第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度(2017年1月1日から2017年12月31日まで)における当社グループを取り巻く世界経済は、全体としては引き続き緩やかな景気回復が続きました。日本においては、政府の経済政策等により、景気は緩やかな回復基調が継続しています。欧州の景気は引き続き緩やかに回復し、米国でも個人消費が増加するなど、景気回復が続いています。ロシアやブラジル、中国をはじめとする新興国においては、持ち直しの動きが見られました。

 このような環境の下、当社グループでは各事業の出荷数量増及び買収した企業を連結化したことにより、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比1,810億円(14.1%)増の14,635億円、営業利益は同234億円(24.3%)増の1,196億円、税引前利益は同469億円(69.4%)増の1,144億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期純利益は同218億円(45.9%)増の692億円となりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメントの業績の概要は以下のとおりであります。

① ガラス

 建築用ガラスは、欧州で前期に比べ販売価格が上昇し、また北米で出荷が堅調に推移したことなどから、前連結会計年度に比べ増収となりました。

 自動車用ガラスは、北米の自動車生産台数に減速感があるものの全体としては堅調に推移したことから、当社グループの出荷も増加し、前連結会計年度に比べ増収となりました。

 以上の結果から、当連結会計年度のガラスの売上高は前連結会計年度比551億円(8.1%)増の7,351億円となりました。営業利益は建築用ガラスの販売価格が欧州で上昇しましたが、原燃材料価格の上昇、物流費等の増加、及び前連結会計年度は米国子会社の年金制度改定益を計上したことにより、同48億円(15.0%)減の271億円となりました。

② 電子

 液晶用ガラス基板は、前連結会計年度に比べ販売価格は下落しましたが、出荷は増加しました。ディスプレイ用特殊ガラスの出荷および車載ディスプレイ用カバーガラスの出荷は前連結会計年度に比べ増加しました。電子部材の出荷はオプトエレクトロニクス用部材、半導体関連製品ともに前連結会計年度に比べ増加しました。

 以上の結果から、当連結会計年度の電子の売上高は前連結会計年度比43億円(1.6%)増の2,624億円、営業利益は同23億円(9.4%)増の273億円となりました。

③ 化学品

 クロールアルカリ・ウレタンは、買収したビニタイ社の連結化、東南アジアの需要拡大による出荷数量増、国際市況上昇等により、前連結会計年度に比べ増収となりました。フッ素・スペシャリティは、買収したCMCバイオロジックス社を連結化したこと、フッ素関連の既存製品でも出荷が堅調に推移したことにより前連結会計年度に比べ増収となりました。

 以上の結果から、当連結会計年度の化学品の売上高は前連結会計年度比1,210億円(38.2%)増の4,376億円、営業利益は同237億円(59.2%)増の637億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、子会社を取得したこと等により、61億円の支出(前連結会計年度は900億円の収入)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて、配当金の支払い、自己株式の取得等があり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より209億円(14.2%)減少し、1,264億円となりました。

①  営業活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比1億円(0.1%)減の2,035億円となりました。

②  投資活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における投資活動により使用された資金は、前連結会計年度比960億円(84.5%)増の2,096億円となりました。当該支出は、有形固定資産の取得による支出、子会社の取得による支出等があったことによるものであります。

③  財務活動によるキャッシュ・フロー

   当連結会計年度における財務活動により使用された資金は、前連結会計年度比277億円(59.7%)減の187億円となりました。当該支出は、配当金の支払い、自己株式の取得等があったことによるものであります。

 

(3) 並行開示情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しております。

 

(退職給付に係る費用)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に、一定の期間で純損益として償却しておりましたが、IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として即時認識し、過去勤務費用は純損益として即時認識しております。

 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価・販売費及び一般管理費が1,193百万円増加し、その他の包括利益が4,597百万円税効果前増加しております。

 

(のれんの償却停止)

 日本基準では、のれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行わず毎期減損テストを実施しております。

