文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定め、その行動指針は、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」としています。会社は社会のためにあること、また持続的に社会の責任を果たして社会に貢献できる企業であり続けることを常に考えていきます。そして私たちを取り巻くすべてのステークホルダーとの対話を通じて、企業価値を高めていきます。
この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、最初のステージの2023年3月期までの2020年4月~2023年3月を第13次中期三ヵ年の経営計画を策定し、その基本方針は、「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する。」としています。
中期経営戦略は、「事業が貢献する機会を増やし密着して、素早く課題を解決する技術で経験と実績を積み重ねる」「CSR/ESG経営へ進化させる」といたしました。当社グループの強みである朝日ラバーらしさを継続して磨き、成長させていく上で、求められる期待に素早く応えて多くの信頼が得られる行動やステークホルダーとの絆を強くする活発な行動を実践し、繰り返し経験と実績を積み上げながらグローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしていくために質的な成長を目指します。
業績目標は、連結売上高80億~90億円、利益指標については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながらも、質的成長を目指すことから、連結営業利益率8%以上といたしました。
新製品・開発製品の市場供給と新規顧客開拓、顧客満足の追求は、当社グループが継続して取り組む事業方針です。WEBツールによるコミュニケーションや動画など新しい手法で取り組んできたPR活動をさらに進化させ、従来の手法と組み合わせた既存顧客また新規顧客へのアプローチにより、顧客と密接した関係性を確保し、市場や顧客の求める価値、また変動する市場環境を迅速に把握する活動を続けています。工場では、3Dプリンタ導入によるサンプル提供のスピードアップや生産設備の稼働効率を上げる活動など、絶え間ない改善活動と創意工夫を続けていく活動を続けています。引き続きコミュニケーション力を高めて、市場の状況やお客様の価値基準、仕入先様等とのパートナーシップを強固に保ち続けることで、当社グループの発展に資する意思決定を速やかに行える体制を整えています。
昨年、当社グループは「サステナビリティビジョン2030」を制定し、事業が持続的に発展し、社会に貢献していけるように、環境、社会、ガバナンスの視点から取り組み目標を定めて、全社的な活動をスタートさせました。「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り、持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」をビジョンとして、さまざまなパートナーとともに、ゴムが持つ無限の可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続けます。
中でも、当社グループを構成する岩盤は、市場やお客様とのつながり、コア技術、そしてそれらを実現する一人ひとりの従業員です。市場やお客様とのつながりをさらに太く、グローバルに広く築いていく。そこで集めたニーズを実現するゴムのコア技術をさらに磨き、鍛えていく。こうした活動を継続していくためにはそれぞれの従業員の働く環境を整えて、やりがいを持って活躍していただく。これにより企業価値の質を高めていくことで、さらなる成長につなげていきたいと考えています。
私たちは、「個性を尊重し特徴ある企業に高めよう。豊かな人間関係、生活の向上を目指し社会に奉仕しよう。」という当社の社訓を心に刻み、さらに次の世代へとつなげていきます。
当社グループのリスクマネジメント活動は、事業活動に関わるリスクを抽出、評価、特定し、会社の社訓、経営基本方針、中期経営計画などを踏まえて、当社事業のビジネスチャンスに経営資源を投入するための指針となる年度経営方針を取締役会決議により策定します。組織の内部・外部のリスクを低減する活動として、事業部門の活動方針や会議体のテーマとして重要なリスク低減活動を組み込み、その活動を経営者が半期に一度レビューします。具体的なサイクルは以下となります。
①各月の状況把握
工場会議、経営会議等の会議体、また主要テーマごとの委員会による内部・外部の課題リスクの状況変化の把握
②トップ診断(半期に一度)
会社方針および各部門、会議体、委員会の年度計画を内部・外部のリスクに照らして、その活動内容の進捗と変化の確認および今後の活動計画の修正
③リスクマネジメント会議(年に一度)
各部門、会議体、委員会による内部・外部のリスクの発生頻度また発生時の影響度を抑える活動の評価と内部・外部の課題の変化を踏まえて、新たな課題の発生の有無、課題の発生頻度の変化、発生時の重要度合の変化を評価します。評価の内容は取締役会に報告しています。
リスクの評価は、今年度の事業活動や会社を取り巻く環境から新たに発生したリスクの項目を挙げ、取締役と本部長それぞれがリスクの発生する可能性と発生した場合の影響度を点数評価して集約し、その点数の積でリスクの重要度を算出します。また、発生可能性または影響度のどちらかでも基準を脅威度とし、重要度と脅威度の高いリスクを特に重要度の高いリスク(マテリアリティ)として選定し、リスクを回避または低減する活動につなげます。

上記の方法により、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.重要度の高いリスク
