文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献することを使命とし、「世界一の顧客価値の実現」を事業目標に掲げ、お客様に最高の品質と安心をお届けし、信頼される企業集団を目指します。
また、あらゆる活動を通じ事業価値向上につとめ、株主の利益に貢献したいと考えています。
当社グループは、「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指し、中長期的な経済社会情勢も見据え、2025年度までを実行期間とする5か年の経営計画を策定し実行しています。
当社は、「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指し、2021年に「2025経営計画」(以下、当初計画)を策定し、実行してまいりました。その結果、実行2年目にあたる2022年度の経営成績において、当初計画の財務目標を概ね前倒しで達成するに至りました。(売上高・経常利益で超過達成)
当初計画の前倒し達成に加え、世界的な原材料価格の高騰や国内外主要顧客での粗鋼生産量の減少等、当社グループを取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、今後の市場環境を見据えて更なる成長を目指すべく 2025年度までの実行期間を維持しつつ経営計画の見直しを行いました。(2023年7月28日公表)

● 2026年3月期目標 連結売上高:1,800億円、連結経常利益:150億円、ROS:8.3%以上、ROIC:9.0%以上。
● 海外事業・セラミックス事業を中心とした成長に向けて5年間の設備投資金額を350億円規模(5年間)へ 150億円増額。
グループの強みを活かしたグローバル戦略の推進、成長分野への積極的な投資の実施等、利益成長に向けた取り組みを加速します。

加えて、SDGsの取り組み深化、カーボンニュートラルへの弛まぬ歩みを通じて更なる企業成長を目指します。新たな財務目標の達成とサステナブルな社会づくりに引き続き貢献してまいります。
2023年度の国内粗鋼生産量は、半導体不足の緩和により自動車生産向け鋼材需要は回復基調にあるものの、人手不足による建設向け鋼材需要の減少や中国不動産不況の影響等により輸出が弱含んでいることから回復が遅れております。世界全体では、インド等で堅調に粗鋼量増となった一方、中国経済の低迷や欧米の景気減速等により全体では横ばいとなりました。当社を取り巻く経営環境は、粗鋼生産量の動向に加え、急激な円安による原材料・エネルギー価格の高騰、更には足元の物流費の上昇等、コスト増傾向が続いております。
こうした状況下、実行3ヵ年目の当連結会計年度においては、生産性向上や歩留まり改善等コスト削減の自助努力に加え、耐火物事業を中心に原料等サプライチェーンコスト上昇分の販売価格への着実な転嫁、及びインド鉄鋼市場での事業拡大や欧州等での非鉄分野向け拡販など収益基盤強化を推進いたしました。
とりわけ、当社の成長戦略上の最重要課題のひとつである海外事業拡大について、成長するインド市場において子会社のTRL KROSAKI REFRACTORIES Ltd.が確立したフルメニュー生産・販売体制の最大活用による更なる競争力向上と積極的な設備投資の実行、欧州市場での着実な需要捕捉に向けたArcelorMittal Refractories社との協業、ブラジル耐火物メーカーIBAR社との技術供与・販売提携の活用推進など、グループ及びパートナー会社との更なる連携深化に努めて参りました。これら諸施策の成果として、2023年度の海外売上高比率が過去最高の45.6%となる等、売上・利益ともに海外事業が大きく貢献しております。
上記取り組みの結果、当連結会計年度における実績は、売上高1,770.2億円、経常利益163.8億円、ROS9.3%、 ROIC9.7%となり、売上・利益ともに、2022年度に記録した過去最高値を上回る結果となりました。2025見直し経営計画に対しても、急激な円安進行に伴う営業外為替差益の影響もあり、売上高以外の3指標で上回りました。
また、カーボンニュートラルを含むサステナブルな社会実現に向けても、諸施策を着実に推進し実績を上げるとともに、今後の更なる活動推進に向けた機能強化を図るため、本年4月より専任組織としてサステナビリティ推進部を新設いたしました。
今後とも、売上高を含む全ての財務目標の達成と持続可能な社会への貢献に向けて、当社の強みを活かしたグローバル戦略の推進、成長分野への積極的な投資の実行等の取り組みを加速するとともに、2025見直し経営計画で掲げた諸施策の着実な実行に鋭意取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、グループの企業理念を宣言したミッション・ステートメントにおいて「たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献」することを「使命」として定めており、また、お客様、従業員、パートナー企業、地域、地球環境、株主などの様々なステークホルダーに対する姿勢を「経営方針」として定めております。
このミッション・ステートメントの考え方に則り、これからも当社の技術と事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に積極的に取り組んでまいります。
(1) サステナビリティについての取り組み
① ガバナンス
