第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが合理的であると判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、1896年にわが国における保温・断熱分野のパイオニアとしてスタートし、様々な産業分野へ「断つ・保つ」の技術を基盤とした製品とサービスを提供することで成長してまいりました。

2011年には経営理念として

 

ニチアス理念

「ニチアスは、『断つ・保つ』の技術で地球の明るい未来に貢献します。」

 

を制定しました。

 

また、2025年4月には未来志向のもと、新しい理念体系を整備し、サステナビリティ方針を制定するとともに、ニチアスグループ従業員の「心構え」と「行動」の原則を示す「私たちの約束」を改訂しました。
 


 


 

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

  当社グループでは、長期ビジョンに「『断つ・保つ』で明るい未来へ」を掲げております。

「断つ・保つ」の6つの要素技術とニチアス独自のビジネスモデルの歯車を組合せ、さらには、変化に適応するスピードと効率化を加え深化することで、環境と社会課題の解決に向け貢献してまいります。

 


※ 当社グループでは従業員の理解・浸透を目的に、長期ビジョンとコーポレートスローガンは同一にしております。

 

ニチアス理念のもと当社グループは、「働きやすい明るい会社」の実現に向け、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「しくみ・130」(2023年3月期~2027年3月期)を策定しております。数値目標・イメージ、環境目標については、第2ステージにあたり、下記のとおりといたしております。

 

□ 数値目標・イメージ

 

2025年3月期

実績

2026年3月期

目標

2027年3月期

イメージ

売上高(億円)

2,565

2,570

2,750

営業利益率(%)

15.5

14.4

17.3

ROE(%)

15.5

15.0(以上)

ROIC(%)

12.2

14.0

 

 

□ 環境目標

 

2025年3月期

実績

2026年3月期

目標

2027年3月期

目標

GHG(CO2eq)排出量(万t)

18.0

17.1

17.0

産業廃棄物排出量(千t)

18.0

17.7

17.1

 

 

※中期経営計画「しくみ・130」において、「し」は従業員と家族の幸せ、「く」は課題解決のための工夫、「み」は持続的成長を目指す明るい未来と定義づけ、外部環境が目まぐるしく変化する中、変化に適応できる「しくみ」を構築し、当社創立130周年となる2027年3月期の目標達成に向け、課題に取り組んでまいります。

 当該計画については、前半3ヵ年を第1ステージ(2023年3月期~2025年3月期)、後半2ヵ年を第2ステージ(2026年3月期~2027年3月期)と期間を区分けしております。環境の変化を踏まえ、適宜、目標に対する進捗の評価・検証、目標達成に向けた課題の見直しを行いながら進めております。

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、「断つ・保つ」の技術を基盤として、各種プラント設備向けに製品やエンジニアリングを提供する「プラント向け工事・販売事業」、基幹産業を主な市場とする「工業製品事業」、半導体産業に特化した「高機能製品事業」、自動車メーカーなどを主な客先とする「自動車部品事業」、ビルの建材を供給・施工する「建材事業」の5つの事業を展開しております。セグメントごとの経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりです。

 

 <プラント向け工事・販売事業>

プラント向け工事・販売事業では、シール材をはじめとする製品や極低温から超高温に至る領域で独自技術を駆使したエンジニアリングサービスを提供しています。電力、LNG、石油精製・石油化学などのプラント施設に常駐体制を構築することで、各種工事やメンテナンス工事におけるお客さまからのニーズへお応えしています。

国内市場は人口減少に伴い長期的には縮小傾向にありますが、石油精製・石油化学分野においては、プラントの安定操業を目的とした設備保全に対する投資は継続していくと予想されます。また、政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー由来の発電設備新設、火力発電における燃料の脱炭素化、原子力発電所の再稼働に向けた取組み等も順次進められていくと考えられます。

このような環境のなか、従来築いてきた全国のプラント施設への常駐体制を維持し、お客さまのニーズに真摯に対応していくとともに、将来見込まれる人手不足や働き方改革に対応するための省力化工法・製品の開発、工事現場管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。

 

 <工業製品事業>

工業製品事業は、半導体・電子部品、自動車、医療、食品、医薬、石油精製・石油化学、電力、鉄鋼、インフラ建設などの幅広い産業分野に対し、生産工場の設備用部材や各種機器の部品として、ガスケット・パッキン、ふっ素樹脂製品、各種断熱材、VOC(揮発性有機化合物)除去フィルター製品などの「断つ・保つ」技術・製品を提供しています。また、当社のマザー事業本部として新規事業創出の役割を担っています。

