文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定め、その行動指針は、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」としています。会社は社会のためにあること、また持続的に社会の責任を果たして社会に貢献できる企業であり続けることを常に考えていきます。そして私たちを取り巻くすべてのステークホルダーとの対話を通じて、企業価値を高めていきます。
この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、2023年4月~2026年3月の三ヵ年をどのように取り組んでいくかを第14次中期経営計画として取りまとめました。テーマを「後継」と「Well-being」としました。中期経営方針は、「魅力を高めて新たな価値を提供しよう。」としています。中期経営戦略は、①事業活動の深化・進化・新化、②スマートファクトリーの実践、③Well-beingを高める、④地域社会貢献、として、ESG経営を進化させ、4事業が新たな施策を持って2030年またその先の将来に向かって「新しいカタチ」に挑戦するステージに入ります。これまで以上に柔軟かつ好奇心旺盛な思考で行動し、事業活動を通じて様々な方々と一緒に未来につながるカタチをつくっていきたいと考えています。
当社では、ゴムの可能性を拡げて市場やお客様にご満足をいただける新しい価値を提供する活動を進めています。その開発から製品化まではある程度の期間が必要で、今般の新型コロナウイルスによる災禍の中で、案件やスケジュールの見直しがありましたが、医療・ライフサイエンス事業や機能事業で、新しい製品の供給がスタートし、未来につながる市場ニーズをつかんで開発・試作の取り組みを加速させています。
当社グループは「サステナビリティビジョン2030」を制定し、事業が持続的に発展し、社会に貢献していけるように、環境、社会、ガバナンスの視点から取り組み目標を定めて、全社的な活動を進めています。「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り、持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」をビジョンとして、さまざまなパートナーとともに、ゴムが持つ無限の可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続けます。
中でも、当社グループを構成する岩盤は、市場やお客様とのつながり、コア技術、そしてそれらを実現する一人ひとりの従業員です。人権方針に加えて、従業員の成長が企業の成長につながると考え、このたび、人材育成方針と社内環境整備方針を定め、スキルアップとキャリアアップの教育訓練メニューを整備しました。市場やお客様のニーズを実現するゴムのコア技術をさらに磨き、鍛え続けていくために、従業員の働く環境を整えて、やりがいを持って活躍していただく。これにより企業価値の質を高めていくことで、さらなる成長につなげていきたいと考えています。
私たちは、「個性を尊重し特徴ある企業に高めよう。豊かな人間関係、生活の向上を目指し社会に奉仕しよう。」という当社の社訓を心に刻み、さらに次の世代へとつなげていきます。
業績目標は、連結売上高85億円以上、連結営業利益率5%以上といたしました。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、取締役会の指示のもと、業務執行の取締役と執行役員で構成するESG会議を毎月実施し、サステナビリティに関する活動の進捗と新たに発生する課題の認識と対応について議論し、方針を決定して取締役会に報告する体制を整えています。対策については、組織の活動によるものと各機能を交えた安全衛生委員会、環境省エネ委員会、人材育成会議などの会議・委員会にて具体的な活動計画を策定、実施と確認のサイクルを運営しています。
(2)戦略
(人事戦略)
当社グループの人事基本戦略として、従業員との対話を大切にし、安心・健康でやりがいのある働きやすい職場づくりに努めます。従業員が公平に評価され、働きがいやモラールの向上につながるよう、資格等級制度、評価制度、給与制度を見直し、目標を必ず達成できる企業体質の構築を目指します。
朝日ラバーが目指す人材像
1. 私たちは、一人ひとりが自立心を持って目標に挑戦します。
2. 私たちは、個性を尊重しつつ人間性の向上を育み、仕事を通じて自己実現できる環境づくりを目指します。
3. 私たちは、公平に機会を与え、公正かつ具体的に評価し処遇を決めます。
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針は、以下となります。
朝日ラバーは、経営基本方針の骨子として「広く社会に貢献すること」「人間として成長していくこと」を掲げ、一人ひとりの自主的な成長意欲や感謝の気持ちを重んじながら、常に社会や組織に最大限貢献できる人材育成を実施しています。
また、社内環境整備に関する方針は、以下となります。
①人格と個性の尊重
朝日ラバーは、従業員一人ひとりが有している人格と個性を尊重し、ワクワクできる働きがいのある職場や自身が成長できる環境づくりを進めます。
②コンプライアンスの推進
朝日ラバーは、果たすべき社会的責任を自覚し、コンプライアンスを遵守するため継続的に推進活動を行い、風通しの良い企業風土づくりを進めます。
③環境への配慮
朝日ラバーは、地球環境にやさしいゆとりと豊かさを実現できる社会環境と、安全、安心でイキイキと働ける職場環境の整備を進めます。
上記の方針のもと、従業員個人の保有するスキルを踏まえて、年間の教育計画に反映させています。従業員の保有能力を把握した上でのキャリアアッププランの策定や管理職のスキルアップ制度の導入を進めています。また、自己啓発の促進につとめ、通信教育などは修了を条件に費用はすべて会社負担として自主的な知識の習得を支援しています。
また、育児休暇、介護休暇、短時間勤務制度等のワーク・ライフ・バランスを考慮した施策も実施しています。