(1)主要製品・新規受注製品の大幅な減少(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社製品は、そのほとんどがゴム部品として顧客のもとで最終製品として組み込まれ、市場へと展開されます。この最終製品の販売動向については顧客に依存するものであり、顧客の販売戦略上、計画していた販売数量に変動が生じることがあります。また、当社独自技術を生かしてお客様に新しい付加価値を提案できる新製品・開発製品の市場連結供給を継続的に行うこと、また、既存製品でも新しいお客様に向けた製品開発で市場の開拓により、持続的に事業を成長させていく活動を進めています。品質、価格、納期などの条件を顧客と決定し、受注した製品の量産を進めていますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の販売戦略上の事情により、受注数量が計画よりも減少することがあり、売上高の減少と利益の減少につながる可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBミーティングにより営業部門と技術部門が一緒に顧客にアプローチすることで密着活動を推進して売上予測の精度向上に取り組み、取締役会への情報共有化を図り、営業部門から工場部門への情報展開と柔軟な生産体制の実現に取り組んでまいりました。また、半導体不足や原材料高騰などによる受注情報の変化を速やかに入手し、工場の生産体制の平準化に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが増加していると認識しており、影響度も依然として高いと判断しています。
(2)新製品立ち上げ・自社開発の遅れ(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループでは、当社独自の技術を生かしてお客様のニーズに合わせた新製品の開発に取り組んでいますが、独自の技術のさらなる深掘と強化、また技術の複合化によりこれまでにない付加価値を生み出す取り組みは、短期の受注活動には結びつかないものの、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化による中期的な事業規模の拡大につながるため、経営の重要課題として一定の経営資源を投入し継続的に取り組んでいます。新製品開発の取り組みはロードマップを作成し、計画的に進めていますが、特に難易度の高いテーマの進捗の遅れや他社の技術開発の動向を踏まえた計画の見直しなどによる新製品開発の遅れは、将来の受注減による売上高の減少と継続的な事業の成長に大きく影響する可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、開発スケジュールの明確化と遅れに対する課題解決を進めてまいりました。また、3Dソリューションサービスの実施を展示会等でPRし、試作提案などスピードアップを図る取り組みを始めています。さらに、失注案件についてその要因を分析し、次期開発案件の受注率とスピードアップを図るなど、影響度の低減に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は増加いたしましたが影響度はほぼ同等であると判断しています。
(3)原材料価格の高騰・入手困難(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループの製品は、ゴム原料およびその添加物を仕入れ、加工し、販売しています。こうした原材料の価格は、グローバルな市況の変化に影響を受け変動することがあります。年度計画策定時に比べて大幅に高騰した場合、売上原価の増加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルな物流問題などにより、特別な材料を予定期日に予定数量を入手することが困難になる可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、コストアップによる影響を算出し、ものづくりにおける原価改善を進めると同時に、顧客に環境変化を理解いただくよう努めて、販売単価への転嫁を妥結してまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はグローバルな新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、ロックダウンなどによる原材料の供給量の低下や燃料費の高騰により増加し、影響度も増加していると判断しています。
(4)感染症の拡大(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループが事業活動を行っている国、地域において感染症が拡大した場合、多くの従業員やその家族の健康が損なわれる恐れがあります。また、行政機関の要請等により、事業活動に様々な制約がかかることで、営業や生産、開発活動が滞る可能性があります。顧客や最終消費地において感染症が拡大した場合も同様に多くの方々の健康が損なわれ、企業の活動が停滞し、需要が大きく低下するおそれがあり、受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、特に世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスへの対応として、地域の情報やまん延防止等重点措置法、緊急事態宣言による要請を踏まえ、従業員の健康管理体制を整え、施設の利用や不要不急な出張を制限するなどの対策をとり、発生可能性を抑える活動を続けています。また、顧客とも密接に情報交換を行うことで、先の需要の変動情報をつかみ、生産体制に反映させています。
この結果、前連結会計年度に比べて、当社グループ内での発生可能性は感染力の強い変異株のまん延状況を鑑みると依然として高い状況にあり、発生した場合の影響度も高いと考えております。
(5)社内ルールの逸脱(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループの活動は、顧客への提案活動から設計、受注、仕入、製造、販売という事業プロセスを通じて収益を上げる活動を進めていますが、その品質や財務報告の信頼性は社内ルールの順守が前提であり、これを逸脱することで正しい事業活動を妨げ、株主をはじめとする市場関係者に正しい情報を伝えることができず、社会の一員としての企業の信頼を損ねる可能性があります。
