第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献することを使命とし、「世界一の顧客価値の実現」を事業目標に掲げ、お客様に最高の品質と安心をお届けし、信頼される企業集団を目指します。

また、あらゆる活動を通じ事業価値向上につとめ、株主の利益に貢献したいと考えています。

 

(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
① 2025見直し経営計画(2021年度~2025年度)について

当社グループは、「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指し、中長期的な経済社会情勢も見据え、2025年度までを実行期間とする5か年の経営計画を策定し実行しています。

 

 

経営計画(2021年度~2025年度)は2023年7月に見直し

 

「2025経営計画」は2021年に策定後、実行2年目にあたる2022年度の経営成績において、財務目標を概ね前倒しで達成しました。これに加え、当社グループを取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、今後の市場環境を見据えてさらなる成長を目指すべく、2023年7月に「2025見直し経営計画」を策定、公表しました。

 

 

2025経営計画
(2021年公表)

2025見直し経営計画
 (2023年公表)

連結売上高

1,500億円

1,800億円

連結経常利益

120億円

150億円

ROS

8.0%

8.3%以上

ROIC

9.0%以上

設備投資額

(意思決定ベース)

200億円

350億円

 

・2025見直し経営計画の財務目標(2026年3月期)

連結売上高:1,800億円、連結経常利益:150億円、ROS:8.3%以上、ROIC:9.0%以上

・設備投資

海外事業・セラミックス事業を中心とした成長に向けて5年間の設備投資金額を350億円規模へ増額

 

 

「2025見直し経営計画」を支える事業戦略

 

グループの強みを活かしたグローバル戦略の推進、成長分野への積極的な投資の実施等、利益成長に向けた取り組みを加速します。


全社的事業基盤の強化と持続可能な社会への貢献

カーボンニュートラル含むサステナビリティ活動基本方針に基づく諸施策の的確な展開

安全・衛生・環境・防災・内部統制活動の深化

グローバル人材の育成・採用強化及び人的資本強化施策の推進

生産性向上に向けたDX 推進強化

 

加えて、SDGsの取り組み深化、カーボンニュートラルへの弛まぬ歩みを通じて更なる企業成長を目指します。新たな財務目標の達成とサステナブルな社会づくりに引き続き貢献してまいります。

 

② 2025見直し経営計画の進捗状況について

2024年度における我が国経済は、個人消費の一部に足踏みが残るものの、緩やかな回復基調が継続しました。しかしながら、当社グループの主要顧客である鉄鋼業界においては、建設向け・製造業向けともに国内鋼材需要が低調であったことに加えて、中国による全世界に向けての破壊的価格での輸出拡大の影響を受け、国内粗鋼生産量は、前連結会計年度に比べ4.5%減の8,295万トンと3年連続で減少し、1970年度以降の年度ベースでは、コロナ禍の2020年度(8,278万トン)に次ぐ過去2番目に低い水準にとどまりました。また、世界鉄鋼協会発表による2024年1~12月の粗鋼生産量は、インドは前年同期に比べ6.3%増の1億4,960万トンであったものの、世界全体では前年同期に比べ0.8%減の18億8,260万トンとなりました。

こうした環境の中、生産性向上や歩留まり改善等の自助努力に加え、高収益品の拡販、安定供給の維持に資する労務費上昇分を含むサプライチェーンコストの販売価格転嫁、インド及び欧米事業の拡大等2025見直し経営計画で掲げる各種施策に取り組んだ結果、当連結会計年度における実績は、売上高1,779.2億円、経常利益153.1億円、ROS8.6%、ROIC7.6%となり、営業外為替差益等一過性利益の差異もあり過去最高の経常利益を記録した2023年度には及ばなかったものの、売上高及びROICを除き、2025見直し経営計画の財務目標を達成することができました。

今後も、国内では、鋼材需要の減少に伴い厳しい環境が見込まれますが、受注量に応じた最適生産体制の追求と製造実力の更なる向上、カーボンニュートラルの動きを見据えた高機能・高付加価値商品の研究開発及び拡販等を推進し、国内事業の基盤強化を図ってまいります。その上で、当社グループの成長戦略として重要な海外事業について、グループ及びパートナー会社との連携深化を進め、成長著しいインド市場では、TRLKのフルメニュー生産・販売体制の最大活用はもちろん、同国西部グジャラート州への新工場建設等、積極的な設備投資の実行により拡大する需要を着実に捕捉してまいります。更に、欧州グループ3社によるセメント、非鉄分野でのシナジーの拡大及び中東・アフリカ地域への販売強化、ブラジルIBAR社との合弁設立等による米州市場での販売強化、ベトナム現地法人設立等による東南アジア市場の販売・サービスの拡大等を強力に推進していく所存です。加えて、ファーネス事業では、耐火物事業を含めた材工一体での提案力を活かし、耐火物工事および整備作業領域の拡大や、デジタル技術を活用した作業の効率化を推進、成長期待の大きいセラミックス事業では、半導体関連顧客の需要増に適応するための設備増強投資、環境分野向け断熱材の受注拡大等、耐火物以外の事業においても引き続き注力してまいります。

また、カーボンニュートラルを含むサステナブルな社会実現に向けて、諸施策を着実に推進し実績を上げるとともに、当社製品・施工による需要家におけるCO₂排出量の削減についても個別の商品・サービスの拡販による貢献を推進しており、これら当社の環境商品及びサービスへの取り組みを更に広く認知いただけるよう、2024年11月に当社グループ全体での環境ブランドK-GenesisX™を策定するなど、活動を強化しています。

2025年度は、2025見直し経営計画で掲げた諸施策の着実な実行等、売上高を含む全ての財務目標の実現に向けて鋭意取り組むとともに、持続的な成長を図るため中長期ビジョン並びにこれを見据えた次期経営計画を策定いたします。

 


 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは、企業理念を宣言したミッションステートメントの考え方に則り、サステナビリティ課題を重要な経営課題であると認識しております。具体的には、ミッションステートメントにおいて「たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献」することを「使命」として定めております。また、お客様、従業員、パートナー企業、地域、地球環境、株主などの様々なステークホルダーに対する姿勢を「経営方針」として定めております。

上記の使命と経営方針のもと、当社グループにおいて、気候変動等の地球環境問題や人権の尊重等からなるサステナビリティ課題は、積極的に取り組むべき重要な経営課題であり、これからも当社の技術と事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に積極的に取り組んでまいります。