朝日ラバーでは、健康経営を軸とし、従業員が能力を最大限発揮できるように「こころと身体の健康増進」に向けた活動を推進しています。ストレスチェックの実施はもとより、その結果からの集団分析結果を活用した職場環境改善の取り組みを行なっています。産業医・保健師・当社管理部門が一体となった「健康支援室」は、特定保健指導を中心に食生活と運動の両面からの生活習慣病改善をサポートしています。病気の予防への取り組みとして、希望者を対象にインフルエンザ予防接種の健康保険組合の負担分を除く全額を会社が負担しています。2021年度から、こちらも希望者を対象に会社が検査費用を全額負担して、線虫検査によるがん検査を実施しています。
(環境活動)
当社は法令・法規・条例を遵守し、「環境にやさしいものづくり」と「確かな品質」の実現に向け、環境基本方針および品質基本方針を定め、環境・品質を一体とした考えのもとで品質・環境方針を定めています。
お客様の視点や市場のニーズに沿った品質を継続的に高めていく活動は重要であり、品質不具合はお客様の信頼を損なうとともに原料やエネルギーの無駄な消費と廃棄物の増大を招くことになります。そのためにも環境・品質問題を重要課題とし、統合マネジメントシステムを確実に運用し、社会に貢献する企業を目指します。
環境基本方針
当社は環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境の保全と社会への貢献を目指して活動します。
当社で取り組んでいる主な環境活動は、以下となります。
① CO2排出量の低減
当連結会計年度において当社の総CO2排出量は967tとなり前期比65.5%減となりました。CO2排出の約9割を占める電力起因のCO2を削減するため、2021年12月より全工場において、外部からの購入電力はすべて再生可能エネルギー起因の電力(水力発電および地熱発電による属性のある非化石証書付電力)を使用しています。これにより、工場部門でのエネルギー消費によるCO2の発生は、ボイラー燃焼時に発生するものだけになります。さらに、段階的に自家消費用の太陽光発電設備を設置しています。また、蒸気配管の断熱や排熱の利用、電気エネルギーとの組み合わせなどでエネルギーの効率的な使用を検討するとともに、今後も再生可能エネルギーを利用した生産活動を推進していきます。
② 電力使用量の低減
当連結会計年度において当社で使用した電力量は約810万kWhとなり前期比0.8%減となりました。このうち、当社で自家消費した太陽光発電量は、約97万kWhで全工場で使用した総電力の11.9%となりました。特に、太陽光発電の導入を進めている白河、白河第二工場では全体使用量の24.5%となりました。省エネ活動としては、設備電源を中心とした不使用時の停止、工場エア用のコンプレッサー吐出圧見直し、エア使用設備の運転停止時のエアバルブの閉止、設備の断熱化推進によるヒーター電力削減と周囲温度の上昇抑制によるエアコン電力低減、加湿設備や給排気設備のメンテナンスによる効率の維持他、電力の見える化によるムダの発見と運用改善を中心とした活動を進めていきます。
③ 廃棄物の削減
当連結会計年度において当社の廃棄物は302tとなり前期比16.2%増となりました。廃棄物重量の4割強を占めるゴム系廃棄物は、ゴム成形の性質上、生産量に対して一定割合で発生する性質があります。また、ゴムは一度、加硫反応させると元の材料に戻すことができません。そのため、生産量の増加は廃棄物の増加という関係になります。その前提の上に不良品などのロスによる廃棄物が上乗せされることから、これらのロスを減らす活動に取り組んでいます。バリの少ない金型設計による廃棄物削減に加え、バリの再資源化に対する活動にも取り組んでいます。
(3)リスク管理
当社グループのリスクマネジメント活動は、事業活動に関わるリスクを抽出、評価、特定し、会社の社訓、経営基本方針、中期経営計画などを踏まえて、当社事業のビジネスチャンスに経営資源を投入するための指針となる年度経営方針を取締役会決議により策定します。その活動の詳細は、「
リスクマネジメントサイクルのうちでリスク評価の段階で、サステナビリティに関するリスクの認識とその発生可能性と影響度について評価を行い、次年度の活動計画に組み入れていきます。なお、2023年度の重要なリスクのうち、サステナビリティに関するリスク及びその内容と前連結会計年度の活動内容、発生可能性と影響度の評価については、3「事業等のリスク」の各項目に表示していますのでご参照ください。
(4)指標及び目標
サステナビリティに関するリスクを踏まえ当社の活動内容と実績については、
当社グループのリスクマネジメント活動は、事業活動に関わるリスクを抽出、評価、特定し、会社の社訓、経営基本方針、中期経営計画などを踏まえて、当社事業のビジネスチャンスに経営資源を投入するための指針となる年度経営方針を取締役会決議により策定します。組織の内部・外部のリスクを低減する活動として、事業部門の活動方針や会議体のテーマとして重要なリスク低減活動を組み込み、その活動を経営者が半期に一度レビューします。具体的なサイクルは以下となります。
①各月の状況把握
工場会議、経営会議等の会議体、また主要テーマごとの委員会による内部・外部の課題リスクの状況変化の把握
②トップ診断(半期に一度)
会社方針および各部門、会議体、委員会の年度計画を内部・外部のリスクに照らして、その活動内容の進捗と変化の確認および今後の活動計画の修正
③リスクマネジメント会議(年に一度)
各部門、会議体、委員会による内部・外部のリスクの発生頻度また発生時の影響度を抑える活動の評価と内部・外部の課題の変化を踏まえて、新たな課題の発生の有無、課題の発生頻度の変化、発生時の重要度合の変化を評価します。評価の内容は取締役会に報告しています。
リスクの評価は、今年度の事業活動や会社を取り巻く環境から新たに発生したリスクの項目を挙げ、取締役と本部長それぞれがリスクの発生する可能性と発生した場合の影響度を点数評価して集約し、その点数の積でリスクの重要度を算出します。また、発生可能性または影響度のどちらかでも基準を脅威度とし、重要度と脅威度の高いリスクを特に重要度の高いリスク(マテリアリティ)として選定し、リスクを回避または低減する活動につなげます。

上記の方法により、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.重要度の高いリスク
