第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「建材に関する生産、化粧加工、施工の技術」と「熱、音、その他のエネルギーをコントロールする技術」をもとに、安全で安心でき、快適な環境を創造する事業を通じて、生活環境と社会基盤の充実並びに産業の発展に貢献する企業グループになることを目指しております。その実現のために、下記の方針により企業活動を展開していきます。

1)お客様や市場の声を敏感に受け止め、新商品・新事業の研究・開発、探索・導入、そして市場投入を絶え間なく継続し、お客様に信頼感を持っていただける安全で高品質な商品、工事およびサービスを提供し続けます。

2)技術力の向上並びに管理手法の改善等によりコスト削減を図り、収益性を一層高めて、当社グループの持続的な発展に努めます。

3)法と社会秩序を遵守すると共に、的確な企業統治と内部統制のシステムを確立し、その機能を充実させることにより、経営の質的レベルアップを図り、社外の様々な関係者からみての安心感・安定感を高めます。

4)全ての企業活動において環境保全に配慮すると共に、様々な環境への影響を把握、管理して、天然資源、副産物の有効活用や環境負荷の低減を図り、社会への貢献に努めます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、新たな未来像を描いた長期経営構想「Vision2033」で10年後のありたい姿を目指し、その目標からバックキャスティングした取り組みを展開する最初の3年間を1st Stage「挑戦と変革」をキーワードとした「2026中期経営計画」を策定しております。この計画においては、3つの主要施策「Ⅰ.新ビジネスモデルとコーポレートブランドの確立による収益拡大」、「Ⅱ.戦略的M&Aによる事業規模の拡大」、「Ⅲ.DX基盤整備による業務改革の実現」を柱とした成長戦略と中長期CSRビジョン「CSR2033」で示したサステナビリティ課題への取り組みとを相乗的に推進し、サステナブルな事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し続ける企業への進化を目指し、持続的な発展と企業価値の向上に取り組んでおります。

グループ全体におきましては、「働き方改革」、「採用力の強化」、「本社ビルの老朽化」を理由に神奈川県横浜市鶴見区から東京都港区へ2025年2月8日に移転しております。

建設・建材事業におきましては、化粧板の拡販、海外販売比率のアップ、新商品・新工法の上市に取り組んでまいります。また、工程・原価管理を徹底し、工事利益確保に努めてまいります。

工業製品・エンジニアリング事業におきましては、将来の成長へとつながる事業基盤の構築を目指し、新規成長事業分野への積極的な製品開発、販売を行うと共に事業のサービス化への変革に取り組んでまいります。また、船舶用LNG燃料タンク防熱工法の実績を積上げると共に次世代保冷工法の開発にも取り組み、カーボンニュートラルへの貢献を目指した活動を推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、社会に存在する様々な課題の中から、当社グループが経営理念の基本としている環境・社会・ガバナンスにおいて優先して取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。この特定されたマテリアリティを基に討議し、当社グループのサステナビリティ方針を策定いたしました。

その中でも、気候変動(GHG排出量のデータ表示、方針、ガバナンス、ビジネス戦略)及び産業廃棄物処理に関しては特に優先されるマテリアリティとして認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、指標及び目標は中長期CSRビジョン(CSR2033)に基づくものとなります。CSR2033の詳細は当社のホームページからご覧いただくことができます。

 

(1) 脱炭素社会及び循環型社会の実現に向けた環境に関する方針と取り組み

当社グループは、気候変動及び循環型社会への対応を重要な経営課題の一つと捉え、以下のように環境に関するサステナビリティ方針を策定しました。

 

1. 気候変動への対応に向けたGHG削減

2050年におけるGHGのネットゼロ実現に向け、設備の導入や製造方法の見直しなどによる省エネルギー対策を推進し、太陽光発電など再生可能エネルギーを積極的に取り入れます。また、カーボンニュートラルに関する革新技術を探求し、脱炭素社会の実現を目指します。

 

2. 循環型社会に向けた産業廃棄物の削減

資源循環型社会に向け、2050年までに生産活動に起因する産業廃棄物の埋立処分率ゼロを目指し、資源のリデュース・リユース・リサイクルの3R活動を推進します。人や生態系が化学物質により悪影響を受けることのない社会を目指し、有害化学物質の削減及び代替を推進し、リスクの最小化に取り組みます。

 

