第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度(2015年1月1日から2015年12月31日まで)における当社グループを取り巻く世界経済は、緩やかな景気回復が続きました。日本においては、期後半において一部に弱さがみられたものの、政府の経済政策などにより、景気は緩やかな回復基調が継続しています。欧州の景気は引き続き緩やかに回復し、米国でも個人消費が増加するなど、景気回復が続いています。中国をはじめとする新興国においては、成長鈍化が見られました。

 このような環境の下、当社グループでは、円安などの増収要因があったものの、ディスプレイ事業が減収となったことなどから、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比220億円(1.6%)減の13,263億円となりました。営業利益は、欧州及び北米における建築用ガラス事業の構造改革効果、原燃材料価格の下落などにより、同90億円(14.6%)増の712億円となりました。税引前利益は、退職後給付制度改定益などの計上により、同434億円(105.3%)増の845億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は同270億円(169.6%)増の429億円となりました。

 

   当連結会計年度におけるセグメントの業績の概要は以下のとおりです。

① ガラス

  建築用ガラスの出荷は、日本・アジアでは、日本の消費税増税による駆け込み需要の反動などで減少しました。北米では引き続き堅調に推移し、欧州においては西中欧は増加したものの、東欧は経済環境悪化の影響を受け減少しました。この結果、建築用ガラスは前連結会計年度に比べ減収となりました。

  自動車用ガラスは、日本・アジアの一部の国や東欧などで自動車生産台数は減少したものの、北米の堅調な需要や西欧の需要回復に加え円安の効果もあり、前連結会計年度に比べ増収となりました。

  以上の結果から、当連結会計年度のガラスの売上高は前連結会計年度比66億円(1.0%)増の6,929億円となりました。営業利益については、欧州及び北米における建築用ガラス事業の構造改革効果並びに原燃材料価格下落などにより同133億円改善し130億円となりました。

② 電子

  液晶用ガラス基板は、堅調な需要に支えられ出荷は前連結会計年度に比べ増加したものの、販売価格は前連結会計年度に比べ下落しました。ディスプレイ用特殊ガラスの出荷は前連結会計年度に比べ増加しました。PDP関連製品の出荷は、主要顧客の事業撤退により2014年第3四半期で終了しました。電子部材の出荷は、期半ばまでは堅調に推移したものの、一部製品が当第4四半期以降に前年に比べ減少したため、売上高は前連結会計年度と同水準になりました。

  以上の結果から、当連結会計年度の電子の売上高は前連結会計年度比311億円(9.7%)減の2,886億円、営業利益は同80億円(21.6%)減の290億円となりました。

③ 化学品

  クロールアルカリ・ウレタンは、出荷が堅調に推移するとともに、円安となったことから、前連結会計年度に比べ増収となりました。フッ素・スペシャリティは、一部製品の出荷が減少したことから、前連結会計年度に比べ減収となりました。

  以上の結果から、当連結会計年度の化学品の売上高は前連結会計年度比12億円(0.4%)増の3,185億円、営業利益は、原燃材料価格下落などの影響により、同64億円(26.7%)増の305億円となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、税引前利益が増加したことなどにより、前連結会計年度比442億円(163.4%)増の712億円の収入となりました。一方、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて、配当金の支払いなどがあり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より352億円(50.5%)増加し、1,048億円となりました。

①  営業活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比514億円(37.8%)増の1,872億円となりました。

②  投資活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における投資活動により使用された資金は、前連結会計年度比72億円(6.6%)増の1,160億円となりました。当該支出は、主に成長分野への設備投資を実施したことによるものです。

③  財務活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における財務活動により使用された資金は、前連結会計年度比593億円(62.6%)減の354億円となりました。当該支出は、主に配当金の支払いなどによるものです。

 

(3) 並行開示情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異に関する事項につきましては、日本基準に基づく連結財務諸表を作成しておらず、差異の金額を算定することが困難であるため、以下のとおり定性的な情報を記載しております。

(退職給付に係る費用)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に、一定の期間で純損益として償却することが要求されます。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として即時認識し、過去勤務費用は純損益として即時認識しております。

 

(のれんの償却停止)

 日本基準では、のれんを一定期間にわたり償却することが要求されます。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

  当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、セグメント毎に生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2) 受注状況

