第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「人と自然が調和する豊かな環境づくりに貢献する」ことを基本理念に掲げ、社会基盤、産業基盤などの社会資本の形成に貢献しております。また、地球環境保全のため自然資本保護を重視した事業活動に積極的に取り組むとともに、常に新しい技術開発にチャレンジし、建設事業を通じて安全で高品質な建設生産物を供給することにより持続可能な社会を実現し、ステークホルダーの信頼と期待に応えていくことを経営の基本方針としております。

 

 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境においては、資材価格や労務費の動向、国際情勢の変化など、外部環境に起因するリスクが引き続き存在しております。また、工事案件の大型化や発注形態の変化により、施工体制の構築やリスク管理について、従来以上に高度な対応が求められる状況にあります。

 こうした環境下においては、業務プロセスの最適化に加え、業務全体の効率化や省力化へのさらなる取り組みが重要となっております。特に、事業運営を支える人財は重要な経営基盤の一つであり、デジタル技術やAI等の活用を含めた計画的な人財育成や技術・ノウハウの継承を進めていくことが、生産性向上及び安定的な事業運営を図るうえで重要であると認識しております。また、市場環境の変化に柔軟に対応するため、組織体制や業務運営の在り方について、継続的に見直してまいります。

 これらのことから、当社グループは、「中期経営計画2025」に基づき、長期的な「ありたい姿」として掲げる「プレストレスト・コンクリート(PC)技術を中核とした高度な技術力により、地球にやさしく安全で快適な社会の実現」に向け、各種施策を推進してまいります。

今後も社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を整備するとともに、これらの課題に的確に対応し、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

●中期経営計画2025(2025年度~2027年度)の概要

  ①長期経営ビジョン

 

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  ②基本方針・事業戦略

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  ③業績目標

 

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  ④投資計画

 

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  ⑤財務指標

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「人と自然が調和する豊かな環境づくりに貢献する」という基本理念のもと、「人権と多様性の尊重」、「安全最優先」、「コンプライアンスの徹底」及び「サステナビリティへの貢献」を行動指針として掲げ、次のとおりサステナビリティ基本方針を制定しております。

 

《サステナビリティ基本方針》

・地球環境に配慮した安全・安心で高品質な社会資本を提供する。

・安全最優先と人権尊重を企業活動の基盤とし、多様な人財が活躍し、活気あふれる職場環境を構築する。

・マルチステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを通し相互理解を深め信頼を獲得し続ける。

・リスクマネジメントを徹底し、様々な重要リスクへの対応を事業機会ととらえ、新たな価値を創出する。

・公正な企業活動を推進するとともに、コンプライアンスを徹底する。

 

当社グループは、サステナビリティ推進委員会を中心とするサステナビリティ推進体制を構築し、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題を理解したうえで、事業活動を通じた課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) ガバナンス

 当社及び当社グループ全体のサステナビリティ経営の強化・推進を目的として、サステナビリティ推進委員会を経営会議の下に設置しています。同委員会の委員長は社長執行役員が務め、原則として年3回開催しています。サステナビリティに関わる活動方針及び年度計画、活動実績の評価、その他サステナビリティ推進に関する事項について審議を行っています。審議内容については、適宜経営会議に上申し、必要な決議を得ています。同様に取締役会に報告・付議し、適切に監督する体制を構築しております。また、サステナビリティ推進委員会の下に重要課題と定めたテーマごとに7つの部会を設置しており、各部会は該当する課題に特化した情報収集や共有と新たなリスクや機会に対する検討を行い、対処方針を策定、立案しサステナビリティ推進委員会に適宜上申・提言しています。

 サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ推進室が窓口となり、各支店・関係会社サステナビリティ推進委員会へ支援や管理監督を行い、各場所でのサステナビリティ活動を推進しています。

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サステナビリティ推進体制図

 

 (2) 戦略

  ①気候関連戦略

当社グループは、「人と自然が調和する豊かな環境づくりに貢献する」の基本理念のもと、気候変動をはじめとした環境課題への対応を重要な経営課題と捉え、環境方針に「持続可能な環境配慮型社会の実現」を掲げ、その達成を目指しています。

 

■THE GREEN VISION

当社グループは、「『つよさ』と『やさしさ』を兼ね備えた建設技術を追求し、人と地球が共生する持続可能な未来を実現する」という環境ビジョン「THE GREEN VISION」を策定しています。さらに、大成建設グループの長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」に沿って、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の3つの社会の実現と「森林資源・森林環境」「水資源・水環境」の2つの個別課題の解決に向けた取り組みを進めています。それぞれについて、当社グループでは以下のとおり目標を設定しております。

 

<3つの社会>

 

2030年目標

2050年目標

脱炭素社会

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CO2排出量(2022年度比)

・スコープ1+2 ▲42%

・スコープ3  ▲25%

CN|カーボンニュートラルの実現・深化

・スコープ1+2        CO2排出量0

・スコープ3 サプライチェーンCO2排出量0

循環型社会

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・グリーン調達の推進

・建設廃棄物の最終処分率1.0%未満

CE|サーキュラーエコノミーの実現・深化

・グリーン調達率100%

・建設副産物の最終処分率0%

自然共生社会

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・ネイチャーポジティブに貢献する

プロジェクトの推進 5PJ/年以上

・自然環境保護活動の推進

NP|ネイチャーポジティブの実現・深化

・建設事業に伴う負の影響の最小化

・自然と共生する事業による正の影響の最大化

 