外需については、中国環境規制への対応や、EVの急速な普及に伴う電池工場への投資拡大に伴い、VOC除去フィルターや産業用除湿フィルターの需要が増大しています。内需については、半導体関連の大型投資により薬液製造および薬液供給の分野で大型物件が見込まれます。また、建築や医療、食品等の需要は堅調であり、加えて、カーボンニュートラル実現に向け、主力事業分野の一つである省エネ関連製品(断熱材)への関心が高まっています。

このような環境下で、幅広い産業分野を顧客に持つ工業製品事業本部としては、国内外の有望地域や有望成長市場における機会損失を最小限とするべく、需要増に対応できるよう設備投資や生産体制整備を積極的に進めてまいります。また、カーボンニュートラルに向けた市場および顧客の構造転換を見極め、「断つ・保つ」技術を基軸とした戦略製品群の開発・拡充を行っていくことで、社会要求に対応してまいります。

 

 <高機能製品事業>

高機能製品事業では、技術革新の早いエレクトロニクス関連産業分野のなかで、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造プロセスにおける、熱・薬液・ガスなどに関わる先進の部品や部材(樹脂・ゴム製品、ヒータ・無機断熱製品)を提供しています。

IoT・AI・5G・メタバースの普及、加速するデータ社会により、半導体市場は拡大・成長していくと考えております。

このような環境のなか、将来の市場拡大に備えた生産体制の構築を進めるとともに、将来の環境規制にも配慮した先進技術や材料開発を展開してまいります。

 

 

 <自動車部品事業>

自動車部品事業では、シリンダーヘッドガスケットなどの流体の漏れを「断つ」機能製品であるシール材をはじめ、自動車の進化に対応した防熱、防音、制振関連の製品や技術を提供しています。

足元では、次世代車(EV等)の需要の伸びに鈍化傾向が見られますが、中長期的には次世代車へのシフトが進むものと思われます。

このような環境のなか、進化を続ける自動車産業の未来に貢献すべく、長年培ってきた技術を駆使し、時代のニーズに対応した高付加価値製品の創出、開発を進めていくとともに、グローバルでの拡販と原価低減活動を推進し利益確保に注力してまいります。

 

 <建材事業>

建材事業では、不燃・断熱・耐火などの性能を備えた建材を提供するとともに、その建材を活用した施工も展開しており、オフィスビル、工場、物流倉庫などの、より安全で快適な空間づくりに寄与しています。

足元では、都市部の大型再開発事業などにおいて、人手不足や資材価格の高騰による工期への影響が見られます。

このような環境のなか、当社の戦略としては、建築物には欠かせない耐火被覆工事の施工性を大きく改善させた巻付け耐火被覆材をはじめとする差別化製品の拡販を進めるとともに、事業の構造改革を進め、収益の改善を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが合理的であると判断したものであります。

当社グループでは、従業員が活躍できる職場環境が実現できてこそ、業績向上とサステナブルな未来が望めるものと考えます。従業員の活躍は、より良い技術や製品、サービスを社会に提供することにつながると確信します。このような考えのもと、当社グループは「私たちが目指す姿」として「働きやすい明るい会社」の実現を掲げ、中期経営計画「しくみ・130」(2023年3月期~2027年3月期)を策定しております。

上記の考えに基づき、2025年4月に当社グループのサステナビリティ活動の根幹となる「ニチアスグループサステナビリティ方針」を制定いたしました。

中期経営計画においては、サステナビリティに関連する環境や人材などの各項目について、環境委員会をはじめとする各部が検討した結果を経営企画部がとりまとめ、全社課題として設定しております。

これらの課題の進捗状況については、中期経営計画で制定した「ニチアス幸せ価値指数」を用いて評価し、その成果については経営会議および取締役会に報告する体制としております。ニチアス幸せ価値指数では、ESGの要素を踏まえた事業活動に直結する5つの重要課題のほか、従業員の働く環境(従業員満足度)を定量的に評価しています。同時に、従業員のエンゲージメントサーベイ(従業員幸福度)、従業員を支える家族や当社グループを取り巻くステークホルダーへのアンケートも実施し、総合的な視点で評価・検証を行っています。

