場合も同様に多くの方々の健康が損なわれ、企業の活動が停滞し、需要が大きく低下するおそれがあり、受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、特に世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスへの対応として、地域の情報を適時に入手し、従業員の出社時の体温測定、食堂や会議室での人数制限など予防措置を講じ、従業員の健康管理体制を十分に整え、不要不急な出張を制限するなど対策をとり、発生可能性を抑える活動を進めています。また、顧客とも密接に情報交換を行うことで、先の需要の変動情報をつかみ、生産体制に反映させています。
感染症の拡大リスクは、当社グループ内での発生可能性は低く抑えられているものの、当社を取り巻く環境は依然として厳しく、発生した場合の影響度は依然として高いと考えております。
(4)新製品立ち上げ・自社開発の遅れ(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループでは、当社独自の技術を生かしてお客様のニーズに合わせた新製品の開発に取り組んでいますが、独自の技術のさらなる深掘と強化、また技術の複合化によりこれまでにない付加価値を生み出す取り組みは、短期の受注活動には結びつかないものの、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化による中期的な事業規模の拡大につながるため、経営の重要課題として一定の経営資源を投入し継続的に取り組んでいます。新製品開発の取り組みはロードマップを作成し、計画的に進めていますが、特に難易度の高いテーマの進捗の遅れや他社の技術開発の動向を踏まえた計画の見直しなどによる新製品開発の遅れは、将来の受注減による売上高の減少と継続的な事業の成長に大きく影響する可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、開発スケジュールの明確化と遅れに対する課題解決を進めてまいりました。また、3Dプリンタの導入による試作提案などスピードアップを図る取り組みを始めています。さらに、失注案件についてその要因を分析し、次期開発案件の受注率とスピードアップを図るなど、影響度の低減に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は増加いたしましたが影響度はほぼ同等であると判断しています。
(5)重大なクレーム(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:中 影響度:高)
当社グループでは、顧客に提供する製品の品質には、製品設計、工程管理、検査体制に至るまで、万全の体制を整えるべく努力しております。しかし、万一、顧客に納品した製品に不具合があった場合、返品や代納の対応による売上原価の増加だけでなく、お客様の信頼を損ない、将来の受注減による売上高の減少につながります。さらに、それが最終製品として市場に流出し、検証の結果、当社製品による不具合が認められ、製造物責任法による損害賠償責任が発生した場合、損失の計上により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、お客様の要求事項の確認と不具合発生時の速やかな情報伝達により早期に適切な対応がとれる体制を整えてきました。また製造工程のルールを守る意識付けとQCサークル活動の推進による改善により、不良品を社外に流出させない取り組みを進めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はほぼ横ばい、影響度はやや減少していると判断しています。
(6)社外の革新的な技術、新製品、新製法の出現(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループでは、独自の技術を応用した製品開発と事業展開を図ることで、お客様への付加価値の提案による差別化を事業戦略の柱としておりますが、既存製品や既存事業または今後展開を検討している製品や事業に対し、同業種異業種を問わず、機能または価格等の面で決定的に顧客に選択優位性を与える革新的な技術、新製品、新製法の出現は、市場の独占や寡占状態となり当社製品や事業が排斥されることにより、将来の受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBセミナーやWEB展示会が主流となったため、技術と知財トレンドの動向について従来より多くの情報を収集することができています。また論文などの文献情報やWEBから調査し、市場や社会のニーズから必要となる技量や技術の構築に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(7)各ハラスメント問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループ内で発生するハラスメントは、職場環境と人間関係の悪化を招き、従業員の肉体的精神的健康を阻害すると同時に、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、ハラスメントに関する理解を促す研修資料を全部門でのオンデマンドによる受講を実施し、ヘルプラインの社内窓口と社外窓口の利用を促し、何かあれば相談できる環境づくりに努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少していると認識しているものの、影響度はやや増加していると判断しています。
(8)採用募集の未達(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループでは、継続的な事業の成長と働く環境の活性化に向けて、中期的な計画のもと、毎年の定期採用と臨機応変な中途採用を行っておりますが、少子化に伴う学生数の減少や募集企業の増加により、当社グループの採用募集活動にエントリーする人材の不足や、求める人材とのアンマッチなどにより、計画した採用を実施できないことがあり、持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、大学や学校との関係づくりはWEBによる説明会により実施が困難な側面があったものの、インターンシップの受け入れなど地域や学校の要望に応えるとともに、採用媒体の見極めによる効率的な採用活動を努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが減少していると認識しており、影響度もほぼ横ばいであると判断しています。
(9)メンタルヘルス問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
