第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)T-2024進捗状況

(総括)

当社グループにおいては、2022年2月に、2022年から2024年までの3年間を対象とするローリング中期経営計画「T-2024」を策定・開示し、「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「連結ガバナンス体制強化」の3つの基本方針を掲げ、事業活動を展開してまいりました。ロシアによるウクライナ侵攻並びにその長期化、原材料やエネルギーコストの上昇等の影響があるものの、コスト上昇分の売価への転嫁や為替が円安で推移したことにより、T-2024初年度の2022年の実績については、当初想定した売上高3,050億円、営業利益350億円を上回り、売上高3,403億7千1百万円、営業利益405億8千8百万円という結果となりました。

 

(主力事業の成長軌道回帰)

主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原材料価格の高騰や環境投資等による原価上昇分を売価に転嫁して、適正利潤確保を図ると同時に、将来の需要拡大を睨み、製造能力増強も進めております。今後も継続して、コストダウンや生産性改善を行い、収益力の強化を図ってまいります。

 

(事業ポートフォリオの最適化)

事業の選択と集中の一環で、中国でカーボンブラックの製造・販売を行っている子会社の、「東海炭素(天津) 有限公司」について、2022年2月に持分譲渡を実施した一方で、2022年5月に連結子会社であるTokai Carbon Korea Co., Ltd.の株式35万株の追加取得を行いました。また2022年9月には、カーボンブラックのよりサステナブルな供給体制の確立を図ることを目的に、タイの連結子会社であるTHAI TOKAI CARBON PRODUCT CO., LTD.において、新たに自社所有の土地を取得し、現在のリース契約の土地より工場を移転する事を決定いたしました。

 

(連結ガバナンス体制強化)

2022年2月に、2030年に向けた新長期ビジョン「先端素材とソリューションで持続可能な社会の実現に貢献する」を開示し、サステナビリティに関する重要事項を審議するサステナビリティ推進委員会、カーボンニュートラル対応の司令塔機能を持つカーボンニュートラル推進委員会を新設しました。2050年のカーボンニュートラル実現を果たすべく、2030年にはCO2排出量の25%削減(2018年比)を目指しております。また2022年7月には、「誠実」「革新」「挑戦」「共創」「スピード」からなる新行動指針・グローバル行動規範を制定し、東海カーボングループとしての企業文化醸成に努めております。

 

(2)対処すべき課題

2030年の長期ビジョンの実現に向け、当社は、新たなローリング中期経営計画T-2025を策定・開示しました。「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「サステナビリティ経営基盤構築」の3つの基本方針を掲げ、2025年の売上高4,840億円、営業利益690億円、ROS14%を目指してまいります。持続可能な社会の実現に向け、避けて通ることの出来ないカーボンニュートラル対応は、炭素を生業とする当社にとって、極めて大きな挑戦です。当社だけでは、達成しがたい困難な目標ではありますが、お客様・お取引先様のみなさまとも協力しつつ、グループの総力をあげ、危機感を持って取り組んでいきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

1.リスク管理体制

業務運営上の損失の危険を回避するため、経理・財務管理、取引先管理、輸出管理、環境・防災管理、品質管理、情報管理及び投資管理等に関連する規程・規則に則り、日常的なリスク管理を各担当部署が実施するとともに、原則四半期ごとに開催されるリスク・コンプライアンス委員会にてリスク及びコンプライアンスに関する重要事項について討議し、その結果を踏まえ、関係室部等に対する助言、取締役会他経営に対する報告・提言を行うことにより、リスクの把握と改善に努めております。また、子会社管理規程に基づき、当社及び当社グループ会社に著しい損害を及ぼす可能性のある事項が当社関係部署及び当社監査役に報告される体制を構築しております。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

2.個別リスク項目

(1) 金融・経済・社会環境に関するリスク

① 自然災害、感染症、戦争・テロ

大地震、津波、台風、洪水等の自然災害や感染症の流行、戦争・テロ行為等は、当社事業の継続に影響を及ぼしかねない重大なリスクです。当社グループでは、これらの影響を低減するため、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組み、適切な保険を付保するとともに、各国の情勢や安全に関する情報収集等を進めておりますが、こうした取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 気候変動リスク

2016年開催の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められ、既に、一部の国・地域では、炭素税等の温室効果ガス排出量削減策が導入されております。当社グループは、2022年1月にカーボンニュートラル推進委員会を設立し、当社グループカーボンニュートラル対応の司令塔として、全社方針・戦略を起案するとともに、課題や取り組みを可視化し一元的に管理していますが、当社グループの温室効果ガス排出量削減の取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 内外経済環境

