第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは基本理念として「事業は人なり」「商いの基は品質にあり」「革新なくして未来なし」を掲げております。そして基本理念、存在意義「人と技術の力で、豊かな社会と快適な生活をつくりだす」、コーポレート・メッセージ「Heart & Technology」からなる山村グループの基本哲学(フィロソフィ)を定めております。さらに「ずっと未来も、山村グループに関わる全ての人や社会の役に立ち、必要とされ続けるグループでありたい」との思いを込め、「100年先も必要とされる会社」をグループ経営ビジョンとしております。

 

(2)目標とする経営指標

目標とする経営指標としては、2026年3月期においてROE5.0%以上、中長期的にはROE8.0%以上を目標とし、株主資本コストを上回るROEの確保を図り、企業価値の向上を目指します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

近年、外部環境の変化が加速している中で、グループ経営ビジョンである「100年先も必要とされる会社」を実現するために、足元では「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとする3ヵ年の中期経営計画を策定しております。中期経営計画では以下の5つの経営方針を推進してまいります。

 

(ⅰ)財務基盤の整備

現在進めている不採算事業からの撤退や不採算製品の整理を着実に進める。資産の有効活用を意識した取り組みにより徹底的に足元固めをする。

(ⅱ)既存事業を強化する仕組みづくり

環境変化の大きい中でも既存事業で収益を確保できる仕組みづくりを行う。

(ⅲ)新しい事業を構築する準備

長期的に成長し続けられるよう、新しい取り組みへの議論を進め、あらゆる観点から準備を行う。

(ⅳ)循環型社会の実現に向けた開発

自社の環境対応にとどまらず、事業化も強く意識し、異業種連携などによって循環型社会や脱炭素社会に向けた開発を加速させる。

(ⅴ)従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり

グループの「基本哲学」を理解し、関わる全ての人や社会から必要とされ続けることを私たちの誇りとしたい。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記の経営方針に基づき、次のとおり課題達成に向けて努力してまいります。

 

①ガラスびん関連事業

国内ガラスびん市場は、少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。さらに原燃料や物流費高騰の影響によるコスト上昇は今後も続くものと予測されます。ガラスびん関連事業は品質確保や安定供給のために実施する溶解窯の更新が必要ですが、更新費用も上昇しているため、更新後は減価償却費の増加が見込まれます。このような状況において、山村グループの主力事業としてグループ内の連携を強化しながら収益体質の確立に取り組んでまいります。そのため、変動する需給バランスに対応した最適な製造販売体制を構築してまいります。また、生産支援システムや省人化設備の導入拡大等により人材不足対策に取り組んでまいります。開発分野に関しましては、多様化する市場と環境面のニーズに応えるため、高付加価値品の開発や脱炭素社会に向けた技術開発に取り組んでまいります。

②プラスチック容器関連事業

国内のプラスチックキャップ事業では、市場と顧客の動向を注視し、スピーディで効率のよい生産体制を構築してまいります。プラスチック環境問題に対しては環境に配慮した製品の開発や、ペットボトルキャップのリサイクル活動を企業、自治体、学校等とも協力しながら推進しております。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、「TEAM EXPO 2025」のパビリオンで当社のペットボトルキャップのリサイクル活動について展示をいたします。また、原料および各種資材の供給不足や価格変動による製造コストの変動が予想されますが、様々な取り組みにより安定調達やコスト削減を図り、収益力の強化に取り組んでまいります。海外においては、子会社や提携先との連携によりアジアでの販売強化を目指してまいります。

③物流関連事業

物流関連事業では、幅広い事業範囲で蓄積したノウハウを活かしながら、既存事業拡大と新規顧客の獲得に取り組んでまいります。また、今後の事業拡大に対応するためのコア人材の確保と育成強化に努めてまいります。さらに、グループ内の相乗効果による新規業務の受託と輸送ネットワークの構築を図るとともに、既存業務の効率化や品質向上の取り組み等により、利益体質の強化を進めてまいります。

④ニューガラス関連事業

ニューガラス関連事業では、世界情勢や市場の変動の激しい中、当社の主力分野である半導体周辺のエレクトロニクス関連および燃料電池等の環境エネルギー関連において営業活動強化や生産技術開発に取り組み、グローバルに事業の拡大を目指してまいります。国内子会社においては、高速通信・半導体・センサーおよび映像用製品の販売拡大による事業拡大に努めてまいります。

