文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「企業は社会の公器」として短期的な利益ではなく、長期的な視点に立った経営を優先する社会の実現を目指す企業群の一翼を担うことを認識しています。社員・顧客・仕入先・地域社会・地球といったすべての社中※に貢献することにより企業価値を上げるという考え方である「公益資本主義」の理念に賛同しています。
※社中とは、志を同じくして事業を成功に導く仲間のことを意味します。根本には協力、協調の精神が漂っているところがステークホルダーと異なります。
一般によく使われるステークホルダーは、英米の経営学書で使われる用語の直訳で、利害関係者を意味しますので、構成員はもともと利害が相反するものとする意味合いを持っています。
以上の観点から、当社グループは、次の経営理念のもと、企業経営に取り組んでいます。
〔経営理念〕
『お客さまに選ばれる会社になることを目指して』
・挑戦
私たちは、挑戦し続けます。
常識や慣習にとらわれることなく、新しい技術、商品、顧客の創造をする企業となり、社会に貢献いたします。
・信頼
私たちは、信頼を大切にします。
お客さまに対しても、社員同士でも、信頼関係が築けるように行動します。透明性の高い健全な経営を構築し、継続いたします。
・知恵
私たちは、知恵をふりしぼります。
一人ひとりが考えて創意工夫をすることで、お客さまの満足度の高い商品を作り、提供いたします。
環境も私たちのお客さまです。
加えて第98-100期中期経営計画の策定にあたり、当社が200年企業となるべく未来に向けて持続的に成長していくため、改めて当社の存在意義を見つめ直し、中長期的な方向性として2022年1月に以下の『ミッション・ビジョン・バリュー』を制定いたしました。
〔ミッション・ビジョン・バリュー〕
・ミッション(存在意義) 『未来を素敵にする』
・ビジョン(目指す姿) 『かけがえのないブランドになる』
・バリュー(価値観・行動指針) 『今を楽しみ、ニッコーファンをつくる』
また、当社グループの各事業においては、次のミッション・ビジョンを掲げ、経営理念に基づく行動を継続することにより、これらの実現に向けて事業展開しています。
〔住設環境機器事業〕
(水創り事業部)
・ミッション 「美しい水を創り、世界の環境保全に貢献する」
・ビジョン 「水ビジネスでイノベーションを起こし、お客様に選ばれるリーディングブランドになる」
(環境プラント事業部)
・ミッション 「水処理技術の提供を通じて世界の水環境を守る」
・ビジョン 「水環境ソリューションのリーディングカンパニーとなる」
(バンクチュール事業部)
・ミッション 「お風呂に感性を吹き込む」
・ビジョン 「お風呂体験のリーディングブランドになる」
〔機能性セラミック商品事業〕
・ミッション 「セラミック関連技術により世の中を便利にし、みんなの生活を豊かにする集団であり続ける」
・ビジョン 「特長のある新商品を提供し、競争力のある、誇れる、価値創造型事業部になる」
〔陶磁器事業〕
・ミッション 「豊かな生活空間を創造し続ける」
・ビジョン 「世界で『Only Oneのブランド』となる」
(2) 経営環境および対処すべき課題
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、まん延防止等重点措置が全国で解除となり、日常生活の制約や経済活動への制限も緩和され、経済活動の正常化に向けた動きに伴い、当社グループの事業活動においても一定程度の回復が見られましたが、再拡大の懸念もあり引き続き注意が必要な状況が続いています。
また、足元では米中貿易摩擦の長期化、世界的な半導体不足や原材料価格の高騰、さらにはロシア・ウクライナ情勢に起因した原油価格や為替相場の急激な変動など、依然として先行き不透明な状況が続いており、対処すべき課題の多い環境下におかれています。
当社グループは、2023年3月期を初年度とする3ヶ年中期経営計画を策定しており、本中期経営計画の達成と全社および各事業のミッション・ビジョンの実現に向け、総力を挙げて取り組んでいます。
セグメントごとに取り組むべき課題と対策は、次のとおりです。
〔住設環境機器事業〕
浄化槽
日本国内の人口減少や都市部への人口集中により浄化槽設置基数は減少傾向にあり、業界の動向は厳しい状況ですが、当社グループは、2020年に上市した業界一省エネタイプで施工面でも優位性のある小型浄化槽の拡販により国内シェアの拡大を目指します。施策として、同商品の拡販に向けて営業マネジメントの強化とホームページのリニューアルにより、日本国内約356万基の単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換によるリフォーム需要の掘り起こしを進めます。また、集合住宅や店舗で使用される中型浄化槽の新商品を上市し、販売シェアの拡大を目指していきます。
産業排水処理プラント、ディスポーザー
浄化槽で培った当社グループの水処理技術の応用と特殊排水処理の技術力を持った会社とのコラボレーションにより、新商品の開発を強化します。中長期的には、海外に向けた浄化槽の開発を進め、さらにWebも活用しながら営業拡大を確実に進めていきます。自社製ディスポーザー「CIALAC®(シャラク)」のデベロッパーへの営業強化と買替需要の獲得および新たな機能を追加させた新商品の開発にも取り組み、ディスポーザーシステムメーカーとしての地位の確立を目指します。
