(1)会社の経営の基本方針
当社は2019年に創立100周年を迎え、グローバルに展開する多様なグループ会社や従業員、さらには広くステークホルダーに当社創業の精神と存在目的を示すため、「NGKグループ理念」を見直しました。
<NGKグループ理念>
私たちの使命
「社会に新しい価値を そして、幸せを」
私たちが目指すもの
「人材 挑戦し高めあう」
「製品 期待を超えていく」
「経営 信頼こそが全ての礎」
この理念を実現するための基本方針は以下の通りです。
選択と集中により他を凌駕する技術を確立し、各々の分野においてトップクラスの地位を占める新規事業、新商品を創出します。(戦略的成長)
連結主体の事業運営を基本に、グループ会社ごとの機動性と独自性も活かして効率的な経営を行い、企業価値の向上を目指します。(高効率体質)
株主・投資家及び広く社会に適時かつ積極的に情報を発信するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に置いて、環境保全、人権の尊重、安全・快適な職場環境の提供などの社会的責任を果たし、地域、社会の発展に貢献します。(良き企業市民)
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、これと関連性の高い投下資本利益率(ROIC)を社内管理指標に採用して、資本効率を重視した経営を推進しております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。株主・投資家との適切なコミュニケーションで資本コストの引き下げに努めるとともに、資本コストを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や設備投資の意思決定プロセスにROICを活用し、経営資源をコア事業の拡大・コストダウンや開発・新規事業に効率的に投入してまいります。また、配当性向及び純資産配当率等を参照して積極的な株主還元に努めます。これらにより財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指します。
2020年の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴う経済活動の停滞によって深刻な景気後退に陥る可能性があります。一方、中長期の観点では、排ガス規制の強化やCO2削減など社会・環境課題からの要請や、IoT、AI、5G等の技術革新を背景とする事業では機会が拡大すると期待されます。
このような状況の下、当社グループは、足元の需要減に機動的に対応してマイナス影響を最小限に抑えつつ、エネルギー、エコロジー、エレクトロニクスのトリプルEの事業領域において社会の期待を超える新製品を創出し、グローバルに成長し続ける企業を目指します。
その中で、2020年度は以下の施策に取り組んでまいります。
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
⑤ リスクの見直しと対策
① 既存事業の収益力強化-新・ものづくり構造革新
当社グループは、新・ものづくり構造革新として、技術先進性をベースにした製品価値の向上と革新製造プロセスによる生産性向上に取り組んでおります。主要な工場では総合設備効率(OEE)を指標に総合的な生産性を計測し、新規設備投資についてもROICを意識して実施するなど、確実に成果につなげてまいります。
セラミックス事業については、足元では世界的な乗用車販売台数の減少に伴い自動車排ガス浄化用触媒担体(ハニセラム®)を中心に生産調整を余儀なくされているものの、中長期では排ガス規制強化に伴い、乗用車向けのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)やトラック・オフロード車向けのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の物量増が期待されるほか、既存製品についても高付加価値品の比率が高まるなど、成長の機会があると考えています。こうした状況に対応し、最新鋭で高効率なグローバル生産体制の構築を進めるとともに、既存ラインのOEE改善や高難度品の生産性改善に取り組み、収益力向上を目指します。さらに新規の排ガス規制や自動車の電動化進展に対応した製品開発にも重点的に取り組み、事業の競争力強化と持続的な成長につなげてまいります。
プロセステクノロジー事業については、5Gの導入やIoTの進展により半導体市場の成長が見込まれる中、2019年10月に稼働した半導体製造装置用製品の新工場(岐阜県多治見市)の一貫ラインを最大限に活用し、生産性改善と需要拡大への対応を両立します。また、次世代製品の開発・投入に取り組み、トップサプライヤーとして技術・性能面での顧客の高い要求に対応してまいります。産業プロセス事業では、需要の高まる原子力発電所向けの低レベル放射性廃棄物処理装置にも注力してまいります。
エレクトロニクス事業については、モバイル通信の高速化やデータセンターの投資拡大を背景に、当社の高性能SAWフィルター用複合ウエハーやハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーターの需要増を見込んでおり、増産対応を進めております。また、自動車の電動化に対応し、車載用パワーモジュール向けの絶縁回路基板の拡販に注力します。新製品及び新規用途の開発を推進し、研究、製造、営業が一体となって事業拡大を図ってまいります。