 受注生産を行っている製品はほとんどありません。

(3) 販売実績

 販売実績については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

3【対処すべき課題】

(1)経営の基本方針

当社グループでは、グループの全ての事業活動、社会活動を貫く企業理念としてのグループビジョン“Look Beyond” を定めています。このグループビジョンにおいて、当社グループが世の中に提供すべき価値、グループの存在意義を示すものとして「私たちの使命」を掲げています。今般、当社グループが創業以来、世の中で果たしてきた役割、築き上げてきたお客様や社会からの信頼を踏まえ、「私たちの使命」を再定義しました。

 

〔私たちの使命〕

“AGC、いつも世界の大事な一部”

 ~独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えます~

 

 また、グループビジョン“Look Beyond” では、以下のとおり、グループ全体で共有すべき最も重要な価値観及びグループメンバーが世代を超えて受け継ぎ、実践していく基本精神(スピリット)を掲げています。

 

〔私たちの価値観〕

  「イノベーション&オペレーショナル・エクセレンス(革新と卓越)」、

  「ダイバーシティ(多様性)」、「エンバイロンメント(環境)」、「インテグリティ(誠実)」

〔私たちのスピリット〕

  “易きになじまず難きにつく”

 

(2)「2025年のありたい姿」と長期経営戦略

 当社グループは、2015年からの新経営体制のもとで、グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえて、「2025年のありたい姿」とその実現のための長期経営戦略を定めました。

 ガラス、化学、ディスプレイ、セラミックスといった長期安定的な収益基盤となるコア事業と、モビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンスをターゲット領域とした高い成長が期待できる戦略事業を2つの柱に位置付けています。

 2025年の当社グループは、コア事業が確固たる収益基盤となり、戦略事業が成長エンジンとして一層の収益拡大を牽引する、高収益のグローバルな優良素材メーカーでありたいと考えています。

 

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 2025年には、戦略事業の利益比率が当連結会計年度に比べ2倍以上に拡大し、収益全体の40%を上回ることを目指します。中期経営計画AGC plus-2017の最終年度にはROEを5%以上に、以降早期に8%以上を達成し、グローバルな優良素材メーカーとしてのポジションを築きます。

 

 上記に掲げた「2025年のありたい姿」の実現に向けた基本方針は以下の4点です。

  ①常にマーケット視点に立ち、お客様からの期待に応え、信頼を高め続ける

  ②コア事業・戦略事業とも、自律的成長に加え、戦略的なM&Aを大胆に行い、持続的成長を図る

  ③東南アジアと中東を面でつなぎ、アジア地域の高成長を取り込む

  ④メリハリのある経営資源配分を徹底し、資産効率の高い事業構造に転換する

 

 コア事業については、ポートフォリオ経営の徹底によって、長期安定的な収益基盤の構築を目指します。特にアジア地域においては、既に展開しているタイやインドネシアなどでのガラス事業、化学品事業の基盤を東南アジアから中東(西アジア)まで面でつなぎ、アジア地域の成長を当社グループの成長機会として取り込んでいきます。

 

 戦略事業については、自動運転をはじめとする交通インフラの進化、すべてのモノや誰もがいつでもつながるIoTの進展、医療・農業のさらなる高度化などのマクロ環境変化を事業機会と捉え、高付加価値ビジネスを拡大することで高収益事業の確立を目指します。

 

 上記施策の実現のために、今後5年間の投資及びR&Dの合計予算枠1兆円に加え、コア事業及び戦略事業双方を対象とし、M&Aを中心とした戦略投資枠3,000億円を新たに設定します。

 

(3)経営方針AGC plusと中期経営計画AGC plus-2017

 

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 当社グループでは、全てのステークホルダーに価値をプラスすることを経営方針AGC plusに掲げ、マーケット視点と多様性を活かして売上高を拡大していくこと、メリハリある経営資源配分により資産効率を向上させていくことを中期経営計画AGC plus-2017の経営課題として事業運営を行っています。

 

〔マーケット視点と多様性を活かした売上高の拡大〕

 当社グループの強みは多様性です。ガラス、電子、化学、セラミックスの技術基盤とその生産設備を持ち、建築や自動車、ディスプレイ、電子業界など幅広い市場へのアクセス、グローバルな拠点展開、幅広い人材を有しています。この強みを最大限に活用しながら、3つの方向性(①既存の製品・技術・サービスを新たな地域・市場・用途に展開する、②新しい製品・技術・サービスを既存の市場・用途に展開する、③新たな市場・用途に向けて、新しい製品・技術・サービスを提供する)で売上高を伸ばしていきます。