バンクチュール®
当社グループが取り扱うバンクチュール®(システムバスルーム)は、高級バスルームブランドであり、富裕者層中心に需要は今後も伸びていきます。さらなる付加価値を提供するために、お風呂を創るところからアフターまでの一貫したサービスを構築するべく、3Dシミュレーション機能や会員制サービスを充実し、トータルプロデュースできる体制を目指すと同時に、顕在顧客、潜在顧客のどちらにもアプローチができるお風呂での過ごし方のアイテムを提案することで、新たな顧客と新たな収益の獲得を目指します。また、住宅で培ったノウハウを用い、これまで以上に非住宅部門(ホテル、介護施設、病院等)に対するニーズを取り込んでいくことで、事業拡大を目指すと同時に、各製品のコスト構造を見直し、予実管理の強化を行うことで収益性の改善を図ってまいります。
〔機能性セラミック商品事業〕
当社グループが取り扱うセラミック商品は、主に車載用、OA機器用、産業機器用などであり、当該市場では近い将来において、さらなる高度な安全性、優れた環境性能、省エネルギー化に向けた大幅な制度変更や技術的革新の推進が確実となっています。これらの状況を踏まえ、より広い視野での市場調査を行うと同時にイノベーションに向けた商品開発に注力していきます。また、セラミック技術をコアとした長期的な展望に基づいて事業に取り組んでおり、関連の研究開発を推進する中では、パワーデバイス用途を中心とした新規機能基板の開発を推し進めているほか、医療用、高周波用途向けなど新規積層基板の商品開発に努めています。長期的な視点での工場生産設備の自動化を推し進めるとともに、引き続き商品の技術的発展を機会とし社会への貢献度を高めていくことを目指します。
〔陶磁器事業〕
当社グループがこれまでターゲットとしていたホテル・レストラン業界は、新型コロナウイルス感染症の影響が収まりつつありますが、未だ以前の状態に戻るまでには時間を要すると思われます。
そのような状況下においても、当社の国内生産の特徴を活かした「高品質・デザイン・納品リードタイム」に多くのお客さまから評価を頂いており、中でも当社グループの「白」にこだわったボーンチャイナ製食器に加え、ハンドペイント等による高いデザイン力を駆使した特注品の提案が受け入れられ、国際コンテストにおいても過去1位を獲得し、当連結会計年度においては6年連続入賞を果たしています。
現在、当社グループのサステナブルな取り組みを発信するオウンドメディアや、高感度なインフルエンサーに訴求するECサイト、コンセプトショップのオープンなどの重要施策の充実に取り組んでいます。また、捨てられるボーンチャイナを肥料として再利用する世界初の商品を発表し、サーキュラーエコノミーを実践的に取り組んでいます。これらの施策により、ブランド価値をさらに高め、新しいターゲット層にもファンを増やし、収益基盤の強化に努めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(ニッコーグループが目指すサステナビリティ経営)
昨今、企業を取り巻く環境はより一層不透明さを増しています。また、ウィズコロナによりニューノーマル化した社会では、企業は社会的価値を理解し、サステナビリティ経営の傘のもと、経営を実行しなければならない時代となっています。当社グループは、「お客さまに選ばれる会社になることを目指して」を経営理念として掲げ、住設環境機器事業、機能性セラミック商品事業、陶磁器事業の三本柱である各事業において、<新しい技術、商品、顧客の創造>をする企業となることを目指し、サステナビリティの概念を企業戦略および事業戦略に組み込むことで、将来の成長に向けた「持続可能な経営の枠組み」を獲得できると考えています。
当社グループは、サステナビリティの視点で環境および社会課題の解決のための取り組みを強化し、企業価値を向上することで、社員、顧客、仕入先、地域社会、地球といったすべての社中に貢献することを基本方針としています。
(気候変動関連)
環境問題の中でもとりわけ気候変動は、お客さまの生命や健康、企業活動、地域・社会の持続可能性(サステナビリティ)に大きな影響を与える問題と認識しており、当社グループにとっても、重要課題の一つと位置付け、環境問題やCO2排出の削減により事業ポートフォリオの転換を進めていくことが重要であると考えています。
当社グループは社会にとっての影響度が大きい課題をマテリアリティとして定めて、「環境貢献事業の推進」を目指した事業を推進していきます。さらには、安全/品質/リスク管理/コンプライアンスの強化を含む、全社を挙げたサステナビリティマネジメントもより一層強化してまいります。
(人材育成と人材開発)
当社グループは「人材の価値創造」に向けて、重要な業務の担い手になり得る人材を継続的に輩出するべく、人材の育成に注力しています。
当社グループの人材・技術・事業の「多様性」と、それらから生み出される「変革力」という強みを最大限活かすためには、デジタル技術を駆使して、当社グループに存在する様々なデータを結び付けていくことが重要であると考えています。デジタルトランスフォーメーション(DX)を当社グループの強力な変革の基盤として、積極的に推進してまいります。
加えて、ESG関連施策による研究開発や新事業創出を加速することで新たな価値創出に取り組むこと、さらには、これらの活動の礎となる人材育成・活性化、グローバルオペレーションの強化、ガバナンスの強化といった事業基盤の強化も継続して取り組んでまいります。
