第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは2024年5月15日に発表しました中期経営計画において、中長期ビジョンは前計画を踏襲し「未来の社会生活基盤と地球環境を護る」とし、中期経営方針を「グループの変革と持続的成長により新たな価値を創出し、持続可能な社会に貢献する」と定め、「コア事業の収益力向上」と「付加価値創造に向けた経営基盤強化」の両輪で既存事業の強化と成長分野の伸長を目指していくこととし、持続的成長に向けての取り組みを強化する方針としております。

加えて、ESGや「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」への方針も盛り込み、企業価値の向上に向けて更なる取り組みを進めてまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

足元は不安定な国際情勢やエネルギー・原材料価格・人件費の上昇に加えて物流問題や建設工事における着工遅延・工期延長等のリスクは依然としてあり、当社グループにとっては引き続き厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

一方で、中長期的には、激甚化・頻発化する自然災害への備え(防災・減災、災害復旧)に貢献する当社独自製品・工法のほか、建設業の就業者減少や時間外労働規制への課題解決としての生産性向上・省人化に資する高品質なプレキャストコンクリート製品に高い期待が持たれております。また、カーボンニュートラルの観点からも当社開発のCO2固定化・利活用技術(CCUS)、グリーン製品(低炭素型コンクリート)へ引き続き高い関心を受けており、持続的成長の機会は多数あるものと考えております。

このような事業環境において、足元では受注の確実な確保や生産性向上に取り組み業績を回復させ、加えて政策保有株式の縮減等も進め利益・キャッシュを確保することにより成長投資を実施する一方、株主還元の強化に努めてまいります。また、中長期的には中期経営計画にて掲げた研究開発や成長・生産性向上への投資等の諸施策を着実に進めてまいる所存であります。

 

今後も社会インフラ強靭化の一翼を担い、環境負荷を低減させる技術と商品群を提供することで社会に貢献してまいります。また、当社グループのシナジーを発揮し更なる成長を実現すべく努めるとともに、コーポレートガバナンスおよびサステナビリティへの取り組みを強化し、ステークホルダーみなさまのご期待に応えるべく持続的成長を実現し、企業価値の向上を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、「コンクリートを通して、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念に基づき、コンクリート二次製品の製造・販売および施工を通じて、社会生活基盤を長期間にわたり支える役割を果たしております。一方、昨今では気候変動をはじめとする環境問題等が顕在化し、企業における社会課題解決への取り組みの重要性が増す中、持続可能な社会の構築のため、当社グループにおいてもより高い視点・より長期的な観点での企業活動が重要との課題認識のもと、当社グループの中心に据える考え方として「サステナビリティ基本方針」を2021年12月に策定いたしました。

2022年1月には代表取締役社長を委員長、すべての執行役員を委員とするサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ基本方針に基づく重要課題(マテリアリティ)や具体的取り組みの計画・目標設定と進捗管理を実施し、当社グループにおけるサステナビリティへの取り組みを推進しております。また、取締役会に対して定期的に活動状況を報告し、監督機能の実効性を担保しております。

 

 

サステナビリティ基本方針

日コングループは、「コンクリートを通して、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念に基づき、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会などのあらゆるステークホルダーを尊重し、変革の歩みを止めず成長していくことで、持続可能な地球環境や未来社会の構築に積極的に貢献します。

1.地球環境への貢献

企業活動が自然環境に与える影響の重要性を認識し、事業活動を通じて環境負荷の低減と循環型社会の構築に取り組み、より良い地球環境の実現に貢献します。

2.安心・安全な社会への貢献

事業や技術を常に革新し、お客様に満足していただける価値ある製品・サービスを提供することで、社会生活基盤を支え、安心・安全で持続可能な社会の実現に貢献します。

3.新たな価値を創造する組織形成と人づくり

従業員の成長無くしては、持続的な社会構築への貢献は不可能です。私たちは、多様な価値観を尊重し、健康的で働きがいのある職場環境づくりに努めるとともに、従業員が創造性を発揮できる組織づくりと人事・教育制度を整備することで、自ら変革と成長に取り組む人づくりを推進します。

4.社会からの信頼の確立

企業活動を取り巻くあらゆる法令を遵守することはもとより、一人一人が自らを律し、企業倫理を含めたコンプライアンスへの意識を徹底するとともに、責任ある企業として人権を尊重し、適時・適切な情報開示を通じて、社会から高い信頼を得る経営を実践します。

 

