第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「建材に関する生産、化粧加工、施工の技術」と「熱、音、その他のエネルギーをコントロールする技術」をもとに、安全で安心でき、快適な環境を創造する事業を通じて、生活環境と社会基盤の充実並びに産業の発展に貢献する企業グループになることを目指しております。その実現のために、下記の方針により企業活動を展開していきます。

1)お客様や市場の声を敏感に受け止め、新商品・新事業の研究・開発、探索・導入、そして市場投入を絶え間なく継続し、お客様に信頼感を持っていただける安全で高品質な商品、工事およびサービスを提供し続けます。

2)技術力の向上並びに管理手法の改善等によりコスト削減を図り、収益性を一層高めて、当社グループの持続的な発展に努めます。

3)法と社会秩序を遵守すると共に、的確な企業統治と内部統制のシステムを確立し、その機能を充実させることにより、経営の質的レベルアップを図り、社外の様々な関係者からみての安心感・安定感を高めます。

4)全ての企業活動において環境保全に配慮すると共に、様々な環境への影響を把握、管理して、天然資源、副産物の有効活用や環境負荷の低減を図り、社会への貢献に努めます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、優先して取り組むべきマテリアリティとして特定した気候変動や循環型社会等への対応を示した「サステナビリティ方針」のもと、中長期CSRビジョン「CSR2033」の活動計画に沿ってサステナビリティ経営の強化に取り組んでおります。また、当社グループの10年後(2033年度)のありたい姿を描いた長期経営構想「Vision2033」からバックキャスティングした取り組みを展開する最初の3年間として、2024年度を初年度とし2026年度を最終年度とする「2026中期経営計画」を策定いたしました。

当社グループは、この2026中期経営計画をVision2033における1st Stage「挑戦と変革」と位置づけ、10年後の飛躍に向けたグループ事業の拡大に挑むと共に、サステナビリティ課題への取り組みと成長戦略を相乗的に推進し、持続的発展と企業価値の向上を目指してまいります。

グループ全体におきまして、工事業および物流業界の時間外労働の上限規制による影響の確認および対応強化を進めてまいります。

建設・建材事業におきましては、国内外における事業環境はコロナ禍以降の緩やかな回復基調が今後も継続することが見込まれており、化粧板の拡販、海外販売比率のアップ、新商品・新工法の上市に取り組んでまいります。また、工程・原価管理を徹底し、工事利益確保に努めてまいります。

工業製品・エンジニアリング事業におきましては、将来の成長へとつながる事業基盤の構築を目指し、新規成長事業分野への積極的な製品開発、販売を行うと共に事業のサービス化への変革に取り組んでまいります。また、船舶用LNG燃料タンク防熱工法の実績を積上げると共に次世代保冷工法の開発にも取り組み、カーボンニュートラルへの貢献を目指した活動を推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、社会に存在する様々な課題の中から、当社グループが経営理念の基本としている環境・社会・ガバナンスにおいて優先して取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。この特定されたマテリアリティを基に討議し、当社グループのサステナビリティ方針を策定いたしました。

その中でも、気候変動(CO排出量のデータ表示、方針、ガバナンス、ビジネス戦略)及び産業廃棄物処理に関しては特に優先されるマテリアリティとして認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、指標及び目標は中長期CSRビジョン(CSR2030)に基づくものとなります。また、CSR2030は、長期経営構想(Vision2033)の活動期間に合わせ、新たなCSRビジョン(CSR2033)にブラッシュアップいたしました。詳細は、当社のホームページからご覧いただくことができます。

 

(1) 脱炭素社会及び循環型社会の実現に向けた環境に関する方針と取り組み

当社グループは、気候変動及び循環型社会への対応を重要な経営課題の一つと捉え、以下のように環境に関するサステナビリティ方針を策定しました。

 

1. 気候変動への対応に向けたGHG削減

2050年における温室効果ガス(GHG)のネットゼロ実現に向け、設備の導入や製造方法の見直しなどによる省エネルギー対策を推進し、太陽光発電など再生可能エネルギーを積極的に取り入れます。また、カーボンニュートラルに関する革新技術を探求し、脱炭素社会の実現を目指します。

