第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、1947年東京窯業株式会社創立以来、鉄鋼業界をはじめとする日本の基幹産業に対して耐火物関連事業に重点を置いた製品とサービスを提供し、技術の革新と進歩、そして産業の発展に貢献して参りました。

「仕事を通じて世界に喜びと感謝の輪を広げる」を社是として、耐火物製品の製造・販売のほか、関連する窯業機械器具製造、建築、運輸など総合力の発揮に努めております。

2023年度は、当社グループが掲げたテーマ「素直な心と強い意思と執拗な分析で目標を達成しよう!」のもと、品質向上・技術力強化やコスト削減・取引先の拡大に努めて参りました。しかしながら、中国経済の停滞、ウクライナ情勢や中東情勢などによる地政学リスクの拡大、インフレの進行などに起因する経済及び鉄鋼需要の下振れリスクが懸念されるなか、先行きの見通せない状況が続きました。こうした状況の中、2024年度の当社グループのテーマとして「高品質を追求するお客様が世界で増えるぞ!環境・電子部品の時代が来たぞ!お客様とともに新しい技術にチャレンジする私たちの出番だ!」を掲げ、既存分野への更なる展開とともに新規分野の開拓を図って参ります。また、永年に亘るお客様からの信頼をさらに確固たるものとするため、スピリットとして「お客様への誠意」「新しい技術への挑戦」の考えのもと、お客様の求める需要に合致した商品設計やなお一層の品質向上・技術力強化に努めるとともに、磐石な経営基盤の確立に邁進して参ります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、耐火物・ファインセラミックス事業で培った先端技術を用い、お客様と共にお客様の抱えている課題を解決するというTYKビジネスモデルの徹底により、新素材事業の中核を担う電子部品・環境関連セラミックスでの挑戦を通じて、圧倒的な成長を目指します。

耐火物事業では、かねてより高品質な耐火物関連製品の供給に努め、国内需要のほか海外需要につきましては、米国、ヨーロッパ、中国、台湾に耐火物の生産拠点を設けて、現地での供給に対処しておりました。今後は、さらに鉄鋼業界の市場拡大が見込まれるインドへの進出をはじめとした海外における高付加価値の鋼生産市場の取り込みや、鉄鋼業界におけるカーボンニュートラルによる市場変化への対応に重点的に取り組んでまいります。

また、新素材事業は大規模投資による生産量拡大、新製品の開発を実施し、環境関連等の次世代産業向け製品をはじめとした、産業構造の変化により生じるお客様の新たなニーズに対応してまいります。

 

(3) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を展望すると、各国の経済政策により景況感は引き続き緩やかに回復基調で継続すると思われますが、世界的には長期化するウクライナ情勢や中東情勢による影響により不安定な状況が継続すると見込んでおります。国内においても、粗鋼生産量の減少や鋼材需要の減速に伴う耐火物需要の減少などにより、先行きが不透明な状況が継続すると思われます。

また、当社グループを取り巻く経営環境では、顧客からの品質に対する厳しい要求、同業他社との激しい価格競争、原材料価格の変動予測が困難な状況が想定され、今後も引き続き状況を注視する必要があると考えております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年度は安全第一の徹底のもと、多様な個性が活躍できる人的環境の整備を進め、さらなる製品品質及び生産性の向上を図り、お客様の求めるニーズに沿った製品を、迅速かつ円滑に供給できる体制づくりを進めて参ります。今後海外関連では、成長発展が見込まれる国々へのさらなる展開を、そして国内では既存生産設備の更新を図ることで、徹底的なコスト圧縮を推し進めつつ利益の伴った成長の実現を目指し、カーボンニュートラルへの対応や新素材分野や環境創造分野といった成長分野へ注力することによりグループ全体の体力強化を図って参ります。

また、当社は従業員並びにお取引先の安全確保を最優先とし、継続して感染防止に努め必要な対応を実施するとともに、影響が最小限となるよう事業活動の継続を図って参ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが一定の合理性に基づき判断したものであります。

 

(サステナビリティに関する考え方)