⑤その他事業

その他事業の植物事業では、生産性の改善と営業力強化による事業拡大を推進してまいります。また、機能性野菜の品種や栽培方法等の研究開発を継続し発展させてまいります。

 

・海外事業におきましては、経済成長が見込まれるアジア地域を中心に、当社および当社の関係会社等を通じ業容の拡大を進めてまいります。

 

・研究開発センターにおきましては、新規技術開発として産官学連携等を活用した技術開発を進めております。医療やエレクトロニクス、エネルギー分野等において新たな収益源となるよう製品化を目指し、新規事業を早期に立ち上げできるように取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する基本方針およびこれまでの取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ基本方針

 当社グループは、基本哲学(フィロソフィ)に基づき、100年以上の歴史を礎に「環境」「社会」「ガバナン

ス」に関する社会的課題の解決に適切に対応し、「持続可能社会の実現」と「持続的な企業価値向上」を追求して

まいります。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

 当社は、社長執行役員を委員長とするグループサステナビリティ戦略委員会を原則月1回開催し、サステナビリティ全般に関するリスクと機会について監視・管理するとともに、関係部門やグループ会社と連携の上、各種取組みを推進しております。また、重要事項について必要に応じて取締役会や経営会議へ報告した上で、全社的な経営戦略への統合を図っております。

 なお、以下のとおり、個別の体制も設けた上で監督・統制に努めております。

 

体制

実施頻度

実施内容

責任者

環境委員会

1~4回/年

環境目標、著しい環境側面登録簿、環境マネジメントプログラムの進捗等の審議、法の順守状況を評価し、委員長によるマネジメントレビューを行っております。

環境部門管掌役員

人権啓発推進委員会

1回/年

各部門・グループ各社から人権啓発活動の報告を受け、取り組み状況を確認しております。

社長執行役員

情報セキュリティ委員会

1回/年

情報セキュリティに関する活動報告を行い、委員長によるレビューを行っております。

コーポレート本部管掌役員

内部監査

1~2回/年

不祥事リスクに関する各部署のリスクマネジメントの実施状況を確認しております。確認した結果を取締役会に報告しております。

CSR推進室長

内部通報制度

4回/年

組織的・個人的行為にかかわらず、不正・違法・反倫理行為を速やかに認識し、危機を回避することを目的に当該制度を設けております。当該制度の運用にあたっては『内部通報制度に関する規程』を設け、通報者に対し、通報などを理由にした不利益な取扱いは行わないことを明確に定めております。社内受付窓口管理者は定期的に取締役会にその運用状況を報告しております。

CSR推進室長

(社内受付窓口管理者)

 

 

(3)環境

 廃棄物問題と気候変動問題に代表される地球規模での環境問題に対する社会の関心は引き続き高い状態が続いており、「循環型社会の実現」と「脱炭素社会の実現」に向けて様々な動きが開始されております。

 当社は創業以来「循環型社会の実現に貢献する」という精神を重視しながら事業を進めてまいりましたが、環境活動の効果を更に高めるために、グループ経営ビジョン「100年先も必要とされる会社」に合わせ取り組む内容を見直しました。具体的には、「省エネルギー・省資源の推進」「公害を引き起こす環境負荷(大気汚染、水質汚濁、化学物資リスク)の低減の推進」を大前提として、「人為的な要因によって今後深刻な問題となり得る気候変動への対策、GHG排出量低減の推進」「持続可能な社会実現への3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動の推進」「廃棄物の減量化及び再資源化の推進」「環境改善に寄与する製品開発の推進」「環境に配慮した製造設備、機器の開発」「地球環境活動への参加」に取り組み、その結果は環境部門管掌役員を委員長とする全社環境委員会で確認をしております。また、特に喫緊の課題である気候変動対策については、パリ協定が定める目標に科学的に整合するGHGガスの排出削減目標を策定しSBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得いたしました。当社グループとしてScope1+2を2019年度基準に対し2030年度には46.2%削減すること、およびScope3も同様に27.5%削減することを目指しており、直近2024年度の実績はScope1+2:254,095t-CO2eで目標達成率93%です。Scope3は現在集計中ですが2023年度の実績は298,251t-CO2eで目標達成率は82.4%でした。

