第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、社是「愛業至誠:良品と均質 奉仕と信用 協力と発展」とTOTOグループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します。」に基づき、広く社会や地球環境にとって有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2050年のカーボンニュートラルで持続可能な社会の実現に貢献し、すべての人に快適で健康な暮らしを提供することを目指します。

そのために、「きれいで快適・健康な暮らしの実現」「社会・地球環境への貢献」を目指し、2021年度から始まる10カ年の「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を策定しました。

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TOTO WILL2030を実現するための最初の3年間(2021年度~2023年度)を「中期経営課題(WILL2030 STAGE1)」として具体的な目標を定め、環境変化に対応していきます。

WILL2030 STAGE1では、事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」をより一体化させ、更なる企業価値向上を目指します。

その戦略フレームは、企業活動のベースとなる「コーポレートガバナンス」と時代の変化に先んじるための「デジタルイノベーション」があり、「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、全社最適視点で横串を通す3つの全社横断革新活動です。

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<グローバル住設事業について>

・日本住設事業

日本では、新築住宅着工戸数が伸び悩み、ストック型社会へ移行が進む中、日本住設事業においては、リモデル(住宅・パブリック)に注力しています。住宅リモデルでは「あんしんリモデル戦略」の推進により、お客様のリモデルへの不安を取り除くことに加え、デジタルを活用しリモデルへの期待感が高まる情報を発信します。パブリックではTOTOが創り出した清潔なトイレ文化を世界に発信します。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、お客様の衛生的な空間と快適な暮らしへのニーズの高まりに対応した商品の提案・開発を強化します。

これらの戦略推進により、強固な事業体質を確立・維持します。

 

・中国・アジア住設事業

中国大陸事業

中国大陸では、国民の所得増加に伴い、温水洗浄便座が普及し始めています。中国大陸事業においては、市場環境や消費者の購買行動の変化などを捉えながら、「高級ブランドTOTO」としての強みを活かし、事業活動を推進しています。

 

アジア・オセアニア事業

アジア諸国・地域についても、所得水準の上昇や下水道普及に伴い、TOTOブランドの認知度が高まっています。アジア・オセアニア住設事業においては、各国・地域の販売基盤を更に強化すると共に、将来の需要増加を見据えた「世界の供給基地」として工場建設を進めています。

 

・米州・欧州住設事業

米州事業

米州においては、温水洗浄便座市場が引き続き拡大しており、フラグシップ商品の「ネオレスト」や高い節水性能を有する「トルネード洗浄大便器」と共に、TOTOブランドへの支持を広げています。

 

欧州事業

欧州においても「ウォシュレット」を中心に、デザインと機能を融合させたTOTOらしい商品の販売・サービスネットワークを更に拡充し、きれいで快適な水回りを広めています。

 

<新領域事業について>

セラミック事業

DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革は、メタバースや自動運転など様々なかたちで世界中で加速しています。全世界の通信量や蓄積されるデータ量は指数関数的に増加し、半導体及び半導体製造プロセスに求められる要求仕様は、高精度化の一途をたどっています。ますます加速する半導体の進化に対し、TOTOが積み上げてきた高い技術を結集して、半導体の未来と世界の情報化社会を支えていきます。

 

<全社横断革新活動について>

・全社最適視点での商品戦略を担う「マーケティング革新」

日本発のコアテクノロジーをグローバルでも共通基盤技術として活かしながら、エリアごとの市場や特性に応じた商品企画・開発を推進し、世界に通用する美しく快適な商品を展開しています。デザインとテクノロジーの融合をグローバル統一プロモーションとして世界へ発信しています。

 

・モノ・情報の流れを最適・高速化し、魅力ある商品をお客様へお届けする「デマンドチェーン革新」

原材料調達から、お客様施工現場到着までの流れにおいて高速サプライチェーンを構築する「サプライチェーン革新」と、全社最適の商品開発・生産体制で既成概念を超えた新たな発想によるもの創りを進める「もの創り革新」からなる「デマンドチェーン革新」の活動を推進しています。商品企画から、研究開発、購買、生産、物流、販売、アフターサービスまで一体となった活動をグローバルに展開し、お客様のご要望に素早く効率的に応える体制を構築しています。

 

(当期までの主な進捗状況)