<2つの個別課題>

 

目標

森林資源・森林環境

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・森林破壊ゼロを前提とした木材調達により、森林資源・森林環境への負の影響を最小化

・森林資源・森林環境の保全と再生の取り組みの推進

水資源・水環境

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・適切な管理の徹底と使用量の削減により、水資源・水環境への負の影響を最小化

・水資源・水環境の保全と再生の取り組みの推進

 

■当社グループの気候関連のリスクと機会及びその対応策

気候関連のリスクと機会については、気候関連の政策や市場の変化への対応といった脱炭素社会への「移行」に起因するものと、自然災害や異常気象の増加による急性的な影響、気温上昇や海面上昇といった慢性的な影響などの「物理的変化」に起因するものが考えられます。

これらの環境・社会の変化に柔軟に対応した経営戦略を立案するため、複数の気温上昇シナリオ(4℃・2℃・1.5℃)別に将来環境(2030年)を想定し、主要事業別にリスクと機会の洗い出しを行っています。抽出した個別のリスク・機会の財務影響評価を行い、重要なリスク・機会を特定し、その対応策の検討を行い、中期経営計画に反映しております。当社グループにおけるリスクと機会及びその対応策は、以下のとおりです。

 

<当社グループの気候関連のリスクと機会及びその対応策>

分類

項目

リスクと機会

影響度

対応策

4℃

シナリオ

1.5℃

シナリオ

移行リスク

政策

炭素税によるコスト増加

リスク

・事業活動により排出されるCO2が課税対象になることで、建設コストが増加

・低炭素素材のサプライチェーンの確保

・脱炭素技術導入以外の部位のコスト競争力の強化

・PSCSA重点実施項目の確実な実施

※PS Construction Sustainable Actionの略。グループ全社員が参加する環境負荷低減活動

・自社工場製品の部材(鉄・セメント等)の調達コストが増加

増税による建設市場縮小

リスク

・増税により民間企業の設備投資が減少

・市場縮小に伴う受注競争の激化

CO2排出量による事業の制限

リスク

・施工工事に対してCO2排出量規制が導入された場合、規制未達による公共工事の失注

・排出量規制を達成するために重機の電化を推進

・発電機から商用電力の利用

・電動化率が高い運搬業者の選択等

CO2排出量の少ない工事の需要増加

機会

・新設工事からCO2排出量が相対的に少ない修繕工事へのトレンド変化

・修繕工事に対応した技術の開発

・構造物の劣化状況を遠隔で監視するモニタリング技術

・鉄筋やPC鋼材の補強材の防錆技術

ZEB市場の拡大

機会

・法規制・補助金制度の充実・環境意識の高まり等により、ZEB・ZEHの新築建設・リニューアルの需要拡大

・ZEB・ZEH提案力の強化

市場

低炭素化技術の進展・代替資材の普及に伴うコスト増加

リスク

・低炭素型の代替資材使用に伴う調達コストの増加

・低炭素コンクリート等の代替資材を導入

・低炭素素材のサプライチェーンの確保

・木質化・木造耐火市場へのシフトに備え、木質・木造の自社施工力の向上

・発注者側の低炭素工法・低コスト要求により、民間工事の受注競争激化・既存市場の縮小

・木質化・木造耐火ビル普及によりコンクリート系建築物の市場が縮小

物理リスク

急性

国土強靭化の取り組み・防災意識の高まり

機会

・災害復旧・復興工事の増加・防災施設工事の増加・国土強靭化のためのインフラ建設の増加

・浸水、BCP対策としてプレキャスト工法の評価の高まりに伴い受注機会の増加

・国土強靭化関連工事に対応した土木工事技術の開発

・道路を供用しながらの床版取替技術

・RC中空床版橋の架け替え技術

・防火型の施設拠点の需要増加、浸水・BCP対策としてのプレキャスト工法の需要増加に対し、タイムリーな提案を実施

慢性

平均気温の上昇

リスク

・作業効率の低下による生産性の低下・作業時間シフト等による労務費への影響

・労働環境悪化による作業者不足・工期延伸のリスク影響悪化

・施工の省力化・省人化施工技術の推進

 

  ②人的資本関連戦略

■人財育成に関する方針

当社は、「人財の確保・育成」を中期経営計画2025で取り組むべき重要事項に掲げており、事業環境の変化に即応でき対応力の秀でた人財や新技術開発に積極的に取り組む人財を育成し、多様な人財が活躍できる組織基盤を確立するとともに、キャリアアップをサポートいたします。

・階層別研修及び部門別OJTを拡充し、従業員のスキルアップをサポートします。

・目標管理制度及びキャリアマップの活用により個人のキャリア形成を後押しします。

・公的資格取得の支援及びサポートを実施します。

 

■社内環境整備に関する方針

サステナビリティ基本方針のひとつである「安全最優先と人権尊重を企業活動の基盤とし、多様な人財が活躍し、活気あふれる職場環境を構築する」に基づき、働きがいのある就労環境の構築を目指してまいります。

・多様な人財が活躍できる人事制度及び福利厚生制度を拡充いたします。

・エンゲージメントサーベイを実施し、スコア検証の上、環境改善に取り組んでまいります。

・差別、ハラスメント、プライバシーの侵害など人権侵害に関する教育を拡充いたします。

・人権方針に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、継続的に実施してまいります。

 