当社グループはサステナビリティ課題を重要な経営課題であると認識し、「サステナビリティ活動基本方針」の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関として、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。本委員会は、当社のサステナビリティを巡る課題や取組みに関する方針、実行計画の策定、進捗状況の管理及びローリング等について審議・報告を行い、取締役会に答申します。本委員会は原則として年に2回、必要あるときは随時開催すると共に、本委員会内に「気候変動関連分科会」「環境分科会」を設置し、優先課題の調査・検討、審議・報告にあたります。

当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向けて、事業活動の継続性と一体不可分のものとして環境問題をはじめとする社会的課題に積極的に取り組んでおり、今後の更なる活動推進に向けた機能強化を図るため、2024年4月1日付で、経営企画部のもとにサステナビリティ推進部を新設しました。
持続可能な社会の実現にあたり「環境」「社会」「ガバナンス」の視点から下記の通り課題を抽出すると共に対処すべきマテリアリティを特定しました。



優先課題については、その計画ならびに進捗に関し、特に重点的にサステナビリティ推進委員会に報告を行っていますが、当社グループを取り巻く環境変化を踏まえ、2024年5月の同委員会にて下記3項目について、優先課題として追加すべきことを審議、決定し、同年同月開催の取締役会に答申致しました。今後、下記事項を検討の上、報告、実施してまいります。
尚、現在優先課題として推進中の「地域との共生」はセラミックス事業部ならびに総務部の定常活動として定着しているため、優先課題からファンダメンタルな課題に移行します。
当社グループは、当社グループの事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、経営会議ならびに取締役社長を委員長とする内部統制委員会において全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。
これに加え、サステナビリティ推進委員会においてマテリアリティならびに全社に係るサステナビリティやESG関連の重点施策・方針の企画、審議、グループ展開およびモニタリングを行い、取締役会へ報告することで、全社におけるリスク管理の強化を図っております。
なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取組みについては、
当連結会計年度における当社グループの優先課題としたマテリアリティに関する取組みおよびその進捗状況は以下のとおりです。
≪優先課題の取組内容≫
●「熱を操る技術」による気候変動対策の推進
●ダイバーシティ&インクルージョンの推進
●地域環境の保全(水環境・緑環境・大気汚染)
●地域との共生
●リサイクルの推進
(2) 気候変動関連についての取組
TCFDの提言に沿った気候変動関連の情報開示
当社グループはTCFD提言への賛同(TCFDコンソーシアムに参画)と共に、2022年5月にTCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示し、気候変動がもたらす“リスク”と“機会”を明確にし、“リスク”の低減と“機会”の獲得に向けて対応策を策定しました。
具体的には、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、移行リスクにおいては、国際エネルギー機関(IEA)が発行するWorld Energy Outlook 2022からSTEPSとNZEを主体とし、物理リスクについては気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書からRCP8.5、RCP2.6 について政府や国際機関が発行した将来に関する予測を参考に1.5℃・2℃未満シナリオならびに4℃シナリオの二つにまとめ、定性・定量の両面で下表の通り、再度、分析を実施し、対応策を検討致しました。
1.5℃・2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に移行する上で考えられる炭素税導入による影響が大きいことから、当社グループが排出しているScope1,2を削減することでリスクを最小化することが重要であると考えると共に、サプライチェーン全体のCO₂排出量(Scope3)削減対策の促進も今後の課題であると考えています。一方、規制強化の影響で脱炭素社会に貢献できる当社製品の売上増加も見込まれます。
また4℃シナリオでは異常気象の激甚化による影響が大きく、今後も災害に備えた基盤整備を継続することでリスク低減につなげてまいります。
上記課題認識のもと、2023年度において、当社グループは、Scope1,2はもとより、Scope3も含めたCO₂排出量の算定と削減対策を確実に行うべく、Scope3排出量の迅速な算定とマネジメントが可能な新集計ツールの導入とCO₂排出量開示における第三者保証取得の検討を行いました。また、環境配慮型製品の需要拡大を受け、脱炭素社会に貢献できる高機能高付加価値製品の開発に注力するとともに、当社の社会貢献を一層拡大すべく、環境貢献価値を訴求するブランド化の取り組みを強化しました。

(3) 人的資本についての取組
① ダイバーシティ&インクル―ジョン(D&I)
当社では、多様な従業員が、長期に亘り生産性を高く維持・発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できる環境を整えることを目的に、「ミッション・ステートメント」等をもとに、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の取り組みを進めることについて、以下の通り、会社としての方針および管理目標を設定しております。
1)取組方針