エネルギーインフラ事業(※)については、国内外で電力会社の設備投資抑制が継続する中、がいしは不採算製品の撤退、大幅な人員スリム化やコストダウンとともに製品価格の見直しを進め、早期黒字化を目指します。エナジーストレージ関連では、NAS®電池の本格的な需要拡大に暫く時間を要すると見ており、ドイツの総合化学メーカーBASF社(本社:ルートヴィッヒスハーフェン)との提携による共同開発や販路拡大に努めるとともに、亜鉛二次電池(ZNB®)の早期事業化を推進し、事業基盤の構築と将来の需要拡大に向けた足場固めを行ってまいります。
(※)2020年4月1日付の組織変更で電力関連事業を「エネルギーインフラ事業」に改称しました。既存の電力系統向けがいしやNAS®電池に、需要家向けのZNB®を加えることでラインナップの拡充を図り、電力系統・蓄電分野におけるインフラ事業を総合的に強化してまいります。
② 新製品・新規事業の創出-Keep up 30
当社グループは、売上高に占める新製品比率30%以上を継続する「Keep up 30」を全社目標に掲げ、新製品・新規事業の創出による成長力確保を目指しております。2019年4月に事業化した小型・薄型で高容量なチップ型セラミックス二次電池「EnerCera®」シリーズは、IoTモジュールの本格普及の妨げとなる電源確保の課題を解決する蓄電デバイスとして高い評価を受けており、2019年10月の「CEATEC 2019」においてデバイス&テクノロジー部門のグランプリを受賞しました。また、亜鉛二次電池(ZNB®)では、米国の第三者安全科学機関であるUL(本社:イリノイ州ノースブルック)による「UL9540A」規格に基づく試験を行い、熱暴走や発火が不発生である高い安全性能が実証された結果、蓄電池分野で世界初のUL検証マークを取得しました。その他、全固体電池や窒素ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN®」(高周波デバイス用、パワーデバイス用)をはじめ有望な開発テーマに対しては重点的に資源を投じ、当社独自のセラミック技術を用いて次の新製品・事業化製品を創出してまいります。
③ ESGとコンプライアンス意識の向上
当社グループは、海外20ヵ国に44のグループ会社を展開し、うち20社において製造を行っております。海外でのビジネスが拡大する中、経営の透明性と自律性を高めており、NGKグループで働く全員が公正な価値観や国際的な水準の判断基準にしたがって行動できるよう環境整備を進めます。経営レベルでは、2019年4月に「ESG会議」を設け、E(環境)・S(社会)・G(企業統治)に関する重要な課題について幅広く議論を行っております。また、全グループ構成員が持続可能な社会の実現、人権尊重、コンプライアンスを実践できるよう、様々な対話の機会を設けて「NGKグループ企業行動指針」の周知徹底を図っております。
環境経営の観点からは、2016年度からスタートした第4期環境行動5カ年計画が2020年度で最終年度を迎えるにあたり、引き続き環境負荷低減に寄与する製品・サービスの開発・普及や環境負荷を低減する生産技術の開発・導入に注力し、目標達成を目指します。また、当社グループは2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明いたしました。持続可能な社会の実現に当事者として取り組むとともに、関連する情報の開示とその充実に努めてまいります。
競争法及び海外腐敗行為防止法などの法令遵守については、継続的な経営トップのメッセージ発信、ハラスメント等の防止を目的にした国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的な水準に沿った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用などにより徹底を図っております。
品質コンプライアンスについては、2018年に判明したがいし等製品の受渡検査に関する不整合の反省を踏まえ、引き続き経営トップによる品質活動や品質委員会の直接指導の実施など仕組みを強化するとともに、経営層及び従業員に対する品質教育の徹底など企業体質の改善に取り組みます。また、労働環境の安全面では、国内外グループ会社のリスクアセスメントの推進による重大災害リスクの特定と未然防止対策の強化に加え、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害リスクの低減に取り組んでまいります。
コーポレートガバナンスについては、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、社外役員を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会や、役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う社外役員を主要な構成員とする経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。また、これらの不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に経営倫理委員会に直結する内部通報制度「ホットライン」を設置し、近々基準化されるISOに準拠できるよう規定・運用を見直すなど、コンプライアンス体制を充実させております。
こうした取り組みを通じて、より一層グローバル経営を支えるコンプライアンス意識の向上、リスク低減、ガバナンス体制の強化・充実を図ってまいります。