 (3) リスク管理

当社は、リスクマネジメントを円滑かつ適切に実施するため、サステナビリティ推進委員会の下部組織としてコンプライアンス・リスクマネジメント部会及び支店・関係会社サステナビリティ推進委員会を設置しています。コンプライアンス・リスクマネジメント部会は、リスク分類表に基づき、リスク担当部署を指定し、全社重点リスクの選定・対策を検討するとともに重点リスク以外のリスクの統括を行っています。また支店・関係会社におけるリスクマネジメント活動の管理・監督を行い、適宜サステナビリティ推進委員会に審議事項や活動状況を上申・報告しています。

さらに、2024年度より運用している環境・人権デュー・ディリジェンスの仕組みにおいて、当社グループの事業活動が環境・人権に及ぼす影響について、「負の影響の特定・評価」、「負の影響の予防・軽減」、「対応の実効性の追跡調査」、「情報開示」といったPDCAサイクルを回し、適宜見直し・改善を図っていきます。その実施状況については、サステナビリティ推進委員会、経営会議で審議の上、取締役会に報告し監督を受けていきます。

当社グループが負の影響の原因となった、或いは助長したことが判明した場合には、適切な手段により速やかにその是正に取り組みます。

なお、当社グループの気候関連のリスクと機会及びその対応策につきましては、上記「(2)戦略」をご参照ください。

 

<環境・人権デュー・ディリジェンスの実施フロー>

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 (4) 指標及び目標

  ①気候関連指標及び目標

当社グループは、環境ビジョン「THE GREEN VISION」において、2050年のカーボンニュートラルを最終目標として、大成建設グループ全体の目標に沿った削減目標を設定しています。具体的には、2022年度におけるCO2排出量を基準として、2030年度までにScope1+2を42%削減、Scope3を25%削減することを目標とし、中間の目標として2026年度目標を設定しています。その他のサステナビリティに関する課題に対する指標や目標についても適宜策定し、取り組んでまいります。

 

■CO2排出量削減目標(2022年度比)

総排出量:千t-CO2 | 排出量原単位:t-CO2/億円

 

基準年

THE GREEN VISION

CO2排出量削減目標

2022年度

2026年度

2030年度

2050年度

Scope1+2

総排出量

削減率

24.7

 

19.9

▲19%

14.3

▲42%

排出量0

Scope1+2

排出量原単位削減率

25.3

 

18.1

▲28%

11.0

▲57%

Scope3

カテゴリ1+11

総排出量

削減率

691.2

 

518.4

▲25%

 

  ②人的資本関連指標及び目標

人的資本関連の指標及び目標は、以下の2つの指標について目標を設定いたしました。それ以外の人的資本関連指標については、引き続きモニタリングを実施しながら、今後適切な目標の設定を検討してまいります。

指標

2030年度目標

2025年度実績

備考

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合

3.0

0.9

「課長級」に相当する者を対象

男性労働者の育児休業取得率

85.0

52.4

 

人的資本関連指標及び目標について、提出会社では、目標達成に向けた具体的な取組みが行われておりますが、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。

そのため、指標の目標及び実績は、提出会社におけるものとなります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 (1) 公共事業の発注減少

当社グループの土木事業において、公共事業への依存度が高く、予想以上に公共事業の削減が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) 競争の激化

当社グループが属する建設業界において、市場の縮小や受注競争の激化が生じた場合には、受注機会の逸失、工事採算の悪化等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (3) 海外展開に伴うカントリーリスク

当社グループは、主にアジアやアフリカを中心に事業を展開しているため、これらの国の政治・経済情勢の急激な変化、大幅な法規制の予期せぬ変更等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4) 取引先の信用不安

景気の減速や建設市場の縮小等により、発注者、協力業者、共同施工会社等の取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収不能や工事遅延等の事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (5) 労務費及び資材価格の変動

請負金額に転嫁することが困難になるほど労務費及び原材料価格が高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6) 工事災害の発生

労働災害等を未然に防ぐ様々な安全対策の徹底を図っておりますが、重大事故や人身事故が発生した場合、その復旧に多大な費用負担や工事遅延が生じ、当社グループの業績や工事成績等の企業評価に影響を及ぼす可能性があります。また、指名停止等による受注機会の逸失も想定されます。

 

 (7) 契約不適合責任及び製造物責任

品質管理には万全を期しておりますが、契約不適合責任及び製造物責任に起因する多額の損害賠償が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (8) 法的規制等

当社グループが属する建設業界において、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、労働安全衛生法、独占禁止法等により法的規制を受けております。当社グループにおいて違法な行為があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法規の改廃や新たな規制等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (9) 訴訟等

国内外の事業等に関連しての訴訟、紛争、その他法的手続きに係る判決、和解、決定等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、独占禁止法違反から派生する指名停止等により、受注機会が減少する可能性があります。

 

 (10) 人財の確保

当社グループが属する建設業界においては、人財の確保が課題となっています。当社グループは、業務の効率化・IT化を進めておりますが、継続的に必要な人財を確保できない場合には、事業規模の縮小を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 (11) 金利の変動