 (GHGガス排出量削減の主な取り組みや進捗状況の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。

https://www.yamamura.co.jp/csr/environment_data.html)

 

 当社は環境マネジメントシステムの運用により、環境関連法規および社会的約束の順守、継続的な改善に取り組んでまいりました。今後も持続可能な社会の実現のため、地域および環境との調和を重要な経営課題と認識し、社会からの期待や要請を捉え、地球環境負荷の低減に、より一層貢献してまいります。

 

(4)コンプライアンス

 当社グループでは、「企業活動に関する基本指針」においてコンプライアンスに関する指針を定めており、それらの周知を図るとともに、実践を求めております。

 また、当社グループではコンプライアンスに関する教育を適宜実施するとともに、内部監査部門が各部署に対して内部監査を実施し、各部署のコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し、その結果を取締役会に報告しております。

 組織的・個人的行為にかかわらず、コンプライアンスに関する違反行為を速やかに認識し、危機を回避することを目的に内部通報制度を設けております。当社グループおよび協力会社の役職員が利用可能で、社内受付窓口と社外受付窓口を設置し、通報は専用Webサイトへの投稿、メール、投書、専用の電話などにより受付けております。制度の運用にあたっては規程を設け、通報者が通報によって不利益を被ることがないことを明記し、制度を安心して利用できるように配慮しております。

 (「企業活動に関する基本指針」の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。

https://www.yamamura.co.jp/company/philosophy.html)

 

(5)人権

 当社グループの基本理念は人権を尊重することを根底にしております。当社グループは、今後もグローバル社会とともに発展していくにあたり、自らの事業活動が、人権尊重を前提に成り立っているものでなければならないと認識しております。取り組みにあたっては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を始めとした国際的な人権規範を支持し尊重しております。その上で「企業活動に関する基本指針」や「山村グループ人権方針」を定め、それらの周知を図っております。

 当社では「人権啓発推進委員会」を定期的に開催し、各部門・グループ各社から人権啓発活動の報告を受け、取り組み状況を確認しております。また、人権に関する研修や、イントラネットを利用して情報発信を実施することなどにより、人権尊重の啓発に努めております。

 当社では内部通報制度を設けており、社内受付窓口では人権に関する相談も受付けております。また各事業所にはハラスメント相談員を配置し、相談や苦情に対応しております。内部通報やハラスメント相談への対応方法を規程に定め、通報者や相談者が申し出によって不利益を被ることがないことを明記し、制度を安心して利用できるように配慮しております。

 (「山村グループ人権方針」の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。

https://www.yamamura.co.jp/csr/human_rights.html)

 

 

(6)人的資本

 当社グループでは、基本理念に「事業は人なり」を掲げており、「人間を尊重し、明るい経営を実現する」との思いを込めております。

 この思いは、「社員にとって会社が生きがいのある仕事の場となるような経営を目指し、そのために社員全員が仕事を通じて切磋琢磨し、努力が正しく報いられる会社をつくりあげること」を意味しております。

 これに基づき「個性を尊重し、事業の場で活躍できる人をつくる」ことを人材ビジョンに掲げ、その目指す姿となる「求める人材像」を定めております。この「求める人材像」は、新規採用する者だけに適用するのではなく、既存の社員全員に適用し、人事制度や人材育成の拠り所として、各制度や施策の立案および見直しを継続して行っております。また、当社では、これに加えて人材育成に関する研修・教育基本方針(人材育成の方針)を定め、全社全部門が個々の課題に合わせて取り組んでおります。

 

(研修・教育基本方針)

①学びを仕事で実践する

 座学だけでなく、実際に「やってみる」ことを重視し、現場の課題を解決しながら成長できるよう、学びが実践

 に繋がる教育プログラムとする。

②成長を支援する

 環境変化に適応し、新しい価値を生み出せる人材を育てるため、各部門での専門・技能教育を充実させ、継続的

 な学びの機会を提供する。

③挑戦する風土を醸成する

 挑戦が自然に生まれる環境を作り、ありたい姿の実現に向けて協働するため、社員の成長意欲を歓迎し、挙手制

 研修やキャリア開発支援を充実・継続する。

 

