当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは基本理念として「事業は人なり」「商いの基は品質にあり」「革新なくして未来なし」を掲げております。そして基本理念、存在意義「人と技術の力で、豊かな社会と快適な生活をつくりだす」、コーポレート・メッセージ「Heart & Technology」からなる山村グループの基本哲学(フィロソフィ)を定めております。さらに「ずっと未来も、山村グループに関わる全ての人や社会の役に立ち、必要とされ続けるグループでありたい」との思いを込め、「100年先も必要とされる会社」をグループ経営ビジョンとしております。
(2)目標とする経営指標
目標とする経営指標としては、2024年5月15日付「『2024年3月期-2026年3月期 中期経営計画の積極的見直しおよび資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の策定について」にて開示のとおり、2026年3月期においてROE5.0%以上、中長期的にはROE8.0%以上を目標とし、さらなる収益性強化や資本効率の向上を図ってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
近年、外部環境の変化が加速している中で、グループ経営ビジョンである「100年先も必要とされる会社」を実現するために、足元では「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとする3ヵ年の中期経営計画を策定しております。中期経営計画では以下の5つの経営方針を推進してまいります。
(ⅰ)財務基盤の整備
現在進めている不採算事業からの撤退や不採算製品の整理を着実に進める。資産の有効活用を意識した取り組みにより徹底的に足元固めをする。
(ⅱ)既存事業を強化する仕組みづくり
環境変化の大きい中でも既存事業で収益を確保できる仕組みづくりを行う。
(ⅲ)新しい事業を構築する準備
長期的に成長し続けられるよう、新しい取り組みへの議論を進め、あらゆる観点から準備を行う。
(ⅳ)循環型社会の実現に向けた開発
自社の環境対応にとどまらず、事業化も強く意識し、異業種連携などによって循環型社会や脱炭素社会に向けた開発を加速させる。
(ⅴ)従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり
グループの「基本哲学」を理解し、関わる全ての人や社会から必要とされ続けることを私たちの誇りとしたい。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営方針に基づき、次のとおり課題達成に向けて努力してまいります。
①ガラスびん関連事業
国内ガラスびん市場は、少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。さらに原燃料高騰の影響によるコスト上昇は今後も厳しい状況が続くものと予測されます。ガラスびん関連事業は品質確保や安定供給のために実施する溶解窯の更新が必要であり、更新後の減価償却費の増加や、物流の2024年問題による費用増加が見込まれます。このような状況において、山村グループの主力事業としてグループ内の連携を強化しながら収益体質の確立に取り組んでまいります。そのため、変動する需給バランスに対応した最適な製造販売体制を構築してまいります。また、生産支援システムや省人化設備の導入拡大等により人材不足対策に取り組んでまいります。開発分野に関しましては、多様化する市場と環境面のニーズに応えるため、高付加価値品の開発や脱炭素社会に向けた技術開発に取り組んでまいります。
②プラスチック容器関連事業
国内のプラスチックキャップ事業では、今後より一層市場と顧客の動向を注視し、スピーディで効率のよい生産体制を構築してまいります。プラスチック環境問題に対しては環境に配慮したキャップ開発およびキャップの水平リサイクル体制の構築に取り組んでまいります。また、医療・介護向け製品は更なる開発と事業基盤づくりに取り組んでまいります。原料および各種資材の供給不足や価格高騰による製造コストの上昇や物流の2024年問題による物流コストの上昇が予想されますが、様々な取り組みにより安定調達やコスト削減を図り、販売価格の改定も含めて収益力の強化に取り組んでまいります。海外においては、子会社や提携先との連携によりアジアでの販売強化を目指してまいります。
③物流関連事業
物流関連事業では、幅広い事業範囲で蓄積したノウハウを活かしながら、既存事業拡大と新規顧客の獲得に取り組んでまいります。また、今後の事業拡大や物流の2024年問題による人材不足が懸念される中、積極的な採用活動と人材育成に努めてまいります。さらに、グループ内の相乗効果による新規業務の受託を図り、不採算営業所の収益改善や作業・配送の効率化等の取り組みによりコスト低減に努め、利益体質の確立を進めてまいります。
④ニューガラス関連事業
ニューガラス関連事業では、世界情勢や市場の変動の激しい中、当社の主力分野であるエレクトロニクス関連およびエネルギー関連において営業活動強化や生産技術開発に取り組み、グローバルに事業の拡大を目指してまいります。国内子会社においては、高速通信・半導体・センサーおよび映像用製品の販売拡大や新製品開発により事業を拡大し、生産ラインの再構築による生産効率化に努めてまいります。
・海外事業におきましては、経済成長が見込まれるアジア地域を中心に、当社の関係会社等を通じ業容の拡大を進めてまいります。
