文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
今後のわが国経済は、引き続き景気が持ち直していくことが期待されますが、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染再拡大が危惧されることに加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響による資源価格や食糧価格の更なる高騰が懸念され、景気の本格的な回復については不透明感が増しています。
このような状況下、当社グループを取り巻く事業環境につきましては、主要事業である国内セメント事業において、都市部における再開発工事や、防災・減災、国土強靭化対策工事、リニア中央新幹線関連工事など、一定水準の需要が続くと期待されます。しかし、日本政府がロシアへの追加制裁として、ロシア産石炭の輸入を段階的に廃止する方針を表明したことに伴い、他国からの代替石炭の調達を進めておりますが、世界的な供給不足等から石炭価格の更なる高騰が懸念されております。今後、現下の状況が長期化した場合、業績へ与える影響は大きく、石炭価格の上昇に応じたセメント価格の適正化を引き続き実行していく必要があります。
加えて、新型コロナウイルス感染症や物価上昇の影響により、設備投資や住宅投資が縮小する可能性があり、セメント需要が下振れする懸念があるとともに、建設業界及び物流業界における人手不足の深刻化や高齢化が及ぼす影響に対しても留意が必要です。
また、米国経済については良好な個人消費や住宅投資、雇用環境を背景に景気の持ち直しが続くことが期待されますが、高インフレの長期化懸念、今秋の中間選挙へ向けた動向などを注視していく必要があります。
このような情勢の中で、当社グループは、2020年代半ばをイメージした「ありたい姿・目指す方向性」として「グループの総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全・安心を提供する企業集団を目指す」ことを掲げ、その実現に向け3つのステップに分けて取り組んでおります。2021年度から2023年度までの3年間を実行期間とする「23中期経営計画」はその第3ステップと位置付けており、本中期経営計画の2年目となる2022年度は、以下の経営課題に対し精力的に取り組んでまいります。
(1) 23中期経営計画の基本方針
23中期経営計画では、以下の基本方針に基づき、当社グループ全ての事業が総合的・複合的に機能し合う、当社にしかできない新たな事業モデルを構築する、すなわち「圧倒的なリーディングカンパニー」となることを目指してまいります。
①成長の歩みを止めない企業グループとなる。
②社会基盤産業として、安全・安心社会の構築に貢献する。
③収益基盤の強化、成長投資を着実に実行する。
(2) 経営目標
23中期経営計画では、以下のとおり経営目標を設定し、強靭な収益基盤を構築してまいります。
<2023年度目標>
売上高営業利益率 11%以上
ROE 10%以上
(3) カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
当社グループは「カーボンニュートラル戦略2050」の技術開発ロードマップ及び2030中間目標を盛り込んだ具体的方策を策定しており、世界のトップランナーとして社会実装可能な技術を早期に確立し、2050 年までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
(4) 事業戦略
①セメント(国内)
国内セメント需要の大きな伸びが期待できない市場環境において、様々な施策を実行することで当社グループの総合力を最大限に発揮し、国家的プロジェクト等への安定供給、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを積極的に進めます。
②セメント(海外)
北米事業の強化、東南アジアでの事業拡大と新たな拠点となるインドネシアを組み入れた環太平洋全域にわたる物流ネットワークの再構築、及びトレーディング事業拡大を図ります。
③資源
豊富に保有している石灰石等の資源を長期安定供給するための基盤構築を進め、グループの総合力を発揮し、既存コア事業の収益拡大を図るとともに、持続的発展を可能にする新規事業育成に注力します。
④環境事業
外部環境変化を的確に把握し、『気候変動対応』、『デジタル』、『マテリアル』、『エネルギー』をキーワードに、時代の潮流に即した新たなビジネスへの発展を図るとともに、新たな資源循環モデルを確立し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた貢献に取り組みます。
⑤建材・建築土木
市場競争力の強化により、既存事業の収益力の向上を図ります。更に、グループ内でのシナジーを創出できる新たな事業領域の開拓に積極的に取り組みます。
⑥その他(個別企業群)
個別企業の収益力強化を図るとともに、当社グループとしてのシナジーが期待できる新たなビジネスモデルの構築に取り組みます。
(5) 研究開発戦略
社会への貢献、グループの持続的成長に資する研究開発として、カーボンニュートラル実現に向けた技術開発を最大のテーマと位置付け強力に推進するとともに、基盤技術の深化、リサイクル技術の進化、革新的材料、将来を見据えた技術開発を柱として取り組んでまいります。
(6) 経営基盤の強靭化
コーポレートガバナンスの充実・強化の継続的な取り組みを通して、企業価値の向上を図ってまいります。また、「CSR目標2025」で設定している3つの定量目標(災害防止、温室効果ガス排出抑制、ダイバーシティ)の実現に向け、着実に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
リスク管理体制の整備の状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、下記事項は、投資家の判断に重要な影響があると考えられるものであり、当社グループにおけるリスクのすべてを網羅したものではありません。
建設投資が減少し、セメント、生コンクリート、建築土木等の事業で需要が大幅に減少した場合、影響を受ける可能性があります。
