文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)T-2023進捗状況
(総括)
当社グループにおいては、昨年5月に公表した中期経営計画「T-2023」 (2021年~2023年)の基本方針「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「連結ガバナンス体制強化」の下、事業活動を展開してまいりました。新型コロナウイルス感染再拡大による景気回復の鈍化、半導体不足による供給制約、コンテナ不足に伴う海上輸送の混乱の影響等はあるものの、当社の対面業界である自動車及びタイヤ産業、半導体産業等の需要は大きく回復し、T-2023初年度の2021年の実績につきましては、当初想定した売上高2,279億円、営業利益181億円を上回り、売上高2,588億7千4百万円、営業利益246億4千7百万円という結果となりました。
(主力事業の成長軌道回帰)
黒鉛電極事業は製品価格の値上げを実施しており、2022年以降も値上げを継続していく予定です。中長期的にも粗鋼生産の継続的成長と電炉鋼比率の上昇に伴い、電極の需要は拡大していく見通しです。カーボンブラック事業は、地域によってバラツキはあるものの、コロナ禍からの回復が早く、今後も堅調に推移する見通しです。
(事業ポートフォリオの最適化)
事業の選択と集中の一環で、中国でカーボンブラックの製造・販売を行っている子会社の、「東海炭素(天津)有限公司」の売却を決定いたしました。また、ファインカーボン事業のSiCリング等、高付加価値商品の生産能力の増強投資も着実に実施しています。また、11月には、「事業ポートフォリオマネジメント基本方針」を制定し、自社の資本コストを踏まえた収益力・資本効率性の目標設定とモニタリングに加え、長期ビジョンとの整合性や中長期的な成長等の視点も加味し、事業ポートフォリオの方向性について、年次で取締役会で審議することといたしました。
(連結ガバナンス体制強化)
改定CGCに対応し、子会社の内部統制システム、品質管理体制強化等の取り組みを行っています。また、2021年5月に社長をリーダーとするカーボンニュートラル推進プロジェクトを発足し、自社のCO₂排出量削減に加え、再生エネルギーの活用や顧客の生産性を高める製品開発等を含めた、カーボンニュートラルへの取り組みをグループ横断的に実施しています。
(2)対処すべき課題
脱炭素に向けた世界的な取り組みが急激に進む中、炭素業界のパイオニアとして、100年余に亘り「カーボン」を生業とし社名にも掲げてきた当社が、未来を見据え、どのように成長機会を捉え、顧客を創造し、社会に貢献していけるかのビジョンを描き、実践していくことが大きな課題となっています。こうした中、当社は「先端素材とソリューションで、持続可能な社会の実現に貢献する」という、2030年に向けた長期ビジョンを新たに作成し、この長期ビジョンに基づきローリング中期経営計画T-2024を策定いたしました。T-2024では、引き続き、「主力事業の成長軌道回帰」、「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」、「連結ガバナンス体制強化」を基本方針として掲げ、中期経営計画の目標達成及び長期ビジョンの実現を目指してまいります。
1.リスク管理体制
業務運営上の損失の危険を回避するため、経理・財務管理、取引先管理、輸出管理、環境・防災管理、品質管理、情報管理及び投資管理等に関連する規程・規則に則り、日常的なリスク管理を各担当部署が実施するとともに、原則四半期ごとに開催されるリスク・コンプライアンス委員会にてリスク及びコンプライアンスに関する重要事項について討議し、その結果を踏まえ、関係室部等に対する助言、取締役会他経営に対する報告・提言を行うことにより、リスクの把握と改善に努めております。また、子会社管理規程に基づき、当社及び当社グループ会社に著しい損害を及ぼす可能性のある事項が当社関係部署及び当社監査役に報告される体制を構築しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
2.個別リスク項目
(1) 金融・経済・社会環境に関するリスク
① 感染症の流行(新型コロナウイルス)
新型コロナウイルスについては、先進国を中心に、ワクチンの普及によるコロナ沈静化の動きも見られる一方、より感染力の強い変異株の蔓延やワクチン普及が進まない新興国・発展途上国との格差が、コロナ禍の収束を不透明にしている中、当社グループは、政府・自治体の要請を踏まえ、従業員とその家族、お取引先様等の健康と安全を最優先に、在宅勤務導入や国内外の出張制限等を実施しつつ、事業の継続を図っております。今後、有効な治療薬の普及により状況が改善することが期待されますが、新種の変異株の蔓延等により、コロナ禍の影響が悪化・長期化する場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 気候変動リスク(脱炭素対応)
2016年開催の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。我が国でも、菅前総理による2050年カーボンニュートラル宣言により、脱炭素対応は企業にとって不可避の課題となりました。当社グループは、2022年1月にカーボンニュートラル推進委員会を設立し、当社グループCN対応の司令塔として、全社方針・戦略を起案するとともに、課題や取り組みを可視化し一元的に管理していきますが、こうした取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業を取り巻く内外経済環境
当社グループは、日本のみならず、アジア、欧米において事業活動を展開しておりますので、世界経済の動向が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。数年来のコロナ禍に加え、足元では、ロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレ懸念の台頭、米中の対立、保護主義的通商政策の拡がりとサプライチェーンの混乱、気候変動対応を巡る混乱、コロナ禍の影響から脱しきれない新興国・資源国の景気低迷等、世界経済を巡る不確実性が顕在化していることから、これが想定に反して悪化する場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替レートの変動