①ガバナンス

環境に関する目標設定や戦略、見直しはサステナビリティ推進委員会及びその専門部会である環境部門で実施しております。本委員会では、サステナビリティに関する目標や戦略を審議し、年間の事業計画を立案、運用しております。また、原則として年に1回、サステナビリティ推進委員長が全体の取り組み状況を評価し、必要に応じて見直しの指示を行っております。

 

②リスク管理

環境に関するリスク管理はCSR2033に則り、サステナビリティ推進委員会環境部門で管理しております。

 

③戦略

当社グループは、地球温暖化による気候変動が中長期的に大きな影響を与えるリスクであることを認識し、水セキュリティや生物多様性など多岐にわたる環境問題に対しても、将来的に直面する課題と認識しております。

これらの認識を基に、グループの新たな未来像を描いたVision2033においても環境領域の事業化への挑戦を掲げ、企業価値の更なる向上を目指すとともに、サステナビリティ課題への取り組みを相乗的に推進することで、「持続可能な地球の未来」の実現に寄与してまいります。

 

 

④指標及び目標

Vision2033で描く成長戦略に基づき、積極的なM&Aによる事業規模の拡大を目指す当社グループは、実現可能な取り組み目標として、GHG排出量売上高原単位を2030年度には2013年度比46%削減、並びに2033年度には同50%削減することを目指しています。

2024年度は2013年度比42%の削減となり、CSR2033の目標達成ペースを維持しています。

最終的にはサステナビリティ方針で掲げた2050年度におけるネットゼロを目指し、脱炭素対応を推進いたします。

次に、循環型社会に向け、産業廃棄物の埋立処分率ゼロを目指し、2033年度における産業廃棄物の再生利用率96%以上を目標としております。2024年度は85.4%となりました。

今後も工場を中心としたリサイクル化を推進し、最終的にはサステナビリティ方針で掲げた2050年度までに、生産活動に起因する産業廃棄物の再生利用率100%(=埋立処分率ゼロ)を目指します。

 

<中長期GHG削減目標>

2033年度までにGHG排出量売上高原単位を2013年度比50%削減

 

<GHG排出量及び削減実績>

 

2013年(基準年)

2022年度

2023年度

2024年度

GHG排出量

(トン-CO2e)

47,172

32,217

31,989

33,004

GHG排出量

2013年度比

31.7%削減

32.2%削減

30.0%削減

GHG排出量売上高原単位

(トン-CO2e /百万円)

1.315

0.822

0.775

0.760

GHG排出量売上高原単位

2013年度比

37.5%削減

41.1%削減

42.2%削減

 

GHG排出量はスコープ1とスコープ2の合計値を記載

スコープ1:事業者自らによるGHG直接排出量

スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHG間接排出量

電気の使用に伴うGHG排出量は調整後排出係数を用いて算定

 

<産業廃棄物の再生利用率目標>

2033年度までに産業廃棄物の再生利用率を96%以上

 

<産業廃棄物の再生利用率実績>

 

2022年度

2023年度

2024年度

再生利用率(%)

82.1

79.0

85.4

 

 

 

(2) 人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針と取り組み

①戦略

サステナビリティ方針では、快適な職場づくりとダイバーシティの推進を基本方針の一つに掲げており、国際労働機関(ILO)に準拠する労働環境を整備し、従業員への教育や人材育成を積極的に実施すること、女性の活躍をはじめとするダイバーシティを推進し、人権と多様性を尊重した組織を目指すことを定めており、従業員エンゲージメント向上への取り組み、女性管理職の育成等、具体的な目標を設定しております。

また、CSR2033では、事業活動を支える「従業員」「サプライチェーン」「地域社会」を重視し、従業員エンゲージメント向上やサプライチェーンへの働きかけ、地域に密着した貢献活動などに取り組み、具体的な目標を設定しています。

 

②指標及び目標

当社グループでは、上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

CSR2033の目標

2024年度実績

管理職に占める女性労働者の割合

2033年度まで10以上

4.1

有給休暇取得率

2025年度まで70以上

60.8

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景気変動、経済情勢のリスク

当社グループの事業領域に関連する業界の動向は、長期的傾向としては住宅、非住宅分野ともリフォーム市場の増加要素はあるものの、新築投資の減少傾向が続くものと思われます。

工業用諸材料及び保温保冷工事の分野においても、国内関連市場の景気動向により受注及び価格の両面において予断を許さない状況にあります。このような状況下において、著しい景気変動や経済情勢の悪化があった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 債権におけるリスク

当社グループは顧客に対し売掛金や受取手形等の債権を有しており、与信管理及び債権の保全には十分に注意しておりますが、顧客の経営状況が悪化した場合には債権回収のリスクが顕在化する可能性があります。

