第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献することを使命とし、「世界一の顧客価値の実現」を事業目標に掲げ、お客様に最高の品質と安心をお届けし、信頼される企業集団を目指します。

また、あらゆる活動を通じ事業価値向上につとめ、株主の利益に貢献したいと考えています。

 

(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
① 2025見直し経営計画(2021年度~2025年度)について

当社グループは、「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指し、中長期的な経済社会情勢も見据え、2025年度までを実行期間とする5か年の経営計画を策定し実行しています。

 

 

2021年公表の「2025経営計画」を前倒しで達成

 

当社は、「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指し、2021年に「2025経営計画」(以下、当初計画)を策定し、実行してまいりました。その結果、実行2年目にあたる2022年度の経営成績において、当初計画の財務目標を概ね前倒しで達成するに至りました。(売上高・経常利益で超過達成)

 

 

当初計画(2025年度)

2022年度実績

連結売上高

1,500億円

1,652.0億円

連結経常利益

120億円

120.8億円

ROS

8.0%

7.3%

 

 

 

市場環境の変化を踏まえ、更なる成長を目指して経営計画を更新

 

 

当初計画の前倒し達成に加え、世界的な原材料価格の高騰や国内外主要顧客での粗鋼生産量の減少等、当社グループを取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、今後の市場環境を見据えて更なる成長を目指すべく 2025年度までの実行期間を維持しつつ経営計画の見直しを行いました。(2023年7月28日公表)


 

 

 

「2025見直し経営計画」では、更なる利益成長を企図した財務目標・設備投資計画を設定

 

● 2026年3月期目標 連結売上高:1,800億円、連結経常利益:150億円、ROS:8.3%以上、ROIC:9.0%以上。

● 海外事業・セラミックス事業を中心とした成長に向けて5年間の設備投資金額を350億円規模(5年間)へ 150億円増額。

 

 

「2025見直し経営計画」を支える事業戦略

 

グループの強みを活かしたグローバル戦略の推進、成長分野への積極的な投資の実施等、利益成長に向けた取り組みを加速します。


全社的事業基盤の強化と持続可能な社会への貢献

カーボンニュートラル含むサステナビリティ活動基本方針に基づく諸施策の的確な展開

安全・環境・防災・内部統制活動の深化

グローバル人材の育成・採用強化及び人的資本強化施策の推進

生産性向上に向けたDX 推進強化

 

加えて、SDGsの取り組み深化、カーボンニュートラルへの弛まぬ歩みを通じて更なる企業成長を目指します。新たな財務目標の達成とサステナブルな社会づくりに引き続き貢献してまいります。

 

② 2025見直し経営計画の進捗状況について

2023年度の国内粗鋼生産量は、半導体不足の緩和により自動車生産向け鋼材需要は回復基調にあるものの、人手不足による建設向け鋼材需要の減少や中国不動産不況の影響等により輸出が弱含んでいることから回復が遅れております。世界全体では、インド等で堅調に粗鋼量増となった一方、中国経済の低迷や欧米の景気減速等により全体では横ばいとなりました。当社を取り巻く経営環境は、粗鋼生産量の動向に加え、急激な円安による原材料・エネルギー価格の高騰、更には足元の物流費の上昇等、コスト増傾向が続いております。

こうした状況下、実行3ヵ年目の当連結会計年度においては、生産性向上や歩留まり改善等コスト削減の自助努力に加え、耐火物事業を中心に原料等サプライチェーンコスト上昇分の販売価格への着実な転嫁、及びインド鉄鋼市場での事業拡大や欧州等での非鉄分野向け拡販など収益基盤強化を推進いたしました。

とりわけ、当社の成長戦略上の最重要課題のひとつである海外事業拡大について、成長するインド市場において子会社のTRL KROSAKI REFRACTORIES Ltd.が確立したフルメニュー生産・販売体制の最大活用による更なる競争力向上と積極的な設備投資の実行、欧州市場での着実な需要捕捉に向けたArcelorMittal Refractories社との協業、ブラジル耐火物メーカーIBAR社との技術供与・販売提携の活用推進など、グループ及びパートナー会社との更なる連携深化に努めて参りました。これら諸施策の成果として、2023年度の海外売上高比率が過去最高の45.6%となる等、売上・利益ともに海外事業が大きく貢献しております。

上記取り組みの結果、当連結会計年度における実績は、売上高1,770.2億円、経常利益163.8億円、ROS9.3%、 ROIC9.7%となり、売上・利益ともに、2022年度に記録した過去最高値を上回る結果となりました。2025見直し経営計画に対しても、急激な円安進行に伴う営業外為替差益の影響もあり、売上高以外の3指標で上回りました。

また、カーボンニュートラルを含むサステナブルな社会実現に向けても、諸施策を着実に推進し実績を上げるとともに、今後の更なる活動推進に向けた機能強化を図るため、本年4月より専任組織としてサステナビリティ推進部を新設いたしました。

今後とも、売上高を含む全ての財務目標の達成と持続可能な社会への貢献に向けて、当社の強みを活かしたグローバル戦略の推進、成長分野への積極的な投資の実行等の取り組みを加速するとともに、2025見直し経営計画で掲げた諸施策の着実な実行に鋭意取り組んでまいります。

 

 

2025見直し経営計画

2023年度実績

連結売上高

1,800億円

1,770.2億円

連結経常利益

150億円

163.8億円

ROS

8.3%

9.3%

ROIC

9.0%

9.7%

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、グループの企業理念を宣言したミッション・ステートメントにおいて「たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献」することを「使命」として定めており、また、お客様、従業員、パートナー企業、地域、地球環境、株主などの様々なステークホルダーに対する姿勢を「経営方針」として定めております。

このミッション・ステートメントの考え方に則り、これからも当社の技術と事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に積極的に取り組んでまいります。

 

(1) サステナビリティについての取り組み

 ① ガバナンス

当社グループはサステナビリティ課題を重要な経営課題であると認識し、「サステナビリティ活動基本方針」の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関として、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。本委員会は、当社のサステナビリティを巡る課題や取組みに関する方針、実行計画の策定、進捗状況の管理及びローリング等について審議・報告を行い、取締役会に答申します。本委員会は原則として年に2回、必要あるときは随時開催すると共に、本委員会内に「気候変動関連分科会」「環境分科会」を設置し、優先課題の調査・検討、審議・報告にあたります。