(2) 戦略

当社グループは、環境への取り組みロードマップを策定・公表し、当社創業100周年にあたる2048年にCO2排出量ネットゼロ(2019年度比)の目標を掲げ、CO2排出量削減に向けて様々な取り組みを推進しております。先駆的に取り組んでいるCO2固定化技術を活用したグリーン製品の更なる展開を図るほか、産学連携を含めた環境負荷低減に向けた共同研究等を進めることで、事業活動を通じてより良い地球環境の実現に貢献いたします。CO2削減に向けた方針は次の4つであります。

 

CCU材料の利活用

①既存製品(ポール・パイル・土木製品等)をCO2固定化商品“グリーン製品”へ転換

②自社施工向けの資材としての利用(杭基礎現場で使用する固定化材料等)

③材料としての販売(畜産資材・中和剤・リン除去材等)

 

エネルギーの高効率利用の検討

④工場・輸送の省エネルギー化(燃料の切替、LED照明の導入、グリーン電力の使用等)

 

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。

 

人材育成方針

自ら変革と成長に取り組む人づくりを目的とし、多様な個性・価値観を有する人材が、個々の能力を最大限発揮できる人事・教育制度の整備を体系的かつ網羅的に推進していきます。

 

社内環境整備方針>

日コングループは、従業員が働きやすい環境下にあることが重要であるという認識のもと、各種制度の充実や従業員の意識改革によって環境整備を図り、全従業員が健康で働きやすい職場や風土づくりを積極的に推進します。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、全社的なリスク管理についてはリスク管理規定に基づいて実施しておりますが、サステナビリティ関連リスクについてはサステナビリティ委員会において、サステナビリティへの取り組みに関する計画策定・見直しに際して、リスクの認識・分析・評価とリスクへの対策を適切に実施してまいります。

 

(4) 指標及び目標

当社グループは当社および連結子会社20社のCO2排出量の算定に取り組んでおり、2020年度から2024年度の各年度におけるCO2排出量実績(Scope1およびScope2)は次のとおりであります。今後はScope3の算定に加え、算定対象とする事業所の範囲も順次拡大していく予定です。

 

CO2排出量の実績

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

32,200トン

26,000トン

28,000トン

24,200トン

21,900トン

 

Scope2の電力は、マーケットベースに基づき、前年度の電気事業者別排出係数一覧(環境省)を参照して算出しております

実績が取得できなかった一部のデータに関しては、製造量等に基づく推計により算出しております。

 

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標については、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年まで10

5.7

 

(注)「男性労働者の育児休業取得率」および「労働者の男女の賃金の差異」の実績については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

  当社グループの経営成績及び事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

  (1) 原材料価格の動向

最近の資源価格の動向は、国際的供給体制や国際需要により大きく変動する傾向にあり、一部に世界的供給サイドの寡占化が進むとともに、新興国を中心とした国際的需要拡大等により、国内経済の状況に関係なく変動する可能性があり、ポール・パイル等の主要原材料である鋼材・セメントや原油価格の上昇は、ポール・パイル等の製造コスト及び物流コストを押し上げる要因となります。当社は、これらのコスト上昇に対して、グループをあげてコストダウンに取り組むとともに、得意先等に対して製品価格の適正な改定を要請しておりますが、製品等価格の改定時期の遅れ等により、当社グループの収益を圧迫する可能性があります。

 

  (2) 製品需要動向

  当社グループの主要製品であるパイル・プレキャスト製品及び工事の売上は、国内建設市場の需要動向に大きく左右されます。急な景気後退による民間設備投資の抑制等で想定以上に需要が落ち込んだ場合には、当社グループの収益を圧迫する可能性があります。当社は、これらの需要動向の変化に対して、コストダウンへの取り組みや設備投資への慎重な検討に加え、景気動向の影響を受けにくい分野を伸ばすこと等によりその適応力を高めていく所存であります。

 

  (3) 金融費用

  当社グループは、グループ経営の更なる強化による持続的成長に向けた技術開発及び製品供給体制の整備を進めておりますが、これらの所要資金は、主に金融機関からの借入れにより調達しており、当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は138億57百万円となっております。今後、金融情勢の変化により金利が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、収益力の強化、キャッシュフローの改善により有利子負債の圧縮を図る一方、調達方法の多様化による金利の低減努力を継続する所存であります。なお、当社グループの借入金の大部分は、固定金利であります。

 

 

