当社は2019年12月1日に創業200年を迎えるにあたり、新たな企業理念を制定しております。新たな企業理念では、次の100年に向けて、企業として更なる発展を続け当社グループのめざすべき姿を明確にしています。
<わたしたちの使命>
くらしに彩り、豊かさと安心をお届けします。
私たち石塚硝子はメーカーです。モノづくりを通じて社会に貢献することが私たちの存在意義です。ただし、私たちは単にモノを作って売っている訳ではありません。一つひとつの製品で、より良く、より便利に、より価値のある暮らしをつくり出したいという想いを込めてお客様に製品をお届けしています。当社で働くすべての社員がその想いを共有し、社会とその暮らしになくてはならない企業になりたいと考えています。
<わたしたちのビジョン>
価値あるモノづくりとともに、社会で輝くヒトを育て、未来へ向かうユメを築きます。
ユメには2つの意味を込めています。一つは、価値あるモノづくりを続け、企業として成長すること、もう一つは、一人ひとりが人生に生き甲斐をもち、それぞれの願いを叶えていくことです。また価値あるモノづくりには、人財育成を通じたヒトづくりが欠かせません。これらが重なりあうことでいつの時代にも求められる企業であり続けることができると考えています。
<わたしたちの約束>
「誠実」「挑戦」「成長」
「誠実」は、200年の歴史で培った当社のDNAであり、すべてのステークホルダーに向き合う基本姿勢です。「挑戦」は、常に改善や新たな物事への挑戦を積極的に行うこと、また挑戦による失敗を恐れない風土を大切にしたいという意思を示しています。「成長」は、企業の成長という意味だけではなく、一人ひとりが豊かな人生を過ごすために、公私ともに成長して欲しいという想いを込めました。この3つの約束を合言葉に、私たちは未来に向かって進んでいきます。
ISHIZUKA GROUP 2030 ~挑戦し続けることにより、躍動する企業へ~
2027年度中期経営計画「新たな領域への挑戦」
新型コロナウイルス感染症のパンデミックや米国の通商政策を発端とするグローバル経済への影響など外部環境が目まぐるしく変化する中、当社グループは「モノづくり」を通じて体質を強化し、多少の荒波が生じても難なく乗り越えられる経営基盤を確立するため、長期的な視点で会社の方向を示すISHIZUKA GROUP 2030を2022年4月に公表しております。今般、事業環境の変化を踏まえISHIZUKA GROUP 2030の見直しを行い、それに基づく2027年度を最終年度とする3か年の中期経営計画を新たに策定しました。
ISHIZUKA GROUP 2030
コンセプト :~挑戦し続けることにより、躍動する企業へ~
2027年度中期経営計画
コンセプト :「新たな領域への挑戦」
『2027年度中期経営計画の主な取り組み』
① 2030年度連結営業利益を継続的に50億円以上あげるため、以下の取り組みを進めて2027年度に連結営業利益50億円の達成をめざす
・既存事業の深化(強化)を図るとともに、周辺の関連事業の取り込みを図り、機能子会社を含めたグループ全体で採算性を重視した取り組みを推進
・新規事業についても積極的に経営資源を投入して、将来の柱となる事業を創り出す
② 中堅・若手社員に判断や決断、時には意思決定を伴うような経験を積むことも重要視し、積極的に実践させて経験値を上げていく。また、視座を上げて経営層視点を理解することで、将来の次世代幹部へと成長を促す。
③ 社会共通の目標であるCO2排出量削減に取り組むため、前中期経営計画で策定した全社最適ロードマップに基づきPDCAサイクルマネジメントを行い、2027年度CO2排出量Scope1+2 30%削減(2020年度対比)へ挑戦
④ ペーパーレス化の推進・アナログ作業からの脱却に向け、古い慣習からの脱却とデジタル化を進めて、ラクの追求により余力を生み出す。
(3) 経営環境、中期的な経営戦略、優先的に対処すべき事業上の課題
<ガラスびん関連事業>
国内のガラスびん市場は縮小傾向が続いており、2024年の出荷重量は前年比93.4%の結果となりました。また、原燃料価格の高止まりによるコスト上昇の傾向は続くものと予想されます。
このような事業環境下において、適正利益確保を継続できる組織への常態化に向け、ガラス食器事業との組織統合による相乗効果を最大限に発揮し生産性の向上を図るとともに、当連結会計年度に実施したガラス溶解炉更新時におけるCO2削減施策など環境社会への貢献に向けた取り組みを進めます。
<ハウスウェア関連事業>
ガラス食器の国内市場は人口の推移にあわせて縮小傾向にあり、将来を見据え新たな生産体制に移行しております。また、ガラスびん事業との組織統合を行い、更なる生産性向上をあげ、生産ロスの削減と販売機会の拡大をめざします。加えて、ガラス食器ブランド「アデリア」・「津軽びいどろ」の強みを活かした販売強化に取り組みます。