・「サプライチェーン革新」では、グローバルでリスクに備えたBCP※対応強化と「納期乖離」「棚卸資産」「サプライチェーンコスト」の極小化という三律背反課題に生産・販売一体となって取り組んでいます。2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大や異常気象など想定を超える事象の影響を受け、部品調達が滞り、商品の納期遅れが発生しました。

2022年度は、継続してBCP対応強化を図ると共に納期正常化を第一優先に取り組んでいきます。

・「もの創り革新」では、開発・生産・製造革新にて商品開発~生産工程設計~量産における革新活動を推進し、加えて各革新活動にデジタル活用の軸を組み込み、スピーディな商品開発、Smart Factory化を推し進めるなど、効率的な生産体制の構築に取り組みました。今後もデジタル活用を拡大し、もの創りを進化させていきます。

 

(※)BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)

 

・多様な人財が集まり、安心して働き、イキイキとチャレンジできる会社をつくる「マネジメントリソース革新」

ダイバーシティの更なる進化を目指し、「多様な人財」が活躍できる職場づくりに取り組んでいます。また、場所と時間を柔軟に活用できる「多様な働き方」の実現を推進しています。

 

(当期までの主な進捗状況)

・女性、障がいをお持ちの方、LGBTQ(性的マイノリティ)の方など、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進しました。職場におけるLGBTQなど性的マイノリティへの取り組みの評価指標である「PRIDE指標2021」で「ゴールド」を受賞しました。

・多様な働き方の実現に向けて、働きやすい職場づくりに取り組み、有給休暇取得を進めました。また、場所と時間を柔軟に活用できる働き方のひとつである在宅勤務を推進しています。今後も働きやすい職場づくりを継続し、創出した時間で自己成長を図り、新たな価値の創出につなげていきます。

・今後も多様な人財の活躍を後押しし、会社の成長につなげ、選ばれる会社を目指していきます。その一環として2022年度より、国内すべての当社グループ社員の定年年齢を現在の60歳から65歳に段階的に引き上げます。あわせて、職場をけん引するリーダーの活躍に対して、よりタイムリーに報いるため、管理職社員資格を統合し、過去の評価や経験にとらわれず、現在担う役割と成果に応じた処遇へと見直しを行い、全世代の当社グループ社員が安心してイキイキと活躍し続けられる環境を整備していきます。

 

<TOTOグローバル環境ビジョンについて>

 当社グループでは、様々な事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」が一体となり、「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」の達成を目指しています。このビジョンでは、グローバルで取り組む3つのテーマとして「きれいと快適」「環境」「人とのつながり」を掲げ、きれいで快適な暮らしを世界に届け、環境にやさしいものづくりを行い、人とのつながりを大切に活動しています。

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 これらの取り組みにより、環境や社会的価値、経済価値を同時に実現し、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」についても貢献していきます。

 また、当社グループでは、主要国の中央銀行や金融規制当局などが参加する国際機関である金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言にも賛同し、気候変動が及ぼす機会とリスクを分析し、情報開示しています。加えて、当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルを目指して、使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的イニシアチブ「RE100」への加盟、科学的根拠に基づいたCO₂排出削減目標の認定制度である「SBT(Science Based Targets)」の取得など、マイルストーンを設定し、従来からのCO₂削減の取り組みに加え、再生可能エネルギーの調達拡大などを推進しています。

 

(当期までの主な進捗状況)

「きれいと快適」

目指す姿として、「きれい・快適を世界で実現する」「すべての人の使いやすさを追求する」を設定し、「きれいで快適なトイレのグローバル展開」に取り組んでいます。

「除菌」「防汚」「清掃」の技術(「きれい除菌水」「セフィオンテクト」「フチなし形状/トルネード洗浄」)や「タッチレス」などの非接触技術の提案、「ウォシュレット」に代表される「快適なトイレ」の提供を通じて、清潔で健康的な生活環境を世界中に提供しています。

これにより、あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保することを目指しているSDGsのテーマ「3:すべての人に健康と福祉を」などに貢献しています。

 

「環境」

目指す姿として、「限りある水資源を守り、未来へつなぐ」「地球との共生へ、温暖化対策に取り組む」「地域社会とともに、持続的発展を目指す」を設定し、「節水商品の普及」や「CO₂排出量削減」、「地域に根付いた社会貢献活動」に取り組んでいます。