(1)新製品立ち上げ・自社開発の遅れ(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社グループでは、当社独自の技術を生かしてお客様のニーズに合わせた新製品の開発に取り組んでいますが、独自の技術のさらなる深掘と強化、また技術の複合化によりこれまでにない付加価値を生み出す取り組みは、短期の受注活動には結びつかないものの、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化による中期的な事業規模の拡大につながるため、経営の重要課題として一定の経営資源を投入し継続的に取り組んでいます。新製品開発の取り組みはロードマップを作成し、計画的に進めていますが、特に難易度の高いテーマの進捗の遅れや他社の技術開発の動向を踏まえた計画の見直しなどによる新製品開発の遅れは、将来の受注減による売上高の減少と継続的な事業の成長に大きく影響する可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、開発スケジュールの明確化と遅れに対する課題解決を進めてまいりました。また、営業技術グループを新設し、技術メンバーが直接顧客に出向いて市場ニーズと顧客要求をヒアリングし、素早く試作品を提供し、製品化のイメージを共有して新製品の立ち上げスピードを向上させる施策を始めています。さらに、失注案件についてその要因を分析し、次期開発案件の受注率とスピードアップを図るなど、影響度の低減に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度は増加していると判断しています。
(2)主要製品・新規受注製品の大幅な減少(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高)
当社製品は、そのほとんどがゴム部品として顧客のもとで最終製品として組み込まれ、市場へと展開されます。この最終製品の販売動向については顧客に依存するものであり、顧客の販売戦略上、計画していた販売数量に変動が生じることがあります。また、当社独自技術を生かしてお客様に新しい付加価値を提案できる新製品・開発製品の市場供給を継続的に行うこと、また、既存製品でも新しいお客様に向けた製品開発で市場の開拓により、持続的に事業を成長させていく活動を進めています。品質、価格、納期などの条件を顧客と決定し、受注した製品の量産を進めていますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の販売戦略上の事情により、受注数量が計画よりも減少することがあり、売上高の減少と利益の減少につながる可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBミーティングにより営業部門と技術部門が一緒に顧客にアプローチすることで密着活動を推進して売上予測の精度向上に取り組み、取締役会への情報共有化を図り、営業部門から工場部門への情報展開と柔軟な生産体制の実現に取り組んでまいりました。また、半導体不足や原材料高騰などによる受注情報の変化を速やかに入手し、工場の生産体制の平準化に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがやや増加していると認識しており、影響度は同程度であるものの依然として高い水準であると判断しています。
(3)エネルギーコストの高騰(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高 サステナビリティリスク)
当社グループでは、国内4拠点、海外1拠点でゴム製品の製造を行い、それぞれの事業に適した生産環境を整えております。国内2拠点でクリーンルームを設置し、各工程においては、油圧プレス機や自動アッセンブリ機、専用の検査機などの機械設備の稼働、そして、一部の医療用ゴム製品の製造工程では水処理工程を組み込むなど、これらの稼働に使用する電気代や水道代が上昇することで製造原価が上昇する恐れがあります。当連結会計年度における当社を取り巻く環境は、昨今のグローバルな情勢の変化などにより、エネルギーコストの中でも特に電気代が上昇しており、収益に与える影響が大きくなっています。
このリスクへの対応として、国内4拠点の工場の屋上に太陽光パネルの設置や省エネルギーにつながる改善活動を行うことで、外部から購入する電気代を減らす取り組みを進めております。また、生産レイアウトを改善することで作業効率を改善し、エネルギー当たりの生産量を増加させる取り組みも続けております。さらに営業部門においては、価格上昇分を販売単価に反映していただく交渉にも取り組んでおります。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することはできませんが増加していると認識しており、影響度も高い水準であると判断しています。
(4)原材料価格の高騰・入手困難(社外要因 市場リスク 発生可能性:高 影響度:高 サステナビリティリスク)
当社グループの製品は、ゴム原料およびその添加物を仕入れ、加工し、販売しています。こうした原材料の価格は、グローバルな市況の変化に影響を受け変動することがあり、年度計画策定時に比べて大幅に高騰した場合、売上原価の増加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルな物流問題などにより、特別な材料を予定期日に予定数量を入手することが困難になる可能性もあります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、コストアップによる影響を算出し、ものづくりにおける原価改善を進めると同時に、顧客に環境変化を理解いただくよう努めて、価格上昇分を販売単価に反映していただく交渉を続け、販売単価への転嫁を妥結してまいりました。また、新たな仕入先の開拓を進め、安定して原材料を入手するための取り組みを進めています。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性はグローバルな新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、ロックダウンなどによる原材料の供給量の低下や燃料費の高騰により増加し、影響度もやや増加していると判断しています。
(5)感染症の拡大(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:高 サステナビリティリスク)