(気候変動関連)
当社グループは気候変動に関するリスクを「会社重要リスク」の一つとして位置付けており、物理的リスク、法規制・市場等の移行リスクについて公表されている報告書や専門家のアドバイス等をもとに影響度の評価を行い、重要性を判断していきます。
(人材育成と人材開発)
当社グループは人材獲得競争の激化によるコスト上昇や多様な人材の獲得が進まない場合の企業イメージ低下をリスクとして認識しています。また、様々なバックグランドを持つ人材登用による人材の獲得ルートの増加と新たなビジネス機会の創出を機会として捉えています。
(4) 指標および目標
当社グループでは、上記「戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標については、「
目標については、後記の「
当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものが想定されます。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。これらのリスクについては、単にマイナスの側面からではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、様々な対応を行っていきます。
2020年初頭より全世界で発生している新型コロナウイルス感染拡大に加え、2022年初頭に勃発したロシア・ウクライナ情勢に起因した原油価格や為替相場の急激な変動等は、依然として先行き不透明な状況が続いており、今後の動向によっては、当社グループにおいても大きく影響を及ぼす可能性があります。
住設環境機器事業においては、経済活動の停滞による住宅着工の減少、施工中現場の工事中断、個々の案件の延期、中止が見込まれます。機能性セラミック商品事業においては部品調達の遅れが見込まれます。陶磁器事業においては、主要販売先であるホテル、レストランの業績悪化による受注の減少が見込まれます。新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の位置づけが5類感染症に変更となることが決定し、日常生活の制約や経済活動への制限も緩和され、経済回復への期待もありますが、ロシア・ウクライナ情勢とともに完全な終息時期については現時点では判断ができない状況であり、これらにより経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクは、トップリスクとして認識しており、その対策として、当社グループは、経済状況の変化に対応すべくビジネスモデルの変革に取り組んでいます。世界各国での開発・生産活動の分散化や輸入から国内調達へのシフト、サステナブルな活動の高まりなどは、国内生産にこだわっている当社グループにとっての絶好の機会と捉え、新商品の開発やサービスの充実に取り組みます。また、資金繰りを精査し、関係金融機関と状況を共有し、必要に応じて資金確保を依頼しています。
(2) 感染症による影響
当社グループは、感染症が拡大することで製造および営業活動が停滞する可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは、新型コロナウイルス感染拡大により顕在化しており、その対策として、当社グループは、感染予防のため、営業、管理部門において一部テレワーク勤務を実施し、テレワーク勤務者とはWeb会議方式で情報を共有しながら業務ができる体制を整備しています。また、テレワークできない従業員は時差出勤、交代勤務により感染防止対策を実施しています。現在は収束傾向にありますが、再拡大に備え各拠点にアルコール消毒液、マスクを常備するとともに、感染症が発生した場合の出勤停止や事後措置等の対応も継続していきます。
営業面においては、テレワーク普及による在宅時間の長期化により、住設環境機器事業においては、浴室やディスポーザーなど住宅設備の充実や浄化槽エリアでの郊外型一戸建住宅のニーズが増加しており、陶磁器事業においては、オンライン消費が増加していることなどを機会と捉え、営業面やECの強化に取り組みます。
(3) 原材料の調達状況による影響
当社グループでは、原材料の一部を複数の国から調達しています。これらの調達に当たっては、世界的な需要構造変化に伴い、調達価格の急激な上昇や供給不足または供給停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは、ロシア・ウクライナ情勢により一部顕在化しており、その対策として、白山購買部、埼玉購買部が窓口となり、原材料の調達について各事業部と必要な原材料の情報を常に共有しています。また、調達が困難な場合を想定して、可能な限り複数の購買先の確保と新たな購買先の確保を図っています。
(4) 余剰在庫の滞留による影響
当社グループでは、顧客需要の変動に合わせて生産調整等を行い、余剰在庫の発生を抑制するよう対策を講じています。経済状況や製品市場の急激な変化等により、需要が販売予想を大幅に下回り、余剰在庫が滞留した場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、大量な余剰在庫が発生しないように、各事業セグメントにおいて生産計画を見直しています。また、余剰在庫については、評価の見直しを図っています。
