第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社経営の基本方針

当社グループは「創造・革新・挑戦」を基本とし

Ⅰ.新たな価値を提供し、顧客満足を高める。

Ⅱ.顧客要求を発掘し、独創的な技術で新事業を創出する。

Ⅲ.品質と生産性を向上させ、企業体質を強化する。

を経営方針としております。

この経営方針の下、顧客満足度の向上、新製品開発のスピードアップ、徹底したコストダウンによる利益体質強化の推進により企業価値を創造し、会社の株主価値を高めていくことを目指しており、経営指標として新製品売上比率50%以上、営業利益率8%以上、ROA5%以上を中長期的な経営目標としております。

(2)中長期的な会社の経営戦略

既存製品の競争力強化による収益拡大と、新製品開発による新事業基盤の創出に取組んでいきます。

・電子材料分野につきましては、モバイル、車載及び半導体分野を中心に新製品開発を進めます。また、徹底したコストダウンを図るとともに連結子会社と連携し、競争力強化とシェアアップを目指します。

・産業構造材料及び電気絶縁材料分野につきましては、交通インフラ、水処理及び電絶関連を主力事業分野として新製品開発と拡販を進め、堅実な利益体質の継続とシェアアップを目指します。

・ディスプレイ材料分野につきましては、医療、車載及び大型ディスプレイ分野を中心に、当社固有の光学技術を活かした新製品の早期市場投入を図っていきます。

・海外連結子会社との協業を深化させ、顧客への技術サービス強化により一層の拡販を図っていきます。

(3)会社の対処すべき課題

当社グループは、既述の経営戦略をより早期かつ確実に達成するため、今後対処すべき課題として次のことを推進いたします。

・競争力のあるコスト体質を具現化するため、製造技術や材料選定の徹底的な見直しを図ります。

・Arisawa Production Systemを中心とした管理技術、固有技術の向上と個人の能力アップにより、徹底的な原価低減を図ります。

・製造・販売・技術の連携強化を推進し、効率的な事業運営を図ります。

(4)会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容と当社財産の有効な活用及び適切な企業集団の形成ならびにその他の基本方針の実現に資する取組み

当社は明治42年の創業以来、一貫してユーザーニーズにお応えしながら技術革新と製品開発に取り組み、当社独自の「織る、塗る、形づくる」技術を構築し、良好な労使関係のもと、企業価値の向上に努めてまいりました。当社取締役会はこの歴史と蓄積された技術を育み続けるとともに、これらの企業価値を理解し、長期的に育成し、向上させる義務があると考えております。

これに基づき、当社グループは「創造・革新・挑戦」を基本とした経営方針により、安全と品質の向上を第一に掲げ、新たな事業基盤と新市場を創出し、利益体質の強化を推進することを目指しております。

② 不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

近年の株式市場においては対象となる会社の株主あるいは経営陣に対して充分な説明や協議の手続きを経ることなく大量の株式の買付を強行する等の買収手法も見受けられ、ややもすると企業価値の喪失、株式売却の強要等、株主利益の侵害とも取れるものも少なくありません。

このためには買付を行う者またはその提案者(以下総称して「買付者」といいます。)に対して遵守すべきルール・手続きを提示することにより、必要かつ充分な情報の開示と、買付提案の検証及びその検討のための期間を確保する必要があると判断し、当社定款に基づき当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下「本ルール」といいます。)を策定し、平成29年6月28日開催の第69回定時株主総会でご承認いただいております。

本ルールに基づいて、株主意思確認の株主総会等において対抗策の発動が承認された場合、買付者が本ルールを遵守しない場合及び当社株式の大量取得行為その他これに類似する行為またはその提案(以下総称して「買付」といいます。)が当社の企業価値を毀損することが明らかな場合は、本ルールに従って対抗策が発動されることになります。

(本ルールの詳細につきましては、インターネット上の当社ウエブサイト(http://www.arisawa.co.jp/)をご参照ください。)

③ 上記の取組みが、基本方針に従い、当社の企業価値及び株主の共同の利益を損なうものでなく、かつ、役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

当社取締役会は、株式を上場し投資家の皆様に当社株式の自由な売買を行っていただくなかで、当社取締役会の意に反して行われる大規模買付行為、あるいは当社の支配権の移転を伴う買付提案におきましても、企業価値の向上により株主の皆様全体の利益となるものについては、当社取締役会としてこれを否定すべきでなく、最終的には当社の株主全体の判断に基づき行われるべきものと考えております。