当社グループの主たる事業における工事の大型化・長期化に伴い、工事代金の回収期間が長期化しているため資金の立替が著しく増加しております。当社グループは運転資金を主に金融機関から調達しているため、経済環境等の変化により借入金の金利が予想以上に高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (12) 保有資産の価格及び収益性の変動

予想を超える経済的な変動により当社の保有資産の価格の時価が著しく下落した場合、又は収益性が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (13) 大規模災害の発生

事業に関し大規模災害が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、大震災又は自然災害等の発生により、経営機能や事業拠点が莫大な損傷を受けた場合、若しくは事業領域における経済活動が停滞等した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (14) 感染症の蔓延

新たな感染症が蔓延した場合、従業員等の感染による事業停止等、円滑な事業推進が困難になる可能性に加え、建築事業の主な発注者である民間事業者の事業計画が縮小又は変更となる可能性があります。その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (15) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、サイバー攻撃等によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害等が発生する可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合には、事業の中断、損害賠償請求や情報セキュリティ対策費用の増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (16) 気候変動等環境課題リスク

当社グループは、企業活動における環境負荷の低減に取り組んでおりますが、気候変動等環境課題への対応が不十分な場合には、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (17) 人権に関するリスク

企業における人権に関する社会的要請は、ますます高まっております。当社グループは、人権方針に基づき人権尊重に取り組んでおりますが、人権を侵害する事象等が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜に繋がり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、賃金の緩やかな上昇や個人消費の持ち直しを背景に、緩やかな回復基調で推移いたしました。他方、国際情勢の緊張を受け、エネルギー価格の上昇及び円安の進行が物価動向に影響を及ぼしました。

建設業界においては、資材価格や労務費の高止まり等の影響を受けつつも、土木分野では国土強靱化政策に基づく公共投資が継続し、建築分野では製造業を中心とした企業設備投資や都市再開発が堅調に推移するなど、総じて一定の事業機会が確保されました。

このような状況のもと、当社グループにおいては、「中期経営計画2025(2025年度~2027年度)」に基づく諸施策を推進してまいりました。土木事業では、社会インフラ更新需要を背景に、高速道路会社の大規模更新・修繕工事を中心に安定した受注を確保し、事業規模の維持に努めました。建築事業においても、資材価格等が高止まりする状況下において、選別受注及び原価管理の徹底により、安定的な事業運営に取り組みました。

 

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,493億円(前年同期比10.1%増)、営業利益129億円(同5.0%増)、経常利益127億円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益93億円(同13.5%増)となりました。

 

1株当たり情報に与える影響は当該箇所に記載しております。

なお、個別の業績は、売上高1,391億円、営業利益107億円、経常利益110億円、当期純利益84億円であります。

 

報告セグメントの業績は、以下のとおりであります(セグメント間の内部取引を含めて記載しております。)。

(土木事業)

売上高758億円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益141億円(前年同期比7.5%増)となりました。

順調な手持工事の進捗、設計変更獲得、原価改善等により売上高、売上総利益ともに増加しました。事業の中核となる大規模更新・修繕事業の市場は減少傾向であり、今後10年程度は発注の継続が見込まれつつも業績進展は限定的となりますが、新設橋梁分野であるJRTTによる中央新幹線関連事業や高速道路の耐震補強工事の進展が予想されます。受注高については、主に新設橋梁工事の受注の増加により期初計画を上回りました。今後もこの傾向が継続すると予想され、年度ごとの売上高とそれに対応する配置要員状況を踏まえた受注計画が重要となることから、工事の生産性及び利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。

(建築事業)

売上高629億円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益59億円(前年同期比16.3%増)となりました。

事業環境としては、企業の設備投資意欲が堅調に推移しており、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高、売上総利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。受注高については、防衛施設や大型生産施設等の建設工事の獲得により期初計画を上回りました。引き続きPCa建築を代表とする当社の強みを強化するとともに、収益性、生産性を重視した取り組みを継続し、安定した受注・収益を確保できるよう取り組んでまいります。

(関係会社事業)

売上高249億円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益44億円(前年同期比4.8%減)となりました。

現在老朽化設備の更新と品質管理の徹底及びICTの活用で生産性の向上を目指しており、効率的な生産体制の整備を図っております。

(その他事業)

売上高4億円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益1億円(前年同期比5.4%増)となりました。

 

なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「土木事業」、「建築事業」、「製造事業」、「その他兼業事業」の4区分から、「土木事業」、「建築事業」、「関係会社事業」、「その他事業」の4区分に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご覧ください。

 

当連結会計年度末の総資産は1,424億円となり、前連結会計年度末に比べ116億円増加いたしました。

流動資産は1,136億円となり、前連結会計年度末に比べ90億円増加いたしました。主として契約資産が194億円、電子記録債権が21億円増加したことによるものであります。

固定資産は288億円となり、前連結会計年度末に比べ25億円増加いたしました。主として投資有価証券が21億円増加したことによるものであります。

負債合計は769億円となり、前連結会計年度末に比べ40億円増加いたしました。

流動負債合計は605億円となり、前連結会計年度末に比べ11億円減少いたしました。主として契約負債が86億円減少したことによるものであります。

固定負債合計は163億円となり、前連結会計年度末に比べ51億円増加いたしました。主として長期借入金が52億円増加したことによるものであります。

純資産の部は、主として親会社株主に帰属する当期純利益93億円の計上により、654億円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益128億円、短期借入金の増加額56億円の増加要因、売上債権及び契約資産の増加額210億円、契約負債の減少額86億円、法人税等の支払額46億円、配当金の支払額42億円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ127億円減少し、当連結会計年度末には93億円となりました。

