今後の我が国経済の見通しは、コロナ禍における経済活動の制限がほぼ解消されることから、イベント活動の増加、対面型サービスの復調等が見込まれ、景気回復基調が続くことが予想されます。一方、原材料や資材の仕入価格の高騰が続き、電気・ガス等のエネルギー関連コストも上昇していることから、製造原価の上昇が懸念されます。また、コロナ禍を契機とした消費者の価値観や行動様式の変容への対応、SDGsをはじめとした社会的要請への対応など、企業が取組むべき課題は多様になっております。
このような環境のもと当社グループは、国内で生産を行うメーカーとしての役割と責任を再認識するとともに、当社の事業を堅実に運営することで関連業界の維持発展に寄与していきたいと考えております。
コラーゲン・ケーシング事業におきましては、生産コスト上昇に対応するため価格調整を進めるとともに、特に海外を念頭に置いたうえでの拡販を推進してまいります。また、一層の製造工程の見直しや創意工夫により製造コストの低減に努め、収益力の確保に注力してまいります。
ゼラチン関連事業におきましては、国内外ともに段階的に取組んでいる価格改定を推し進め、利益確保に注力してまいります。製造部門においては、魚由来製品の需要が落ち着き、動物由来製品の需要が伸びてきていることから、顧客ニーズに対応した生産体制を構築するとともに、引き続き製造費用の低減に取組んでまいります。
化粧品関連事業におきましては、アフターコロナの消費動向を見据えながら、引き続き広告宣伝活動に注力し、客単価の増大、継続率の向上、新規顧客の獲得を目指してまいります。
皮革関連事業におきましては、車輌部門は、原料価格の高騰や自動車メーカーの経営戦略見直し等により先行き不透明な状況ではありますが、販売価格の改定に積極的に取組んでまいります。靴・袋物部門は、活動制限の解消により、紳士靴・婦人靴ともに回復傾向にあります。特に紳士靴では、当社の業界間口の広さを活用して様々な角度から、売上拡大に取組んでまいります。
賃貸・不動産事業におきましては、当社が参画している「千住大橋駅周辺地区まちづくり計画」及び「難波中二丁目開発計画」改め「なんばパークス サウス」は順調に推移しております。引き続き、同地区の認知度向上を図り、資産価値の向上と事業収益の最大化に取組んでまいります。
食品その他事業におきましては、有機穀物の貿易部門は、国内販売は厳しい状況が続くものと予測されるため、好調な輸出販売に注力してまいります。イタリア食材部門は外食産業の復調が期待されるものの、食材輸入価格の上昇に対応するため、販売価格の見直しを進めてまいります。バイオ関連部門は、今後も持続的な伸長が見込まれる再生医療分野に引き続き注力してまいります。
当社グループは、社会的責任を果たすことが企業継続の基礎であると認識し、法令・諸規程等の遵守に努め、公正かつ適切な経営の実現に取組んでおります。
当社サステナビリティ委員会は、SDGsをはじめとする社会課題に対応する組織として2021年11月に設立し、重要課題の選定、各種方針類の整備、各事業の取組みや課題の棚卸などの体制整備を行ってまいりました。今後も定期的に活動し、当社におけるサステナブルな取組みを推し進めるとともに、コンプライアンスの徹底や、コーポレートガバナンス・コードに基づく経営体制の強化、地球温暖化防止への取組み、人権への配慮や多様性の確保といった活動を通じて、ステークホルダーの皆様からの信頼と共感を得られるよう努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、1907年に創業し、食肉の副産物である皮革に始まり、皮革産業の副産物であるゼラチン、コラーゲンの産業化など、事業そのものが副産物に価値を与える循環型社会実現の先駆けとして事業を進めてまいりました。そのため、当社グループにおきまして、持続可能な社会の実現に向けての取組みは企業思想ならびに従業員意識の根源をなすものとなっております。そして、高品質なものづくりで社会に貢献するという創業の思想を実現すべく、事業活動の一層の奮励はもとより、各事業の日々の業務の中でより良い環境や社会実現の取組みを進めてまいりました。
一方、昨今の企業を取り巻く環境は一層不透明さを増しており、そのなかでもこの持続可能な社会の実現に向けての取組みは、企業の社会的責任であるのみならず、自然由来の原料に依存しております当社グループにおきましても、事業を継続する上での重要な課題であると認識しております。
そのため当社グループにおきましては、各事業部門における様々なSDGsへの取組みをより実効的なものにすべく、取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を2021年11月に事業部門の横断的組織として創設しております。サステナビリティ委員会では、当社グループの各事業部門が独自に実施してきたSDGsへの取組みを確認ならび検討・検証するとともに、当社グループのサステナビリティへの取組みにおきまして結集を図ってまいります。サステナビリティ委員会を中心に全社的な統一活動に昇華することにより、社会・環境に資する取組みを推し進めるとともに、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンス・コードに基づく経営体制の強化、地球温暖化防止への取組み、人権への配慮や多様性の確保といった活動を推進してまいります。
そして、当社グループにおけるサステナビリティ基本方針を作成し、2022年8月に取締役会にて承認しております。このニッピサステナビリティ基本方針は、当社の精神である「経営理念」とその実現のために遵守すべき「基本方針」及び個々の従業員の指針である「私たちの行動規準」からなり、当グループの持続的な成長と持続可能な社会への貢献を目的としております。
(経営理念)
当社グループは、企業価値の向上に継続的に取組み、社会的貢献と企業の利益創出の同時実現を通じて、社会の信頼を確保することを経営理念とします。これを実現するために、次の事項(基本方針)に取組みます。