当社グループが事業活動を行っている国、地域において感染症が拡大した場合、多くの従業員やその家族の健康が損なわれる恐れがあります。また、行政機関の要請等により、事業活動に様々な制約がかかることで、営業や生産、開発活動が滞る可能性があります。顧客や最終消費地において感染症が拡大した場合も同様に多くの方々の健康が損なわれ、企業の活動が停滞し、需要が大きく低下するおそれがあり、受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、特に世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスへの対応として、地域の感染状況と対策の情報を適宜入手しながら徐々に緩和しつつも、従業員の健康管理体制を継続しながら、発生可能性を抑える活動を続けています。また、顧客とも密接に情報交換を行うことで、先の需要の変動情報をつかみ、生産体制に反映させています。
この結果、前連結会計年度に比べて、当社グループ内での発生可能性は感染力の強い変異株のまん延状況を鑑みると依然として高い状況にあり、発生した場合の影響度も高いと考えております。
(6)採用募集の未達(社外要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:中 サステナビリティリスク)
当社グループでは、継続的な事業の成長と働く環境の活性化に向けて、中期的な計画のもと、毎年の定期採用と臨機応変な中途採用を行っておりますが、少子化に伴う学生数の減少や募集企業の増加により、当社グループの採用募集活動にエントリーする人材の不足や、求める人材とのアンマッチなどにより、計画した採用を実施できないことがあり、持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、大学や学校との関係づくりはWEBによる説明会により実施が困難な側面が続くものの、インターンシップの受け入れなど地域や学校の要望に応えるとともに、採用媒体の見極めによる効率的な採用活動を努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度はやや増加していると判断しています。
(7)社内ルールの逸脱(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:高 影響度:高 サステナビリティリスク)
当社グループの活動は、顧客への提案活動から設計、受注、仕入、製造、販売という事業プロセスを通じて収益を上げる活動を進めていますが、その品質や財務報告の信頼性は社内ルールの順守が前提であり、これを逸脱することで正しい事業活動を妨げ、株主をはじめとする市場関係者に正しい情報を伝えることができず、社会の一員としての企業の信頼を損ねる可能性があります。
このリスクへの対応として、前々期に発生した海外子会社における棚卸資産の過大計上の再発防止のため、当社の内部監査部門と当該子会社の管理部門との情報交換を外部の専門家を交えて定期的に行い、会計システムの正確な理解および現物管理と数値管理の正確な運用を徹底し、毎月の当社の取締役会で当該子会社の総経理が計画実施の進捗状況を報告することで情報共有を進めてまいりました。また、当社内でも、内部統制システムの運用状況を監査等委員である取締役が主導してマネジメントフローをチェックすることで確認してまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少しており、影響度はほぼ同程度であると判断しています。
(8)顧客からの大幅コストダウン要求(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの製品は、顧客の要求仕様を踏まえて品質、価格、納期などの条件が決定し、量産していますが、最終製品の販売動向や市場動向、顧客の事情により、価格を大幅に下げるコストダウンを要求されることがあります。大幅なコストダウンは販売単価の継続的な下落が売上高の減少につながり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、顧客からのコストダウンの要請に対し、工場での材料歩留りの向上や購入材の価格交渉など原価低減活動を行うと同時に、顧客には販売単価を維持しながら機能面をアップできるような付加価値を提案できるよう技術の進化やものづくりの効率性の向上に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがやや増加していると認識しており、影響度は増加していると判断しています。
(9)重大なクレーム(社内要因 生産・技術リスク 発生可能性:中 影響度:高)
当社グループでは、顧客に提供する製品の品質には、製品設計、工程管理、検査体制に至るまで、万全の体制を整えるべく努力しております。しかし、万一、顧客に納品した製品に不具合があった場合、返品や代納の対応による売上原価の増加だけでなく、お客様の信頼を損ない、将来の受注減による売上高の減少につながります。さらに、それが最終製品として市場に流出し、検証の結果、当社製品による不具合が認められ、製造物責任法による損害賠償責任が発生した場合、損失の計上により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、お客様の要求事項の確認と不具合発生時の速やかな情報伝達により早期に適切な対応がとれる体制を整えてきました。また製造工程のルールを守る意識付けとQCサークル活動の推進による改善により、不良品を社外に流出させない取り組みと恒久的に不良を出さない対策を進めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性やや減少し、影響度はほぼ横ばいと判断しています。
(10)従業員の高齢化(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中 サステナビリティリスク)
当社グループでは、競争力の源泉の一つが従業員であることを認識し、従業員が能力を発揮し、働きやすい職場環境を整備することで従業員満足を実現していく活動を進めていますが、従業員の高齢化に伴い、人件費の増加だけでなく法令への対応や業務上の役割の体制が整備されない場合、従業員満足度が低下し、将来の競争力の低下につながる可能性があります。
このリスクへの対応として、専門的な業務を行っている場合でも属人化しないよう複数人での対応や共有化、また次の世代への業務の引継ぎやローテーションする体制を推進してまいりました。