陶磁器は、需要が旺盛な海外のホテル・レストラン及びエアライン向けの販売拡大を進め、国内はグループ内での連携拡大を含めた物流の効率化を推し進めます。また、廃棄される卵殻を原料の一部に置き換えるなど、環境負荷低減への取り組みを進めます。
<紙容器関連事業>
円安進行等の影響により液体用紙容器の主原料である原紙の高止まりに加えて飲料原価の高騰も重なり、紙容器飲料市場は縮小の見込みです。
このような環境下においても安定した事業基盤を築くため、国産原紙の深化による国内市場の拡大と並行して海外市場への挑戦を行います。また、持続可能な社会の実現に向け、原紙軽量化など環境負荷の継続的低減の取り組みを進めます。
<プラスチック容器関連事業>
PETボトル清涼飲料水の国内市場は前年比100%の結果でしたが、猛暑の影響や訪日外国人の増加を踏まえると頭打ちの状況が見込まれます。
収益基盤の安定化と持続的な成長を遂げるため、東京・岩倉・姫路の3工場における生産体制の最適化を実現するとともに、DXを取り入れて計画・予防保全を強化し稼働率の向上を図ります。また、2024年度から生産を開始した姫路工場では、全ラインでリサイクル原料のみを使用することに加え、新たな生産方式であるフレークtoプリフォームを確立しました。これらの取り組みによりCO2排出量削減と付加価値をあげるとともに、清涼飲料水及び非清涼飲料水向けの販売のすそ野拡大をめざします。
<産業器材関連事業>
調理器用トッププレート事業は、市場は住宅着工件数の減少や物価上昇による消費者の買い控えなど厳しい環境下にあります。
保有技術の精査・競合他社と差別化する開発テーマの見極めと具現化を行い、DX拡大による生産・工程管理・設備予防保存の環境整備の推進し、安定した収益確保をめざします。
<その他事業>
抗菌剤市場は、コロナ禍では全世界で需要が拡大した一方、特需反動により販売が大きく落ち込みましたが、現在はコロナ禍前の出荷水準に戻りつつあります。市場動向の把握及び市場ニーズに基づいた新規剤の開発を進め販売の最大化を狙います。
新事業分野では、口臭ケアはみがき「デオグラオーラテック」は全国ドラッグストアチェーンでの取り扱い店舗数が大きく拡大し、更に認知度をあげるための施策を効果的に行っていきます。また、未来を見据えた研究開発・新事業の進化と創出の取り組みを継続して進めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
企業の永続的な存続は、社会に対する貢献・社会の持続的な発展とともにあるという考えのもと、創業200年を超える歴史のなかで受け継がれ培われてきた信頼とともに、企業としてさらなる発展を続け、企業価値の向上と社会に貢献できる企業を目指します。
取り組みの詳細につきましては、当社サステナビリティレポートをご覧ください。
(
2022年に公表した長期ビジョン「ISHIZUKA GROUP 2030」(2025年に一部アップデートを実施)では、「環境と調和した持続可能な未来社会への貢献」を目標として掲げています。エネルギー多消費産業の当社グループにとって、CO2排出量削減は取り組むべき重要な課題です。このため、2022年度に脱炭素ワーキンググループを設置し、2023年6月に取得したSBT認定のCO2排出量削減目標達成に向けた取り組みを進めています。



(注)2024年度CO2排出量削減実績に関する詳細な情報については、2025年10月頃に当社WEBサイト(
(4) 戦略
①CO2排出量削減の取り組み
2023年度(2024年3月期)のCO2削減実績は、ガラス事業の生産工程の統廃合と合理化によるエネルギー削減が奏功し、Scope1+2排出量は大幅削減(基準年度比27%減)となりましたが、Scope3排出量は売上増に連動して原材料調達などのカテゴリで排出量が基準年比で増加しました。
CO2排出量削減の取り組みとしては、2025年3月期から稼働を開始したPETボトル用プリフォーム姫路新工場では、ソーラー発電を導入しています。更に最新の成形技術を用いたリサイクルPET100%のプリフォーム生産を行うことで、Scope3排出量の抑制が期待できます。2025年3月期以降に予定している生産設備の定期補修に合わせて更なる省エネを図るとともに、その他にグループを挙げてCO2フリー電力の利用拡大を検討項目に掲げるなど、CO2削減ロードマップの施策をブラッシュアップして削減目標の達成に邁進していきます。

②人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
長期ビジョン「ISHIZUKA GROUP 2030」では、重点ポイントの一つに「ISHIZUKA GROUPを支えるヒトづくり」を掲げています。組織横断的なプロジェクトで課題を解決するCFP(Cross Functional Project)をさらに発展させる形で未来挑戦部を設置。今後、事業部間のシナジーを活かせる組織づくりと、長期的な視点で当社グループをけん引できる人財の育成にも取り組んでいきます。