  (4) シンジケートローン契約及びコミットメントライン契約

  当社は、金融機関2社とシンジケートローン方式のタームローン契約を、金融機関1社とコミットメントライン契約を締結しており、当該契約締結日以降の各決算期及び第2四半期の末日の連結の貸借対照表における純資産の部の金額並びに連結の損益計算書における損益の金額について、それぞれ一定指数以上の維持の財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触した場合、借入金の返済義務を負うことがあり、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、前述の取り組みにより収益力を向上させ、これらの条項に抵触しないよう努めております。

 

  (5) 自然災害・感染症等

当社グループは、国内、ミャンマーおよびインドネシアにおいて事務所・工場・施工を展開しており、風水害・地震・津波等の大規模自然災害の発生により、建物・設備や従業員への直接的な被害のほか、通信システムの遮断や生産や物流を中心とするサプライチェーンの停滞により、間接的な被害を受ける可能性があります。また、感染症の蔓延により事業の中断や延期が発生する可能性もあります。このような自然災害や感染症の被害が発生した場合、復旧にかかる費用や中断・延期による損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

自然災害や感染症などのリスクに対しては、迅速に対策本部を設置し、全社的な対応体制を構築することにより、生産・供給・施工等が停滞しないようにいたします。また、風水害等の自然災害リスクを低下させるため、グループ全体のリスクマップを確認し、優先順位の高い項目については、順次対策を講じていく方針としています。

(インドネシア国ジャカルタ駐在員事務所は2025年5月31日付で廃止しました。)

 

(6) サイバー攻撃

当社グループの事業活動においては、情報システムの利用とその重要性が増大しております。サイバー攻撃やコンピュータウイルスへの感染等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの情報システムの破壊やデータ改ざんだけでなく、当社グループの社会的信用の毀損による経済的損失等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、「情報セキュリティポリシー」において情報セキュリティ対策の基本方針等を定め、外部からの不正なITネットワークへの侵入によるデータ破壊や、ウイルス感染を予防するためのセキュリティ管理体制の維持・向上を図っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

当期における経済環境は、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復してきたものの、米国、中国といった海外経済の動向、関税などの政策運営の不確実性などの国外要因の影響により世界経済およびわが国経済に与える影響は非常に不透明な状況でありました。

当社グループを取り巻く事業環境におきましては、建設・物流2024年問題、人手不足、原材料価格上昇等の影響を受け、コンクリートパイル・ポールの全国需要・出荷量は前期比で減少し、厳しい競争環境が継続しました。

 

このような状況の中、当社グループは、2024年5月に策定しました2024年中期経営計画で定めた重点課題の販路拡大や研究開発、IT投資等に取り組んでまいりましたが、厳しい競争環境のなかでシェアや生産量が減少し収支が悪化したことに加えて、土木製品事業のうちセグメント事業において収益性が十分に回復しないことから、当該事業の生産設備等固定資産の一部の減損損失を計上いたしました。

これらの結果、前期に比べて減収減益となり、親会社株主に帰属する当期純損失を計上するにいたりました。

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

 (1) 財政状態の分析

当社グループは、売掛債権回収の早期化・製品在庫の適正化・効率的な設備投資戦略等により、総資産の圧縮を
図り、ROAの向上を目指すこと及び、グループにおける資金・資産の効率化を図り、有利子負債を圧縮することを財務方針としております。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比(以下「前期末比」といいます。)47億12百万円減772億82百万円となりました。

流動資産は、前期末比59億46百万円減304億71百万円、固定資産は、前期末比12億33百万円増468億11百万円となりました。

流動資産減少の主な要因は、現金及び預金、契約資産の減少によるものであり、固定資産増加の主な要因は、建設仮勘定及び投資有価証券の増加によるものであります。

負債合計は、前期末比43億2百万円減372億97百万円となりました。

流動負債は、前期末比44億93百万円減223億94百万円、固定負債は、前期末比1億90百万円増149億2百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少によるものであり、固定負債増加の主な要因は、繰延税金負債の増加によるものであります。

純資産合計は、前期末比4億10百万円減399億85百万円となりました。

主な要因は、その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額及び非支配株主持分が増加した一方で、利益剰余金が減少したことによるものであります。

以上の結果、自己資本比率は、47.9%となりました。

 

 (2) 経営成績の分析

当期の売上高は526億52百万円(前期比1.9%減)、営業利益は9億90百万円(前期比45.2%減)、経常利益は14億52百万円(前期比35.2%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は2億9百万円(前期は6億14百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

各セグメントにおける概況は次のとおりであります。

 