当社グループは、原材料の輸入、製品輸出等、国際的な事業活動を行っており、その取引において外国通貨を用いていることから、為替レートの変動が当社グループ業績に影響を与えます。また、当社の海外における連結子会社・持分法適用関連会社の収益や費用については期中平均相場により円換算されており、為替相場の変動が、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの場合、特に影響の大きい、米ドル・ユーロに対する円高は、グループ業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を及ぼす傾向にあります。
なお、為替レートの変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。
⑤ 資金調達
当社グループは、当社グループとして必要な資金を金融機関からの借入のほか、社債、コマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。資金調達に際しては金融市場の動向を睨みながら資金繰り管理や安定的な資金確保に努めております。しかしながら、金融環境の急激な悪化により、資金調達の安定性が損なわれたり、著しく不利な資金調達を余儀なくされたりする局面においては、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、市場金利の変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。
⑥ 原材料調達
当社グループは、国内外の多数のサプライヤーから原材料を調達し、安定的な原材料確保と最適な価格の維持に努め、サプライヤーとの緊密な関係構築や需要変動への適切な対応を実行しておりますが、今後の世界経済動向によって、原材料調達価格が上昇し、これを販売価格に適正に転嫁できない場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、原材料等の商品価格が下落した場合には、棚卸資産の評価損等の損失が発生する可能性があります。さらに、自然災害等により、サプライヤーの事業活動やサプライチェーンが被害を受けた場合、当社グループの生産活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 保有有価証券
当社グループは、事業機会の創出・維持や取引・協業関係の構築・維持・強化等を通じ、中長期的な企業価値向上が図れると判断した場合に、取引先等の株式を取得・保有することがあり、定期的にその効果検証を行うことにより、保有方針を見直すこととしています。しかしながら、かかる有価証券には、市場性のある株式も含まれるため、内外経済及び株式市場の環境悪化や投資先の経営状況悪化により株価が下落した場合には、保有株式に評価損が発生する可能性があります(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」参照)。
なお、投資有価証券の価格変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。
(2) 業界・事業に関連するリスク
① 競合他社との競争
当社グループは、各事業分野において、様々な企業との厳しい競争環境下にあり、この結果、多くの製品は価格低下圧力に晒されております。当社グループとしては、原価低減や効率性の向上、技術力の追求、市場ニーズの把握等の努力を重ねていきますが、十分な成果が上がらない場合には、マーケットシェアの低下、販売価格の引き下げ等による売上高と利益率の低下を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 国際的な事業展開
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしていますが、国際的な事業展開においては、経済・為替の不確実性や新型コロナウイルス感染拡大に加え、政情不安、法制・規制の想定外の変更、宗教・文化の相違、現地での労使問題等、国内事業と異なる様々なリスクが伴います。当社グループがこのようなリスクに適切に対処できない場合は、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 研究開発
当社グループは、持続的な企業価値向上のためには研究開発活動は不可欠との認識の下、富士研究所を中心に、次世代に向けた新製品や新規技術の開発を進めております。また、既存事業の製品については、顧客ニーズに適合する新品種の開発や、さらなる品質の向上、画期的なコストダウン等を知多研究所及び防府研究所を中心に推進しております。しかしながら、市場トレンドの変化によるニーズの衰退や脱炭素対応の失敗、同業他社の技術革新に対抗できる技術を速やかに開発できなかった場合等には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 買収・業務提携、戦略的投資
当社グループは、成長戦略の一環として、企業買収、業務提携、戦略的投資につき、積極的に取り組む方針としております。近年実施している大型M&Aの買収シナジー早期現出に向け、生産技術の共有、人材の交流、現地経営陣の監督徹底等に取り組み、経営統合を進めております。しかしながら、経営環境・前提条件の変化等の理由により、当初想定した結果が得られない可能性もあり、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、のれんの減損が必要になる等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。
⑤ 特定業界への依存
当社グループの売上の多くは、タイヤ業界、鉄鋼業界に集中しております。こうした特定業界に依存する体質を改善するため、主にアルミニウム市場を対面業界とする炭素黒鉛製品メーカー2社を買収、2020年7月には精錬ライニング事業部を新たに設置し、ポートフォリオの分散化を図っております。しかしながら、当社グループの対面業界の景況が大幅に悪化し、ポートフォリオの分散化が十分に機能しないような場合には、売上高と利益率の低下等を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 有能な人材の確保