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、174億円の支出超(前年同期は159億円の収入超)となりました。主として大型工事物件の進捗等による工事資金収支の悪化によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、5億円の支出超(前年同期は8億円の支出超)となりました。主として工場設備の更新によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、52億円の収入超(前年同期は42億円の支出超)となりました。主として有利子負債の借入増加によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2025年4月1日
 至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

土木事業

(百万円)

85,948

22.9%

建築事業

(百万円)

53,011

△10.1%

関係会社事業

(百万円)

9,362

△26.7%

その他事業

(百万円)

389

△3.5%

合計

(百万円)

148,711

4.6%

 

ロ.売上実績

当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2025年4月1日
 至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

土木事業

(百万円)

75,814

10.5%

建築事業

(百万円)

62,905

19.0%

関係会社事業

(百万円)

10,244

△25.6%

その他事業

(百万円)

406

0.6%

合計

(百万円)

149,370

10.1%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。

3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

中日本高速道路株式会社

20,998百万円

15.5%

西日本高速道路株式会社

16,000百万円

11.8%

当連結会計年度

西日本高速道路株式会社

22,419百万円

15.0%

中日本高速道路株式会社

20,281百万円

13.6%

 

 

なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。

 

①受注高、売上高、繰越高及び施工高

期別

種類別

前 期繰越高

(百万円)

当 期受注高

(百万円)

(百万円)

当 期売上高

(百万円)

次期繰越高

当 期施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

(百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

 (自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 

土木工事

125,892

69,540

195,432

67,868

127,564

2.1

2,730

68,243

建築工事

50,630

57,944

108,574

51,035

57,539

1.3

751

51,058

工事計

176,522

127,484

304,007

118,903

185,103

1.9

3,482

119,301

製品

1,916

1,477

3,394

2,523

871

18.4

160

2,224

不動産事業

16

403

420

403

16

403

兼業計

1,933

1,881

3,814

2,926

887

18.0

160

2,627

合計

178,455

129,366

307,822

121,830

185,991

2.0

3,642

121,929

当事業年度

 (自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

 

土木工事

127,564

85,807

213,371

74,965

138,406

0.8

1,055

73,290

建築工事

57,539

52,996

110,536

62,851

47,684

2.5

1,206

63,306

工事計

185,103

138,804

323,908

137,816

186,091

1.2

2,262

136,596

製品

871

193

1,064

938

125

40.4

50

828

不動産事業

16

389

406

406

406

兼業計

887

582

1,470

1,344

125

40.4

50

1,235

合計

185,991

139,386

325,378

139,161

186,217

1.2

2,312

137,831

(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。

2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。

3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

 

②受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

 (自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

土木工事

26.1

73.9

100.0

建築工事

18.7

81.3

100.0

当事業年度

 (自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

土木工事

29.6

70.4

100.0

建築工事

37.3

62.7

100.0

 

 

③完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

前事業年度

 (自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

土木工事

12,902

54,966

67,868

建築工事

1,235

49,799

51,035

14,137

104,765

118,903

当事業年度

 (自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

土木工事

16,756

58,209

74,965

建築工事

1,973

60,878

62,851

18,729

119,087

137,816

(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度請負金額10億円以上の主なもの

阪神高速道路株式会社

PC桁等大規模修繕工事(2019-3-松)

中日本高速道路株式会社

東海環状自動車道 上保高架橋(PC上部工)工事

医療法人博仁会

(仮称)医療法人博仁会 福岡リハビリテーション病院増築工事

西日本高速道路株式会社

中国自動車道(特定更新等)四十八瀬川橋他1橋床版取替工事

(その2)

株式会社シーアールイー

ロジスクエア成田新築工事

当事業年度請負金額10億円以上の主なもの

日本医療サービス株式会社

(仮称)福岡中央病院建替計画

キリンエンジニアリング株式会社

株式会社湖池屋 中部工場建設工事

西日本高速道路株式会社

中国自動車道(特定更新等)上萩原橋他8橋床版取替工事

中日本高速道路株式会社

北陸自動車道(特定更新等)加賀IC~片山津IC間床版取替工事

(その1)

東日本高速道路株式会社

首都圏中央連絡自動車道 古和高架橋(PC上部工)工事

2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

中日本高速道路株式会社

20,984百万円

17.6%

西日本高速道路株式会社

15,647百万円

13.2%

当事業年度

西日本高速道路株式会社

22,130百万円

16.1%

中日本高速道路株式会社

19,965百万円

14.5%

 

④手持工事高

(2026年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

土木工事

35,058

103,347

138,406

建築工事

4,587

43,097

47,684

39,646

146,445

186,091

(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの

中日本高速道路株式会社

東名高速道路(特定更新等)豊川橋他3橋床版取替工事

2028年1月完成予定

西日本高速道路株式会社

新名神高速道路 杉谷川橋(下り線)(PC上部工)

設計・工事(建設工事その2)