④ 人権の尊重と従業員の多様性(ダイバーシティ)の推進
当社グループは、人権に関する国際的な規範を遵守するとともに、人種、国籍、性別などの従業員の多様性を尊重し、雇用の安定と機会均等を基本方針に多様な人材を登用しております。当社では、豊富な経験や高い専門性を持った従業員が安心して活躍できるように65歳定年制を導入済みです。2020年4月には、より人権を尊重した企業活動やグループ全体で対処すべき人事課題を横断的に議論する組織として「HR委員会」を設置するとともに、ダイバーシティ推進部を新設するなどグループ経営重視、個の尊重の観点から機能強化を図っております。
また、女性社員の活躍推進については、育休復職者研修、キャリアデザイン研修などを実施しているほか、育休からの早期復職支援制度や在宅勤務も導入し活用を推進しております。障がい者雇用については、グループ会社が特例子会社認定を取得し、雇用拡大に取り組んでおります。
⑤ リスクの見直しと対策
当社グループは、グローバルに事業が拡大する中、多様化する事業リスクの影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。2019年4月に設置した、前述の「ESG会議」において、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを事業環境、戦略、内部要因に分類し継続的に見直しを行っております。また、アンケートの実施や内部統制プロセスにおける特別リスクの評価などを通じてリスク分析を行い、各委員会や各担当部門が中心となって事案ごとにリスクの回避・予防に努めております。
足元の新型コロナウイルスの感染防止にあたっては、特別危機管理事案として位置づけ、BCP(事業継続計画)対策本部が情報を集約し、従業員の安全確保を最優先に事業継続に向けた各種対策を進めております。
当社グループは、こうした取り組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、資本効率重視、株主重視の経営を継続してまいります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日現在)において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業運営におけるリスク
当社グループは、国内のみならず海外では20ヵ国に44のグループ会社を展開し、うち20社において製造を行っております。各国・地域の政治や対日感情の安定、法律、規制、インフラの整備、関税を含むインセンティブ、教育や人材確保などが各事業の前提条件となっております。当社は様々な検討から拠点を分散し、グローバルに代替可能な体制構築に取り組んでおりますが、デモ、テロ、戦争、感染症などによる社会的混乱等を含め、これらの諸条件に予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
また、主要な製品の需要動向、競争や収益環境につきましては以下の通りです。
① セラミックス事業
当事業の主力製品である自動車排ガス浄化用セラミックス製品(ハニセラム®、センサ製品群)は、当社製品を搭載する内燃機関自動車がEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)等の非内燃機関車に置き換わり、あるいはカーシェアリングなど消費者の価値観やビジネスモデルの変化によって、需要が変動する可能性があります。当社グループでは、2030年段階においてもハイブリッド車を含む内燃機関車の市場は現状を上回る規模で推移すると予想しており、排ガス規制の強化に伴い新製品や高機能品の増加による事業成長を目論んでおります。しかしながら、内燃機関車の減少に繋がる変化が当社の想定を超えて短期間で進捗した場合には、期待する成長を達成できないリスクがあります。
また、重要性を増す中国市場においては、競合が台頭するリスクがあります。当社グループでは、環境規制を先取りした技術対応力や供給の安定感により競争力を強化してまいりますが、競合が当社グループの想定を上回る競争力を得た場合には、市場シェアの一部を喪失するリスクがあります。
当事業は、市場シェアが高く、製品に見合った供給責任を果たす観点から多額の設備投資を先行させております。当社グループは環境規制の内容と時期、自動車メーカーのモデルチェンジ計画や景況等の見通しに基づき設備投資を実施しておりますが、景況の悪化や規制時期の遅れなど短期間で需要見通しが下方修正される場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
② プロセステクノロジー事業
当事業は半導体製造装置メーカー向けの部材、リチウムイオン電池の正極材用焼成炉、電子部品製造用の耐火物、原子力発電所向けの低レベル放射性廃棄物処理装置等を供給しております。
主力の半導体関連事業の需要は半導体の需給状況や技術革新により大きく左右されます。当社グループは、直接の顧客である半導体製造装置メーカーと連携し、半導体市場及び大手半導体メーカーの設備投資動向を踏まえて、都度、設備能力や人員・生産体制等を見直しておりますが、想定を上回る規模で需要が減少した場合には、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、当社独自の材料・設計・生産技術による差別化を図ると共に、製品供給力を高めることで業界トップのポジションを維持しておりますが、顧客ニーズへの対応遅れ等により市場シェアを喪失する可能性があります。5GやIoTの普及により半導体の物量は増大し、当該事業も中長期に成長すると見込んでおりますが、革新的な発明により半導体製造プロセスが大幅に変更された場合等において、期待する成長水準を達成できない可能性があります。