このような買付が行われた場合は、株主の皆様が適切な判断を下されるために、買付者から詳細な情報の提供を受け株主の皆様に充分な情報の開示を行うとともに、当社取締役会としての意見表明を行い、株主の皆様にどちらの主張が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に結びつくかを、株主総会等で直接意思表示していただくことが最善の方策と考えており、本ルールでは次のように定めております。

イ 株主の皆様の直接決議による判断

本ルールは、買付者が本ルールを遵守しない場合等を除き、買付者による買付提案の受け入れの可否について、株主の皆様に直接判断いただくものであります。この株主意思の確認手続きにあたって、取締役が自らの保身のための個別勧誘等を行うことはほぼ不可能であり、取締役の恣意的な意向が入り込む余地はありません。

ロ 取締役会判断による対抗策発動の制限

当社取締役会が株主意思の確認を行わずに対抗策を発動できるのは、本ルール違反や企業価値・株主共同の利益が毀損されることが明らかな場合に限定しておりますとともに、有効期間を約2年とするいわゆるサンセット条項を付しております。

したがいまして、当社取締役会は、この「会社の支配に関する基本方針」が当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の利益を損なうものではないと考えます。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として、有価証券報告書提出日現在において以下のものが考えられます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 製品需要の変動について

当社グループが製造・販売する製品の主なユーザーは、民生用電子機器メーカー、電子部品メーカー、産業用電子機器メーカー等であり、民生用電子機器の需要の変動は当社グループの経営成績に影響を及ぼします。

(2) 特定の製品への依存について

当社グループの売上高は、電子材料分野への依存度が高くなっております。当分野の売上が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

(3) 新規事業の展開について

当社グループは、種々の新規事業の立上げを図っておりますが、その進捗状況によっては、経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

(4) 原材料の調達について

当社グループが購入する原材料において、原油価格の高騰等により購入価格が著しく高騰した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

(5) 災害による影響について

当社グループの生産拠点は、その多くが新潟県上越市に集中しており、地震その他の災害が発生した場合には、生産活動の中断等により当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

(6) 環境に関する規制について

当社グループの事業は、様々な環境保全やその他の法的規制の下にあります。これらの環境保全やその他の規制の遵守に伴い甚大な債務や義務が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界経済の回復を背景に輸出が増加し、企業収益が改善したこと等により景気回復基調が継続しました。一方で、米国の保護主義的政策や金融政策に対する懸念等もあり、先行きが不透明な状況で推移いたしました。

このような状況のもと、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)当連結会計年度における業績は、売上高409億9百万円(前年同期比18.7%増)、営業利益36億27百万円(前年同期比102.6%増)、経常利益40億44百万円(前年同期比50.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34億52百万円(前年同期比69.5%増)となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

電子材料

電子材料では、主力の多機能携帯端末向けフレキシブルプリント配線板材料(受注高168億8百万円30.0%増、生産高44.9%増、前連結会計年度比較、提出会社単体ベース)を中心に、売上を伸ばしました。また㈱サトーセンを子会社化したこともあり、売上高は267億58百万円(前年同期比31.8%増)、セグメント利益は31億16百万円(前年同期比68.4%増)となりました。

産業用構造材料

産業用構造材料では、FW成形品、航空機用ハニカムパネル及びプリプレグ、引抜成形品、FRPスキーシートを中心に、前年並みの売上を維持することができました。一方、売上品目の構成が変化したことと原価低減努力が寄与し、売上高は72億20百万円(前年同期比1.4%減)、セグメント利益は11億9百万円(前年同期比95.3%増)となりました。

電気絶縁材料

電気絶縁材料では、硝子クロス、硝子テープ、電気絶縁用プリプレグを中心に、前年並みの売上・利益を維持することができ、売上高は32億28百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は6億8百万円(前年同期比6.6%増)となりました。

ディスプレイ材料

ディスプレイ材料では、3D関連材料を中心に医療用途などが伸び、売上高は29億88百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント損失は55百万円(前年同期は1億72百万円のセグメント損失)となりました。

その他(その他の事業分野)