2031年4月完成予定

中日本高速道路株式会社

東名高速道路(特定更新等) 大井川橋他1橋床版取替

工事

2029年10月完成予定

戸田建設株式会社

瑞慶覧倉庫新設建築工事

2028年2月完成予定

公益財団法人JKA

(仮称)日本競輪選手養成所(JIK)次世代型総合

トレーニングセンター新築工事

2026年12月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものは以下であります。

・原価進捗度に基づく収益認識

 

なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ137億円(10.1%増)増加し、1,493億円となりました。

土木事業は、新設橋梁工事及び大規模更新継続契約案件等の受注、大規模更新・修繕事業等の工事が進捗し、また、設計変更の獲得等により売上高は前連結会計年度に比べ72億円増加し、758億円となりました。建築事業は、防衛施設や大型生産施設の受注、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高は前連結会計年度に比べ100億円増加し、629億円となりました。関係会社事業及びその他事業の売上高は、それぞれ102億円、4億円となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ120億円(10.7%増)増加し、1,246億円となりました。売上原価については、省力化、合理化により原価低減に努めたものの、資材価格の上昇などにより、売上原価率が増加しました。売上総利益率は、売上原価率の増加により前連結会計年度の17.0%から0.4ポイント減少し、16.6%となっております。

販売費及び一般管理費は、人件費、DX関連費用等の増加により、前連結会計年度に比べ11億円(10.3%増)増加し、118億円となりました。

営業外収益は、前連結会計年度に比べ主として受取配当金が増加し、3億円となりました。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ主として支払利息が増加し、5億円となりました。

特別利益は、主として固定資産売却益の計上により、3億円となりました。

特別損失は、主として固定資産除売却損の計上により、1億円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上高、売上総利益の増加等により、前連結会計年度に比べ11億円(13.5%増)増加し、93億円となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループを取り巻く事業環境においては、資材価格や労務費の動向、国際情勢の変化など、外部環境に起因するリスクが引き続き存在しております。また、工事案件の大型化や発注形態の変化により、施工体制の構築やリスク管理について、従来以上に高度な対応が求められる状況にあります。こうした環境下においては、業務プロセスの最適化に加え、業務全体の効率化や省力化へのさらなる取組が重要となっております。特に、事業運営を支える人財は重要な経営基盤の一つであり、デジタル技術やAI等の活用を含めた計画的な人財育成や技術・ノウハウの継承を進めていくことが、生産性向上及び安定的な事業運営を図るうえで重要であると認識しております。また、市場環境の変化に柔軟に対応するため、組織体制や業務運営の在り方について、継続的に見直してまいります。

これらのことから、当社グループは、「中期経営計画2025」に基づき、長期的な「ありたい姿」として掲げる「PC技術を中核とした高度な技術力により、地球にやさしく安全で快適な社会の実現」に向け、各種施策を推進してまいります。

今後も社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を整備するとともに、これらの課題に的確に対応し、継続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入極度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っております。

これらの営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。

今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の獲得を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「中期経営計画2025(2025年度~2027年度)」において、収益力・資本効率向上について指標を設定しております。各指標の達成状況は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

連 結

中期経営計画2025

2027年度目標 (A)

2025年度

通期実績 (B)

達成率 (B/A)

売上高

150,000

 

149,370

 

99.6%

売上総利益

23,300

15.5%

24,754

16.6%

106.2%

販売費及び一般管理費

12,700

8.5%

11,822

7.9%

93.1%

営業利益

10,600

7.1%

12,932

8.7%

122.0%

経常利益

10,600

7.1%

12,717

8.5%

120.0%

当期純利益

7,000

4.7%

9,328

6.2%

133.3%

※ 中期経営計画2025において、業績目標は最終年度(2027年度)のみ設定しております。

 

財務指標

中期経営計画2025

期間共通目標

2025年度

実績

ROE

10.0

%以上

15.1

自己資本比率

40~50

46.0

D/Eレシオ

0.5

倍以下

0.43

PBR

1.0

倍以上

1.93

配当性向

60

%以上

60.2

 

投資項目

中期経営計画2025

3か年投資計画 (A)

2025年度

通期実績 (B)

進捗率 (B/A)

成長投資

70億円

12.6億円

18.0%

基盤強化投資

55億円

13.9億円

25.3%

更新投資

35億円

10.0億円

28.6%

合計

160億円

36.5億円

22.8%

 

中期経営計画2025の初年度となる当連結会計年度においては、製造業を中心とした企業設備投資や公共投資が堅調に推移した一方で、国際情勢の緊張の高まりに伴う影響が顕在化し始めるなど、事業環境には一定の変化が見られる状況となりました。

売上高については、豊富な繰越工事の進捗及び設計変更の獲得等により、中期経営計画2025の最終年度目標に迫る水準となりました。利益については、増収に加え、設計変更の獲得及び原価の改善等により増益となり、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも中期経営計画2025の最終年度目標を上回りました。なお、中期経営計画期間中において、今後も成長投資や基盤強化投資を計画しており、販売費及び一般管理費の増加が想定されていることから、引き続き、売上高の増加及び売上利益の確保が必要であると認識しております。

各事業についての分析・検討は以下のとおりです。

土木事業については、高速道路会社の新設橋梁工事、大規模更新工事等の獲得が受注高確保に寄与しました。売上高及び売上総利益は、豊富な手持ち工事の進捗や大規模更新・修繕事業の設計変更獲得等により順調に推移しました。

