第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、海外情勢の不透明感がなお継続したものの、国内・海外とも総じて緩やかな回復基調が続きました。

当社グループの主要得意先である鉄鋼業界においても、国内を中心に鋼材需要が堅調に推移し、当連結会計年度の国内粗鋼生産量は、前年同期比0.9%増の1億516万トンとなり、3年ぶりに前年度実績を上回ることとなりました。

このような状況下、当社グループでは、当連結会計年度において主に以下の取り組みを実施いたしました。

 

まず、TRL KROSAKI CHINA LIMITEDを連結子会社化し、安価かつ高品質な鍋用マグネシアカーボン耐火物の主力製造拠点として整備するとともに、海外グループ会社の選択と集中を進めるなど、グローバル運営体制の整備・強化を推し進めました。

また、製鉄所におけるコークス炉・熱風炉の改修工事等、顧客の大規模補修・更新需要に確実に対応するべく、築炉人材の育成、技能伝承に取り組むとともに、黒播築炉株式会社を連結子会社化し、企画・開発・設計から施工まで当社グループ内で幅広く対応するための体制づくりを進めました。

 

当連結会計年度における当社グループの業績は次のとおりです。

[売上高]

当社グループの主要得意先である鉄鋼業界の国内粗鋼生産量は、前年度実績を上回りましたが、当社グループでは、円高の進行により円換算後の海外子会社の売上高及び海外向け販売の売上高が減少したことや、大型建設用案件向け耐火物の需要が減少したことなどから、売上高は、前連結会計年度に比べ5.9%減収1,083億71百万円となりました。

[損益]

円高の進行に伴う輸入耐火物原料・調達品の価格下落や、エネルギーコストの低下、コストダウンの進展等により、営業利益は、前連結会計年度に比べ31.5%増益76億75百万円、経常利益は、前連結会計年度に比べ36.0%増益78億44百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ20.4%増益44億26百万円となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

なお、各セグメントの売上高は外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント利益は営業利益ベースです。

 

[耐火物事業](各種工業窯炉に使用する耐火物全般の製造販売)

円高の進行により円換算後の海外子会社の売上高及び海外向け販売の売上高が減少したことや、大型建設用案件向け耐火物の需要が減少したことなどから、耐火物事業の売上高は、前連結会計年度に比べ6.6%減収859億17百万円となりました。これに対し、円高の進行に伴う輸入耐火物原料・調達品の価格下落や、エネルギーコストの低下、コストダウンの進展等により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ31.8%増益51億53百万円となりました。

[ファーネス事業](各種窯炉の設計施工及び築造修理)

大型工事案件の受注減により、ファーネス事業の売上高は、前連結会計年度に比べ5.8%減収148億35百万円となりました。これに対し、工事案件の利益率の改善により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ3.4%増益11億2百万円となりました。

[セラミックス事業](各種産業用ファインセラミックスの製造販売及び景観材の販売)

主力ユーザーである半導体製造装置業界及び電子部品業界の市場環境の良化に伴い、セラミックス事業の売上高は、前連結会計年度に比べ4.3%増収58億45百万円となりました。売上高の増加及び高付加価値製品の売上構成比の増加により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ243.0%増益6億51百万円となりました。

[不動産事業](店舗・倉庫等の賃貸)

不動産事業の売上高は、前連結会計年度に比べ1.3%増収9億31百万円、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ40.8%増益7億61百万円となりました。

[その他](製鉄所向け石灰の製造販売)

その他の事業セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ4.8%減収8億40百万円となりました。また、損益は、15百万円のセグメント損失前連結会計年度は42百万円のセグメント利益)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ57百万円減少し、30億52百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果使用した資金は27億92百万円前連結会計年度は22億96百万円の収入)となりました。

主な内訳は、売上債権の増加額105億48百万円税金等調整前当期純利益72億7百万円減価償却費27億58百万円法人税等の支払額24億15百万円です。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は21億82百万円前連結会計年度は22億97百万円の支出)となりました。

主な内訳は、設備等固定資産の取得による支出19億91百万円です。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果得られた資金は49億55百万円前連結会計年度は1億93百万円の支出)となりました。

主な内訳は、コマーシャル・ペーパーの増加額78億円長期借入金の返済による支出16億92百万円配当金の支払額10億8百万円です。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

65,124

△2.9

ファーネス事業

14,086

+0.8

セラミックス事業

3,670

+9.5

その他

712

△2.2

合計

83,594

△1.8

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  金額は製造原価によっています。

3  不動産事業に生産実績はありません。

 

