当社グループが前事業年度の有価証券報告書で開示した事業等のリスクの分析については、当中間連結会計期間においても引き続き有効なものと考えています。当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更等はありません。
また、当社グループが将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は、当中間連結会計期間においては存在していません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。全ての財務数値は、国際会計基準(IFRS)ベースで記載しています。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間において、当社グループが事業を行う市場における事業環境は、引き続き多くの主要市場で逆風を受けました。特に建築用ガラス事業の欧州市場は前年を大きく下回り、その他の地域でも市場は減速しました。一方、太陽電池パネル用ガラスは堅調でした。自動車用ガラス事業も多くの地域において販売数量が横ばいとなり、厳しい事業環境でした。高機能ガラス事業は全般的に改善しました。
当中間連結会計期間における売上高は、前年同期と同水準の4,224億円(前年同期は4,202億円)となりました。自動車用ガラス事業と高機能ガラス事業での増収は、建築用ガラス事業の減収により相殺されました。個別開示項目前営業利益は102億円(前年同期は260億円)と減益で、これは主に建築用ガラス事業の減益によるものです。個別開示項目(純額)は0.4億円の費用(前年同期は3億円の収益)でした。金融費用(純額)は126億円(前年同期は140億円)と減少し、持分法による投資利益は25億円(前年同期は22億円)に改善しました。前年はロシアにおけるジョイント・ベンチャー売却に伴い、一過性の利益として49億円を計上しました。法人所得税の36億円(前年同期は88億円)は通期の見積実効税率に基づき計算しています。個別開示項目前営業利益が減少した結果、親会社の所有者に帰属する中間損失は39億円(前年同期は98億円の利益)となりました。
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当中間連結会計期間における当社グループの売上高のうち43%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち51%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち6%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター向けレンズ及び光ガイドの製造・販売、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
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売上高 |
個別開示項目前営業利益(△は損失) |
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当中間 連結会計期間 |
前中間 連結会計期間 |
当中間 連結会計期間 |
前中間 連結会計期間 |
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建築用ガラス事業 |
179,968 |
192,934 |
6,658 |
21,803 |
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自動車用ガラス事業 |
217,305 |
205,165 |
3,496 |
6,300 |
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高機能ガラス事業 |
24,719 |
19,882 |
3,907 |
4,000 |
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その他 |
445 |
2,187 |
△3,832 |
△6,075 |
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合計 |
422,437 |
420,168 |
10,229 |
26,028 |
建築用ガラス事業
当中間連結会計期間における建築用ガラス事業の売上高は1,800億円(前年同期は1,929億円)、個別開示項目前営業利益は67億円(前年同期は218億円)となりました。売上高・個別開示項目前営業利益は欧州を中心に多くの地域で販売数量の減少と販売価格の低下の影響を受け前年同期比で減少しました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の36%を占めています。売上高は経済活動の減速に伴い販売数量が減少し販売価格も低下したため前年同期比減少しました。市況の悪化による影響は、投入コストの低下により一部軽減されました。需要が弱い状況が継続していることを踏まえ、ドイツ・グラートベック工場で稼働するフロート窯2基のうち1基について、2025年1月に生産を停止することを2024年10月10日に公表いたしました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の32%を占めています。売上高および個別開示項目前営業利益は前年と同水準でした。日本では販売価格は安定していたものの、販売数量が減少したため減収減益となりました。その他東南アジアでは引き続き厳しい市場環境が続きました。太陽電池パネル用ガラスは堅調に推移しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の32%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期比で減少しました。北米では商業用建物市場が力強さを欠き、業績は減速しました。南米における需要も、アルゼンチンでの厳しい市場環境を反映し減少しました。
自動車用ガラス事業
当中間連結会計期間における自動車用ガラス事業の売上高は2,173億円(前年同期は2,052億円)、個別開示項目前営業利益は35億円(前年同期は63億円)となりました。売上高は、多くの地域において現地通貨ベースでは前年と同水準でしたが、円安による為替影響の恩恵を受けたため増加しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の41%を占めています。売上高は現地通貨ベースで前年同期比でやや減少しましたが、日本円ベースでは為替の影響により増加しました。個別開示項目前営業利益については前年同期を下回りました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の18%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益は前年同期比で増加しました。日本の販売数量は一部の取引先における生産停止の影響を受けたものの、それを除けば安定していました。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の41%を占めています。売上高は前年同期比で増加したものの個別開示項目前営業利益は減少しました。北米の市場は全般的に安定していましたが、販売数量は一部取引先での生産停止の影響を受けました。南米では、前年同期比でアルゼンチンの販売数量は減少したものの、ブラジルでは増加しました。
高機能ガラス事業
当中間連結会計期間における高機能ガラス事業の売上高は247億円(前年同期は199億円)、個別開示項目前営業利益は39億円(前年同期は40億円)となりました。
売上高は、多くの事業で需要が回復したため前年同期比で増加しました。個別開示項目前営業利益は、前年同期並みでした。ファインガラス事業では、売上高は前年同期比でわずかに改善しました。情報通信デバイス事業では、プリンターおよびスキャナーに対する需要が回復しました。自動車エンジンのタイミングベルト用グラスコードは補修用市場での強い需要を背景に販売数量が増加しました。メタシャイン®の売上高は自動車向けで増加しました。
持分法適用会社
持分法による投資利益は25億円(前年同期は22億円)に改善しました。前年度はロシアにおけるジョイント・ベンチャー売却に伴い一過性の利益49億円を計上しています。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、38億円のマイナスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による235億円の支出等により248億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは286億円のマイナス(前年同期は186億円のマイナス)となりました。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更等はありません。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費は、52億円となりました。事業別の内訳は、建築用ガラス事業にて19億円、自動車用ガラス事業にて15億円、高機能ガラス事業にて4億円、その他において14億円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
2024年9月末時点の総資産は9,812億円となり、2024年3月末時点から263億円減少しました。
当社グループの資本の源泉としては、事業活動からの営業キャッシュ・フロー、銀行からの借入金、社債、リース契約、又は資本が挙げられます。2024年9月末現在、当社グループの総借入残高の構成割合は、銀行からの借入金が86%、社債が7%、リース契約等が7%となっています。
当社グループは、最適な調達方法と調達期間の組み合わせにより、適切なコストで安定的に資金を確保することを、資金調達の基本方針としています。
2024年9月末時点のネット借入残高は、2024年3月末より280億円増加して4,755億円となりました。ネット借入の増加の大部分は運転資本の季節的な変動によるものです。為替影響によるネット借入の減少は80億円でした。また、総借入残高は5,310億円となりました。
資本合計は1,413億円となり、2024年3月末時点の1,538億円から125億円減少しました。資本合計の減少は、主に当中間連結会計期間における円高による為替影響および中間損失を計上したためです。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。