(3) 製品の品質維持のリスク

当社グループが生産する製品につきましては、万全の品質管理体制のもとに品質・性能の確保に努めておりますが、それらの製品に予期せぬ重大な欠陥が発生した場合には、当社グループの評価に影響を与え、また、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 海外事業活動のリスク

当社グループはインドネシア等東南アジアにおいて事業を展開しておりますが、これら海外での事業においては通常予期しない政治的混乱、急激な金融情勢の変化、現地政府による突発的な法規制等のリスクが存在いたします。

このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの海外での活動に支障が生じ、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(5) 石綿問題に係るリスク

今後、石綿による健康障害に対する補償・支援費用の発生の他、損害賠償請求訴訟の提訴により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(6) 災害に係るリスク

当社グループは生産拠点、営業拠点等複数の事業場を国内外に有しており、これらの拠点のいずれかに地震等の災害が発生した場合には、その被害状況によっては当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(7) 地政学的リスク

国際情勢の変化によるエネルギー、原材料価格の高騰や物流の混乱等に起因して、当社グループで利用するエネルギーコストや仕入コストの上昇や調達の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 その対応策として、固定費削減を進めるとともに、計画的な在庫の確保、調達先、調達方法の多様化によるリスク分散等を実施してまいります。

 (8) その他のリスク

作業環境への配慮、法規制の改正・強化への対応、安全管理の徹底等には十分注意をしておりますが、労働災害、不測の事故等により企業価値や業績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 (1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用・所得環境の改善等を背景に、緩やかな回復基調が継続しました。一方で、原材料価格の高騰や物価上昇の持続、さらには米国の通商政策の動向等、先行きを不透明とする要因も依然として存在しており、引き続き慎重な見極めが求められる状況にあります。

当社グループの主要事業領域である建設・建材業界におきましては、公共投資および民間投資のいずれにおいても増加傾向が見られました。なかでも、大阪・関西万博や震災復興関連の建設需要は堅調に推移しました。しかしながら、物価上昇に伴う資材価格の高騰、人手不足に起因する人件費の上昇等については、依然として注視が必要な状況が続いております。

工業製品・エンジニアリング事業領域におきましては、保温・築炉分野において世界的なアルミ需要の減少による影響が継続しております。一方、環境エネルギー分野におきましては、新たなエネルギー技術の開発が進展しており、再生可能エネルギーの活用を見据えた設備投資が活発化しております。また、造船業界におきましては、環境負荷の少ない船舶への需要が高まりを見せております。

このような環境の下、当連結会計年度の売上高は、建設・建材事業における販売価格の改定および工業製品・エンジニアリング事業における大型工事の完成により、43,421百万円(前期比5.2%増収)となりました。一方、利益面では、原燃料の高騰、労務費・物流費の増加など外部要因の影響を受け、さらに「M&A」による事業規模の拡大、「本社移転」による従業員の働き方改革、採用力・ブランド力の強化など、中長期的に当社の競争力と成長性を高めるための投資が大きく影響し、営業利益1,916百万円(前期比17.3%減益)経常利益1,885百万円(前期比21.6%減益)となりました。特別利益として、経営資源の有効活用と財務基盤の強化を図るため、本社移転に伴い旧本社の土地、建物を譲渡したことにより固定資産売却益を計上し、特別損失として、係争中のアスベスト訴訟の将来の損失への備えとして訴訟損失引当金を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失120百万円(前期は2,699百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

 建設・建材事業

材料販売につきましては、国内では主力商品であるけい酸カルシウム板「ハイラックフネン®」は、大阪・関西万博の開催に向けた出荷が旺盛となりましたが、首都圏での大型再開発案件の工程遅延および住宅市場での販売低迷により出荷は前年に対して減少しました。曲面施工が可能なオリジナル商品「エフジー®ボード」は、文化・教育施設など非住宅市場で安定した採用率と販売数を維持しており、更にドライルーム用不燃化粧板「ステンド®#800ドライ」を始めとした高品質、高性能商品は前年を大きく上回りました。また、昨年末に発売したコンクリート調インテリアボード「BEoNA(ベオナ)™」は、お客様からご好評をいただき、順調なスタートを切りました。次年度では主力商品への成長を目指し採用活動を強化してまいります。

海外輸出につきましては、中国・韓国の長引く景気低迷の影響を受けましたが、主要輸出先である台湾で市場のニーズに応じた販売戦略の推進により、主力商品であるけい酸カルシウム板の出荷が大幅に増加しました。