① 基礎事業

コンクリートパイル全国需要が前期比で約6%減少するなか、当社グループにおいても需要減の影響を受けたことに加えて、案件の受注・着工遅延による期ずれも多数発生し、シェアが低下したことから、売上高は242億23百万円(前期比8.7%減)となりました。

セグメント利益につきましては、適正価格の浸透や施工効率の向上等に努めたものの、生産量減少による生産子会社の収支悪化等から1億17百万円(前期比90.4%減)となりました。

 

② コンクリート二次製品事業

当事業のうち、ポール関連事業につきましては、コンクリートポールの全国出荷量が前期比で約8%減少するなか、当社グループの出荷量・シェアも減少し、売上高は142億71百万円(前期比3.7%減)となりました。

土木製品事業につきましては、前年度にあったPC-壁体大型案件が今期は減少したものの、リニア中央新幹線向けRCセグメントの検収が想定より順調に進んだことから、売上高は138億50百万円(前期比15.5%増)となりました。

これらの結果、コンクリート二次製品事業の売上高は281億21百万円(前期比4.9%増)となりました。

セグメント利益につきましては、ポール関連事業の利益が概ね横這いであったことに加えて、土木製品事業内のセグメント事業におけるスライド条項分の回収により、23億50百万円(前期比15.7%増)となりました。

 

 

③ 不動産・太陽光発電事業

安定的な賃貸料収入の計上、発電・売電を行っており、売上高は3億7百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益は1億90百万円(前期比3.1%増)となりました。

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ40億87百万円減少し、70億33百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、2億97百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7億50百万円の計上、売上債権及び契約資産の減少16億95百万円、棚卸資産の減少10億98百万円等の資金増加要因と仕入債務の減少38億26百万円等の資金減少要因があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、26億56百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22億80百万円等の資金減少要因があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、11億33百万円となりました。これは主に、配当金の支払7億10百万円等の資金減少要因があったことによります。

 

 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要な事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積りに関する事項)」に記載しております。

 

(生産、受注及び販売の状況)

 (1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

基礎事業

20,825,170

△8.2

コンクリート二次製品事業

21,974,262

△1.7

不動産・太陽光発電事業

合計

42,799,433

△5.0

 

 (注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 2.金額は、製造原価によっております。

 

 (2) 受注実績

当社グループにおいては、大部分が計画生産であり受注生産は僅少であります。また、工事受注の大部分は、販売代理店から製品の販売に付随して受注し着工までの期間が短いため、受注残高は僅少であります。

 

 (3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

基礎事業

24,223,794

△8.7

コンクリート二次製品事業

28,121,810

+4.9

不動産・太陽光発電事業

307,265

+1.7

合計

52,652,871

△1.9

 

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

5 【重要な契約等】

(1) 技術供与契約

提出会社は下記各社に対し、次の製造、施工技術の供与を行っております。

会社名

 

技術供与時期

 

ポール

高強度パイル

ローデックス工法

東海コンクリート工業株式会社

1954年8月

1971年5月

1989年11月

株式会社日本ネットワークサポート

1955年10月

1971年5月

1990年2月

北海道コンクリート工業株式会社

1957年4月

1971年5月

1996年5月

九州高圧コンクリート工業株式会社

1957年11月

1971年5月

1996年11月

東北ポール株式会社

1967年12月

1971年5月

1989年11月

日本海コンクリート工業株式会社

1968年9月

1971年5月

中国高圧コンクリート工業株式会社

1969年7月

1971年5月

1990年3月

カワノ工業株式会社

1982年7月

1973年5月

沖縄テクノクリート株式会社

1972年11月

1991年12月

東洋コンクリート株式会社

1988年2月

麻生商事株式会社

1990年10月

ホクコンマテリアル株式会社

2001年3月

日研高圧平和キドウ株式会社

2018年4月

 

(注)このほか、NAKS(ナックス)工法の技術供与を東海コンクリート工業株式会社に、Hyper-NAKS工法の技術供与を東海コンクリート工業株式会社、九州高圧コンクリート工業株式会社及び東北ポール株式会社に、パイル用端面金具の製造技術の供与をNC日混工業株式会社に、それぞれ行っております。

 