石油・石炭等の輸入原燃料品代及び船運賃等の国際価格が上昇した場合、上昇分の製品価格への転嫁の状況によって影響を受ける可能性がありますが、必要に応じて一部の取引にデリバティブ取引を利用する等によりリスクを抑制しております。
しかしながら、石炭価格に関しては、ロシア・ウクライナ情勢等に起因する世界的な供給不足から大幅に高騰しており、石炭価格の上昇に応じた製品価格の適正化を引き続き実行していく必要があります。
原燃料品の輸入やセメント等の輸出、在外子会社等からの配当金をはじめとする外貨建て取引において、大幅に為替が変動した場合、影響を受ける可能性がありますが、必要に応じて一部の取引にデリバティブ取引を利用する等によりリスクを抑制しております。
また、在外子会社の財務諸表の為替換算においても、邦貨ベースで影響を受ける可能性があります。
市場金利が大幅に上昇した場合、支払利息が増加する等の影響を受ける可能性がありますが、当社グループは有利子負債削減等の取組みを通じて財務体質の強化を図っているほか、必要に応じて一部の取引にデリバティブ取引を利用する等によりリスクを抑制しております。
株式市況が大幅に下落した場合、保有株式の評価及び退職給付信託資産等の評価に伴う退職給付数理計算上の差異の発生等により、影響を受ける可能性があります。
当社グループは、アジア諸国、アメリカ等の世界各地で事業展開しており、それぞれの地域における政治・経済情勢の変化により影響を受ける可能性があります。
当社グループは、事業の選択と集中を推進することとしており、重点分野に経営資源を集中するとともに、他社との連携も視野に入れた、事業の見直し、再編、整理に積極的に取り組んでおります。この過程において業績及び財政状態に影響を受ける可能性がありますが、高度な専門性などが要求される場合には、常任の法律顧問をはじめ、顧問法律事務所、経営コンサルタント等、専門家のアドバイスを受けております。
当社グループは、事業展開する各国、地域の法令・規則等の各種規制に従って事業を行っておりますが、予期しない変更や新たな適用により、影響を受ける可能性があります。
環境規制に関しては、セメントの製造過程では相当量のCO₂が発生しますが、温室効果ガス排出抑制に向けて各種公的規制が強化された場合や社会変化により、影響を受ける可能性があります。また、セメントの原料・燃料代替として廃棄物を利用しておりますが、廃棄物処理にかかる規制等が強化された場合にも、影響を受ける可能性があります。
なお、当社は2019年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、TCFDの提言に基づき、気候変動が当社グループに与える事業リスクと事業機会について評価、分析を行い、その結果を開示しております。気候関連シナリオの拡大とともに評価、分析の更新を進め、事業戦略への反映と情報開示を進めていきます。
温室効果ガスの大気への蓄積・地球温暖化により、豪雨による浸水・土砂崩れの頻発や、台風の強力化による被害が発生する可能性があります。この場合、生産設備等が被災し輸送機関の混乱が長期化する等、影響を受ける可能性があります。
災害等の緊急事態が発生した場合、「リスク管理基本方針」及び「リスク管理規程」に則して適切に対応します。
大震災や新型ウイルス等感染症の急速な流行が発生した場合のほか、生産設備等の重大事故や重大な労働災害が発生した場合にも影響を受ける可能性があります。
特に、新型コロナウイルス感染症に関しては、収束時期が見通せない中で、今後、設備投資や住宅投資が抑制される可能性も懸念され、セメント需要を押し下げる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度のわが国経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症の影響が変異株の発生により長期化し、社会経済活動が断続的に制限される中で、個人消費や住宅投資など一部に弱さがみられました。足元では、ロシア・ウクライナ情勢の影響により石炭や原油価格が高騰しており、製造業などの企業収益を圧迫する要因となっています。
また、世界経済については、欧米諸国を中心に新型コロナウイルス感染対策と社会経済活動の両立が進められたことで経済が回復傾向にあるものの、資源や資材の供給不足によって物価の上昇が続きました。更に、ロシア・ウクライナ情勢は資源価格の他に食糧価格に与える影響も大きく、今後、世界経済の不確実性が高まっていくことが予想されます。
このような状況の中で、当連結会計年度の売上高は7,082億1百万円(対前年同期1,557億2百万円減)、営業利益は467億1百万円(同169億8百万円減)、経常利益は501億9千3百万円(同155億5千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は289億7千1百万円(同178億2千8百万円減)となりました。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用したことに伴い、当連結会計年度の売上高は1,914億7千9百万円減少し、営業利益は2千3百万円増加し、経常利益及び税金等調整前当期純利益は2千6百万円増加しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。各金額については、セグメント間取引の相殺消去前の数値によっております。
セメントの国内需要は、民需については都心部再開発工事において本格始動の兆しがあったもののコロナ禍からの持ち直しが弱く、官公需については資材価格や労務コストの上昇等による入札不調・不落により、民需・官公需ともに低調に推移した結果、全体では3,788万屯と前期に比べ2.0%減少しました。その内、輸入品は1万屯と前期に比べ47.9%減少しました。一方、総輸出数量は1,148万屯と前期に比べ3.3%増加しました。
このような情勢の下、当社グループにおけるセメントの国内販売数量は受託販売分を含め1,336万屯と前期に比べ3.0%減少しました。輸出数量は414万屯と前期に比べ9.7%増加しました。
また、当社はセメント製造用の石炭価格の大幅な高騰などコスト事情の悪化を受け、2022年1月よりセメント販売価格の改定を行っております。
