当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①当中間連結会計期間の状況
当中間連結会計期間(2025年4月1日から2025年9月30日まで)における世界経済は関税等の政策不確実性の高まりや物価上昇等によって、個人消費の伸びが低下することを背景に、世界の実質GDPが前年から押し下げられる見通しとなっています。
わが国の景況感においても、回復ペースが鈍く下押しリスクが依然として存在しています。
このような事業環境の中、当社グループは2021年度より推進している10ヵ年の中・長期経営計画「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」で定めた目指す姿の実現に向けて、中期経営課題であるWILL2030 STAGE2(2024年度~2026年度)に基づき、「グローバル住設事業」と「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しています。
「グローバル住設事業」では、「きれいと快適・健康」「環境」を両立するTOTOらしい商品を「サステナブルプロダクツ」と位置付け、これらの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献しています。
また「新領域事業」では、TOTOオンリーワンのセラミック商品の開発・価値提案などで半導体市場の進化に貢献し、DXによる社会変革を支えます。
その結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高が3,493億7千2百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益が207億8千1百万円(前年同期比13.9%減)、経常利益が230億8千9百万円(前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が87億9千万円(前年同期比48.1%減)となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ、495億5千2百万円減少しました。主な内容は、現金及び預金が277億円の減少、商品及び製品が58億2千6百万円の減少、受取手形、売掛金及び契約資産が57億8千4百万円の減少となっています。
また、負債は、前連結会計年度末に比べ、125億9千8百万円減少しました。主な内容は、支払手形及び買掛金が51億5千万円の減少、その他流動負債が未払費用の減少等により46億1千2百万円の減少となっています。
②セグメントの業績
セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。
a.グローバル住設事業
当中間連結会計期間の業績は、売上高が3,195億8千7百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益が92億7千6百万円(前年同期比42.9%減)となりました。
<日本住設事業>
当中間連結会計期間の業績は、売上高が2,285億1千5百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益が58億6千5百万円(前年同期比35.7%減)となりました。
2018年度に開始した「あんしんリモデル戦略」は年々進化を遂げ、ショールームだけでなくオンライン(WEB)上においてもお客様一人ひとりに寄り添ったサービスでお客様により良い生活価値を提案することでリモデルの需要喚起を図っています。
また、これまで創り出してきた清潔なトイレ文化を日本から世界へ発信していくことに加え、より衛生的で環境性能に優れた高付加価値商品の開発・提案を強化しています。
一方で、各種コストアップなどの影響により収益性が低下している状況からの改善を目指し、生産性向上のための施策を加速させ、外部要因に左右されない体質にシフトしていきます。
<海外住設事業>
(米州事業)
当中間連結会計期間の業績は、売上高が379億5百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益が29億8千1百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
米国では、中高級市場において清潔機能を中心に価値伝達を強化し、「ネオレスト」及び「ウォシュレット」並びに節水大便器などの快適性、デザイン性がお客様に評価されています。
また、米州市場での供給体制強化を目的として、2025年秋よりジョージア州モロー市の既存工場敷地内に建て替えた新工場棟にて衛生陶器の生産を開始します。最新鋭の設備を導入し、生産能力は従来と比べ150%に拡大、お客様へ確実かつタイムリーに商品をお届けできる体制を構築します。
さらに、ショールーム展示の拡充やホームページの充実、eコマースやリテール多店舗店による販売体制整備、アフターサービス体制の整備など、お客様接点の強化と効率的な供給体制づくりを推進しています。
(アジア・オセアニア事業)
当中間連結会計期間の業績は、売上高が243億6千9百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益が44億9千2百万円(前年同期比27.9%増)となりました。
アジア地域では、高級ブランドとしての認知度を活かした事業活動を推進しています。そのうち、台湾地域では「ウォシュレット」を中心に、顧客接点強化やショールームにおける販売員の教育、展示内容の拡充を行い、リモデル需要の取り込みを進めています。ベトナム、インド、中東などのその他地域では中期的な成長を目指し、販売力強化やお客様接点の量・質の向上、アフターサービス体制の整備などに取り組んでいます。
また、各国・地域において「ネオレスト」や「ウォシュレット」の積極的なプロモーションを展開し、5スターホテルなどの著名物件の受注強化を推進しています。