 また、社内環境整備方針として、全社員が個性と能力を十分に発揮し、仕事と家庭の両立ができることを目指しております。具体的には、ダイバーシティを推進するため、ワークライフバランスの支援として、在宅勤務制度やコアタイムのないスーパーフレックス制度、法令を上回る3歳までの育児休業制度等を導入しております。さらに、社員一人ひとりのこころと身体の健康増進、および安全で安心できる職場環境の維持・拡大に努めております。法令に定める定期健康診断はもちろんのこと、生活習慣病や禁煙セミナーおよびメンタルヘルスセミナーの継続開催、安全衛生委員会を中心とした安全衛生推進活動に注力しております。

 

(人的資本に関する指標および目標)

①人材育成

 a.次世代ビジネスリーダー育成プログラム受講者数

持続的な成長をリードするトップビジネスリーダーに必要なスキルとマインドを醸成するため、派遣型の特別研修制度である次世代ビジネスリーダー育成プログラムを部長層および課長層に継続実施しております。

指標

階層区分

実績

2023年度

2024年度

次世代ビジネスリーダー育成プログラム受講者数

部長層

4名

4名

課長層

3名

5名

(注)1.受講者の選抜方法は部長層が推薦、課長層が公募選抜です。

2.延受講者数は部長層が29名、課長層が34名です。

 

 

 b.360度評価の偏差値

自律的な能力開発と、不足スキルの強化研修によりマネジメントスキルの向上を目指すため、マネジメント能力を可視化する360度評価を実施しております。

指標

目標

階層区分

実績(注)2

2022年度

2024年度

360度評価における他者の総合評価の偏差値

 

50.0以上

部長層

54.7

56.5

課長層

50.5

51.4

係長層

49.5

(注)1.2022年度は管理者層のみを対象としたため、係長層の評価は実施しておりません。2024年度からは方針変

更し、係長層へも範囲を広げ実施いたしました。また、隔年実施のため2023年度は評価を実施しておりません。

2.実績は委託先である外部企業が算出したものです。

 

②ダイバーシティ

指標

目標

実績

2023年度

2024年度

女性監督職比率

10

12.4%

11.7

男性の育児休業・育児目的休暇等の取得率

85以上

14.3%

83.3

年次有給休暇取得率

65以上

66.9%

69.6

 

 人的資本に関する指標および目標については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体で記載しております。

 

 なお、人的資本に関するその他の指標は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)ガラスびん関連事業の計画について

ガラスびん関連事業の計画について、国内ガラスびん業界の年間出荷量は前期比94.4%と減少し、引き続き少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。当社グループ(当社および連結子会社)では、この傾向が続くものと想定して事業計画を組んでおりますが、想定を上回って進行した場合、販売量が変動する可能性があります。

 

(2)プラスチック容器関連事業の計画について

プラスチックキャップについては、天候、気温により販売量が大きく変動する可能性があります。

また、新規開発製品の販売や新たな顧客への販売には、ライン適性テスト等の顧客評価に合格することが条件となっており、その評価の進捗状況によっては、販売開始時期や販売量が変動する可能性があります。昨今は使用されたプラスチックが適切に廃棄されないことによる海洋汚染や廃棄時に排出されるGHG(温室効果ガス)増加が社会問題となっており、今後の状況によっては販売量が変動する可能性があります。

 

(3)物流関連事業の計画について

物流関連事業は、構内作業、配送の業務請負を行っておりますが、売上高の約7割が少数の大口顧客との取引によるものであり、大口顧客との契約を喪失した場合、売上高に大きく影響する可能性があります。さらには、人手不足による人材確保のための採用経費等、労務費の高騰が利益圧迫の要因になる可能性があります。

 

(4)ニューガラス関連事業の計画について

ニューガラス関連事業の主要な顧客であるエレクトロニクス、エネルギー、自動車および光通信業界はグローバルなビジネスを展開しており、その技術革新のスピードは非常に速く、しかも常に低価格化対応を要求されております。当社グループでは顧客のニーズを満たす製品の迅速な開発と安定的な供給に努めておりますが、市場や顧客の製品出荷動向や低価格化により、販売量が大きく変動する可能性があります。

