当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加を背景に、内需を中心に景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、人件費や物流コストの増加などの物価上昇による個人消費への影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主な事業領域である建設・建材業界では、首都圏の大型プロジェクトや大阪・関西万博関連の工事のほか、円安によるインバウンド需要を背景に旺盛な設備投資が進んでおります。一方で、建設資材価格や労務費の高騰による工事収益の圧迫や施工員の高年齢化と人材確保の問題などにより、採算性の悪化が懸念される環境が続いております。
工業製品・エンジニアリング事業領域では、プラント、環境エネルギー分野において、海外を中心に業界の需要は高まっており、再生可能エネルギーやカーボンニュートラルを見据えた設備投資が進んでおります。船舶分野においても造船市場は中長期的に拡大傾向にあり、クリーンエネルギー船舶の建造に対する需要が高まっております。一方で、自動車業界においては、半導体不足は徐々に改善されてきておりますが、自動車価格の高騰や国内の一部メーカーによる性能試験の不正などにより、厳しい販売環境が続いております。
このような環境の下、サステナブルな事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し続ける企業への進化を目指し、当社グループの新たな未来像を描いた長期経営構想「Vision2033」とサステビナリティ課題への取り組みを相乗的に推進する「CSR2033」を車の両輪として持続的な発展と企業価値の向上に取り組んでまいります。
当中間連結会計期間の売上高は20,246百万円(前年同期比3.5%増収)、営業利益882百万円(前年同期比13.4%増益)、経常利益879百万円(前年同期比1.8%増益)、親会社株主に帰属する中間純利益533百万円(前年同期比67.4%減益)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
材料販売につきましては、国内では主力商品である けい酸カルシウム板「ハイラックフネン®」の販売は、首都圏の再開発案件及び大型物件の工期遅延の影響により低迷しました。一方で、抗菌・抗ウイルス加工を施し特殊仕上げにより金属痕跡を防ぐ「ステンド®#400MB-V ガード®」と生産施設などのドライルーム用高性能不燃化粧板「ステンド®#800ドライ」の販売は、それぞれ特性を活かした販売戦略が受注拡大に繋がり前年を大きく上回りました。また、曲面施工が可能なオリジナル商品「エフジー®ボード」の販売は、文化・教育施設などの非住宅市場での確固とした採用により高い水準で販売数を維持しております。海外輸出では中国、韓国の不動産不況による建設需要に停滞がみられる一方で、台湾向けの けい酸カルシウム板販売は、台湾企業の国内回帰により建設市場は活発化しており大きく増加しました。
国内外合わせた販売数量は前年に対しまして微増となり、原燃料費の高騰、物流費コストアップ対策として実施しております販売価格の改定に加え、高付加価値商品の販売が好調に推移し、売上高は増加しております。
材料販売全体の売上高は5,636百万円(前年同期比4.7%増収)となりました。
工事につきましては、西日本地区において複数の大型物件が完工したものの、都市部を中心とした大型物件において躯体工事を起因とする工程遅延が多発しております。今後も工程遅延による業績への影響が懸念されることに加え、仕入材料や労務費の高騰による工事収益の圧迫や人材確保の問題など工事環境は厳しい状況にありますが、利益確保を見据えた適正価格による工事受注に努めてまいります。
工事全体の売上高は2,737百万円(前年同期比8.8%減収)となりました。
以上の結果、材料販売及び工事を合わせた建設・建材事業全体の売上高は8,374百万円(前年同期比0.2%減収)となりました。
材料販売につきましては、船舶関連では、国内の各造船所において建造が回復傾向にあり、自動車運搬船向けの防熱材や副資材の販売が好調に推移し、高騰する諸資材や輸送費の販売価格への転嫁に努めた結果、売上高は大きく増加しました。プラント関連では、定期点検での「APコネクター®」のメンテナンス工事や緊急補修工事の獲得に努めながら、選別受注にも取り組んだ結果、利益率は向上しました。保温・築炉関連では、国内の大口保温工事がない厳しい状況下において、カーボンニュートラル関連向けの築炉資材の大口受注や保冷庫工事の請負受注等、新たな取組が成果に結びつきました。自動車関連では、半導体不足や型式認証不正問題などからの業界全体の本格的な回復に至っておりませんが、顧客に対して価格再改定の交渉や新規受注の獲得に注力し、売上高は堅調に推移しました。また海外向けの受注についても得意先の在庫調整が進み、回復の兆しが見えてきております。産業機械分野においては、工場自動化(FA)の潜在的な需要はあるものの、中国経済の低迷により各社が在庫調整を行っているため厳しい状況ではありますが、不良の削減、生産性向上および人員再配置などの対策を講じ利益確保に努めております。
材料販売全体の売上高は、4,130百万円(前年同期比1.8%増収)となりました。
工事につきましては、プラント部門のLNG燃料船タンク保冷工事やメンテナンス工事、建装部門の大型物流施設外壁断熱パネル工事が完工し、売上高は大幅に増加しました。重点顧客に対する深耕営業や提案営業による他社との差別化を図り、グループ各社と連携のうえ工事受注拡大に努めてまいります。
工事販売全体の売上高は7,713百万円(前年同期比8.9%増収)となりました。
以上の結果、材料販売及び工事を合わせた工業製品・エンジニアリング事業全体の売上高は11,843百万円(前年同期比6.3%増収)となりました。
不動産賃貸収入につきましては、売上高は28百万円(前年同期比3.0%減収)となりました。
当社グループは不燃建材の製造、販売と共に建設・建材関連工事及び工業製品・エンジニアリング関連工事の設計、施工を主な事業としており、それら工事部門の売上高は全売上高のおおよそ5割を占めております。工事契約については一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができないが、当該履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれる場合には、原価回収基準により収益を認識しております。
わが国では、事業年度を4月から翌3月までと定めている企業が多いため、工事の検収が年度の節目である9月及び3月に集中する傾向があり、なかでも工事期間の長い工業製品・エンジニアリング関連工事においては連結会計年度末である3月への集中が顕著であります。このため、当社グループの業績には季節的変動があります。
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ898百万円増加し40,851百万円となりました。この主な要因は、電子記録債権、完成工事未収入金及び契約資産が減少した一方で、有形固定資産のその他(純額)、現金及び預金が増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ499百万円増加し21,519百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金、未払法人税等が減少した一方で、短期借入金、電子記録債務が増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ399百万円増加し19,331百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ478百万円増加し、3,049百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、133百万円(前年同期は546百万円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前中間純利益の計上、売上債権の減少により資金が増加した一方で、法人税等の支払額により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、1,455百万円(前年同期は1,437百万円の増加)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却による収入により資金が増加した一方で、有形固定資産の取得による支出により資金が減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、2,064百万円(前年同期は1,871百万円の減少)となりました。この主な要因は、短期借入金の純増額により資金が増加したこと等によるものです。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は、250百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
当社は2024年8月27日開催の取締役会において、大昭和ユニボード株式会社の株式を取得して連結子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結、2024年10月1日に株式を取得しました。
詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。