 

2. 循環型社会に向けた産業廃棄物の削減

資源循環型社会に向け、2050年までに生産活動に起因する産業廃棄物の埋立処分率ゼロを目指し、資源のリデュース・リユース・リサイクルの3R活動を推進します。人や生態系が化学物質により悪影響を受けることのない社会を目指し、有害化学物質の削減及び代替を推進し、リスクの最小化に取り組みます。

 

①ガバナンス

環境に関する目標設定や戦略、見直しはサステナビリティ推進委員会及びその専門部会である環境部門で実施しております。本委員会では、サステナビリティに関する目標や戦略を審議し、年間の事業計画を立案、運用しております。また、原則として年に1回、サステナビリティ推進委員長が全体の取り組み状況を評価し、必要に応じて見直しの指示を行っております。

 

②リスク管理

環境に関するリスク管理はCSR2030に基づき、サステナビリティ推進委員会環境部門で管理しております。

 

③戦略

当社グループは、地球温暖化による気候変動が中長期的に大きな影響を与えるリスクであることを認識し、水セキュリティや生物多様性など多岐にわたる環境問題に対しても、将来的に直面する課題と認識しております。

これらの認識を基に、グループの新たな未来像を描いたVision2033においても環境領域の事業化への挑戦を掲げ、企業価値の更なる向上を目指すとともに、サステナビリティ課題への取り組みを相乗的に推進することで、「持続可能な地球の未来」の実現に寄与してまいります。

 

 

④指標及び目標

当社グループは、気候変動に対する目標として中長期CO削減目標を設定しております。2030年度のCO排出量は2013年度比26%削減を目標としております。

2023年度は2013年度比32.2%削減となり、CSR2030の目標を達成しております。これは、省エネ設備の導入・再生可能エネルギーの利用拡大によりエネルギー使用量を低減できたこと等の影響によるものです。最終的にはサステナビリティ方針で掲げた2050年度におけるネットゼロを目指し、脱炭素対応を推進いたします。

また、循環型社会に向け、産業廃棄物の埋立処分率ゼロを目指し、2030年度における産業廃棄物の再生利用率95%以上を目標としております。2023年度は79.0%と目標には届いておりませんが、今後も工場を中心としたリサイクル化を推進し、最終的にはサステナビリティ方針で掲げた2050年度までに、生産活動に起因する産業廃棄物の埋立処分率ゼロを目指します。

 

<中長期CO削減目標>

2030年度までにCO排出量を2013年度比26%削減

 

<CO排出量及び削減実績>

 

2013年(基準年)

2021年度

2022年度

2023年度

CO排出量(トン)

47,172

34,540

32,217

31,989

2013年度比

26.8%削減

31.7%削減

32.2%削減

 

※CO排出量はスコープ1とスコープ2の合計値を記載

スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量

スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量

※電気の使用に伴うCO排出量は調整後排出係数を用いて算定

 

<産業廃棄物の再生利用率目標>

2030年度までに産業廃棄物の再生利用率を95%以上

 

<産業廃棄物の再生利用率実績>

 

2021年度

2022年度

2023年度

再生利用率(%)

83.2

82.1

79.0

 

 

(2) 人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針と取り組み

①戦略

サステナビリティ方針では、快適な職場づくりとダイバーシティの推進を基本方針の一つに掲げており、国際労働機関(ILO)に準拠する労働環境を整備し、従業員への教育や人材育成を積極的に実施すること、女性の活躍をはじめとするダイバーシティを推進し、人権と多様性を尊重した組織を目指すことを定めており、従業員エンゲージメント向上への取り組み、女性管理職の育成等、具体的な目標を設定しております。

また、CSR2030では、事業活動を支える「地域社会」「従業員」を重視し、地域に密着した貢献活動、従業員エンゲージメント向上などに取り組んでおり、女性管理職の育成等、具体的な目標を設定しております。

 