 


 

当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向けて、事業活動の継続性と一体不可分のものとして環境問題をはじめとする社会的課題に積極的に取り組んでおり、今後の更なる活動推進に向けた機能強化を図るため、2024年4月1日付で、経営企画部のもとにサステナビリティ推進部を新設しました。

 

 ② 戦略

持続可能な社会の実現にあたり「環境」「社会」「ガバナンス」の視点から下記の通り課題を抽出すると共に対処すべきマテリアリティを特定しました。

 


 


 

 


 

優先課題については、その計画ならびに進捗に関し、特に重点的にサステナビリティ推進委員会に報告を行っていますが、当社グループを取り巻く環境変化を踏まえ、2024年5月の同委員会にて下記3項目について、優先課題として追加すべきことを審議、決定し、同年同月開催の取締役会に答申致しました。今後、下記事項を検討の上、報告、実施してまいります。

 

a)人権保護の徹底

 当社グループとしての人権方針ならびに今後の活動計画を策定。

b)人材育成

 「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進」を含めた「人的資本経営強化」を優先課題と認識し、D&Iの取り組みに加えて人材育成・採用活動強化を推進。

c)顧客への安定供給

 地政学リスクの高まり・少子高齢化・物流分野での働き方改革等を背景に「顧客への安定供給」の重要性が高まっており、これを担保する上で「サプライチェーンマネジメント」の最適化を推進。

 

 

尚、現在優先課題として推進中の「地域との共生」はセラミックス事業部ならびに総務部の定常活動として定着しているため、優先課題からファンダメンタルな課題に移行します。

 

 ③ リスク管理

当社グループは、当社グループの事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、経営会議ならびに取締役社長を委員長とする内部統制委員会において全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っております。

これに加え、サステナビリティ推進委員会においてマテリアリティならびに全社に係るサステナビリティやESG関連の重点施策・方針の企画、審議、グループ展開およびモニタリングを行い、取締役会へ報告することで、全社におけるリスク管理の強化を図っております。

なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取組みについては、第2[事業の状況]、3[事業等のリスク」に記載しております。

 

 

 ④ 指標及び目標

当連結会計年度における当社グループの優先課題としたマテリアリティに関する取組みおよびその進捗状況は以下のとおりです。

 

 ≪優先課題の取組内容≫

●「熱を操る技術」による気候変動対策の推進

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

①自社でのカーボンニュートラルの取り組み

・CO₂排出量の削減目標設定と対応策の検討。

<単体 Scope1・2>

・2013年:169千t

・2030年: 85千t

 (2013年比▼50%)

・2050年:実質的カーボンニュートラル

 

・2023年度CO₂排出実績

 (単体Scope1・2):167千t

・対2013年度比で排出量は1.3%削減。

・コア事業(耐火物/ファーネス/セラミックス事業)の集計では、CO₂排出量は19.6%削減、CO₂排出量原単位は10.3%削減を達成。

 なお、石灰事業については2025年3月末目途での撤退を公表済。

・省エネ型設備導入による電力削減と各種施策による燃料削減での排出量削減。

・Scope1,2排出量削減の推進。

・Scope3排出量算定精度向上と削減推進。

・国内外関係会社と連携したCO₂排出削減目標設定と削減推進。

・高機能CO₂排出量算定ツール導入。

・CO₂排出量開示における第三者保証取得。

・サプライチェーン全体のGHG排出量の把握・目標設定。

②お客様でのCO₂排出量削減への貢献

・各事業において以下の項目の取り組みを推進。

・エコプロダクトの開発推進、適用拡大。

・環境への貢献を基軸とした差別化商品の洗い出しとサービス価値の体系的な再定義を推進。

 

・当社製品の使用でお客様のCO₂排出量削減へ貢献

・環境への貢献を基軸とした高付加価値製品のブランド化を通じた拡販・普及による脱炭素社会への更なる貢献。

[耐火物]

・高耐用、高機能耐火物の開発。

(今後の分析を踏まえ検討。)

 

・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大。

・高耐用不焼成れんがの適用拡大。

・焼成れんがの不焼成化推進。

・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大継続。

・高耐用不焼成れんがの適用拡大。

・焼成れんがの不焼成化推進継続。

[ファーネス]

・省エネルギー工業炉設計・低熱伝導耐火物の施工、バイオマス発電等環境分野での受注。

・加熱炉の省エネ化としてKSB工法の適用拡大。

・省エネルギー工業炉設計・低熱伝導耐火物の施工。

・バイオマス発電等環境分野での受注拡大。

[セラミックス]

・断熱性を持つセラミックスを省エネ環境、エレクトロニクス、医療・宇宙等へ提供。

・最先端半導体装置量産機での実機採用(2025)。

・省エネ半導体製造装置の量産段階での実機採用(時期未定)。

・燃料電池用高機能断熱材の拡販。

・更に低熱伝導率の高機能断熱材開発、製造による拡販推進 。

・燃料電池・発電・鉄鋼・工業炉関連への断熱材及びファインセラミックスの適用拡大。

・コンデンサー高速焼成炉用軽量セッター開発・適用により製造工程、半導体使用機器でのCO₂削減に貢献。

 

 

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

③鉄鋼新プロセスへの対応 

・使用量自体の削減。

 (高耐用化、リサイクル化)

・水素還元製鉄対応のためのH2雰囲気下での各種材質の損傷量、損傷様式の調査把握。

 

・COURSE50プロセスを支える耐火物の研究開発。

✓COURSE50実用化段階の実機搭載(2025~30)

✓普及段階での実機搭載(~2050)

④CO₂削減投資推進 

・設備投資経済性評価にCO₂削減インセンティブ評価導入。

・全社での燃料転換推進、高効率設備導入。

・海外関連会社での燃料転換推進支援。

・再生可能エネルギーの導入検討

・CO₂削減インセンティブ評価を継続実施。

 

 