従業員のメンタルヘルス問題は従業員の精神的な健康を阻害し、やりがいや働きがいが失われ、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、個人情報に配慮したヘルスチェックによる自己診断と組織分析による傾向の把握により職場環境の改善に取り組んでまいりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密にならない職場環境づくりを推進したことから、コミュニケーションの場が取りにくくなる側面がありましたが、ハラスメントなど行為者の問題行動の防止だけでなく、普段とは違う表情や行動が表れていないかを常に確認するよう管理者への指導に努めてまいりました。また、心身の不調があればいつでも相談できるよう社内と社外に窓口を設けています。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少していると認識しており、影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(10)顧客からの大幅コストダウン要求(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの製品は、顧客の要求仕様を踏まえて品質、価格、納期などの条件が決定し、量産していますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の事情により、価格を大幅に下げるコストダウンを要求されることがあります。大幅なコストダウンは販売単価の継続的な下落が売上高の減少につながり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、コストダウンの抑制交渉と、工場での材料歩留りの向上や購入材の価格交渉など原価低減活動を行うと同時に、顧客には販売単価を維持しながら機能面をアップできるような付加価値を提案できるよう技術の進化やものづくりの効率性の向上に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが減少していると認識しており、影響度やや減少していると判断しています。
(11)原材料価格の高騰・入手困難(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの製品は、ゴム原料およびその添加物を仕入れ、加工し、販売しています。こうした原材料の価格は、グローバルな市況の変化に影響を受け変動することがあります。年度計画策定時に比べて大幅に高騰した場合、売上原価の増加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルな物流問題などにより、特別な材料の入手が予定期日に予定数量を入手することが困難になる可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、市場動向の情報収集と代替材料の検討、コストアップ要請材料の発注条件変更による価格交渉を実施してまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが減少していると認識しておりますが、影響度はやや増加していると判断しています。
(12)法令違反の可能性(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループは、ゴム製品の製造を行う上で、様々な化学物質を使用いたしますが、その使用や管理においては、国内外の様々な法令による順守が求められています。また、顧客や仕入先との取引においては、その取引条件を明確にし、相互に合意した内容で進めることで継続した取引を実現することができます。社内においても、全社における労働法規の順守活動は、継続的な事業活動を進めるために必要である従業員の健康管理と働きがいのある職場づくりに重要な活動であると認識しています。
このリスクへの対応として、各部門で対象となる法令をリストアップし、その改正状況をタイムリーに把握するしくみを導入し、法令順守対応に変化がないかどうかを常にチェックしています。また、特に時間外勤務時間と有給休暇取得状況の目標を定め、毎月の経営会議でその結果を報告して翌月以降の対策を討議し、経営者は従業員の就業状態の認識を共有しています。また、特に下請代金支払遅延等防止法についての勉強会を実施し、正しいプロセスと対応に対する理解を深める活動を進めました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はやや増加しており、影響度もやや増加していると判断しています。
2.脅威度の高いリスク
(1)大規模地震の発生(社外要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:中)
当社の国内の生産工場はすべて福島県南部に位置しており、当社グループの生産高の約9割を担っています。当社の生産工場の建屋は、震度5以下の地震に対する耐震を備えていますが、福島県南部で震度6以上の大規模地震が発生した場合、工場の生産設備の被害や従業員の被災状況によっては、継続した生産活動が損なわれる可能性があり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。2021年2月13日に東北地方で発生した地震では、福島工場で建屋における被害が多少あったものの、従業員の怪我等はなく、生産設備も被害を受けておりません。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、すでに策定しているBCM(事業継続マネジメント)方針に沿ってBCP(事業継続計画)を適宜見直し、被災した場合の緊急対応体制の構築と、稼働率が低下した場合でも事業を継続するための手続きを整備しています。また、従業員の被災状況を把握するために導入した安否コールシステムの定期訓練を実施、システムの安定性と利用について周知を図ってまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがやや減少していると認識しておりますが、影響度はやや増加していると判断しています。
(2)工場の火災、爆発(社内要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:中)
当社製品はゴムのベース材料に薬品など様々な添加物を配合することで、ゴムの機能を特化した独自の付加価値を提供していますが、そのほとんどは引火性の低い材料であるものの、何らかの理由で火災が発生したり、薬品が爆発したりする可能性はゼロではありません。火災や爆発が発生した場合、従業員の被災や生産設備や環境の損害により、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、安全衛生委員会による安全パトロールによる危険箇所の特定とチェックを工場ごとに相互に行い、火災や爆発の発生を未然に防ぐ活動を進めています。また、地域の消防署の協力を得て、工場ごとに消防訓練を行い、火災の際の避難経路や手順の確認、消火活動の実施および消火器の増設など被災した場合の被害を最小限に抑える活動に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はやや減少していると認識しておりますが、影響度はやや増加していると判断しています。