あわせて、世界の供給基地として生産体制を充実させ、各国・地域に根差した企業としての活動を推進しています。
(欧州事業)
当中間連結会計期間の業績は、売上高が28億5千1百万円(前年同期比14.7%増)、営業損失が1億8千1百万円(前年同期は営業損失2億6千1百万円)となりました。
欧州では、グローバルにおけるTOTOブランドの発信と、欧州のお客様の嗜好に合ったデザイン性の高い商品の販売やショールーム展示を通じて価値訴求の取り組みを強化しています。
重点的に活動を推進しているドイツでは、販売代理店との協業及び施工店の開拓・拡大に注力しています。そういった中、2025年3月に実施された世界最大級の住宅設備展示会「ISH 2025」において、前回に続きメイン展示ホールの「Forum0」に一社単独で出展し、ブランド価値訴求を行った結果、多くのお客様から高い評価をいただいています。
イギリス、フランスでは、5スターホテルなどの高級現場での「ネオレスト」や「ウォシュレット」を中心としたきれいで快適な高付加価値商品の認知度が向上し、採用が進んでいます。
(中国大陸事業)
当中間連結会計期間の業績は、売上高が259億4千5百万円(前年同期比30.0%減)、営業損失が38億8千1百万円(前年同期は営業利益7億5千1百万円)となりました。
独自技術・新たな付加価値の提案とあわせて、急速に変化する市場に対応できる商品やコスト競争力のある商品の投入など、新たな事業戦略を推進しています。長年培ってきたTOTOブランドへの信頼を軸に、当社の強みが活きるリモデル領域にリソースを集中し、お客様へのきめ細かい提案を実践していきます。
また、生産体制については、衛生陶器工場2拠点の閉鎖により事業規模に適した体制の再構築を進める一方、生産効率を高める最新鋭の設備を備えた工場への集約を行い、変化の激しい市場環境へ柔軟に対応し、安定的な収益構造への事業転換を図ります。2030年度、資本コストを超える収益率の改善を見据え、2026年度には黒字化を目指し事業活動を推進しています。
b.新領域事業
(セラミック事業)
当中間連結会計期間の業績は、売上高が296億4千3百万円(前年同期比36.5%増)、営業利益が129億8百万円(前年同期比41.9%増)となりました。
今後も半導体市場の成長を見据えながら、静電チャックを中心にこれまで培ってきたファインセラミックス技術の進化と開発力の向上や、高効率な生産を実現するスマートファクトリーの更なる進化など、競争・変動の激しい半導体市場へ着実に対応していきます。
③その他
<社外からの評価について>
・サステナビリティ関連
ESG投資の世界的指数である「FTSE4Good Index Series」の構成銘柄に10年連続で選定されました。また、「FTSE Blossom Japan Index」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」及び「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」「Morningstar日本株式ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数(除くREIT)」の構成銘柄にも継続して選定されています。これにより、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する全てのESG投資指数に今年度も選定されることになりました。
・デザインへの評価
国際的に権威のある「レッドドット・デザイン賞2025」をシステムバスルーム「SYNLA(シンラ)」、海外向け便器・ビデ「RPシリーズ」、8月発売の「エコリモコン」の3点が受賞しました。これにより、当社グループでは13年連続の「レッドドット・デザイン賞」受賞となりました。
当社グループでは、引き続きデザインとテクノロジーの融合を追求し、TOTOらしい商品をグローバルに普及させることで、「持続可能な社会」、「きれいで快適・健康な暮らし」の実現に貢献していきます。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、931億3千1百万円となり、前連結会計年度末の1,207億2百万円に比べ、275億7千1百万円の資金減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により203億6千2百万円の収入となりました。これは、税金等調整前中間純利益143億8千5百万円、減価償却費169億5千3百万円、売上債権及び契約資産の減少35億6千1百万円、棚卸資産の減少26億7千5百万円等の収入と、仕入債務の減少36億5千8百万円、未払費用等の減少によるその他の減少28億9千7百万円、法人税等の支払額93億4千6百万円等の支出によるものです。前中間連結会計期間と比較すると、172億2千2百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により141億9千5百万円の支出となりました。これは、有価証券及び投資有価証券の売却による収入80億4千6百万円等の収入と、有形固定資産の取得による支出189億6百万円、無形固定資産の取得による支出29億2千5百万円等の支出によるものです。前中間連結会計期間と比較すると、87億5千2百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により292億7千6百万円の支出となりました。これは、主として自己株式の取得による支出200億1百万円、配当金の支払額84億8千3百万円等の支出によるものです。前中間連結会計期間と比較すると、196億3千6百万円の支出増加となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
[株式会社の支配に関する基本方針について]
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えています。