●ダイバーシティ&インクルージョンの推進

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

・女性、外国人等の活用などを推進。

・次の項目について目標設定し、別途開示。

✓総合職女性採用比率

✓女性役職者比率

✓年間総実労働時間設定

✓年次休暇取得日数ターゲット

✓社員健康管理に関する目標等

「(3)人的資本についての取組」において詳細記載。

・世界各国の従業員が活躍するグローバル企業としてダイバーシティ&インクルージョンを推進。

 

 

●地域環境の保全(水環境・緑環境・大気汚染)

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

①産業廃棄物排出による生物への影響の低減

・廃棄物基準に準じた排出の実施。

・れんが屑、汚泥に加え、ファインセラミックス系廃棄物のリサイクル化を推進。

・過去3年間の産廃排出原単位の加重平均の1%削減。

・目標に対して15%超過達成。

・リサイクル推進と歩留まり向上による耐火物の減量継続。

②生産工程における排水処理の徹底管理

・工場排水を水処理設備で清浄化し製造工程で再利用、節水と環境にやさしい排水を実施。

・水使用量に関し、過去5年平均の1%削減(2024年度目標)

 

・環境方針に「水の豊かさを維持するための活動を推進する。」旨の文言を追加し、水使用量削減を促進。

・節水器具、装置の適用、地下水、雨水の利用拡大による水使用量削減施策。

③有害物質の構外流出防止

・管理強化、監視、漏えい時の訓練実施。

・化学物質、危険物貯蔵タンクの漏洩リスクアセスメントを実施し、防油堤、防液堤を完備。

・人に優しい化学物質への置換推進。

異常燃焼によるばい煙基準値超え防止

・基準値よりも厳しい自主管理値を設定し監視を実施。

・自主管理値設定、傾向管理の継続と、省エネ含めた最適燃焼条件の探索を実施中。

・自主管理値を基準とした監視の継続。

・燃料変更による無害化促進。

 

 

 

●地域との共生

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

①住みやすいまちづくりへの貢献

・リサイクルれんが・景観材れんがで彩った駅前広場や公園の設置。

・北九州市を始めとする九州地方各地域のランドマーク的施設や旅客ターミナル、遊歩道、公共施設等へのリサイクル煉瓦・景観材納入。

・景観材れんがを使った、人々が住みよいと感じる街づくり。

・地域の環境、活性化等様々な分野への参画を積極的に行い、誰もが住みやすいまちづくりに貢献する。

②事業活動を担う次世代人材(地域)の育成

・地域イベントへの参加や清掃活動への参加、陸上部の活動を通じたコミュニティとの連携。

・現地採用の推進。

・地域公共運動施設の命名権取得・地域イベントへの協賛を通じた支援継続に加え、能登半島地震被災者・被災企業への寄付による震災復興支援等の実施。

・当社拠点自治体就職情報サイトへの記事掲載の協力。

・陸上競技部の活躍(地域ランニング教室への参加、九州実業団毎日駅伝連続優勝、ニューイヤー駅伝4位入賞等)を通じた地域との連携・一体感の醸成。

・地域の未来を担う次世代の人材育成に貢献する。

・当社が社会へ提供する価値を共感いただき、次世代へ伝える。

・スポーツ振興を通じて健全な心をもった人材を育成することに貢献する。

 

 

●リサイクルの推進

項目

定量・定性目標(KPI)

2023年度の進捗

これからの取り組み

〇各種耐火物、景観材れんが等におけるリサイクル原料活用、製品再生使用技術利用の推進

・使用後耐火物のリサイクル原料適用拡大。

 

・加工粉等の自社発生の産業廃棄物について、リサイクル原料として活用すべく、工程化ならびに製品への添加を推進。

 

・お客様との現在の共同取り組み以外でのリサイクル原料の活用推進。

・輸入も含めて外部から購入可能なリサイクル原料の情報収集と発信の強化。

・調達製品はバージン原料のみで配合指示されていることが多いため、リサイクル原料の配合指示の可能性を確認。

・ファーネス事業:「粉砕・磁選・分級・秤量」の請負作業による産廃削減、耐火物リサイクルの推進・実行。

・新たなお客様における請負作業を開始。従来ル-トを活用したリサイクル方法を確立し、産廃削減、耐火物リサイクルを推進。

・請負作業の更なる受注拡大。

 

・セラミックス事業:景観資材用途のれんが・タイル等におけるリサイクル原料の適用拡大。

・原料比率のうち、60%以上をリサイクル原料(都市廃材や産業廃棄物)が占める商品群の確立と適用拡大。

・循環型社会の実現と住みやすいまちづくりに貢献する新たな商品の開発。

 

 

 

(2) 気候変動関連についての取組

 TCFDの提言に沿った気候変動関連の情報開示

当社グループはTCFD提言への賛同(TCFDコンソーシアムに参画)と共に、2022年5月にTCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示し、気候変動がもたらす“リスク”と“機会”を明確にし、“リスク”の低減と“機会”の獲得に向けて対応策を策定しました。

具体的には、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、移行リスクにおいては、国際エネルギー機関(IEA)が発行するWorld Energy Outlook 2022からSTEPSとNZEを主体とし、物理リスクについては気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書からRCP8.5、RCP2.6 について政府や国際機関が発行した将来に関する予測を参考に1.5℃・2℃未満シナリオならびに4℃シナリオの二つにまとめ、定性・定量の両面で下表の通り、再度、分析を実施し、対応策を検討致しました。

1.5℃・2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に移行する上で考えられる炭素税導入による影響が大きいことから、当社グループが排出しているScope1,2を削減することでリスクを最小化することが重要であると考えると共に、サプライチェーン全体のCO₂排出量(Scope3)削減対策の促進も今後の課題であると考えています。一方、規制強化の影響で脱炭素社会に貢献できる当社製品の売上増加も見込まれます。

また4℃シナリオでは異常気象の激甚化による影響が大きく、今後も災害に備えた基盤整備を継続することでリスク低減につなげてまいります。

上記課題認識のもと、2023年度において、当社グループは、Scope1,2はもとより、Scope3も含めたCO₂排出量の算定と削減対策を確実に行うべく、Scope3排出量の迅速な算定とマネジメントが可能な新集計ツールの導入とCO₂排出量開示における第三者保証取得の検討を行いました。また、環境配慮型製品の需要拡大を受け、脱炭素社会に貢献できる高機能高付加価値製品の開発に注力するとともに、当社の社会貢献を一層拡大すべく、環境貢献価値を訴求するブランド化の取り組みを強化しました。