(基本方針)
1.当社グループは、長年培った技術開発力をベースに、「お客様ニーズ」に合致する高品質の製品を提供し、「顧客満足度」を高めることで、中長期的成長の持続を目指します。
2.当社グループは、社会的責任を果たすことが企業継続の基礎と認識し、法令・諸規定等の遵守に努め、公正かつ適切な経営の実現を図ります。
3.当社グループは、意思決定プロセスの明確化と意思決定の迅速化に努めます。
(私たちの行動規準)
「事業活動に関して」「利害関係者との公正で透明な関係の維持」「公正で自由な競争に関して」「環境保全に関して」「社会との共生関係」「雇用関係に関して」「内部情報管理に関して」「知的財産に関して」「定款・社内規程遵守に関して」の9項目からなる行動規準が全ての従業員の指針であります。
■ニッピサステナビリティ基本方針と重要課題(マテリアリティ)
当社グループでは、サステナビリティ活動の方向性を明確化し全社をあげてこの取組みをさらに強化するため環境への配慮(E)、社会との良好な関係(S)、企業統治(G)からなるニッピサステナビリティ基本方針と重要課題(マテリアリティ)を定めております。
(ニッピサステナビリティ基本方針)
1.環境への配慮(E:Environment)
・将来世代への住み良い環境を持続させるため、法令遵守による社会的責任の遂行を基本として、より一層の地球環境保護に貢献します。
・環境に配慮した製品の提供を通じて循環型社会の一端を担うとともに、生産活動における大気・水質・土壌等の環境汚染の予防に努めます。
・生産技術の向上を追求し、エネルギー、水、原料などの資源の効率的な利用に努めます。
2.社会との良好な関係(S:Society)
・人権を尊重するとともにあらゆる差別的取扱いを禁止し、強制労働・児童労働などの人権侵害の防止に努めます。
・国や地域社会の文化や習慣を尊重し、社会との良好な関係の維持に努めます。
・様々なステークホルダーとの適切なコミュニケーション、健康と安全の確保に努めます。
・適時適切な情報開示を行います。
3.企業統治(G:Governance)
・株主の権利を尊重し、経営の公平性・透明性を確保に努めます。
・取締役会を中心とし、株主に対する受託者責任・説明責任を果たします。
・経営目標の実現に向けて、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要課題と位置付け、迅速かつ的確な意思決定及び監督機能の強化に努めます。
・中長期的な企業価値の向上と経営の健全性維持のためコーポレート・ガバナンスを追求し、その充実に継続的に取組みます。
(重要課題(マテリアリティ))
ニッピサステナビリティ基本方針に基づき、当社グループが持続可能な企業活動を進めるための5つの重要課題(マテリアリティ)を定めております。この重要課題(マテリアリティ)はサステナビリティ委員会が中心となり、これら重要課題に関連する各事業部門の課題に取組むとともに、各事業部門における優先課題を深耕し実行してまいります。
「ものづくり」
サプライチェーン・マネジメントの強化に取組み「良いものを創る」ことにより社会に貢献します。
「研究・開発」
当社事業の持続と発展に寄与してきた研究開発力の維持と強化に取組みます。
「人材・職場環境」
企業文化の醸成に取組み、人材の活力・能力発揮のための環境を整備します。
「地域・環境」
都市開発事業や地域環境活動を通じて環境負荷軽減に取組み、社会の信頼を確保を目指します。
「ガバナンス」
コーポレートガバナンス・コードに基づいた経営体制・リスク管理体制の強化に取組みます。
当社は、サステナビリティ基本方針に則り、サステナビリティ活動が全社的な統一された活動となるため、サステナビリティ委員会を創設し、活動を行っております。このサステナビリティ委員会は、取締役を委員長として、各事業部門から委員を選出し、全社横断的な組織として原則毎月開催しております。
これまでのサステナビリティ委員会の活動は、体制の整備を中心に以下のものとなっております。
・重要課題(マテリアリティ)の選定
・各種方針類の整備
・各事業の取組や課題の棚卸
今後は、各事業部門のサステナビリティ活動についての計画、実施、評価、改善のサポートを行ってまいります。また、サステナビリティ委員会では、定期的に取締役会へ活動内容について報告・提言を行っており、取締役会は、サステナビリティ委員会について管理・監督を行い、統制を図っております。
当社グループは、お客様のニーズに応える事業の創出及び推進を通じて、様々な社会的課題を解決し、同時に生産性を向上させていくことにより、豊かで持続可能な世界の実現に貢献できると考えております。そのような価値を生み出す最大の原動力は人材であると認識し、従業員が活力に満ち能力を最大限に発揮できる環境づくりに取組んでおります。
1.多様性の確保を含む人材の育成に関する方針
当社は、性別・年齢・国籍・宗教・障がいなどの多様性を理解、尊重し、思いやりをもって周囲と協働できる人材を育成します。また、特に女性や経験者の採用を積極的に行い、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人材が事業の創出や業務の変革に貢献できる風土を醸成します。
人材育成に関する方針として、従業員が職務上必要な知見やスキル、専門知識などを習得し、個人の成長が会社の成長につながるような気づきを得るための機会を様々な局面で提供します。
第一に、職場において課題解決型の業務に挑戦する機会を提供し、現場経験を通じた人材育成に注力して事業や業務を変革し続ける戦略的な組織づくりを目指します。
第二に、OFF-JTでの教育・研修体制の充実を図り、各階層や職位で求められる能力や知識、考え方を学ばせるほか、研修メニューを見直して主要なビジネススキル等を重点的に習得する機会を増やします。
2.社内環境整備に関する方針
従業員が安全に、かつ安心して働き続けられるよう職場環境を整備し、心身ともに健康を維持できるサポート体制の構築を推進します。