・研究開発センターにおきましては、植物事業に関連する機能性野菜の品種増に向けた取り組みや、栽培条件の改善や効率化等の研究開発を継続し、植物事業の拡大のために活動してまいります。また、植物工場事業を行うための合弁会社である山村JR貨物きらベジステーション株式会社は、2023年4月より事業を開始し、生産量を徐々に増加させております。
植物事業以外の新規技術開発としては、産官学連携等を活用した技術開発を進めております。新たな収益源となるよう製品化を目指し、新規事業を早期に立ち上げできるように取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する基本方針およびこれまでの取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループは2023年6月にサステナビリティ基本方針を次のとおり定めました。
当社グループは、基本哲学(フィロソフィ)に基づき、100年以上の歴史を礎に「環境」「社会」「ガバナンス」に関する社会的課題の解決に適切に対応し、「持続可能社会の実現」と「持続的な企業価値向上」を追求してまいります。
(2)ガバナンス及びリスク管理
当社は、社長執行役員を委員長とするグループサステナビリティ戦略委員会を原則月1回開催し、サステナビリティ全般に関するリスクと機会について監視・管理するとともに、関係部門やグループ会社と連携の上、各種取組みを推進しております。また、重要事項について必要に応じて取締役会や経営会議へ報告した上で、全社的な経営戦略への統合を図っております。
なお、以下のとおり、個別の体制も設けた上で監督・統制に努めております。
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体制 |
実施頻度 |
実施内容 |
責任者 |
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環境委員会 |
1~4回/年 |
環境目標、著しい環境側面登録簿、環境マネジメントプログラムの進捗等の審議、法の順守状況を評価し、委員長によるマネジメントレビューを行っております。 |
環境部門管掌役員 |
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人権啓発推進委員会 |
1回/年 |
各部門・グループ各社から人権啓発活動の報告を受け、取り組み状況を確認しております。 |
社長執行役員 |
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情報セキュリティ委員会 |
1回/年 |
情報セキュリティに関する活動報告を行い、委員長によるレビューを行っております。 |
コーポレート本部管掌役員 |
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内部監査 |
1~2回/年 |
不祥事リスクに関する各部署のリスクマネジメントの実施状況を確認しております。確認した結果を取締役会に報告しております。 |
CSR推進室長 |
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内部通報制度 |
4回/年 |
組織的・個人的行為にかかわらず、不正・違法・反倫理行為を速やかに認識し、危機を回避することを目的に当該制度を設けております。当該制度の運用にあたっては『内部通報制度に関する規程』を設け、通報者に対し、通報などを理由にした不利益な取扱いは行わないことを明確に定めております。社内受付窓口管理者は定期的に取締役会にその運用状況を報告しております。 |
CSR推進室長 (社内受付窓口管理者) |
(3)環境
廃棄物問題と気候変動問題に代表される地球規模での環境問題に対する社会の関心は引き続き高い状態が続いており、「循環型社会の実現」と「脱炭素社会の実現」に向けて様々な動きが開始されております。
当社は創業以来「循環型社会の実現に貢献する」という精神を重視しながら事業を進めてまいりましたが、環境活動の効果を更に高めるために、持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標と169のターゲットを意識した活動を取り入れました。具体的には、「省エネルギー・省資源の推進」「環境負荷の低減の推進」「地球温暖化対策・CO₂排出量低減の推進」「持続可能な社会実現への3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動の推進」「廃棄物の減量化及び再資源化の推進」「環境改善に寄与する製品開発の推進」「環境に配慮した製造設備、機器の開発」「地球環境活動への参加」に取り組み、その結果は環境部門管掌役員を委員長とする全社環境委員会で確認をしております。また、特に喫緊の課題である気候変動対策については、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標を策定しSBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得いたしました。当社グループとしてScope1+2を2019年度基準に対し2030年度には46.2%削減すること、およびScope3も同様に27.5%削減することを目指しており、直近の実績は、2023年度のScope1+2:261,381t-CO2eで目標達成率95.2%、Scope3:298,251t-CO2eで目標達成率は82.4%です。
(温室効果ガス排出量削減の主な取り組みや進捗状況の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.yamamura.co.jp/csr/environment_data.html)