(3)コンピュータ故障によるデータ消失(社外要因 情報リスク 発生可能性:低 影響度:中)
当社では、受注から製造、納品までの営業、生産活動と、会計処理までを一貫したERPシステムを導入し、各プロセスの状況を見える化によるピンポイントの生産性改善や内部統制の財務報告の有効性を確保する体制を整えています。コンピュータシステムはサーバーをクラウド化することで地震等の災害リスクを減らし、定期メンテナンスによる強化を続けていますが、マルウェアなど悪意ある攻撃や災害などにより、データが破損または消失する可能性があり、その程度によっては、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす場合があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、クラウド業者との情報共有を進め、サーバーのバックアップを強化することでデータの破損または消失を防ぐ活動を進めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ横ばいであると認識しており、影響度もほぼ横ばいであると判断しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、連結売上高は64億8千7百万円(前期比13.4%減)となりました。利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工業用ゴム事業の業績が前期を大きく下回ったことから、連結営業損失は9千2百万円(前期は営業利益3億2千5百万円)となりました。連結経常利益は補助金収入の計上があったことにより1千8百万円(前期比94.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は保有有価証券の売却益があったことにより、1億1千3百万円(前期比10.2%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
工業用ゴム事業
工業用ゴム事業では、第2四半期までは自動車向け製品全般、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの売上高が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けて減少しておりましたが、第3四半期以降は経済環境が好転し始めていることを受けて自動車向け製品全般の受注は回復傾向となりました。また卓球ラケット用ラバーにおいても活動の再開によって徐々に受注は回復し始めました。
この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は53億3千6百万円(前期比15.0%減)となりました。またセグメント利益は1億2千1百万円(前期比72.8%減)となりました。
医療・衛生用ゴム事業
医療・衛生用ゴム事業では、第3四半期より新型コロナウイルス感染症の影響で医療診断の変化等による在庫調整の影響を受けてプレフィルドシリンジガスケット製品の受注減少がありました。採血用・薬液混注用ゴム製品の受注は堅調に推移いたしました。
この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は11億5千1百万円(前期比5.1%減)となりました。セグメント利益は1億1千2百万円(前期比40.0%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の状況)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて5千3百万円減少し、103億4千1百万円となりました。この主な減少要因は、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金、仕掛品、機械装置及び運搬具、投資有価証券が減少したものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて2千8百万円減少し、59億1千万円となりました。この主な減少要因は、1年以内返済予定の長期借入金が増加したものの、電子記録債務が減少したものであります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて2千5百万円減少し、44億3千万円となりました。この主な減少要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金が増加したものの、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が減少したものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ6億9百万円増加の14億5千6百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、7億1千9百万円の収入(前期は8億7千1百万円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券売却益1億6千5百万円、仕入債務の減少額1億5百万円(前期は1億7千2百万円の増加)等があったものの、減価償却費5億7百万円(前期は5億5千万円)、棚卸資産の減少1億7千5百万円(前期は1億6千6百万円の増加)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、5千4百万円の支出(前期は6億4千4百万円の支出)となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入29億7千9百万円(前期は33億4百万円の収入)、投資有価証券の売却による収入2億2千5百万円等があったものの、定期預金の預入による支出30億1千3百万円(前期は31億6千4百万円の支出)、有形固定資産の取得による支出3億8千1百万円(前期は7億7千5百万円の支出)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4千9百万円の支出(前期は2億8百万円の支出)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入13億円(前期は11億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出12億2千5百万円(前期は12億3千1百万円の支出)、配当金の支払額9千1百万円(前期は9千1百万円の支払)によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,269,374 |