当社は、1917年の創立以来、一貫して「社会の発展への寄与」を理念とする経営を行ってまいりました。水まわりを中心とした豊かで快適な生活文化創造にあたっては、たゆまぬ研究開発と市場開拓を行い、必要な設備や人財育成に長期的投資を行うことによって、日本市場の中で、「環境配慮」を実現する節電・節水技術の開発、「清潔・快適」「ユニバーサルデザイン」を実現する素材開発、「安心・信頼」を実現するビフォア・アフターサービス体制など、総合的な事業活動による価値の創造と提供を図ってまいりました。現在では、日本市場で築いた事業モデルを活かし、米州・アジアをはじめとする世界の水まわり市場の積極開拓により、一層の価値向上を図る一方、日本の水まわり市場において確固たる地位を築いたことによる供給責任にも応えています。創立以来、長きにわたり、広く社会の発展に寄与し続けたことが、現在の当社の企業価値ひいては株主共同の利益につながっています。
当社は、公開会社として、当社株式の自由な売買を認めることは当然のことであり、特定の者又はグループによる大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は、当社株式を保有する株主の皆様に委ねられるべきものと考えています。しかしながら、当該大量買付行為が、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、必要かつ相当な手段を採ることによって当社の長期的な株主価値を確保することが必要であると考えています。
②基本方針の実現に資する取り組み
(ⅰ)社是・企業理念及び中長期経営計画
当社グループは、社是「愛業至誠:良品と均質 奉仕と信用 協力と発展」とTOTOグループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します」に基づき、広く社会や地球環境にとって有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。
当社の企業価値の源泉は、①高品質な製品を提供し続けてきた高度な生産技術力、②ユニットバス・「ウォシュレット」などの新たな生活文化の創造に寄与する商品やネオレスト・ハイドロテクトなどの環境配慮商品を創造してきた研究開発力、③お客様の多様なニーズにきめ細やかに対応できる高品質かつ豊富な商品群、④お客様に安心・安全・信頼の証として認知された企業ブランド、⑤取引先との良好かつ長期的なパートナーシップに基づく販売力、⑥前記①~⑤の維持・発展を担う当社グループ社員にあります。
当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させるため、2021年度から始まる10ヵ年の長期戦略「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を策定しました。
その中では、企業として取り組むべき重要課題であるマテリアリティを「きれいと快適・健康」「環境」「人とのつながり」として設定、サステナビリティ経営を推進し、地球環境に負荷をかけずに豊かで快適な社会を実現すると共に、経済的成長の実現を目指しています。
その推進フレームは、「コーポレート・ガバナンス」と時代の変化に先んじるための「デジタルイノベーション」をベースとし、「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、全社最適視点で横串を通す3つの全社横断の革新活動です。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の客観性・透明性を高め、経営責任を明確にすることによって、ステークホルダーの皆様の満足を実現し、企業価値を永続的に向上させることが企業経営の要であると考えます。
当社のコーポレート・ガバナンス体制につきましては、当社ウェブサイト(https://jp.toto.com/company/ir/governance/)に記載のとおりです。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、上記の基本方針のもと、2006年4月28日開催の取締役会において「当社株式の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入しました。その後、直近では2016年6月29日開催の当社第150期定時株主総会の決議により更新(以下、更新後の買収防衛策を「本プラン」といいます)いたしましたが、本プランの有効期限である、2019年6月25日開催の第153期定時株主総会の終結の時をもって本対応方針を継続しないことを、2019年4月26日開催の取締役会において決議いたしました。
なお、当社は本プラン廃止後も、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見などを開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
④上記各取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記②及び③に記載の取り組みは株主共同の利益を確保し、向上させるための取り組みであり、上記①の基本方針に沿うものであります。これらの取り組みは、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的としたものではありません。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、129億2千3百万円です。
当中間連結会計期間に、マテリアリティに新たに加えられた「健康」への価値創造を実現すべく、その皮切りとして新機能「便スキャン」を搭載したウォシュレット一体形便器を発売しました。研究開発活動は、同時に提案を開始した健康習慣「デイリーウェルネス」をTOTOらしく実現すべく「健康」に関連した研究開発を加速して行っていきます。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。