当社は環境マネジメントシステムの運用により、環境関連法規および社会的約束の順守、継続的な改善に取り組んでまいりました。今後も持続可能な社会の実現のため、地域および環境との調和を重要な経営課題と認識し、社会からの期待や要請を捉え、地球環境負荷の低減に、より一層貢献してまいります。
(4)コンプライアンス
当社グループでは、「企業活動に関する基本指針」においてコンプライアンスに関する指針を定めており、それらの周知を図るとともに、実践を求めております。
また、当社グループではコンプライアンスに関する教育を適宜実施するとともに、内部監査部門が各部署に対して内部監査を実施し、各部署のコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し、その結果を取締役会に報告しております。
組織的・個人的行為にかかわらず、コンプライアンスに関する違反行為を速やかに認識し、危機を回避することを目的に内部通報制度を設けております。当社グループおよび協力会社の役職員が利用可能で、社内受付窓口と社外受付窓口(顧問法律事務所)を設置し、通報は専用Webサイトへの投稿、メール、投書、専用の電話などにより受付けております。制度の運用にあたっては規程を設け、通報者が通報によって不利益を被ることがないことを明記し、制度を安心して利用できるように配慮しております。
(「企業活動に関する基本指針」の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.yamamura.co.jp/company/philosophy.html)
(5)人権
当社グループの基本理念は人権を尊重することを根底にしております。当社グループは、今後もグローバル社会とともに発展していくにあたり、自らの事業活動が、人権尊重を前提に成り立っているものでなければならないと認識しております。取り組みにあたっては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を始めとした国際的な人権規範を支持し尊重しております。その上で「企業活動に関する基本指針」や「山村グループ人権方針」を定め、それらの周知を図っております。
当社では「人権啓発推進委員会」を定期的に開催し、各部門・グループ各社から人権啓発活動の報告を受け、取り組み状況を確認しております。また、人権に関する研修や、イントラネットを利用して情報発信を実施することなどにより、人権尊重の啓発に努めております。
当社では内部通報制度を設けており、社内受付窓口では人権に関する相談も受付けております。また各事業所にはハラスメント相談員を配置し、相談や苦情に対応しております。内部通報やハラスメント相談への対応方法を規程に定め、通報者や相談者が申し出によって不利益を被ることがないことを明記し、制度を安心して利用できるように配慮しております。
(「山村グループ人権方針」の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.yamamura.co.jp/csr/human_rights.html)
(6)人的資本
当社グループでは、基本理念に「事業は人なり」を掲げており、「人間を尊重し、明るい経営を実現する」との思いを込めております。
この思いは、「社員にとって会社が生きがいのある仕事の場となるような経営を目指し、そのために社員全員が仕事を通じて切磋琢磨し、努力が正しく報いられる会社をつくりあげること」を意味しております。
これらの考え方に基づき、社員一人ひとりが個性と能力を発揮できる、働きがいのある職場づくりを目指しております。具体的には、当社では研修教育基本方針を定め、年齢や等級別に実施する階層別研修のほか、選抜型研修や自己啓発支援などを行っております。さらに、主体的なキャリア開発や成長につながる機会・場を提供するため、自らが異動希望先を申告できる「オープンチャレンジ制度」や社員一人ひとりのキャリア志向を重視した「職群転換制度」を設けております。なお、今後重点的に取り組むべき人材育成方針に関する指標については、現在議論しております。
また、社内環境整備方針として、全社員が個性と能力を十分に発揮し、仕事と家庭の両立ができることを目指しております。具体的には、ダイバーシティを推進するため、ワークライフバランスの支援として、在宅勤務制度やコアタイムのないスーパーフレックス制度、法令を上回る3歳までの育児休業制度等を導入しております。さらに、社員一人ひとりのこころと身体の健康増進、および安全で安心できる職場環境の維持・拡大に努めております。法令に定める定期健康診断はもちろんのこと、生活習慣病や禁煙セミナーおよびメンタルヘルスセミナーの継続開催、安全衛生委員会を中心とした安全衛生推進活動に注力しております。
なお、当社における一般事業主行動計画およびその達成状況は以下のとおりです。
一般事業主行動計画(
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指標 |
目標 |
実績 |
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2022年度 |
2023年度 |
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9.9% |
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68.1% |
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未就学の子供を持つ男性社員の 月1人当たりの所定外労働時間 |