△15.0 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,119,582 |
△21.3 |
|
合計(千円) |
6,388,956 |
△16.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業 |
5,553,047 |
△10.5 |
880,337 |
32.7 |
|
医療・衛生用ゴム事業 |
1,141,316 |
△8.9 |
170,206 |
△5.7 |
|
合計 |
6,694,363 |
△10.3 |
1,050,544 |
24.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,336,345 |
△15.0 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,151,518 |
△5.1 |
|
合計(千円) |
6,487,864 |
△13.4 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日亜化学工業株式会社 |
1,798,808 |
24.0 |
1,408,856 |
21.7 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定めております。この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、2020年4月から第13次三ヵ年中期経営計画をスタートし、中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、「求められる期待」に素早く応えて「多くの信頼」が得られる行動やステークホルダーとの絆を強くする活発な行動を実践し、繰り返し経験と実績を積み上げながらグローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしていくために質的な成長を目指しております。
当社グループの重点事業分野を光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の4つとし、事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めております。
光学事業では新たに光学設計受託ビジネスを始めました。設計段階からレンズ製品開発に携わることで、提案力と競争力の向上、そして素早くお客様のニーズに応えてまいります。また次に機能事業・再生可能エネルギー分野では風力発電等技術研究開発など、脱炭素社会への貢献を目指して実用化に向けた実証実験を行い信頼性が高い成果を得ました。そして研究成果として、医療・ライフサイエンス事業に応用が期待できる「シリコーンゴムの超親水性処理技術」を開発しました。本技術を応用した製品の展開も始まり、多くのお客様から好評を得ることができました。これからも持続可能なライフスタイルに貢献できる事業を目指して、コア技術を高めて事業の成長を促してまいります。
また福島県白河市にある白河工場で、自動車産業の国際的な品質マネジメント規格であるIATF16949の認証を取得しました。白河工場では自動車内装照明用のASA COLOR LEDの生産をしており、製品や技術が自動車向けの厳しい品質マネジメントを実施していることを世界中のお客様に認識いただきながら、グローバルな新規顧客開拓と継続した品質改善を加速させていきます。
当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、世界経済は不透明な状況になりました。わが国においても引き続き警戒域で推移しており、事業活動に様々な制約を受けました。この中で当社グループは、当期方針に「もっと好奇心を高めて深化・進化・新化しよう」を掲げ、お客様に密着しながら事業が貢献する機会を増やす活動に資源を集中し、各重点事業分野への施策遂行を積極的に進めてまいりました。なお当社の連結子会社である東莞朝日精密橡膠製品有限公司で発生した事象について、速やかに社内調査委員会を立上げ、原因の特定や連結財務諸表への影響額の評価を行い、第2四半期連結累計期間に修正を行いました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
工業用ゴム事業
事業全般の売上高は減少しましたが、新たな社会の実現に向けた取組みは失速することなく着実に前進しました。アンビエント照明分野では、自動車インテリア照明向けの製品バリエーションを拡充して、多様な御客様のご要望に応える活動を推進しました。また自動車エクステリア照明に対する実績と経験を生かして採用拡大に向けた取組みを強化しました。ビークル分野では、自動車業界の新たな潮流「CASE」への適応力を高めるため、電子部品の操作を安心・安全に制御するゴム製品の応用が広まり始めました。自動認識分野における新しい社会環境は「ひとにやさしい社会」を求めて続けており、変化によって生まれる課題を着実に解決する行動で一定の評価を得ました。
医療・衛生用ゴム事業
診断・治療分野でディスポーザブル医療器に使用されるプレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品は、製品用途によって医療診断の変化等による在庫調整の影響を受けました。一方、海外からの輸入品に依存する比率が高い医療機器の国産化に拍車がかかり、前連結会計年度に発売を開始した自社開発の医療回路製品は多くの御客様に御評価をいただく機会が得られました。同じく政策的に行われた第二福島工場と白河第二工場における工場環境を生かす活動も、御客様の承認を得て無事に完了しており、研究開発を進めている理化学機器用ゴム製品を加えて、各事業分野への貢献を促す製造拠点が整いました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。金融機関からの借入金は主として固定金利で調達しております。また、資金調達の機動性確保及び資金効率の改善等を目的に、主要取引金融機関と10億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は10億円であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は31億3百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、第13次中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げております。研究開発活動はコア技術価値を高めて未来を支える行動を実践し、「常に社会の課題を解決するコア技術に磨き鍛えて継続的に事業価値を高め続ける源泉になる」ことを目的として、重点事業分野の顧客価値が高まるゴム素材・ゴム製品を追求しております。