 

(1) サステナビリティについての取り組み

当社グループは、2021年12月にサステナビリティ活動基本方針を策定し、以下の通り取り組んでいます。

 ① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ課題に関する基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関として、「サステナビリティ推進委員会」(委員長は取締役社長)を設置しております。本委員会において、当社のサステナビリティを巡る課題や取り組みに関する方針および実行計画の策定、進捗状況の管理ならびにローリング等について審議・報告を行い、取締役会に答申します。本委員会は原則として年に2回、必要があるときは随時開催します。また、本委員会内に「気候変動関連分科会」「環境分科会」を設置し、優先課題の調査・検討、審議・報告にあたります。

 


 

当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向けて、環境問題をはじめとする社会的課題を、事業活動の継続性と一体不可分のものと位置づけ、取り組みを加速させております。そのため、今後のさらなる活動推進に向けた機能強化を図るべく、2024年4月1日付で、経営企画部のもとにサステナビリティ推進部を新設しました。

 

 ② 戦略

持続可能な社会の実現に向け、「環境」「社会」「ガバナンス」の視点から、下記のとおり、対処すべきマテリアリティ(重要課題)を設定しました。また、その中から、重点的に取り組むべき5つのサステナビリティ優先課題を特定しました。

 


 

サステナビリティ優先課題については、その計画ならびに進捗に関し、特に重点的にサステナビリティ推進委員会にて審議・報告を行っています。2024年5月には、当社グループを取り巻く環境変化を踏まえ、優先課題について、上記の見直しを行うべきことを同委員会にて審議、決定し、取締役会に答申しました。見直し後は、サステナビリティ課題(重要課題)は13個となり、サステナビリティ優先課題は6つとなっています。

 


 

 ③ リスク管理

当社グループでは、経営会議および内部統制委員会(委員長は取締役社長)が、全社的なリスクの把握および評価を行った上で、必要な対策を検討・実行しています。

これに加え、マテリアリティ(重要課題)をはじめとするサステナビリティ課題に関しては、サステナビリティ推進委員会において、取り組み方針および実行計画の策定、グループ展開ならびに進捗モニタリング等について審議・報告を行っています。そして、同推進委員会がこれらを取締役会へ報告することで、リスク管理の強化を図っています。

なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取り組みについては、第2[事業の状況]、3[事業等のリスク」に記載しています。

 

 

 ④ 指標および目標

当連結会計年度における当社グループのサステナビリティ優先課題に関する取り組みおよびその進捗状況は以下のとおりです。

 

 ≪サステナビリティ優先課題の取組内容≫

●「熱を操る技術」による気候変動対策の推進

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

①自社でのカーボンニュートラルの取り組み

・CO2排出量の削減目標設定と対応策の検討。

<単体 Scope1,2>

・2013年:178千t

・2030年: 89千t

 (2013年度比50%

 削減)

・2050年:実質的カーボンニュートラル

※CO2排出量を従来の温対法からISO14064に準拠した表示に変更

2024年度CO2排出実績

<単体 Scope1,2>:161千t

・2013年度比で排出量は9.4%削減。

・コア事業(耐火物/ファーネス/セラミックス事業)の集計では、CO2排出量は14.8%削減、CO2排出量原単位は1.6%削減を達成。

 なお、石灰事業については2025年3月末で撤退完了。

・省エネ型設備導入による電力使用量削減と各種施策による燃料削減での排出量削減。

・高機能CO2排出量算定ツール導入。

・CO2排出量開示における独立認証機関による第三者保証取得。

・Scope1,2排出量削減の推進。

・Scope3排出量算定精度向上と削減推進。

・国内外グループ会社と連携したCO2排出削減目標設定と削減推進。

・サプライチェーン全体のGHG排出量の把握・削減目標設定。

②お客様でのCO2排出量削減への貢献

・各事業において以下の項目の取り組みを推進。

・エコプロダクトの開発推進、適用拡大。

・環境価値の高い差別化商品の事業展開のため、当該製品・ソリューションを総称するブランド K-GenesisX™を立ち上げるとともに、戦略商品の個別ブランド化を強化して推進。現時点で戦略商品は7つ

(TOUGHMAX™、Dry-Free®

EVERCLEAN®、REX-ROBO®

NEXCERA®、KROTECT®

PLATECT®)あり、今後拡張

予定。

当社製品の使用でお客様のCO2排出量削減へ貢献。

・環境価値の高い差別化商品の開発の継続と、その環境価値を訴求するブランド化を通じた拡販・普及による脱炭素社会へのさらなる貢献。

 

 

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

②お客様でのCO2排出量削減への貢献

耐火物

・高耐用、高機能耐火物の開発。

(今後の分析を踏まえ検討。)

 

・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大。

・高耐用不焼成れんがの適用拡大。

 熱衝撃と物理的衝撃の両方に対する耐久性が強化された高耐用転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが開発品に、“TOUGHMAX™”と命名し、戦略商品の個別ブランドとして展開

・焼成れんがの不焼成化推進。

・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大継続。

・高耐用不焼成れんがの適用拡大継続。

・焼成れんがの不焼成化推進継続。

ファーネス

・省エネルギー工業炉設計、バイオマス発電等環境分野での受注。

・加熱炉の省エネ化としてKSB工法の適用拡大。

・省エネルギー工業炉設計・低熱伝導耐火物の施工。

・バイオマス発電等再生可能エネルギー分野の継続的な貢献。

セラミックス

・省エネルギー性能の高い装置へのセラミックス製品の提供。

・断熱性を持つセラミックスを省エネ環境、エレクトロニクス、医療・宇宙等へ提供。

・省エネ半導体製造装置の量産段階での実機採用(時期未定)

・当社製品採用による顧客におけるCO2排出量削減への貢献。

・省エネ型半導体製造装置への量産機搭載に向け、セラミックス部材を客先にて評価中。

・エネファーム(家庭用燃料電池)向け高機能断熱材の販売により、約4万トン/年のCO2削減に貢献 。

・燃料電池・発電・鉄鋼・工業炉関連への断熱材およびファインセラミックスの適用拡大。

・高機能断熱材『KROTECT®』のさらなる断熱性能向上による顧客におけるCO2削減に貢献。

・コンデンサ高速焼成炉用軽量セッター開発・適用により客先製造工程でのCO2削減に貢献。

鉄鋼新プロセスへの対応 

・使用量自体の削減。

 (高耐用化、リサイクル化)