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12.8時間 |
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(注)本項目については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体で記載して
おります。
なお、人的資本に関する指標は、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)ガラスびん関連事業の計画について
ガラスびん関連事業の計画について、国内ガラスびん業界の年間出荷量は前期比94.7%と減少し、引き続き少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。当社グループ(当社および連結子会社)では、この傾向が続くものと想定して事業計画を組んでおりますが、想定を上回って進行した場合、販売量が変動する可能性があります。
(2)プラスチック容器関連事業の計画について
プラスチックキャップについては、天候、気温により販売量が大きく変動する可能性があります。
また、新規開発製品の販売や新たな顧客への販売には、ライン適性テスト等の顧客評価に合格することが条件となっており、その評価の進捗状況によっては、販売開始時期や販売量が変動する可能性があります。昨今は世界的に海洋プラスチック問題が取り上げられており、今後の状況によっては販売量が変動する可能性があります。
(3)物流関連事業の計画について
物流関連事業は、構内作業、配送の業務請負を行っておりますが、売上高の約7割が少数の大口顧客との取引によるものであり、大口顧客との契約を喪失した場合、売上高に大きく影響する可能性があります。さらには、人手不足による人材確保のための採用経費等、労務費の高騰が利益圧迫の要因になる可能性があります。
(4)ニューガラス関連事業の計画について
ニューガラス関連事業の主要な顧客であるエレクトロニクス、エネルギー、自動車および光通信業界はグローバルなビジネスを展開しており、その技術革新のスピードは非常に速く、しかも常に低価格化対応を要求されております。当社グループでは顧客のニーズを満たす製品の迅速な開発と安定的な供給に努めておりますが、市場や顧客の製品出荷動向や低価格化により、販売量が大きく変動する可能性があります。
また、今後さらなる技術革新により一層の伸長が期待できる業界であるため、競合他社に加え新規事業者の参入意欲も旺盛であり、将来顧客が当社グループから調達先を他社に切替える可能性があります。
(5)海外での事業展開について
海外事業におきましては、東南アジア、中国、欧米諸国などの海外市場での事業を展開してまいります。これらの投資損益や持分の投資評価額、海外企業との商取引については、為替変動による影響を受ける状況にあります。このため一部取引では為替予約などのリスクヘッジを行っておりますが、為替リスクを完全に回避することは困難です。よって為替相場が急激に変動すると、当社グループの経営成績および財政状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、海外諸地域、特に投資先諸国および取引先諸国の政治情勢や各種規制の動向、新たな法令の制定等は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原油価格について
天然ガスや重油などのガラス溶融の燃料や、プラスチックキャップの主原料は、原油価格の動向と為替変動の影響により、仕入価格が大きく変動する可能性があります。また、原油価格の動向により物流関連事業において車両の燃料費が大きく変動する可能性があります。
事業計画においては、各種情報に基づき推測しうる範囲の価格設定をしておりますが、想定を超える価格変動が生じた場合、業績見込みが大きく変動する可能性があります。
(7)情報セキュリティについて
当社では、ITシステムを活用することで円滑な業務を行い、更なる業務の効率化を進めております。しかし、万が一、災害および日々巧妙化するサイバー攻撃等によりITシステムが長期間にわたり安定稼働できない場合、当社業務が著しく停滞することにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外部に個人情報や法人の秘密情報等の情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、さらには損害賠償を請求される等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応すべく、情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針を定め、情報セキュリティ委員会の設置、情報セキュリティ教育の実施等の各種対策を講じております。その情報セキュリティ基本方針に基づき、ITインフラの保守、更新、災害対策など管理を徹底しています。外部からの攻撃に対しては、最新の情報を収集し防御態勢を検証しアップデートしています。
(8)災害等について