当社は、社員一人ひとりの人間性を尊重し、日頃の業務における従業員間の協働や職場における対話活動を通じて「個性を歓迎する風土」を創り、豊かな価値を創造・提供していきたいと考えています。あらゆる人権の尊重は企業活動の基本であり、当社は、国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、性的指向、障がいの有無等に基づく不当な差別の排除に努めています。
当社を取り巻く環境が変化する中、将来に亘って産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献し「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指して成長し続けるためには、当社で働く従業員が相互に多様な価値観を受入れ、生産性高く持てる力を最大限に発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できることが重要であるとの認識に立ち、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みます。
2)D&I重点取組項目について
D&Iの重点取組項目を以下のとおり設定すると共に管理目標と指標を下記の通り、設定しております。
ⅰ)女性活躍の推進 … 従業員の多様性を活かす(ダイバーシティ関連)
ⅱ)働き方・休み方 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)
ⅲ)健康づくりの推進 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)
ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築 … ハラスメント防止・就業モラルの向上
ⅰ)女性活躍の推進
ⅱ)働き方・休み方
ⅲ)健康づくりの推進
ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築
② 人材育成
当社グループは、「人的資本経営強化」を継続的に推進すべく、人材育成・能力開発のレベルアップに取り組んでいます。
当社グループの人材育成・能力開発は「ミッション・ステートメント」にて定める事業目標「世界一の顧客価値の実現」の達成に貢献可能な人材を育てることを目的に実施しており、求められる能力・知識・仕事への姿勢の習得を速やかに図る為に、下記の通り、教育ならびに研修を実施しています。
■教育・研修の概要
■課題への取組
■当社グループは多様化を始めとする社会環境の変化に対応した人材を育成する為、常に課題認識を持ちながら
人材育成に取り組んでいます。
*1)当社において必須となる専門基礎知識の継承と財務・法務・労務管理を始めとするビジネス知識の取得を目的として執務系社員を対象に社内研修プラットフォームである「クロサキハリマカレッジ」を従前より開講し、2023年度は講座数32講座に対し、年間延べ1,098名の社員が受講しています。
*2)2022年10月よりデジタル技術に関する知識を習得するツールとして、グループ長以上の役職者及び各部門のDX推進者を対象にオンライン動画研修を受講する仕組みを導入しました(2023年度は対象範囲を執務系社員全体に拡大)。併せて、同研修内に設定されている講座にはデジタル技術に関する内容だけでなく、一般的な知識、社会的に新たにフィーチャーされる事柄に関する講座も随時設定されている為、様々な社会環境の変化に即時に対応できる人材の育成に取り組んでいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において、当社グループが判断したものです。
≪経営環境に関するリスク≫
耐火物事業及びファーネス事業は、鉄鋼業界の粗鋼生産量に大きく影響を受け、世界の政治経済動向が不透明である事に伴う国内外での粗鋼減産は、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、セラミックス事業は、主に半導体製造装置業界及び電子部品業界向けの製品を製造しており、各業界の設備投資の状況や市場の動向が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、生産体制、整備・施工体制の最適化(弾力的な生産体制、整備・施工体制の確立等)を図ることにより収益力を強化します。
当社グループは、グローバルに事業を展開しています。その中でも、中国は、耐火物原料・調達品等の購入において、重要な調達拠点です。中国における各種規制、政策転換、混乱等が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、インドのTRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITEDを連結子会社としており、同社の売上高は436億円(2024年3月期)となっています。
インドにおける各種規制、政策転換、混乱等により、同社の事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グローバルに事業を展開しています。各国・地域における売上、費用及び資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために日本円に換算されています。これらの項目は、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が変動する可能性があります。
当社グループでは、現状、輸出額よりも輸入額の方が大きいため、円高は当社グループの経営成績等の状況に好影響を及ぼし、円安は悪影響を及ぼすこととなります。