TYKグループは、1947年の創業以来、世界中の高温・高熱産業を支える機能性耐火物とセラミックスのリーディングカンパニーとして社会に貢献してまいりました。

私たちは、サステナビリティやSDGsが世の中に広まる以前から、

「仕事を通じて世界に喜びと感謝の輪を広げる」

「株式会社TYKは、地球環境を保全することによって人類社会が永続的に発展することに貢献していきます」

「私たちは人間尊重をもとに、絶え間ない革新を通じ、お客様に満足・感動していただける最高の品質と、価格とサービスを提供しつづけます」

を理念として掲げており、これらは「誰一人取り残さない」「持続可能な」社会を目指すサステナビリティの考え方に通じるものであると考えます。

TYKグループは今後とも、仕事を通じて世界に喜びと感謝の輪を広げるため、革新的な技術を土台として世界に貢献するセラミック・耐火物メーカーを目指し、人類社会の永続的な発展に貢献するため、さらなる発展・成長を実現して参ります。

 

(1)ガバナンス

急速に変化する事業環境へ適応し、さらに「先端技術へのチャレンジとお客様へのひたむきな貢献」を追求するため、取締役会を中心に体制を構築しております。また、社会・環境の変動によるサステナビリティに関する取組についても、重要な課題については検討を行い、対応策の推進を図っております。

詳細については、株式会社東京証券取引所宛に提出しております「コーポレート・ガバナンス報告書」をご参照ください。

 

(2)戦略

1)環境に関する基本方針

当社は、環境についての理念である環境基本理念と毎年度更新となる環境方針を制定し、それに基づき環境へ向きあい、全員参加で取り組んでおります。

 

≪環境基本理念≫

株式会社TYKは地球環境を保全することによって、人類社会が永続的に発展することに貢献していきます。

 

≪2024年環境方針≫

1. 環境汚染防止:危険物流出防止、爆発・火災防止、震災対応

2. 産業廃棄物排出量の継続削減:廃棄物削減、原料歩留向上

3. 二酸化炭素総排出量の継続削減(カーボンニュートラルへの挑戦)

4. 環境ビジネスの展開:ダントツ製品の開発、TYK-NBM(New-Business-Model)の展開

5. 法規制及び当社が同意するその他の要求事項の順守

6. 廃棄物の再資源化:顧客・社内廃棄物の商品化・社内利用

7. SDGsへの取組

 

2)人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

TYKグループは、経営理念を実現し、会社の発展と社員一人一人の生活をより豊かにしていくために、人材育成が要諦であると認識しております。全社員の知識・技能・品性・人間性の向上をはかるため、継続的・実効的・一貫性のある教育訓練・人格陶冶の実施徹底に努力することを基本方針といたします。

 

a.多様な人材の採用・登用

TYKグループは、女性・外国人・中途採用者の採用を積極的に行っており、多様性の確保に取り組んでおります。特に女性が働きやすい環境の整備には注力して取り組んでおり、作業環境改善投資の実施や、産前・産後休業、育児休業等を取得した場合に、休業期間中であっても昇進や昇給に支障がない制度を整備しております。また、管理職への登用等については、性別・国籍・採用ルート等で制限を設けず、能力・経験等を総合的に判断して決定しております。

 

b.健康経営の推進

TYKグループは、従業員等の健康増進を重視し、健康管理を経営課題と捉え、その実践によって従業員等の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す健康経営を推進しております。

当社は現在、社是である「仕事を通じて世界に喜びと感謝の輪を広げる」という思いに基づき、経営トップによる「TYKグループ健康宣言」のもと健康経営推進体制を整備し、従業員等の健康維持・増進のため様々な取組や支援を実施しております。

上記の取組により、当社は、2024年3月に経済産業省及び日本健康会議の「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を受け、4年連続での認定となりました。

 

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c.人材の育成と社内環境整備に関する主な取組

TYKグループでは、以下のような取組を実施しております。

1.自己申告制度

2.在職博士号取得支援制度

3.海外留学支援制度

4.従業員持株制度

5.階層別研修(経営幹部研修、若手社員研修、新卒入社1年目社員フォローアップ研修等)

6.健康増進に繋がる各種イベント(ボウリング大会・ウォーキングイベント)の実施

7.ストレスチェックの実施

8.海外語学研修制度

なお、海外語学研修制度につきましては、2023年度に新たに創設いたしました。

2023年度は、4名がフィリピンにて約1か月間の語学研修を実施いたしました。

 

(3)リスク管理

TYKグループは、社会的要請の変化や気候変動におけるリスク・機会について担当部署を設置するとともに全社的にリスク管理を行っております。

特に環境面については、カーボンプライシングの導入や二酸化炭素削減への社会的要請の高まりによる耐火物需要の変化に対応するため、設備更新や既存プロセスの見直しによる生産性向上・エネルギー効率の改善といった二酸化炭素排出量の削減の対応案を検討・実施し、環境の変化に応じた機動的な対応に取り組んでまいります。

 