当社グループの製造拠点、販売拠点は顧客との関係、サプライヤーとの関係、経営資源の有効活用等の観点から立地しております。それらの地域に大規模な地震、風水災害等不測の災害や事故が発生した場合に備え、早期に復旧できるよう体制の整備に努めております。しかし想定を超えた災害が発生した場合には、直接的な損害に加え、サプライチェーンの混乱等により、生産活動が停止し多額の損失が発生する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症に対して、当社では2023年5月7日まで、社長執行役員を対策本部長とする新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、各種感染拡大防止策を講じました。同様の感染症は今後も発生する可能性があり、想定を超えて世界的に流行し、サプライチェーンや当社グループの従業員に影響が生じた場合は、生産活動の停止等、事業活動の継続に支障をきたし、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)環境問題について
当社は地域および環境との調和を重要な経営課題と認識し、すべての事業活動において継続して地球環境負荷の低減に貢献するためにISO14001の認証を全社統合で取得した環境マネジメントシステムを運用しています。また、事業活動において大量に化石燃料を消費する当社は、温室効果ガス削減の野心的な目標を掲げSBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得いたしました。しかしながら、気候変動対策をはじめとした環境問題への社会や顧客からの要望はますます高まっており、必要なコスト(再生可能エネルギー調達、設備導入、技術開発など)の増加や、要望への対応が不十分な場合には社会的評価の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)資金調達について
当社グループは、運転資金・投資資金等を金融機関からの借入等により調達しております。当社グループの経営環境が悪化する等の状況によっては資金調達が制約される可能性や調達コストが増加する可能性があります。また、今後の金利動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの一部借入には財務制限条項が付されております。財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※7.財務制限条項」に記載のとおりです。連結決算および単体決算それぞれにおいて、財務制限条項のいずれかに抵触することとなった場合には、期限の利益を喪失する可能性があります。
(11)人権について
当社グループは「企業活動に関する基本指針」において、基本的人権を尊重し差別的取り扱いを行わないこと、また、強制労働や児童労働を認めず人権侵害に加担しないことを謳い、当社グループ内に周知徹底を図っております。
さらに「山村グループ人権方針」を制定し、当該方針に基づき、国際的な人権規範を考慮しながらその取り組みを進めております。しかし、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、またサプライチェーン上に存在する人権問題に適切に対応できない場合、当社グループの信用を失墜させ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)保有資産の価値下落等について
当社グループが保有する棚卸資産、固定資産および有価証券等について、時価の著しい下落や収益性の低下等が生じた場合、減損損失や評価損等の計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)繰延税金資産の回収可能性について
当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(14)信用リスクについて
当社および連結子会社では、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。実際の損失発生額が引当金計上時点の見込額と乖離した場合や、引当金の積み増しを必要とする場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、個人消費の持ち直しに足踏みがみられたものの、企業収益の改善がみられ、緩やかに回復しました。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、景気の下振れ懸念があり、先行きは不透明な状況が続いております。
このような中、山村グループでは当連結会計年度より3ヵ年の新中期経営計画をスタートさせました。新中期経営計画の策定に当たり、従来からある「基本理念」「コーポレート・メッセージ」に「存在意義:人と技術の力で、豊かな社会と快適な生活をつくりだす」を新しく加えて「山村グループの基本哲学(フィロソフィ)」を定め、「グループ経営ビジョン」を「100年先も必要とされる会社」に刷新いたしました。また、持続可能なビジネスモデルの構築に向け、SBT(Science Based Targets)イニシアティブより1.5℃水準短期目標の認定を2023年9月に取得いたしました。これからも様々な課題に長期的に挑戦していく事業基盤が肝要であるとの思いをこめて新中期経営計画は「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとし、「財務基盤の整備」「既存事業を強化する仕組みづくり」「新しい事業を構築する準備」「循環型社会の実現に向けた開発」「従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり」という5つの経営方針を推進し、グループ一体となって業績向上に取り組んでおります。
こうした環境の下、セグメント売上高は、ニューガラス関連事業が減収となりましたが、ガラスびん関連事業、プラスチック容器関連事業、物流関連事業においていずれも増収となったため、当連結会計年度の連結売上高は72,874百万円(前期比7.0%増)と増収となりました。