 


 

 

(3) 人的資本についての取組

 ① ダイバーシティ&インクル―ジョン(D&I)

当社では、多様な従業員が、長期に亘り生産性を高く維持・発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できる環境を整えることを目的に、「ミッション・ステートメント」等をもとに、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の取り組みを進めることについて、以下の通り、会社としての方針および管理目標を設定しております。

 1)取組方針

当社は、社員一人ひとりの人間性を尊重し、日頃の業務における従業員間の協働や職場における対話活動を通じて「個性を歓迎する風土」を創り、豊かな価値を創造・提供していきたいと考えています。あらゆる人権の尊重は企業活動の基本であり、当社は、国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、性的指向、障がいの有無等に基づく不当な差別の排除に努めています。

当社を取り巻く環境が変化する中、将来に亘って産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献し「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指して成長し続けるためには、当社で働く従業員が相互に多様な価値観を受入れ、生産性高く持てる力を最大限に発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できることが重要であるとの認識に立ち、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みます。

 2)D&I重点取組項目について

D&Iの重点取組項目を以下のとおり設定すると共に管理目標と指標を下記の通り、設定しております。

ⅰ)女性活躍の推進 … 従業員の多様性を活かす(ダイバーシティ関連)

ⅱ)働き方・休み方 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)

ⅲ)健康づくりの推進 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)

ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築 … ハラスメント防止・就業モラルの向上

 

ⅰ)女性活躍の推進

目指す姿

・現状制度をベースに、女性が定年までライフステージに応じて持てる能力を遺憾なく

  発揮できるようにする。

 併せて、幹部役職登用や業務範囲の拡大等、全職場・階層で女性が活躍する場面を拡

  大する。

目標

・2025年迄に、女性の新卒執務系総合職における採用割合を20%以上とし、2030年迄に

  は30%以上とする。

・2030年には、管理職に占める女性の割合を現在(2021年11月現在19人、2.9%)の1.5

  倍以上とし、その後早期に2~3倍とすることを目指す。

具体的施策

・人物能力本位での採用選考を前提に、総合職執務系の女性採用を拡大。

 技能職・築炉技能職も、今後の国内労働者数の推移を念頭に置き、女性の労働に適し

  た職場を検討し、女性採用を可能な限り実施。併せて管理職への登用など、女性の登

  用拡大をすべての職掌において図る。

・結婚・妊娠・出産・育児等のライフイベントに対応した処遇、勤務制度の見直しを行

  う。

・総合職では能力適正に応じて多様な部門に配属。新たに女性を配属する職場には配属

  にあたっての研修等の実施も検討。

2023年度実績

・2024年度入社 新卒執務系総合職女性比率 29.41%(前年度:7.69%)

・2023年度 管理職女性比率 3.25%(前年度:3.23%)

 

 

 

ⅱ)働き方・休み方

目指す姿

・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮できるよう、個々の従業

  員の事情を斟酌しながら、労働時間の長さ、働く場所に囚われず、最も成果を上げる

  ことのできる働き方を目指す。

目標

・2030年迄に、全社平均年間総実労働時間を2,000時間/年を下回る水準とする。

・長時間労働(定時間外労働:80時間/月以上)は2020年度実績に対し、2025年迄に半

  減、2030年迄にゼロとする。

・2025年迄に、年次有給休暇について全従業員が15日/年取得する。

・2025年迄に、新たに子が生まれる男性従業員が育児休業・育児に関する休暇を取得し

  やすくする為の制度改定を実施し、対象者全員に休業・休暇の取得を促す。

具体的施策

①働き方

・長時間労働は排除、テレワーク・フレックスタイム制度の活用やDX推進により柔軟

  で効率的な働き方を目指す。

・管理職は最大限の成果発現達成のため、長時間労働に陥ることなくできる限り効率的

  に働くことで実現する。

・業務職は徹底した労働時間管理の下、限られた時間の中で成果を上げる業務遂行を上

  司が指導する。

②休み方

・各自の都合に合わせ、計画的な年次有給休暇取得を促進する。

・育児期の子がいる男性従業員に育児休業・育児に関する休暇取得を推進する。

 その為の人事部門からの情報提供、職場環境整備のための教育研修実施、諸制度見直

  しも行う。

2023年度実績

・年間総実労働時間 2,067時間(前年度 2,076時間)

・長時間労働者    178名(前年度 255名)

・年間年次休暇取得平均日数  15.4日/人(前年度13.3日/人)

・転勤者の負担軽減及び処遇改善に関する制度改定

・男性労働者育児休業ならびに育児目的等休暇取得に関する啓発活動(取得率は『従業

  員の状況』を参照)

・長時間労働削減や業務改善の促進を目的に、業務分析を実施し、残業時間の多い部署

  を中心に平均残業時間の減少を実現

 

 

ⅲ)健康づくりの推進

目指す姿

・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮するためには、従業員が

  健康であり続けることが必要。その為に従業員と会社が共に健康づくりに取り組む風

  土を構築する。

目標

・2025年迄に、がん検診受診率について以下の値を目指す。(管理職は率先垂範し可能

  な限り受診)

  1)大腸がん検診(35歳以上):90%  2)胃がん検診(35歳以上):70%(2年

   に1回)  3)乳がん検診(女性):80%  4)子宮がん検診(女性):70%

・黒崎播磨健康保険組合が実施する特定保健指導の実施率を、2025年迄に、2021年実績

  の倍以上とする。

具体的施策

・がんの早期発見・早期治療に資するための各種健診の受診率を高める取り組みを行

  い、併せて健康診断結果に基づく特定保健指導の実施を強化、従業員が自身の健康に

  つき積極的に改善を図ることを促す。

・黒崎播磨健康保険組合にて、従業員と家族の心と体の健康に関する不安や悩みに外部

  の専門スタッフが、電話等で対応する「黒崎播磨ファミリー健康相談」「ベストドク

  ターズ・サービス」「メンタルヘルスカウンセリング」を設置、活用を促す。

2023年度実績

・2023年度 がん検診受診率(2月迄暫定値) (カッコ内は前年実績)