(2)  受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

86,283

△5.6

7,865

+8.2

ファーネス事業

15,000

△4.0

1,254

+15.1

セラミックス事業

5,888

+5.5

494

+9.5

その他

837

△5.9

63

△5.0

合計

108,010

△4.8

9,679

+9.0

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  不動産事業については、受注活動にそぐわないため、除外しています。

 

 (3)  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

85,917

△6.6

ファーネス事業

14,835

△5.8

セラミックス事業

5,845

+4.3

不動産事業

931

+1.3

その他

840

△4.8

合計

108,371

△5.9

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新日鐵住金㈱

48,287

41.9

46,370

42.8

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項において将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献することを使命とし、「世界一の顧客価値の実現」を事業目標に掲げ、お客様に最高の品質と安心をお届けし、信頼される企業集団を目指します。

また、あらゆる活動を通じ事業価値向上につとめ、株主の利益に貢献したいと考えています。

 

(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

①2017年中期経営計画について

当社グループは、2019年に迎える当社創業100周年時点でのあるべき姿を見据えつつ、『2017年中期経営計画  ~創業100周年への基盤づくり~』を策定し、実行しています。

[2017年中期経営計画  ~創業100周年への基盤づくり~  概要]

1)国内外での耐火物拡販・整備事業拡大

2)耐火物事業での抜本的収益力強化

3)耐火物以外セグメントでの収益拡大

4)安全・防災対策と内部統制活動の全社的強化

以上の施策を推進することにより、連結売上高1,300億円、連結経常利益65億円(ROS(売上高経常利益率)5.0%)を目指します。

②2017年中期経営計画の進捗状況について

当社グループの主要得意先である鉄鋼業界においては、鋼材市況の回復がみられるものの、原料価格高騰の影響を受け、依然として厳しい状況にあり、これを受け、当社グループを取り巻く経営環境は、競合他社との更なる競争激化等により、中期経営計画での想定以上に厳しい状況となっています。

このような状況下、当連結会計年度においては、中期経営計画策定時から外部環境が変化したことによる売上減少に加えて、与信管理・収益管理強化による受注減等から、連結売上高は1,083億71百万円と苦戦を強いられました。しかし、損益については、製造・購買コスト改善と海外不採算調達品の価格是正による利益向上に加え、事業環境の好転、グループ会社の利益改善等により、連結経常利益は78億44百万円となり、ROS7.2%と、中期経営計画の目標レベルを達成しました。

2017年度については、引き続き厳しい経営環境が継続する見通しにあり、中期経営計画利益をオーバー達成すべく、連結売上高1,180億円、連結経常利益75億円を目標に各種施策を積極的に推進します。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループにおいて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項において将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において判断したものです。

①経済動向

当社グループの主たる事業である耐火物事業は、鉄鋼業界の粗鋼生産量に大きく影響を受け、粗鋼の減産は当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループのセラミックス事業は、主に半導体製造装置業界及び電子部品業界向けの製品を製造しており、各業界の設備投資の減少及び半導体不況は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

②特定の取引先との関係

新日鐵住金当社グループの継続的な主要取引先であり、また、当社グループは同社のグループ会社とも取引を有しています。

このため、同社グループの製鉄事業の動向や同社及び同社のグループ会社との取引の状況により当社グループの財政状態及び業績が変動する可能性があります。

③原料価格の変動

当社グループの主力製品である耐火物原料は、主に中国から輸入しています。また、同国で製造された耐火物を調達品として相当量輸入しています。人民元高や中国人件費等コストの上昇に伴い、原料価格・調達価格上昇基調にあります。

原料価格・調達価格の高騰については、販売価格への転嫁を図るべく顧客にご理解をいただくよう努力していますが、原料価格・調達価格の高騰が長期化すれば当社グループの財政状態及び績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主力製品である耐火物の一部で焼成用燃料として重油、液化天然ガス(LNG)を使用しており、原油価格やLNG価格の高騰は、製造・輸送コストの上昇や購入品である加工原料の価格上昇に繋がり、この状況が長期化すれば当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④為替相場の変動

当社グループは、中国、スペイン、アメリカ、インドでの製品の製造世界各国の耐火物等の販売及び中国他からの耐火物原料、商品等の購入を行っています

各地域における売上、費用及び資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらの項目はもとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、換算時の為替レートに基づく円換算後の価値により、当社グループの財政状態及び業績が変動する可能性があります

当社グループの場合、現在のところ輸出額よりも輸入額の方が大きいため、概ね円高は当社グループの財政状態及び業績に好影響を及ぼし、円安は悪影響を及ぼすこととなります。ただし、期末に円高が進行した場合、円換算した現地通貨建ての売掛債権について為替差発生し、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤特定国への依存に伴うカントリーリスク