 

〔メリハリある経営資源配分により資産効率を向上〕

 当社グループでは、各事業の収益性と成長性を基軸とした事業ポートフォリオに基づき、戦略の方向性を明確にし、メリハリの効いた経営資源配分を行います。

 

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 各事業の方向性と財務目標は以下の図のとおりです。

 

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●当連結会計年度の進捗状況

当連結会計年度の売上高は1兆3,263億円と2017年までの目標に対して未達成であったものの、欧米建築用ガラス事業の業績改善や構造改革を進めた結果、営業利益は712億円と前年度621億円に対して増益となりました。従来は電子事業が全体収益の過半を占める状況でしたが、当連結会計年度は営業利益に占める各セグメントの割合がガラス18%、電子40%、化学品42%となり、バランスのとれたポートフォリオ構造に着実に変化しています。

  中長期の成長のための地固めとして当連結会計年度には以下の施策を決定・実行しました。

 

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2016年以降も引き続き、中期経営計画AGC plus-2017で設定した各事業の方向性に沿った事業運営を行い、それぞれの財務目標の達成を目指します。

 

 また、これまで行ってきた積極的な投資による2017年度の売上増として1,300億円(当連結会計年度比)を見込んでいます。さらに環境対応型新冷媒、フッ素樹脂、ライフサイエンスなどの化学品事業、自動車内装用カバーガラスや光学部材などの電子事業、建築用Low-Eガラスや自動車用UVカットガラスなどのガラス事業の新製品拡販を着実に進めることにより、営業利益目標1,000億円以上の達成を目指します。

 

4【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。但し、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2016年3月30日現在において判断したものです。

(1) 製品需要に関連する市場の経済状況
 当社グループの製品に対する需要は、建築・建材業界、自動車業界、及び電子・ディスプレイ業界等の市場動向の影響を受けます。また、当社グループの製品販売地域は、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、多岐にわたっており、各国・地域の経済状況は当社グループの製品の販売に影響を与えます。当社グループは、生産性の向上を図るとともに、固定費・変動費の削減を推進し、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを目指していますが、これらの関連業界の需要減少や販売地域での景気減退が、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外への事業展開
 当社グループでは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外活動を展開しています。この海外展開に関するリスクとして、海外における政治経済情勢の悪化、輸入・外資の規制、予期せぬ法令の改変、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争の発生が考えられます。これらの事象は、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競争優位性及び新技術・新製品の開発・事業化に係るリスク
 当社グループが展開する各事業においては、当社グループと同種の製品を供給する競合会社が存在します。当社グループでは、競争優位性を維持できるよう、顧客ニーズの把握、新技術・新製品の開発・事業化に努めていますが、技術や顧客ニーズの変化に適切に対応できなかった場合や、新技術・新製品の開発・事業化期間が長期化した場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材等の調達
 当社グループの生産活動では、一部調達先が限られる特殊な原料、資材等を使用するため、これらについての供給の逼迫や遅延等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5) 公的規制
 当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6) 環境規制
 当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス及び化学品事業を主に行っており、環境負荷の低減のための設備や管理体制の充実を図ることに加え、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上等、環境負荷の低減に取り組んでいます。一方、温室効果ガス、土壌汚染、化学物質などの環境課題の広がりと共に規制や社会が求める環境責任が高まることにより、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製造物責任
 当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により大規模なリコール等に発展する品質問題が発生する可能性が皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8) 知的財産権
 当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権や事業状況の調査を行い問題の発生の防止を図っています。しかし、第三者から知的財産に関する訴訟等を提起されたり、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したりする可能性は皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9) 訴訟・法的手続

 当社グループは、ブラジルに少量輸出していたブラウン管用ガラスバルブについて、同国競争法当局から競争法違反行為の可能性の調査を受けており、調査の結果、違反行為があったと判断された場合には、課徴金等を課される可能性があります。