 


 

 ※ 各課題の目標値については、第2ステージにあたり、追加、改訂しております。

 

また、当社グループでは環境や社会課題を解決しながら持続的な成長を果たすため、サステナビリティ担当役員を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ推進の基本方針・戦略を策定するとともに、各専門部会を統括し、当社グループのサステナビリティ活動を推進してまいります。

 


なお、本委員会の位置づけにつきましては、「第4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由」に記載のコーポレートガバナンス体制図を参照ください。

 

 

(1) 気候変動関連等

▶ ニチアスグループ環境方針

当社グループは、2001年にニチアス環境憲章を制定以降、「『断つ・保つ』の技術を活かし、地球温暖化をはじめとするさまざまな環境負荷を低減し、持続発展可能な社会の実現に貢献します」との宣言文に基づき、さまざまな施策に取り組んでまいりました。2025年4月に当社グループのサステナビリティ活動の根幹となる「ニチアスグループサステナビリティ方針」が制定されたことにより、環境憲章は、今後注力していくべき環境配慮企業としての取り組みを具体的に明記し「ニチアスグループ環境方針」として再制定しました。本方針に示した、環境配慮企業としての取り組みは以下のとおりです。

 

  ・環境に配慮した設計と開発

  ・気候変動への対応

  ・資源循環の取り組み

  ・自然との共生

  ・化学物質管理の強化

 

気候変動への対応に加えて、資源循環においては、従来から推進していたリサイクルの推進と廃棄物削減活動を強化し、資源の有効利用を促進してまいります。また、新たに自然との共生を明記し、水資源や生物多様性の保全と回復を推進し、地域社会と共存していきます。新たに制定した本方針に基づき、当社グループは環境配慮企業としての取り組みを一層強化してまいります。

また、これら活動を推進するため、気候変動対応をメインに活動していたカーボンニュートラル推進室を環境経営推進室と改称し、課題に取り組んでまいります。

 

▶ 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

激甚災害が増加し、経済活動が停滞するなど、気候変動がグローバルに様々な影響を及ぼすことが問題になるなか、当社グループは「断つ・保つ」の技術を基盤とした保温・断熱・保冷などの機能を備えた製品およびサービスの提供を通じ、CO2排出量削減に貢献してきました。当社グループは、気候変動を地球の明るい未来に対する多大なリスクと捉え、地球温暖化の緩和と適応の両面から積極的に活動を推進しております。2023年6月には、気候変動問題に適切に対応すべく、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。今後は、さらなる脱炭素活動を推進するとともに、気候変動に関する情報開示をさらに積極的に進めてまいります。

 

<ガバナンス>

当社グループは、ニチアスグループ環境方針において、「断つ・保つ」の技術を活かし、地球温暖化をはじめとするさまざまな環境負荷を低減し、持続発展可能な社会の実現に貢献することを宣言しております。気候変動対応、資源循環の取り組み、自然との共生、化学物質管理の強化を重要事項と捉え、環境委員会を中心に、環境負荷を低減した製品開発および製造拠点の環境負荷低減を推進しております。

環境委員会は、代表取締役社長を委員長として、取締役および各本部長から構成され、当社グループの気候変動を含む環境問題にかかわる課題についてリスク・機会の分析や取り組みの立案・推進、中期環境方針の策定・進捗管理などを担っております。環境委員会の下には工場部会を設置し、工場部会は、製造拠点の脱炭素目標の達成状況などを確認し、当社グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、製造拠点の取り組みを推進しております。

環境委員会は、四半期に一度開催され、その討議事項を取締役会に報告し、取締役会は当該報告内容について管理・監督しております。

 

<リスク管理>

当社グループは、気候変動に関わるリスクとして、2030年度を想定し、将来における気温上昇として、1.5℃と4℃の気温帯のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。具体的には、環境経営推進室が中心となって、当社グループ全体のサプライチェーン、各プロセスを想定し、気候変動リスクの洗い出し、分析を実施し、重要な影響を及ぼす事象への対応を進めております。分析で洗い出されたリスクに対する対応策の進捗については環境委員会で重要リスクを認識したうえで、必要に応じて取締役会で審議し、リスク回避などの対応やリスク発生時の影響低減に向けて活動を推進しております。

 

 