① 労働時間の適正な管理、年次有給休暇の取得促進
労働生産性の向上を一層進めて過重労働や業務量の偏りをなくし、休暇をとりやすい環境を維持することで人材の定着率を高め、企業の持続的な発展を目指します。
② ライフイベントに配慮した働き方の制度
女性だけでなく男性も含めた産休・育休・育児支援制度の拡充や、私傷病や介護等に適用できる休暇制度の活用など、既存の福利厚生制度の改善・充実化を図りつつ、今後、より効果的で利便性のある制度を採り入れ、職場環境の向上に努めます。
③ 産業保健体制の強化
中央安全衛生委員会のもと、産業医、看護師、カウンセラー等が連携する産業保健体制を強化することにより、従業員個々の事情に応じた支援を行い、従業員が安心感を持って働くことができる体制を構築します。
④ 職場におけるハラスメントの防止への取組み
従業員のプライバシー保護を徹底し、ハラスメント行為等を通報、相談しやすい体制をさらに強化します。具体的には、外部に専門家による相談窓口を設けることを検討し、組織内のリスク低減及び安全な職場環境の維持に努めます。
当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、リスクマネジメント委員会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。
重要なリスクは、経営会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。
サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、当社にて原則毎月開催しているサステナビリティ委員会においてモニタリングされ、各事業部門のサステナビリティ活動の確認や課題の抽出を行っており、今後は評価、改善に取組みます。
その取組みの中で、サステナビリティに関連するリスクを分析し未然に防ぐ取組みを行うとともに、中長期的な視点で会社に対して規模の大きなリスクの発生が予想される事象などが判明した場合には、リスクマネジメント委員会及び情報セキュリティ委員会と連携し、取締役会へ報告し、リスク回避及びリスクへの対応を実施する体制を取っております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 開発力、技術力等で将来性が不明確であるものについて
当社グループが、コラーゲン・ケーシング、ゼラチン、ペプタイド、コラーゲン化粧品、リンカー、iPS細胞関連等医療用器材など製造販売する製品は、当社の研究所を中心とした開発に負うところが大きく、今後とも各事業における開発には従来通り注力してまいりますが、安価品や新規参入者で競争が激化している経済情勢下において、開発品が良質であっても必ずしも競合に対して優位に立てるとは限りません。
(2) 法的規制に係る影響について
当社グループの販売する製品の一部及び製造する原料の多くは輸入品であり、その多くは関税対象品目であります。また、国内外において販売する製品は、その用途による種々の規格や規制を順守したものでありますが、様々な貿易協定などによる関税率に関する法律の改廃、原料及び製品に対する新規の規則や規程を含む法的な改廃変更により、当社グループの取引が影響を受ける可能性があります。
(3) 大規模災害等の影響について
地震、津波、洪水、台風等の自然災害や火災、停電等の事故、感染症の拡大により、当社グループの事業拠点や原料調達先などが事業を正常に継続できなくなった場合、製品の生産・供給に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。特に、当社グループの主要事業であるコラーゲン・ケーシング及びゼラチン、ペプタイドの生産工場は静岡県に所在しており、富士山噴火などの大きな自然災害が発生した場合においては、当社グループの重要な生産拠点に甚大な被害を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症の流行が深刻化した場合、従業員の罹患やサプライチェーンの停滞等により生産・販売活動に支障をきたす恐れがあるほか、社会全体の消費動向の変化によって当社グループ製品に対する需要が減退する可能性もあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 金利上昇のリスクについて
当社グループは、低金利が続く金融情勢を勘案し、主に固定金利での資金調達を行っているほか、変動金利での借入については金利スワップ等でヘッジし、金利の上昇リスクを一定の割合まで低減させております。ただし、急激な金利上昇があった場合においては、当社グループの経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
(5) 為替による価格変動リスクについて
当社グループには、原料及び製品の輸入と製品の輸出があり、外国為替相場の変動による影響を受けます。これらの取引においては、為替予約等のヘッジ手段を利用してリスクの軽減を図っておりますが、外国為替相場の急激な変動が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 原料価格の変動リスクについて
当社グループが販売する製品に係る原料としては牛皮・豚皮・魚皮・鱗が多く使用されております。調達先の複数化などの安定的な原料調達によって販売価格の維持に努めておりますが、当該原料市場の需給動向により原料価格が高騰し、この価格の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの製品は、原料は同じでも多岐にわたる製品を製造して複数の異なる市場や業界に販売することから、原料の価格変動リスクを必ずしも転嫁できない場合があり、原料価格の上昇局面では製造コストのみ増加して当社グループの経営成績に影響を与える場合があります。
(7) 設備投資に係るリスクについて