このリスクの発生可能性は増加していますが、影響度は減少しています。
(11)社外の革新的な技術、新製品、新製法の出現(社外要因 市場リスク 発生可能性:中 影響度:中)
当社グループでは、独自の技術を応用した製品開発と事業展開を図ることで、お客様への付加価値の提案による差別化を事業戦略の柱としておりますが、既存製品や既存事業または今後展開を検討している製品や事業に対し、同業種異業種を問わず、機能または価格等の面で決定的に顧客に選択優位性を与える革新的な技術、新製品、新製法の出現は、市場の独占や寡占状態となり当社製品や事業が排斥されることにより、将来の受注減による売上高の減少と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、WEBセミナーやWEB展示会が主流となったため、技術と知財トレンドの動向について従来より多くの情報を収集することができています。また論文などの文献情報やWEBから調査し、市場や社会のニーズから必要となる技量や技術の構築に努めてまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんがほぼ同等であると認識しており、影響度はやや増加していると判断しています。
(12)労災事故(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中 サステナビリティリスク)
当社グループは、ゴム製品の生産活動を行う上で、油圧プレス機や自動アッセンブリ機など様々な設備を利用していますが、設備を操作する作業において、誤って従業員の身体にケガ等の労働災害事故が起こる可能性があります。また通勤や出張などで移動する際、何らかの事故に遭遇する可能性もあります。こうした労働災害が発生すると、従業員の生活や健康を損ない、社会に貢献する企業としての役割を果たすことができなくなると認識しています。
このリスクへの対応として、工場での従業員が安全に業務を行うことができる環境づくりを第一に、定期的な設備のメンテナンスや作業マニュアルの整備を随時進めています。また社有車の定期的な点検を実施し、自家用車でもポスターなどで点検の奨励と啓発活動を行っています。
このリスクの発生可能性が高まっていることから、安全衛生委員会による工程パトロールや啓発活動を行い、また環境の見直しを常に行うことで、労働災害の未然防止に努めています。
(13)メンタルヘルス問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中 サステナビリティリスク)
従業員のメンタルヘルス問題は従業員の精神的な健康を阻害し、やりがいや働きがいが失われ、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、個人情報に配慮したヘルスチェックによる自己診断と組織分析による傾向の把握により職場環境の改善に取り組んでまいりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密にならない職場環境づくりを推進したことから、コミュニケーションが取りにくくなる側面がありましたが、ハラスメントなど行為者の問題行動の防止だけでなく、普段とは違う表情や行動が表れていないかを常に確認するよう管理者への指導に努めてまいりました。また、心身の不調があればいつでも相談できるよう社内と社外に窓口を設けています。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少しており、影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(14)コンピュータウイルス汚染(社外要因 情報リスク 発生可能性:中 影響度:中 サステナビリティリスク)
外部から当社グループのコンピュータネットワーク環境に侵入したコンピュータウイルスにより、社内ネットワーク環境に障害が発生し、重要なデータの消失または社外への漏洩、また、感染した端末を踏み台にして社外へとウイルスを拡散させて影響を拡げる可能性があります。
このリスクへの対応として、外部機関と連携して被害を及ぼしているコンピュータウイルスの状況の把握と、ファイアウォール及びアンチウイルスソフトによるアラート監視を行う体制を整えています。また、社内情報端末による不要な外部へのアクセスを予防するために、他社被害の情報の共有と啓発活動を行いました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は増加しており、影響度はほぼ横ばいであると判断しています。
(15)各ハラスメント問題(社内要因 労働・雇用リスク 発生可能性:中 影響度:中 サステナビリティリスク)
当社グループ内で発生するハラスメントは、職場環境と人間関係の悪化を招き、従業員の肉体的精神的健康を阻害すると同時に、業務効率の低下と経営への信頼性を損なうなど、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、ハラスメント防止に関するポスターやカレンダーを制作し、社内に掲示したり、社外の事例を共有するなど、ハラスメントに対する理解を深める活動を進めてまいりました。また、公益通報者保護法の改正に合わせて、ヘルプライン利用規程を見直し、相談しやすい環境を整備いたしました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は減少しており、影響度はやや減少していると判断しています。
2.脅威度の高いリスク
(1)大規模地震の発生(社外要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:高)
当社の国内の生産工場はすべて福島県南部に位置しており、当社グループの生産高の約9割を担っています。当社の生産工場の建屋は、震度5以下の地震に対する耐震を備えていますが、福島県南部で震度6以上の大規模地震が発生した場合、工場の生産設備の被害や従業員の被災状況によっては、継続した生産活動が損なわれる可能性があり、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、すでに策定しているBCM(事業継続マネジメント)方針に沿ってBCP(事業継続計画)を適宜見直し、被災した場合の緊急対応体制の構築と、稼働率が低下した場合でも事業を継続するための手続きを整備しています。また、従業員の被災状況を把握するために導入した安否確認システムの定期訓練を実施、システムの安定性と利用について周知を図ってまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性は社外要因のため統制することができませんが横ばいと認識しており、影響度もやや減少していると判断しています。