当社グループの競争力と将来性は、マネジメントはもちろん、研究開発、技術、製造、販売、企画、管理等、各部門における専門的知識や技能を持った有能な人材の確保・育成、定着率が重要な課題となります。しかしながら、近年は人材の流動化、団塊の世代の大量退職、少子高齢化による労働人口の減少等により人材の確保に係る競争も厳しくなっております。当社グループは適正な要員計画に基づく採用、人事制度の見直しや新たな研修制度の導入、実施等を通じて有能な人材の確保・育成、定着に取り組んでおりますが、想定どおりに進まない場合や有能な社員の社外流出を防げないような場合、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 法的規制・訴訟
当社グループは国内外において、各種の法令・規制に則り、事業活動を行っております。グループ全体として法令遵守の徹底を図っておりますが、法規制には、商取引法、独占禁止法、労働法、証券関連法、知的財産権法、環境法、税法、輸出入関連法、刑法等に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な政府の許認可規制等があります。今後、新たな法規制の導入や法規制の想定外の変更により、事業活動に対する制約、コストの増加等を通じ、当社グループ業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、国内外の役員・従業員に対し、様々な形で法務・コンプライアンス教育を実施しておりますが、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分、訴訟等の対象となり、当社グループの社会的評価が低下し、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 環境規制
当社グループは、国内外において、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、省エネルギー・地球温暖化対策等に関し、様々な環境関連法規制の適用を受け、これに対応しております。
これらについて、より厳格な規制が導入された場合や法令の運用・解釈が厳格化された場合、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合等には、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加したりする等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、CO₂の排出や化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、当社グループの事業活動が制約を受けたり、事業活動に係る費用が増加したりする可能性があります。
③ 知的財産権
当社グループは、知的財産を重要な経営資源と位置付け、知的財産管理に関する専門部署を設け、第三者からの知的財産権侵害の発見と保有する知的財産権の管理保護に努めております。しかしながら、見解の相違等の理由により、第三者が特許等への抵触を理由とした差止訴訟や損害賠償請求訴訟等を提起した場合や、第三者による知的財産権侵害により当社グループの競争優位性が脅かされた場合等には、係争に多額の費用等が必要となる可能性や当社グループの評判、優位性を損ねる可能性があり、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 災害・事故
当社グループは、製造業の基本である安全と工場災害防止に注力し、製造設備の停止や製造設備に起因する事故等による潜在的なマイナス要因を最小化するために、すべての製造設備において定期的な点検・メンテナンスを行い、大規模な自然災害等の緊急事態に備え、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。しかしながら、国内及び海外の将来の大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害、火災、爆発、インフラの停止、テロ攻撃、政情不安等の人災その他の不測の事態が実際に発生した場合には、操業の中断・縮小、施設等の損害、多額の復旧費用等により、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 品質・PL
当社グループは、主要な国内生産拠点において、品質マネジメントシステム(ISO9001)を取得し、品質管理に関する規定、規格及び作業標準等を定め、品質チェック体制を構築し、品質監査を行う等グループをあげて品質向上を継続的に取り組み、製品の品質に万全を期すよう努めております。製造物責任賠償及び一部製品の製品瑕疵に起因して被る損害については保険に加入していますが、予測し難い原因により重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起等が発生した場合には、多額のコスト増大や、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少が予想されることから、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティ
当社グループは、事業遂行に当たり生産技術・研究開発・調達・販売等の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図り、技術面での対策を高度化する等、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、これらの情報に関して、盗難・紛失等による第三者の不正流用、法規制違反、想定を超えるサイバー攻撃、そのほか不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム障害等が発生した場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」をいう。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)の世界経済は、国・地域毎の濃淡は見られるものの、総じて言えば、コロナ禍によるボトム水準からの回復過程にあります。先進国を中心に、ワクチンの普及によるコロナ沈静化の動きも見られる一方、感染力の強い変異株の出現やワクチン普及が進まない新興国・発展途上国との格差が、コロナ禍の収束を不透明にしております。また、半導体不足等、サプライチェーンの混乱や資源価格の高騰が、世界経済の先行きに不透明感を加えております。