<戦略>

当社グループは、国際エネルギー機関(International Energy Agency;IEA)が発行しているWorld Energy Outlook等から、 2030年度を想定し、低炭素社会への移行が進む1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)および気候変動が進む4℃シナリオ(STEPSシナリオ)に基づくシナリオ分析を実施し、気候変動によるリスクと機会の具体的な内容および財務影響を評価しました。

 


 

 


(注)1.財務影響は「時間軸」に記載した期間において想定される、収益および費用に与える影響について、小:10億円未満、中:10億円以上50億円未満、大:50億円以上として記載しております。

   2.時間軸は下記の期間を想定しております。

短期:~2026年度(現中期経営計画最終年度)

中期:~2030年度(GHG排出量削減中期目標年度)

長期:~2050年度(カーボンニュートラル達成目標年度)

 

2030年に向けてはカーボンニュートラルへの移行段階として省エネ需要が拡大すると想定しており、当社グループの強みである幅広い断熱材ラインアップと省エネ診断サービスにより顧客の省エネに貢献できると考えております。例えば、省エネ診断システム「Thermofit®」では、診断から対策工事の提案・実施・効果検証までをトータルサポートすることが可能です。また、断熱強化のため、「JIS A9501 保温保冷工事施工標準」改正にあたり、当社はJIS原案作成委員会に参画し、「付属書E(参考)経済保温厚さの求め方」の見直しを提案し、有価証券報告書提出日現在、JIS原案作成委員会で審議されています。また、将来の電力供給については、生成AIなどのデータセンター設置による電力消費の増加に応え、かつ脱炭素化を図るために、非効率な石炭火力発電からアンモニアやLNGを燃料とする発電方式への転換が進むと想定されます。当社は、これらの建設工事の需要増加を機会と捉えております。

2040年に向けては、第7次エネルギー基本計画において、原子力発電を最大限活用することが示されました。再稼働に向けた安全対策工事の需要増加も、当社の機会と捉えております。

そして2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けては、電気自動車をはじめとする次世代車や、水素等の次世代エネルギー関連製品の開発を進めており、実証段階から参画することで将来需要を取り込んでまいります。

 

<指標及び目標>

□気候変動への取り組みと新目標

当社グループは2021年4月に「2050年までにカーボンニュートラル達成」することを宣言しました。地球温暖化の進行により自然災害の激化や生物多様性への影響が懸念されているなか、脱炭素社会の実現に向け、自然共生型のサステナブルな経済活動への転換が求められています。また国際的な枠組みであるパリ協定は、世界全体の気温上昇を2℃以下に抑えるとともに、さらに努力目標として1.5℃までに留めることを求めています。当社グループでは、温室効果ガス(以下、GHG:Greenhouse Gas)の削減目標を、パリ協定が求める水準に定めています。

当社グループが定めた2030年までのGHG排出量削減目標(Near-Term Targets)は、SBT(Science Based Targets)イニシアティブより評価され、2025年3月にSBT認定を取得いたしました。SBT認定を受け、引き続き環境負荷低減を目指したものづくりを徹底し、GHG排出量の削減を進め、脱炭素社会の実現に一層貢献してまいります。

 

GHG排出量削減目標

自社排出量(スコープ1+2)

2030年度にGHG排出量を2021年度比で42%削減

2050年度にカーボンニュートラル(実質ゼロ)を達成

サプライチェーン排出量(スコープ3)※

2030年度にGHG排出量を2021年度比で25%削減

 

※カテゴリ1:購入した製品・サービス、カテゴリ3:スコープ1, 2に含まれないエネルギー関連活動、カテゴリ11:販売した製品の使用を対象とする

 

 

□GHG排出量の削減における進捗状況と実績

 当社グループでは主要なGHGであるCO2の排出量削減活動を、①脱炭素につながるものづくりへの転換、②グループ全体における徹底した省エネルギー、③再生可能エネルギーの積極的活用の3本柱で進めております。

① 脱炭素につながるものづくりへの転換

 製造時のCO2排出量が特に多い製品については、カーボンニュートラルに向けての当社の重点課題と捉え、事業の選択と集中を行い、統廃合による一部製品の販売終了、生産拠点の集約により、CO2排出量の削減に寄与しました。生産を継続する製品についてもCO2排出量の少ないエネルギーへの転換はもとより、乾燥・焼成時間の短縮などの製法改善による低炭素化を検討・実施し、全社で排出量の削減に努めております。

 