「節水商品の普及」により、限りある水資源を守ると共に、「TOTO水環境基金」の活動により、生活用水不足や衛生環境の改善を進めている団体への支援を続けています。これにより、生活用水不足や劣悪な衛生環境で困っている人をなくそうとしているSDGsのテーマ「6:安全な水とトイレを世界中に」などに貢献しています。

 

「人とのつながり」

目指す姿として、「お客様と長く深い信頼を築く」「次世代のために、文化支援や社会貢献を行う」「働く喜びを、ともにつくり、わかち合う」を設定し、「お客様満足の向上」「社員のボランティア活動推進」「働きやすい会社の実現」に取り組んでいます。

「早く、確実、親切な」アフターサービスの提供やショールームでの提案活動によるお客様満足の向上、植樹活動や地域清掃などのボランティア活動への社員の参加促進などにより、人とのつながりを大切にしています。

また、「多様な人財の個性を尊重するダイバーシティ活動の推進」や「働き方改革」により、当社グループ社員が「働きがいのある人間らしい仕事」をして、イキイキと働けるよう活動を推進しています。これにより、若者や障がい者を含むすべての男性及び女性が、働きがいのある人間らしい仕事をしている社会を目指しているSDGsのテーマ「8:働きがいも経済成長も」などに貢献しています。

 

 

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2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)リスクマネジメント体制

当社グループは、リスクマネジメント体制として、代表取締役社長執行役員のもと、代表取締役副社長執行役員を委員長とし、重大リスクを担当する執行役員・部門長などで構成される「リスク管理委員会」を設置しています。毎年、ステークホルダーに大きな影響を及ぼす恐れのある重大リスクを抽出し、ブランドの毀損・人的影響・金額的影響の観点から、影響度と発生頻度をマトリクスで評価し、リスク管理委員会でモニタリングを行っています。

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(2)リスクマネジメントの活動サイクル

重大リスクに対しては、リスク管理統括部門長を任命しており、各リスク管理統括部門長が中心となってリスクの未然防止活動とリスク対応力の向上に努めています。リスク管理統括部門は、リスクマネジメント規定に基づき、各種委員会や会議などを通して、全部門並びにグループ会社と連携して、活動のPDCAを回しています。

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 (3)各リスクと対応策

 

①感染症拡大

全世界に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症に関して、当社グループでは、社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、対応を継続しています。対応にあたっては、お客様、お取引先、社員を含むすべてのステークホルダーの方々の安全を最優先に考え、各拠点での感染防止策の徹底、イベントや会議の中止や延期、出張の禁止措置等を段階的に実施しています。さらに、在宅勤務や時差出勤等を積極的に推し進めることで、集合や移動による感染リスクの低減を図っています。また、サプライヤーの工場の操業停止により部品供給に遅延が生じた場合も、代替調達手段等の確保を行い、事業への影響の最小化に努めています。

しかしながら、感染拡大が長期化した場合には、世界的な景気悪化、原材料や部品の調達に障害が生じる恐れがあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に大きな影響が及ぶ可能性があります。

 

②大規模災害

当社グループの事業拠点は、日本をはじめ世界各地に展開しています。大地震や大津波、台風、洪水などの自然災害、戦争、テロ行為等の事象に伴う惨事、電力等のインフラ停止などの混乱状態に陥る可能性があります。そのため、事業継続計画(BCP)を策定しており、実際に災害が発生した場合には、発生直後から対策本部を立ち上げ、事業継続と被害最小化に努めています。さらに、海外を含む全グループを対象に、実践的なリスクシミュレーションを継続的に実施し、リスク対応力強化を図っています。

しかしながら、想定を上回る大規模な災害が発生した場合には、当社グループの設備の損害だけでなく貴重な人的資源に重大な影響を与え当社グループの事業活動の一部又は全体に大きな支障をきたす可能性があります。

この場合、事業拠点の移転や損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に大きな影響が及ぶ可能性があります。

 

③原材料等の調達

 当社グループの製造事業にとって、高品質の原材料及び部品等を安定的かつタイムリーに入手することは不可欠であり、そのために当社グループ購買方針に基づき、サプライヤーの皆様と共にグローバルで原材料や部品の持続可能な調達を推進しています。近年の自然災害等に対する対応力強化として、部品品目・生産拠点の把握、サプライチェーン切断時の情報受付窓口開設、有事に備えた対策シミュレーションの実施等を通じて、リスク発生時の影響有無を即座に把握し、対策がとれる体制をサプライヤーと協働で構築しています。