当該リスクを踏まえ、一部の外貨建ての営業債権債務について、一定のルールに基づき先物為替予約を利用することにより、為替変動リスクをヘッジしています。また、ヘッジできなかった為替変動リスクについては、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉しています。
≪事業活動に付随するリスク≫
④ 特定の取引先との関係
日本製鉄㈱は、当社グループの継続的な主要取引先であり、また、当社グループは同社のグループ会社とも取引を有しています。当社グループの日本製鉄㈱の企業グループに対する売上比率は、約42.4%(連結、2024年3月期)となっています。
このため、同社グループの製鉄事業の動向や同社及び同社のグループ会社との取引の状況が当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、特定の取引先に加え、インド等の成長市場での拡販、欧米の成熟市場におけるターゲット顧客のシェア拡大等、グローバル展開をより積極的に推進します。また、耐火物事業、ファーネス事業に加え、事業分野として今後の成長が見込まれるセラミックス事業に注力します。
⑤ サステナビリティ課題
近年、国内外で様々な気象災害が発生しており、気候変動への取り組みは世界的な社会課題となっています。また、資源枯渇や人権侵害といった問題も顕在化し、サステナビリティに関する課題は拡大傾向にあります。こうしたサステナビリティ課題に対して適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、企業の信用やブランド価値の低下に繋がる可能性があります。
当該リスクを踏まえ、2021年12月、当社グループの事業活動を行う上で重要となる14個のマテリアリティ(重要課題)を設定しサステナビリティ基本方針として宣言致しました。また、サステナビリティ基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ推進委員会を設置致しました。今後もサステナビリティ課題について適切に管理するとともに14個のマテリアリティに対しての取り組みを進め、サステナビリティ経営を更に深化させてまいります。
⑥ 情報セキュリティ事故の発生
当社グループは、様々な場面でコンピューターシステム及びコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークを利用し事業活動を行っています。また、働き方の多様化によりリモートワークが定着しています。そうした状況下で、サイバー攻撃等に伴う当社ネットワークへの不正アクセスやデータの破壊・改ざん、当社、取引先の機密情報の漏洩等により、当社グループの社会的信頼の失墜を招くとともに、経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、NSG-CSIRT(日本製鉄グループのComputer Security Incident Response Team)への加入により、外部からの不正アクセスの監視を強化継続しています。また、グループ内で情報セキュリティに関するEラーニング、標的型メールへの対処の抜き打ち訓練の実施等を通し、情報管理意識の向上を図っています。こうした対策を通して、セキュリティの強化に努めます。
⑦ 原料価格等の変動
耐火物原料や耐火物調達品を海外から相当量輸入しています。加えて、耐火物の製造工程の一部で、焼成用燃料として液化天然ガス(LNG)、重油を使用しており、LNG価格や原油価格の高騰は、製造・輸送コストの上昇や購入品の価格上昇に繋がります。
原料価格、調達価格、LNG価格、原油価格の高騰が長期化した場合、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉するとともに、調達ソース多様化を進めています。
⑧ アライアンス先との関係
当社グループは、世界の主要な鉄鋼市場に製品、技術を提供するという戦略のもとに、技術提携、資本提携等の方法で、各国大手耐火物メーカーとの相互連携を展開、強化することによって、グローバル展開を推進しています。
しかし、当初期待されたアライアンスの成果を挙げられない場合や、アライアンスの関係が解消された場合には、戦略の見直しを迫られ、当社グループの事業展開に支障が出る可能性があります。
⑨ 人材確保・育成
国内での少子高齢化が加速する中、事業の根幹である人材を確保・育成し、一人ひとりが活力をもってその能力を最大限発揮する人的資本経営を強化していくことは、今後の事業発展に極めて重要な課題です。しかし、優秀な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、当社グループでは、優秀な人材獲得に向け福利厚生含めた処遇改善、労働環境改善、従業員の健康増進、女性活躍推進、採用活動強化に取り組むとともに、グローバル事業拡大を踏まえた語学教育の促進・ITリテラシー教育・資格取得の推進などの取り組みをおこなっています。
⑩ パンデミックの発生
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新たな感染症が発生し、業務の停止やサプライチェーンの混乱が生じた場合、当社の事業活動に影響を与えるリスクがあります。
当該リスクを踏まえ感染症対応マニュアルや事業継続計画の策定等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。