・人財の育成に関する方針
当社グループは、従業員一人ひとりが能力を発揮し、やりがいを持って業務に取り組めるよう、階層や職位、能力の発展段階に合わせた教育訓練体系を策定しています。また、次世代を担う人財を育成強化するため、若手・中堅社員には経営的視点を養う研修をスタートさせました。個人の成長、ひいては組織の成長につながる人財育成を推進していきます。
・社内環境整備に関する方針
当社は、女性の活躍を推進するため、2021年4月から2026年3月までの行動計画を策定しております。総合職の女性を中心にヒアリングを実施し、ヒアリング結果をもとに女性活躍推進に関わる諸制度の実施検討をしていきます。

・人権に関する方針
当社グループは、人権を尊重し、その責任を果たしていく上での指針として、2024年5月に「石塚硝子グループ人権方針」を制定しました。国内外に展開する事業活動のなかで影響を受けるすべての人の人権が守られなければならないことをよく理解し、その責務を果たしていくように努めます。
従業員に対しては社内報で人権方針を周知しました。今後、本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実施されるよう、適切な教育・研修を行っていきます。
当社グループにおける、サステナビリティ関連事項を含めた経営上の損失リスクの把握と管理を行い、適切な対応とリスク管理の実効性を確保するため、代表取締役社長を委員長としたリスク管理委員会を設置し、リスクの未然防止、ならびに顕在化したリスクの対応を図っています。リスク管理委員会は、3か月に1回、代表取締役社長をはじめとする取締役、監査役、連結子会社社長など、主要メンバー(約20名)により、グループ内で共有すべきリスクについての報告などを行っています。
リスク管理体制の概要については、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ガラスびん事業は、消費者ニーズの変化や他素材容器との競合等により業界全体として需要が減少し出荷量は漸減傾向にあり、業界の2024年出荷重量は前年対比93.4%と減少しました。今後想定を大幅に上回る需要変化が起きた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが製造工程で使用しているLNG及び電力などのエネルギーコストやPETボトル用プリフォーム等の主要原料は、原油価格又は為替相場の変動による影響を受けます。原材料につきましては、為替予約等により相場変動によるリスクヘッジを行っていますが、想定を超える価格変動等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 製品の品質について
当社グループは厳格な品質管理のもと製品の出荷を行っております。個々の取引先との規格に従い、全数検査を実施しております。万一賠償問題につながるクレームが発生した場合の対応策として、製品製造物責任による損害賠償に備えるPL保険に加入しておりますが、同保険が賠償額をすべてカバーできる保証はなく、また、当社グループへの信用問題へと発展する可能性もあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは多数の取引先と掛売り取引を行っております。当社グループは信用情報の収集、与信限度額の定期的な見直し等を行い、信用リスクの回避に努めておりますが、経営環境が著しく悪化した場合等、倒産のような予期せぬ事態により債権回収に問題が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産活動が中断しないようすべての生産設備に対して定期的な防災点検及び設備保守を行っておりますが、当社グループの生産拠点である岩倉・東京・姫路・福崎工場等に大規模な地震等の災害が発生し、生産設備に大きな損害が出るなど操業停止した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが調達を行う企業が大規模な地震等に被災し、生産設備に大きな損害が出るなど操業が停止し、調達が不可能となった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは主に国内において飲料容器を製造販売しておりますが、需要期の天候が業績に影響を及ぼします。特に冷夏や長梅雨などの天候不順に陥った場合には清涼飲料水等の需要が減少するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主に確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けております。