研究開発活動は、当社工場の技術グループ・開発部および子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&D Co., Ltd.)により行われ、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進し、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めてまいりました。また顧客ニーズにマッチするコア技術を鍛えるためにも、国や県のプロジェクトに対して積極的に参画し、外部頭脳とのネットワーク形成や新技術獲得に向け引き続き推進してまいりました。
子会社である株式会社朝日FR研究所の研究員は14名、これは全従業員の2.7%であります。当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
トに関連付けられないため、セグメント別の記載はおこなっておりません。
1.工業用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である光学事業、機能事業、通信事業に対して、独自の競争力の源泉となるコア技術を活かした価値で貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオ・キースイッチなどのバックライト照明に広く使われております。「感性・共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進めました。
埼玉大学と共同で進めている「色と光の感性認知支援」研究では、「AI感性認知評価に基づく人に寄り添ったインテリジェントHCL照明システムの開発」を行い、明かりの質の向上や生体情報およびAI技術を用いて心身状態を推定する手法を確立するなど、QOLの向上に貢献する照明の提供に向けて前進しました。
さらに埼玉大学と共同で、「ウイルス不活性化のための深紫外線LEDシステムの研究開発および実証実験」を行いました。加工性に優れ、高透過率で安価な光学部材の開発を行い、高精度・低価格な深紫外線LEDシステムを製作して製品化を目指します。
(2) 白色シリコーンインキ
主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インキの開発を進めております。従来の可視光反射タイプに加えて、新たに近紫外光反射タイプの開発に成功しました。紫外線から基材を保護して劣化を防ぐことにより、耐候性の向上と照明器具の長寿命化を提案いたします。
(3) ASA COLOR LENS
シリコーン素材技術に光学設計技術を応用したASA COLOR LENSは、自動車エクステリア分野への参入を果たすことが出来ました。またゴム製だけでなく、ガラス製や樹脂製の光学設計についてご提案することで、お客様のニーズに対応しながら、当社の光学設計の技術的ノウハウを高めていくために、光学設計受託ビジネスを開始しました。設計段階からレンズ製品開発に携わることで、提案力と競争力の向上、そして素早くお客様のニーズに応えてまいります。
(4) 再生可能エネルギー分野製品
再生可能エネルギー分野は、脱炭素社会の実現に向けた風力発電機の設置拡大に伴い、福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業や福島県再生可能エネルギー関連技術実証研究支援事業に採択されるなど、産学官連携支援のもと、引き続き重要な実証実験データを取得することが出来ました。風力発電機の性能向上や保守保全への貢献を目指して量産化に向けた取組みを強化してまいります。
(5) RFIDタグ用ゴム製品
「表面改質技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグ用ゴム製品は、ゴムの柔軟性と接着剤では達成できない防水性で、ICチップやアンテナの保護に活用されています。新たな技術改良が生まれ、次世代の製品開発を推進しながら、引き続きお客様の要望に応えてまいります。
(6) F-TEM
柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、標準モデルをECサイトで販売する活動を広げてまいりました。さらにフレキシブルで信頼性の高い製品開発を進めながら競争優位を維持してまいります。
(7) 卓球ラケット用ラバー
お客様が満足する生産技術と材料開発(素材変性技術)を行い、次世代モデルへの応用を提案し続けております。
2.医療・衛生用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である医療・ライフサイエンス事業において、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、医療現場と患者のQOL向上に貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ディスポーザブル医療製品
プレフィルドシリンジガスケットには独自の表面改質技術による低摺動コーティング技術が用いられております。新素材の研究と表面改質技術を進化させ、新たなお客様と共同開発に進むことができました。
回路製品である薬液混注用ゴム栓は薬液等のシール性能が高いマイクロ加工技術によって、お客様から高い信頼を
頂いております。独自開発の医療回路製品の安全性を高めて、さらに用途拡大を進めてまいります。
(2) 診断及び理化学機器製品
シリコーンゴムの特徴を活かした分子接着・接合技術をライフサイエンス分野に応用展開しております。マイクロ流体デバイスチップは、検査・診断分野のお客様と実用化に向けた研究開発を強く進めました。超薄膜シリコーンゴムシートを応用した細胞培養用途では、産業総合技術研究所との共同開発により、多くのエビデンスデータを揃えて信頼性の高いデバイスへと進化させました。
(3) シリコーンゴム技術開発(超親水性処理技術)
独自の素材変性技術と表面改質及びマイクロ加工技術を活かして、シリコーンゴムに親水性に優れた処理を施す技術を開発しました。超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性を格段に向上させることが可能になります。ライフサイエンス分野を中心に、シリコーンゴムの付加価値を高め、様々な用途への展開を進めてまいります。
(4) 医療用シミュレーター
臓器モデルや低硬度ゴムを活用した人体縫合モデルなどの医療用シミュレーター製品開発を行っております。当社の製品が多くの人々のQOL向上に寄与しているという自覚のもと、これからも医療機器市場に対する安心・安全をさらに高めてまいります。