しかしながら、サプライヤーからの供給が中断した場合や業界内での需要が急増した場合、もしくは需給環境の変化等によりその調達価格が高騰する可能性もあります。このような場合には、サプライヤーの変更や追加、あるいは他の原材料や部品の切り替え等がタイムリーに行うことができず、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

④市場環境の変動

      当社グループが主たる事業活動を行う住宅関連分野での需要の大幅な変動は、当社グループの事業、財政状態

    及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤競合他社との競争

 当社グループは、多岐にわたる製品の開発・生産・販売・サービスを行っており、さまざまな企業と競合しています。当社グループは、今後とも競争力の維持・強化に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりますが、将来にわたって優位に展開できなくなる可能性があります。

 

⑥急激な製品価格の下落

 当社グループは、高付加価値商品の開発やコストリダクション活動などに積極的に取り組んでいますが、国内外の市場において激しい競争に晒されており、企業努力を上回る価格下落圧力が生じた場合は、当社グループの利益の確保に深刻な影響を受ける可能性があります。

 

⑦海外事業活動における障害

 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしています。しかしながら、海外では為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、宗教や文化の相違、商習慣に関する障害、さらには投資・海外送金・輸出入・外国為替などの規制の変更や税制の変更等さまざまな政治的、経済的もしくは法的な障害を伴う可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。

⑧情報システム

 当社グループは、ほとんどすべての業務において情報通信システムのサポートを受けています。また、情報通信システムも年々、複雑化・高度化しています。当社グループは、信頼性向上のためさまざまな対策を実施し、業務を継続的に運営できる体制を整備していますが、テロ、自然災害、ハッキング等の外的要因や人為的ミス、コンピュータウイルス等により情報通信システムの不具合、故障が生じる可能性があります。この場合は、業務が一時的に中断し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

⑨有能な人財確保

当社グループは、人材は最も重要な財産の1つと捉え、グループ内では『人財』と表現しています。

当社グループの将来の永続的な成功は、人財がその能力を高め、会社に継続的に貢献し続けることと考え、経営理念に共感する人財を計画的に確保し、自律人財の育成に注力しています。従って、有能な人財の継続的な確保・育成ができない場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

⑩製品の欠陥

当社グループは、厳格な独自品質基準に基づき、製品の品質確保に細心の注意を払っています。また、万一、製品事故が発生、又は発生を予見させる兆候が発覚した場合には、お客様をはじめ関係者から迅速に情報を収集すると共に、社外の販売事業者などとも協力し、適切な情報開示に努めています。しかしながら製品に欠陥が生じた場合、欠陥に起因する直接的・間接的損害に対して、当社グループは製造物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用の支出が生じる可能性があります。また当該問題に関する報道により、当社グループのブランドイメージの低下、顧客の流出などを招き、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪環境に関する規制

当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、有害物質の取扱い・除去、廃棄物処理などを規制するさまざまな環境関連法令の適用を受けています。また、環境規制の強化によって、工場の移転・停止や設備投資などが必要となる可能性もあります。当社グループはこれら法令に細心の注意を払い事業活動を行っていますが、過去・現在及び将来の事業活動において、環境に関する費用負担の増加や賠償責任が発生する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫気候変動に関する規制

気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制が強まっています。当社グループにおいて、これら規制の強化に伴い、新たな税負担、事業活動における諸資材・燃料の変更、設備の変更等の対応費用が増加することで、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、 これらのリスクによる影響については、TCFDの提言に基づくシナリオ分析により評価し、その結果を情報開示しています。

 

⑬情報の流出

当社グループは、事業活動において顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客等の個人情報を含む)を入手したり、他企業等の情報を受け取ることがあります。当社グループは、これらの情報の秘密保持に細心の注意を払い、情報の漏えいが生じないよう最大限の管理に努めていますが、不測の事態により情報が外部に流出する可能性があります。この場合には、損害賠償等の多額な費用負担が生じたり、当社グループの事業活動やブランドイメージに影響が及ぶ可能性があります。また当社グループの事業上の重要機密が第三者に不正流用される恐れもあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭訴訟の提起