 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が4,167百万円減少しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

  当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、セグメント毎に生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2) 受注状況

 受注生産を行っている製品はほとんどありません。

(3) 販売実績

 販売実績については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2018年3月29日現在において判断したもの

    です。

 

(1)経営の基本方針

当社グループでは、グループの全ての事業活動、社会活動を貫く企業理念としてのグループビジョン“Look Beyond” を定めています。このグループビジョンにおいて、当社グループが世の中に提供すべき価値、グループの存在意義を示すものとして「私たちの使命」を掲げています。

 

〔私たちの使命〕

“AGC、いつも世界の大事な一部”

 ~独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えます~

 

 また、グループビジョン“Look Beyond” では、以下の通り、グループ全体で共有すべき最も重要な価値観およびグループメンバーが世代を超えて受け継ぎ、実践していく基本精神(スピリット)を掲げています。

 

〔私たちの価値観〕

  「イノベーション&オペレーショナル・エクセレンス(革新と卓越)」、

  「ダイバーシティ(多様性)」、「エンバイロンメント(環境)」、「インテグリティ(誠実)」

〔私たちのスピリット〕

  “易きになじまず難きにつく”

 

(2)中期経営計画 AGC plus-2020 について

当社グループは「2025年のありたい姿」とその実現のための長期経営戦略を以下の通り定めています。

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 2018年~2020年までの3か年を「2025年のありたい姿 実現のための礎を築く期間」と位置付け、今回策定した新中期経営計画 AGC plus-2020 の経営財務目標と主要課題、各事業の実施施策を以下の通り定めました。

 

(経営財務目標)

 

2017年度実績

2020年度目標

2025年度目標

営業利益

1,196億円

1,600億円以上

2,292億円以上

(過去最高益更新)

ROE

6.1%

8%以上

10%以上

戦略事業利益貢献比率

10%

25%以上

40%以上

D/E

0.38

0.5以下

0.5以下

(当社グループの主要課題)

 ■ 市況変動に強い高付加価値事業を伸ばす

 ■ 戦略事業の成長戦略を推進する

 ■ 成長地域・勝てる地域へ経営資源を集中する

 ■ 戦略的なM&Aにより持続的成長を図る

 

(各事業セグメントの施策)

事業セグメント

主な施策

ガラス

 

 

 

[ビル産業ガラス]

・成長地域、勝てる地域に集中

・スマートシティ化を見据えた高機能ガラス化の推進

[オートモーティブ]

・エコカー、自動運転化による高機能ニーズへの対応

 

電子

 

 

 

[液晶用ガラス]

・中国へのスムーズな生産シフト、大型化対応、更なるコストダウン

[エレクトロニクス]

・オプトエレクトロニクス用部材、半導体関連製品を中心に、業界のニーズを先取りし、差別化された製品を提供

 

化学品

 

 

 

[クロールアルカリ]

・M&A効果の最大化に加え、増設も視野に入れた東南アジアでの更なる事業成長

[フッ素]

・独自技術を生かしたグローバルニッチ市場の確実な取込

[ライフサイエンス]

・M&A効果の最大化によるグローバルな事業拡大

 

 

 更なる成長の実現のため、コア事業における安定的な収益基盤構築のための投資に加え、自動運転をはじめとする交通インフラの進化や、IoT/AI時代の本格的到来、長寿命化や世界人口の増加などのマクロ環境変化を機会と捉え、戦略事業に積極投資を行います。

 2018~2020年の投資(M&Aを含む)・株主還元の総額および事業別の投資内訳は以下の通りです。

 

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 積極的かつメリハリのある投資の実行を通じて、2020年には以下の事業別営業利益を目指します。

 

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(3)ESGへの取り組みについて

 当社グループは省エネ・創エネ製品の拡販や、地域社会への貢献、コーポレートガバナンス改革など、ESGに関わる取り組みを進めています。
 本年1月にはSDGs推進部を新設し、持続可能な社会の実現に向けて、社会課題の解決につながる取り組みに引き続き注力していきます。
 