利益につきましては、連結営業利益は4,452百万円(前期は△142百万円の損失)と増益となりました。前連結会計年度末において米国の関連会社が債務超過であることから、同社に係る貸付金および保証類似行為の金額を上限として持分法による投資損失を計上しておりましたが、当連結会計年度において、同社が独自の資金調達を行ったため、同社に係る貸付金が全額返済されるとともに、同社に係る保証類似行為が解除されたことにより、持分法による投資利益が大きく改善して1,148百万円(前期は持分法による投資損失2,285百万円)となり、連結経常利益は6,059百万円(前期は△2,957百万円の損失)と増益となりました。さらに事業構造改革計画に基づき実行した固定資産の譲渡により発生した固定資産売却益や、米国の関連会社の譲渡により発生した関係会社出資金売却益等により特別利益8,561百万円を計上いたしました。法人税等調整額1,175百万円を計上し、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、12,261百万円(前期は△3,007百万円の損失)と増益となりました。
事業セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
(ガラスびん関連事業)
ガラスびん関連事業では、国内ガラスびん業界の出荷量は前期比94.7%となり当社においても減少しましたが、価格改定や品種構成の影響で販売単価が上昇したことにより、セグメント売上高は47,753百万円(前期比8.5%増)と増収となりました。セグメント利益は、当社において労務費や修繕費等の製造固定費の増加がありましたが、販売単価が上昇したことや前期に損失の発生していた中国の子会社の全持分を譲渡したこと等による良化により、3,712百万円(前期は△9百万円の損失)と増益となりました。
(プラスチック容器関連事業)
プラスチック容器関連事業では、インドネシアの子会社が清算手続き中であることによる売上減少がありましたが、当社の飲料用キャップの出荷の増加や価格改定等による販売単価の上昇、中国の子会社の販売が好調なこと等により、セグメント売上高は7,556百万円(前期比14.0%増)と増収となりました。セグメント利益は、人件費等の増加がありましたが、販売単価の上昇や前期に損失の発生していたインドネシアの子会社が清算手続き中であること等による良化により、430百万円(前期は△422百万円の損失)と増益となりました。
(物流関連事業)
物流関連事業では、新規業務による取扱い物量の増加により、セグメント売上高は14,660百万円(前期比0.9%増)と増収となりました。セグメント利益は、取扱い物量の増加や価格改定およびコスト削減等の損益改善により、651百万円(前期比29.1%増)と増益となりました。
(ニューガラス関連事業)
ニューガラス関連事業では、当社における電子部品用ガラスや自動車部品用ガラスの出荷は増加しましたが、国内子会社における通信用部品やレーザー用部品の出荷が減少しました。また、台湾の子会社が清算手続き中であることによる販売減少もあり、セグメント売上高は2,751百万円(前期比7.7%減)と減収となりました。セグメント利益は、前期に損失の発生していた台湾の子会社が清算手続き中であることによる良化がありましたが、国内子会社の出荷の減少等により△197百万円の損失(前期は△459百万円の損失)となりました。
その他事業には、当連結会計年度より研究開発部門から独立した植物事業を含み、セグメント売上高は153百万円、セグメント利益は△90百万円の損失となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,545百万円増加し、94,144百万円となりました。これは、繰延税金資産が1,342百万円減少したものの、現金及び預金が3,343百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が2,373百万円、商品及び製品が905百万円増加したこと等が主な要因です。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ7,559百万円減少し、42,551百万円となりました。これは、有利子負債が9,655百万円減少したこと等が主な要因です。
純資産については、前連結会計年度末に比べ14,104百万円増加し、51,593百万円となりました。これは、利益剰余金が12,261百万円、為替換算調整勘定が1,560百万円増加したこと等が主な要因です。自己資本比率は12.0ポイント上昇して54.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末より3,427百万円増加し、10,891百万円となりました。
各活動における資金増減の内容は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益(14,354百万円)や減価償却費(3,547百万円)等に対して、有形固定資産売却益(5,581百万円)、売上債権の増加(2,428百万円)、関係会社出資金売却益(2,101百万円)、持分法による投資利益(1,148百万円)等があり、5,663百万円の資金増加(前期は1,622百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出(2,430百万円)等があったものの、有形固定資産の売却による収入(6,279百万円)や貸付金の回収による収入(2,200百万円)、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の売却による収入(2,101百万円)等により、7,722百万円の資金増加(前期は2,926百万円の資金流出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の減少(純額で6,250百万円)や長期借入金の減少(純額で3,060百万円)等により、10,119百万円の資金流出(前期は2,207百万円の資金流出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラスびん関連事業 |