建築事業については、堅調な事業環境を背景に、当社の主力分野として取り組んでいる防衛施設、生産施設等の大型案件を受注しました。売上高及び売上総利益は、手持ち工事の順調な進捗に加え、原価の改善等により高い水準で推移しました。

財務指標として掲げるROE、自己資本比率、D/Eレシオ、PBR及び配当性向は、いずれも目標値を上回りました。利益の積み上げを進めつつ、過度な資本積み増しを抑制する資本運営を継続したことにより、財務の安定性を維持しながら、効率性とのバランスが取れた水準となりました。

投資については、3か年全体計画に対して22.8%の進捗となりました。成長投資に掲げるDX投資に一部進捗の遅れが見られるものの、全体としては計画に沿って進捗しております。

 

5【重要な契約等】

 (1) 資本業務提携契約

 当社は、2023年11月9日開催の取締役会において、大成建設株式会社(以下「大成建設」という。)との間で資本業務提携契約(以下、本契約という。)を締結することを決議し、同日付で本契約を締結しております。

 

  ①本契約の相手先の概要

・名称   大成建設株式会社

・所在地  東京都新宿区西新宿一丁目25番1号

・大成建設は、2026年3月31日現在、当社普通株式23,790,587株(議決権割合50.2%)を保有しております。

  ②本契約の目的

 当社は、大成建設との間で、両社の連携を強化しグループシナジーを発揮することで、両社の企業価値の向上を図ることを目的として、本契約を締結しております。

  ③本契約の主な内容

   イ.建設事業

・大成建設グループにおける国内PC橋梁事業について、当社を中心とした体制に移行させる。

・大成建設は、当社において、大成建設グループ傘下に入ることによる他社からの受注減少等を上回るシナジーが創出されるよう、大成建設の持つPC・PCa案件やリニューアル案件をはじめとした営業情報並びに最新技術やノウハウ等の提供、その他必要な協力を行う。

   ロ.取引先等

・当社は、既存の取引先及び協力会社のネットワーク、資材の調達先等のサプライチェーン等を維持できるとともに、当社の判断により、取引先、協力会社及び調達先等を決定できる。

・当社が大成建設のネットワーク及びサプライチェーンの活用を希望する場合、大成建設はこれに協力する。

   ハ.経営体制等

・大成建設は、当社株式の上場廃止原因に該当することとなることが合理的に見込まれる行為を行わない。

・大成建設は、当社の経営上の独立性を維持するとともに、当社の意思決定について、株式発行を行う場合等の一定の事項を除き、大成建設の承諾を要しないものとする。

・大成建設は、当社の取締役が上場会社の取締役としての忠実義務及び善管注意義務を尽くす上で親会社以外の少数株主を含む株主共同の利益を図ることが必要となることを認識するとともに、当社の取締役会が、株主共同の利益を図る観点から業務を遂行するために必要な施策を採択し、これを実施することを尊重する。

・大成建設は、当社の常勤取締役1名、非常勤取締役1名、監査役1名に限り指名することができる。

   ニ.株式の取扱い

・大成建設は、当社の事前の同意がある場合を除き、直接又は間接を問わず、単独で又は第三者と共同して、当社株式を取得又は承継しない。ただし、大成建設の保有する当社株式に係る議決権割合が50.1%を下回ることが合理的に確実であると両社間で合意した場合、又は議決権割合が50.1%を下回った場合、大成建設は、議決権割合を50.1%に維持し又は到達させるために最低限の数の当社株式を取得することができる。

 

 (2) 財務制限条項が付された借入金契約

 当社が金融機関と締結しているコミットメントライン契約と一部の長期借入金契約には、財務制限条項が付されております。

 

  ①コミットメントライン契約

契約日

:

2017年3月28日

主な借入先

:

株式会社三菱UFJ銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行他 計12行

契約極度額

:

17,300百万円

当事業年度末借入実行残高 : 3,300百万円

 

  ②長期借入金契約

契約日

:

2023年10月27日

借入先

:

株式会社埼玉りそな銀行

契約金額

:

900百万円

借入実行総額

:

900百万円

当事業年度借入金総額 : 900百万円

期間

:

5年

 

 なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。

 

 (3) 連結子会社の吸収合併契約

 当社は、2025年9月26日開催の取締役会において、2026年4月1日を効力発生日として、当社を吸収合併存続会社、当社の完全子会社であるピー・エス・コンクリート株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結しました。この契約に基づき、当社は2026年4月1日付で同社を吸収合併しております。

 なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、社会のニーズを的確に把握し効率的に成果を上げるため、本社に技術開発部門を配置して行っています。プレストレスト・コンクリートの従来技術の改良に加え、新たなニーズに対応するため、市場調査や最新技術情報の収集を積極的に行っています。また、自社研究やグループ内連携に加え、産・学・官との共同研究にも積極的に取り組んでいます。

当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,024百万円であります。このうち、研究開発活動の主な成果並びに主要案件は次のとおりであります。

 

(1) 土木事業及び建築事業共通

生産性向上は当社の喫緊の課題であり、迅速な成果が求められています。そのため2019年に「PSMAX推進委員会」を設立し、グループ全体で情報を共有・管理し、ICT技術を活用した独自の建設システム構築に取り組んできました。