当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、事業活動を進めていく中でさまざまな訴訟等を受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には、結果によっては、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮労働安全衛生

 当社グループは、業務上災害ゼロ、業務上疾病ゼロを目指して、安全で快適な職場環境の実現に努めています。安全衛生・警防中央委員会で全社方針や基本施策等を定め、各事業所への浸透を図ると共に、各事業所では、安全衛生委員会を毎月開催し、安全衛生活動についての課題共有と対策立案・推進を行っています。しかしながら、不測の事態により重大な労働災害、労働法令違反、長時間労働等が発生した場合には、行政処分等を受け事業活動に支障が生じることが考えられ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯風評被害

当社グループは、法令遵守違反などの不適切な行為が発覚した場合は、速やかに適切な対応を図ってまいりますが、当社グループに対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用が毀損し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

①当連結会計年度の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた一年になりました。

 このような事業環境の中、当社グループは新共通価値創造戦略「TOTO WILL2030」を実現していくための最初の3年間の経営課題である、中期経営課題(WILL2030 STAGE1)に基づき、「日本住設事業」「中国・アジア住設事業」「米州・欧州住設事業」の3つの事業で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック事業」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。

 当社は、「きれいと快適」「環境」を両立するTOTOらしい商品を「サスティナブルプロダクツ」と位置付け、これらの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献しています。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が6,452億7千3百万円(前期比11.7%増)、営業利益が521億8千万円(前期比31.6%増)、経常利益が568億7千万円(前期比38.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が401億3千1百万円(前期比48.8%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、遡及処理後の数値で比較分析を行っています。

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりです。なお、セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。

 

②セグメントの状況

■グローバル住設事業

 当連結会計年度の業績は、売上高が6,149億7百万円(前期比10.3%増)、営業利益が457億8千2百万円(前期比13.0%増)となりました。

 

a.日本住設事業

 当連結会計年度の業績は、売上高が4,409億2千6百万円(前期比5.0%増)、営業利益が228億5千4百万円(前期比0.2%増)となりました。

 

 当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で、ショールームについては完全予約制をとりつつ、オンライン接客などによりお客様のニーズに対応しています。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで、一部商品の供給が滞り厳しい状況が続いているものの、衛生性に対する意識の高まりで「タッチレス商品」である自動水栓などの販売が好調であることに加え、在宅時間の増加などで家への関心が高まり、システムバス、システムキッチンなどが大きく伸長し、売上高はリモデル・新築共に前年を上回りました。

 TOTO、DAIKEN、YKK APでは、これからも安心して暮らせる、人と地球にやさしい家づくりの視点「グリーンリモデル」に基づいて、新しい生活様式に対応した提案とお客様の様々な暮らしの想いをかなえるライフスタイルの提案「十人十家」を推進しています。

 当社グループが創り出した清潔なトイレ文化を世界へ発信していくことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、衛生的な空間と新しい生活様式に対応した商品の提案・開発を強化しています。

 

b.中国・アジア住設事業

<中国大陸事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が924億8百万円(前期比32.9%増)、営業利益が157億7千万円(前期比35.9%増)となりました。

 

 足元では不動産市況の変動による影響が一部残っていますが、市場環境や消費者の購買行動の変化などに注視しつつ、引き続き事業活動を推進しています。また、中国大陸の長期的な市場成長による需要の増加に対応するため、効率的な生産と最適な供給体制の構築を進めています。加えて、高級ブランドとしての強みを活かし、「ウォシュレット」のプロモーション強化を通じて普及拡大に努めています。

 

<アジア・オセアニア事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が324億8千1百万円(前期比15.2%増)、営業利益が53億5百万円(前期比15.6%増)となりました。

 当社グループにおいては、一部地域では新型コロナウイルス感染症拡大により、事業活動への制約がありましたが、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国市場での販売力を強化しています。また、日本発の高級ブランドとしての認知を活かした事業活動を推進しています。

 各地域の市場成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件及び個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化や積極的なプロモーション展開による「ウォシュレット」の普及、アフターサービス体制の整備に取り組んでいます。

 

c.米州・欧州住設事業

<米州事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が443億3千5百万円(前期比23.2%増)、営業利益が29億1千1百万円(前期比17.3%増)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響からはほぼ回復し、温水洗浄便座認知層の拡大もあわせて「ネオレスト」「ウォシュレット」は好調な実績を維持しています。また、中古住宅市場の堅調な推移により「トルネード洗浄大便器」の販売も好調に推移しています。