40,713 |
116.1 |
|
プラスチック容器関連事業 |
7,335 |
109.5 |
|
ニューガラス関連事業 |
2,739 |
86.8 |
|
報告セグメント計 |
50,788 |
113.1 |
|
合計 |
50,788 |
113.1 |
(注)1.セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.生産実績金額の算定基礎は販売価格です。
商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラスびん関連事業 |
6,290 |
91.1 |
|
プラスチック容器関連事業 |
91 |
94.8 |
|
ニューガラス関連事業 |
0 |
2.0 |
|
報告セグメント計 |
6,382 |
91.1 |
|
その他事業 |
144 |
- |
|
合計 |
6,526 |
93.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は仕入価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラスびん関連事業 |
37,446 |
107.5 |
8,793 |
100.7 |
|
プラスチック容器関連事業 |
7,583 |
114.9 |
1,530 |
106.4 |
|
ニューガラス関連事業 |
2,777 |
101.2 |
458 |
105.9 |
|
報告セグメント計 |
47,807 |
108.2 |
10,783 |
101.7 |
|
合計 |
47,807 |
108.2 |
10,783 |
101.7 |
(注)生産は受注生産によるものがほとんどですが、一部見込生産もあります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラスびん関連事業 |
47,753 |
108.5 |
|
プラスチック容器関連事業 |
7,556 |
114.0 |
|
物流関連事業 |
14,660 |
100.9 |
|
ニューガラス関連事業 |
2,751 |
92.3 |
|
報告セグメント計 |
72,721 |
106.7 |
|
その他事業 |
153 |
- |
|
合計 |
72,874 |
107.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
翌連結会計年度(2025年3月期)においては、原燃料価格について、足元では原油価格は高騰しており、さらに為替レートも円安で推移しているため、今後資材価格は一層高騰することを想定しております。当連結会計年度は事業構造改革として実行した固定資産譲渡や米国関連会社の譲渡等による利益改善効果があったものの、翌連結会計年度においてはそれら特殊要因がなくなるため減益となりますが、2023年6月9日付で公表した中期経営計画は大きく上回る見込みです。なお、2024年5月15日付にて『2024年3月期-2026年3月期 中期経営計画の積極的見直しおよび資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』を別途公表しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、原材料費、燃料・動力費、人件費、運搬費などがあり、特に原材料費、燃料・動力費についてはその価格変動によって資金支出が大きく増減する可能性があります。また、投資活動に係る資金支出では、老朽化設備の更新や品質・生産性向上のための生産設備への投資などがあります。
c. 資金調達の方法及び状況
営業活動によるキャッシュ・フローの他、外部からの調達としては金融機関からの長期借入金を中心に、短期借入金、社債発行等により資金調達を行っております。当社の子会社については、原則として当社からの貸付により資金調達を行っております。また、当連結会計年度において財務基盤の強化(資本効率の改善)を目的として固定資産の譲渡を実行いたしました。
資金の流動性については、臨時的な資金流出により資金繰りが悪化する場合に備え、資金流出入の動向を踏まえて流動性資産を十分に保有し、適切な資金繰りを行っております。
d. 利益配分に関する基本方針
利益配分に関する基本方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表で認識した金額に特に重要な影響を与える見積りおよび仮定は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社の繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、2023年11月24日の取締役会において、当社の持分法適用関連会社であるアルガラス山村(Arglass Yamamura, LLC 以下「AY」という。)の全持分を、同社に譲渡すること(以下「本持分譲渡」という。)を決議し、譲渡契約を締結いたしました。