 当社グループは、中期経営計画 AGC plus-2020 で掲げた戦略の実行と経営財務目標の達成を通じて、持続的成長を実現し、全てのステークホルダーに価値をプラスします。

 

 

 

 

 

4【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。但し、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2018年3月29日現在において判断したものです。

(1) 製品需要に関連する市場の経済状況
 当社グループの製品に対する需要は、建築・建材業界、自動車業界、電子・ディスプレイ業界、及び化学品業界等の市場動向の影響を受けます。また、当社グループの製品販売地域は、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、多岐にわたっており、各国・地域の経済状況は当社グループの製品の販売に影響を与えます。当社グループは、生産性の向上を図るとともに、固定費・変動費の削減を推進し、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを目指していますが、これらの関連業界の需要減少や販売地域での景気減退が、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外への事業展開
 当社グループでは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外活動を展開しています。この海外展開に関するリスクとして、海外における政治経済情勢の悪化、輸入・外資の規制、予期せぬ法令の改変、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争の発生が考えられます。これらの事象は、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競争優位性及び新技術・新製品の開発・事業化に係るリスク
 当社グループが展開する各事業においては、当社グループと同種の製品を供給する競合会社が存在します。当社グループでは、競争優位性を維持できるよう、顧客ニーズの把握、新技術・新製品の開発・事業化に努めていますが、技術や顧客ニーズの変化に適切に対応できなかった場合や、新技術・新製品の開発・事業化期間が長期化した場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材等の調達
 当社グループの生産活動では、一部調達先が限られる特殊な原料、資材等を使用するため、これらについての供給の逼迫や遅延等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5) 公的規制
 当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6) 環境規制
 当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス及び化学品事業を主に行っており、環境負荷の低減のための設備や管理体制の充実を図ることに加え、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上等、環境負荷の低減に取り組んでいます。一方、気候変動の緩和及び適応、持続可能な資源の利用、汚染の予防、化学物質の適正管理などの環境課題の広がりと共に規制や社会が求める環境責任が高まることにより、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製造物責任
 当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により大規模なリコール等に発展する品質問題が発生する可能性が皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8) 知的財産権
 当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権や事業状況の調査を行い問題の発生の防止を図っています。しかし、第三者から知的財産に関する訴訟等を提起されたり、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したりする可能性は皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9) 訴訟・法的手続

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟等の対象となるリスクがあり、現在、当事者となっている訴訟等もあります。これらの訴訟等において、当社グループにとって不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10) 自然災害・事故災害の影響
 当社グループは、組織的な労働安全衛生・保安防災管理体制の構築と運用及び設備の安全化や点検・保守管理により、労働災害及び生産設備等の事故防止に努めておりますが、それにもかかわらず、重大な労働災害や生産設備に対する災害(地震、停電又はその他の混乱を含む)が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 また、製品によっては、代替生産できないものもあり、大地震又はその他の災害により、当社グループのいずれかの設備における一時的又は長期にわたる生産の中断があった場合、特定製品に関する生産能力を著しく低下させる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11) 為替レートの変動
 当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産
を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
 また、当社グループは、日本をはじめとする世界各国の生産拠点で生産活動を行っており、その製品を複数の国に輸出しています。各国における生産及び販売では、外貨建で購入する原材料や販売する製品があります。したがって、為替レートの変動は、購入する原材料の価格や販売価格の設定に影響し、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を与えます。

(12) 退職給付債務
 当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率等の数理計算上の前提に基づいて計算されています。年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合等は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(13) 固定資産の価値下落
 当社グループが保有している固定資産について、時価下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14) 情報セキュリティ
 当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、システムやデータ等の情報資産の保護に努めていますが、それにもかかわらず、災害、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、不正アクセスその他不測の事態により、重要な業務の中断や機密データの漏洩などが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助契約等