  1)大腸がん検診:90%(90%)  2)胃がん検診:44%(47%)

  3)乳がん検診 :77%(78%)   4)子宮がん検診  :57%(65%)

・2023年度特定保健指導実施率  80.0%(前年実績:69.4%)

 

 

 

ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築

目指す姿

・多様な従業員が誇り・やりがいを持って上司・同僚・部下と共に職務に精励できる職

  場を作る。

 そのために、従業員全員が規律を遵守し、思いやりを持った言動を自然に行えるよう

  にする。

具体的施策

①職場での職場での対話活動

・働きやすい職場の基本は、従業員一人ひとりが職場の中で上司・同僚・部下と忌憚な

 く、隠し事なく、お互いを思い遣った上で話し合える風土を構築することにあるとの

 考えから、職場内での対話活動を継続推進。

②ハラスメントの防止

・「ハラスメント防止規程」を定め、各種ハラスメントの禁止徹底を明記すると共に会

 社としての相談・通報窓口を設置。

 通報者保護に十分に留意しながら、調査に基づき問題が発生した案件については、就

 業規則等に則り厳正に対処。

・また、ハラスメント未然防止を目的として、役員・管理職へのE-ラーニングによる啓

 発活動、アンガーマネジメント研修、社内階層別教育内でのハラスメント防止プログ

 ラム受講など、新人から管理職までが繰り返しハラスメントに関して学びを得ること

 ができるよう、教育を実施。

③適切に職場を指揮・部下を指導/コーチするための研修の実施

・働きやすい職場を構築するためにはその職場の管理者が適切にその部下一人ひとりを

 導いていくことが必要なことから、階層別教育の中で、管理・監督職としての認識す

 べき立ち位置と役割や、求められるリーダーシップのあり方、部下に対するアドバイ

 ス、コーチングの仕方など管理者のマネジメント力を高める仕組みを構築。

2023年度実績

・各職場における対話活動の継続とフォローならびに社員意識アンケート、ストレスチ

 ェックの結果の社員へ対面によるフィードバックを通じた管理者への指導と職場の改

  善活動。

・社員の生産性向上および社員勤務満足度向上に資すること(課題点の把握、対策の検

  討)を目的に、2023年度よりエンゲージメントサーベイを実施。

・社内研修における「D&I」講座の継続実施。

 

 

 ② 人材育成

当社グループは、「人的資本経営強化」を継続的に推進すべく、人材育成・能力開発のレベルアップに取り組んでいます。

当社グループの人材育成・能力開発は「ミッション・ステートメント」にて定める事業目標「世界一の顧客価値の実現」の達成に貢献可能な人材を育てることを目的に実施しており、求められる能力・知識・仕事への姿勢の習得を速やかに図る為に、下記の通り、教育ならびに研修を実施しています。

 

■教育・研修の概要

大分類

小分類

概要

階層別教育

各職掌・各階層で必要な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

部門別教育

部門専門教育

所属部門で必要な専門的な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

OJT

目標管理制度を軸に業務上必要な知識・技能・態度を上司が業務の実作業を通して指導

自主教育

社員が行う自主的な能力開発活動の内、当社業務を行う上で有益と第一系列長が認める資格・技術・能力を取得する活動を会社が支援する

語学教育

所属部門で業務上語学力を必要とする場合の語学教育

全社対象教育

共通教育

業務上一般的・専門的に必要とされる知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

国内留学

業務上の必要も踏まえ、学士・短期大学士修得の意欲をもつ社員に進学の道を開く

研修留学

業務上の必要から、社員を日本国内外の大学の研究機関に派遣/高度な技術の習得向上に努め、広く専門知識を吸収し、技術的視野を拡める

海外育成派遣

海外販売拡大に資する人材、当社と海外グループ会社との連携を図ることの出来る人材育成目的での海外グループ会社海外育成派遣生派遣

語学教育

自己の語学能力向上のため会社が斡旋する教育に応募、教育を受講する

 

 

 

■課題への取組

■当社グループは多様化を始めとする社会環境の変化に対応した人材を育成する為、常に課題認識を持ちながら
人材育成に取り組んでいます。

人材育成・能力開発/具体的課題

取組内容

2024年度で新規/内容変更計画する事項

早期戦力化

・新入社員(スタッフ系)の早期戦力化

・新入社員本配属時期前倒(1年目の7/1で本配属)《21年度~》

・キャリア入社者の早期戦力化

 当社の仕組・理念・業務方法の早期理解

・キャリア入社社員研修実施《17年度~》

会社理念定着

・会社根本理念浸透

 ≪ミッション・ステートメント[以下MS]浸透≫

・MS再浸透活動の展開《18年度~、階層別研修内折込等々》

 管理職MS教育展開《18年度~》技能系/作業長MS教育展開《21年度~》

部下管理育成

・管理職層のマネジメント能力向上

・職場活性化目的の管理職マインド研修の実施《18年度~》

・部署長の業務管理能力(部下への業務移譲含む)向上を目的とした新任部署長研修の実施《23年度~》

・技能系・築炉技能職監督者管理能力向上

・技能系作業長・工長候補者試験実施《21年度~》

・技能系教育内容の見直し:製品の使われ方、品質、報告書作成等の内容の教育を必要な階層で追加。《21年度~》

知識技能習得

・通常業務・一般的必要知識の習得

・クロサキハリマカレッジ*1展開・拡大《14年度~》

★カレッジ内容の拡大・役員による特別講義実施

・顧客先工場見学再開《23年度》…対象拡大《24年度》

・DX対応知識の習得

・デジタル系基本ソフト操作法の研修実施《20年度~》

・デジタル技術基礎的知識、その他一般的知識を身につける為のツールを導入*2《22年度~》

★デジタル関連研修充実を企画:階層別教育等へ折込《24年度》

・役員向研修の充実

★役員向け新規研修受講設定《24年度》

ハラスメント

防止対応

・ハラスメント防止を意図した諸啓発

・ハラスメント防止を意図した研修実施

 …アンガーマネジメント研修《執務系21年度~、技能系22年度~》

★ハラスメント防止啓発研修強化を企画《24年度》

海外対応

・海外対応語学教育や海外関係会社との連携

・海外育成派遣制度、TOEIC受験対象拡大(中途入社者)