当社グループは国内外に製造拠点を有しており、大規模災害により、各拠点の従業員や建屋、設備等に甚大な被害が発生し、操業を停止せざるを得ない場合には、当社グループの生産能力が低下し、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、災害対応マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、建屋の耐震補強、防災訓練等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。
⑫ 事業活動に係る法的規制
当社グループは、その事業活動において、商取引法、独占禁止法、労働法、知的財産法、環境法、建築基準法、建設業法等の各種法的規制を受けています。
これらの法的規制により損害賠償責任が生じる場合や、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制への対応が求められる場合には、費用負担等が生じ、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 保有投資有価証券の価値変動
当社グループは約68億円の投資有価証券を保有しており(連結、2024年3月末時点)、投資先企業の経営成績不振、証券市場における市況の悪化等でその価値が下落した場合は、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和を受け、回復基調が継続したものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融引き締めによる急激な為替変動等により、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループの主要顧客である鉄鋼業界においては、半導体不足の緩和により自動車生産向け鋼材需要は回復基調にあるものの、人手不足による建設向け鋼材需要の減少や中国不動産不況の影響等により輸出が弱含んでいることから、国内粗鋼生産量は回復が遅れております。また、海外においては、欧州の景気悪化に伴う鋼材需要の低迷が継続するものの、インド等一部地域で鋼材需要が増加していることにより世界全体での粗鋼生産量は、前年の水準まで回復しました。当連結会計年度の国内粗鋼生産量は、前連結会計年度に比べ1.1%減の8,683万トンとなりました。また、世界鉄鋼協会発表による2023年1~12月間の世界の粗鋼生産量は、インドは前年同期に比べ11.8%増の1億4,020万トン、世界全体では前年同期に比べ0.1%減の18億4,970万トンとなりました。
このような環境の中、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力に加え、昨年度来、耐火物事業における原料・エネルギー価格等コスト上昇分の販売価格転嫁を着実に進めるとともに、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、当社グループの経営成績は、売上・利益ともに2期連続で過去最高を更新致しました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりです。
[売上高]
昨年度来、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、売上高は前連結会計年度に比べ7.2%増収の1,770億29百万円となりました。
[損益]
売上高の増加に加え、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力により、営業利益は前連結会計年度に比べ31.5%増益の146億92百万円、急激な円安進行に伴う営業外為替差益も加わり経常利益は同35.6%増益の163億89百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は同49.9%増益の124億16百万円となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント利益は営業利益ベースです。
[耐火物事業](各種工業窯炉に使用する耐火物全般の製造販売)
昨年度来、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、売上高は前連結会計年度に比べ8.1%増収の1,518億67百万円、利益は同49.8%増益の126億73百万円となりました。
[ファーネス事業](各種窯炉の設計施工及び築造修理)
売上高は大型工事案件の受注により、前連結会計年度に比べ4.1%増収の152億28百万円となりましたが、利益は受注案件の構成差等により、同45.3%減益の5億51百万円となりました。
[セラミックス事業](各種産業用セラミックスの製造販売及び景観材の販売)
半導体市場や電子部品市場の回復の遅れにより、売上高は前連結会計年度に比べ2.9%減収の82億26百万円、利益は同19.9%減益の8億51百万円となりました。
[不動産事業](店舗・倉庫等の賃貸)
売上高は、前連結会計年度に比べ横ばいの7億37百万円、利益は、同4.4%減益の5億69百万円となりました。
[その他](製鉄所向け石灰の製造販売)
売上高は、前連結会計年度に比べ17.2%増収の9億69百万円、利益は、同19.5%増益の48百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ156億78百万円増加して、1,790億19百万円となりました。流動資産は同109億42百万円増加の1,191億66百万円、固定資産は同47億36百万円増加の598億52百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、生産設備等の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8億39百万円増加して、863億21百万円となりました。流動負債は同24億94百万円減少の586億83百万円、固定負債は同33億34百万円増加の276億38百万円となりました。