・水素還元製鉄対応のためのH2雰囲気下での各種材質の損傷量、損傷様式の調査把握。

 

・COURSE50プロセスを支える高性能断熱材、高機能ファインセラミックス等の実現と耐火物技術評価と開発。

・COURSE50実用化段階の実機搭載(2025年〜30年)

・普及段階での実機搭載(〜2050年)

CO2削減投資推進

・設備投資経済性評価にCO2削減インセンティブ評価導入。

・全社での燃料転換推進、高効率設備導入。

・海外グループ会社での燃料転換推進支援。

・再生可能エネルギーの導入検討。

・CO2削減インセンティブ評価を継続実施。

 

 

 

●地域環境の保全(水環境・緑環境・大気汚染)

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

①産業廃棄物排出による生物への影響の低減

・廃棄物基準に則った排出の実施。

・汚泥の一部を、景観材用れんが等に利用し、廃棄物のリサイクル化を推進。

・過去3年間の産廃排出原単位の加重平均の1%削減(単体)

・削減目標1.0%に対し、11.2%削減。

・リサイクル推進と歩留まり向上による廃棄物の減量継続。

②生産工程における排水処理の徹底管理

・工場排水を水処理施設で清浄化し、環境にやさしい排水を実施。

・水使用量に関し、過去5年平均の1%削減(単体)

・削減目標1.0%に対し、6.4%削減。

・節水器具、装置の適用、地下水、雨水の利用拡大による水使用量削減施策。

③有害物質の構外流出防止

・管理強化、監視、漏えい時の訓練実施。

・化学物質、危険物貯蔵タンクの漏洩リスクアセスメントを実施し、防油堤、防液堤を整備。

・人に優しい化学物質への置換推進。

異常燃焼によるばい煙基準値超え防止

・基準値よりも厳しい自主管理値を設定し監視を実施。

・自主管理値設定、傾向管理の継続と、省エネ含めた最適燃焼条件の探索を実施中。

・自主管理値を基準とした監視の継続。

・燃料変更による無害化促進。

 

 

●リサイクルの推進

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

各種耐火物、景観材れんが等におけるリサイクル原料活用、製品再生使用技術利用の推進

・使用後耐火物のリサイクル原料適用拡大。

・原料比率のうち、20%以上を右のリサイクル原料とする

 

・加工粉等の自社発生の産業廃棄物について、リサイクル原料として活用すべく、工程化ならびに製品への添加を推進。

 

・お客様との現在の共同取り組み以外でのリサイクル原料の活用推進。

・輸入も含めて外部から購入可能なリサイクル原料の情報収集と 活用推進。

・リサイクル原料適用製品拡大とリサイクル原料配合比率増の検討。

・リサイクル用途拡大のための分別回収強化と分別回収方法検討。

・ファーネス事業:「粉砕・磁選・分級・秤量」の請負作業による産廃削減、耐火物リサイクルの推進・実行。

・従来ル-トを活用したリサイクル方法を確立し、産廃削減、耐火物リサイクルを推進。

・請負作業のさらなる受注拡大。

 

・セラミックス事業:景観資材用途のれんが・タイル等におけるリサイクル原料の適用拡大。

・原料比率のうち、60%以上をリサイクル原料(都市廃材や産業廃棄物)が占める商品群の確立と適用拡大。

・循環型社会の実現と住みやすいまちづくりに貢献する新たな商品の開発。

 

 

 

●人的資本経営強化

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

・人材採用・定着の取り組み

・新卒採用:年度採用計画

・人材確保のための広報活動の実施(学生・学校へのPR強化、コーポレート動画の公開)

・処遇改善の実施(初任給UP)

・2026年度卒新卒採用およびキャリア採用活動の実施

・人材育成の取り組み

 

・2024年度人材育成・能力開発計画に基づく施策の実施

・免許・資格取得報奨金制度導入

・2025年度人材育成・能力開発計画に基づく施策の実施

・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進(女性、外国人等の活用などを推進)。

次の項目について目標設定し、別途開示。

 ・総合職女性採用比率

 ・管理職女性比率

 ・年間総実労働時間

 ・年次休暇取得日数

 ・社員健康管理に関する目標等

「(3)人的資本についての取組」において詳細記載。

・世界各国の従業員が活躍するグローバル企業としてダイバーシティ&インクルージョンを推進。

 

 

●人権保護の徹底

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

・人権尊重の取り組み。

・黒崎播磨グループ人権方針の制定および人権に関する啓発教育の実施。

・人権デューデリジェンスの取り組みとして、負の影響の特定、防止または軽減に関するアセスメントを、当社単体で実施。

・人権デューデリジェンスの取り組みとして、負の影響の特定、防止または軽減に関するアセスメントを、サプライチェーンの取引先に対して実施。

 

 

●顧客への安定供給

項目

定量・定性目標(KPI)

2024年度の進捗

これからの取り組み

〇サプライチェーンマネジメントの最適化推進

・購買ソースの多様化。

 

・新規の取引先の調査、品質評価継続による調達先グローバル化の促進。

・複数の国からの原料調達によるリスク分散。

・サプライチェーン全体の共存共栄と連携。

・良好な関係を強化するためのパートナーシップ構築宣言の見直し。

・パートナーシップ強化によるサプライチェーン全体の付加価値向上。

 

 

(2) 気候変動関連についての取り組み

 TCFDの提言に沿った気候変動関連の情報開示

当社グループはTCFD提言への賛同(TCFDコンソーシアムに参画)と共に、2022年5月にTCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示し、気候変動がもたらす“リスク”と“機会”を明確にし、“リスク”の低減と“機会”の獲得に向けて対応策を策定しました。

具体的には、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、移行リスクにおいては、国際エネルギー機関(IEA)が発行するWorld Energy Outlook 2022からSTEPSとNZEを主体とし、物理リスクについては気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書におけるRCP8.5、RCP2.6 に基づき政府や国際機関が発行した将来に関する予測を参考に、1.5℃・2℃未満シナリオならびに4℃シナリオにおいて定性・定量の両面から分析し、対応策を検討しました。この結果を次頁の表にまとめています。

1.5℃・2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に移行する上で考えられる炭素税導入による影響が大きいことから、当社グループが排出しているScope1,2を削減することでリスクを最小化することが重要であると考えると共に、サプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)削減対策の促進も今後の課題であると考えています。一方、規制強化の影響で脱炭素社会に貢献できる当社製品の売上増加も見込まれます。