当社グループは、日本のみならず、アジア、欧米において事業活動を展開しておりますので、世界経済の動向は当社グループ業績に影響を及ぼします。数年来のコロナ禍に加え、ウクライナ危機の長期化、世界的なインフレ懸念と金融引き締め、米中の対立、保護主義的通商政策の拡がりとサプライチェーンの混乱、気候変動対応を巡る混乱、コロナ禍の影響から脱しきれない新興国・資源国の景気低迷等、世界経済を巡る不確実性が顕在化していますが、これらが一層悪化する場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 為替レートの変動

当社グループは、原材料の輸入、製品輸出等、国際的な事業活動を行っており、その取引において外国通貨を用いていることから、為替レートの変動が当社グループ業績に影響を与えます。また、当社の海外における連結子会社・持分法適用関連会社の収益や費用については期中平均相場により円換算されており、為替相場の変動が、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいて、特に影響の大きい、米ドル・ユーロに対する円高は、グループ業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を及ぼす傾向にあります。

なお、為替レートの変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

 

⑤ 資金調達・金利変動

当社グループは、当社グループとして必要な資金を金融機関からの借入の他、社債、コマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。資金調達に際しては金融市場の動向を睨みながら資金繰り管理や安定的な資金確保に努めております。しかしながら、金融環境の急激な悪化により、資金調達の安定性が損なわれたり、著しく不利な資金調達を余儀なくされたりする局面においては、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、市場金利の変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

⑥ 保有有価証券

当社グループは、事業機会の創出・維持や取引・協業関係の構築・維持・強化等を通じ、中長期的な企業価値向上が図れると判断した場合に、取引先等の株式を取得・保有することがあり、定期的にその効果検証を行うことにより、保有方針を見直すこととしております。しかしながら、かかる有価証券には、市場性のある株式も含まれるため、内外経済及び株式市場の環境悪化や投資先の経営状況悪化により株価が下落した場合には、保有株式に評価損が発生する可能性があります(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等  (5) 株式の保有状況」参照)。

なお、投資有価証券の価格変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

 

(2) 業界・事業に関連するリスク

① 競合他社との競争(品質・技術・価格競争力低下)

当社グループは、各事業分野において、様々な企業との厳しい競争環境下にあり、この結果、多くの製品は価格低下圧力に晒されております。当社グループとしては、市場ニーズの把握、技術力の追求、品質管理の徹底、原価低減や効率性の向上等の努力を重ねていきますが、十分な成果が上がらない場合には、マーケットシェアの低下、販売価格の引き下げ等による売上高と利益率の低下を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 国際的な事業展開(グローバルサプライチェーン)

当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしておりますが、国際的な事業展開においては、経済・為替の不確実性や新型コロナウイルス感染拡大に加え、政情不安、法制・規制の想定外の変更、宗教・文化の相違、現地での労使問題等、国内事業と異なる様々なリスクが伴います。当社グループがこのようなリスクに適切に対処できない場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 研究開発

当社グループは、持続的な企業価値向上のためには研究開発活動は不可欠との認識の下、富士研究所を中心に、次世代に向けた新製品や新規技術の開発を進めております。また、既存事業の製品については、顧客ニーズに適合する新品種の開発や、さらなる品質の向上、画期的なコストダウン等を各事業部の研究所を中心に推進しております。しかしながら、市場トレンドの変化によるニーズの衰退や脱炭素対応の失敗、同業他社の技術革新に対抗できる技術を速やかに開発できなかった場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 経営戦略(買収・業務提携、戦略的投資)

当社グループは、成長戦略の一環として、企業買収、業務提携、戦略的投資につき、積極的に取り組む方針としております。過去に実施した大型M&Aのシナジー早期現出に向け、生産技術の共有、人材の交流、現地経営陣の監督徹底等に取り組み、経営統合を進めております。しかしながら、経営環境・前提条件の変化等の理由により、当初想定した結果が得られない可能性もあり、予測される将来キャッシュ・フロ-の低下により、のれんの減損が必要になる等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 特定業界への依存(特定製品の市況変動)

当社グループの売上の多くは、自動車業界、鉄鋼業界、半導体業界に集中しております。こうした特定業界に依存する体質を改善するため、主にアルミニウム市場を対面業界とする炭素黒鉛製品メーカー2社を買収、2020年7月にはスメルティング&ライニング事業部を新たに設置し、ポートフォリオの分散化を図っております。しかしながら、当社グループの対面業界の景況が大幅に悪化し、ポートフォリオの分散化が十分に機能しないような場合には、売上高と利益率の低下等を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 有能・多様な人材の確保