(2) 製造委託契約

提出会社は下記の各社に対し、製品の製造を委託しております。

会社名

委託品目

契約期間

摘要

NC西日本パイル製造株式会社

ポール、高強度パイル

2003年3月1日から

2004年3月31日まで

但し、1年毎の自動更新条項あり

NC鋼材株式会社

パイル用鋼材

2020年6月26日から

2021年3月31日まで

同上

NCセグメント株式会社

プレキャスト製品

2011年7月1日から

2012年6月30日まで

同上

NC貝原パイル製造株式会社

高強度パイル、

プレキャスト製品

2005年4月1日から

2006年3月31日まで

同上

NC四国コンクリート工業

株式会社

ポール、高強度パイル

2005年7月1日から

2007年3月31日まで

同上

NC関東パイル製造株式会社

高強度パイル

2007年7月23日から

2009年3月31日まで

同上

NC東日本コンクリート工業

株式会社

ポール、高強度パイル、プレキャスト製品

2007年8月1日から

2009年3月31日まで

同上

NC中日本コンクリート工業

株式会社

ポール

2007年8月1日から

2009年3月31日まで

同上

NC日混工業株式会社

ポール・パイル部分品

2009年2月1日から

2010年3月31日まで

同上

NCプレコン株式会社

プレキャスト製品

2010年7月1日から

2011年6月30日まで

同上

NC中部パイル製造株式会社

高強度パイル

2013年4月1日から

2014年3月31日まで

同上

NC九州株式会社

ポール、高強度パイル

2015年12月1日から

2017年3月31日まで

同上

 

 

 

(3) 技術受入契約

2004年10月にジャパンパイル㈱(旧㈱ジオトップ)より、EX MEGATOP工法の非独占的な実施権を取得しております。

 

(4)コミットメントライン契約

 当社は、2025年3月26日付にて㈱みずほ銀行をアレンジャーとしてシンジケーション方式コミットメントライン契約を締結しております。契約の概要は、以下のとおりであります。

コミットメント期間

設定した資金調達枠

アレンジャー

エージェント

参加金融機関

財務制限条項

2025年3月31日から2028年3月31日

2,000,000千円

㈱みずほ銀行

㈱みずほ銀行

㈱みずほ銀行

三井住友信託銀行㈱

㈱足利銀行

㈱常陽銀行

農林中央金庫

㈱百五銀行

㈱きらぼし銀行

㈱三十三銀行

㈱滋賀銀行

㈱もみじ銀行

㈱横浜銀行

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。

2025年3月31日から2028年3月31日

3,000,000千円

㈱みずほ銀行

㈱みずほ銀行

㈱みずほ銀行

三井住友信託銀行㈱

農林中央金庫

㈱百五銀行

みずほ信託銀行㈱

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、コンクリートを通して、お客さまに感動を与える技術を保持し、安心・安全で豊かな都市空間づくりにより社会の発展に貢献することを使命としております。そのため技術開発部門を中心に各分野のテーマを選定し、外部組織とも共同で各種コンクリート新製品・新技術の研究開発、それら製品を用いた新たな施工法や周辺技術の開発に取り組んでおります。

今後、自動運転に向けた交通インフラの再構築、再開発や物流施設、リニア新幹線建設、原発以外のエネルギー調達、自然災害への復旧対応、エネルギーミニマムに対応した環境負荷低減に向けた取り組み等々、建設需要は中期的には堅調に維持されるものと見込まれております。

一方、建設業界が抱える課題として、慢性的な建設労働力不足、建設資材の高騰などへ対応が迫られており、国土交通省が提唱するi-Construction(アイ・コンストラクション)やインフラ分野のDX推進など、生産性向上への取り組みが急務とされております。このような様々な課題(ニーズ)に対しても、プレキャストコンクリート製品の開発技術、および情報化技術も積極的に取り込みながら解決に向けて研究開発に取組んでまいります。

 

(1) 基礎研究分野

コンクリートに新素材・新材料を利用して長寿命化・超高強度化など新たな価値を付与するための調査と応用研究、低炭素と省エネルギーな材料研究、プレキャスト製品へのリサイクル材の改良活用と応用研究、既存の各種コンクリート製品の補修技術研究、ならびに技術開発部門を中心とした研究成果を知的財産化すべく支援にも注力してまいります。

 

 

(2) 基礎事業分野

既製コンクリート杭の分野では、営業・技術・工場・施工が一体となり、顧客密着型の新製品開発を迅速に対応することが求められております。このようなニーズに対して、RSCP・エスタス・HF-HiAX等オリジナル開発製品の提供、今後求められる大地震への対応として高曲げ耐力・高靱性能を有した杭の研究、高支持力工法に対応した各種施工支援開発、自社排出の再資源化材料であるエコタンカルを用いた環境負荷低減型パイル(土木用:PHCパイル、SCパイル)の開発、また自社工場由来の再資源化材料 ASTICON(アスティコン) を施工現場で発生する掘削残土の固化材と併せて利用することにより、環境負荷低減工法として社会貢献を併せ持った杭施工法として開発してまいりました。