また4℃シナリオでは異常気象の激甚化による影響が大きく、今後も災害に備えた基盤整備を継続することでリスク低減につなげてまいります。

上記課題認識のもと、2023年度より、Scope1,2およびScope3排出量の迅速な算定とマネジメント体制の構築の検討を開始しました。さらに、2024年度には、CO2排出量開示値について独立認証機関による第三者保証を取得しました。また、脱炭素社会の実現ににいっそう貢献すべく、環境配慮型製品の開発に注力するとともに、環境価値を訴求するブランド化の取り組みを強化しております。この取り組みの一環として、環境価値の高い差別化商品の事業展開のため、当該製品・ソリューションを総称するブランド K-GenesisX™を立ち上げるとともに、戦略商品の個別ブランド化も協力に推進しています。2024年度においては、熱衝撃と物理的衝撃の両方に対する耐久性が強化された高耐用転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが開発品に、“TOUGHMAX™”と命名の上、戦略商品の個別ブランドとして展開しています。

ブランド化の取り組みの詳細は、以下の当社ホームページをご参照ください。現時点で戦略商品としては、TOUGHMAX™を含めて7つ(Dry-Free®、EVERCLEAN®、REX-ROBO®、NEXCERA®、KROTECT®、PLATECT®)ありますが、戦略商品は今後拡張する予定です。

黒崎播磨グループの環境商品を集めた製品・ソリューションを総称するブランド・K-GenesisX™ https://www.krosaki.co.jp/kgx/

高耐用 転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが TOUGHMAX™  https://www.krosaki.co.jp/kgx/toughmax

 


 


 

 

(3) 人的資本についての取り組み

 ① ダイバーシティ&インクル―ジョン(D&I)

当社では従業員が生産性高く能力を最大発揮し、誇りとやりがいをもって長期間働ける環境を整えることを目的に、D&I方針ならびに管理目標を設定しております。

 1)取り組み方針

D&I方針について、ミッションステートメント等を基に以下のように定めています

・当社は、社員一人ひとりの人間性を尊重し、日頃の業務における従業員間の協働や職場における対話活動を通じて個性を歓迎する風土を創り、豊かな価値を創造・提供していきたいと考えています。

・あらゆる人権の尊重は企業活動の基本であり、当社は、国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、性的指向、障がいの有無等に基づく不当な差別を排除しています。

・当社を取り巻く環境が変化する中、将来に亘って産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献し「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指して成長し続けるためには、当社で働く従業員が相互に多様な価値観を受入れ、生産性高く持てる力を最大限に発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できることが重要であるとの認識に立ちD&Iに取り組みます。

 2)D&I重点取組項目について

D&I重点取組項目を以下の通り設定すると共に管理目標と指標を下記の通り、設定しております(当社単体)。

ⅰ)女性活躍の推進 … 従業員の多様性を活かす(ダイバーシティ関連)

ⅱ)働き方・休み方 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)

ⅲ)健康づくりの推進 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)

ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築 … ハラスメント防止・就業モラルの向上

 

ⅰ)女性活躍の推進

目指す姿

・現状制度をベースに、女性が定年までライフステージに応じて持てる能力を遺憾なく

  発揮できるようにする。

・幹部役職登用や業務範囲の拡大等、全職場・階層で女性が活躍する場面を拡大する。

目標

・2025年度迄に、女性の新卒執務系総合職における採用割合を20%以上とし、2030年度

 までには30%以上とする。

・2030年度には、管理職に占める女性の割合を目標設定時点(2021年11月時点19人、

 2.9%)の1.5倍以上とし、その後早期に2~3倍とすることを目指す。

具体的施策

・人物能力本位での採用選考を前提に、総合職執務系の女性採用を拡大。技能職での女

 性採用の実施。

結婚・妊娠・出産・育児等ライフイベントに対応した制度の見直しの一環として単身

 赴任要件の緩和、 単身赴任時負担の軽減施策を実施(単身赴任手当・単身赴任者食

 事補助の増額、単身赴任者帰宅旅費の増額)。

・子ども同伴転勤時の「転園・転校支援金」制度導入。

2024年度実績

・2025年度入社 新卒執務系総合職女性比率 15.00%(前年度:29.41%)

・2024年度 管理職女性比率 3.32%(前年度:3.25%)

 

 

 

ⅱ)働き方・休み方

目指す姿

・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮できるよう、個々の従業

  員の事情を斟酌しながら、労働時間の長さ、働く場所にとらわれず、最も成果を上げ

 ることのできる働き方を目指す。

目標

2030年度までに全社平均年間総実労働時間を2,000時間/年を下回る水準とする

長時間労働は2025年度までに2020年度比で半減、2030年度までにゼロとする

2025年度までに全従業員が年次有給休暇を15日/年以上取得する

・2025年度までに新たに子が生まれる男性従業員が育児休業・育児に関する休暇を

 取得しやすくするための制度改定を実施し、休業・休暇の取得を促す。

具体的施策

年次休暇について休暇取得努力義務日数を設定。併せて年次休暇取得奨励日を設定

労働時間/休暇取得状況を人事部門から社内各部門へ四半期ごとに情報公開を実施

・長時間労働に対する問題意識や効率的な働き方に対する意識啓発を目的とした業務分

 析の実施(残業時間の多い部署の管理職・総合職を対象に「業務分析」を実施。その

 分析結果と今後の取り組みを報告)。

2024年度実績

・年間総実労働時間 2,061時間(前年度 2,067時間)

・長時間労働者    150名(前年度 178名)

・年間年次有給休暇取得平均日数  15.5日/人(前年度15.4日/人)

・2024年度男性の育児休業ならびに育児目的等休暇取得状況 

育児休業取得率 43.1%(前年度34.7%)、

育児休業取得率と育児目的休暇取得率を合算すると131.4%(前年度104.2%)

 

 