② グループ全体における徹底した省エネルギー

省エネ活動は、従来から実施しておりますが、

・自社省エネ技術・製品の活用

・各種省エネ機器の導入、設備更新、燃料転換の実施

・全製造ラインでの不良低減・生産性向上活動によるエネルギーの無駄削減

・全従業員の意識・行動による日々の省エネ徹底

を、ひとつひとつやり切ることを目標に活動をリスタートしております。

また、省エネ活動の更なる活性化のため、国内製造拠点を対象として「自責CO2削減活動」の表彰制度を2023年度より実施しております。2024年度には海外製造拠点にも拡大し、省エネを推進しております。毎年前年比1%削減を目標に活動しておりますが、2024年度は国内外製造拠点での省エネ活動で約3,000t-CO2/年(前年度比1.4%)の削減を実施しております。さらにCO2排出量の削減につながる投資を促進するため、2021年度に省エネ設備投資ガイドラインを策定し、2025年度も社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)を継続採用しております。社内炭素価格の効果もあり、2024年度に投資した設備により約1,000t-CO2/年の削減が見込まれます(CO2排出量削減目標の基準年度である2021年度CO2排出量の約0.4%に相当)。

 

 

③ 再生可能エネルギーの積極的活用

当社グループでは、再生可能エネルギーの導入を着実に進めるため、2030年度におけるグループ全体の購入電力に対する再生可能エネルギー比率の目標を25%と定めました。この目標達成に向け、以下のように様々な手段での電力調達を検討・実施しております。

・製造建屋の屋根上などへの太陽光発電装置の設置

・オフサイトPPAの導入

・グリーン電力、環境証書の購入

 

2024年度は、ニチアス袋井工場で当社初となるオフサイトPPAによる電力調達を開始しました。この契約における太陽光発電設備は、ニチアスが所有する遊休地に設置されております。住宅地に面していることから、蓄電池を併設し、災害時には昼夜問わず、周辺自治会の皆様の非常用電源とお使いいただくことも可能です。

また、当社本社ビルや㈱熊本ニチアスなどの事業所においては、再生可能エネルギー由来の電力調達、環境証書の購入により、事業所単体での再生可能エネルギー比率100%を達成しました。

 

※自社の敷地外に設置された再生可能エネルギー発電設備から電力系統設備を介して、長期的に電気を調達する契約形態

 

 

再生可能エネルギー導入実績と目標

 

 

 

実績

計画

目標

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

2030年度

電力に対する

再生可能エネルギー比率(%)

0.5

3.0

5.2

12.9

20.0

25.0

 

 

 

GHG排出量実績と目標

 

(単位:万tCO2-eq)

 

実績

目標

2021年度

(基準年度)

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度

GHG排出量

スコープ1

12.8

11.7

10.8

9.2

スコープ2

12.8

11.2

11.6

8.9

合計

25.6

22.9

22.4

18.0

14.8

基準年度比削減率(%)

10.5

12.5

29.6

42.0

 

 

 

(2) 人的資本

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>

人材は当社グループの最大の資産と捉えます。永続的かつ持続的に企業価値の向上を図る上では、多様な人材が集い、安心して働くことができる環境整備、風土醸成が重要と考えており、当社グループでは「ニチアスグループ人権方針」を制定し、ダイバーシティの推進など、人権尊重の取り組みに力を入れております。

具体的には、会社と従業員の関係性をより良いものに変革し、「働きやすい明るい会社」を推進していくための取り組みとして、エンゲージメントサーベイを実施し、今後の優先課題の設定や現状の制度運用の見直しに取り組んでおります。

また、管理職に占める女性労働者の割合が低い状況にあることから、中長期的な視点に立って将来の女性管理職候補者の採用・育成を図り、正社員における女性比率を高めていくことを目標としております。

さらに、従業員の健康と安全が企業活動の基盤と捉え、「ニチアスグループ健康経営宣言」を制定し、会社と従業員およびその家族と健康保険組合が一体となって、健康づくりを推進しています。ワークライフバランスを念頭に、心身ともに健康増進を図る上で、有給休暇取得を促進するとともに、時間外労働時間の削減を目標に掲げています。

人材育成については、職務を遂行するために必要な知識やスキルの習得を目的とし、階層別研修や各種集合研修の実施、通信教育の推進を行っています。また、当社グループでは「仲間で仕事をする」ことを合言葉に、従業員の働きがいと生産性の向上の両立を目的とした「NKK(ニチアス改善活動)」に取り組むことで問題解決できる人材の育成を図っております。