その他の事業においては、特にリチウムイオン電池正極材および電子部品向け焼成炉の成長が見込まれますが、競合が当社グループの想定を上回る競争力を得た場合には、市場シェアを喪失するリスクがあります。
③ エレクトロニクス事業
当事業は、自動車部品・家電・情報通信機器等のスイッチやコネクターに用いられるベリリウム銅展伸材、スマートフォン向け高性能SAWフィルター用複合ウエハー、携帯基地局用パワーアンプに用いられる高周波デバイス用セラミックパッケージ、データサーバーに用いられる大容量HDDヘッド用のアクチュエーター、産業機器向けのノイズフィルタ等の部材を供給しております。これら製品の需要は、最終消費財の販売動向や携帯基地局・データサーバーへの投資の動向等に大きく左右されることから、客先動向を注視した上で需要の変動に素早く対応できるよう適宜人員体制、生産体制等を見直しております。しかしながら、当社グループの想定を超えて大きく需要が減少する場合や、需要低迷が長期化する場合には、販売の急激な減少や過剰在庫の発生により業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
当事業が属するエレクトロニクス業界は、技術革新やモデルチェンジのペースが速く、主要顧客のニーズに応じてタイムリーに新技術開発、製品投入が出来ない、もしくは競合メーカーが当社グループの想定を上回って伸長した場合には受注を失い、収益が大幅に減少するリスクがあります。
④ エネルギーインフラ事業
当事業は主として電力会社向けに電力絶縁用がいし及び機器類を販売しているほか、電力会社、製造業などの電力需要家、官公庁向けに電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)等を販売しております。
がいしや機器類の需要は、各国のエネルギー政策や電力会社の設備投資の動向に大きく左右されます。国内では2020年の発送電分離以降の電力業界の先行きが不透明なことに加え、原発再稼働の遅れの影響が懸念されるほか、海外でも競合企業の動向や各国の電力政策が影響し、業績が悪化するリスクがあります。
国内市場の一部で磁器製に比べて寿命は短いものの、低コストで軽量なポリマー製がいしが採用される動きがあり、想定を上回って普及した場合には、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
NAS®電池については、再生可能エネルギーの普及に伴い長時間用途・大容量電池の構造的ニーズが顕在化しつつあり、将来需要が拡大する可能性があります。当事業では引き続き、NAS®電池の持つ優位性(大容量)をアピールすると共に、欧州などの有力企業とのパートナーシップ強化や政府の支援策等も活用し、ニーズの取り込みを図ってまいります。しかしながら、大容量・長時間用途の市場拡大の時期が遅れた場合や、リチウムイオン電池などの競合製品が技術革新により一層普及した場合には、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
(2) 研究開発に関するリスク
当社グループは、創業以来強みとして培ってきたセラミックスの材料および加工プロセス技術を核として、既存製品の高性能化のみならず有望テーマの探索にもインプットを継続しております。全社売上高に占める新製品(5年以内に事業化した製品)比率は30%を目標に、研究開発費合計は連結売上高の5%程度を目安として事業規模の拡大に対応して増加させております。しかしながら、技術開発、製品開発には不確実要素が多く、また技術間競争も複雑化していることから、インプットが十分な成果に結びつかず業績に影響を及ぼすリスクがあります。
(3) 法令遵守、人権・安全、品質に関するリスク
① 法令等の遵守に関するリスク
当社グループは、他社との技術差別化により高い市場シェアを占める製品をグローバルに供給しており、国内外で競争法、輸出入関連法規、労働関連法規などの各種法令や外国公務員贈賄規制などの規制を遵守して事業活動を行っております。これらの法令・規制への違反や、人権の尊重、契約遵守などの社会的要請に反した行動があった場合には、処罰や訴訟の提起、社会的な制裁を受け、レピュテーション低下につながる恐れがあります。
当社グループは、NGKグループ企業行動指針に基づいた誠実な事業活動を行うことを最重要課題の一つとして位置付け、従業員への各種教育の実施やハンドブック配布による関連法規制の周知徹底とコンプライアンス意識の一層の向上に取り組んでおります。重要な不正事案や法令違反については、社外役員とコンプライアンス担当役員から構成される経営倫理委員会で予防と監視に当たっています。
また、関連規程を整備し、国内外で遵守を徹底するとともに、匿名での受付や弁護士経由での社外役員への直接報告を織り込んだ内部通報制度の運用により、従業員の法令違反や社会的要請に反した行為等の発生可能性の低減を図っております。
② 人権・安全に関するリスク