 語学教育《オンライン英会話:21年度~》

・海外グループ会社との連携(社員教育・研修に関する情報提示等)

・海外勤務開始時導入教育内容整理《22年度~》

離職防止

・若手離職者低減目的:当社在籍メリットの理解促進

・新人研修内でのライフプラン関連講義実施《17年度~》

・クロサキハリマカレッジ内DC講座実施《18年度以降適宜~》

・ライフプラン社内講習会実施《19年度~適宜》

特定課題

・ダイバーシティ推進に関する啓発(本人/上司の理解醸成、特に女性、障がい者:多様性許容の意識醸成)

・ダイバーシティに関する理解を図る(上司・部下共に)ための研修実施《22年度~クロサキハリマカレッジ内》

 

*1)当社において必須となる専門基礎知識の継承と財務・法務・労務管理を始めとするビジネス知識の取得を目的として執務系社員を対象に社内研修プラットフォームである「クロサキハリマカレッジ」を従前より開講し、2023年度は講座数32講座に対し、年間延べ1,098名の社員が受講しています。

*2)2022年10月よりデジタル技術に関する知識を習得するツールとして、グループ長以上の役職者及び各部門のDX推進者を対象にオンライン動画研修を受講する仕組みを導入しました(2023年度は対象範囲を執務系社員全体に拡大)。併せて、同研修内に設定されている講座にはデジタル技術に関する内容だけでなく、一般的な知識、社会的に新たにフィーチャーされる事柄に関する講座も随時設定されている為、様々な社会環境の変化に即時に対応できる人材の育成に取り組んでいます

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において、当社グループが判断したものです。

 

≪経営環境に関するリスク≫

① 経済動向

耐火物事業及びファーネス事業は、鉄鋼業界の粗鋼生産量に大きく影響を受け、世界の政治経済動向が不透明である事に伴う国内外での粗鋼減産は、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、セラミックス事業は、主に半導体製造装置業界及び電子部品業界向けの製品を製造しており、各業界の設備投資の状況や市場の動向が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、生産体制、整備・施工体制の最適化(弾力的な生産体制、整備・施工体制の確立等)を図ることにより収益力を強化します。

② カントリーリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しています。その中でも、中国は、耐火物原料・調達品等の購入において、重要な調達拠点です。中国における各種規制、政策転換、混乱等が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、インドのTRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITEDを連結子会社としており、同社の売上高は436億円(2024年3月期)となっています。

インドにおける各種規制、政策転換、混乱等により、同社の事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替相場の変動

当社グループは、グローバルに事業を展開しています。各国・地域における売上、費用及び資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために日本円に換算されています。これらの項目は、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が変動する可能性があります。

当社グループでは、現状、輸出額よりも輸入額の方が大きいため、円高は当社グループの経営成績等の状況に好影響を及ぼし、円安は悪影響を及ぼすこととなります。

当該リスクを踏まえ、一部の外貨建ての営業債権債務について、一定のルールに基づき先物為替予約を利用することにより、為替変動リスクをヘッジしています。また、ヘッジできなかった為替変動リスクについては、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉しています。

 

事業活動に付随するリスク

④ 特定の取引先との関係

日本製鉄㈱は、当社グループの継続的な主要取引先であり、また、当社グループは同社のグループ会社とも取引を有しています。当社グループの日本製鉄㈱の企業グループに対する売上比率は、約42.4%(連結、2024年3月期)となっています。

 

このため、同社グループの製鉄事業の動向や同社及び同社のグループ会社との取引の状況が当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、特定の取引先に加え、インド等の成長市場での拡販、欧米の成熟市場におけるターゲット顧客のシェア拡大等、グローバル展開をより積極的に推進します。また、耐火物事業、ファーネス事業に加え、事業分野として今後の成長が見込まれるセラミックス事業に注力します。

⑤ サステナビリティ課題

近年、国内外で様々な気象災害が発生しており、気候変動への取り組みは世界的な社会課題となっています。また、資源枯渇や人権侵害といった問題も顕在化し、サステナビリティに関する課題は拡大傾向にあります。こうしたサステナビリティ課題に対して適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、企業の信用やブランド価値の低下に繋がる可能性があります。

当該リスクを踏まえ、2021年12月、当社グループの事業活動を行う上で重要となる14個のマテリアリティ(重要課題)を設定しサステナビリティ基本方針として宣言致しました。また、サステナビリティ基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ推進委員会を設置致しました。今後もサステナビリティ課題について適切に管理するとともに14個のマテリアリティに対しての取り組みを進め、サステナビリティ経営を更に深化させてまいります。

⑥ 情報セキュリティ事故の発生

当社グループは、様々な場面でコンピューターシステム及びコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークを利用し事業活動を行っています。また、働き方の多様化によりリモートワークが定着しています。そうした状況下で、サイバー攻撃等に伴う当社ネットワークへの不正アクセスやデータの破壊・改ざん、当社、取引先の機密情報の漏洩等により、当社グループの社会的信頼の失墜を招くとともに、経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、NSG-CSIRT(日本製鉄グループのComputer Security Incident Response Team)への加入により、外部からの不正アクセスの監視を強化継続しています。また、グループ内で情報セキュリティに関するEラーニング、標的型メールへの対処の抜き打ち訓練の実施等を通し、情報管理意識の向上を図っています。こうした対策を通して、セキュリティの強化に努めます。

⑦ 原料価格等の変動

耐火物原料や耐火物調達品を海外から相当量輸入しています。加えて、耐火物の製造工程の一部で、焼成用燃料として液化天然ガス(LNG)、重油を使用しており、LNG価格や原油価格の高騰は、製造・輸送コストの上昇や購入品の価格上昇に繋がります。

原料価格、調達価格、LNG価格、原油価格の高騰が長期化した場合、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉するとともに、調達ソース多様化を進めています。

⑧ アライアンス先との関係

当社グループは、世界の主要な鉄鋼市場に製品、技術を提供するという戦略のもとに、技術提携、資本提携等の方法で、各国大手耐火物メーカーとの相互連携を展開、強化することによって、グローバル展開を推進しています。