(4)指標及び目標

当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。なお、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

実績(2024年3月末)

目標

全労働者における

女性従業員の割合

15.7

実績値より増加

男女間平均勤続年数の差異

2.0

(男性17.3年、女性15.3年)

2年以下に縮小

健康経営優良法人の認定

(経済産業省

「健康経営優良法人認定制度」)

「健康経営優良法人2024

(大規模法人部門)」の認定

健康経営優良法人の継続認定

(注)上記指標は、いずれも提出会社単体の指標であります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①主要市場の経済状況等

当社グループは製品構成の上で鉄鋼関連の耐火物製品のシェアが高いことから、鉄鋼業界の動向に影響を受ける可能性があります。従って、当社グループの業績はこれらの需要分野の動向、需要地域における経済情勢、競合の状況等の影響を受けます。さらに海外の各需要地域における、経済情勢、関税、通商・租税その他の法的規制の動向なども影響を及ぼす可能性があります。

 

②原材料等の価格変動

当社グループは世界各地から耐火原料を輸入しておりますが、一部については特定の地域や購入先に依存しております。昨今原材料価格は非常に流動的であるため、購入先を複数にするなど価格変動リスクの低減に努めておりますが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③為替レートの変動

当社グループの外貨建て取引は主として米ドル及びユーロ建てで行われておりますが、原材料等の輸入と製品輸出との相殺により、為替変動リスクを限定的なものとするべく努力しております。然しながら、変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④金利の変動

当社グループは、主として運転資金の一部を銀行など金融機関からの借入金等で調達しております。借入金残高は業容対比で多額なものではありませんが、急激な金利上昇などがあった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤保有有価証券の価値変動

当社グループが保有している投資有価証券の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で変動した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥災害の発生

当社グループは、国内及び海外に生産拠点を有しており、これらの地域において大きな災害が発生した場合は、生産能力に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済情勢は、緩やかに持ち直したものの、依然として不透明な状況で推移しました。世界経済においても米国経済は堅調に推移したものの、中国経済の停滞、ウクライナ情勢や中東情勢などによる地政学リスクの拡大、インフレの進行などに起因する経済及び鉄鋼需要の下振れリスクが懸念されるなか、先行きの見通せない状況が続きました。

このような環境のもと、当社グループは品質第一の考えをもとに売上増加と生産性向上に全力で取り組んで参りました。主力製品である製鋼用耐火物をはじめ、ファインセラミックス等の先端素材技術や環境創造技術へ挑戦し、コスト削減など経営合理化も進めて参りました。

その結果、当連結会計年度末においては次の通りの財政状態となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ25億46百万円増加(前期比8.1%増)し、339億33百万円となりました。その主な要因は現金及び預金の増加(23億20百万円)、受取手形及び売掛金の増加(6億1百万円)によるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ43億44百万円増加(前期比23.3%増)し、229億67百万円となりました。その主な要因は投資有価証券の購入・時価評価等の増加(43億28百万円)によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ15億31百万円増加(前期比15.0%増)し、117億35百万円となりました。その主な要因は繰延税金負債の増加(11億55百万円)、未払法人税等の増加(2億47百万円)によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ53億58百万円増加(前期比13.5%増)し、451億65百万円となりました。その主な要因はその他有価証券評価差額金の増加(27億70百万円)、利益剰余金の増加(17億56百万円)によるものであります。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は68.9%となり、前連結会計年度末(68.7%)と比べ0.2ポイント上昇し、1株当たり純資産額は884円73銭と前連結会計年度末に比べ109円52銭増加しております。

 

当連結会計年度においては次の通りの経営成績となりました。

連結売上高は300億11百万円(前期比4.6%増)、また利益面では、営業利益は31億82百万円(前期比0.5%減)、経常利益は40億51百万円(前期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億78百万円(前期比12.4%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次の通りであります。

[日本]

国内の売上高は堅調な耐火物需要が維持されたことにより、207億43百万円(前期比2.3%増)となりました。原材料等の高騰による売上原価率の悪化を受け、セグメント利益は29億67百万円(前期比6.3%減)となりました。

[北米]

北米の売上高も堅調な耐火物需要が維持されたことにより、36億52百万円(前期比18.0%増)となりました。売上高の増加と売上原価率の改善により、セグメント利益は1億74百万円(前期比113.7%増)となりました。

[ヨーロッパ]

ヨーロッパの売上高も堅調な耐火物需要が維持されたことにより、43億70百万円(前期比9.1%増)となりました。売上原価率の改善により、セグメント利益は3億21百万円(前期比25.8%増)となりました。