ⅲ)健康づくりの推進

目指す姿

・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮するためには、従業員が

  健康であり続けることが必要。そのために従業員と会社が共に健康づくりに取り組む

 風土を構築する。

目標

・2025年度迄に、がん検診受診率について以下の値を目指す(管理職は率先垂範し可能

 な限り受診)。

  1)大腸がん検診(35歳以上):90%  2)胃がん検診(35歳以上):70%(2年

   に1回)  3)乳がん検診(女性):80%  4)子宮がん検診(女性):70%

・黒崎播磨健康保険組合が実施する特定保健指導の実施率を、2025年度迄に、2020年度

 実績(17.4%)の倍以上とする。

具体的施策

・がんの早期発見・早期治療に資するための各種健診の受診率を高める取り組みを行

  い、併せて健康診断結果に基づく特定保健指導の実施を強化、従業員が自身の健康に

  つき積極的に改善を図ることを促す。

・黒崎播磨健康保険組合にて、従業員と家族の心と体の健康に関する不安や悩みに外部

  の専門スタッフが、電話等で対応する「黒崎播磨ファミリー健康相談」「ベストドク

  ターズ・サービス」「メンタルヘルスカウンセリング」を設置、活用を促す。

2024年度実績

2024年度 がん検診受診率(2025年1月迄暫定値)(カッコ内は前年度実績)

  1)大腸がん検診:98%(87%)  2)胃がん検診:52%(44%)

  3)乳がん検診 :89%(73%)   4)子宮がん検診  :71%(55%)

2024年度特定保健指導実施率(2025年1月迄暫定値)87.4%(前年度実績:80.0%)

 

 

 

ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築

目指す姿

・多様な従業員が誇り・やりがいを持って上司・同僚・部下と共に職務に精励できる職

  場を作る。

 そのために、従業員全員が規律を遵守し、思いやりを持った言動を自然に行えるよう

  にする。

具体的施策

・働きやすい職場の基本は、従業員一人ひとりが職場の中で上司・同僚・部下と忌憚な

 く、隠し事なく、お互いを思い遣った上で話し合える風土を構築することにあるとの

 考えから、職場内対話活動を継続推進している。

・従業員のエンゲージメント向上を目指した取り組みの一環として、2023年度より生産

 性向上および社員勤務満足度向上を目的にエンゲージメント調査を実施。

 ※最大4点、最小1点の評点の中で当社全体評点は2.81(全国平均は2.52)。

・職場におけるハラスメント防止への取り組みとして、ハラスメントE-ラーニング(管

 理職対象)をはじめとした啓発教育を実施。また、ハラスメント防止を目的としたア

 ンガーマネジメント教育も実施。

・その他、ハラスメント行為については「ハラスメント防止規程」にて、各種ハラスメ

ントの禁止徹底を明記するとともに会社としての相談・通報窓口を設置。問題が発生

した案件については通報者保護に十分に留意しながら調査を行い、その結果に基づいて就業規則等に則り厳正に対処。

・当社の2024年度の障がい者雇用率は、法定雇用率を満たしております。

 

 

 ② 人材育成

当社グループは、「人的資本経営強化」を継続的に推進すべく、人材育成・能力開発のレベルアップに取り組んでいます。

当社グループの人材育成・能力開発は「ミッションステートメント」にて定める事業目標「世界一の顧客価値の実現」の達成に貢献可能な人材を育てることを目的に実施しており、求められる能力・知識・仕事への姿勢の習得を速やかに図る為に、下記の通り、教育ならびに研修を実施しています。

 

■教育・研修の概要

大分類

小分類

概要

階層別教育

各職掌・各階層で必要な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

部門別教育

部門専門教育

所属部門で必要な専門的な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

OJT

目標管理制度を軸に業務上必要な知識・技能・態度を上司が業務の実作業を通して指導

自主教育

社員が行う自主的な能力開発活動の内、当社業務を行う上で有益と事業部長が認める資格・技術・能力を取得する活動を会社が支援する

語学教育

所属部門で業務上語学力を必要とする場合の語学教育

全社対象教育

共通教育

業務上一般的・専門的に必要とされる知識・技能・態度を習得するための教育・訓練

国内留学

業務上の必要も踏まえ、学士・短期大学士修得の意欲をもつ社員に進学の道を開く

研修留学

業務上の必要から、社員を日本国内外の大学の研究機関に派遣/高度な技術の習得向上に努め、広く専門知識を吸収し、技術的視野を広げる

海外育成派遣

海外販売拡大に資する人材、当社と海外グループ会社との連携を図ることの出来る人材育成目的での海外グループ会社海外育成派遣生派遣

語学教育

自己の語学能力向上のため会社が斡旋する教育に応募、教育を受講する

 

 

 

■課題への取り組み

当社グループは、社会環境の変化に対応した人材を育成する為、常に課題認識を持ちながら
人材育成に取り組んでいます

人材育成・能力開発/具体的課題

取組内容

2025年度で新規/内容変更計画する事項

海外対応

海外対応語学教育や海外関係会社との連携

・海外育成派遣制度、TOEIC受験対象拡大(中途入社者)

 語学教育《オンライン英会話:21年度~、海外派遣予定者

 を対象にした英語レッスン》

★英語初心者向け講座受講推奨

海外グループ会社との連携(社員教育・研修に関する情報提示等)

海外勤務開始時導入教育内容整理《22年度~》

知識技能習得

DX対応人材育成のための教育充実

・デジタル系基本ソフト(Excel Word等)操作法の研修実施《20年度~》

・DX基礎的知識、その他一般的知識を身につける為の動画教育ツール導入《22年度~》

・階層別教育等にDX関連内容を折込《24年度~》

★DXに関する外部講師招聘講座開講

業務知識の習得促進(最新知識の再習得:リスキリング)

・クロサキハリマカレッジ *1)の実施・★拡大《14年度~》

・動画教育ツール *2)受講推奨講座の設定《23年度~》

・顧客先工場見学実施《23年度~》

・財務研修の実施《24年度~》

役員向研修の充実

役員向け新規研修受講《24年度~》

部下管理育成

管理職層のマネジメント能力向上

部署長の業務管理能力(部下への業務移譲含む)向上を目的とした新任部署長研修の実施《23年度~》

★初級管理職向け研修内容の整理・内容変更

★管理職能力アセスメント時期の見直し

技能系・築炉技能職監督者管理能力向上

技能系作業長・工長候補者試験実施《21年度~》

技能系教育内容の見直し:製品の使われ方、品質、報告書作成等の内容の教育を必要な階層で追加《21年度~》

ハラスメント

防止対応

ハラスメント防止を意図した諸啓発

・ハラスメント防止を意図した研修実施

 アンガーマネジメント研修《執務系21年度~、技能系22年度~》

・全社員対象ハラスメント教育の実施(半期/回)《24年度~》

人権教育

・人権尊重に関する啓発

・人権方針の発出を受けての人権教育の実施《24年度~》

会社理念定着

・会社根本理念浸透

 ≪ミッションステートメント浸透≫

ミッションステートメント再浸透活動の展開《18年度~、階層別研修内折込等々》

 管理職ミッションステートメント教育展開《18年度~》

 技能系/作業長MS教育展開《21年度~》

★管理職向け教育内容の見直し

離職防止

・若手離職者低減目的:当社在籍メリットの理解促進

・新人研修内でのライフプラン関連講義実施《17年度~》

・ライフプラン社内講習会実施《19年度~適宜》

特定課題

・ダイバーシティ推進に関する啓発(本人/上司の理解醸成、特に女性、障がい者:多様性許容の意識醸成)