 当社グループにおいては、中高級市場において清潔機能を中心に価値伝達を強化し、商品優位性によってブランド価値を高め、競合他社との差別化を図っており、「ウォシュレット」をはじめ、高い節水性能(洗浄水量3.8L)を有する節水便器、快適性、デザイン性がお客様に評価されている「ネオレスト」などの採用が増加しています。

 ショールーム展示の拡充やホームページの充実、eコマースの整備など、お客様接点の強化や効率的な供給体制づくりを推進しています。

 

<欧州事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が47億5千5百万円(前期比19.2%増)、営業損失が10億6千万円(前連結会計年度は営業損失9億5千1百万円)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事業活動への制約に加え、ドイツにおける国策影響(省エネ改修支援政策)により、一時的に水まわり需要の減少が見られましたが、当社グループにおいては、引き続き欧州のお客様の嗜好に沿うデザイン性の高い商品の販売、ショールーム展示を通じてお客様への価値訴求を強化しています。

 ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築及び著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。「ウォシュレット」や「ネオレスト」など差別化商品の認知が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。

 

■新領域事業

<セラミック事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が301億2千8百万円(前期比50.0%増)、営業利益が93億3千4百万円(前期比405.0%増)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響は限定的であり、半導体需要が増加したことで、それらの製造装置に採用されている当社セラミック製品の売上も増加しました。

 世界的な半導体需要の高まりに対して、強固なサプライチェーンと次世代もの創りを確立し、アフターコロナにおけるニューノーマル及びDX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革を支えていきます。

 

 

■その他

<社外からの評価について>

・デザインへの評価

国際的に権威のあるデザイン賞である「レッドドット・デザイン賞2022」において、プロダクトデザインのカテゴリーで「ネオレストLS」「ネオレストRS」「スティックリモコン」「マットブラック表面仕上げ(水栓他)」の4商品が受賞しました。当社のレッドドット・デザイン賞受賞は10年連続となります。

当社グループは引き続きデザインとテクノロジーの融合を追求し、お客様へより良い暮らしを提供していきます。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は896億1百万円となり、前連結会計年度末の1,414億1千9百万円に比べ、518億1千8百万円の資金減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により493億5千6百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益578億6千7百万円、減価償却費269億3千9百万円、仕入債務の増加額60億2千9百万円等の収入と、棚卸資産の増加額219億3千5百万円、法人税等の支払額138億3千1百万円等の支出によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により318億9千3百万円の支出となりました。これは、定期預金の払戻による収入23億5千2百万円等の収入と、有形固定資産の取得による支出301億2千1百万円、無形固定資産の取得による支出49億8千万円等の支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により757億7千2百万円の支出となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行による収入132億円の収入と、コマーシャル・ペーパーの償還による支出406億円、短期借入金の減少326億円、配当金の支払額144億6百万円等の支出によるものです。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、運転資金と設備投資があります。

運転資金としては、製品製造にかかる原材料等の購入費や管理費等があります。

設備投資としては、生産設備への投資、生産工場への投資や、ショールーム投資、情報化投資等があります。

配当性向につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処とし、業績に連動した利益還元を目指しつつ、安定的な配当の維持に努めてまいります。

当社グループの資金調達は、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本方針とし、その他ではグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金調達をしています。

当連結会計年度は、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の悪化に備えて十分な手元流動性を確保すべく調達した資金を返済いたしました。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本住設事業

380,702

7.3

中国大陸事業

108,641

30.8

アジア・オセアニア事業

69,168

9.8

米州事業

48,522

44.2

欧州事業

4,962

61.1

グローバル住設事業計

611,997

13.9

セラミック事業

24,658

52.4

新領域事業計

24,658

52.4

報告セグメント計

636,655

15.0

その他

合計

636,655

15.0

(注)金額は、売価換算値で表示しています。

 

(2)受注実績

当社グループは概ね見込生産方式を採っていますので、受注の実績については記載を省略しています。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本住設事業