当社グループの競争力と将来性は、マネジメントはもちろん、研究開発、技術、製造、販売、企画、管理等、各部門における専門的知識や技能を持った有能・多様な人材の確保・育成、定着が重要な課題となります。しかしながら、近年は人材の流動化、団塊の世代の大量退職、少子高齢化による労働人口の減少等により人材の確保に係る競争も厳しくなっております。当社グループは多様な人材の積極的な採用、働き方の柔軟性・多様性を前提とした職場環境の整備、人事制度の見直し、新たな研修制度の導入、実施等を通じて有能・多様な人材の確保・育成、定着に取り組んでおりますが、想定どおりに進まない場合や人材の社外流出を防げないような場合には、業務遂行に制約を受けることにより、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 法令・規制への抵触

当社グループは国内外において、各種の法令・規制に則り、事業活動を行っております。グループ全体として法令遵守の徹底を図っておりますが、法規制には、商取引法、独占禁止法、労働法、証券関連法、知的財産権法、環境法、税法、輸出入関連法、刑法等に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な政府の許認可規制等があります。今後、新たな法規制の導入や法規制の想定外の変更により、事業活動に対する制約、コストの増加等を通じ、当社グループ業績に悪影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、国内外の役員・従業員に対し、様々な形で法務・コンプライアンス教育を実施しておりますが、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分、訴訟等の対象となり、当社グループの社会的評価が低下し、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 会計・税制変更

当社グループが事業活動を行う国において、会計制度や税制が大きく変更され又は当社グループに不利な解釈や適用がなされたりした場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産権

当社グループは、知的財産を重要な経営資源と位置付け、知的財産管理に関する専門部署を設け、第三者からの知的財産権侵害の発見と保有する知的財産権の管理保護に努めております。しかしながら、見解の相違等の理由により、第三者が特許等への抵触を理由とした差止訴訟や損害賠償請求訴訟等を提起した場合や、第三者による知的財産権侵害により当社グループの競争優位性が脅かされた場合には、係争に多額の費用等が必要となる可能性や当社グループの評判、優位性を損ねる可能性があり、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 労働災害・設備事故

当社グループは、製造業の基本である労働安全と設備事故防止に注力し、全拠点で安全最優先での事業活動に努めております。労働災害は、労働者の健康や人命に関わる重大なリスクであり、当社グループは、安全活動をグローバルで推進し、拠点毎に具体的、継続的かつ自主的な活動を安全衛生計画として組み込み、労働災害の防止と労働者の健康増進、快適な職場環境の形成等、安全衛生水準の向上に努めております。製造設備の停止や製造設備に起因する事故等の発生は、事業活動に支障をきたす重大なリスクであり、潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検・メンテナンスを行っております。しかしながら、不測の事態や不慮の事故等により、操業の中断・縮小、施設等の損害、多額の復旧費用等により、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 品質・PL

当社グループは、主要な生産拠点において、品質マネジメントシステム(ISO9001)を取得し、品質管理に関する規定、規格及び作業標準等を定め、品質チェック体制を構築し、品質監査を行う等グループをあげて品質向上を継続的に取り組み、製品の品質に万全を期すよう努めております。製造物責任賠償及び一部製品の製品瑕疵に起因して被る損害については保険に加入しておりますが、予測し難い原因により重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起等が発生した場合には、多額のコスト増大や、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少が予想されることから、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ ITシステム・情報セキュリティ

当社グループは、事業遂行に当たり様々なシステムを構築、運用するとともに、生産技術・研究開発・調達・販売等の機密情報を保有し、その重要性は非常に高まっております。当社グループでは、IT、情報システム及び情報通信ネットワークを厳格に管理し、漏洩や紛失を未然防止する対策及びセキュリティインシデント発生時に影響を最小限に抑える対策を講じております。しかしながら、災害やサイバー攻撃等外的要因や人為的要因等により、障害等が生じると、重要な業務やサービスの停止、機密情報・データや個人情報の盗取や漏洩等のインシデントを引き起こし、事業活動の継続に支障をきたす等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」をいう。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)の世界経済は、年初想定に反し、経済回復ペースの大幅な減速とインフレ高進が同時進行する展開となりました。総じて言えば、世界各国で感染症対策と経済活動の両立が進んでいた中、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するサプライチェーンの分断、世界的なインフレの進行とそれに伴う金融引き締めが大きな下押し要因となり、世界経済の先行きに係る不確実性は再び高まっております。