国内外合わせた販売数量は前年に対しほぼ横ばいとなりましたが、様々なコストアップに対する価格改定と高付加価値商品の販売拡大に努め、売上高は増加しました。

材料販売全体の売上高は12,937百万円(前期比13.8%増収)となりました。

工事につきましては、前年度から稼働していた大型物件は完成しましたが、全国的に現場の躯体工事に起因する工程遅延が影響し、完工時期が来期となる物件も散見されました。また、仕入材料や労務費の高騰を踏まえ、得意先との厳しい価格交渉を重ね、適正価格による受注に努めております。

工事販売全体の売上高5,751百万円(前期比7.5%減収)となりました。

なお、建設・建材事業において2024年10月に、低圧メラミン化粧板、建材、家具等の製造・加工・販売を行う大昭和ユニボード株式会社(現ユニボード株式会社)の全株式を取得し、連結子会社としております。

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた建設・建材事業全体の売上高は18,688百万円(前期比6.3%増収)、セグメント利益は2,450百万円(前期比7.2%減益)となりました。

 

  工業製品・エンジニアリング事業

材料販売につきましては、船舶関連では、自動車運搬船向けの防熱材や副資材の出荷が大幅に増加しました。また、セメント粉体運搬船向けの騒音対策床材、耐摩鋼加工品、遮熱・防熱塗料など、防熱材以外の船用製品の出荷も増加し、売上高は大幅に増加しました。

保温・築炉関連では、世界的なアルミ需要減少の影響が続いており、海外向けのアルミ溶融設備向け断熱材「レセパル®HS」の販売は減少しました。一方で、カーボンニュートラルを目指す新規市場向けに高性能断熱材など各種省エネ資材のスペックイン活動が成果を上げ、売上に貢献しています。

自動車関連は、一部メーカーの認証問題や能登半島地震によるサプライチェーンの不調による減産影響があったものの全体の生産台数は相応の水準を維持しており、売上高は堅調に推移しました。産業機械関連は、中国景気の停滞長期化により回復が遅れておりますが、得意先の在庫調整が進み、徐々ではありますが新規の受注が増え始めました。

材料販売全体の売上高は8,541百万円(前期比5.8%増収)となりました。

工事につきましては、一部人手不足による工期延期により引き合いの減少がありましたが、メンテナンス工事、LNG燃料船タンク保冷工事、物流施設外壁断熱パネル工事などの複数の大型物件の完工が寄与し、売上高は堅調に推移しました。また、工事工程・工事管理を徹底することにより、利益率の上昇に繋げております。

工事販売全体の売上高16,134百万円(前期比3.7%増収)となりました

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた工業製品・エンジニアリング事業全体の売上高は24,675百万円(前期比4.4%増収)、セグメント利益は1,414百万円(前期比22.6%増益)となりました。

 

  その他

不動産賃貸収入につきましては、売上高は57百万円(前期比3.3%減収)、セグメント利益は35百万円(前期比0.3%減益)となりました。

 

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

  ① 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

7,321

20.0

工業製品・エンジニアリング事業

3,661

2.7

合計

10,983

13.6

 

(注) 1.金額は、製造原価によっております。

   2.当連結会計年度において生産実績に著しい変動がありました。これは、建設・建材事業におきまして、株式の取得により新たに大昭和ユニボード株式会社(現ユニボード株式会社)を連結子会社化したことによる生産高増加によるものです。

 

  ② 受注実績

  当連結会計年度における工事部門の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

  なお、製品は主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

5,646

6.4

3,242

0.3

工業製品・エンジニアリング事業

14,912

△11.9

6,686

△8.7

合計

20,558

△7.5

9,928

△5.9

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

  ③  販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

18,688

6.3

工業製品・エンジニアリング事業

24,675

4.4

その他

57

△3.3

合計

43,421

5.2

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の財政状態について分析しますと、総資産は前連結会計年度末に比べて、885百万円増加し40,837百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,667百万円減少し18,620百万円となりました。この主な要因は流動資産のその他(仮払金)、原材料及び貯蔵品が増加した一方で現金及び預金、電子記録債権が減少したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,552百万円増加し22,217百万円となりました。この主な要因は建設仮勘定、土地が増加したこと等によるものです。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,668百万円減少し13,260百万円となりました。この主な要因は電子記録債務未払費用が増加した一方で支払手形及び買掛金短期借入金が減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ2,833百万円増加し8,924百万円となりました。この主な要因は退職給付に係る負債役員株式給付引当金が減少した一方で訴訟損失引当金長期借入金が増加したこと等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ279百万円減少し18,652百万円となりました。この主な要因は退職給付に係る調整累計額が増加した一方で利益剰余金が減少したこと等によるものです。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,904百万円減少し665百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、1,230百万円(前期は3,065百万円の増加)となりました。この主な要因は固定資産売却益の計上により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上により資金が増加したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、2,624百万円(前期は515百万円の増加)となりました。この主な要因は有形固定資産の売却による収入により資金が増加した一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出により資金が減少したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、513百万円(前期は3,061百万円の減少)となりました。この主な要因は配当金の支払額により資金が減少したこと等によるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資本の財源