その他では、売上高は7億13百万円(前年同期比21.2%減)、セグメント利益は2億40百万円(前年同期比22.2%増)となりました。

なお、この項に記載の売上高、受注高等の金額には、消費税等は含まれておりません。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ18億3百万円(前年同期比25.7%増)増加し、88億29百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は21億81百万円(前年同期比36.2%減)となりました。主な資金増加の要因は、税金等調整前当期純利益47億45百万円、減価償却費17億12百万円等によるものであり、主な資金減少の要因は、売上債権の増加額26億63百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は4億71百万円(前年同期比71.8%減)となりました。主な資金増加の要因は、投資有価証券の売却による収入29億87百万円等であります。主な資金減少の要因は、有形固定資産の取得による支出17億円、投資有価証券の取得による支出14億18百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は59百万円(前年同期は4億19百万円の獲得)となりました。主な資金増加の要因は、短期借入金の純増額9億11百万円、長期借入による収入6億90百万円等であります。主な資金減少の要因は、長期借入金の返済による支出9億13百万円、配当金の支払額7億12百万円等であります。

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績及び受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社 以下同様)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

電子材料(百万円)

26,758

31.8

産業用構造材料(百万円)

7,220

△1.4

電気絶縁材料(百万円)

3,228

3.6

ディスプレイ材料(百万円)

2,988

6.6

報告セグメント計(百万円)

40,195

19.8

その他(百万円)

713

△21.2

合計(百万円)

40,909

18.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友商事ケミカル㈱

4,695

13.6

6,185

15.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a.貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

b.繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは、税効果会計の適用にあたり繰延税金資産については、その回収可能性を合理的に見積り、評価性引当額を控除して計上しております。繰延税金資産の回収可能性は有税項目の将来の無税処理の可能性や将来の収益力に基づく将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。

c.有価証券及び投資有価証券の減損

当社グループは、有価証券及び投資有価証券を保有しており、評価方法は時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。保有する有価証券につき、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。

当社グループでは有価証券及び投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきておりますが、この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。

d.固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、独立してキャッシュ・フローを生み出す事業単位を基準にして固定資産をグルーピングしております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その差額を減損損失として認識しております。将来、新たに資産グループの回収可能額が低下した場合、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、市場の変化を先取りして新規及び差異化製品を開発し、既存事業の継続的成長に取り組んでまいりました。同時に、各セグメントで新製品の開発を行い、市場拡大と当社グループの成長を促す挑戦を続けております。当社グループの主力製品である電子材料は、多機能携帯端末向けに子会社の新揚科技股份有限公司を含め受注を拡大し、グループ全体の支えとなりました。産業用構造材料及び電気絶縁材料につきましては、さらなる成長を期待しており、継続して新規開発と収益力強化を行う考えであります。ディスプレイ材料は、セグメント損失が続いておりますが、安定した受注を獲得し早期の黒字化を目指します。

なお、当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析は、次のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、409億9百万円(前連結会計年度は344億51百万円)と64億57百万円18.7%の増収となりました。また、売上原価につきましては、徹底したコスト削減に努めたことにより327億30百万円(前連結会計年度は285億57百万円)と41億73百万円の増加となりましたが、売上原価率は80.0%と2.9ポイント改善となりました。

これにより、売上総利益は81億78百万円(前連結会計年度は58億94百万円)と22億84百万円の増益となり、売上総利益率は20.0%となりました。

 

(営業損益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、売上原価と同様に徹底したコスト削減に努めた結果、45億51百万円(前連結会計年度は41億4百万円)と4億47百万円の増加となりましたが、販売費及び一般管理費率は11.1%と0.8ポイントの改善となりました。

これにより、営業利益は36億27百万円(前連結会計年度は17億90百万円)となり、18億36百万円の増加となりました。

(経常損益)

当連結会計年度における営業外収益は12億3百万円(前連結会計年度は12億53百万円)となり、50百万円の減少となりました。主な内訳は、受取利息24百万円の減少であります。また、営業外費用は7億86百万円(前連結会計年度は3億53百万円)となり、4億32百万円の増加となりました。これは、当連結会計年度に貸倒引当金繰入額3億11百万円の計上があったことによるものであります。

これにより、経常利益は40億44百万円(前連結会計年度は26億90百万円)となり、13億53百万円の増加となりました。

(税金等調整前当期純損益)