当社グループでは、在外連結子会社による売上、費用および資産等の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算しています。従って、円換算時の為替レートにより、これらの円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当該リスクは、社会情勢に応じて、為替予約取引を利用することでリスク軽減を図っていますが、急激な為替レートの変動は当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのうち、機能性セラミック商品事業および陶磁器事業は、当社本店所在地である石川県で製造活動を行い、住設環境機器事業は埼玉県で製造活動を行っています。当該製造拠点や製造委託先等において、地震・暴風雨などの自然災害あるいは不慮の事故などにより、生産設備等が何らかの損害を受け、製品の製造・販売が遅延もしくは停止する場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する蓋然性は、工場所在地のリスクマップにおいて低い状況にありますが、大地震や超大型台風などによる想定を超える被害の発生に備えるための対策として、被害を最小限に留めることと、事業の継続および早期復旧を目的としたBCP(事業継続計画)を策定しました。当社グループは、石川県および埼玉県において毎年定期的に防災訓練を実施し、かつ、拠点ごとに生産技術部において生産設備や工場建屋について、免震対応、豪雨等による修繕を適宜実施しています。今後も、災害により製造に影響が及ぶと想定される設備機器等については、都度対応します。
(7) 人財確保および育成による影響
当社グループのさらなる拡大および企業価値の継続的な向上のためには、人財の確保や育成が重要な課題と認識しています。国内の労働人口の減少により労働需給がさらに逼迫し、人財を確保できない場合や、人財獲得競争が激化し、コストが大幅に増加した場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の影響等により各事業での売上高が低迷し、2021年3月期および2022年3月期と継続して営業損失を計上する結果となりました。
2023年3月期において、売上高は前期比14億14百万円の増加と好調でしたが、原材料、工事原価の高騰に加え電力費、燃料費の高騰が影響し、陶磁器事業の業績回復の一方で住設環境機器事業、機能性セラミック商品事業はその影響を大きく受け、営業損失2億10百万円(2022年3月期は1億74百万円の損失)が計上されました。一方、営業キャッシュ・フローは2億93百万円のプラス(2022年3月期は2億55百万円のプラス)と引き続きプラスとなっています。営業損失計上の主要因としては、住設環境機器事業の小型浄化槽の販売において原材料高騰に対する値上げ浸透の遅れによる利益率の低下、バンクチュール®(システムバス)の特に大型物件の施工費用等の増加による利益率の低下によるものです。
2024年3月期においては小型浄化槽については、値上げの効果が見込まれること、バンクチュール®(システムバス)においても施工管理方法等を見直すことで、利益率の改善が見込まれます。機能性セラミック商品事業では計画に対しOA機器用基板の販売拡大が見込まれることから2024年3月期に向けた安定的な営業利益を確保するための体制づくりが着実に進展し、従前の中期経営計画で取り組んでいた「収益力の向上」について2024年3月期では一定の成果が見込まれます。また、陶磁器事業においても、海外市場は好調を維持しつつ、新型コロナウイルス感染症の影響も徐々に和らぎ、国内市場は回復傾向にあります。また、付加価値の高い製品の受注に応じた製造体制への転換を進めており、需要量に応じた製造水準維持による製造費用の削減や製品在庫数量の減少が進展したことで陶磁器事業におけるコスト体質の改善が見られ、赤字幅が縮小しており、一定の成果が得られつつあります。
なお、2023年3月期末の受注残高は前期末比で増加しており、当該受注残高は2024年3月期における売上高に結びつくことが見込まれます。
次に、資金計画の前提として、当社グループでは2022年3月に2023年3月期を初年度とする3ヶ年中期経営計画を策定しました。当該中期経営計画の中では、当社グループの各事業が安定的な営業利益を確保するための施策を講じており、特に当面の資金繰りに関連する2024年3月期の計画においても、主に次の施策の実行により営業利益の計上を見込んでおり、資金計画の達成に資するものと考えています。
・住設環境機器事業では、小型浄化槽「水創り王®」の拡販、新中型浄化槽「NSA型」の拡販に加え、自社製ディスポーザー「CIALAC®」の交換需要に対応すること、またバンクチュール®の大型案件を予定どおり進捗させることで安定した利益確保に向け、売上高、営業利益の積み上げを行います。
・機能性セラミック商品事業では、各種基板の値上げ対応に加え、OA機器用基板の販売拡大に向けて、増産に対応するための新たな設備投資が2024年3月期上半期に完了することで、売上高、営業利益の積み上げを行います。
・陶磁器事業では、引き続き製造原価低減を推進しつつ、付加価値の高い製品の販売比率を高めることで、営業利益の改善を行います。
当社では、必要となる運転資金の確保のために、取引金融機関と当座貸越契約を締結して必要な資金枠を確保しています。