当社グループは、従業員の労働災害や疾病・身体・メンタルヘルス問題のリスクに対し、安全衛生基本方針に基づき重大災害リスクの特定とリスクアセスメントによる未然防止対策強化を図ると共に、長時間労働者へのフォローや階層別メンタルケア教育にも力を入れております。また、企業行動指針に人間性の尊重を掲げ、人権に関する国際規範を遵守すると共に、個々の従業員の自主性と多様性を尊重するなど誰もが働きやすい職場環境づくりに努めております。一方、従業員の健康増進にも力を入れ、当社は2020年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を2年連続で受けました。しかしながら、当社グループの予想し得ない問題が発生した場合には、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
③ 品質に関するリスク
当社グループは、エネルギー・エコロジー・エレクトロニクスの分野でグローバルにセラミックス製品を生産・販売しており、重大な市場クレームや契約違反など業務の不備に伴う信用の失墜、利益の喪失、成長の減退等の品質リスクを認識しております。
当社グループは、経営トップの直接指導の下、品質委員会の定める品質方針に基づき、品質経営統括部が各事業本部の品質活動をモニタリングすると共に、重要課題については品質会議を開催して迅速な解決を図るなど品質リスク低減を図っております。また、お客様の品質要求の高度化・多様化に的確に対応するため、①開発から生産立ち上げ、製造工程の変更時に守るべき品質の確認②製品設計に対する審査(DR:デザイン・レビュー)の実施③製造不良と市場クレームの状況の監視・共有④重大な品質問題への処置の検討など4つの品質活動をルール化し、更に業務のレベルでは、品質向上とリスク排除を強化するための業務プロセスを強化する品質リスク排除プロセス活動を全社展開するなど、品質管理の有効性を高める活動を推進しております。しかしながら、当社グループが製造・販売する製品において、予想し得ない品質問題が生じた場合には、業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
(4) 情報システムのリスク
当社グループは、受注・販売、生産管理、会計、研究開発等の業務に広くITシステムを活用しております。また、働き方改革の実現に向けてグループ共通の情報通信システム(ICT)やプラットフォームの構築、RPAの活用を促進しております。当社グループでは、グループ内共通の基準に基づきITセキュリティ体制の構築や全体のセキュリティ向上に取り組んでおり、従業員に対しては情報セキュリティ教育を実施し、内部の情報資産の適正な管理・運用の徹底に努めております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、想定外のシステム不具合やセキュリティ上の問題によりデータ処理の停止、データの盗難・破壊・改ざん・喪失等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や業務の継続に悪影響を及ぼすリスクがあります。
(5) 為替、資金及び資材調達のリスク
当社グループはグローバルに製品の生産・販売を行っており、海外売上高比率は7割を超える水準にあります。為替レートの変動に対しては、需要地生産、現地通貨での資金調達、為替状況に応じた最適購買などの対策を実施すると共に、短期的な変動に対しては、先物為替予約等によりリスクヘッジしておりますが、円高は売上高・利益の減少要因となって業績に悪影響を及ぼします。また、設備投資などの資金調達を行う場合には、地域により大きな金融危機などで資金調達が困難となり、当社グループの事業運営や業績・財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
素材価格の上昇は製造コストの増加となりますが、その影響を軽減すべく売価への反映、競争購買、設計見直しによるコストダウンなどに取り組んでおります。当社グループはサプライチェーンの適切な管理や仕入れ価格の吸収にも努力していきますが、特定の素材・設備の流通が滞り、過度の価格の上昇が起こる場合には、当社グループの事業運営や業績・財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
(6) 気候変動と災害のリスク
地球温暖化や気候変動問題への関心が世界的に高まる中で、当社グループは、金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を2020年2月に表明いたしました。気候変動がもたらすリスクと機会の分析・開示が課題解決に有効と考え、関連する情報の開示とその充実に努めてまいります。環境負荷低減に貢献する製品・サービスの開発・普及を図るとともに、高効率・低環境負荷な生産技術の開発・導入に注力し、生産プロセスにおける二酸化炭素排出量削減に努めております。しかしながら、将来的に国際的な温室効果ガスの排出規制や環境税・炭素税などの税制が導入された場合には追加的費用が生じ、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
また、温暖化に伴う海水面の上昇や台風の大型化、局地的な暴雨の頻発等により水害が生じ、操業困難な拠点が発生する可能性があります。当社グループは、代替生産可能な生産体制の構築を進めておりますが、リスクが想定を上回る規模や期間に渡って生じた場合には、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループは、BCP(事業継続計画)をグループ全体で推進し、災害発生時の事業継続や早期復旧のため、主力事業の製造拠点の分散化や購買先の複数化、建物・設備の減災、従業員の安全確保などの各種対策に取り組んでおります。しかしながら、大規模災害や火災等の事故等により主要製造拠点の生産設備に深刻な被害が発生した場合、また、工場が立地する地域のインフラ側に長期の供給支障が生じた場合等には相当期間、生産活動が停止し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