また、今後さらなる技術革新により一層の伸長が期待できる業界であるため、競合他社に加え新規事業者の参入意欲も旺盛であり、将来顧客が当社グループから調達先を他社に切替える可能性があります。

 

(5)海外での事業展開について

海外事業におきましては、主に東南アジア、中国、台湾、アメリカなどの海外市場での事業を展開しております。これらの投資損益や持分の投資評価額、海外企業との商取引については、為替変動による影響を受ける状況にあります。このため一部取引では為替予約などのリスクヘッジを行っておりますが、為替リスクを完全に回避することは困難です。よって為替相場が急激に変動すると、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、海外諸地域、特に投資先諸国および取引先諸国の政治情勢や各種規制の動向、新たな法令の制定等は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原油価格について

天然ガスや重油などのガラス溶融の燃料や、プラスチックキャップの主原料は、原油価格の動向と為替変動の影響により、仕入価格が大きく変動する可能性があります。また、原油価格の動向により物流関連事業において車両の燃料費が大きく変動する可能性があります。

事業計画においては、各種情報に基づき推測しうる範囲の価格設定をしておりますが、想定を超える価格変動が生じた場合、業績見込みが大きく変動する可能性があります。

 

(7)情報セキュリティについて

当社では、ITシステムを活用することで円滑な業務を行い、更なる業務の効率化を進めております。しかし、万が一、災害および日々巧妙化するサイバー攻撃等によりITシステムが長期間にわたり安定稼働できない場合、当社業務が著しく停滞することにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、外部に個人情報や法人の秘密情報等の情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、さらには損害賠償を請求される等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応すべく、情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針を定め、情報セキュリティ委員会の設置や情報セキュリティ教育の実施の各種対策を講じております。その情報セキュリティ基本方針に基づき、ITインフラの保守、更新、災害対策など管理を徹底しております。外部からの攻撃に対しては、最新の情報を収集し防御態勢を検証しアップデートしております。しかしながら、未知のサイバー攻撃等による被害については推測の域を超える場合があります。

 

(8)災害等について

当社グループの製造拠点、販売拠点は顧客との関係、サプライヤーとの関係、経営資源の有効活用等の観点から立地しております。それらの地域に大規模な地震、風水災害等不測の災害や事故が発生した場合に備え、早期に復旧できるよう体制の整備に努めております。しかし想定を超えた災害が発生した場合には、直接的な損害に加え、サプライチェーンの混乱等により、生産活動が停止し多額の損失が発生する可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症の流行時において、当社では社長執行役員を対策本部長とする新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、各種感染拡大防止策を講じました。同様の感染症は今後も発生する可能性があり、想定を超えて世界的に流行し、サプライチェーンや当社グループの従業員に影響が生じた場合は、生産活動の停止等、事業活動の継続に支障をきたし、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境問題について

環境問題への関心の高まりを受け、当社はますます多様化する社会や顧客からの環境に関する要望に対応するため、ISO14001認証を取得した全社統合の環境マネジメントシステムの根幹である環境方針を見直し、すべての事業領域において、地域および環境との調和を重要な経営課題と認識し、社会課題の解決に貢献していくことを改めて打ち出しました。特に気候変動対策が注目される中で、事業活動において大量に化石燃料を消費する当社は、SBT認定を取得したほか、CDP気候変動質問書に回答しBランクを獲得するなど、着実に対応を進めております。しかし、2026年度から本格導入される国内排出量取引制度の適用や、炭素税の動向によっては、排出量削減にかかるコスト(再生可能エネルギーの調達、設備導入、技術開発)に加え、制度への対応コストが増大し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)資金調達について

当社グループは、運転資金・投資資金等を金融機関からの借入等により調達しております。当社グループの経営環境が悪化する等の状況によっては資金調達が制約される可能性や調達コストが増加する可能性があります。また、今後の金利動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの一部借入には財務制限条項が付されております。財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※7.財務制限条項」に記載のとおりです。連結決算および単体決算それぞれにおいて、財務制限条項のいずれかに抵触することとなった場合には、期限の利益を喪失する可能性があります。

 

(11)人権について

当社グループは「企業活動に関する基本指針」において、基本的人権を尊重し差別的取り扱いを行わないこと、また、強制労働や児童労働を認めず人権侵害に加担しないことを謳い、当社グループ内に周知徹底を図っております。