退職給付債務の将来予測に基づき定期的に年金資産の運用方針等の見直しを行っておりますが、退職給付債務を計算する上での割引率等の計算基礎の変更や年金資産の時価が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様や取引先の株式を保有することで中長期的な関係維持、取引拡大が可能となり、結果として当社グループの企業価値を高め、株主・投資家の皆様の利益につながると考える場合においてその株式を長期保有目的で所有しております。個別の保有株式の合理性については、毎年、取締役会において、取引関係の維持発展、当社企業価値向上への寄与度、投資効率等を勘案して判断しておりますが、証券市場における市況の悪化や投資先の業績不振により時価等が著しく下落した場合には、減損損失の計上により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 環境問題への対応について
世界共通の長期目標として温室効果ガス排出量削減の取り組みが求められています。ISHIZUKA GROUP 2030の重点ポイントの一つとして、2030年度CO2排出量をScope1+2にいて50%削減・Scope3において25%削減(ともに2020年度対比)を掲げ、2027年度中期経営計画ではScope1+2 30%削減(2020年度対比)に向けた取り組みを進めてまいります。具体的な取り組み内容については、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(4) 戦略をご参照ください。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や好調なインバウンド消費など経済活動に持ち直しの動きがみられ緩やかな回復基調で推移しました。一方、米国を発端とする通商政策に伴う世界経済の下振れリスクなど依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、長期的な視点で会社の方向を示すべきと考え、2019年に制定した新たな企業理念を踏まえ、「ISHIZUKA GROUP 2030~挑戦し続けることにより、躍動する企業へ~」を策定しております。また、これに基づき策定した当期を最終年度とする2024年度中期経営計画「変化するスピードに負けない」では、①2024年度連結営業利益3,500百万円、②中堅・若手人財の育成への取り組み、③2030年度CO2排出量をScope1+2において50%削減・Scope3において25%削減(ともに2020年度対比)に向けたロードマップ作りとその実践に取り組みました。
業績につきましては、売上高はガラスびん関連事業、ハウスウェア関連事業及びプラスチック容器関連事業が減収となり、売上高は55,994百万円(前期比3.3%減)となりました。利益につきましては、売上高の減収に加えて、プラスチック容器関連事業新工場の立ち上げ費用が先行して発生したこと、ガラスびん関連事業の溶解炉定期更新に伴う生産停止の影響などにより、営業利益3,849百万円(前期比29.5%減)、経常利益3,713百万円(前期比30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,088百万円(前期比34.4%減)となりましたが、2024年度連結営業利益3,500百万円の目標を達成することができました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
<ガラスびん関連事業>
ガラスびんは、諸資材価格の高騰に対する販売価格改定の取り組みを進めましたが、姫路工場の操業停止に伴い出荷総量が減少したことなどにより、売上高は11,453百万円(前期比7.3%減)となりました。
<ハウスウェア関連事業>
ガラス食器は、一般市場向けの販売が落ち込みましたが、企業向けの景品受注が好調であったことにより、全体としては前期並みとなりました。陶磁器は、海外の昨年までのアフターコロナ特需が落ち着き、セグメント全体の売上高は13,273百万円(前期比4.0%減)となりました。
<紙容器関連事業>
紙容器は、主要ユーザーからの受注数量が落ち込んだことや充填機販売がありませんでしたが、拡販活動に加えて更なる円安進行や原紙調達コスト高騰に対する販売価格改定の取り組みにより、売上高は8,569百万円(前期比0.4%増)となりました。
<プラスチック容器関連事業>
PETボトル用プリフォームは、新たに建設した姫路工場からの販売も加わり主要ユーザーからの受注が堅調に推移しましたが、費用の減少に連動した販売単価の見直しにより、売上高は14,636百万円(前期比4.2%減)となりました。
<産業器材関連事業>
産業器材は、原材料価格の高騰に伴う価格改定等により、売上高は2,774百万円(前期比4.1%増)となりました。
<その他事業>