このリスクへの対応として、前期に発生した海外子会社における棚卸資産の過大計上の再発防止のため、当社の内部監査部門と当該子会社の管理部門との情報交換を外部の専門家を交えて定期的に行い、会計システムの正確な理解および現物管理と数値管理の正確な運用を徹底し、毎月の当社の取締役会で当該子会社の総経理が計画実施の進捗状況を報告することで情報共有を進めてまいりました。また、当社内でも、内部統制システムの運用状況を監査等委員である取締役が主導してマネジメントフローをチェックすることで確認してまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性、影響度とも減少していると判断しています。
(6)採用募集の未達(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:中)
当社グループでは、継続的な事業の成長と働く環境の活性化に向けて、中期的な計画のもと、毎年の定期採用と臨機応変な中途採用を行っておりますが、少子化に伴う学生数の減少や募集企業の増加により、当社グループの採用募集活動にエントリーする人材の不足や、求める人材とのアンマッチなどにより、計画した採用を実施できないことがあり、持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、大学や学校との関係づくりはWEBによる説明会により実施が困難な側面が続くものの、インターンシップの受け入れなど地域や学校の要望に応えるとともに、採用媒体の見極めによる効率的な採用活動を努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度は増加していると判断しています。
(7)重大なクレーム(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:中 影響度:高)
当社グループでは、顧客に提供する製品の品質には、製品設計、工程管理、検査体制に至るまで、万全の体制を整えるべく努力しております。しかし、万一、顧客に納品した製品に不具合があった場合、返品や代納の対応による売上原価の増加だけでなく、お客様の信頼を損ない、将来の受注減による売上高の減少につながります。さらに、それが最終製品として市場に流出し、検証の結果、当社製品による不具合が認められ、製造物責任法による損害賠償責任が発生した場合、損失の計上により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、お客様の要求事項の確認と不具合発生時の速やかな情報伝達により早期に適切な対応がとれる体制を整えてきました。また製造工程のルールを守る意識付けとQCサークル活動の推進による改善により、不良品を社外に流出させない取り組みを進めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はほぼ横ばいと判断しています。
(8)社外の革新的な技術、新製品、新製法の出現(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループでは、独自の技術を応用した製品開発と事業展開を図ることで、お客様への付加価値の提案による差別化を事業戦略の柱としておりますが、既存製品や既存事業または今後展開を検討している製品や事業に対し、同業種異業種を問わず、機能または価格等の面で決定的に顧客に選択優位性を与える革新的な技術、新製品、新製法の出現は、市場の独占や寡占状態となり当社製品や事業が排斥されることにより、将来の受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBセミナーやWEB展示会が主流となったため、技術と知財トレンドの動向について従来より多くの情報を収集することができています。また論文などの文献情報やWEBから調査し、市場や社会のニーズから必要となる技量や技術の構築に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(9)従業員の高齢化(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループでは、競争力の源泉の一つが従業員であることを認識し、従業員が能力を発揮し、働きやすい職場環境を整備することで従業員満足を実現していく活動を進めていますが、従業員の高齢化に伴い、人件費の増加だけでなく法令への対応や業務上の役割の体制が整備されない場合、従業員満足度が低下し、将来の競争力の低下につながる可能性があります。
このリスクの発生可能性が高まっていることから、発生した場合の影響を調査し、従業員満足度の視点での働く環境の整備と人事制度の改廃を進めてまいります。
(10)各ハラスメント問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループ内で発生するハラスメントは、職場環境と人間関係の悪化を招き、従業員の肉体的精神的健康を阻害すると同時に、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、ハラスメントに関する理解を促す研修資料を全部門でのオンデマンドによる受講を実施いたしました。特に、パワーハラスメントについては、労働施策総合推進法の改正に伴い、正しい理解を促すための研修を実施いたしました。また、ヘルプラインの社内窓口と社外窓口の利用を促し、何かあれば相談できる環境づくりに努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はほぼ横ばいと判断しています。
(11)顧客からの大幅コストダウン要求(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの製品は、顧客の要求仕様を踏まえて品質、価格、納期などの条件が決定し、量産していますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の事情により、価格を大幅に下げるコストダウンを要求されることがあります。大幅なコストダウンは販売単価の継続的な下落が売上高の減少につながり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、コストダウンの抑制交渉と、工場での材料歩留りの向上や購入材の価格交渉など原価低減活動を行うと同時に、顧客には販売単価を維持しながら機能面をアップできるような付加価値を提案できるよう技術の進化やものづくりの効率性の向上に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ横ばいと認識しており、影響度やや増加していると判断しています。