流動負債減少の主な要因は、コマーシャル・ペーパーの減少によるものです。固定負債増加の主な要因は、長期借入金の増加によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ148億38百万円増加して、926億97百万円となりました。
純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加です。
この結果、自己資本比率は48.7%となりました。
また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,182円92銭から2,588円21銭となりました。なお、2024年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産」を算定しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ40億58百万円増加し、84億83百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動の結果得られた資金は137億24百万円(前連結会計年度は10億1百万円の収入)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益183億85百万円、減価償却費38億73百万円、売上債権の増加額72億68百万円、棚卸資産の減少額24億19百万円、法人税等の支払額35億90百万円です。
投資活動の結果使用した資金は35億89百万円(前連結会計年度は45億14百万円の支出)となりました。
主な内訳は、設備等固定資産の取得による支出65億95百万円、固定資産の売却による収入15億円、投資有価証券の売却による収入18億88百万円です。
財務活動の結果使用した資金は62億37百万円(前連結会計年度は28億63百万円の収入)となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額28億23百万円、コマーシャル・ペーパーの減少額80億円、長期借入れによる収入69億54百万円、長期借入金の返済による支出49億38百万円、配当金の支払額28億53百万円です。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
3 不動産事業に生産実績はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 不動産事業については、受注活動にそぐわないため、除外しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っています。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
[売上高]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ118億26百万円増加の1,770億29百万円(前年同期比7.2%増)となりました。これは主に、耐火物事業におけるコスト上昇分の着実な販売価格転嫁及び国内外での事業拡大、ファーネス事業における大型工事案件の受注等によるものです。地域ごとの売上高は、日本が962億65百万円(前年同期比6.3%増)、インドが385億52百万円(前年同期比13.8%増)、アジアが97億23百万円(前年同期比4.8%減)、欧州が206億85百万円(前年同期比11.2%増)、その他が118億1百万円(前年同期比1.3%減)となり、海外売上高は807億63百万円(前年同期比8.2%増)、海外売上高比率は45.6%(前年同期比0.4ポイント増)となりました。
2025年3月期以降の当社グループの売上については、世界全体に渡る不安定な政治・経済動向を受け、先行きを見通し難い状況にあるものの、商品価値に見合った価格形成力・当社グループの技術力に加えて、グローバル対応力を活かすことにより、増収基調にあると想定しています。
[売上総利益]
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ47億45百万円増加の353億77百万円(前年同期比15.5%増)となり、売上総利益率は、前連結会計年度に比べ1.4ポイント増加の20.0%となりました。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ35億18百万円増加の146億92百万円(前年同期比31.5%増)となり、営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.5ポイント増加の8.3%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ12億26百万円増加の206億84百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
[経常利益]
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ43億5百万円増加の163億89百万円(前年同期比35.6%増)となり、経常利益率は、前連結会計年度に比べ1.9ポイント増加の9.3%となりました。営業外収益は、為替差益の増加により前連結会計年度に比べ7億94百万円増加の27億77百万円(前年同期比40.0%増)、営業外費用は、前連結会計年度に比べ7百万円増加の10億80百万円(前年同期比0.7%増)となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ41億34百万円増加の124億16百万円(前年同期比49.9%増)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益及び固定資産売却益の増加により前連結会計年度に比べ21億59百万円増加の24億2百万円(前年同期比888.3%増)、特別損失は、減損損失の計上により前連結会計年度に比べ2億89百万円増加の4億6百万円(前年同期比247.1%増)となりました。