米国西海岸のセメント事業は、堅調な住宅需要を背景に販売数量、価格ともに前期を上回りました。中国のセメント事業は、販売数量は前期を下回りました。フィリピン、ベトナムのセメント事業は、7月以降の新型コロナウイルス感染症の感染再拡大と社会隔離措置の影響により、国内販売数量は前期を下回りました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,752億6千9百万円減少しております。
以上の結果、売上高は4,632億1千4百万円(対前年同期1,578億3千万円減)、営業利益は241億8千8百万円(同171億3千8百万円減)となりました。
骨材事業は関東・東北地区で販売数量が減少しました。鉱産品事業は鉄鋼向け石灰石の販売数量が増加したことに加え、土壌ソリューション事業も建設発生土受入数量が前期を上回りました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は20億8千万円減少しております。
以上の結果、売上高は771億8千2百万円(対前年同期14億5百万円増)、営業利益は60億3千4百万円(同3千6百万円減)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあるものの、石炭灰処理、燃料と石膏及び排脱タンカル販売が堅調に推移しました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は169億5千5百万円減少しております。
以上の結果、売上高は723億1千5百万円(対前年同期57億2千6百万円減)、営業利益は66億4千7百万円 (同2億円増)となりました。
地盤改良工事が好調に推移しましたが、シールドトンネル工事向け材料とALC(軽量気泡コンクリート)の販売が低調に推移しました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は101億6千9百万円減少しております。
以上の結果、売上高は650億9千6百万円(対前年同期79億6百万円減)、営業利益は34億9千3百万円(同7千1百万円減)となりました。
運輸・倉庫事業は低調に推移したものの、エンジニアリング事業、化学製品事業及び情報処理事業が堅調に推移しました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は52億8千9百万円減少しております。
以上の結果、売上高は890億2千5百万円(対前年同期23億7千9百万円減)、営業利益は69億2千万円(同7億8千4百万円増)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
総資産は前連結会計年度末に比べ587億8千万円増加して1兆1,030億7百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ132億1千7百万円増加して3,405億5千万円、固定資産は同455億6千3百万円増加して7,624億5千7百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は原材料及び貯蔵品が増加したことによるものであります。固定資産増加の主な要因は投資有価証券が増加したことによるものであります。
負債は前連結会計年度末に比べ208億3百万円増加して5,582億8百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ49億3千6百万円増加して3,097億6千8百万円、固定負債は同158億6千6百万円増加して2,484億4千万円となりました。
流動負債増加の主な要因はコマーシャル・ペーパーが増加したことによるものであります。固定負債増加の主な要因は社債が増加したことによるものであります。
有利子負債(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、社債、長期借入金の合計額)は、前連結会計年度末に比べ224億8千4百万円増加して2,705億8千7百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ379億7千7百万円増加して5,447億9千9百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から1.2ポイント増加して46.3%となりました。1株当たり純資産額は、前連結会計年度末から390.90円増加して4,362.23円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によって711億9千1百万円増加し、投資活動によって839億1千9百万円減少し、また、財務活動によって37億4千2百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比較して136億6百万円減少し、当連結会計年度末には502億1千3百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は711億9千1百万円(対前年同期392億1千1百万円減)となりました。これは、棚卸資産の増加額157億1千4百万円、法人税等の支払額が121億8千6百万円となった一方で、減価償却費が560億1千万円、税金等調整前当期純利益が428億2千万円となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は839億1千9百万円(対前年同期361億1千万円増)となりました。これは、固定資産の売却による収入が64億5千8百万円となった一方で、固定資産の取得による支出が673億2千6百万円、投資有価証券の取得による支出が241億2千3百万円となったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は37億4千2百万円(対前年同期402億1千万円減)となりました。これは、長期借入れによる収入が407億4千3百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が340億3千5百万円となったこと等によるものであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※ 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用しております。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「23中期経営計画」の経営目標として、2023年度において売上高営業利益率11%以上、ROE10%以上を掲げ、その実現に向けて取り組んでおります。しかしながら、2021年度実績は売上高営業利益率6.6%、ROE5.9%と目標を下回る結果となりました。これは、国内セメント事業において石炭価格が想定よりも大幅に高騰するなど当社グループにとって厳しい事業環境となったことなどによるものであります。収益力の創出・向上については当社グループが引き続き取り組んでいくべき重要な経営課題であると認識しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