このような情勢下、当社グループにおいては、2021年5月に公表したローリング中期経営計画「T-2023」の中で「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化」「連結ガバナンス体制強化」の3つの基本方針を掲げ、2023年の売上高3,200億円、営業利益570億円、ROS18%の達成を目指してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前期比28.4%増の2,588億7千4百万円となりました。営業利益は前期比213.6%増の246億4千7百万円となりました。経常利益は前期比295.5%増の247億7千万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比大幅増の161億5百万円となりました。
セグメント別の経営成績は下記のとおりです。
[黒鉛電極事業]
世界の粗鋼生産は順調に回復しており、これに合わせて黒鉛電極市況反転の兆しも見られるものの、対面業界との比較では市況回復は遅れており、エネルギーや資材価格上昇も相俟って、苦戦を余儀なくされました。
この結果、当事業の売上高は前期比7.2%増の406億1千9百万円となり、営業損益は4億円の損失(前期は57億6千6百万円の営業損失)となりました。
半導体等の材料、部品不足による自動車生産減により新車用タイヤ需要は減少したものの、補修用タイヤ向け需要回復に伴い、販売数量は前期比で増加しました。また、原料油価格高騰に伴う売価の調整や稼働率の上昇に伴い原価率が改善しました。
この結果、当事業の売上高は前期比40.6%増の994億9千1百万円となり、営業利益は前期比175.2%増の87億8千3百万円となりました。
[ファインカーボン事業]
半導体、太陽光発電向け販売は引き続き堅調に推移しました。また一般産業向けも回復基調に転じ、高付加価値商品であるソリッドSiC(シリコンカーバイド)製品においても世界的に旺盛な需要を背景に好調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は前期比23.1%増の391億2千5百万円となり、営業利益は前期比44.6%増の96億1千1百万円となりました。
アルミ一次地金価格は年末に向けて高値圏で推移し、地域やユーザーにより濃淡はあるものの、アルミ精錬用カソードの販売も総じて好調を継続しました。高炉ブロックは前期並みの改修需要に恵まれ、また炭素電極は金属シリコンの旺盛な需要を背景に販売量が伸びました。なお、フランスの炭素黒鉛製品メーカーTokai COBEX Savoie SAS(旧商号Carbone Savoie International SAS)及びそのグループ会社を2020年8月より本セグメントに含めております。
この結果、当事業の売上高は前期比36.4%増の496億9千6百万円となり、取得原価配分に伴う評価差額に係る償却費及びのれん償却費等調整後の営業利益は前年比65.8%増の19億2千5百万円となりました。
工業炉の販売は、主要な需要先であるエネルギー関連業界向けが好調であり前期比増となりました。発熱体その他製品の販売は、電子部品業界向け及びエネルギー関連業界向けが堅調に推移し、前期比増となりました。
この結果、当事業の売上高は前期比29.9%増の180億1千9百万円となり、営業利益は前期比43.3%増の53億9千6百万円となりました。
摩擦材
世界経済の回復とともに、建機、農機、二輪、電磁の各用途向け販売が増加しました。
この結果、摩擦材の売上高は前期比36.4%増の88億8千万円となりました。
負極材市場における新興勢の台頭等により競争が激化し前期比で販売が減少しました。
この結果、負極材の売上高は前期比30.6%減の29億7百万円となりました。
不動産賃貸等その他の売上高は、前期比4.2%減の1億3千5百万円となりました。
以上により、当事業の売上高は前期比10.0%増の119億2千2百万円となり、営業利益は前期比153.0%増の7億5千4百万円となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比527億9千3百万円増の5,125億3百万円となりました。
流動資産は、売掛金や棚卸資産等の増加により、前連結会計年度末比374億7千1百万円増の2,151億4千9百万円となりました。固定資産は、有形固定資産、投資有価証券等の増加により、前連結会計年度末比153億2千2百万円増の2,973億5千3百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比210億3千8百万円増の2,559億3千2百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーや1年以内償還予定の社債等の増加により、前連結会計年度末比377億6千1百万円増の1,304億1千8百万円となりました。固定負債は、長期借入金等の減少により、前連結会計年度末比167億2千3百万円減の1,255億1千4百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、為替換算調整勘定や利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末比317億5千5百万円増の2,565億7千万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.9ポイント増の44.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比67億7百万円増の644億3千5百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の増加等により収入が増加したものの、棚卸資産の増加等により収入が減少し、前連結会計年度比169億4千9百万円収入減の、380億7千2百万円の収入となりました。