当社グループは、事業の競争力強化のために生産設備をはじめとする様々な設備投資を行っております。設備投資の実行にあたっては、市場環境の調査などフィージビリティスタディを行って、採算性や投資回収期間の妥当性を慎重に検討し可否を判断しておりますが、市場規模が当初の前提条件から大きく縮小し生産能力が過大となった場合は、事業の収益が悪化して投資額の回収が困難となり、設備等の減損や除却損を計上するなど経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 原料、製品等の在庫に係るリスクについて
当社グループは、各製品の需要動向の予測に基づいて生産計画を立案し、原料等の調達及び生産管理を行っております。しかしながら、需要が縮小し在庫が長期滞留する場合や製品販売価格が大きく下落する場合は、棚卸資産の評価損や廃棄損を計上するなど当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 不動産開発に係るリスクについて
当社グループは、東京と大阪の皮革製造工場の跡地の再開発を進めております。いずれも土地整備等は完了し、暫定利用も含めほぼ順調に運用されている状況であります。今後も再開発計画の達成又は完了を目指し、鋭意この開発事業を推進してまいりますが、不動産開発事業であることから想定外の多額の特別損失や特別利益を計上するなど当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 製品品質に係るリスクについて
当社グループは、製品製造に関してはそれぞれの製造における法令・規制を順守することはもちろん、製造に使用される原料をはじめ副資材、設備また工程等の厳しい管理を行う一方、出荷前には製品の品質検査、並びに不良品や規格外品の選別を行い当社グループの製品への顧客満足度を最重要視しております。
これらの品質管理に加え、万一に備えて生産物賠償責任保険(PL保険)他に加入しておりますが、場合によってはPL保険他で賠償すべき金額すべてをカバーできる保証はなく、当社グループの信用を喪失する恐れ並びに経営成績へ影響を及ぼす可能性があります。
(11) 特許・知的財産権に係るリスクについて
当社グループで開発した独自技術及び知識は特許権を取得する等厳格な管理により、外部への漏洩また外部からの侵害に備えている一方で、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意しております。しかし、場合によっては双方が知的財産権を争う事態となり、結果として知的財産侵害とされて賠償の責を負わされる可能性も必ずしも否定はできず、結果として当社グループの経営成績に影響を及ぼすことがないとは限りません。
(12) 海外事業に係るリスクについて
当社グループは、アジア、欧州、北米など幅広い地域において販売及び生産活動を展開しておりますが、現地における予期できない法令等の変更や、政治又は経済的な混乱などによって当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(13) 取引先の信用リスクについて
当社グループは事業を展開するに当たり、国内外の多数の販売先に対して信用供与を行っております。信用供与にあたっては、販売先の財務状況を定期的にチェックし、必要に応じて担保・保証の取得や保険の付保などによって信用リスクの最小化に努めておりますが、それらの債権保全策を講じていない販売先の倒産などにより売掛債権を回収できなくなる可能性があります。また、仕入先の信用不安などにより原材料や商品などを安定的に調達できなくなる場合も想定され、当社グループの経営成績に影響を及ぼすことも考えられます。
(14) 情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあるほか、営業や技術、人事など事業上の重要情報を保有しております。そのため、情報管理体制を構築しセキュリティ強化のための対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃等による不正アクセスやデータの破壊、改ざん、紛失、漏洩等が不測の事情により発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、コロナ禍からの緩やかな持ち直しが続く一方で、世界的なエネルギー・食料価格の高騰や欧米各国の金融引き締め等による世界経済減速の影響を受けて、先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループにおきましても、緩やかな回復基調のもと、各セグメントの売上高は伸長したものの、原材料費、動力費などの価格高騰の影響を受けて営業利益、経常利益は減益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、44,811百万円(前期比13.9%増)、営業利益は、1,471百万円(同16.3%減)、経常利益は、1,553百万円(同12.6%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券の売却等による特別利益230百万円を計上し、1,169百万円(同2.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、営業利益は、セグメント間の内部取引による損益を振替消去した後の金額であり、セグメント利益(セグメント情報)は、これを振替消去する前の金額であります。
(コラーゲン・ケーシング事業)
コラーゲン・ケーシング事業は、国内販売は順調に推移し、輸出販売についても、北米を中心に好調に推移しました。一方で、海外向けを中心に価格改定を実施したものの、原材料及びエネルギー価格の大幅な値上がりにより、生産コストが上昇した影響を受けて減益となりました。