抗菌剤は、コロナ禍前の出荷水準に戻りつつあることや原材料価格の高騰に伴う価格改定などにより、セグメント全体の売上高は5,287百万円(前期比1.2%増)となりました。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
② 仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) ハウスウェア関連のうち、直需専用品等は受注生産を行っておりますが、一般品等は見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 翌連結会計年度の目標とする経営指標
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2) 中長期的な経営戦略及び目標とする経営指標に記載のとおり、2027年度(2028年3月期)の連結営業利益5,000百万円を目標として積極的な取り組みを進めてまいります。2026年3月期の連結経営成績につきましては、売上高60,000百万円(前期比7.2%増)、営業利益3,800百万円(前期比1.3%減)、経常利益3,500百万円(前期比5.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,350百万円(前期比23.9%減)を見込んでおります。2026年3月期は、売上高につきましては、ハウスウェア関連事業やその他事業の抗菌剤等の海外市場に一部陰りが見られますが、前期に稼働を開始したプラスチック容器関連事業のPETボトル用プリフォーム新工場の出荷増を見込むほか、その他事業のパウチ飲料充填事業の操業開始効果により増収を計画しております。営業利益につきましては、増収効果に加えてガラスびん事業の溶解炉定期更新工事完了による生産増を見込みますが、人件費や諸資材価格の上昇影響もあり前期並みの営業利益を見込んでおります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて8,302百万円増加し、100,417百万円となりました。これは主に、有形固定資産、その他(未収金)並びに現金及び預金が増加したことによるものです。また、負債合計は5,320百万円増加し、65,085百万円となりました。これは主に、長期未払金が増加したことによるものです。
純資産合計は2,982百万円増加し、35,332百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。これらの結果、自己資本比率は33.8%(前連結会計年度末は33.6%)となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,092百万円増加し、4,871百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、7,169百万円(前年同期は5,704百万円の資金増加)となりました。資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費によるものです。
一方、資金減少の主な要因は、法人税等の支払額及び未収入金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、8,561百万円(前年同期は8,504百万円の資金減少)となりました。資金減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、2,377百万円(前年同期は463百万円の資金増加)となりました。資金増加の主な要因はセール・アンド・割賦バックによる収入及び長期借入による収入によるものです。
一方、資金減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出及び長期未払金の返済による支出によるものです。
また、金融機関と総額2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、資金の流動性を確保しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原燃料や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。必要な手元資金を確保しつつ、突発的な資金手当てにつきましては、短期資金調達枠の利用により機動的に対応することで流動性リスクに備えています。
また、今後の事業戦略に必要な設備投資やM&A等の資金需要につきましては、必要に応じて資金調達を行ってまいります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当社グループの研究開発活動は、主として有価証券報告書提出会社である石塚硝子(株)で行っております。なお、ハウスウェア関連の陶磁器分野及び産業器材関連では鳴海製陶(株)、並びにプラスチック容器関連では日本パリソン(株)においても研究開発活動を実施しております。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