・ダイバーシティに関する理解を図る(上司・部下共に)ための研修実施《22年度~クロサキハリマカレッジ内》

 

*1)当社において必須となる専門基礎知識の継承と、財務・法務・労務管理を始めとするビジネス知識の習得を目的とした社内研修プラットフォームである「クロサキハリマカレッジ」を従前より開講しており、2024年度は講座数38講座(前年度32講座)に対し、年間延べ1,834名(前年度は1,098名)の社員が受講しています。

*2)2022年10月よりデジタル技術に関する知識を習得するツールとして、グループ長以上の役職者及び各部門のDX推進者を対象にオンライン動画研修を受講する仕組みを導入しました(2023年度は対象範囲を執務系社員全体に拡大)。併せて、同研修内に設定されている講座にはデジタル技術に関する内容だけでなく、一般的な知識、社会的に新たにフィーチャーされる事柄に関する講座も随時設定されている為、その受講により、様々な社会環境の変化に即時に対応できる人材の育成を図っています

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において、当社グループが判断したものです。

 

≪経営環境に関するリスク≫

① 経済動向

耐火物事業及びファーネス事業は、鉄鋼業界の粗鋼生産量に大きく影響を受け、世界の政治経済動向が不透明である事に伴う国内外での粗鋼減産は、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、セラミックス事業は、主に半導体製造装置業界及び電子部品業界向けの製品を製造しており、各業界の設備投資の状況や市場の動向が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、米国による関税政策は、各国による対応策の影響を含めて、世界経済に多大な影響が生じると想定され、これにより当社サプライチェーンの混乱、需要及び販売価格の低下が生じた場合、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、生産体制、整備・施工体制の最適化(弾力的な生産体制、整備・施工体制の確立等)を図ることにより収益力を強化します。

② カントリーリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しています。その中でも、中国は、耐火物原料・調達品等の購入において、重要な調達拠点です。中国における各種規制、政策転換、混乱等が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、インドのTRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITEDを連結子会社としており、同社の売上高は471億円(2025年3月期)となっています。

インドにおける各種規制、政策転換、混乱等により、同社の事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替相場の変動

当社グループは、グローバルに事業を展開しています。各国・地域における売上、費用及び資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために日本円に換算されています。これらの項目は、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が変動する可能性があります。

当社では、現状、輸出額よりも輸入額の方が大きいため、輸入コスト変動の国内販売価格への反映までの間、円高は当社グループの経営成績等の状況に好影響を及ぼし、円安は悪影響を及ぼすこととなります。

当該リスクを踏まえ、一部の外貨建ての営業債権債務について、一定のルールに基づき先物為替予約を利用することにより、為替変動リスクをヘッジしています。また、ヘッジできなかった為替変動リスクについては、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉しています。

 

 

事業活動に付随するリスク

④ 特定の取引先との関係

日本製鉄㈱は、当社グループの継続的な主要取引先であり、また、当社グループは同社のグループ会社とも取引を有しています。当社グループの日本製鉄㈱の企業グループに対する売上比率は、約43.4%(連結、2025年3月期)となっています。

このため、同社グループの製鉄事業の動向や同社及び同社のグループ会社との取引の状況が当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、特定の取引先に加え、インド等の成長市場での拡販、欧米の成熟市場におけるターゲット顧客のシェア拡大等、グローバル展開をより積極的に推進します。また、耐火物事業、ファーネス事業に加え、事業分野として今後の成長が見込まれるセラミックス事業に注力します。

⑤ サステナビリティ課題

近年、国内外で様々な気象災害が発生しており、気候変動への取り組みは世界的な社会課題となっています。また、資源枯渇や人権侵害といった問題も顕在化し、サステナビリティに関する課題は拡大傾向にあります。こうしたサステナビリティ課題に対して適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、企業の信用やブランド価値の低下に繋がる可能性があります。

当該リスクを踏まえ、2021年12月、当社グループの事業活動を行う上で重要となるマテリアリティ(重要課題)を設定しサステナビリティ基本方針として宣言致しました。また、サステナビリティ基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ推進委員会を設置致しました。加えて2024年10月に黒崎播磨グループ人権方針を制定し、人権デューデリジェンスの取り組みをおこなっています。今後もサステナビリティ課題について適切に管理するとともにマテリアリティに対しての取り組みを進め、サステナビリティ経営を更に深化させてまいります。

⑥ 情報セキュリティ事故の発生

当社グループは、様々な場面でコンピューターシステム及びコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークを利用し事業活動を行っています。また、働き方の多様化によりリモートワークが定着しています。そうした状況下で、サイバー攻撃等に伴う当社ネットワークへの不正アクセスやデータの破壊・改ざん、当社、取引先の機密情報の漏洩等により、当社グループの社会的信頼の失墜を招くとともに、経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、NSG-CSIRT(日本製鉄グループのComputer Security Incident Response Team)への加入により、外部からの不正アクセスの監視を強化継続しています。また、グループ内で情報セキュリティに関するEラーニング、標的型メールへの対処の抜き打ち訓練の実施等を通し、情報管理意識の向上を図っています。こうした対策を通して、セキュリティの強化に努めます。

⑦ 原料価格等の変動

耐火物原料や耐火物調達品を海外から相当量輸入しています。加えて、耐火物の製造工程の一部で、焼成用燃料として液化天然ガス(LNG)、重油を使用しており、LNG価格や原油価格の高騰は、製造・輸送コストの上昇や購入品の価格上昇に繋がります。

原料価格、耐火物調達価格、LNG価格、原油価格の高騰が長期化した場合、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉するとともに、調達ソース多様化を進めています。

 