②指標及び目標

当社グループでは、上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

CSR2030の目標

2023年度実績

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度まで10以上

4.3

有給休暇取得率

2030年度まで70以上

66.6

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景気変動、経済情勢のリスク

当社グループの事業領域に関連する業界の動向は、長期的傾向としては住宅、非住宅分野ともリフォーム市場の増加要素はあるものの、新築投資の減少傾向が続くものと思われます。

工業用諸材料及び保温保冷工事の分野においても、国内関連市場の景気動向により受注及び価格の両面において予断を許さない状況にあります。このような状況下において、著しい景気変動や経済情勢の悪化があった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 債権におけるリスク

当社グループは顧客に対し売掛金や受取手形等の債権を有しており、与信管理及び債権の保全には十分に注意しておりますが、顧客の経営状況が悪化した場合には債権回収のリスクが顕在化する可能性があります。

(3) 製品の品質維持のリスク

当社グループが生産する製品につきましては、万全の品質管理体制のもとに品質・性能の確保に努めておりますが、それらの製品に予期せぬ重大な欠陥が発生した場合には、当社グループの評価に影響を与え、また、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 海外事業活動のリスク

当社グループはインドネシア等東南アジアにおいて事業を展開しておりますが、これら海外での事業においては通常予期しない政治的混乱、急激な金融情勢の変化、現地政府による突発的な法規制等のリスクが存在いたします。

このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの海外での活動に支障が生じ、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(5) 石綿問題に係るリスク

今後、石綿による健康障害に対する補償・支援費用の発生の他、損害賠償請求訴訟の提訴により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(6) 災害に係るリスク

当社グループは生産拠点、営業拠点等複数の事業場を国内外に有しており、これらの拠点のいずれかに地震等の災害が発生した場合には、その被害状況によっては当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(7) 地政学的リスク

国際情勢の変化によるエネルギー、原材料価格の高騰や物流の混乱等に起因して、当社グループで利用するエネルギーコストや仕入コストの上昇や調達の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 その対応策として、固定費削減を進めるとともに、計画的な在庫の確保、調達先、調達方法の多様化によるリスク分散等を実施してまいります。

 (8) その他のリスク

作業環境への配慮、法規制の改正・強化への対応、安全管理の徹底等には十分注意をしておりますが、労働災害、不測の事故等により企業価値や業績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 (1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境が改善するもとで、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、全般的な物価上昇の長期化に加え、世界的な金融引き締めに伴う影響及び中国経済の動向が懸念されるなど、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループの主な事業領域である建設・建材業界では、公共投資と民間の設備投資意欲の増加により非住宅関連の建設需要は総じて回復基調が見られました。一方、エネルギー価格の高止まりと円安による原材料価格の上昇は依然として続いており、さらには施工員不足と時間外労働の上限規制もあり、人員体制の見直しの動きがみられました。

工業製品・エンジニアリング事業領域では、保温・築炉の分野で世界的なアルミ需要減少の影響が継続いたしました。その中で環境エネルギー分野ではカーボンニュートラル関連の環境を見据えた設備投資が旺盛であり、また造船業界においても新造船の建造が回復傾向にあります。

このような環境の下、当連結会計年度の売上高は工事全体売上高21,775百万円を含み41,282百万円(前期比5.3%増収)営業利益2,318百万円(前期比55.7%増益)経常利益2,403百万円(前期比65.4%増益)親会社株主に帰属する当期純利益2,699百万円(前期比189.7%増益)となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

 建設・建材事業

材料販売につきましては、国内では首都圏を中心とした再開発物件と工場関連の大型物件に支えられ出荷数量は前年とほぼ同等の実績となりました。主力商品であるけい酸カルシウム板「ハイラックフネン®」はコロナ禍以降の非住宅市場の回復により出荷が堅調に推移し、また高付加価値商品である内装不燃化粧板(ステンド®シリーズ)は、抗ウイルス機能を付加した「ステンド®#400MB-Ⅴガード®」の出荷が前年に対し大幅な増加となり、市場での知名度は徐々に浸透してきております。