加えて、2025年4月より、社長直轄組織として経営戦略室を新設し、より機動的な経営戦略の立案・実行と人的資本経営の強化を推進しております。

  

<指標及び目標>

当社グループでは、上記に記載した、人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略に係る指標について、当社においては関連するデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

指標

2025年3月期

実績

2027年3月期

中期目標

正社員における女性比率

18.5

25.0%以上

男性労働者の育児休業取得率

67.9

85.0%以上

有給休暇取得率

74.6

70.0%以上

1ヶ月の平均時間外労働時間

12.5時間

15.0時間以内

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

□景気変動、経済情勢のリスク

当社グループは、ガスケット、パッキンなどのシール材の製造販売、ロックウール、無機繊維などを基材とする各種の無機断熱材の製造販売、ふっ素樹脂など高機能樹脂を使用した耐食材や耐食機器部品の製造販売、エンジンおよび周辺機器用のシール材や防音・防熱用機能材などの自動車部品の製造販売、けい酸カルシウム板や断熱材を中心とした各種不燃建材の製造販売、また、電力・ガス、石油精製・石油化学プラントの保温保冷工事、フリーアクセスフロア工事などを事業として行っており、需要先は石油精製・石油化学、化学、鉄鋼、電力・ガス、自動車、半導体、建設など幅広い産業分野にわたっています。このため、全産業の設備投資動向、また耐食材については半導体の需要動向、自動車部品については自動車の生産、販売台数の動向、建材についてはビル建設需要の動向に依存し、最終的には内外の景気動向や経済情勢次第で業績が変動する可能性があります。

 

海外事業活動のリスク

当社グループはアジアをはじめとして海外で事業を展開しております。海外での事業においては、通常予期しえない法律や規制の変更あるいは急激な金融情勢の変化など、経済的に不利な要因の発生や政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での活動に支障が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

原材料調達のリスク

当社グループは、主な原材料として金属、コークス、パルプ、ゴム、ふっ素樹脂等を使用しています。これらの原材料の供給元の経済環境の変化、供給能力の低下などにより、必要な原材料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

債権管理のリスク

当社グループは取引先に対して、売掛金や受取手形などの債権を有しております。与信管理については常に充分注意しておりますが、予期せぬ貸倒れにより、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

□会計上の見積りに係わるリスク

当社グループは、工事契約に係る収益認識、固定資産減損会計に関連する回収可能価額、繰延税金資産の回収可能性等に関して見積りを行っております。これらの見積りは、将来に関する一定の仮定に基づいて作成しており、それらの見直しにより当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

退職給付債務のリスク

当社グループの年金資産の時価が下落した場合や年金資産の運用利回りが低下した場合、または、予定給付債務を計算する前提となる基礎率などに変更があった場合、損失が発生する可能性があります。

 

製品の品質維持のリスク

当社グループは、各生産拠点において品質保証の国際規格ISO9001のもとで各製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来クレームが発生する可能性が全くないという保証はありません。製品の欠陥は当社グループの評価に影響を与え、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

情報セキュリティのリスク

当社グループは、当社および顧客・取引先についての個人情報・機密情報を保有しており、これらの情報の外部流出を防止するために、社内ルールの整備、教育の徹底、セキュリティシステム強化等の対策を講じていますが、情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

□災害に係わるリスク

当社グループは国内外に複数の生産拠点などを有しています。製品供給が途絶えた場合の顧客への影響度合い、市場での重要性、代替品への切り替え可能性などを考慮した対策を施しておりますが、当該拠点のいずれかが大規模地震などに被災し稼働困難となった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

□アスベスト(石綿)による健康障害者への補償のリスク

当社および一部の国内子会社は、当社起因のアスベスト疾病により死亡または療養されている従業員および元従業員に対して、社内規程に基づき補償金を支払っております。また、一定の基準を満たされた当社および一部の国内子会社の工場周辺住民の方に救済金を支払っております。今後もアスベストによる健康障害者への補償費用等の負担が継続する可能性があります。

なお、アスベスト健康被害に関し、損害賠償請求の提訴を受けておりますが、当社といたしましては、適切に対処していく所存です。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

(1) 経営成績

 