以上の状況により、継続した営業損失の計上を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況は存在していると認識しているものの、その不確実性の解消に向け、新たに策定された中期経営計画の内容を踏まえて当面の資金繰りへの不安が解消されてきていることから、当社グループは継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
① 経営成績の状況
当連結会計年度は3ヶ年中期経営計画の初年度です。
当連結会計年度の売上高は、住設環境機器事業、機能性セラミック商品事業および陶磁器事業、すべての事業において回復基調にあり、特に陶磁器事業においては新型コロナウイルス感染拡大以前にまでは至らないもののワクチン接種の浸透や行動制限緩和等の影響により大幅に回復したこともあり、中期経営計画どおり営業利益を計上できる見込みでしたが、原材料、工事費用の高騰に加え、電力費、燃料費の高騰による原価高騰の影響を早期に価格に転嫁することができなかったことで営業損失を計上することとなりました。
以上の結果、売上高は、139億92百万円(前連結会計年度比11.2%増)、営業損失は、2億10百万円(前連結会計年度は1億74百万円の損失)、経常損失は、1億69百万円(前連結会計年度は62百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は、1億77百万円(前連結会計年度は85百万円の損失)となりました。
セグメント別の業績概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より事業セグメントを変更しており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」の「1. 報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。また、以下の業績の比較・分析は、変更後の区分に基づいています。
〔住設環境機器事業〕
売上高は、96億80百万円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。
小型浄化槽は、新規需要の開拓に注力し受注高は前年度を上回り堅調に推移したものの、建築現場の工期遅延の影響を受け、前連結会計年度比3.5%減となりました。
大型・中型浄化槽は、大型物件の工事が進捗したことにより、前連結会計年度比26.9%増となりました。
バンクチュール®(システムバスルーム)は、住宅・非住宅ともに順調に工事が進み、前連結会計年度比31.9%増となりました。
メンテナンスサービスは、ディスポーザーの買替需要に対して自社製「CIALAC®(シャラク)」を販売できたことと大型改修工事の受注獲得があったことにより、前連結会計年度比5.6%増となりました。
損益面では、小型浄化槽販売において原材料高騰に対する値上げ浸透の遅れによる利益率の低下、バンクチュール®(システムバスルーム)の特に大型物件の利益率低下により、4億96百万円のセグメント利益(前連結会計年度比17.3%減)となりました。
〔機能性セラミック商品事業〕
売上高は、26億83百万円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。
前連結会計年度においては一部で新型コロナウイルス感染拡大の影響が残る状況にありましたが、当連結会計年度においてはこれらの解消が一段と進み、特に上半期におけるOA機器用基板の受注や下半期におけるシャイングレーズ®(グレーズ基板)の新製品受注で活況を示し、これに応じた生産体制を構築することにより売上高の拡大となりました。
製品群別では、セラフィーユ®(積層基板)は前連結会計年度比7.4%減、アルミナ基板は前連結会計年度比16.5%増、OA機器用基板は前連結会計年度比3.2%増、シャイングレーズ®(グレーズ基板)は第3四半期連結会計期間の伸長があり、前連結会計年度比22.1%増となりました。
損益面では、自動車サプライチェーンにおける半導体不足の影響懸念があったものの主力の車載用途積層基板の売上が堅調に推移し、また、当連結会計年度中に原材料やエネルギー費用の大幅な上昇があったものの、各製品のベースとなるアルミナ基板製品群やグレーズ基板の受注獲得、売上増加に伴い工場稼働率が改善したことにより、2億24百万円のセグメント利益(前連結会計年度比6.9%減)となりました。
〔陶磁器事業〕
売上高は、16億26百万円(前連結会計年度比31.7%増)となりました。
国内市場は、新型コロナウイルス感染拡大以前にまでは至らないものの徐々に回復基調にあり、前連結会計年度比37.4%増となりました。
海外市場は、北米地区での案件が堅調に伸びており、前連結会計年度比26.0%増となりました。
損益面では、固定費の圧縮等による収益構造の改善が進行中であり、1億6百万円のセグメント損失(前連結会計年度は2億98百万円の損失)となりました。
〔その他〕
当連結会計年度より、捨てられるボーンチャイナを肥料として再利用する世界初の商品「BONEARTH®」の販売を開始したことに伴い、サーキュラーエコノミーを推進する独立した事業セグメント(新規事業)として区分することとしました。
当該事業の売上高は1百万円となり、損益面では、15百万円のセグメント損失となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べて5億37百万円増加し、92億46百万円となりました。