当連結会計年度における特別利益は8億51百万円(前連結会計年度は1億52百万円)となり、6億99百万円の増加となりました。主な内訳は、投資有価証券売却益7億29百万円の増加であります。また、特別損失は1億50百万円(前連結会計年度は36百万円)となり、1億14百万円の増加となりました。主な内訳は、投資有価証券評価損62百万円の増加であります。

これにより、税金等調整前当期純利益は47億45百万円(前連結会計年度は28億6百万円)となり、19億38百万円の増加となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における法人税等は9億95百万円(前連結会計年度は5億91百万円)となり、4億3百万円の増加となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34億52百万円(前連結会計年度は20億37百万円)となり、14億15百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益率は8.4%と2.5ポイント増加しております。

 

財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は726億44百万円(前連結会計年度末は638億8百万円)となり、88億35百万円13.8%の増加となりました。

流動資産の当連結会計年度末における残高は363億67百万円(前連結会計年度末は282億88百万円)となり、80億79百万円28.6%の増加となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金33億28百万円、現金及び預金14億55百万円、商品及び製品13億13百万円の増加であります。

固定資産の当連結会計年度末における残高は362億76百万円(前連結会計年度末は355億20百万円)となり、7億56百万円2.1%の増加となりました。主な内訳は、有形固定資産5億70百万円の増加であります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は201億51百万円(前連結会計年度末は152億57百万円)となり、48億94百万円32.1%の増加となりました。

流動負債の当連結会計年度末における残高は159億82百万円(前連結会計年度末は116億79百万円)となり、43億3百万円36.8%の増加となりました。主な内訳は、短期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)17億51百万円、支払手形及び買掛金16億26百万円、未払法人税等5億67百万円の増加であります。

固定負債の当連結会計年度末における残高は41億69百万円(前連結会計年度末は35億77百万円)となり、5億91百万円16.5%の増加となりました。主な内訳は、繰延税金負債2億65百万円、社債1億64百万円の増加であります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は524億92百万円(前連結会計年度末は485億51百万円)となり、39億41百万円8.1%の増加となりました。主な内訳は、利益剰余金27億52百万円の増加であります。

 

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(キャッシュ・フローの指標)

 

前連結会計年度

(平成29年3月期)

当連結会計年度

(平成30年3月期)

自己資本比率(%)

72.2

68.3

時価ベースの自己資本比率(%)

43.7

48.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.5

3.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

70.5

28.5

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により計算しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※キャッシュ・フロー及び利払いは連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業キャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としておりますが、不足時の一時的な運転資金を効率的に調達するため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。設備投資等の資本形成に係わる資金については、調達コストやリスク分散などを勘案しながら自己資金及び金融機関からの長期借入による調達を基本としております。また、資金運用の効率化と金融リスクの低減及び支払利息の削減を図るため、当社グループにおいて、グループファイナンスを進めております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、利益体質強化の推進と資産効率の向上により会社の株主価値を高めていくことを目指しており、「営業利益率」と「総資産純利益率(ROA)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における営業利益率は8.9%(前年同期比3.7ポイント改善)であり、総資産純利益率は5.1%(前年同期比1.8ポイント改善)となりました。引き続き当該指標の改善に取り組んでまいります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループの主な研究開発は、提出会社と連結子会社の新揚科技股份有限公司、㈱サトーセン、カラーリンク・ジャパン㈱が行い、他の連結子会社へ技術展開を図っております。

研究開発は、技術開発企業として、多様化、高度化するユーザーニーズに応えるべく、フレキシブルな組織体制を基本とし、主要分野である電子材料分野、産業用構造材料分野、電気絶縁材料分野及びディスプレイ材料分野を中心に、新製品の立上げ、次世代製品の育成及び将来を見据えた技術の振興と基盤技術の拡大をめざし新技術、新製品の研究開発に邁進しております。

電子材料としては、プリント配線板用硝子クロス、特殊プリント配線板用プリプレグ、FPC(フレキシブルプリント配線板)用材料等が、産業用構造材料としては、水処理関連材料、超伝導関連材料、航空機内装用材料が、電気絶縁材料としては、電気絶縁用プリプレグ、各種成形品等が、ディスプレイ材料としては、3Dフィルター、光学成形品等があげられます。

当連結会計年度末の研究開発活動に係る人員は169名であり、当連結会計年度の研究開発費は19億71百万円であります。

当連結会計年度における各セグメント別の研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1)電子材料分野