海外輸出につきましては、主要輸出先である台湾における不動産不況の影響を受け主力商品のハイラックの出荷は減少しましたが、曲面施工が可能なオリジナル商品「エフジー®ボード」は中国の大型公共工事や韓国の音楽施設等の複数の大型物件を受注し、出荷は前年に比して大幅に増加しました。

国内外合わせた販売数量は前年に対しほぼ横ばいとなりましたが、原燃料価格高騰の対策として取り組んできた価格改定に加え、高付加価値商品の販売が好調に推移し、売上高は大きく増加しました。

材料販売全体の売上高は11,369百万円(前期比7.7%増収)となりました。

工事につきましては、大都市圏を中心に大型物件の稼働が続きましたが、全国的に現場の躯体工事の遅れに起因する工程遅延が多発しており、完工時期が来期にずれ込む物件も散見されました。また、仕入材料や労務費の高騰を踏まえ元請け業者や得意先との厳しい価格交渉が続く中、適正価格による受注に努めております。

工事販売全体の売上高6,215百万円(前期比6.8%増収)となりました。

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた建設・建材事業全体の売上高は17,584百万円(前期比7.4%増収)となりました。

 

  工業製品・エンジニアリング事業

材料販売につきましては、船舶関連では、国内での新造船建造は回復傾向にあり、自動車運搬船向け防熱材や副資材の出荷が増加し、高騰する諸資材や輸送費の販売価格への転嫁に努め、売上高は増加しました。

保温・築炉関連では、世界的なアルミ需要減少の影響が続いており、海外向けのアルミ溶融設備向け断熱材「レセパル®HS」の販売は減少しました。

一方で、「APコネクター®」の販売やカーボンニュートラルの新規市場向けに高性能断熱材等の需要を獲得し、売上高は大きく増加しました。また、高断熱・高耐久の省エネ資材のスペックイン活動も成果を上げています。

自動車関連は、自動車部品サプライチェーン供給回復により自動車各社の生産活動は持ち直しつつありますが、海外向けの受注については客先の在庫調整により出荷は低迷しました。産業機械関連は、工場自動化(FA)導入への潜在的需要はあるものの、中国景気の減速やサプライチェーンの混乱等のマイナス要因により、出荷は低調に推移しました。

材料販売全体の売上高は8,077百万円(前期比3.4%増収)となりました。

工事につきましては、設備保温工事、石綿除去工事、物流施設外壁断熱パネル工事などの複数の大型物件が完工となりました。また、前工程の遅れや次年度以降に完成予定の物件も多く残ることになりました。

工事販売全体の売上高15,560百万円(前期比4.0%増収)となりました

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた工業製品・エンジニアリング事業全体の売上高は23,637百万円(前期比3.8%増収)となりました。

 

  その他

不動産賃貸収入につきましては、売上高は59百万円(前期比6.1%増収)となりました。

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

  ① 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

6,100

4.8

工業製品・エンジニアリング事業

3,564

△8.3

合計

9,665

△0.4

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

  ② 受注実績

  当連結会計年度における工事部門の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

  なお、製品は主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

5,303

△16.8

3,229

△6.2

工業製品・エンジニアリング事業

16,938

24.3

7,328

30.1

合計

22,242

11.2

10,558

16.3

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

  ③  販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

17,584

7.4

工業製品・エンジニアリング事業

23,637

3.8

その他

59

6.1

合計

41,282

5.3

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の財政状態について分析しますと、総資産は前連結会計年度末に比べて、1,773百万円増加し39,952百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,280百万円増加し20,287百万円となりました。この主な要因は受取手形が減少した一方で電子記録債権が増加したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ492百万円増加し19,664百万円となりました。この主な要因は土地が減少した一方で建物及び構築物機械装置及び運搬具が増加したこと等によるものです。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ398百万円減少し14,928百万円となりました。この主な要因は支払手形及び買掛金未払法人税等が増加した一方で短期借入金が減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ259百万円減少し6,091百万円となりました。この主な要因は長期借入金訴訟損失引当金が減少したこと等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ2,431百万円増加し18,932百万円となりました。この主な要因は利益剰余金が増加したこと等によるものです。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ523百万円増加し2,570百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、3,065百万円(前期は694百万円の減少)となりました。この主な要因は固定資産売却益の計上により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上により資金が増加したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の増加は、515百万円(前期は317百万円の減少)となりました。この主な要因は有形固定資産の取得による支出により資金が減少した一方で、有形固定資産の売却による収入により資金が増加したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、3,061百万円(前期は730百万円の増加)となりました。この主な要因は短期借入金の純減額により資金が減少したこと等によるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資本の財源