さらに「山村グループ人権方針」を制定し、当該方針に基づき、国際的な人権規範を考慮しながらその取り組みを進めております。しかし、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、またサプライチェーン上に存在する人権問題に適切に対応できない場合、当社グループの信用を失墜させ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)保有資産の価値下落等について

当社グループが保有する棚卸資産、固定資産および有価証券等について、時価の著しい下落や収益性の低下等が生じた場合、減損損失や評価損等の計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)繰延税金資産の回収可能性について

当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(14)信用リスクについて

当社および連結子会社では、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。実際の損失発生額が引当金計上時点の見込額と乖離した場合や、引当金の積み増しを必要とする場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、個人消費の持ち直しや企業収益の改善がみられ、一部に足踏みもみられますが緩やかに回復しました。一方で、物価上昇の継続等、景気の下振れ懸念があり、先行きは不透明な状況が続いております。

 

このような中、山村グループでは3ヵ年の中期経営計画の2年目を迎えました。これからも様々な課題に長期的に挑戦していく事業基盤が肝要であるとの思いをこめて中期経営計画は「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとし、「財務基盤の整備」「既存事業を強化する仕組みづくり」「新しい事業を構築する準備」「循環型社会の実現に向けた開発」「従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり」という5つの経営方針を推進し、グループ一体となって業績向上に取り組んでおります。

 

こうした環境の下、セグメント売上高は、ガラスびん関連事業が減収となりましたが、プラスチック容器関連事業、物流関連事業、ニューガラス関連事業、その他事業においては増収となり、当連結会計年度の連結売上高は73,337百万円(前期比0.6%増)と増収となりました。

 

利益につきましては、連結営業利益は3,108百万円(前期比30.2%減)と減益となりました。前連結会計年度は、米国の関連会社からの貸付金が全額返済されたこと等により、持分法による投資利益1,148百万円を計上しましたが、当連結会計年度はそのような特殊要因がなく、持分法による投資利益は111百万円(前期比90.3%減)となり、連結経常利益は3,215百万円(前期比46.9%減)と減益となりました。さらに前連結会計年度に計上した固定資産売却益や関係会社出資金売却益等の特殊要因がなく特別利益が減少し、減損損失等を計上したことにより特別損失が増加しました。また、当社および一部の連結子会社は翌連結会計年度よりグループ通算制度を適用することとしており、繰延税金資産を追加計上したことにより法人税等調整額△626百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,772百万円(前期比77.4%減)と減益となりました。

 

事業セグメント別の業績は以下のとおりです。

 

(ガラスびん関連事業)

ガラスびん関連事業では、価格改定や品種構成の影響で販売単価が上昇したものの、国内ガラスびん業界の出荷量は前期比94.4%となり当社においても減少し、セグメント売上高は47,043百万円(前期比1.5%減)と減収となりました。セグメント利益は、当社における出荷量・生産量の減少、燃料・動力価格の高止まりに加え、減価償却費や物流費、労務費等の増加により、2,143百万円の利益(前期比42.3%減)と減益となりました。

(プラスチック容器関連事業)

プラスチック容器関連事業では、国内における飲料用キャップの出荷の増加や中国の子会社の販売が好調なことに加え、当社における価格改定による飲料用キャップの販売単価の上昇等により、セグメント売上高は8,269百万円(前期比9.4%増)と増収となりました。セグメント利益は、主に中国の子会社において、販売量が増加したことに伴い生産量増となったこと等により、563百万円(前期比30.9%増)と増益となりました。

(物流関連事業)

物流関連事業では、新規営業所開設等による取扱い物量の増加があり、セグメント売上高は14,744百万円(前期比0.6%増)と増収となりました。セグメント利益は、作業・配送効率の改善や不採算案件の取引条件改定等による損益改善により、769百万円(前期比18.1%増)と増益となりました。

(ニューガラス関連事業)

ニューガラス関連事業では、当社における電子部品用ガラスの出荷が堅調に推移し、国内子会社における光通信用キャップ部品の出荷の増加もあり、セグメント売上高は3,107百万円(前期比13.0%増)と増収となりました。セグメント利益は、国内子会社における出荷や生産量の増加、コスト削減等の損益改善により、186百万円(前期は△197百万円の損失)となりました。

 