工法開発に関しては、Hyper-ストレート工法の支持力と施工性を向上させた次世代工法「Hyper-ストレートNT工法」を2024年1月に開発し、順調に市場投入を進めております。一方、高支持力化に伴い多用される杭先端拡大根固め部の掘削を容易に行えるよう、多翼式拡大ヘッドを開発、改良を進め、運用を進めております。

施工現場においては、現場管理者の業務負担低減として、施工管理装置と連携したタブレットでの管理を行い、施工管理と施工記録などにICT化技術の導入を進めております。さらに施工品質においては、根固め球根の出来型を間接的に確認できる手法の開発も進めております。また、近年再開発需要の増加に伴い課題となっている既存建造物跡地の残置杭抜き孔の改良技術においては、技術評価を取得し普及に向けた技術支援を継続的に進めております。

今後は、基礎関連技術を当社グループ会社、ならびに海外へ広く普及してまいりたいと思います。

 

(3) ポール関連事業分野

コンクリートポールの分野では、高耐久・耐塩性ポールの開発、施工性を改善した分割式ポール「COP(Cap On Pole)」の品揃え拡充と低コスト化に向けた開発、フランジ継手式ハイポールの細径化・多分割化・長尺化・高荷重化等、市場ニーズに応じた製品開発を進めております。

また、鉄道用分割ポール、環境への調和した擬木等のデザインポール、環境負荷低減型ポール、次世代デジタル機器対応型ポールなど将来を見据えた用途に対しても開発を行っております。

一方、コンクリートポールにおいても、アセットマネジメントの考え方を導入し、耐震補強、耐衝撃補強などの開発を進めており、効率的な維持管理の提案をするべく幅広く調査、研究を進めております。また、グループ会社とともにコンクリートポール診断士制度を構築し、ポールの維持管理技術の更なる信頼向上に努めてまいりたいと思います。

 

(4) 土木製品事業分野

土木構造物のプレキャスト製品(PC-壁体、親杭パネル、シールドセグメント、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)等)では、顧客課題を解決する高付加機能を具備した改良に注力し、他社との差別化を図り、収益性を高めた製品・工法開発に取り組んでおります。主な取り組みとして、PC-壁体においては、河川護岸への適応を目的とした国交省技術公募への製品開発をはじめ、用途に応じた複合構造の研究、また、新たな地域や工法で協働社とともにコラボレーションを進めております。

また、シールドセグメントにおいては、コストダウンを試行した新たな分野に向けた製品開発を進めております。今後も、政府が進める国土強靭化、防災・減災、及びi-Construction(アイ・コンストラクション)政策への取り組みを通じて、皆さまのお役に立てるような土木構造物のプレキャスト化に注力してまいります。

 

(5) 環境事業分野

遠心成形品製造時に発生するコンクリートスラッジ(廃棄物)をリサイクルすることで、環境に貢献する開発・取り組みを進めております。上記スラッジから合成炭酸カルシウム(エコタンカル)を生成することで、工場から排出される二酸化炭素(CO2)の削減に寄与し、近年、エコタンカルは低炭素型コンクリート用の混和材としてニーズが高まり、注目を集めております。また、アスファルトフィラー材などへ活用する取り組みとして、出光興産株式会社との間で進めているエコCSパウダーの製造・販売事業に関しましては、日コングループのNC西日本パイル製造株式会社滋賀工場にパイロットプラントの建設が完了し、本格稼働の体制が整い、商業化に向け出光興産株式会社とともに取組みはじめております。

一方、PAdeCS(脱リン材)は、食品工場廃水に含まれるリンの除去、ヒ素等の有害物質の除去、廃鉱山抗廃水の中和、河川の水質浄化としての用途に使用されております。その他、畜産資材(消毒材)や材杭礎工事の残土処理材(固化材)としての用途の利用が増えております。さらに国立大学法人佐賀大学とリン循環利用に関する共同研究を実施しております。

今後も循環型社会の構築に取り組み、環境保護・地域貢献等により社会的責任を果たしてまいります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は678百万円であり、基礎事業に関わる研究開発費は521百万円、コンクリート二次製品事業に関わる研究開発費は156百万円であります。