・FPC材料

モバイル機器では通信情報量の増大に伴う高速通信化が進んでおり、2020年には次世代5G通信が実現され、IoT化が益々加速すると言われています。この高速通信に使用される電子部品には、信号伝送ロスの低減化が要求されています。これに対応すべく当社は、独自樹脂組成技術にて信号伝送ロスの小さい低誘電特性のポリイミドや接着剤を開発し、FPC回路基板、接着シート及びカバーレイの評価が顧客各社で進んでおります。

・放熱材料

自動車に搭載される電子部品には、極寒雰囲気下から高温雰囲気下に繰り返し置かれる非常に厳しいヒートサイクル耐性が必要とされています。放熱シートにも同様なヒートサイクル性が要求されます。当社では独自の樹脂組成技術を用いることにより、この耐性を大幅に向上させた放熱樹脂シートを開発しました。現在、顧客各社での評価が進んでおります。

電子材料に係る研究開発費は11億38百万円であります。

(2)産業用構造材料・電気絶縁材料分野

・鉄道車両用内装材

当社は航空機のキャビン側の内装材に使われる難燃のハニカムパネルやカーボンプリプレグを納入しております。この難燃技術を鉄道車両の内装材料に適用すべく開発を進めております。2017年度に開発した天井用の内装材料はJRMA(一般社団法人 日本鉄道車両機械技術協会)の「不燃」の規格を満足しました。この天井用の内装材料は、一部の観光用の鉄道車両に使われる予定です。鉄道用の内装材料は、壁材、天井材と床材でそれぞれ難燃特性の要求が違いますが、この天井用材料の採用をきっかけにして、それぞれの要求を満足する材料の開発をしてまいります。

・正浸透膜用FRP圧力容器

海水を淡水にしたり、河川水を飲料水にしたりする水処理技術として、逆浸透(RO: Reverse Osmosis)に加えて正浸透(FO: Forward Osmosis)の技術が注目されています。正浸透は塩水が濃い方から薄い方に流れて薄い方の水位が上がるという自然現象(正浸透)を利用した水処理技術です。逆浸透に比べ加える圧力が1/3~1/10と低いため高圧ポンプや高圧配管が不要であること、造水のランニングコストを抑えられる特徴があります。当社は、この正浸透の低圧に適した圧力容器を開発しました。正浸透は水処理の他、発電への応用が期待されており、今後多様な要求が予想されます。要求に柔軟に対応しながら正浸透用の圧力容器を進化させ開発を進めてまいります。

複合材料に係る研究開発費は4億円であります。

(3)ディスプレイ材料分野

・3Dディスプレイ材料

当社の3Dフィルター「Xpol®」を使用する3Dシステムは、高い信頼性と3D特性を有しており医療分野を中心に採用される機会が増えています。各種用途で利用検討されており、これらの要求に応える形で開発を進めております。2017年度は高精細化の要求に応えた新規Xpolを開発し、製品納入を開始しました。また大画面化の要求に応えるべく開発、設備投資を進めており、2018年度採用に向け注力してまいります。

・スクリーン材料

当社のファインコントラストスクリーンは長焦点プロジェクター用に、またプリズムスクリーンは超短焦点プロジェクター用に最適設計されており、どちらも優れたコントラストと視野角特性から高い評価を得ております。

2017年度は150インチ対応の超広幅ファインコントラストスクリーンを開発、製品納入を開始しました。ホームシアター用、教育及びビジネス用に好適で今後の採用拡大が期待されます。プリズムスクリーンにおいても大型化及び巻き取り化の製品開発を進めており、今後の採用を目指し検討を加速してまいります。

UV硬化型OCA

タッチパネル製品や液晶モニターには、各種部材を貼り合わせるために透明な接着シートOCA(Optical Clear Adhesive)が使用されます。近年、商業用大型モニターや曲面モニターの開発が進む中、表面素材がガラス材料に代わり透明プラスチック材料が使用される検討がなされています。これまでのOCAでは、透明プラスチック材料との接着信頼性が低下する欠点がありましたが、当社では独自の樹脂組成技術を用いることにより、信頼性の高いOCAを開発しました。現在、顧客各社での評価が進んでおります。

ディスプレイ材料に係る研究開発費は3億94百万円であります。