⑧ アライアンス先との関係

当社グループは、世界の主要市場で鉄鋼メーカーに製品、技術を提供するという戦略のもとに、技術提携、資本提携等の方法で、各国大手耐火物メーカーとの相互連携を展開、強化することによって、グローバル展開を推進しています。

しかし、当初期待されたアライアンスの成果を挙げられない場合や、アライアンスの関係が解消された場合には、戦略の見直しを迫られ、当社グループの事業展開に支障が出る可能性があります。

⑨ 人材確保・育成

国内での少子高齢化が加速する中、事業の根幹である人材を確保・育成し、一人ひとりが活力をもってその能力を最大限発揮する人的資本経営を強化していくことは、今後の事業発展に極めて重要な課題です。しかし、優秀な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、当社グループでは、優秀な人材獲得に向け福利厚生含めた処遇改善、労働環境改善、従業員の健康増進、女性活躍推進、採用活動強化に取り組むとともに、グローバル事業拡大を踏まえた語学教育の促進・ITリテラシー教育・資格取得の推進などの取り組みをおこなっています。

 

≪その他統制不能な不測のリスク≫

⑩ パンデミックの発生

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新たな感染症が発生し、業務の停止やサプライチェーンの混乱が生じた場合、当社の事業活動に影響を与えるリスクがあります。

当該リスクを踏まえ感染症対応マニュアルや事業継続計画の策定等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。

⑪ 大規模災害の発生

当社グループは国内外に製造拠点を有しており、大規模災害により、各拠点の従業員や建屋、設備等に甚大な被害が発生し、操業を停止せざるを得ない場合には、当社グループの生産能力が低下し、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを踏まえ、災害対応マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、建屋の耐震補強、防災訓練等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。

⑫ 事業活動に係る法的規制

当社グループは、その事業活動において、商取引法、独占禁止法、労働法、知的財産法、環境法、建築基準法、建設業法等の各種法的規制を受けています。

これらの法的規制により損害賠償責任が生じる場合や、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制への対応が求められる場合には、費用負担等が生じ、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における我が国経済は、個人消費の一部に足踏みが残るものの、緩やかな回復基調が継続しました。

しかしながら、当社グループの主要顧客である鉄鋼業界においては、建設向け・製造業向けともに国内鋼材需要が低調であったことに加えて、中国による全世界に向けての破壊的価格での輸出拡大の影響を受け、国内粗鋼生産量は、前連結会計年度に比べ4.5%減の8,295万トンと3年連続で減少し、1970年度以降の年度ベースでは、コロナ禍の2020年度(8,278万トン)に次ぐ過去2番目に低い水準にとどまりました。また、世界鉄鋼協会発表による2024年1~12月の粗鋼生産量は、インドは前年同期に比べ6.3%増の1億4,960万トンであったものの、世界全体では前年同期に比べ0.8%減の18億8,260万トンとなりました。

このような厳しい経営環境の中、堅調なインド鉄鋼市場での拡販、生産性向上・歩留まり改善等の自助努力、原材料等コスト上昇分の販売価格への着実な転嫁を推進した結果、前連結会計年度に対して連結売上高、連結当期利益とも増加しました。連結経常利益は、営業外為替差益等一過性の差異もあり前連結会計年度に比べ減益でしたが、2025見直し経営計画の目標150億円を上回る水準を達成しております。

 

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、次のとおりです。

[売上高]

耐火物事業におけるコスト上昇分の着実な販売価格転嫁及び国内外での事業拡大、ファーネス事業における大型工事案件の受注等により、売上高は前連結会計年度に比べ0.5%増収1,779億21百万円となりました。

[損益]

耐火物事業で、国内外の粗鋼生産量減少やスポット案件剥落の影響を受けたことや、セラミックス事業で、半導体製造装置向けセラミックス材料と家庭用燃料電池向け断熱材が受注の谷間となったことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ4.2%減益140億82百万円、経常利益は同6.5%減益153億16百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.0%増益125億35百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント利益は営業利益ベースです。

[耐火物事業](各種工業窯炉に使用する耐火物全般の製造販売)

国内外の粗鋼生産量減少やスポット案件剥落の影響を補填すべく、堅調なインド鉄鋼市場等での事業拡大を進めたものの、売上高は、前連結会計年度に比べ2.2%減収1,485億38百万円、利益は、同9.8%減益114億33百万円となりました。

[ファーネス事業](各種窯炉の設計施工及び築造修理)

整備単価上方改定及び大型工事案件の受注により、売上高は、前連結会計年度に比べ29.6%増収197億28百万円、利益は、同175.0%増益15億18百万円となりました。

 

[セラミックス事業](各種産業用セラミックスの製造販売及び景観材の販売)

半導体製造装置向けセラミックス材料と家庭用燃料電池向け断熱材が受注の谷間となったことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ5.1%減収78億9百万円、利益は、同43.3%減益4億82百万円となりました。

[不動産事業](店舗・倉庫等の賃貸)

売上高は、前連結会計年度に比べ横ばいの7億37百万円、利益は、同4.3%増益5億94百万円となりました。

[その他](製鉄所向け石灰の製造販売)

売上高は、前連結会計年度に比べ14.2%増収11億7百万円、利益は、同13.1%増益55百万円となりました。

なお、石灰事業については、2025年3月31日をもって事業撤退いたしました。

 

② 財政状態の状況

a.資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ80億38百万円増加して、1,870億58百万円となりました。流動資産は同69億82百万円増加1,261億48百万円、固定資産は同10億56百万円増加609億9百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、生産設備等の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加によるものです。

b.負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ9億4百万円減少して、854億17百万円となりました。流動負債は同3億3百万円減少583億79百万円、固定負債は同6億円減少270億37百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、短期借入金の減少によるものです。固定負債減少の主な要因は、長期借入金の減少によるものです。

c.純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ89億42百万円増加して、1,016億40百万円となりました。

純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加です。

この結果、自己資本比率は50.8%となりました。

また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,588円21銭から2,820円55銭となりました。なお、2024年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産」を算定しております。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ1億61百万円減少し、83億22百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は31億44百万円前連結会計年度は137億24百万円の収入)となりました。

主な内訳は、税金等調整前当期純利益189億17百万円減価償却費42億33百万円売上債権の増加額54億33百万円仕入債務の減少額39億30百万円法人税等の支払額57億92百万円です。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は43億31百万円前連結会計年度は35億89百万円の支出)となりました。