ガラスびん関連
ガラスびん分野においては、意匠性の高い製品に挑戦するため、商品開発技術プロジェクトを発足しました。技術・技能の向上と生産ノウハウの蓄積により、商品化に挑戦しております。加えて、当連結会計年度に実施した溶解炉の定期更新時において、1ラインマルチ生産対応の検査ラインの工事を行い、完成したラインで生産を行ないました。これにより、複数の製品を同時に検査することが可能となり、品質管理の効率が大幅に向上しました。引き続き、意匠性の高い製品やマルチ生産に挑戦していきます。また、金型塗油ロボットの安定稼働にも取り組んでいます。このロボットの導入により、金型の塗油作業が自動化され、作業効率が向上しました。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
ハウスウェア関連
ガラス食器分野においては、品質向上を目的として、検査機を中心とした品質管理工程の改善及び開発に取り組みを継続的に実施しております。また、着色製品の生産範囲拡大と品質向上に向けた設備開発も実施しています。二次加工工程においては、化学強化加工の品質及び生産能力向上に向けた開発を進めています。
陶磁器分野では、2023年に引き続き県内の大学と複数の共同研究を実施し、主力ボーンチャイナ原料の安定供給、リサイクル原料の有効利用の研究開発、食器の使い心地の良さの研究を実施しています。また、2022年度から研究していた卵殻の有効利用の取組みは二つの進展があり、一つはボーンチャイナ原料として量産化段階に進み、もう一つは卵殻由来の水酸化カルシウム粉体の販売に繋がりました。今後も卵殻を中心とした新たな商材の開発を進めます。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
紙容器関連
紙容器分野においては、生産効率及び品質の向上を目的とした取り組みと多様なニーズに対応すべく研究開発を行っています。当連結会計年度での活動として既存紙容器加工については、品質向上に向け設備の更新と分析レベル向上及び対応力強化を図るため、新規設備も導入し更なる加工の追求を進めております。原材料についても、顧客ニーズに応えられる原紙開発継続と品質向上に取り組み国内原紙への切り替えを加速させ、お客様との信頼関係の更なる構築を目指しております。また、環境に配慮した容器開発と紙容器のリサイクルにおける理想的な循環型社会への実現に向けた活動を進めてまいります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
プラスチック容器関連
プラスチック容器分野においては、環境変化への適応と多様なニーズに応えるべく、R&Dセンターで各種の研究開発を行っております。当連結会計年度においては、CO2排出量削減につながる取り組みとして、PET容器の軽量化の検討を行いました。あわせて、顧客ニーズに対応すべく使用性向上、高機能化や意匠性向上などを目的とした容器開発を進めました。更に、製品品質向上に関わる技術的支援に取り組むとともに、新技術を導入した生産ラインの立ち上げを実施いたしました。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
産業器材関連
産業器材分野においては、調理器用トッププレートや遠赤ヒーターパネル生産で、検査機を中心とした品質管理工程の改善及び顧客ニーズに応えられる材料開発の取り組みを継続的に実施しております。当連結会計年度においては、品質安定化や生産効率の向上、新たな材料開発にも取り組み、モデルチェンジ機種の継続受注や派生機種の追加受注をしております。また、製造では合理化による原価アップ抑制を促進し、ガラス加工や印刷工程での生産効率向上を目的とした設備導入にも取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
その他
「有機無機ハイブリッドガラス」については、LED封止剤やセラミックコート剤としての用途開発を継続すると共に、「低融点ガラス」の開発を進め、展示会出展などによる積極的な用途探索を実施しました。
「抗菌剤・抗ウイルス剤」については、樹脂成型品市場/繊維市場への販路開拓を継続する一方で、原料高騰に伴う価格改定による市場競争力の低下に配慮し、廉価剤の組成開発も実施しました。「消臭剤DEOGLA」については、オーラル製品として開発・上市した“口臭ケアはみがき”においてホワイトニング機能商品の展開を図りユーザー層を拡大しました。また、新たな事業創出を目指して、次世代ビジネス開発プロジェクトも全社的に推進しました。
当連結会計年度に支出した研究開発費は、
当連結会計年度に当社グループが支出した研究開発費は、合計で