しかし、当初期待されたアライアンスの成果を挙げられない場合や、アライアンスの関係が解消された場合には、戦略の見直しを迫られ、当社グループの事業展開に支障が出る可能性があります。

 

⑨ 人材確保・育成

国内での少子高齢化が加速する中、事業の根幹である人材を確保・育成し、一人ひとりが活力をもってその能力を最大限発揮する人的資本経営を強化していくことは、今後の事業発展に極めて重要な課題です。しかし、優秀な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、当社グループでは、優秀な人材獲得に向け福利厚生含めた処遇改善、労働環境改善、従業員の健康増進、女性活躍推進、採用活動強化に取り組むとともに、グローバル事業拡大を踏まえた語学教育の促進・ITリテラシー教育・資格取得の推進などの取り組みをおこなっています。

 

≪その他統制不能な不測のリスク≫

⑩ パンデミックの発生

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新たな感染症が発生し、業務の停止やサプライチェーンの混乱が生じた場合、当社の事業活動に影響を与えるリスクがあります。

当該リスクを踏まえ感染症対応マニュアルや事業継続計画の策定等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。

⑪ 大規模災害の発生

当社グループは国内外に製造拠点を有しており、大規模災害により、各拠点の従業員や建屋、設備等に甚大な被害が発生し、操業を停止せざるを得ない場合には、当社グループの生産能力が低下し、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、災害対応マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、建屋の耐震補強、防災訓練等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。

⑫ 事業活動に係る法的規制

当社グループは、その事業活動において、商取引法、独占禁止法、労働法、知的財産法、環境法、建築基準法、建設業法等の各種法的規制を受けています。

これらの法的規制により損害賠償責任が生じる場合や、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制への対応が求められる場合には、費用負担等が生じ、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 保有投資有価証券の価値変動

当社グループは約68億円の投資有価証券を保有しており(連結、2024年3月末時点)、投資先企業の経営成績不振、証券市場における市況の悪化等でその価値が下落した場合は、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和を受け、回復基調が継続したものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融引き締めによる急激な為替変動等により、先行き不透明な状況で推移しました。

当社グループの主要顧客である鉄鋼業界においては、半導体不足の緩和により自動車生産向け鋼材需要は回復基調にあるものの、人手不足による建設向け鋼材需要の減少や中国不動産不況の影響等により輸出が弱含んでいることから、国内粗鋼生産量は回復が遅れております。また、海外においては、欧州の景気悪化に伴う鋼材需要の低迷が継続するものの、インド等一部地域で鋼材需要が増加していることにより世界全体での粗鋼生産量は、前年の水準まで回復しました。当連結会計年度の国内粗鋼生産量は、前連結会計年度に比べ1.1%減の8,683万トンとなりました。また、世界鉄鋼協会発表による2023年1~12月間の世界の粗鋼生産量は、インドは前年同期に比べ11.8%増の1億4,020万トン、世界全体では前年同期に比べ0.1%減の18億4,970万トンとなりました。

このような環境の中、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力に加え、昨年度来、耐火物事業における原料・エネルギー価格等コスト上昇分の販売価格転嫁を着実に進めるとともに、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、当社グループの経営成績は、売上・利益ともに2期連続で過去最高を更新致しました。

 

当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりです。

[売上高]

昨年度来、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、売上高は前連結会計年度に比べ7.2%増収1,770億29百万円となりました。

[損益]

売上高の増加に加え、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力により、営業利益は前連結会計年度に比べ31.5%増益146億92百万円、急激な円安進行に伴う営業外為替差益も加わり経常利益は同35.6%増益163億89百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は同49.9%増益124億16百万円となりました。

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。

なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント利益は営業利益ベースです。

[耐火物事業](各種工業窯炉に使用する耐火物全般の製造販売)

昨年度来、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、インド事業の拡大や欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、売上高は前連結会計年度に比べ8.1%増収1,518億67百万円、利益は同49.8%増益126億73百万円となりました。

 

[ファーネス事業](各種窯炉の設計施工及び築造修理)

売上高は大型工事案件の受注により、前連結会計年度に比べ4.1%増収152億28百万円となりましたが、利益は受注案件の構成差等により、同45.3%減益5億51百万円となりました。

[セラミックス事業](各種産業用セラミックスの製造販売及び景観材の販売)

半導体市場や電子部品市場の回復の遅れにより、売上高は前連結会計年度に比べ2.9%減収82億26百万円、利益は同19.9%減益8億51百万円となりました。

[不動産事業](店舗・倉庫等の賃貸)

売上高は、前連結会計年度に比べ横ばいの7億37百万円、利益は、同4.4%減益5億69百万円となりました。

[その他](製鉄所向け石灰の製造販売)

売上高は、前連結会計年度に比べ17.2%増収9億69百万円、利益は、同19.5%増益48百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

a.資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ156億78百万円増加して、1,790億19百万円となりました。流動資産は同109億42百万円増加1,191億66百万円、固定資産は同47億36百万円増加598億52百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、生産設備等の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加によるものです。

b.負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8億39百万円増加して、863億21百万円となりました。流動負債は同24億94百万円減少586億83百万円、固定負債は同33億34百万円増加276億38百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、コマーシャル・ペーパーの減少によるものです。固定負債増加の主な要因は、長期借入金の増加によるものです。

c.純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ148億38百万円増加して、926億97百万円となりました。

純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加です。

この結果、自己資本比率は48.7%となりました。

また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,182円92銭から2,588円21銭となりました。なお、2024年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産」を算定しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ40億58百万円増加し、84億83百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は137億24百万円前連結会計年度は10億1百万円の収入)となりました。

主な内訳は税金等調整前当期純利益183億85百万円減価償却費38億73百万円売上債権の増加額72億68百万円棚卸資産の減少額24億19百万円法人税等の支払額35億90百万円です

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は35億89百万円前連結会計年度は45億14百万円の支出)となりました。

主な内訳は、設備等固定資産の取得による支出65億95百万円固定資産の売却による収入15億円投資有価証券の売却による収入18億88百万円す。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は62億37百万円前連結会計年度は28億63百万円の収入)となりました。