(12)メンタルヘルス問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
従業員のメンタルヘルス問題は従業員の精神的な健康を阻害し、やりがいや働きがいが失われ、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、個人情報に配慮したヘルスチェックによる自己診断と組織分析による傾向の把握により職場環境の改善に取り組んでまいりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密にならない職場環境づくりを推進したことから、コミュニケーションが取りにくくなる側面がありましたが、ハラスメントなど行為者の問題行動の防止だけでなく、普段とは違う表情や行動が表れていないかを常に確認するよう管理者への指導に努めてまいりました。また、心身の不調があればいつでも相談できるよう社内と社外に窓口を設けています。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(13)法令違反の可能性(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループは、ゴム製品の製造を行う上で、様々な化学物質を使用いたしますが、その使用や管理においては、国内外の様々な法令による順守が求められています。また、顧客や仕入先との取引においては、その取引条件を明確にし、相互に合意した内容で進めることで継続した取引を実現することができます。社内においても、全社における労働法規の順守活動は、継続的な事業活動を進めるために必要である従業員の健康管理と働きがいのある職場づくりに重要な活動であると認識しています。
このリスクへの対応として、各部門で対象となる法令をリストアップし、その改正状況をタイムリーに把握するしくみを導入し、法令順守対応に変化がないかどうかを常にチェックしています。また、特に時間外勤務時間と有給休暇取得状況の目標を定め、毎月の経営会議でその結果を報告して翌月以降の対策を討議し、経営者は従業員の就業状態の認識を共有しています。また、特に下請代金支払遅延等防止法についての勉強会を実施し、正しいプロセスと対応に対する理解を深める活動を進めました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少していますが、影響度は増加していると判断しています。
(14)子会社の監督の不備(社内要因 企業リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの子会社は、国内に研究開発を行う子会社1社と、海外に販売子会社3社とゴム製品の製造と販売を行う子会社1社です。子会社の経営はそれぞれ代表者を選任し、特に海外では現地の法令や文化を尊重し、経営計画に沿った経営判断を委譲し、顧客満足度を高める活動を進めていますが、正しい情報共有ができなかった場合、連結損益に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、子会社の取締役会に当社の財務部門、事業部門の責任者がWEBシステムで参加し、また、四半期ごとに当社の取締役会で決算状況や事業の動向を子会社の経営者から報告を受け、会社の財産の状況の確認や内部統制上の課題の発見と是正措置の助言を行っています。
このリスクの発生可能性が高まっていることから、発生した場合の影響を調査して子会社の経営指標の監視体制を整備し、企業グループとしての価値を高めてまいります。
(15)労災事故(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループは、ゴム製品の生産活動を行う上で、油圧プレス機や自動アッセンブリ機など様々な設備を利用していますが、設備を操作する作業において、誤って従業員の身体にケガ等の労働災害事故が起こる可能性があります。また通勤や出張などで移動する際、何らかの事故に遭遇する可能性もあります。こうした労働災害が発生すると、従業員の生活や健康を損ない、社会に貢献する企業としての役割を果たすことができなくなると認識しています。
このリスクへの対応として、工場での従業員が安全に業務を行うことができる環境づくりを第一に、定期的な設備のメンテナンスや作業マニュアルの整備を随時進めています。また社有車の定期的な点検を実施し、自家用車でもポスターなどで点検の奨励と啓発活動を行っています。
このリスクの発生可能性が高まっていることから、安全衛生委員会による工程パトロールや啓発活動を行い、また環境の見直しを常に行うことで、労働災害の未然防止に努めています。
2.脅威度の高いリスク
(1)大規模地震の発生(社外要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:高)
当社の国内の生産工場はすべて福島県南部に位置しており、当社グループの生産高の約9割を担っています。当社の生産工場の建屋は、震度5以下の地震に対する耐震を備えていますが、福島県南部で震度6以上の大規模地震が発生した場合、工場の生産設備の被害や従業員の被災状況によっては、継続した生産活動が損なわれる可能性があり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。2022年3月16日に東北地方で発生した地震では、従業員の怪我等はなく、生産設備も被害を受けておりません。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、すでに策定しているBCM(事業継続マネジメント)方針に沿ってBCP(事業継続計画)を適宜見直し、被災した場合の緊急対応体制の構築と、稼働率が低下した場合でも事業を継続するための手続きを整備しています。また、従業員の被災状況を把握するために導入した安否確認システムの定期訓練を実施、システムの安定性と利用について周知を図ってまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが横ばいと認識しており、影響度も横ばいと判断しています。