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

親会社株主に

帰属する当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

当連結会計年度

256,512

39,732

32,073

491.36

前連結会計年度

249,391

35,208

26,961

406.60

増減

7,121

4,523

5,111

84.76

増減率(%)

+2.9

+12.8

+19.0

 +20.8

 

 

当連結会計年度における事業環境は、日本の景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。製造業では設備投資や輸出に持ち直しの動きがみられるものの、生産は横ばいとなっています。海外の景気は、中国では足踏み状態となっている一方、米国では拡大しており、新興国では回復しております。

このような状況の中、当社グループにおいては、原子力、石油精製、石油化学向けの需要が堅調に推移したプラント向け工事・販売部門と、AI向け半導体需要が牽引した高機能製品部門を中心に売上が増加し、当社グループの売上高は、前連結会計年度に対し2.9%増256,512百万円となりました。

売上原価については、売上高の増加に伴い前連結会計年度に対し1,112百万円(0.6%)増加185,739百万円となりました。また、販売費及び一般管理費については、売上高の増加に伴う経費の増加により、前連結会計年度に対し1,485百万円(5.0%)増加31,041百万円となりました。

営業利益については、売上高の増加により、前連結会計年度に対し4,523百万円(12.8%)増加39,732百万円となり、営業利益率は15.5%となりました。

営業外収益については、為替差益の減少により前連結会計年度に対し1,404百万円(35.3%)減少2,578百万円となりました。また、営業外費用については、前連結会計年度に対し212百万円(52.3%)増加617百万円となりました。

上記の結果、経常利益については、前連結会計年度に対し2,906百万円(7.5%)増加41,693百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益の増加により、前連結会計年度に対し5,111百万円(19.0%)増加32,073百万円となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の経営成績は以下のとおりです。

 

<プラント向け工事・販売>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

73,518

78,456

4,937

+6.7

セグメント利益

10,580

12,504

1,924

+18.2

 

 

プラント向け工事・販売については、原子力、石油精製、石油化学向けを中心に需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し6.7%増78,456百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し18.2%増12,504百万円となりました。

 

<工業製品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

51,209

53,184

1,974

+3.9

セグメント利益

10,489

11,052

562

+5.4

 

 

工業製品については、中国の経済状況悪化の影響で環境製品の需要が伸び悩みましたが、国内のインフラ向けシール材やふっ素樹脂ライニング製品の需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し3.9%増53,184百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し5.4%増11,052百万円となりました。

 

<高機能製品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

42,830

44,584

1,754

+4.1

セグメント利益

9,635

10,230

595

+6.2

 

 

高機能製品については、AI向け半導体需要の牽引により、売上高は前連結会計年度に対し4.1%増44,584百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し6.2%増10,230百万円となりました。

 

<自動車部品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

50,133

51,196

1,063

+2.1

セグメント利益

3,770

4,540

770

+20.4

 

 

自動車部品については、海外需要は軟調でしたが、為替相場の円安進行により、売上高は前連結会計年度に対し2.1%増51,196百万円となりました。また、売上高の増加に加え、原材料価格の上昇が落ち着きを見せたことにより、セグメント利益は前連結会計年度に対し20.4%増4,540百万円となりました。

 

<建材>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

31,699

29,090

△2,608

△8.2

セグメント利益

733

1,404

670

+91.4

 

 

建材については、一部大型物件の工期遅延の影響と事業構造の見直しによる一部製品の生産・販売終了や品種集約により、売上高は前連結会計年度に対し8.2%減29,090百万円となりました。一方でセグメント利益は、事業構造の見直しに伴う収益性の改善により、前連結会計年度に対し91.4%増1,404百万円となりました。

 

 

生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。

 

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

工業製品

 42,433

 +0.9

高機能製品

 31,883

 +7.3

自動車部品

 43,708

 +0.4

建材

 6,972

 △35.1

合計

 124,998

 △0.8

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

3.建材の生産高が6,972百万円と前連結会計年度と比較し35.1%の減少となりました。これは、一部の連結子会社において第208期をもってロックウール製品の生産を停止したことによります。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比(%)