契約会社名

相手方

契約の内容

契約期間

対価

旭硝子㈱

(当社)

アサヒマス板硝子

(インドネシア共和国、ジャカルタ市)

フロート板ガラス製造技術の提供

1993年1月1日より10年間(以降毎年1年ずつ更新)

頭金のほか、契約期間中、正味売上高に一定率を乗じた金額の支払いを受ける。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、経営方針AGC plus として“投資家の皆様に「企業価値」をプラスする”ことを掲げ、その実現のために売上の拡大と資産効率の向上を進めています。研究開発領域においても「2025年のありたい姿」の実現に向けて、ガラス、化学品、ディスプレイ、セラミックスといった「コア事業」における研究開発で安定的な収益の基盤づくりに貢献するとともに、モビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンスをターゲット領域とする「戦略事業」についての開発活動にも重点的に注力して、技術力の向上、売上高の拡大に努めてまいります。

 具体的には、携帯端末のカバーガラス等に用いられる化学強化用特殊ガラスの開発とディスプレイ以外(自動車内装や建築、照明等)への用途展開、地球温暖化への影響を大幅に抑制する空調機器向け新冷媒等の開発、ガラス・化学・セラミックス技術の融合による高付加価値商品(ディスプレイ関連部材や省エネ効果の高い自動車用調光ガラス等)の開発、フッ素・化学分野における医農薬原体の開発等、今後拡大が見込まれる分野での研究開発活動をより強化して進めております。

 こうした活動を推進するため、2016年1月に、コーポレートの研究開発活動の担い手である技術本部について、従来組織の抜本的な見直しを行いました。具体的には、革新的な基盤技術の創出と、最先端のIT技術や高度な解析技術等の共通基盤技術を担当する先端技術研究所、マーケット視点からの新商品の創出、商品技術課題の解決を推進する商品開発研究所、設備の投資執行と維持管理、生産技術の開発・課題解決・改良を実践する生産技術部を新設し、知的財産の調査・分析・出願・権利化・権利行使と知財戦略策定・推進を主たる業務とする知的財産部とあわせて再編しました(2018年1月に知的財産部は技術本部から独立)。この再編により、競争力のある革新的な基盤技術の開発に集中し、マーケット視点に立って多様性を融合した新商品開発を推進するとともに、プロセス技術、設備技術といった広義の生産技術を開発・設計段階から一体化させ、競争力のある本質・コストの実現を推進することにしています。また、各事業部には現行事業及びその周辺における新商品・新品種開発、生産技術改良、お客様への技術サービス等を担当する研究開発部署を設置しており、実際の活動においては、各組織が相互連携のもとに一体化することによって、効果的かつ効率的な研究開発活動を進めています。なお、2017年2月、これまで分散していた基盤技術開発、新商品開発、プロセス開発拠点を集約し新研究棟を建設することを決定し、新たな研究開発体制の構築により、研究開発スピードの大幅向上とオープンイノベーションの実現を図ります。新たな研究開発体制は2020年6月よりスタートする予定です。

 また当社では、必要に応じ、共同研究や委託研究、または国が行う大型プロジェクトへの参画等を活用することで、効率的な開発推進を図っております。例えば、2017年4月、東京大学工学系研究科の化学生命工学専攻全体と包括的共同研究を行う社会連携講座「フッ素および有機化学融合材料・生命科学講座」を開設しました。また、ユニークな産学連携システムとして、共同研究テーマを公募する「リサーチコラボレーション制度」も導入し、国内の大学・公的研究機関との共同研究を継続的に進めています。

 さらに北米、欧州及び東南アジアに駐在員を配置し、海外大学や研究機関等への積極的な情報収集活動を行うとともに、当社グループとのシナジーが期待できる技術を保有するベンチャー企業の探索を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は43,912百万円でした。当連結会計年度における各事業部門別の研究開発課題と研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