その他事業では植物事業を含み、セグメント売上高は172百万円(前期比12.5%増)、セグメント利益は△269百万円の損失(前期は△90百万円の損失)となりました。なお、当連結会計年度より重要性が増したため、山村JR貨物きらベジステーション株式会社を連結の範囲に含めております。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ709百万円増加し、94,853百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が1,082百万円減少したものの、関係会社株式が1,203百万円、繰延税金資産が673百万円増加したこと等が主な要因です。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,074百万円減少し、40,476百万円となりました。これは、有利子負債が775百万円増加したものの、未払金が2,266百万円、支払手形及び買掛金が880百万円減少したこと等が主な要因です。

純資産については、前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、54,377百万円となりました。これは、利益剰余金が1,820百万円、為替換算調整勘定が1,669百万円増加したこと等が主な要因です。自己資本比率は3.2ポイント上昇して57.8%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末より99百万円減少し、10,791百万円となりました。

 各活動における資金増減の内容は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

法人税等の支払額(967百万円)や仕入債務の減少(799百万円)等があったものの、税金等調整前当期純利益(2,254百万円)や減価償却費(3,948百万円)、売上債権の減少(1,297百万円)等により、6,652百万円の資金増加(前期は5,663百万円の資金増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出(5,713百万円)等により、5,559百万円の資金流出(前期は7,722百万円の資金増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債の発行による収入(987百万円)等があったものの、配当金の支払額(814百万円)や長期借入金の減少(純額で669百万円)、リース債務の返済(416百万円)等により、1,484百万円の資金流出(前期は10,119百万円の資金流出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラスびん関連事業

38,381

94.3

プラスチック容器関連事業

7,876

107.4

ニューガラス関連事業

3,152

115.1

報告セグメント計

49,410

97.3

その他事業

178

合計

49,588

97.6

 (注)1.セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2.生産実績金額の算定基礎は販売価格です。

 

  商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラスびん関連事業

6,573

104.5

プラスチック容器関連事業

101

110.7

ニューガラス関連事業

0

371.4

報告セグメント計

6,675

104.6

その他事業

2

1.4

合計

6,677

102.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

ガラスびん関連事業

37,097

99.1

9,312

105.9

プラスチック容器関連事業

8,314

109.6

1,621

105.9

ニューガラス関連事業

3,199

115.2

550

119.9

報告セグメント計

48,611

101.7

11,483

106.5

その他事業

193

20

合計

48,804

102.1

11,504

106.7

 (注)生産は受注生産によるものがほとんどですが、一部見込生産もあります。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ガラスびん関連事業

47,043

98.5

プラスチック容器関連事業

8,269

109.4

物流関連事業

14,744

100.6

ニューガラス関連事業

3,107

113.0

報告セグメント計

73,164

100.6

その他事業

172

112.5

合計

73,337

100.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。

翌連結会計年度(2026年3月期)においては、原燃料価格については高止まりが続いており、原油価格や為替レートにより変動が大きくなる可能性があるものの、ガラスびん製品の価格改定の効果や持分法適用関連会社の増益を織り込み、2025年6月6日付『2025年3月期 決算説明会』にて開示のとおり、上方修正した利益計画を達成する見込みです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

b. 資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、原材料費、燃料・動力費、人件費、運搬費などがあり、特に原材料、燃料・動力費についてはその価格変動によって資金支出が大きく増減する可能性があります。また、投資活動に係る資金支出では、老朽化設備の更新や品質・生産性向上のための生産設備への投資などがあります。

c. 資金調達の方法及び状況

 営業活動によるキャッシュ・フローの他、外部からの調達としては金融機関からの長期借入金を中心に、短期借入金、社債発行等により資金調達を行っております。当社の子会社については、原則として当社からの貸付により資金調達を行っております。

 資金の流動性については、臨時的な資金流出により資金繰りが悪化する場合に備え、資金流出入の動向を踏まえて流動性資産を十分に保有し、適切な資金繰りを行っております。

d. 利益配分に関する基本方針

 利益配分に関する基本方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表で認識した金額に特に重要な影響を与える見積りおよび仮定は、以下のとおりです。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社および一部の連結子会社は翌連結会計年度よりグループ通算制度を適用することとしており、グループ通算制度を適用する場合の税効果会計により会計処理を行っております。繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