主な内訳は、設備等固定資産の取得による支出74億89百万円固定資産の売却による収入17億49百万円投資有価証券の売却による収入19億44百万円す。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果得られた資金は9億86百万円前連結会計年度は62億37百万円の支出)となりました。

主な内訳は、短期借入金の減少額82億8百万円コマーシャル・ペーパーの増加額120億円長期借入れによる収入60億54百万円長期借入金の返済による支出50億6百万円配当金の支払額35億27百万円です。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

110,254

+0.7

ファーネス事業

17,865

+19.9

セラミックス事業

5,394

△1.9

その他

1,020

+5.4

合計

134,535

+2.8

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  金額は製造原価によっています。

3  不動産事業に生産実績はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

150,407

△4.0

14,678

△12.9

ファーネス事業

20,242

+22.7

1,747

△29.5

セラミックス事業

7,903

△3.4

722

+15.0

その他

1,017

+2.7

△100.0

合計

179,570

△1.5

17,147

△14.5

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  不動産事業については、受注活動にそぐわないため、除外しています。

 

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物事業

148,538

△2.2

ファーネス事業

19,728

+29.6

セラミックス事業

7,809

△5.1

不動産事業

737

その他

1,107

+14.2

合計

177,921

+0.5

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本製鉄㈱

69,856

39.5

72,139

40.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っています。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

[売上高]

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ8億92百万円増加1,779億21百万円前年同期比0.5%増)となりました。これは主に、耐火物事業におけるコスト上昇分の着実な販売価格転嫁及び国内外での事業拡大、ファーネス事業における大型工事案件の受注等によるものです。地域ごとの売上高は、日本が977億43百万円(前年同期比1.5%増)、インドが420億62百万円(前年同期比9.1%増)、アジアが84億89百万円(前年同期比12.7%減)、欧州が180億77百万円(前年同期比12.6%減)、その他が115億47百万円(前年同期比2.2%減)となり、海外売上高は801億77百万円(前年同期比0.7%減)、海外売上高比率は45.1%(前年同期比0.6ポイント減)となりました。

[売上総利益]

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ93百万円増加354億70百万円前年同期比0.3%増)となり、売上総利益率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少の19.9%となりました。

[営業利益]

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ6億9百万円減少140億82百万円前年同期比4.2%減)となり、営業利益率は、前連結会計年度に比べ0.4ポイント減少の7.9%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ7億3百万円増加213億88百万円前年同期比3.4%増)となりました。

[経常利益]

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ10億72百万円減少153億16百万円前年同期比6.5%減)となり、経常利益率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント減少の8.6%となりました。営業外収益は、為替差益の減少により前連結会計年度に比べ4億90百万円減少22億86百万円前年同期比17.7%減)、営業外費用は、支払利息等の減少により前連結会計年度に比べ27百万円減少10億52百万円前年同期比2.6%減)となりました。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1億19百万円増加125億35百万円前年同期比1.0%増)となりました。特別利益は、固定資産売却益の増加により前連結会計年度に比べ13億円増加37億3百万円前年同期比54.1%増)、特別損失は、固定資産除却損の減少により前連結会計年度に比べ3億5百万円減少1億1百万円前年同期比75.1%減)となりました。

 

 

なお、経常利益の増減要因を次のとおり分析しています。

インドを除く国内外の粗鋼生産量減少や円安による輸入原材料価格の上昇に伴う一時的なコスト負担増の影響を受ける中、堅調なインド市場での拡販、生産性向上・歩留まり改善等の自助努力、原材料等コスト上昇分の販売価格への着実な転嫁を推進したものの、営業外為替差益等一過性利益の差異もあり前期に比べ減益となりました。但し、2025見直し経営計画の目標150億円を上回る水準を達成しています。

 

※表示単位未満の端数を四捨五入して表示

・マージン改善                    2.7億円

・国内作業用売上減                 △2.2億円

・国内建設用売上減                 △7.6億円

・輸出向け作業用売上増                 4.4億円

・コストアップ                  △10.1億円

・コストダウン                    4.4億円

・連結子会社の損益                 △1.3億円

・ファーネス事業                      9.7億円

・セラミックス事業                    △3.7億円

・営業外損益等                          △7.1億円

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「①経営成績の状況」に記載しています。

 

c.経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容

経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容については、第2[事業の状況]、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]の「(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」、「②2025見直し経営計画の進捗状況について」に記載しています。

 

 

③ 当連結会計年度の財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「②財政状態の状況」に記載しています。

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

[耐火物事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ49億74百万円増加して、1,515億32百万円となりました。

増加の主な要因は、設備投資に伴う有形固定資産の増加です。

[ファーネス事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ46億98百万円増加して、147億13百万円となりました。

増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加です。

[セラミックス事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ4億32百万円増加して、94億77百万円となりました。

増加の主な要因は、生産設備等の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加です。

[不動産事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ16百万円減少して、6億96百万円となりました。

[その他]

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億27百万円減少して、2億52百万円となりました。

 

④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業全体の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、第2[事業の状況]、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な運転資金需要は、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした主な資金需要は、設備の取得によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、コマーシャル・ペーパーを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としています。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は417億38百万円となっています。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、耐火物製造事業を中心とした研究開発活動を行っています。

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的とした技術の開発にもあたっています。

セラミックス事業においては、各種産業用セラミックスの開発を行っています。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の総額は1,273百万円です。

(1) 耐火物事業

耐火物事業においては、当社の主たる製品である鉄鋼用耐火物の開発のほか、事業の多様化を目的として耐火物の施工に関わる技術の開発にあたっており、主に当社の技術研究所のスタッフ27名を中心として、次のとおり運営しています。

① 研究開発の目的

・鉄鋼用耐火物の販売競争力維持及び強化

・海外耐火物生産拠点の強化

・鉄鋼以外の市場への販路拡大

・基礎研究による技術力向上

② 研究課題

カーボンニュートラルに貢献する技術開発

・新機能原材料開発

・製造プロセス技術開発

・独自性のある製品の開発

③ 研究体制

主に鉄鋼用耐火物全般を研究対象としており、基盤研究成果に基づいた独自性のある製品の研究開発活動に取り込んでいます。

当事業に係る研究開発費は1,213百万円です。

(2) ファーネス事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(3) セラミックス事業

各種産業用セラミックスの開発を行っており、当事業に係る研究開発費は59百万円です。

(4) 不動産事業

当事業に係る研究開発費は発生していません。

(5) その他

当事業に係る研究開発費は発生していません。