投資活動による資金は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少等により、前連結会計年度比90億1千9百万円支出減の、352億8千2百万円の支出となりました。
財務活動による資金は、短期借入金の返済による支出の減少等により、前連結会計年度比2億8千4百万円収入増の、12億1千1百万円の収入となりました。
④ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4.精錬ライニング事業の増加の主な要因は、前連結会計年度の第3四半期にTokai COBEX Savoie SASを連結子会社化したことによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、工業炉及び関連製品については、受注生産を行っております。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の売上高は、カーボンブラック事業における販売数量増加及び売価上昇や精錬ライニング事業における前連結会計年度に新規連結した子会社の業績の寄与により、前期比28.4%増の2,588億7千4百万円となりました。売上原価率は、主に黒鉛電極事業において、前年度末に計上した棚卸資産評価損の戻り等により、2.7%ポイントダウンの72.7%となりました。
販売費及び一般管理費は売上高増加に伴う販売費の増加及び取得原価配分に伴う評価差額の償却費及びのれんの償却費等が増加したことから、前期比10.5%増の460億8千5百万円となりました。この結果、営業利益は前期比213.6%増の246億4千7百万円となりました。
営業外収益については、為替差益の計上及び受取配当金の増加等により、前期比53.2%増の25億6百万円となりました。営業外費用については、為替差損及び環境安全対策引当金の繰入が減少したこと等により、前期比26.2%減の23億8千3百万円となりました。
特別利益については、当社の社宅売却に伴う固定資産売却益1億6千万円を計上しております。特別損失については、連結子会社である東海炭素(天津)有限公司の売却決定に伴う関係会社出資金売却損失引当金繰入額11億3千7百万円及び負極材製造設備にかかる減損損失を3億8千5百万円計上しております。この結果、税金等調整前当期純利益は前期比281.8%増の233億5千4百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前期比42.3%増の32億4千8百万円となり、また、非支配株主に帰属する当期純利益に40億円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比大幅増の161億5百万円となりました。
また、当連結会計年度末の総資産については、流動資産は売掛金や棚卸資産の増加等により、前期比374億7千1百万円増の2,151億4千9百万円となり、固定資産はカーボンブラック事業における環境投資等により、前期比153億2千2百万円増の2,973億5千3百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については、 (1) ③ キャッシュ・フローに記載のとおりであります。
当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を維持するため、資本効率を高めつつ、資金調達手段の多様化による安定性維持及び流動性確保と金融費用の抑制を図ることを基本方針としております。
グループの資金は、本社にて一括調達・グローバルキャッシュマネジメントシステムを活用した運用を行うことにより、手元資金の効率性を高めています。手元資金を上回る大型投資案件を実行する場合には、金融機関からの借入や社債などの負債調達を基本に、調達手段や市況環境に応じて、柔軟に調達手段を選択していきます。
また、金利変動リスクや流動性リスクについては、多面的にモニタリングや分析を行い、リスク量をコントロールしつつ金融費用の抑制を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定の情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
当社は、2021年11月15日開催の臨時取締役会において、当社の完全子会社である東海炭素(天津)有限公司(以下、「東海炭素(天津)」)の全持分を、Cabot Corporation(以下、「Cabot」)の子会社である卡博特(中国)投資有限公司に譲渡することにつき、持分譲渡契約の締結を決議、同契約を締結し、2022年2月28日付で譲渡いたしました。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(重要な後発事象)に記載しております。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社の開発・技術部門と連携のもと、富士研究所、知多研究所、防府研究所が主体となり、基礎研究をベースにした新製品の開発、生産技術研究及び既存製品の高性能化、品質改良等諸研究開発を積極的に推進しております。
なお、当社グループの研究開発活動の内容及び金額は、特定のセグメントに関連付けることが困難であるため、一括して記載しております。
当社において、成長分野に位置するファインカーボン、ファインセラミックスは優れた材料特性を有し、用途は多岐にわたりますが、近年、エネルギー関連、半導体、エレクトロニクス、環境分野への伸びが著しく、これらのハイテクニーズに合った製品の開発を行っております。
東海高熱工業㈱においては、電子部品及び二次電池関連向けに高性能工業炉及び炭化けい素発熱体の商品開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は