当社グループは、営業活動によって得られた資金により、成長投資を重視し、資本効率を意識した積極的な設備投資・投融資を実行しております。また、株主還元につきましても、重要な経営課題の一つとして位置付けており、安定的かつ継続的な配当を基本としております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金または借入及び社債の発行により資金調達することとしております。このうち、長期借入金及び社債は主に設備投資に係る資金調達であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的に判断し見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。このうち次の見積り及び見積りに用いた仮定が当社グループにおいて重要であると認識しております。
イ 固定資産の減損処理
経営環境の著しい悪化、土地の時価の著しい下落等により収益性が低下した事業用資産、賃貸用資産及び将来の使用が見込まれない遊休資産について、それぞれ帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い額により測定しているため、経営環境が著しく悪化した場合等に、減損損失が計上される可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の計上に際しては、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断しております。将来の課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。
ハ 退職給付に係る会計処理
年金資産が退職給付債務の額を超過する場合には、投資その他の資産の「退職給付に係る資産」に計上しております。株式市況が大幅に下落した場合、退職給付信託資産等の評価に伴う退職給付数理計算上の差異の発生等により、退職給付費用が計上される可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
また、ロシア・ウクライナ情勢の影響を加味した見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
研究開発部門は、収益の源泉となる既存事業分野において最大の利益を獲得するために技術面での支援を確実に進めるとともに、資源・環境・海外・建材を成長事業分野と位置付け、17中期経営計画で基礎を築き、20中期経営計画での成果を今後拡大して、さらに23中期経営計画において、新しい利益を創出するための研究開発を推進しております。
さらに、カーボンニュートラル戦略2050の技術開発ロードマップ及び2030中間目標を盛り込んだ具体的方策を策定しました。この戦略に基づき、2050年におけるサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現に向けて、既存技術の最大活用と革新技術開発の完成を強力に推し進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
1.セメント
トップブランドとしての最高品質の維持、セメント・コンクリートの需要拡大に寄与する技術開発に取り組むとともに、セメント製造に関わるコスト低減と環境対策との両立を図るための研究開発を、セメント事業本部及び生産・設備部門等と連携して推進しております。さらに、セメントキルン排ガスからの最適なCO₂回収技術の開発にも注力しております。また、海外事業本部等と連携し、海外市場ニーズに即した混合セメント・コンクリートの材料設計や関連技術の開発を行っております。なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
2.資源
骨材資源や特殊骨材の価値極大化及び重金属不溶化材を中心とした汚染土壌対策技術の開発等を、資源事業部等と連携して推進しております。また、当社が保有する石灰石及び珪石資源と、グループ会社を含めたノウハウ、さらにこれまでに蓄積した水熱反応や粒子構造制御などの技術を活用した研究開発により、中空粒子や電極材料などの機能性マテリアルの事業化に鋭意取り組んでおります。なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
3.環境事業
セメント製造プロセスの特長を活用した各種廃棄物の再資源化技術の高度化や廃プラスチック等の処理困難廃棄物の代替エネルギー化等によるCO₂削減、及びバイオマス発電に資する技術開発に注力し、環境事業部や生産設備部門と連携して、着実に国内のセメント工場等へ展開しております。また、各種排水の処理・浄化及び藻場再生等の水環境事業、廃棄物からの金属資源回収技術等の新規技術開発にも積極的に取り組んでおります。これらの国内で実績のある環境関連技術を成長著しいアジア諸国等へ導出すべく、海外事業本部等と連携し、対象国・地域に見合う開発を行っております。なお、当事業に係る研究開発費の金額は、
4.建材・建築土木
建設資材分野における新たな商材や技術開発を、セメント事業本部及び建材事業部等と連携して推進しております。このような中、コンクリート製品を中心としたセメント・コンクリート関連商材の需要拡大に向けた材料及び周辺技術開発と、インフラの維持管理に対応するコンクリートの診断、補修・補強材料及び工法等の技術開発・市場展開に取り組んでおります。また、当社グループ企業と連携しながら、グループ全体の技術力や収益の向上に寄与しています。なお、当事業に係る研究開発費の金額は、