当社グループは、中国、スペイン、アメリカ、インドでの製品の製造世界各国の耐火物等の販売及び中国他からの耐火物原料、商品等の購入を行っています。その中でも、中国は製造拠点としての重要度が高く、耐火原料、商品等の購入についても、中国からの調達に大きく依存しています。さらに、販売拠点としての重要度小さくありません

中国政府による各種規制、政策転換が当社グループの事業に不利となる可能性もあり、この場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、インドTRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITED子会社していますが、インドにおける各種規制、政策転換、政治的混乱等により、同社の業務に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります

⑥災害の発生

当社グループは、国内外に製造拠点を持っており、これらの地域において大きな災害が発生した場合は、当社グループの生産能力に影響を与え、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦事業活動に係る法的規制

当社グループは、その事業活動の過程において各種法的規制を受けていますが、特に製造拠点において、多くの環境関連法令の規制を受けています。これらの法的規制により、費用負担、損害賠償等の責任が生じ、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に、これらの法的規制が改廃された場合又は新たな法的規制が定められた場合には、これらへの対応のために新たな費用負担等が生じ、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす能性があります。

⑧保有有価証券の価格変動

当社グループが保有している投資有価証券等の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で変動した場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨アライアンス先との関係

当社グループは、技術提携、資本提携、出資等の方法で、各国大手耐火物メーカーとの相互連携を展開、強化することによって世界の主要な鉄鋼市場に製品、技術を提供するという戦略のもとに、グローバル展開を推進しています。

しかし、当初期待されたアライアンスの成果を挙げられない場合や、アライアンスの関係が解消された場合には、戦略の見直しを迫られ、当社グループの事業展開に支障が出る可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

  当社の主な技術援助契約

契約相手

技術援助の内容

契約期間

(ブラジル)
MAGNESITA
REFRATARIOS S.A.

スライディングノズル用耐火物の製造及び使用技術

平成2年2月より5年間
更に契約更改により
平成32年11月まで延長

転炉マグネシアカーボン煉瓦 

平成16年4月より5年間
更に契約更改により
平成27年9月まで延長

現在、契約更改交渉中

 

(注)  技術援助契約に対する対価は各契約により多少の相違はありますが、平成28年度は売上高に対して0.2%となります。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、耐火物製造事業を中心とした研究開発活動を行っています。

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発の他、事業の多様化を目的として耐火物の施工に関わる技術の開発にあたっています。

セラミックス事業においては、当社と有明マテリアル㈱で各種産業用ファインセラミックスの開発を行っています。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の総額は9億26百万円です。

(1) 耐火物事業

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発の他、事業の多様化を目的として耐火物の施工に関わる技術の開発にあたっており、主に当社の技術研究所のスタッフ27名を中心として下記のように運営しています。

① 研究開発の目的

・鉄鋼用耐火物の販売競争力維持及び強化

・海外耐火物生産拠点の強化

・鉄鋼以外の市場への販路拡大

・基礎研究による技術力向上

② 研究課題

・新機能原材料開発

・製造プロセス技術開発

・独自性のある製品の開発

③ 研究体制

・窯炉用耐火物全般、不定形耐火物、機能性耐火物の製品分野別にグルーピングし研究開発活動を行っています。

当事業に係る研究開発費は8億69百万円です。

(2) ファーネス事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(3) セラミックス事業

各種産業用ファインセラミックスの開発を行っており、当事業に係る研究開発費は57百万円です。

(4) 不動産事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(5) その他

当事業に係る研究開発費は発生していません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

①資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ146億89百万円増加して、1,167億2百万円となりました。流動資産は同128億93百万円増加715億18百万円、固定資産は同17億96百万円増加451億83百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、受取手形及び売掛金の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、投資有価証券の増加によるものです。

②負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ88億82百万円増加して、659億27百万円となりました。流動負債は同118億69百万円増加473億62百万円、固定負債は同29億86百万円減少185億64百万円となりました。

流動負債増加の主な要因は、コマーシャル・ペーパー及び短期借入金の増加によるものです。固定負債減少の主な要因は、長期借入金の減少によるものです。

③純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ58億7百万円増加して、507億75百万円となりました。

純資産増加の主な要因は、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加によるものです。

この結果、自己資本比率は39.8%となりました。

また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の485円61銭から550円77銭となりました。

 

(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析については、第2 [事業の状況]、1[業績等の概要]の「(1)業績」に記載しています。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、第2[事業の状況]、1[業績等の概要]の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

※第2[事業の状況]の金額には、消費税等は含まれていません。