この様な情勢下、当社グループにおいては、2022年2月に公表したローリング中期経営計画「T-2024」の中で、「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「連結ガバナンス体制強化」の3つの基本方針を掲げ、2024年の定量目標として、売上高3,560億円、営業利益570億円、ROS16%、EBITDA910億円の達成を目指してまいりました。主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原価上昇を価格に転嫁して適正利潤確保を図ると同時に、将来の需要拡大を睨み、製造能力増強も進めてきました。

この結果、当連結会計年度の売上高は前期比31.5%増3,403億7千1百万円となりました。営業利益は前期比64.7%増405億8千8百万円となりました。経常利益は前期比71.7%増425億2千1百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比39.2%増224億1千8百万円となりました。

 

セグメント別の経営成績は下記のとおりです。

 

[黒鉛電極事業]

足許では、世界的な景気減速や原材料・エネルギーコスト上昇の影響が懸念されるものの、対面業界との比較で遅れていた電極市況回復と在庫調整が進み、販売数量も増加したことで増収増益となりました。

この結果、当事業の売上高は前期比46.8%増596億3千万円となり、営業利益は前期比大幅増の80億3千2百万円(前期は4億円の営業損失)となりました。

 

[カーボンブラック事業]

長期化する半導体不足の影響で自動車生産の回復は遅れていますが、補修用タイヤについては、北米のトラックバス用を中心に需要が旺盛で、カーボンブラック需要も堅調に推移しました。中国拠点売却により販売数量は前年同期比で減少したものの、原料油価格上昇分の価格転嫁も進み増収増益となりました。

この結果、当事業の売上高は前期比39.2%増1,384億8千4百万円となり、営業利益は前期比39.8%増122億8千2百万円となりました。

 

[ファインカーボン事業]

半導体市場は、スマートフォンやパソコンの需要低下に、米国の対中政策による影響もあり、製造装置用部品の一部に減速が見られます。一方で、SiC(シリコンカーバイド)半導体などのパワー半導体業界向けの需要は着実に増加しており、当セグメントの黒鉛及びSiC需要は総じて堅調に推移、増産効果も現出し、増収増益となりました。

この結果、当事業の売上高は前期26.2%増493億9千3百万円となり、営業利益は前期54.3%増148億2千5百万円となりました。

 

スメルティング&ライニング事業

エネルギー価格高騰による欧州製錬所の操業停止・減産を、他地域の製錬所が補完した結果、アルミ電解炉用カソードの販売は好調となり、炭素電極も、堅調な金属シリコン需要を背景に好調を維持しました。原材料調達難やコスト上昇等、ウクライナ危機のインパクトは、上記市況のプラス材料を遥かに上回りましたが、売価引き上げや増産増販等により、採算維持に努めました。

この結果、当事業の売上高は前期比31.2%増652億3百万円となり、営業利益は前期比30.1%減13億4千5百万円となりました。

 

[工業炉及び関連製品事業]

エネルギー関連向けの需要は堅調に推移したものの、工業炉及び発熱体の主要顧客である電子部品関連業界の減速により、想定していた納期に遅れが生じました。

この結果、当事業の売上高は前期比9.7%減162億7千2百万円となり、営業利益は前期比17.1%減44億7千5百万円となりました。

 

[その他事業]

摩擦材

中国建機の減速やサプライチェーンの混乱等、マイナス要因はあったものの、主要用途の需要が堅調に推移しました。

この結果、摩擦材の売上高は前期比5.4%増93億6千2百万円となりました。

負極材

当社材が採用されているEVの販売不振や、新興勢台頭による競争激化により、前期比で販売が減少しました。

この結果、負極材の売上高は前期比35.1%減18億8千8百万円となりました。

その他

不動産賃貸等その他の売上高は、前期比0.7%増1億3千6百万円となりました。

 

以上により、当事業の売上高は前年同期比4.5%減113億8千7百万円となり、営業利益は前期比47.0%増11億8百万円となりました。

 

 

② 財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比639億6千2百万円増5,764億6千5百万円となりました。

流動資産は、売掛金や棚卸資産等の増加により、前連結会計年度末比315億4千1百万円増2,466億9千1百万円となりました。固定資産は、のれん、顧客関連資産等が減少したものの、有形固定資産、投資有価証券等の増加により、前連結会計年度末比324億2千万円増3,297億7千3百万円となりました。

 (負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比196億6千4百万円増2,755億9千6百万円となりました。流動負債は、短期借入金やコマーシャル・ペーパーの増加により、前連結会計年度末比162億7千7百万円増1,466億9千6百万円となりました。固定負債は、長期借入金等が減少したものの、繰延税金負債等が増加したことにより、前連結会計年度末比33億8千6百万円増1,289億円となりました。