また、新型インフルエンザやコロナウイルス等の重大な感染症が発生・蔓延し、社員、サプライヤーや顧客に罹患者が出た場合や、顧客の操業が著しく低下した場合には、当社グループの製品の生産・販売に悪影響を及ぼすリスクがあります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、雇用や所得環境の改善による緩やかな成長から、新型コロナウイルス感染拡大を受けて第4四半期にはマイナス成長となりました。海外においても、良好な雇用環境と金融緩和に支えられて推移したものの、第4四半期には経済活動が抑制され、世界経済は急速に悪化しました。
このような状況のもと、当社グループの電力関連事業では、がいし・電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)ともに出荷が低調に推移しました。セラミックス事業では、自動車生産と販売台数の減少を受けて、自動車関連製品の出荷が伸び悩みました。エレクトロニクス事業では、中国の携帯基地局投資の停滞を背景にセラミックパッケージの需要が減少しました。プロセステクノロジー事業では、半導体メーカーの設備投資抑制を背景に半導体製造装置用製品の物量が減少しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高合計は、前期比4.6%減の4,419億56百万円となりました。
利益面では、上記の売上高の減少や減価償却費が増加した影響等により営業利益は前期比15.0%減の550億円、経常利益は同19.3%減の519億52百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、新型コロナウイルスの影響を受けた自動車関連製品のタイ製造子会社や、パッケージ事業等で減損損失125億58百万円を計上したことなどから、前期比23.6%減の271億35百万円となりました。
当社グループは、ROEを主要な経営指標とし、これと関連性の高い投下資本利益率(ROIC)を社内管理指標に採用して、資本効率を重視した経営を推進しております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。
当連結会計年度におけるROEは、営業利益の減益に加えて減損損失を計上したこと等から5.8%(前年同期比1.8ポイント悪化)となり、目標である10%を下回りましたが、引き続き当該指標の維持・向上に取り組んでまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
〔電力関連事業〕
当事業の売上高は、433億77百万円と前期に比して13.0%減少いたしました。
がいしは、国内電力会社の設備投資抑制が継続し出荷が低調に推移したことに加え、海外におきましても生産拠点の縮小により出荷が減少しました。NAS®電池は、大口案件が無く出荷が減少しました。
利益面では、前期84億98百万円の営業損失から49億15百万円の営業損失に赤字が縮小しました。
〔セラミックス事業〕
当事業の売上高は、2,517億85百万円と前期に比して0.1%増加いたしました。
欧州・中国の排ガス規制強化に伴いガソリン乗用車用GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の物量は増加したものの、自動車の生産・販売台数の減少や為替円高の影響により、売上高は前期並みとなりました。
営業利益は、減価償却費の増加等により前期比4.4%減の534億84百万円となりました。
〔エレクトロニクス事業〕
当事業の売上高は、554億26百万円と前期に比して5.8%減少いたしました。
金属は、中国市場の市況悪化によりベリリウム銅製品の出荷が減少しました。電子部品は、SAWフィルター用複合ウエハーやHDD用圧電マイクロアクチュエーターの物量が増加した一方で、中国の携帯マクロ基地局投資の停滞等を背景にセラミックパッケージの物量が減少しました。また、連結子会社の双信電機株式会社におきましても、半導体及び工作機械市場の低迷により、売上高は前期に比して減収となりました。
利益面では、前期3億14百万円の営業損失から25百万円の営業利益となりました。
〔プロセステクノロジー事業〕
当事業の売上高は、942億96百万円と前期に比して11.5%減少いたしました。
半導体製造装置用製品は、半導体メーカーの設備投資抑制に伴う需要の落ち込みにより減収となりました。産業機器関連製品は、車載用リチウムイオン電池の正極材製造用焼成炉等の需要が減少し、減収となりました。
営業利益は、出荷物量の減少、減価償却費の増加などから前期比63.5%減の64億36百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。
2.上記は、販売価格をもって表示しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.セグメント間取引については、相殺消去しております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し3.5%減少し8,330億85百万円となりました。