この結果、コラーゲン・ケーシング事業の売上高は、9,334百万円(前期比5.1%増)、営業利益及びセグメント利益は、379百万円(同70.4%減)となりました。
(ゼラチン関連事業)
ゼラチン部門は、ソフトカプセル、グミキャンディ用途を中心に好調に推移しました。また、経済活動の正常化に伴い、レストランやホテルなどの業務用食品用途の需要も回復傾向にあり、増収増益となりました。
ペプタイド部門は、訪日外国人客の増加、健康食品市場の世界的な伸長を背景に国内外ともに順調に推移しました。利益面では、原料価格の上昇や輸入為替の影響があったものの、販売価格の改定を段階的に実施した効果もあり増益となりました。
この結果、ゼラチン関連事業の売上高は、12,263百万円(同18.1%増)、営業利益は、693百万円(同22.3%増)、セグメント利益は、712百万円(同23.0%増)となりました。
(化粧品関連事業)
化粧品部門は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要が、長引くコロナ禍で鈍化しました。また、スキンケア通信販売市場での競争激化の影響もあり、厳しい状況で推移しました。
健康食品部門は、国内の健康食品市場全体の鈍化がみられたものの、主力の「ニッピコラーゲン100」は健康志向の高まりを背景に好調に推移しました。
この結果、化粧品関連事業の売上高は、6,544百万円(同8.8%増)、営業利益及びセグメント利益は、872百万円(同20.4%増)となりました。
(皮革関連事業)
靴・袋物部門は、活動制限の緩和に伴い需要が回復傾向となり売上は伸長しました。利益面においては、原材料費、加工費、輸入為替などのコスト上昇に苦戦したものの、収益性の改善に努め増益となりました。
車輌部門は、ハンドル用革の販売が上海のロックダウンの影響などで出荷が滞り減収となりました。
この結果、皮革関連事業の売上高は、7,315百万円(同15.7%増)、営業利益及びセグメント利益は、113百万円(前連結会計年度は営業損失及びセグメント損失133百万円)となりました。
(賃貸・不動産事業)
東京都足立区の土地賃貸事業は、大規模商業施設、保育所、フットサルコート、駐車場用地として有効活用を図っております。大阪府大阪市の土地賃貸事業は、中央区心斎橋において商業施設用地として有効活用を図るほか、浪速区なんばにおいては、「難波中二丁目開発計画」を本格始動しております。ホテル及びオフィス棟建設は2023年1月に竣工を迎え、同年3月には本開発エリアの正式名称を「なんばパークス サウス」に決定するなど、新規事業を着実に推進しております。
この結果、賃貸・不動産事業の売上高は、860百万円(前期比0.5%増)、営業利益は、655百万円(同0.7%増)、セグメント利益は、656百万円(同0.7%増)となりました。
(食品その他事業)
有機穀物は、コンテナ不足による物流の滞りが解消傾向となり、イタリア輸入食材は、活動制限の緩和に伴い需要の回復が進み、それぞれ増収となりました。バイオ関連製品は、iMatrixシリーズやバイオマッシャーなどの販売が国内外製薬会社や民間研究機関を中心に好調に推移しました。また、ペットサプリメントの売上も順調に推移しました。
この結果、食品その他事業の売上高は、8,492百万円(同23.2%増)、営業利益は、324百万円(同78.7%増)、セグメント利益は、304百万円(同80.8%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は69,564百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,146百万円増加しました。これは主に、未収還付法人税等が488百万円、有形固定資産が612百万円減少した一方で、現金及び預金が217百万円、受取手形及び売掛金が740百万円、棚卸資産が1,165百万円、未収消費税等が160百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における負債は、34,486百万円となり、前連結会計年度末と比べ65百万円増加しました。これは主に、その他流動負債が315百万円、長期借入金が1,346百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が1,429百万円、未払法人税等が271百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における純資産は、35,077百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,081百万円増加し、自己資本比率は、49.5%となりました。これは主に、利益剰余金が997百万円、為替換算調整勘定が91百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ217百万円増加し、6,839百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ売上高が増加し、売上債権、棚卸資産などが増加し収入は減少したものの、法人税等の支出が減少した結果、収入は597百万円増加し、2,667百万円の収入(前期比28.8%増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ投資有価証券の売却による収入が増加したことなどにより、支出が96百万円減少し、821百万円の支出(同10.5%減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ有利子負債の返済が減少したことなどにより、支出が467百万円減少し、1,665百万円の支出(同21.9%減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