(1)譲渡の理由
当社は、2019年にAYへの出資を決定し、米国内のガラスびん市場の需要に応えるべく運営を行ってまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により生産立ち上げが遅れたこと等により同社の業績は低迷し、生産立ち上げ後も当初の事業計画の達成が困難な状態が続いております。
このような状況の中、当初の事業計画を達成するためには、相応の期間と資金負担を要すると見込まれるため、今般AYの持分を譲渡いたしました。
(2)異動する関連会社の概要
①名称 Arglass Yamamura, LLC
②所在地 アメリカ合衆国デラウェア州
③代表者の役職・氏名 Jose de Diego Arozamena (Founder & CEO)
④事業内容 ガラスびん関連事業
⑤資本金 65百万USD(7,240百万円)
⑥設立年月日 2019年8月
(3)譲渡持分、譲渡価額及び譲渡後の所有持分の状況
①異動前の持分 69%(議決権所有割合50%)
②譲渡持分 69%(議決権所有割合50%)
③譲渡価額 15百万USD(21億円※)
※譲渡価額は持分譲渡時に支払われる現金に加え、将来のAYの特定の業績指標達成水準に応じて支払われる対価(アーンアウト条項)がありますが、アーンアウト条項に基づく対価は、譲渡時点ではその権利行使が確実とは認められないため、譲渡時に支払われる現金のみを対価として認識し、会計処理を行っております。
④譲渡後の所有持分 0%(議決権所有割合0%)
本持分譲渡に伴い、当連結会計年度において、関係会社出資金売却益21億円とともに、米国で見込まれる課税額を計上しております。なお、アーンアウト条項に基づく対価は、譲渡時点ではその権利行使が確実とは認められないため、反映しておりません。
当社グループ(当社および連結子会社)では、セグメント区分におけるガラスびん関連事業、プラスチック容器関連事業およびニューガラス関連事業において研究開発活動を進めております。いずれのセグメントにおいても、研究開発のほとんどを当社の事業部門が行っており、ガラスびん関連事業は当社ガラスびんカンパニー生産本部技術開発部、プラスチック容器関連事業は当社プラスチックカンパニー生産技術部が主に研究開発を進めております。ニューガラス関連事業においては、当社ニューガラスカンパニー開発営業統括部および先進開発センターが主に研究開発を行っております。その他、当社研究開発センターおよび環境室においても研究開発を行っております。
(1)ガラスびん関連事業
当社ガラスびんカンパニーでは、顧客満足を得るために商品開発と技術開発を推進し、ニーズに応じたガラスびん形状の追求、加飾技術による差別化と高付加価値化、検査機設備の開発と実用化による高品質化に力を入れております。同時に、将来を見据えた人材不足や技能維持向上に合わせたロボット技術開発や現場のDX化にも力を入れており、先行して始めた金型に離型剤を塗布する作業のロボット化に成功し、現場導入を順次進めております。
また、サステナビリティへの対応として、びんの軽量化のさらなる推進、カレットの利用率の向上、ガラス溶解窯のNOx低減に関する共同研究等の省エネルギー、省資源、環境負荷の低減に取り組み、循環型社会において「びん to びん」が成り立つ容器を提供することで社会貢献してまいります。加えて脱炭素社会を目指した新規技術の導入にも積極的に取り組んでまいります。
グローバル施策においてはInternational Partners in Glass Research(IPGR)にて海外ガラスびん会社と新たな製造技術の研究開発に参画し技術の進歩に努めております。また、これまで自社開発してきた生産技術の海外販売や新規技術援助先の開拓にも力を入れております。
当連結会計年度中に支出した研究開発費は、
(2)プラスチック容器関連事業
当社プラスチックカンパニーでは、ユーザビリティや環境課題への対応を主眼に置いた研究開発を行っております。
プラスチックキャップ事業は、既存の各種飲料用キャップにおいて開け易さやCO₂削減を目標に、一層の品質向上・軽量化を目指した技術開発を継続しております。また、飲料分野以外の新規キャップの開発にも取り組んでおります。
新たな事業展開を図るため、社会のサステナビリティに貢献するPET樹脂も含めた様々なプラスチック容器や医療・介護のニーズを収集し、社会に貢献できる製品の研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度中に支出した研究開発費は、
(3)ニューガラス関連事業
当社ニューガラスカンパニーでは、子会社山村フォトニクス株式会社とともに、エレクトロニクス関連用途(半導体関連、家電、情報通信機器)、環境・エネルギー用途(太陽電池、燃料電池、2次電池、水素関連デバイス、LED等の省エネデバイス)、自動車部品、光通信向け光学部材およびセンサ等に向けたガラス、セラミックスなどの材料ならびに加工技術(生産技術、評価技術含む)の研究開発を進めております。
当連結会計年度中に支出した研究開発費は、
その他、当社研究開発センターにおいて、植物事業に関連する研究開発を中心として、中長期的・基礎的研究や新規事業創出のための調査・研究を行っております。また、環境室では、化石燃料起因の炭酸ガス削減として非化石燃料化の研究開発や原料起因の炭酸ガス削減と循環型社会貢献として廃棄物を原料にアップサイクルする研究開発を行っております。
当連結会計年度中に支出した研究開発費は、研究開発センターにおいて83百万円、環境室において53百万円です。
当連結会計年度中に当社グループが支出した研究開発費は、総額