流動資産は、たな卸資産が増加したものの、有価証券や現金及び預金などが減少したことから、前期比10.1%減の3,983億74百万円となりました。固定資産は、自動車関連及び半導体製造装置用製品を中心とした生産能力増強の投資により有形固定資産が増加したことから、前期比3.4%増の4,347億10百万円となりました。
流動負債は、1年内返済予定の長期借入金、支払手形及び買掛金などが減少したことから、前期比22.7%減の1,142億89百万円となりました。固定負債は、長期借入金が増加したことなどにより、前期比10.2%増の2,496億77百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加しましたが、為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金の減少により、前期比4.1%減の4,691億18百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は55.0%(前連結会計年度末55.3%)となり、1株当たり純資産は1,448.62円と、前期を35.36円下回りました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
〔電力関連事業〕
当事業の総資産は、資金が減少したこと等により前期比13.8%減の566億36百万円となりました。
〔セラミックス事業〕
当事業の総資産は、前期比1.5%増加し、4,239億98百万円となりました。自動車関連製品の増産投資により有形固定資産が増加しました。
〔エレクトロニクス事業〕
当事業の総資産は、前期比4.7%増加し、686億69百万円となりました。電子部品関連製品の増産投資により有形固定資産が増加しました。
〔プロセステクノロジー事業〕
当事業の総資産は、前期比19.9%増加し、1,329億7百万円となりました。半導体製造装置用製品の増産投資等により有形固定資産が増加しました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による532億円の収入、投資活動による608億30百万円の支出、及び財務活動による187億96百万円の支出などにより、前期末に比し292億93百万円減少し、当期末残高は946億91百万円となりました。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払い、たな卸資産の増加などがあったものの、税金等調整前当期純利益438億36百万円に減価償却費を加え、合計では532億円の収入となりました。前期との比較では、80億24百万円の収入減となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却においては、メタウォーター株式会社の株式の一部やその他政策保有株式を売却したほか、有価証券の償還等による収入がありました。一方、有形固定資産の取得による支出では、自動車関連製品で中国、ポーランド工場、半導体製造装置用製品では多治見工場を中心とした設備投資を実施したほか、有価証券の取得などによる支出があり、投資活動によるキャッシュ・フローは合計で608億30百万円の支出となりました。前期との比較では、489億12百万円の支出減となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、海外での設備投資に充当する外貨建て長期借入れによる収入の一方、長期借入金の返済や配当金の支払い、さらには、資本効率向上と経営環境に応じた弾力的な資本政策を遂行するため自己株式を取得したことなどにより、合計で187億96百万円の支出となりました。前期との比較では、223億60百万円の収入減となりました。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
①たな卸資産の評価
たな卸資産は、取得原価で計上しておりますが、当連結会計年度末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額を連結貸借対照表価額とし、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。正味売却価額は、一定期間における販売実績に基づいた価額から販売直接経費等を控除して算定おります。また、一定期間滞留していた、たな卸資産についても、市場動向等を反映した価額に簿価を切り下げております。市場環境が想定よりも悪化した場合には、追加の損失が発生する可能性があります。
②固定資産の減損損失
有形固定資産及び無形固定資産について、主に内部管理上採用している事業によりグルーピングを行っており、また遊休資産については個々の資産を資産グループとしております。減損損失測定のステップに至った場合には、資産グループの単位で回収可能価額を見積り、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、差額を減損損失として認識しております。回収可能価額の算定にあたっては、将来事業計画を根拠として将来キャッシュ・フローを見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っております。