(2)工場の火災、爆発(社内要因 環境リスク 発生可能性:低 影響度:高)
当社製品はゴムのベース材料に薬品など様々な添加物を配合することで、ゴムの機能を特化した独自の付加価値を提供していますが、そのほとんどは引火性の低い材料であるものの、何らかの理由で火災が発生したり、薬品が爆発したりする可能性はゼロではありません。火災や爆発が発生した場合、従業員の被災や生産設備や環境の損害により、業績と持続的な事業継続に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当連結会計年度では、安全衛生委員会による安全パトロールによる危険箇所の特定とチェックを工場ごとに相互に行い、火災や爆発の発生を未然に防ぐ活動を進めています。また、地域の消防署の協力を得て、工場ごとに消防訓練を行い、火災の際の避難経路や手順の確認、消火活動の実施および消火器の増設など被災した場合の被害を最小限に抑える活動に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度に比べて、発生可能性と影響度は横ばいと判断しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復し、医療・衛生用ゴム事業の売上が前年を上回り、連結売上高は72億5百万円(前期比2.6%増)となりました。利益面においては営業活動の再開による経費増に加えて材料費や電力料の高騰の影響を受け、連結営業利益は1億8千5百万円(前期比36.4%減)となりました。連結経常利益は1億9千4百万円(前期比37.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億3百万円(前期比14.9%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
工業用ゴム事業
工業用ゴム事業では、卓球ラケット用ラバーなどの受注が回復したことから売上高が増加いたしましたが、自動車向け製品が半導体をはじめとした部品不足の長期化の影響を受けたことから売上高が減少しております。
この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は57億6千5百万円(前期比1.1%減)となりました。また材料費や電力料の高騰の影響等によりセグメント利益は4億円(前期比24.4%減)となりました。
医療・衛生用ゴム事業
医療・衛生用ゴム事業では、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓において、新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、売上高は増加いたしました。
この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は14億3千9百万円(前期比20.6%増)となりました。またセグメント利益は1億2千4百万円(前期比26.4%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の状況)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて3億3千3百万円減少し、93億8千7百万円となりました。この主な減少要因は、売掛金、商品及び製品が増加したものの、現金及び預金、建物及び構築物、機械装置及び運搬具が減少したものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて5億4千6百万円減少し、44億9千7百万円となりました。この主な減少要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金が減少したものであります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて2億1千3百万円増加し、48億8千9百万円となりました。この主な増加要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ6千5百万円減少
の8億9千万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりで
あります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、4億3千2百万円の収入(前期は4億3千5百万円の収入)となりまし
た。
これは主に、仕入債務の減少額1億6千万円(前期は1億9千9百万円の減少)等があったものの、税金等調整前
当期純利益2億1千4百万円(前期は3億4百万円の利益)、減価償却費4億2千万円(前期は4億5千5百万円)
によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、8千7百万円の収入(前期は2億1千4百万円の支出)となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出14億7百万円(前期は15億7千万円の支出)、有形固定資産の取得による
支出2億8千7百万円(前期は1億8千1百万円の支出)があったものの、定期預金の払戻による収入17億8千1百
万円(前期は15億4千5百万円の収入)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億1千9百万円の支出(前期は7億6千1百万円の支出)となりまし
た。
これは主に、長期借入れによる収入5億円(前期は5億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出
10億2千4百万円(前期は11億6千4百万円の支出)、配当金の支払額9千1百万円(前期は9千万円の支払)によ
るものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,803,884 |