当社グループの主な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに生産設備の増強、改修等に係る投資によるものであります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。

 

②資金の流動性

手許の運転資金については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、当社及び一部の国内子会社において当社のCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

①固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候があると判定された資産について、経営者が承認した事業計画に基づき、将来キャッシュ・フローを見積りして減損損失の認識を判定し、その必要があると判定された場合は金額を測定して減損損失を計上しております。

翌連結会計年度の将来キャッシュ・フローについては、2024年問題を起因とする人手不足や中国経済の動向による影響を含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたり、経営者が承認した事業計画に基づき、将来の課税所得を見積りしております。その結果、回収可能性が認められない金額については評価性引当額を計上しております。

翌連結会計年度の課税所得については、2024年問題を起因とする人手不足や中国経済の動向による影響を含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③訴訟損失引当金

当社グループは、建設アスベスト訴訟に係る訴訟損失引当金について、高等裁判所の判決及び最高裁判所の判決等に基づき、金額を見積りしております。

翌連結会計年度において、新たな訴訟、新たな判決が確定した場合には、訴訟損失引当金の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、主として数理計算で設定される退職給付債務の割引率に基づいて計上しております。割引率については、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。

割引率の変動は、翌連結会計年度の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤棚卸資産の評価

当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。評価額については過去の販売実績や足元の販売動向を基礎として算定しておりますが、製品の品質に重要な欠陥が生じた場合や、翌連結会計年度の市場環境に重要な影響を与える要因が発生した場合には、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、2023中期経営計画の基本方針に沿った開発計画に則り、技術開発研究所が中心となり、各事業本部の事業推進部及び技術部、営業部門、生産部門及びグループ各社と密接な連携の下に進めてまいりました。研究開発活動の重点は、市場の要望に応えかつ長期経営構想Vision2033に基づき、当社グループの将来の柱となりうる戦略上重要なテーマに取り組むことであり、お客様満足度の高い商品の上市・サービスの向上を目指しております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は444百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

建設・建材事業

建設・建材事業につきましては、材料販売の拡大を図るために、化粧板を中心とした高機能商品の開発及び生産性の向上等に取り組んでおります。また、建材工事における環境対策や省人化等の新工法、免振工法、不燃断熱工法、耐火被覆工法等の開発を行っております。

当連結会計年度における主な成果は、多様化する顧客ニーズに対応するため、前連結会計年度に上市して顧客に好評を得ております抗菌・抗ウイルスのSIAA抗菌加工認証を受けた化粧板「ステンド®#400MB-Vガード®」のバリエーション拡充、化粧板のラインアップ拡大に向けた技術開発等を挙げることができます。また、省エネルギー技術や労働人口の減少に対応可能な新工法の開発に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は231百万円であります。

 

工業製品・エンジニアリング事業

工業製品・エンジニアリング事業につきましては、プラント関連では、環境配慮型の工業用ディスクロール、工業用非金属伸縮接手の開発、熱診断技術の進化による事業拡大、保冷分野では、低炭素社会の実現に向けた保冷工法を確立、自動車関連では、摩擦材の品質向上、船舶関連では船舶内装用材料の開発及び認定取得に取り組んでおります。

当連結会計年度における主な成果は、船舶用LNG燃料タンク防熱工法及び材料の開発、先進国向け高性能ガスケットの開発並びにアセアン、インド市場向け摩擦材の開発などが挙げられます。

当事業に係る研究開発費は213百万円であります。