(1) コーポレート

 コーポレートが担当している研究開発には、技術プラットフォームの強化拡大を目指した長期的・基礎的な研究開発と、新規事業の創出を目指した研究開発があります。また上記の戦略に基づいた全社的研究開発体制の構築もコーポレートが策定・調整しております。コーポレートが担当しているテーマとしては、高度な解析技術等の共通基盤技術の開発、既存事業及び新事業に資する材料技術の開発等があります。

 当連結会計年度における、コーポレートの研究開発費は16,774百万円でした。

(2) ガラス

 当事業の研究開発部門では、板ガラスや自動車用ガラスに関する商品設計や新技術開発、生産技術開発を行っております。また、省エネ効果の高い建築用ガラスや自動車用ガラスに関する技術開発を行っております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,464百万円でした。

(3) 電子

 当事業の研究開発部門では、全ての薄型ディスプレイ商品に対応する表示デバイス用ガラスを提供している世界で唯一のガラスメーカーとしてお客様のご期待に沿うべく、ガラス溶解・成形・研磨・検査等の生産技術開発に注力しております。さらに、その他にも多岐にわたる研究開発テーマがあり、主に半導体製造装置用部材、ディスプレイ関連部材、光電子部材等に関する新商品・新技術・生産技術の開発を行っております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は9,575百万円でした。

(4) 化学品

 当事業の研究開発部門では、AGC plusが掲げる“世の中に「安心・安全・快適」をプラスする”素材・ソリューションを提供すべく、フッ素化学、高分子化学、無機化学、電気化学等の基盤技術を生かした新商品・新技術の開発を行っております。特に、環境に配慮した製品やプロセスの開発に注力している他、医農薬中間体・原体分野の開発も進めております。

 当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,278百万円でした。

 

(5) セラミックス・その他

 上記以外の事業部門における当連結会計年度の研究開発費は2,818百万円でした。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。

(2) 財政状態

① 資産

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度比2,471億円(12.5%)増の22,286億円となりました。これは主に、CMCバイオロジックス社、ビニタイ社の買収に伴うのれん、有形固定資産及び無形資産等の増加によるものであります。

② 負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度比1,260億円(15.5%)増の9,387億円となりました。これは主に、CMCバイオロジックス社、ビニタイ社を買収したことによるものであります。

③ 資本

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度比1,212億円(10.4%)増の12,899億円となりました。これは主に、当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したことに加え、ビニタイ社の買収に伴い非支配持分が増加したことによるものであります。

④ 資金の状況
 当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(3) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、各事業の出荷数量増および買収した企業を連結化したことにより、前連結会計年度比1,810億円(14.1%)増の14,635億円となりました。売上原価は、前連結会計年度比1,270億円(13.6%)増の10,606億円となりました。売上原価率については、前連結会計年度比0.3ポイント改善の72.5%となりました。当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比234億円(24.3%)増の1,196億円、営業利益率は前連結会計年度比で0.7ポイント改善の8.2%となりました。当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度比469億円(69.4%)増の1,144億円になりました。税引前利益率は前連結会計年度比で2.6ポイント改善の7.8%となりました。

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比で218億円(45.9%)増の692億円となりました。また、当連結会計年度の基本的1株当たり当期純利益は302.12円となりました。

なお、セグメント別の売上高及び営業利益の概況に関しましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しております。

(4) 財務方針

  当社グループは、中期経営計画に則り、持続的な業績成長のための成長基盤の構築や事業体質・競争力の強化に取り組み、資産効率を高めながら株主価値の継続的な向上に努めております。また、今後の成長のために必要な設備及び研究開発活動に投資するために、適切な資金確保を行い、最適な流動性を保持し、健全なバランスシートを維持することを財務方針としております。
 資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債発行、コマーシャル・ペーパー発行等、多様な手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指しております。
 資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持していると考えております。

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

  当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。