△2.2 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,433,566 |
23.2 |
|
合計(千円) |
7,237,450 |
2.0 |
(注)金額は販売価格によっております。
b 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業 |
5,714,642 |
△2.9 |
883,307 |
△5.5 |
|
医療・衛生用ゴム事業 |
1,469,929 |
29.6 |
141,320 |
27.3 |
|
合計 |
7,184,572 |
2.4 |
1,024,628 |
△2.0 |
(注)金額は販売価格によっております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工業用ゴム事業(千円) |
5,765,940 |
△1.1 |
|
医療・衛生用ゴム事業(千円) |
1,439,606 |
20.6 |
|
合計(千円) |
7,205,546 |
2.6 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日亜化学工業株式会社 |
1,366,868 |
19.5 |
1,063,115 |
14.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定めております。この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、2020年4月から第13次三ヵ年中期経営計画をスタートし、中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、「お客様の期待」に素早く応えて「多くの信頼」が得られる行動や、「ステークホルダーとの絆」を強くする行動を活発に実践し、経験と実績を繰り返し積み上げながら質を高めて、グローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしてまいりました。
当社グループの重点事業分野を「光学事業」、「医療・ライフサイエンス事業」、「機能事業」、「通信事業」の4つとし、事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めました。特に研究開発として、光学事業では感性認知支援照明への応用、医療・ライフサイエンス事業の理化学機器分野では再生医療用材料の研究、機能事業の再生可能エネルギー分野では風力発電機を用いた実証実験や風力O&M(オペレーション&メンテナンス)事業体制の構築など、それぞれの事業計画通りに成果を得ることが出来ました。
当連結会計年度における事業環境は、一部の地域で新型コロナウイルスまん延防止に対する厳格な対策が継続した
ものの、ワクチン接種が進んだことにより経済活動が緩やかな回復傾向となりました。一方、急激な為替変動、エネ
ルギー資源や原材料の高騰など、世界経済は新しい社会の形成に向けて大きく変化しました。この中で当社グループ
は、当期経営方針に「みんなにうれしさをお届けしよう」を掲げ、お客様に密着しながら事業の魅力を高めて貢献す
る機会を増やす活動、そして出口を掴む活動に資源を集中し、各重点事業分野への施策遂行を積極的に進めてまいり
ました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
工業用ゴム事業
経済活動が緩やかな回復傾向にある中、機会を逃さぬようサプライチェーンを強化する活動を展開しております。とくに営業活動においては、事業製品を訴求する営業技術員を配置し、市場環境変化やお客様が求める姿を更新して製品力の強化につなげております。また、エネルギー資源や原材料の高騰などの経営リスクは、都度にお客様と交渉を進めるとともに、積極的な改善活動でリスクを最小限に抑える活動を展開しております。
自動車分野は、より一層、デザイン性が高いインテリア空間を奏でる照明や走行時の安全性を求めたエクステリア照明、機構部品の操作性を高める性能などが求められ、光学事業製品の再構築や効率性を高めた生産体制の構築が必要であると分析しております。また、スポーツ分野は活況な市場環境が継続すると考えられ、新製品の投入や増産投資は一定の成果が得られていると分析しております。これからも工業用ゴム事業全般の体制を新たなカタチに進化させながら事業全体を強化する活動を展開してまいります。
医療・衛生用ゴム事業
診断・治療分野の市況は回復傾向にあり、ディスポーザブル医療機器に使用されるプレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品の受注は定常時に戻りつつあります。また自社開発製品の採用が広がるとともに、白河第二工場で医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485を取得したことから、市場参入機会の拡大につながる開発投資や、海外市場も視野に入れた販売活動を展開してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を考慮し、主に売上代金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。金融機関からの借入金は主として固定金利で調達しております。また、資金調達の機動性確保及び資金効率の改善等を目的に、主要取引金融機関と10億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は10億円であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19億4百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、 第13次中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げております。研究開発活動はコア技術価値を高めて未来を支える行動を実践し、「常に社会の課題を解決するコア技術に磨き鍛えて継続的に事業価値を高め続ける源泉になる」ことを目的として、重点事業分野の顧客価値が高まるゴム素材・ゴム製品を追求しております。