   その他、当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟等の対象となるリスクがあり、現在、当事者となっている訴訟等もあります。これらの訴訟等において、当社グループにとって不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10) 自然災害・事故災害の影響
 当社グループは、生産活動の中断により生じる潜在的な悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検及び設備保守を行っています。しかしながら、生産設備に対する災害(地震、停電又はその他の混乱を含む)の影響を完全に予防又は軽減できる保証はありません。
 また、製品によっては、代替生産できないものもあり、大地震又はその他の災害により、当社グループのいずれかの設備における一時的又は長期にわたる生産の中断があった場合、特定製品に関する生産能力を著しく低下させる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11) 為替レートの変動
 当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産
を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
 また、当社グループは、日本をはじめとする世界各国の生産拠点で生産活動を行っており、その製品を複数の国に輸出しています。各国における生産及び販売では、外貨建で購入する原材料や販売する製品があります。したがって、為替レートの変動は、購入する原材料の価格や販売価格の設定に影響し、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を与えます。

(12) 退職給付債務
 当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率等の数理計算上の前提に基づいて計算されています。年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合等は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(13) 固定資産の価値下落
 当社グループが保有している固定資産について、時価下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助契約等

契約会社名

相手方

契約の内容

契約期間

対価

旭硝子㈱

(当社)

アサヒマス板硝子

(インドネシア共和国、ジャカルタ市)

フロート板ガラス製造技術の提供

1993年1月1日より10年間(以降毎年1年ずつ更新)

頭金のほか、契約期間中、正味売上高に一定率を乗じた金額の支払いを受ける。

 

アサヒマス・ケミカル

(インドネシア共和国、ジャカルタ市)

イオン交換膜法苛性ソーダ製造技術及びエチレンジクロライド、塩化ビニールモノマー・ポリマー製造技術の提供

1987年11月30日発効

商業生産開始日(1989年9月1日)より15年間有効。以降毎年1年ずつ更新。

頭金のほか、契約期間中、正味売上高に一定率を乗じた金額の支払いを受ける。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、経営方針AGC plus として“投資家の皆様に「企業価値」をプラスする”ことを掲げ、その実現のために売上の拡大と資産効率の向上を進めています。研究開発におきましても、成長事業分野を見定め、その技術開発領域に重点を置いた効率的な研究開発活動を進めることを通じて、技術力を向上させ、売上高の拡大に努めてまいります。

具体的には、携帯端末のカバーガラスなどに用いられる化学強化用特殊ガラスの開発とディスプレイ以外(自動車内装や建築、照明、太陽光パネル等)への用途展開、地球温暖化への影響を大幅に抑制する空調機器向け新冷媒などの開発、ガラス・化学・セラミックス技術の融合による高付加価値商品(ディスプレイ関連部材や省エネ効果の高い自動車用調光ガラス等)の開発、フッ素・化学分野における医農薬原体の開発など、今後拡大が見込まれる分野での研究開発活動をより強化して進めております。

当社グループの研究開発組織は、新材料・新商品開発及びそれを支える共通基盤技術開発を主たる業務とする中央研究所、生産技術に関する研究・開発・設備化を主たる業務とする生産技術センター、生産設備の建設・既存設備に関わる開発・メンテナンス等を主たる業務とするエンジニアリングセンター、開発の各フェーズにおける知的財産の調査・分析・出願・権利化・権利行使と知財戦略策定・推進を主たる業務とする知的財産センター、現行事業及びその周辺における新商品・新品種開発、生産技術改良、お客様への技術サービス等を担当する事業部研究開発部署などで構成されます。また、グループの総合的な技術戦略をより効果的かつ効率的に推進するため、「技術本部」が、上述の中央研究所、生産技術センター、エンジニアリングセンター及び知的財産センターを統括しています。なお、2016年1月1日付で、「技術本部」内の組織を再編し、中央研究所、生産技術センター、エンジニアリングセンターに代わり、先端技術研究所、商品開発研究所及び生産技術部を設置しました。また、同日付にて知的財産センターを「知的財産部」に変更しています。

これらの研究開発組織は、長期マクロトレンド等から作成した技術動向予測情報(Technology Outlook)を基に、技術・研究開発の進むべき方向性(技術ロードマップ)を策定・共有することで、開発案件の商品化・事業化を加速し、成果の早期実現を図っております。

また当社では、必要に応じ、共同研究や委託研究、または国が行う大型プロジェクトへの参画等を活用することで、効率的な開発推進を図っております。例えば、ユニークな産学連携システムとして、共同研究テーマを公募する「リサーチコラボレーション制度」も導入し、国内の大学・公的研究機関との共同研究を継続的に進めています。