これは、有形固定資産が1億43百万円減少した一方で、現金及び預金が1億12百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が2億80百万円、棚卸資産が2億57百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末と比べて7億14百万円増加し、86億94百万円となりました。
これは、短期借入金が1億50百万円、社債が40百万円、それぞれ減少した一方で、支払手形及び買掛金が5億4百万円、未払金が1億70百万円、契約負債が1億48百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比べて1億77百万円減少し、5億52百万円となりました。
これは、親会社株主に帰属する当期純損失1億77百万円を計上したことなどによるものです。
その結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比べて2.4ポイント低下し、6.0%となりました。1株当たり純資産は、7円59銭減少し、23円70銭となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて1億12百万円の増加(前連結会計年度は3億46百万円の減少)となり、10億44百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりです。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動による資金は、2億93百万円の増加(前連結会計年度は2億55百万円の増加)となりました。
これは、税金等調整前当期純損失1億55百万円、売上債権の増加額2億70百万円、棚卸資産の増加額2億55百万円などの減少要因の一方で、減価償却費4億5百万円、仕入債務の増加額が5億4百万円などの増加要因があったことによるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動による資金は、1百万円の減少(前連結会計年度は2億68百万円の減少)となりました。
これは、有形固定資産の売却により2億75百万円の収入などがあった一方で、有形固定資産の取得により2億96百万円支出したことなどによるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動による資金は、1億82百万円の減少(前連結会計年度は3億36百万円の減少)となりました。
これは、長期借入金の借入れにより1億50百万円の収入などがあった一方で、短期借入金の減少により1億50百万円、長期借入金の返済により99百万円、リース債務の返済により67百万円の支出があったことなどによるものです。
④ 生産、受注および販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.金額は販売価格によっています。
2.当連結会計年度より、事業セグメントを変更しており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」の「1. 報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。また、前連結会計年度に陶磁器事業に含まれていた生産高の一部をその他に移管しており、前期比は、変更後の区分方法により作成した前連結会計年度の売上高との比率です。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 当連結会計年度より、事業セグメントを変更しており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」の「1. 報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.当連結会計年度より、事業セグメントを変更しており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」の「1. 報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループは、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、「3 事業等のリスク」に記載した内容を想定しています。
b.当社グループの資本の財源および資金の流動性について
当社グループの資本の財源および資金の流動性について、当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やし、製造費ならびに販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消しています。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出しています。これらの必要資金は、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達によって対応しています。また、緊急時の支払いに備えて主要取引金融機関と当座貸越契約を締結しています。キャッシュ・フローの状況の詳細は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2021年3月期は、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオを記載していません。