財務制限条項

 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※7.財務制限条項」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)では、セグメント区分におけるガラスびん関連事業、プラスチック容器関連事業およびニューガラス関連事業において研究開発活動を進めております。いずれのセグメントにおいても、研究開発のほとんどを当社の事業部門が行っており、ガラスびん関連事業は当社ガラスびんカンパニー生産本部技術開発部、プラスチック容器関連事業は当社プラスチックカンパニー生産技術部が主に研究開発を進めております。ニューガラス関連事業においては、当社ニューガラスカンパニー開発営業統括部および先進開発センターが主に研究開発を行っております。その他、当社研究開発センターおよび環境室においても研究開発を行っております。

なお、翌連結会計年度より植物事業に関連する研究開発を当社研究開発センターからその他事業の当社植物事業部へ移管いたします。また、ニューガラス関連事業の先端技術および新素材に関連する研究開発を当社ニューガラスカンパニー先進開発センターから当社研究開発センターへ移管いたします。

 

(1)ガラスびん関連事業

当社ガラスびんカンパニーでは、顧客満足を得るために商品開発と技術開発を推進し、ニーズに応じたガラスびん形状の追求、加飾技術による差別化と高付加価値化、検査機設備の開発と実用化による高品質化に力を入れております。同時に、将来を見据えた人材不足や技能維持向上に合わせたロボット技術開発や現場のDX化にも力を入れており、先行して始めた金型に離型剤を塗布する作業のロボット化に成功し、現場導入を順次進めております。

また、サステナビリティへの対応として、びんの軽量化のさらなる推進、カレットの利用率の向上、ガラス溶解窯のNOx低減に関する共同研究等の省エネルギー、省資源、環境負荷の低減に取り組み、循環型社会において「びん to びん」が成り立つ容器を提供することで社会貢献してまいります。加えて脱炭素社会を目指した新規技術の導入にも積極的に取り組んでまいります。

グローバル施策においてはInternational Partners in Glass Research(IPGR)にて海外ガラスびん会社と新たな製造技術の研究開発に参画し技術の進歩に努めております。また、これまで自社開発してきた生産技術の海外販売や新規技術援助先の開拓にも力を入れております。

当連結会計年度中に支出した研究開発費は、99百万円です。

 

(2)プラスチック容器関連事業

当社プラスチックカンパニーでは、ユーザビリティの向上や環境課題への対応を主とした研究開発を行っております。

プラスチックキャップ事業は、既存の各種飲料用キャップにおいて開け易さやCO₂削減を目標に、一層の品質向上・軽量化を目指した技術開発を継続しております。国内だけでなく海外での新製品上市に向け、海外のグループ会社および業務提携会社とも共同開発を行っております。また、飲料分野以外の新規キャップの開発にも取り組んでおります。

新たな事業展開を図るため、社会のサステナビリティに貢献するリサイクル技術の開発・リサイクル材の用途開発や、医療・介護のニーズより社会に貢献できる製品の研究開発に取り組んでおります。

当連結会計年度中に支出した研究開発費は、84百万円です。

 

(3)ニューガラス関連事業

当社ニューガラスカンパニーでは、子会社山村フォトニクス株式会社とともに、エレクトロニクス関連用途(半導体関連、家電、情報通信機器)、環境・エネルギー用途(太陽電池、燃料電池、2次電池、水素関連デバイス、LED等の省エネデバイス)、自動車部品、光通信向け光学部材およびセンサ等に向けたガラス、セラミックスなどの材料ならびに加工技術(生産技術、評価技術含む)の研究開発を進めております。

当連結会計年度中に支出した研究開発費は、137百万円です。

 

その他、当社研究開発センターにおいて、植物事業に関連する研究開発を中心として、中長期的・基礎的研究や新規事業創出のための調査・研究を行っております。また、環境室では、化石燃料起因の炭酸ガス削減として非化石燃料化の研究開発や原料起因の炭酸ガス削減と循環型社会貢献として廃棄物を原料にアップサイクルする研究開発を行っております。

当連結会計年度中に支出した研究開発費は、研究開発センターにおいて83百万円、環境室において75百万円です。

 

当連結会計年度中に当社グループが支出した研究開発費は、総額482百万円です。