(2)工場の火災、爆発(社内要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:高)
当社製品はゴムのベース材料に薬品など様々な添加物を配合することで、ゴムの機能を特化した独自の付加価値を提供していますが、そのほとんどは引火性の低い材料であるものの、何らかの理由で火災が発生したり、薬品が爆発したりする可能性はゼロではありません。火災や爆発が発生した場合、従業員の被災や生産設備や環境の損害により、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、安全衛生委員会による安全パトロールによる危険箇所の特定とチェックを工場ごとに相互に行い、火災や爆発の発生を未然に防ぐ活動を進めています。また、地域の消防署の協力を得て、工場ごとに消防訓練を行い、火災の際の避難経路や手順の確認、消火活動の実施および消火器の増設など被災した場合の被害を最小限に抑える活動に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度は横ばいと判断しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前期に比べ、工業用ゴム事業の売上が前年を上回り、連結売上高は70億2千4百万円(前期比8.3%増)となりました。利益面においても売上増加を受け、連結営業利益は2億9千1百万円(前期は営業損失9千2百万円)となりました。連結経常利益は3億1千3百万円(前期比1,614.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億3千8百万円(前期比109.6%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
工業用ゴム事業
工業用ゴム事業では、半導体をはじめとした部品不足の長期化の影響を受けたものの、自動車向け製品や卓球ラケット用ラバーなどの売上高が回復したことから前期比増加いたしました。しかしRFIDタグ用ゴム製品は、経済環境や生産調整の影響を受けて売上高が減少しております。
この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は58億3千万円(前期比9.3%増)となりました。またセグメント利益は5億2千9百万円(前期比337.2%増)となりました。
医療・衛生用ゴム事業
医療・衛生用ゴム事業では、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓において、新型コロナウイルス感染症の影響による生産調整から回復傾向となり、売上高は増加いたしました。
この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は11億9千3百万円(前期比3.6%増)となりました。原材料等の価格高騰影響などから、セグメント利益は9千8百万円(前期比12.4%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の状況)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて6億2千1百万円減少し、97億2千万円となりました。この主な減少要因は、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品が増加したものの、現金及び預金、受取手形及び売掛金、建物及び構築物、機械装置及び運搬具が減少したものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて8億6千6百万円減少し、50億4千3百万円となりました。この主な減少要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金が減少したものであります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて2億4千5百万円増加し、46億7千6百万円となりました。この主な増加要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ5億円減少の9億5千6百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、4億3千5百万円の収入(前期は7億1千9百万円の収入)となりまし
た。
これは主に、棚卸資産の増加2億7千7百万円(前期は1億7千5百万円の減少)、仕入債務の減少額1億9千9百万円(前期は1億5百万円の減少)等があったものの、税金等調整前当期純利益3億4百万円(前期は1億5千4百万円の利益)、減価償却費4億5千5百万円(前期は5億7百万円)、売上債権の減少1億5千1百万円(前期は7千7百万円の減少)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2億1千4百万円の支出(前期は5千4百万円の支出)となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入15億4千5百万円(前期は29億7千9百万円の収入)があったものの、定期預金の預入による支出15億7千万円(前期は30億1千3百万円の支出)、有形固定資産の取得による支出1億8千1百万円(前期は3億8千1百万円の支出)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億6千1百万円の支出(前期は4千9百万円の支出)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入5億円(前期は13億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出11億6千4百万円(前期は12億2千5百万円の支出)、配当金の支払額9千万円(前期は9千1百万円の支払)によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,932,320 |
12.6 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,163,634 |
3.9 |
|
合計(千円) |
7,095,954 |