製品の性質上受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の相手先の該当がないので記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び会計上の見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり重要な資産の評価方法、重要な引当金の計上基準等においての継続性、網羅性、厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産においては将来の回収可能性を十分に検討した上で計上しております。
ウクライナ情勢や世界経済、物価動向、消費動向も不透明さが増すなか、国内景気は少しずつ軌道修正しながら維持、回復していくものと想定し、当社における会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金の計上、固定資産の減損、棚卸資産の評価等)を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度は、コラーゲン・ケーシング事業をはじめ、ゼラチン・ペプタイド、化粧品、皮革など全報告セグメントにおいて、国内外の新規顧客の獲得、拡販に注力し、増収となったものの、原材料、エネルギー価格、物流費などの高騰により利益率は縮小し、営業利益は減少となりました。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ5,461百万円増加し、44,811百万円(前期比13.9%増)となりました。
主な内容は、コラーゲン・ケーシング事業は、北米を中心に販売が伸び、価格改定や輸出為替も追い風となり好調に推移しました。ゼラチン関連事業は、制限の緩和に伴い、個人消費、インバウンド需要も回復基調となり、菓子用、惣菜用、ソフトカプセル用などのゼラチン、健康食品用のコラーゲンペプチドの国内販売が大きく伸張しました。化粧品関連事業は、主力商品「ニッピコラーゲン100」の販売は、健康志向を背景として、また、通信販売という販路の強みも活かし、引き続き好調に推移しました。皮革関連事業は、生活様式の変容により革靴に関連した素材、商品、加工などは影響が残るものの回復してきており、特に婦人用革が好調に推移し、また、車輛用革においても半導体や部品不足などにより自動車関連メーカーの断続的な減産などあったものの、需要は回復基調となりました。食品その他事業は、人出が戻り外食の機会も増え、業務用イタリア食材、有機穀物など好調に推移し、全報告セグメントにおいて増収となりました。
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ287百万円減少し、1,471百万円(同16.3%減)となり、当連結会計年度における経常利益は前連結会計年度に比べ223百万円減少し、1,553百万円(同12.6%減)となりました。
主な内容は、売上高は増加したものの、全ての報告セグメントに共通して、原材料などの仕入価格、エネルギーコスト、輸送費などの高騰に加え、欧米諸国との金利差拡大に起因する円安トレンドの長期化により製造原価が上昇し、また、仕入価格が上昇し収益を圧迫しました。コラーゲン・ケーシング事業以外の報告セグメントは、仕入価格、製造コスト、物流費は上昇したものの、一定の価格調整が達成できたことにより利益率は減少したものの増益となりました。コラーゲン・ケーシング事業においては、輸入原材料価格の高騰に加え、原油価格やLNG価格の影響により電力費、動力費は大幅に上昇し製造コストが跳ね上がり、また、輸出に関してもコンテナ代の大幅な値上がりにより利益を圧迫し、大きく減益となりました。販売価格の調整に努めたものの、目標達成には至らず、引き続き取組んでおります。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ25百万円増加し、1,169百万円(同2.2%増)となりました。
主な内容は、投資有価証券の売却等による特別利益230百万円を計上したことにより増益となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの各事業は、国内外市場で製品の販売を行う一方、製品原料や関連資材の買い付けも国内外の市場より調達しております。このため、それぞれの市場動向や規制、さらに海外の場合は、特に為替相場等の大きく急激な変動も各事業の業績に大きな影響を与える場合があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、個人の消費活動や企業の経済活動が停滞し、国内外の経済に大きな影響を及ぼしました。今後も同様な事態が発生した場合、同様な影響を及ぼすことになることが考えられます。
また、足許では、ウクライナ情勢の悪化などに伴い、様々な影響が出てきております。エネルギー、原材料、薬品、物流など多岐にわたっての価格高騰に見舞われており、当社グループにおきましては、コラーゲン・ケーシング事業、ゼラチン関連事業における製造コスト及び全報告セグメントにおいて仕入価格が急上昇しております。ある一定程度の価格転嫁ができなければ、経営成績に重要な影響を与える要因になります。
そのほか当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 戦略的現状と見通し
コラーゲン・ケーシング、ゼラチン関連、化粧品関連、皮革関連などの各報告セグメントにおきましては、顧客や市場ニーズを取り入れた新商品の開発により一層の高付加価値化を目指すとともに、宣伝広告等により商品や企業の認知度の向上を図っております。生産面では、工程の見直しなど、さまざまなコスト低減方法を常に模索し、販売面では、拡販及び価格の適正化を図りながら、収益体制の改善、強化に努めております。原材料、エネルギー、物流などの価格の高騰は、吸収できる限度を超えており、販売価格への転嫁の実施を継続的に行わなければいけない状況となっております。製造工程の短縮や見直し、不良率の低下、経費の削減など様々な施策を講じてコスト低減を図り、収益性の確保に努めてまいります。化粧品関連事業においては、広告宣伝で仙道敦子さんに加え、高橋尚子さんを活用し、好調な健康食品分野での拡販、基礎化粧品分野での巻き返しを目指し、また、それぞれの新規商品開発に取組んでおります。