事業環境の悪化により収益性が当初の想定を下回る場合や保有資産の市場価額等が下落する場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響によって減損損失を計上しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 ※6 減損損失」に記載しております。
③偶発債務
引当金の認識基準を満たさない債務については、その発生可能性及び金額的影響等を入手可能な情報に基づいて考慮した上で、偶発債務として注記しております。
なお、個別財務諸表及びその注記においても、同様の取り扱いをしております。
④退職給付に係る資産及び負債の算定
退職給付に係る資産及び負債のうち、確定給付制度に係る分については、年金資産の期待運用収益率や年金数理計算で設定される割引率、退職率、死亡率、昇給率等の見積りの前提条件に基づき算定しております。これらの前提条件のうち、当社の割引率については優良社債の実績利回りに基づき決定しているほか、その他の前提条件については入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定しております。将来の不確実な経済環境あるいは社会情勢の変動等によって前提条件を見直した場合や実際の結果が前提条件と異なる場合には、数理計算上の差異が発生し、退職給付に係る資産及び負債の算定額や退職給付費用が変動する可能性があります。
⑤法人税等の算定及び繰延税金資産の回収可能性
法人税等は連結会計年度末において施行又は実質的に施行されている税率及び税法に基づき算定しております。また、当社グループ及び管轄税務当局による税法規定の解釈や過去の税務調査の経緯等、様々な要因により法人税等の支払い又は還付額の計上が必要であると判断した場合には、当該必要額を見積計上しております。
今後、税法の改正や税務訴訟の判決の内容により法人税等の見積額が変動し、損益へ影響を与える可能性があります。
繰延税金資産は、将来事業計画に基づいて課税所得の発生時期及び金額を見積り、回収可能性が高いと判断した金額を計上しております。今後、経営環境の変化に伴い将来発生する課税所得の見通しが変化する場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、損益へ影響を与える可能性があります。
(資金の借入)
当社は、2020年5月28日及び2020年6月3日に銀行との借入契約を締結し、実行しました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループは、研究開発を重要な経営課題のひとつとし、ファインセラミックスを中心とした材料技術とシステム技術とをベースに、高付加価値、高機能な新製品の提供を目指し、研究開発に積極的に資源投入しております。推進体制としては、基礎から応用まで手掛ける親会社の研究開発部門での研究開発と、事業本部及び子会社での商品化に近い研究開発の二本立てで進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
〔電力関連事業〕
電力関連事業では、がいし製品及び電力貯蔵用NAS®電池のコストダウン製法及び性能向上の研究に取り組んでおります。また、配電機器事業においては、連結子会社のエナジーサポート㈱にて、配電用機器の新製品開発や、各製品の低コスト化に関する研究開発に取り組んでおります。
なお、当事業に係る研究開発費は
〔セラミックス事業〕
セラミックス事業では、エンジン排ガス用NOxセンサーや電気加熱触媒(EHC)、ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)の商品開発、及び自動車排ガス浄化用触媒担体、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)の生産技術改善等の研究開発に取り組んでおります。
なお、当事業に係る研究開発費は
〔エレクトロニクス事業〕
エレクトロニクス事業では、圧電セラミックス技術をコアとした各種応用デバイス、SAWフィルタ用複合ウエハー、情報通信用各種セラミックパッケージ、自動車・産業用機器・デジタル家電用コネクタ、リレー、摺動部品用などのベリリウム銅および非ベリリウム銅製品等の研究に取り組んでおります。
連結子会社の双信電機㈱では、パワーエレクトロニクス分野と情報通信分野を中心に大容量コンデンサや積層誘電体フィルタの研究開発を進めております。
なお、当事業に係る研究開発費は
〔プロセステクノロジー事業〕
プロセステクノロジー事業では、半導体製造装置の高機能化に対応するセラミック部品及びモジュール、特殊な赤外線ヒータを用いた乾燥システム、原子力発電所向け廃棄物処理システムの改良等の研究開発に取り組んでおります。
なお、当事業に係る研究開発費は
〔本社部門〕
本社部門には、全社的な研究開発を担当する研究開発本部があります。研究開発本部は、中・長期にわたるセラミックス基礎技術の創出、育成と新商品の種をつくることを主たる任務としており、ウエハープロジェクト、NCMプロジェクト、機能材料プロジェクト、SOFCプロジェクト、ZNBプロジェクト、ACBプロジェクト、基盤技術研究所及び次世代技術戦略室より成り立っています。
また、当連結会計年度における研究開発テーマとして、チップ型セラミックス二次電池、CO2分離用DDR型ゼオライト膜等があります。
なお、本社部門に係る研究開発費は10,573百万円であります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。