11.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
b 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業 |
5,884,996 |
6.0 |
934,605 |
6.2 |
|
医療・衛生用ゴム事業 |
1,134,321 |
△0.6 |
110,997 |
△34.8 |
|
合計 |
7,019,318 |
4.9 |
1,045,602 |
△0.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,830,729 |
9.3 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,193,530 |
3.6 |
|
合計(千円) |
7,024,259 |
8.3 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日亜化学工業株式会社 |
1,408,856 |
21.7 |
1,366,868 |
19.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定めております。この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、2020年4月から第13次三ヵ年中期経営計画をスタートし、中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、「お客様の期待」に素早く応えて「多くの信頼」が得られる行動や、「ステークホルダーとの絆」を強くする行動を活発に実践し、経験と実績を繰り返し積み上げながら質を高めて、グローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしてまいります。
当社グループの重点事業分野を「光学事業」、「医療・ライフサイエンス事業」、「機能事業」、「通信事業」の4つとし、事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めました。特に研究開発として、光学事業では感性認知支援照明への応用、医療・ライフサイエンス事業の理化学機器分野では再生医療用材料の研究、機能事業の再生可能エネルギー分野では研究機関との連携による仮想実験の拡充や風力発電機を用いた実証実験など、それぞれの事業計画通りに成果を得ることが出来ました。
当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことにより経済活動が緩やかな回復傾向となりました。一方、景気回復に伴い原材料の高騰や調達リスクが高まるなど、世界経済は再び不透明感が増してきました。さらに中国やアセアン地域における厳格な感染拡大防止対策は事業活動に様々な影響を与えました。この中で当社グループは、当期経営方針に「みんなにうれしさをお届けしよう」を掲げ、お客様に密着しながら事業の魅力を高めて貢献する機会を増やす活動、そして出口を掴む活動に資源を集中し、各重点事業分野への施策遂行を積極的に進めてまいりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
工業用ゴム事業
世界経済が不確実性を高めながら戻りつつある中、調達や生産活動は機会を逃さぬようサプライチェーンを強化してまいりました。また材料価格高騰などの経営リスクは、適宜にお客様との交渉を行う体制を構築しました。そして、各事業が望む次世代に適合する新しい価値を提案し続けるため、新素材の開発や提案力の強化を行い御客様との信頼や期待に応え続けました。自動車分野では自動化や電動化が一層進む中で、デザイン性が高いインテリア空間を奏でる照明や走行時の安全性を求めたエクステリア照明、機構部品の操作性を高める性能などが求められ、多くの提案活動の中から課題を解決する糸口を見出いしました。スポーツ分野はオリンピックが開催されたことや経済活動の戻りが後押しになり、徐々に活況を呈し始めました。これからも工業用ゴム事業全般の体制を新たなカタチに進化させながら岩盤を強化する活動を展開してまいります。
医療・衛生用ゴム事業
診断・治療分野でディスポーザブル医療機器に使用されるプレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品は、前連結会計年度に続き製品用途によって医療診断の変化等による在庫調整の影響を受けましたが、受注傾向を鑑みると少しずつ改善する方向にあると推察いたします。また新規受注活動におきましても、自社開発製品を中心に集客力が高まりつつあります。これを契機に白河第二工場では、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485を取得する準備を進めており、海外市場も視野に入れた活動を展開してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。金融機関からの借入金は主として固定金利で調達しております。また、資金調達の機動性確保及び資金効率の改善等を目的に、主要取引金融機関と10億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は10億円であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24億3千2百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、第13次中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げております。研究開発活動はコア技術価値を高めて未来を支える行動を実践し、「常に社会の課題を解決するコア技術に磨き鍛えて継続的に事業価値を高め続ける源泉になる」ことを目的として、重点事業分野の顧客価値が高まるゴム素材・ゴム製品を追求しております。