2025年度、人的資源の減少や技術伝承の遅延といった経営課題に対応するため、DXによる課題解決とその全社的な展開を一層推進すべく、「DX推進委員会」を設置するとともに、専門部署として「DX推進室」を新設しました。

DX推進室は、「PSMAX部会」「業務効率化部会」「共通プラットフォーム・教育部会」の3部会で構成されており、単なる省力化や効率化にとどまらず、業務の自動化やデジタル技術の活用を通じて、新たな業務活動や価値創出につなげることを目的としています。

「PSMAX推進委員会」を引き継いだ「PSMAX部会」は、内勤・外勤技術系を対象に、省力化・効率化を軸としたDXの推進に取り組みます。

 

(2) 土木事業

①環境負荷低減コンクリートの開発

地球温暖化の抑制策として、プレキャスト部材の製造工場からのCO2排出量を削減する取組と、CO2排出量が少ない材料を用いたコンクリートの開発を行っています。

従来、プレキャスト部材の製造時にコンクリートの初期強度発現を促進させるため蒸気養生を行っており、これには重油を燃料とするボイラーが必要で多くのCO2が排出されます。当社では、蒸気養生なしに必要な初期強度を得られる「スチームレスプレキャストコンクリート」を開発し、2025年度に東北地方整備局発注のプレキャストPC桁において実用化され,実績が2件目となりました。2025年度までにスチームレスプレキャストコンクリートを用いたプレキャストPC桁のJISを取得した工場が2工場となり、全工場への展開を進めています。

また、コンクリート材料においては製造時に多くのCO2を排出するセメントを、CO2排出量が少ない高炉スラグ微粉末に70%以上置換し、材料由来のCO2排出量を大幅に削減可能なコンクリートを開発しています。

今後も使用材料及び部材製造時におけるプレキャストコンクリートに関する環境負荷低減技術をグループ内で連携して開発・実用化していきます。

 

②高強度コンクリートを用いた低桁高PC桁工法の開発

近年、河川改修や都市再開発に伴い、建築限界の制約が厳しい条件下での架橋需要が高まっていることから、当社は設計基準強度100N/mm²の高強度コンクリートを用いた低桁高PC桁工法「ダックスビームHC工法」を開発しました。本工法は、一般的なPC桁に比べ、より低桁高で長支間への適用を可能としています。2024年以降、これまでに2橋へ適用し、初適用となる橋梁では、実橋挙動の継続的な計測により設計の妥当性の確認を行っています。現在は先行実績を踏まえ、施工性向上を目的とした各種試験を実施しており、2026年度には3橋目の施工を予定しています。今後も低桁高化や軽量化のニーズに応えるべく、技術の高度化を進めていきます。

 

③大規模更新関連技術の開発

取替え用のプレキャストPC床版については、プレキャストPC床版相互の継手部に当社で開発した常温硬化型高強度繊維補強モルタル「S-DUCCS」(スマートダックス)を打設することで、継手幅を従来のMuSSL工法継手の1/4程度とした「S-MuSSL工法」(スマートマッスル)を開発しました。MuSSL工法と同様に、あご付き床版であり、継手部打設時の底型枠が不要となっています。また、橋軸直角方向鉄筋も不要となり、施工性が向上しています。2026年度、岡山県の現場にて施工を予定しています。

その他、既設の中空床版に対し、従来の手法では設置が困難であった落橋防止等の定着用アンカーを容易に設置する工法「UB-WALL工法」を2025年度の和歌山県の現場にて実装しました。今後は更なる技術のブラッシュアップを行い、適用拡大を目指していきます。

 

 

④大規模修繕関連技術の開発

塩害による劣化が生じたコンクリート構造物の補修対策として、弊社の「LAC脱塩工法」は、アルカリ骨材反応(ASR)が懸念される場合でも対応できるように改良を進めてきました。この工法は、西湘バイパスの滄浪橋で実際に使用され、2026年5月時点で約7,000㎡の施工が完了しています。その結果、塩分を取り除く効果に加え、ASRによるひび割れなどの不具合も発生していないことを確認しています。今後は、ASRが懸念される塩害環境下のコンクリート構造物に対しても、鋼材の腐食抑制対策としての適用が期待されます。

また、「リパッシブ工法」(PCグラウトの再注入工法)は、2026年3月の時点で186件の施工実績があります。これまで主にPCT桁橋で使われてきましたが、最近ではPC箱桁橋への導入も増えてきました。今後は、施工方法や使用材料のさらなる改善を進めていきます。

さらに、電気防食工法などの補修技術の維持管理については、「イージーMモニター」(遠隔監視システム)を改良しました。このシステムにより、測定データをスマートフォンなどで確認できます。今回の改良では、使いやすさの向上、データのバックアップ強化、多言語対応などを実現しています。今後は、維持管理やモニタリングが重要となる現場での活用が期待されています。

 

(3) 建築事業

PCa部材接合構造の開発

建築部門におけるプレキャスト化の拡大・推進に向けて、新たなプレキャスト部材接合構造の開発を実施しています。本開発はプレキャストRC部材の接合に関する現場作業の省力化を図るものです。2024年度は鉛直荷重に対する基本性状を確認する載荷実験を実施し、2025年度は地震時水平荷重に対する性状確認の載荷実験を実施しました。今後、実験で得られたデータを分析して設計方法の構築を行い、性能証明の取得を目指していきます。