研究開発活動は、当社工場の技術グループ・事業推進部および子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&D Co., Ltd.)により行われ、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進し、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めてまいりました。また顧客ニーズにマッチするコア技術を鍛えるためにも、国や県のプロジェクトに対して積極的に参画し、外部頭脳とのネットワーク形成や新技術獲得に向け引き続き推進してまいりました。
子会社である株式会社朝日FR研究所の研究員は10名、これは全従業員の2.1%であります。当連結会計年度における セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
1.工業用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である光学事業、機能事業、通信事業に対して、独自の競争力の源泉となるコア技術を活かした価値で貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオ・スイッチなどのバックライト照明に広く使われております。IATF16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)を取得し、さらにグローバル品質に応える製造方法の確立や発光色を狭小に管理する技術開発を行いました。
また「感性・共感」をキーワードに埼玉大学と共同で進めている「色と光の感性認知支援研究」からASA COLOR LED-EMMOの発売を開始しました。人の感情や心身の状態、個人のライフスタイルに合わせて照明の色や明るさを制御するヒューマン・セントリック・ライティング(HCL)照明の活用が広がる中、新たに勉強用光源や睡眠導入用光源を提供しております。今後も「人に寄り添う光」を開発してあかりの質の向上を追求してまいります。
(2) 白色シリコーンインキ
主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インキの開発を進めております。「照明器具用白色シリコーンインキ塗膜」の標準化の取り組みにより、第8回ふくしま産業賞(金賞)を受賞することが出来ました。当社の白色シリコーンインキは、長期間にわたり高反射率を保持する塗膜を形成することから、LED照明器具の明るさ向上や省エネルギー化に寄与しております。また、紫外線反射塗膜は樹脂基板など塗工部材の光劣化を抑えることから、紫外線殺菌機器の反射材への応用展開が広がっております。目的に応じた材料開発を続け、さらに用途拡大を展開してまいります。
(3) ASA COLOR LENS
シリコーン素材技術に光学設計技術を応用したASA COLOR LENSは、自動車、一般照明、産業機器などへの拡販を継続しております。また、紫外線LEDの進化とともに市場要求も高まりつつあり、深紫外線(波長が280nm以下の光)に対応する素材を生かして、殺菌・浄水用途への採用が始まっております。設計段階からモジュール開発に携わることで、素早くお客様のニーズを掴み応えてまいります。
(4) 再生可能エネルギー分野製品
再生可能エネルギー分野は、脱炭素社会の実現に向けた風力発電機の設置拡大に伴い、令和3年度「福島再生可能エネルギー研究所最先端研究・拠点化支援事業」や令和3年度「福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業」に採択され、風力発電の維持管理等の技術開発・人材育成拠点の形成や風力発電向け保護シート・シェルの開発の実証、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業形成に向けた準備を図ってまいりました。今後も産学官連携支援のもと、風力発電機の性能向上や保守・保全への貢献を目指して取組みを強化してまいります。
(5) RFIDタグ用ゴム製品
「表面改質技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグ用ゴム製品は、ゴムの柔軟性と接着剤では達成できない防水性で、ICチップやアンテナの保護に活用されております。ウエアラブル用途の拡大に伴い電子機器をゴム素材で保護する機会が増えていることから、NFCタグへの応用に期待が広がっております。
(6) F-TEM
柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズと相互製品の販売特約店契約を締結するなど市場参入機会が高まりました。本活動により、白河工場(福島県白河市)で量産準備が始まるなど、新たな開発活動につながる基盤が形成されました。また本製品は熱電発電製品としての応用も可能であることから、エナジーハーベスティングへの利用も広がりつつあり、新たな製品開発が続いております。
2.医療・衛生用ゴム事業
第13次中期計画の重点事業である医療・ライフサイエンス事業において、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、医療現場と患者のQOL向上に貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究 成果並びに開発状況は次のとおりです。
(1) ディスポーザブル医療製品
プレフィルドシリンジガスケットには独自の表面改質技術による低摺動コーティング技術が用いられております。これまでの技術では対応が困難であった領域への参入を図るべく、新たに高機能素材の開発が始まっております。また、JIS 規格に準拠した液体・気体用逆止弁(チェックバルブ)を開発しました。チューブに取り付けるだけで使用可能な自然滴下式で、人工透析、輸液回路、内視鏡、造影剤用延長チューブなどでの使用が広がり、さらにバリエーションを増やすべく開発活動が進んでおります。
(2) 超親水性処理技術
独自の素材変性技術と表面改質及びマイクロ加工技術を活かすことで、親水性に優れた表面改質処理を施す技術を進化させました。細胞培養関連製品への展開を目指して様々な素材への技術開発を進めております。
(3) 医療用シミュレーター
臓器モデルなど医療用シミュレーター製品を開発しております。新たに透析穿刺手技練習モデルも加わり、医療現場の安心・安全を高める活動につながりました。