研究開発活動は、当社工場の技術グループ・開発部および子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&DCo., Ltd.)により行われ、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進し、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めてまいりました。また顧客ニーズにマッチするコア技術を鍛えるためにも、国や県のプロジェクトに対して積極的に参画し、外部頭脳とのネットワーク形成や新技術獲得に向け引き続き推進してまいりました。
子会社である株式会社朝日FR研究所の研究員は14名、これは全従業員の2.8%であります。当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
1.工業用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である光学事業、機能事業、通信事業に対して、独自の競争力の源泉となるコア技術を活かした価値で貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオ・スイッチなどのバックライト照明に広く使われております。IATF16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)の取得に伴い、グローバル品質に応える製造方法の確立や発光色を狭小に管理する技術開発を行いました。また「感性・共感」をキーワードに埼玉大学と共同で進めている「色と光の感性認知支援」研究では、新たに勉強用光源や睡眠導入光源などを生み出すなど、機能性を有する光のバリエーションを増やしました。これからも、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進めてまいります。
(2) 白色シリコーンインキ
主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インキの開発を進めております。「照明器具用白色シリコーンインキ塗膜」の標準化の取り組みにより、令和3年度産業標準化事業表彰(経済産業大臣賞)を受賞することが出来ました。当社の白色シリコーンインキは、高い光反射率と高い信頼性により長期間白色度を保持する塗膜を形成し、また、樹脂基板など塗工部材の光劣化を抑えることから、LED照明器具の明るさ向上、省エネルギー化、長寿命に貢献します。新たに紫外線反射塗膜を開発し、紫外線殺菌機器の反射材への応用展開を進めております。
(3) ASA COLOR LENS
シリコーン素材技術に光学設計技術を応用したASA COLOR LENSは、自動車エクステリア分野への拡販を継続しております。また深紫外線(波長が280nm以下の光)に対応する素材を開発し、殺菌・浄水、空気清浄などの新市場開拓を開始しました。
お客様のニーズに対応しながら、当社の光学設計の技術的ノウハウを高めていくために、光学設計受託ビジネスも引き続き進めております。設計段階からレンズ製品開発に携わることで、提案力と競争力の向上、そして素早くお客様のニーズに応えてまいります。
(4) 再生可能エネルギー分野製品
再生可能エネルギー分野は、脱炭素社会の実現に向けた風力発電機の設置拡大に伴い、令和3年度福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業に採択されるなど、産学官連携支援のもと、引き続き重要な実証データを取得することが出来ました。風力発電機の性能向上や保守保全への貢献を目指して量産化に向けた取組みを強化してまいります。
(5) RFIDタグ用ゴム製品
「表面改質技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグ用ゴム製品は、ゴムの柔軟性と接着剤では達成できない防水性で、ICチップやアンテナの保護に活用されています。従来より小型化した新製品の市場投入を行いながら、引き続きお客様の要望に応えてまいります。
(6) F-TEM
柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、ECサイトで標準モデルを販売する活動を加えることで、新たな開発活動につながり出しました。これからもフレキシブルで実用性の高い製品開発を進めながら競争優位を維持してまいります。
(7) 卓球ラケット用ラバー
お客様が満足する生産技術と材料開発(素材変性技術)を行い、次世代モデルへの応用を提案し続けております。
2.医療・衛生用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である医療・ライフサイエンス事業において、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、医療現場と患者のQOL向上に貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ディスポーザブル医療製品
プレフィルドシリンジガスケットには独自の表面改質技術による低摺動コーティング技術が用いられております。新素材の実用化に向けて、表面改質技術を生かせる生産技術力の向上に注力しました。回路製品である薬液混注用ゴム栓は、マイクロ加工技術を応用することよってお客様から高い信頼を頂いております。
(2) 診断及び理化学機器製品
シリコーンゴムの特徴を活かした分子接着・接合技術をライフサイエンス分野に応用展開しております。マイクロ流体デバイスチップは、検査・診断分野のお客様と実用化に向けた研究開発を強く進めました。また超薄膜シリコーンゴムシートを応用した理化学機器向け製品は、大学との共同研究活動で多くのエビデンスデータを取得することが出来ました。学会や展示会などの機会を活かしながら専門メーカーへの提案活動が始まりました。
(3) シリコーンゴム技術開発(超親水性処理技術)
独自の素材変性技術と表面改質及びマイクロ加工技術を活かすことで、親水性に優れた表面改質処理を施す技術を進化させました。この超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性を格段に向上させることが可能になります。ライフサイエンス分野を中心に、シリコーンゴムの付加価値を高め、様々な用途への展開を進めてまいります。
(4) 医療用シミュレーター
臓器モデルなど医療用シミュレーター製品を開発しております。医療従事者にとって訓練性が高い装置の開発を行うことで、医療現場の安心・安全をさらに高めてまいります。