主な内訳は、短期借入金の増加額28億23百万円コマーシャル・ペーパーの減少額80億円長期借入れによる収入69億54百万円長期借入金の返済による支出49億38百万円配当金の支払額28億53百万円です。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

109,455

+8.6

ファーネス事業

14,904

+8.9

セラミックス事業

5,501

△1.7

その他

968

+33.7

合計

130,829

+8.3

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  金額は製造原価によっています。

3  不動産事業に生産実績はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

156,649

+7.4

16,847

+6.5

ファーネス事業

16,495

△5.1

2,479

△36.2

セラミックス事業

8,183

△3.0

627

△6.5

その他

991

+16.6

89

+32.0

合計

182,319

+5.6

20,044

△2.0

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  不動産事業については、受注活動にそぐわないため、除外しています。

 

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

151,867

+8.1

ファーネス事業

15,228

+4.1

セラミックス事業

8,226

△2.9

不動産事業

737

その他

969

+17.2

合計

177,029

+7.2

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本製鉄㈱

62,633

37.9

69,856

39.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っています。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

[売上高]

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ118億26百万円増加1,770億29百万円前年同期比7.2%増)となりました。これは主に、耐火物事業におけるコスト上昇分の着実な販売価格転嫁及び国内外での事業拡大、ファーネス事業における大型工事案件の受注等によるものです。地域ごとの売上高は、日本が962億65百万円(前年同期比6.3%増)、インドが385億52百万円(前年同期比13.8%増)、アジアが97億23百万円(前年同期比4.8%減)、欧州が206億85百万円(前年同期比11.2%増)、その他が118億1百万円(前年同期比1.3%減)となり、海外売上高は807億63百万円(前年同期比8.2%増)、海外売上高比率は45.6%(前年同期比0.4ポイント増)となりました。

2025年3月期以降の当社グループの売上については、世界全体に渡る不安定な政治・経済動向を受け、先行きを見通し難い状況にあるものの、商品価値に見合った価格形成力・当社グループの技術力に加えて、グローバル対応力を活かすことにより、増収基調にあると想定しています。

[売上総利益]

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ47億45百万円増加353億77百万円前年同期比15.5%増)となり、売上総利益率は、前連結会計年度に比べ1.4ポイント増加の20.0%となりました。

[営業利益]

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ35億18百万円増加146億92百万円前年同期比31.5%増)となり、営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.5ポイント増加の8.3%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ12億26百万円増加206億84百万円前年同期比6.3%増)となりました。

[経常利益]

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ43億5百万円増加163億89百万円前年同期比35.6%増)となり、経常利益率は、前連結会計年度に比べ1.9ポイント増加の9.3%となりました。営業外収益は、為替差益の増加により前連結会計年度に比べ7億94百万円増加27億77百万円前年同期比40.0%増)、営業外費用は、前連結会計年度に比べ7百万円増加10億80百万円前年同期比0.7%増)となりました。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ41億34百万円増加124億16百万円前年同期比49.9%増)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益及び固定資産売却益の増加により前連結会計年度に比べ21億59百万円増加24億2百万円前年同期比888.3%増)、特別損失は、減損損失の計上により前連結会計年度に比べ2億89百万円増加4億6百万円前年同期比247.1%増)となりました。

 

 

なお、経常利益の増減要因を次のとおり分析しています。

国内耐火物事業は粗鋼生産の減少に加え、為替相場が急激に円安方向に進行する等、厳しい環境下に置かれましたが、引き続き、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力により増益となりました。インドや欧州等の海外子会社の業績も好調に推移し、連結経常利益は、2期連続で過去最高を更新しました。

※表示単位未満の端数を四捨五入して表示

・マージン改善                  19.8億円

・国内作業用売上増                   0.6億円

・国内建設用売上増                 2.5億円

・輸出向け作業用売上増                 5.6億円

・コストアップ                 △ 11.4億円

・コストダウン                  11.8億円

・連結子会社の損益                 15.0億円

・ファーネス事業                    △ 4.6億円

・セラミックス事業                   △  2.1億円

・営業外損益等                          5.9億円

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「①経営成績の状況」に記載しています。

 

c.経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容

経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容については、第2[事業の状況]、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]の「(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」、「②2025見直し経営計画の進捗状況について」に記載しています。

 

 

③ 当連結会計年度の財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「②財政状態の状況」に記載しています。

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

[耐火物事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ113億18百万円増加して、1,465億57百万円となりました。

増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加です。

[ファーネス事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億4百万円増加して、100億15百万円となりました。

増加の主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加です。

[セラミックス事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億92百万円増加して、90億44百万円となりました。

増加の主な要因は、仕掛品の増加です。

[不動産事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億17百万円増加して、7億12百万円となりました。

増加の主な要因は、建物及び構築物の増加です。

[その他]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ22百万円増加して、3億80百万円となりました。

 

④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な運転資金需要は、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした主な資金需要は、設備の取得によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、コマーシャル・ペーパーを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としています。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は368億81百万円となっています。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、耐火物製造事業を中心とした研究開発活動を行っています。

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的とした技術の開発にもあたっています。

セラミックス事業においては、各種産業用セラミックスの開発を行っています。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の総額は1,158百万円です。

(1) 耐火物事業

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的として耐火物の施工に関わる技術の開発にあたっており、主に当社の技術研究所のスタッフ24名を中心として、次のとおり運営しています。

① 研究開発の目的

・鉄鋼用耐火物の販売競争力維持及び強化

・海外耐火物生産拠点の強化

・鉄鋼以外の市場への販路拡大

・基礎研究による技術力向上

② 研究課題

カーボンニュートラルに貢献する技術開発

・新機能原材料開発

・製造プロセス技術開発

・独自性のある製品の開発

③ 研究体制

主に鉄鋼用耐火物全般を研究対象としており、基盤研究成果に基づいた独自性のある製品の研究開発活動に取り込んでいます。

当事業に係る研究開発費は1,096百万円です。

(2) ファーネス事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(3) セラミックス事業

各種産業用セラミックスの開発を行っており、当事業に係る研究開発費は62百万円です。

(4) 不動産事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(5) その他

当事業に係る研究開発費は発生していません。