なお、賃貸・不動産事業におきましては、所有土地の事業化計画の実現と効率的運用を推進してまいります。大阪市浪速区のなんば地区では、2023年7月に計画した事業化が完了の予定であり、残った東京都足立区の所有地においても早期の本格的な事業化を目指し、収益性を十分考慮した運用を行い、当社グループの安定的な収益基盤の礎としてまいります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料・商品などの仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動資金であります。それ以外の投資などを目的とした資金需要は、生産設備を始め事業拡大及び賃貸事業に伴う投資等に限っております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、資金の流動性に関する対応としては、現在未使用の状況にあるコミットメントライン枠の活用があります。短期的には手許現預金は、アフターコロナの与信リスクなどにも備えて高水準の状態にあります。今後は、国内外の経済情勢が不確実性の高いことを認識したうえで、設備投資も進めながら有利子負債の圧縮にも努めてまいります。
なお、資金調達に影響を及ぼす財務制限条項等への抵触リスクは、現状においてはグループ会社ともに低いと判断しております。また、今後の有利子負債の約定弁済につきましても手許現預金及び営業キャッシュ・フローなどで履行できると判断しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、100年間に亘り、皮革事業において我が国のリーディングカンパニーとして製造・販売を行ってまいりました。その間、皮革事業で培った技術・知識・経験を礎に研究開発を重ね、新たにゼラチン、コラーゲンペプチドの事業を国内トップクラスに、また、コラーゲン・ケーシング事業を国内で唯一、世界の四大メーカーの一角を担うまでに、さらには、コラーゲン基礎化粧品「スキンケアジェル」と健康食品「ニッピコラーゲン100」の事業を当社主力事業のひとつに育成してまいりました。また、バイオマトリックス研究所で長年培った生体工学技術を生かし、再生医療分野への進出を果たしました。今後は、同分野を主力事業の一角にするべく注力してまいります。これらの事業を更に充実拡大させ、以って当社の理念である高品質なものづくりを通して人々に貢献し、より豊かな社会の実現を目指してまいります。そのためには、事業環境の変化を捉え、既存の知財に加え事業で得た新たな技術・経験を活かし、顧客や社会の要望に応えられる高付加価値商品を世に送り出して行かねばなりません。また、コロナ禍の影響は、日を追って和らぎ日常を取り戻してきております。一方で、ウクライナ情勢長期化などによる資源価格の高止まり、それに伴う世界的なインフレ、為替の急激かつ大きな変動などで国内景気は、今後も不透明な環境が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社は、引き続き生産コスト低減の施策を講じて競争力のある商品づくりに取組んでいくとともに、社会全体の変容に対応しながら市場ニーズを的確に捉えた高付加価値商品を投入し、収益基盤の拡充を図ってまいります。
次期の見通しにつきましては、産油国の減産やウクライナ情勢の長期化に伴い、諸物価の上昇は今後も続くものと想定しておりますが、国内の景気はサービス業を中心にゆるやかに回復していくと見込んでおります。
コラーゲン・ケーシング事業に関しまして、国内外ともに市場は、堅調に推移すると見込まれるものの、引き続き原材料、燃料、電力費の高止まりにより、製造コストの低減は厳しい状況であり、販売価格に転嫁せざるを得ない環境に変化はないと見込んでおります。国内外での価格調整、特に海外を念頭においた上での拡販を模索してまいります。一方で、一層の製造工程の見直し、工夫を実施し製造コストの低減を推し進め、収益力の確保に注力してまいります。製造に関しては、国際的な価格競争に対応していくためにも製造工程の簡素化、生産能力向上のための技術改良、ユーザーニーズに呼応した製品開発、また、引き続き加工費の低減を推し進め、収益力の確保と向上に注力してまいります。
ゼラチン関連事業に関しては、国内外ともにゼラチン、コラーゲンペプチド市場は成長しているなか、国内では海外観光客の受入れが再開され、インバウンド需要はコロナ禍前までには届かないまでも回復してまいりました。インバウンドのみならず、国内消費も回復し、国内健康食品や菓子市場などのユーザー企業からの受注が増加しました。販売は好調に推移いたしましたが、原材料などの仕入価格、物流費やエネルギーコストなどは上昇を続けており、引き続き価格調整をせざるを得ない状況は続いております。このような状況のなか、機能性食品用途やハラール用途など特定の素材提案で差別化を図っていき、特にコラーゲンへの認知度が広がりを見せる海外市場への拡販を重視し、世界市場でのシェアアップを目指してまいります。引き続き一層の高付加価値商品開発、顧客への新規提案などにより収益基盤をさらに改善してまいります。
化粧品関連事業に関しましては、大手の相次ぐ参入により競争は激化しておりますが、強みや特徴を活かし、変貌する顧客ニーズと購買形態に対応しながら永続的に収益を創出し続けるモデルの構築を目指してまいります。まだブランド力が弱く、認知度が低いことに対する対策として、著名人の活用と地上波×インフルエンサーのメディアMIXを図り、化粧品におけるブランドの育成と健康食品における既存の主力商品以外の開発育成に努めてまいります。アフターコロナでの消費動向を見据えながら、マルチメディア等を駆使し、ニーズに呼応した新商品の発売、継続率の向上、新規顧客の獲得を目指し、さらなる成長路線を模索してまいります。