当社グループの主な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに生産設備の増強、改修等に係る投資によるものであります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。

 

②資金の流動性

手許の運転資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。また、当社及び一部の国内子会社において当社のCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

①固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候があると判定された資産について、経営者が承認した事業計画に基づき、将来キャッシュ・フローを見積りして減損損失の認識を判定し、その必要があると判定された場合は金額を測定して減損損失を計上しております。

翌連結会計年度の将来キャッシュ・フローについては、不安定な国際情勢や物価上昇等による影響を含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたり、経営者が承認した事業計画に基づき、将来の課税所得を見積りしております。その結果、回収可能性が認められない金額については評価性引当額を計上しております。

翌連結会計年度の課税所得については、不安定な国際情勢や物価上昇等による影響を含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③訴訟損失引当金

当社グループは、建設アスベスト訴訟に係る訴訟損失引当金について、高等裁判所の判決及び最高裁判所の判決等に基づき、金額を見積りしております。

翌連結会計年度において、新たな訴訟、新たな判決が確定した場合には、訴訟損失引当金の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、主として数理計算で設定される退職給付債務の割引率に基づいて計上しております。割引率については、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。

割引率の変動は、翌連結会計年度の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤棚卸資産の評価

当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。評価額については過去の販売実績や足元の販売動向を基礎として算定しておりますが、製品の品質に重要な欠陥が生じた場合や、翌連結会計年度の市場環境に重要な影響を与える要因が発生した場合には、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

①当社は2024年8月27日開催の取締役会において、大昭和ユニボード株式会社(現ユニボード株式会社)の株式を取得して連結子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結、2024年10月1日に株式を取得しました。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。

 

②当社は2024年11月6日開催の取締役会において、DICデコール株式会社(現デコール株式会社)の株式を取得して連結子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結、2025年4月1日に株式を取得いたしました。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、2026中期経営計画の基本方針に沿った開発計画に則り、技術開発研究所が中心となり、各事業本部の技術部門、営業部門、生産部門およびグループ各社と密接な連携の下に進めてまいりました。研究開発活動の重点は、市場の要望に応え、かつ長期経営構想Vision2033に基づき、当社グループの将来の柱となりうる戦略上重要なテーマに取り組むことであり、お客様満足度の高い商品の上市・サービスの向上を目指しております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は512百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

建設・建材事業

建設・建材事業につきましては、材料販売の拡大を図るために、化粧板を中心とした高機能商品の開発及び生産性の向上等に取り組んでおります。また、建材工事における環境対策や省人化等の新工法、免振工法、不燃断熱工法、耐火被覆工法等の開発を行っております。

当連結会計年度における主な成果は、多様化する顧客ニーズに対応するため、昨年上市して好評なコンクリート調インテリアボード「BEoNA(ベオナ) ™ 」を開発、湿気やホルムアルデヒドを吸収して快適な環境に貢献する調質建材の性能向上など、建築用内装材のバリエーション拡充に向けた技術開発等を挙げることができます。また、省エネルギー技術や労働人口の減少に対応可能な新工法の開発にも取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は294百万円であります。

 

工業製品・エンジニアリング事業

工業製品・エンジニアリング事業につきましては、プラント関連では、溶融アルミニウムの移送樋や保持炉の内張りに使用される「レセパル®HS」のバリエーション拡充、工業用非金属伸縮継手の熱診断技術を深化させた事業拡大、低炭素社会の実現に向けた保冷工法の確立、自動車や産業機械に使用される摩擦材の品質向上、船舶事業における船舶内装用材料の開発及び認定取得に取り組んでおります。

当連結会計年度における主な成果は、船舶LNG燃料タンクへの保冷工法および材料の開発、先進国向け高性能ガスケットの開発ならびにアセアン、インド市場向け摩擦材の開発などが挙げられます。

当事業に係る研究開発費は218百万円であります。