なお、経常利益の増減要因を次のとおり分析しています。
国内耐火物事業は粗鋼生産の減少に加え、為替相場が急激に円安方向に進行する等、厳しい環境下に置かれましたが、引き続き、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力により増益となりました。インドや欧州等の海外子会社の業績も好調に推移し、連結経常利益は、2期連続で過去最高を更新しました。
※表示単位未満の端数を四捨五入して表示
・マージン改善 19.8億円
・国内作業用売上増 0.6億円
・国内建設用売上増 2.5億円
・輸出向け作業用売上増 5.6億円
・コストアップ △ 11.4億円
・コストダウン 11.8億円
・連結子会社の損益 15.0億円
・ファーネス事業 △ 4.6億円
・セラミックス事業 △ 2.1億円
・営業外損益等 5.9億円
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「①経営成績の状況」に記載しています。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容については、第2[事業の状況]、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]の「(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」、「②2025見直し経営計画の進捗状況について」に記載しています。
当連結会計年度における財政状態の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「②財政状態の状況」に記載しています。
[耐火物事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ113億18百万円増加して、1,465億57百万円となりました。
増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加です。
[ファーネス事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億4百万円増加して、100億15百万円となりました。
増加の主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加です。
[セラミックス事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億92百万円増加して、90億44百万円となりました。
増加の主な要因は、仕掛品の増加です。
[不動産事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億17百万円増加して、7億12百万円となりました。
増加の主な要因は、建物及び構築物の増加です。
[その他]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ22百万円増加して、3億80百万円となりました。
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
当社グループの主な運転資金需要は、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした主な資金需要は、設備の取得によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、コマーシャル・ペーパーを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としています。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は368億81百万円となっています。
当社グループは、耐火物製造事業を中心とした研究開発活動を行っています。
耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的とした技術の開発にもあたっています。
セラミックス事業においては、各種産業用セラミックスの開発を行っています。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の総額は
耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的として耐火物の施工に関わる技術の開発にあたっており、主に当社の技術研究所のスタッフ24名を中心として、次のとおり運営しています。
・鉄鋼用耐火物の販売競争力維持及び強化
・海外耐火物生産拠点の強化
・鉄鋼以外の市場への販路拡大
・基礎研究による技術力向上
・カーボンニュートラルに貢献する技術開発
・新機能原材料開発
・製造プロセス技術開発
・独自性のある製品の開発
主に鉄鋼用耐火物全般を研究対象としており、基盤研究成果に基づいた独自性のある製品の研究開発活動に取り込んでいます。
当事業に係る研究開発費は
当事業に係る研究開発費は発生していません。
各種産業用セラミックスの開発を行っており、当事業に係る研究開発費は
当事業に係る研究開発費は発生していません。
当事業に係る研究開発費は発生していません。