c.セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループは、当社ならびに関係会社からなる事業部ごとに、取り扱う製品・商品およびサービスについて、国内および海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。従って、当社グループは、当該事業グループを基礎とした製品・商品およびサービス別のセグメントから構成されており、「住設環境機器事業」、「機能性セラミック商品事業」および「陶磁器事業」の3つを報告セグメントとしています。
報告セグメントに属する製品およびサービスの種類は次のとおりです。
セグメントごとの経営成績の状況および各セグメントにおける製品群別等売上高の状況の詳細は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
セグメントごとの安定的な営業利益を確保するための各施策は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク
(8) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しています。
セグメントごとの財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりです。
〔住設環境機器事業〕
総資産は、前連結会計年度末と比べて5億65百万円増加し、35億86百万円となりました。
これは、受取手形、売掛金及び契約資産が3億37百万円、商品及び製品が62百万円、未成工事支出金が1億12百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
総資産は、前連結会計年度末と比べて2億38百万円増加し、20億9百万円となりました。
これは、受取手形、売掛金及び契約資産が90百万円減少した一方で、商品及び製品が1億23百万円、原材料及び貯蔵品が77百万円、有形固定資産が1億29百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
総資産は、前連結会計年度末と比べて1億18百万円減少し、21億42百万円となりました。
これは、受取手形、売掛金及び契約資産が33百万円増加した一方で、商品及び製品が1億15百万円、有形固定資産が54百万円、それぞれ減少したことなどによるものです。
当連結会計年度より、捨てられるボーンチャイナを肥料として再利用する世界初の商品「BONEARTH®」の販売を開始したことに伴い、サーキュラーエコノミーを推進する独立した事業セグメント(新規事業)として区分することとしました。
当該事業の総資産は、6百万円となりました。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、顧客満足の追求を第一に、情報化社会の進展をはじめとした市場のニーズへの速やかな対応と、環境保護に配慮した製品づくりのため、積極的に研究開発に取り組みました。
なお、研究開発費については各事業間に関連した研究が多く、特定事業への区分を行っていませんが、総額は
(1) 住設環境機器事業
バンクチュール®(システムバスルーム)分野においては、大型物件への対応、従来の施工範囲を超える領域の商品展開について引き続き検討を行うほか、新規設備導入等によるコストダウンを図っていきます。
水処理分野においては、新たな環境配慮型浄化槽の開発を行い、今後の販売開始を予定しています。産業廃水処理施設においては、他企業や大学と提携し、産廃処理施設の新規設計等を検討しています。
また、新商品開発の取組みとして新たにディスポーザーの自社生産体制を整え量産開始しました。
セラミック技術をコアとした長期的な展望に基づく研究開発に取り組んでいます。主力のアルミナ基板製品においては、耐熱衝撃性をアップしたエフセラワン®の特長を生かした用途向けの拡販活動により海外企業との取引を積極的に行っています。アルザ®(パワーモジュール用途高強度基板)については、安定量産化に向けたプロセス改良を継続中です。
また、新規積層基板の開発を推し進める中で、医療用、高周波用途向けなどの商談を推し進めています。そのほかアルミナ基板製造工程を中心に生産ラインの自動化を推し進めるなど、工場内の省力化対応に向けた長期的な取り組みを開始しました。
(3) 陶磁器事業
引き続き長く商品を提供し品質を維持するため、原料の枯渇対応に取り組んでいます。また、限りある資源を有効に活用する研究開発に取り組み、より耐久性を上げ、長く使っていただくことや環境にやさしい新加飾の製品開発を行っています。
また、事業部の垣根を越え、廃棄物の削減に貢献する活動として、オーダーメイドのバスルームを製造する際に生じる余剰タイルの廃材をアップサイクルした食器「uptile dish(アップタイルディッシュ)」を開発、販売開始しました。今後も新たなサステナブル活動に注力し、今後の循環型社会へ向け挑戦していきます。
(4) その他
先般、新たな用途開発を目指していく中で、捨てられるボーンチャイナを肥料として活用する技術を開発し当該商品の肥料登録を行いました。現在までに商品名「BONEARTH®」として販売開始し好評を得ています。