 (純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、為替換算調整勘定や利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末比442億9千7百万円増3,008億6千8百万円となりました。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.9ポイント増の46.6%となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比150億5千7百万円減493億7千7百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、棚卸資産の増加等により収入が減少したものの、税金等調整前当期純利益の増加等により収入が増加し、前連結会計年度比31億3千3百万円収入増の、412億5百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前連結会計年度比146億1千8百万円支出増の、499億円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、長期借入金の返済による支出の増加等により、前連結会計年度比118億4千1百万円収入減の、106億2千9百万円の支出となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

 a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

黒鉛電極事業

67,552

+48.8

カーボンブラック事業

137,110

+39.8

ファインカーボン事業

53,540

+27.1

スメルティング&ライニング事業

65,203

+31.2

工業炉及び関連製品事業

16,827

△10.3

その他事業

11,327

△5.5

合計

351,560

+32.1

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

 

 b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、工業炉及び関連製品については、受注生産を行っております。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

工業炉及び関連製品事業

13,071

△32.8

15,249

△15.2

合計

13,071

△32.8

15,249

△15.2

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

黒鉛電極事業

59,630

+46.8

カーボンブラック事業

138,484

+39.2

ファインカーボン事業

49,393

+26.2

スメルティング&ライニング事業

65,203

+31.2

工業炉及び関連製品事業

16,272

△9.7

その他事業

11,387

△4.5

合計

340,371

+31.5

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の売上高は、カーボンブラック事業における原料油価格高騰に伴う価格転嫁や黒鉛電極事業における販売数量増加により、前期比31.5%増3,403億7千1百万円となりました。売上原価率は、前期比で概ね横ばいとなり、0.3%ポイントダウンの72.4%となりました。

 販売費及び一般管理費は売上高増加に伴う販売費の増加及び従業員給与賞与額の増加等により、前期比16.0%増534億6千3百万円となりました。この結果、営業利益は前期比64.7%増405億8千8百万円となりました。

営業外収益については、為替差益の増加等により、前期比74.3%増43億6千8百万円となりました。営業外費用については、概ね前期並みとなる24億3千6百万円となりました。

特別利益については、当社及び連結子会社において投資有価証券売却益5億4千4百万円を計上しております。特別損失については、当社及び連結子会社において製造設備増強を目的とした設備入替等により発生した固定資産除却損6億2千4百万円計上しております。この結果、税金等調整前当期純利益は前期比80.3%増421億1千1百万円となりました。

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前期比大幅増の147億8千2百万円となり、また、非支配株主に帰属する当期純利益に49億1千万円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比39.2%増224億1千8百万円となりました。

また、当連結会計年度末の総資産については、流動資産は売掛金や棚卸資産の増加等により、前期比315億4千1百万円増2,466億9千1百万円となり、固定資産は有形固定資産及び投資有価証券等の増加により、前期比324億2千万円増3,297億7千3百万円となりました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況については、 (1) ③ キャッシュ・フローに記載のとおりであります。

b. 財務政策

当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を維持するため、資本効率を高めつつ、資金調達手段の多様化による安定性維持及び流動性確保と金融費用の抑制を図ることを基本方針としております。

グループの資金は、本社にて一括調達・グローバルキャッシュマネジメントシステムを活用した運用を行うことにより、手元資金の効率性を高めています。手元資金を上回る大型投資案件を実行する場合には、金融機関からの借入や社債などの負債調達を基本に、調達手段や市況環境に応じて、柔軟に調達手段を選択していきます。

また、金利変動リスクや流動性リスクについては、多面的にモニタリングや分析を行い、リスク量をコントロールしつつ金融費用の抑制を図っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5  経理の状況    連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表 注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社の開発・技術部門と連携のもと、富士研究所、知多研究所、防府研究所が主体となり、基礎研究をベースにした新製品の開発、生産技術研究及び既存製品の高性能化、品質改良等諸研究開発を積極的に推進しております。

なお、当社グループの研究開発活動の内容及び金額は、特定のセグメントに関連付けることが困難であるため、一括して記載しております。

 

 (主な研究開発の内容)

当社において、成長分野に位置するファインカーボン、ファインセラミックスは優れた材料特性を有し、用途は多岐にわたりますが、近年、エネルギー関連、半導体、エレクトロニクス、環境分野への伸びが著しく、これらのハイテクニーズに合った製品の開発を行っております。

東海高熱工業㈱においては、電子部品及び二次電池関連向けに高性能工業炉及び炭化けい素発熱体の商品開発を進めております。

 

(研究開発費の金額)

当連結会計年度の研究開発費は3,171百万円であります。