プラント向け工事・販売

 83,061

 +15.6

 21,999

 +26.5

工業製品

 57,253

 +10.6

 14,358

 +39.5

高機能製品

 40,700

 +3.0

 7,222

 △35.0

自動車部品

 51,006

 +1.4

 2,641

 △6.7

建材

 30,888

 △7.2

 9,372

 +23.7

合計

 262,909

 +6.6

 55,594

 +13.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.工業製品の受注残高が14,358百万円と前連結会計年度と比較し39.5%の増加となりました。これは、特定顧客の設備投資需要に対し、主にふっ素樹脂製品の需要が増加したことによります。

3.高機能の受注残高が7,222百万円と前連結会計年度と比較し35.0%の減少となりました。これは、国内の半導体製造装置向け関連製品の需要が減少したことによります。

 

③売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

プラント向け工事・販売

 78,456

 +6.7

工業製品

 53,184

 +3.9

高機能製品

 44,584

 +4.1

自動車部品

 51,196

 +2.1

建材

 29,090

 △8.2

合計

 256,512

 +2.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績および当該売上実績の総売上実績に対する割合は、当該割合が10%以上の相手先がないため省略しております。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、建物及び構築物が3,634百万円、現金及び預金が3,301百万円、原材料及び貯蔵品が2,497百万円増加しましたが、投資有価証券が8,542百万円、建設仮勘定が3,184百万円減少したこと等により、前連結会計年度末と比較して1,743百万円減少の289,044百万円となりました。

当連結会計年度末における負債は、短期借入金が6,935百万円、1年内償還予定の社債が5,000百万円、支払手形及び買掛金が2,902百万円、繰延税金負債が2,224百万円減少したこと等により、前連結会計年度末と比較して17,260百万円減少の72,609百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、自己株式の取得等7,964百万円、その他有価証券評価差額金の減少5,561百万円等により減少しましたが、利益剰余金が25,371百万円、為替換算調整勘定が2,546百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して15,516百万円増加の216,434百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して3,036百万円増加し58,611百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は31,246百万円(前年同期は19,167百万円の獲得)となりました。

これは、法人税等の支払額12,483百万円、仕入債務の減少5,085百万円、投資有価証券売却益4,985百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益45,358百万円、減価償却費7,626百万円、売上債権の減少3,989百万円等により資金が増加したことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は913百万円(前年同期は12,897百万円の支出)となりました。

これは、投資有価証券の売却による収入5,883百万円等により資金が増加しましたが、有形固定資産の取得による支出6,764百万円等により資金が減少したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は27,404百万円(前年同期は11,107百万円の支出)となりました。

これは、自己株式の純増減額8,006百万円、短期借入金の減少6,935百万円、配当金の支払額6,710百万円、社債の償還による支出5,000百万円等により資金が減少したことによります。

 

②資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。

設備投資資金需要については、今後成長が見込まれる事業分野を中心に生産設備の増強によるものです。

(財務政策)

運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、金融機関からの借入れにより資金を調達しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、“地球の明るい未来に貢献する”という基本理念のもと、「断つ・保つ」をコアとしたシール技術、断熱技術、防音技術、耐火技術、耐食技術、クリーン技術を用いた製品・サービスを提供しています。これらの事業を支えるため、基盤技術の整備と差別化技術の強化に努め、中長期的視点に立った研究開発、顧客・社会の要望に密着した迅速な開発について、選択と集中を行い進めております。

当社グループの研究開発活動は、浜松研究所、鶴見研究所の2研究所と各事業部門の技術開発部からなる体制で推進し、研究・開発スタッフはグループ全体で490名であります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、6,209百万円で売上高の2.4%でありました。当連結会計年度における各部門の研究開発活動及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) プラント向け工事・販売

エネルギー産業、環境関連産業などから要求される、保温・保冷、高温断熱、耐火に関する構造や吸音・遮音に関する構造、およびそれらの施工システムの研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は1,295百万円であります。

 

(2) 工業製品

環境関連、エネルギー、石油精製・石油化学など各種産業から要求されるシール材、断熱材、耐火材、ふっ素樹脂製品などの部材ならびに装置部品の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は2,113百万円であります。

 

(3) 高機能製品

半導体、液晶製造装置などの産業から要求されるシール材、断熱材、ふっ素樹脂製品などの部材ならびに装置部品の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は945百万円であります。

 

(4) 自動車部品

自動車産業から要求されるシール材、断熱材、吸音材などの部材の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は1,322百万円であります。

 

(5) 建材

ビル建築産業などから要求される断熱材、耐火材、不燃建築材料およびそれらの施工システムなどの研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は532百万円であります。