[アジア]

アジアの売上高も堅調な耐火物需要が維持されたことにより、8億92百万円(前期比1.2%増)となりました。セグメント利益は1億59百万円(前期比6.1%減)となりました。

[その他]

その他の売上高は、3億54百万円(前期比15.1%減)となりました。また、セグメント利益は58百万円(前期比132.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22億16百万円増加し129億36百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は40億16百万円(前期比104.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上及び棚卸資産の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は13億50百万円(前期比36.7%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得、投資有価証券の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は7億16百万円(前期比19.3%減)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

16,414,421

0.1

北米(千円)

862,179

32.6

ヨーロッパ(千円)

1,247,438

3.8

アジア(千円)

570,950

1.3

報告セグメント(耐火物関連事業)計(千円)

19,094,990

1.5

その他(千円)

186,838

△19.6

合計(千円)

19,281,828

1.3

(注)1.金額は、製造原価、仕入原価によっております。

2.「その他」の金額には、運輸は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

21,230,670

3.1

5,569,374

9.6

北米

3,696,363

18.1

304,361

16.9

ヨーロッパ

4,401,116

9.1

391,875

8.6

アジア

995,698

14.5

300,769

52.6

報告セグメント

(耐火物関連事業)計

30,323,849

5.9

6,566,381

11.3

その他

238,411

△7.7

33,620

△6.5

合計

30,562,261

5.8

6,600,002

11.2

(注)「その他」の金額には、運輸は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

20,743,407

2.3

北米(千円)

3,652,297

18.0

ヨーロッパ(千円)

4,370,175

9.1

アジア(千円)

892,020

1.2

報告セグメント(耐火物関連事業)計(千円)

29,657,901

4.9

その他(千円)

354,022

△15.1

合計(千円)

30,011,923

4.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。連結財務諸表の作成に当たっては、引当金の見積りなど一部に将来の見積りに基づくものがあります。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断できる前提に基づいて、見積り、予測を行っております。しかし、見積りには不確実性が含まれることから、実際の結果とは異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、お客様における生産販売状況や、アルミナやジルコニア等の原料や重油・ブタンガス等の燃料の調達コストの変動、そして当社の技術力維持・向上のために不可欠な人材の慢性的な不足が挙げられます。今後海外関連では、インド・ブラジルといった成長発展が見込まれる国々への更なる展開を、そして国内では既存生産設備の更新を図ることで、利益の伴った成長の実現を目指し、また新素材分野や環境創造分野といった成長分野へ注力することによりグループ全体の体力強化を図って参ります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、経営成果を株主の皆様へ適切に還元することとの最適なバランスを考え、実施していくことを基本としております。当連結会計年度末における有利子負債残高は34億25百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は129億36百万円となっております。設備投資につきましては、有形固定資産の取得による支出は8億82百万円と前連結会計年度比で74百万円の減少となっております。これらの投資のための所要資金は、自己資金にて賄っております。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動(日本)は、いずれも耐火物関連セグメントに属し、当社では環境材料研究所にてセラミックスフィルター、資源リサイクル等の研究開発を行うとともに、機能材料研究所においてファインセラミックスをベースとした新商品の開発を行っており、これらの事業化に向けて積極的に取り組んでおります。この他、連結子会社の明智セラミックス株式会社の炭素材料研究所では、特殊炭素製品等の研究開発を行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費は559,142千円であります。

①環境材料

世界的な環境規制の強化に対応し、セラミックスハニカムを用いたディーゼル排ガス用フィルター(DPF)の開発を進め、一部量産を実施しております。また、電子部品焼成用セラミックセッターについて国内外のメーカーの要求に対応した開発を行っております。

②機能材料

高温・高圧及び真空の大型設備を使用して酸化物系、非酸化物系セラミックスの商品化を行っております。金属-セラミックス系複合材料の開発とこれらの素材を用いた高温連続測温システム、ダイカスト用スリーブ等の商品化を行っております。また、プロトン導電性固体電解質を応用した溶融アルミニウム及び銅用水素センサー、さらに気相用水素センサー等、特に機能材料の商品化研究を主に行っております。

③炭素材料

黒鉛シートをはじめとする各種炭素材料の素材開発、クレーン・風力発電機に代表される産業機器に使用されるブレーキのライニング開発、切削加工用循環液油や水耕栽培用養液を除菌する除菌資材の開発に加え、機械加工性・耐熱衝撃性に優れるカーボンセラミックス複合材料の開発・製造を行っています。