457,686

5.8

中国大陸事業

108,221

28.6

アジア・オセアニア事業

66,541

15.9

米州事業

44,350

23.2

欧州事業

4,890

20.1

グローバル住設事業計

681,690

11.0

セラミック事業

30,128

50.0

新領域事業計

30,128

50.0

報告セグメント計

711,818

12.2

その他

287

△9.2

内部売上消去等

△66,832

合計

645,273

11.7

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

前連結会計年度、当連結会計年度共に販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

4【経営上の重要な契約等】

技術許諾契約

契約会社名

契約相手先名称

国名

契約内容

対価の受取

契約期間

TOTO㈱

(当社)

厦門和利多衛浴科
技有限公司

中国

便座・便蓋・排水弁等の製造技術等の提供

一定料率のロイヤルティ

2019年12月31日から

2029年12月31日まで

 

技術許諾契約

契約会社名

契約相手先名称

国名

契約内容

対価の受取

契約期間

TOTO㈱

(当社)

P.T.SURYA TOTO INDONESIA Tbk

インドネシア

水栓金具の製造技術等の提供

一定料率のロイヤルティ

2019年2月19日から

2023年2月28日まで

 

 

5【研究開発活動】

研究開発部門では、デザインと機能を融合させ、きれいで快適な空間を実現するために、当社グループにしかできない「オンリーワン技術」を進化させ、当社グループならではの価値をお客様に提供しています。

創立以来当社グループでは、さまざまな商品やサービスの研究開発を通じて、たくさんのものづくりの技術を培ってきました。人間工学、感性工学といった、人の動きや感覚を数値化し、論理的に使いやすさや快適性を実現する「人を見る」技術。流体制御、電子制御、水の改質といった、水の流れ方、性質を変えることで、より快適で清潔な機能を実現する「水の力を最大に活かす」技術。表面制御、素材・プロセス、分析といった、素材そのものの性質や素材表面の特性を変えることで意匠性、防汚性、耐久性などを向上させる「素材を深く知る」技術。これらを有機的に結合させたうえで、「環境配慮」「ユニバーサルデザイン」「デザイン」といったお客様価値を創出してきました。

今後は、水まわりにIoTなどのデジタル技術を採り入れながら、「きれいと快適」「環境」を両立するサスティナブルプロダクツの創出のための魅力ある技術を継続的に生み出していきます。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は24,024百万円です。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の活動内容、及び研究開発費は次のとおりです。

なお、各セグメントに配賦できない研究開発費が2,430百万円あります。

 

①グローバル住設事業

a.日本住設事業

日本市場においては、水まわり商品を進化させると共に、さまざまなライフスタイルにあわせた生活価値提案を行える商品の研究開発を進めています。

当連結会計年度において、レストルーム商品では、IoTを活用した「パブリックレストルーム設備管理サポートシステム」を発売しました。

当システムでは利用者の「トイレの行列を避けて、空いているトイレを使いたい」というニーズにこたえる「空き状況表示サービス」と、施設管理者の「清潔で快適なトイレの維持管理を効率的に行いたい」という要望に応える「設備管理サポートサービス」を提供します。

「空き状況表示サービス」では利用者がトイレの混雑状況をサイネージやスマートフォンで確認することができます。また、「設備管理サポートサービス」は器具とインターネットをつなぎ、リアルタイムでの不具合に対するアラートや、蓄積データを活用した、効率的な維持管理サポートを実現します。

 

当セグメントに係る研究開発費は17,732百万円です。

 

b.中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業

中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業においては、日本で開発したコアテクノロジーをもとに、高機能・高品質を維持しながら、各国の規制や基準を満たした環境配慮商品の開発を行い、それぞれの地域に合ったデザイン設計を進めています。

 

中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業に係る研究開発費は、合計で1,703百万円であり、各セグメントに係る研究開発費は、それぞれ中国大陸事業が671百万円、アジア・オセアニア事業が144百万円、米州事業が742百万円、欧州事業が145百万円です。

 

②新領域事業

セラミック事業においては、半導体の製造装置の分野で、エアスライド、静電チャック、ボンディングキャピラリーなどといった高品質・高精度セラミック製品の研究開発を進めています。また、エアロゾルディポジション(AD)法を用いた緻密で密着力の高い「AD膜」の商材を増やし、幅広く採用いただいています。オンリーワン技術を活かした新領域事業の創出に向けて、さまざまな研究開発を行っています。

 

当セグメントに係る研究開発費は2,157百万円です。