皮革関連事業に関しては、緩やかに回復してきているものの、コロナ禍で進行した革靴に対する消費者意識の変化により、コロナ禍以前の需要までには回復しないと懸念しております。厳しい市場環境のなか、甲革、製甲、靴、底材加工、衣料などの革靴関連のサプライチェーン囲い込み強化のため、業界の情報収集、協力企業体制の一層の強化、市場環境に順応した事業体制の工夫、在庫管理体制の見直し、経費削減などに取組み、収益性の改善に努めてまいります。また、車両用革は、低コストを実現するため新しい処方技術の確立、歩留まりを改善するための製造技術に注力し、競争力の向上に努め、受注の奪還を図ってまいります。
食品その他の事業に関しては、イタリア食材など輸入業務用食品は値上がりや輸入為替など一定の影響を受けると想定されますが、国内市場は回復に転じております。また、オンラインショップの強化など個人消費の掘り起こしに努め、拡販も図ってまいります。一方で、有機穀物は、コンテナ不足など物流の混乱や相場価格の不安定な状況は一服し、安定的な需要を背景に堅調に推移するものと見込んでおります。引き続き、調達先の開拓などにも注力しがら、安定供給の基盤を確保してまいります。また、再生医療関連については、今後も市場が拡大していくものと見込んでおり、当社の販売も拡大を続けております。細胞外マトリックス関連商品の新規開発のほか、医療用ゼラチン、医療用コラーゲンなど試薬の開発、さらなる拡販を目指してまいります。
賃貸・不動産関連事業に関しましては、引き続き当社所有土地を中心に事業化及び効率的運用を進め、当社収益基盤の強化に繋げるよう努めてまいります。また、大阪市浪速区の土地賃貸事業も順調に進捗しており、2023年3月25日に一部開業した「なんばパークスサウス」は、7月1日にグランドオープンを迎える予定であります。
また、昨今の企業を取り巻く環境は一層不透明さを増しており、そのなかで持続可能な社会の実現に向けての取組みは、企業の社会的責任であるのみならず、自然由来の原料に依存しております当社グループにおきましても事業を継続する上での重要な課題であると認識しております。高品質なものづくりで社会に貢献するという創業の思想を実現すべく、事業活動の一層の奮励はもとより、各事業の日々の業務の中でより良い環境や社会の実現に取組んでまいりました。今般、各事業の取組みをより実効的なものにすべく代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を創設いたしました。今後はこのサステナビリティ委員会を中心に社会・環境に資する取組みを推し進めるとともに、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンス・コードに基づく経営体制の強化、地球温暖化防止への取組み、人権への配慮や多様性の確保といった活動を推進してまいります。
そのほか当社グループとしての問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、3次元細胞培養関連製品の開発、化粧品開発のための皮膚科学研究、コラーゲンの経口摂取の栄養生理学的研究、大学・研究機関や企業と連携したがんや免疫分野などへの応用を目指した新規組換えタンパク質の開発、国内外のアカデミアとのコラーゲンやそれ以外の幅広い基礎研究など、基礎科学から製品化を目指した応用技術開発・製品開発まで幅広く行いました。
具体的な研究開発項目につきまして、以下にいくつか例を挙げます。
(1) 医療用途に適用可能なコラーゲンとゼラチンに関して、医療機器原料としての供給や自社製品の開発に取組んでおります。同時に、各種の研究試薬用コラーゲンの開発も行っております。
(2) 組換えタンパク質の効率良い製造法spERtテクノロジーの技術開発を進め、様々なタンパク質のCHO細胞株取得及びタンパク質の効率的な精製技術開発を進めております。この技術を積極的に活用して、付加価値の高いタンパク質の低コスト製造によって利益向上を図りたいと考えております。
(3) コラーゲン経口摂取の効果については、魚由来コラーゲンペプチド「ぷるキラまもる君」に関して当社初めての機能性表示食品届出が受理されました。また、コラーゲン特有のHypを含むジペプチドPro-Hypや、血液中で長期間安定に存在するGly-3Hyp-4Hypトリペプチドの生理的作用のメカニズム、またヒト筋運動へ及ぼす効果の研究もしております。
(4) 3次元細胞培養は、医薬品の開発や毒性検査、生物学医学研究に必須のものとなりつつあります。培養基材用のMatriMixシリーズを開発しております。各種コラーゲンや糖鎖、基底膜タンパク質を組み合わせて、創薬や病態機能解明、安全性試験などの幅広いニーズに応える細胞培養関連製品群を開発中であります。手軽に使用者が使える標準的な製品から、各種の臓器組織用に適するようにカスタマイズ可能なパーツとなるタンパク質群を開発しております。
(5) ヒトラミニン-511のE8部分である組換えタンパク質iMatrix-511を製造販売しております。上述の当社のspERtテクノロジー技術の導入を進めて、試薬用に関しては、収量の増大を達成した細胞株を用いた製造に切替えました。同様にヒトラミニン-111及び332のE8部分、iMatrix-111,332についても、当社spERt技術を導入した製造株を樹立し製造工程を確立して、試薬用として製品化して販売を開始しました。
上記のほか、化学架橋性ポリ塩化ビニルを用いた機能性ケミカル製品の開発等も行っております。
当連結会計年度の研究開発費の金額は、
また、事業のセグメント別の研究開発費は、バイオマトリックス研究所において各セグメントの総合的、横断的研究開発活動を行っていること、また、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象としていないことから区分しておりません。