さらに北米、欧州及び東南アジアに駐在員を配置し、海外大学や研究機関等への積極的な情報収集活動を行うとともに、当社グループとのシナジーが期待できる技術を保有するベンチャー企業の探索を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は38,927百万円でした。当連結会計年度における各事業部門別の研究開発課題と研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

(1) コーポレート

 コーポレートが担当している研究開発には、技術プラットフォームの強化拡大を目指した長期的・基礎的な研究開発と、新規事業の創出を目指した研究開発があります。また上記の戦略に基づいた全社的研究開発体制の構築もコーポレートが策定・調整しております。コーポレートが担当しているテーマとしては、高度な解析技術などの共通基盤技術の開発、既存事業及び新事業に資する材料技術の開発等があります。

 当連結会計年度における、コーポレートの研究開発費は15,380百万円でした。

(2) ガラス

 当事業の研究開発部門では、板ガラスや自動車用ガラスに関する商品設計や新技術開発、生産技術開発を行っております。また、省エネ効果の高い建築用ガラスや自動車ガラスに関する技術開発を行っております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,466百万円でした。

(3) 電子

 当事業の研究開発部門では、全ての薄型ディスプレイ商品に対応する表示デバイス用ガラスを提供している世界で唯一のガラスメーカーとしてお客様のご期待に沿うべく、ガラス溶解・成形・研磨・検査などの生産技術開発に注力しております。さらに、その他にも多岐にわたる研究開発テーマがあり、主に半導体製造装置用部材、ディスプレイ関連部材、光電子部材、ハードディスク基板等に関する新商品・新技術・生産技術の開発を行っております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は8,233百万円でした。

(4) 化学品

 当事業の研究開発部門では、AGC plusが掲げる“世の中に「安心・安全・快適」をプラスする”素材・ソリューションを提供すべく、フッ素化学、高分子化学、無機化学、電気化学などの基盤技術を生かした新商品・新技術の開発を行っております。特に、環境に配慮した製品やプロセスの開発に注力している他、医農薬中間体・原体分野の開発も進めております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,035百万円でした。

(5) セラミックス・その他

 上記以外の事業部門における当連結会計年度の研究開発費は812百万円でした。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。

(2) 財政状態

① 資産

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度比861億円(4.1%)減の19,913億円となりました。これは主に、前期末比で円高になったことにより為替換算後の有形固定資産が減少したことによるものであります。

② 負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度比694億円(7.7%)減の8,275億円となりました。これは主に、確定給付企業年金制度改定により退職給付に係る負債が減少したことによるものであります。

③ 資本

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度比167億円(1.4%)減の11,638億円となりました。これは主に、当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したものの、前期末比で円高になったことにより在外営業活動体の換算差額が減少したことによるものであります。

④ 資金の状況
 当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(3) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比220億円(1.6%)減の13,263億円となりました。売上原価は、原燃材料価格の下落などにより、前連結会計年度比238億円(2.3%)減の9,927億円となりました。売上原価率については、前連結会計年度比0.5ポイント改善の74.8%となりました。また、欧州及び北米における構造改革効果もあり、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度比90億円(14.6%)増の712億円、営業利益率は前連結会計年度比で0.8ポイント改善の5.4%となりました。

当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加及び退職後給付制度改定益などの計上により、前連結会計年度比434億円(105.3%)増の845億円になりました。税引前利益率は前連結会計年度比で3.3ポイント改善の6.4%となりました。

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期純利益は、税引前利益の増加により、前連結会計年度比で270億円(169.6%)増の429億円となりました。また、当連結会計年度の基本的1株当たり当期純利益は37.12円となりました。

なお、セグメント別の売上高及び営業利益の概況に関しましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しております。

(4) 財務方針

  当社グループは、中期経営計画に則り、持続的な業績成長のための成長基盤の構築や事業体質・競争力の強化に取り組み、資産効率を高めながら株主価値の継続的な向上に努めております。また、今後の成長のために必要な設備及び研究開発活動に投資するために、適切な資金確保を行い、最適な流動性を保持し、健全なバランスシートを維持することを財務方針としております。
 資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債発行、コマーシャル・ペーパー発行等、多様な手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指しております。
 資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持していると考えております。

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

  当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。