第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、社名の由来でもある「Value & Quality」をスローガンとして、創業以来、価値ある製品の研究、開発、信頼を生む品質の高い製品の提供に努力してまいりました。そのなかで企業理念として「THE VALQUA WAY」を制定し、それを全グループ社員が共有したうえで、それぞれの業務における指針としております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、3か年中期経営計画NF2026で掲げた基本方針、

 

《世界の分断が急激に進み

デジタル化によるビジネスモデルが激変する環境下において

「THE VALQUA WAY」のもとマルチ視点で

ステークホルダーの最高満足に向けて新たな価値創造に邁進しよう》

 

1.激変する世界において本質を追求する目線の確立とそれに伴う人材育成

2.地政学リスクの増大に対応した更なるサプライチェーンの改革と強靭化

3.デジタルイノベーション加速による新たなAI/ITソリューション事業のマネタイズ

4.「技術流出」の徹底防止と新領域・新技術の見極め

5.「Think Globally, Act Locally」によるグローカリゼーションの徹底

 

のもと中期経営計画の達成に向けて、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、創業100周年を展望する時期を迎えるにあたり、社員一人ひとりが改めてこの開拓者精神に立ち未知の領域を切り拓いていく必要があると考え、以下の通りに2027年3月期におけるありたい企業像と達成をめざす長期経営目標を設定いたしました。

 

創業100周年(2027年)のありたい企業像

未来と未知に挑むチャレンジングな企業

―人類の豊かさと地球環境に貢献するために ―

 

1.あくなき成長戦略の追求とモニタリング
2.成長をゆるぎないものにする経営基盤の強化
3.より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」への積極的な取り組み

 

2027年3月期経営目標

・連結売上高 800億円

・連結ROE 15%

 

(4)経営環境

当連結会計年度において当社グループは、当期から開始している中期経営計画“New Frontier 2026”(NF2026)で掲げた「ステークホルダーの最高満足に向けて新たな価値創造に邁進する」という視点に立ち、半導体景況の回復と今後の市場拡大に備えたサプライチェーンの整備など施策を迅速に実施しつつ、将来におけるさらなる成長を展望した収益力の強化と健全で持続的な成長を支え得る企業基盤の構築に向けた取り組みを推進しました。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

次期に向けては、米国の関税政策、各国間の外交関係の悪化、東アジア・ウクライナ・中東の情勢など世界全体の経済に影響を与え得る多くの不透明要素が存在しております。また、当社グループ周辺においては、世界的な設備投資のさらなる減速、半導体関連景況の本格的な回復の遅れ、人手不足と人件費の上昇などが懸念され得る状況となっております。

このような事業環境下、当社グループは、(2)経営戦略等に掲げた方針を進めてまいります。

 

<事業展開について>

シール製品事業につきましては、既存基盤の選択と集中による収益力の強化を進めるとともに、製販技の連携強化や多様な販売チャネルの拡充に努め、「デジタル技術を融合させたAI/ITソリューションの提供」「高機能シール製品のソリューション展開および生産力強化」の重点施策を推進することで事業基盤の強化に努めてまいります。

機能樹脂製品事業につきましては、今後も半導体関連市場への資源配分を強化し、拡大が見込まれる同市場に向けた生産能力拡大など、サプライチェーンの整備を行ってまいります。またデジタルサービスを活用した事業の高付加価値化を積極的に展開することで、業容拡大と事業効率向上の実現を図ります。

なお、地政学リスクへの対応につきましては、米中をはじめとする地域間の対立による経済安全保障への意識の高まりや経済デカップリングの動きに対応したサプライチェーンの改革・強靭化を引き続き進めてまいります。

 

<サステナビリティ活動の推進と人材開発の強化>

当社グループにおけるサステナビリティとは、企業理念である「THE VALQUA WAY」のもと、当社のグループの健全で持続的な成長と共に持続可能な社会を実現することであると考えております。人類の豊かさと地球環境に貢献するために、創業100周年のありたい企業像である、より良き地球市民として、「環境・社会・企業統治」へ積極的に取り組んでいます。この持続可能な社会の実現に向けた取り組みを「VALQUA Sustainable Action」として定義し、以下3点の活動を重点的に進め、基本理念であるValue(価値の創造)とQuality(品質の向上)につなげてまいります。

1. サステナビリティ経営に資する重要課題の見直し

2. 重要課題ごとの具体的な目標設定と進捗管理

3. コーポレートレポート等を通じた経営戦略とつながるサステナビリティ活動状況の開示拡充

 

また、当社はこれまで一貫して人材こそが最も重要な経営資源であり、競争力の源泉であると位置づけております。世界が未曾有の危機に直面している環境の中、「THE VALQUA WAY」を基軸とする本質の追求による「理と利(理念と利益)」の実現を目指し、改めてビジョナリー経営の強化へ立ち返り、「THE VALQUA WAY」の現場浸透を図るとともに「Well-being経営」を推進する中で積極的な人材開発により、時代責任を担いうるバルカーパーソンの育成に積極的に取り組んでまいります。

 

<企業倫理の徹底・浸透の拡充>

2024年9月25日に公表いたしました当社元執行役員および元従業員による不正行為につきまして、当社は特別調査委員会の調査結果および再発防止に向けた提言を真摯に受け止め、同年11月27日に開示した再発防止策を着実かつ迅速に実行しております。なお同策の進捗状況は、本年2月26日に第1回の報告を、そして5月14日に第2回の報告をそれぞれ公表いたしました。

今後も「不正行為を二度と発生させない」という強い決意のもと再発防止策の実施と徹底を図るとともに企業風土の改革を進めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

バルカーグループはサステナビリティを、(企業理念である「THE VALQUA WAY」のもと、健全で持続的な成長と持続可能な社会を実現すること)と考えています。バルカーグループは、これからも、人類の豊かさと地球環境に貢献するために、事業活動を通してサステナビリティ活動を推進し、「価値の創造と品質の向上」を追求し続けていきます。

 

①ガバナンス

「バルカーグループサステナビリティ委員会」をグループ全体のサステナビリティ活動を議論する重要な会議体として位置付け、バルカーグループの執行役員である委員で構成しています。年に1回定期的に開催し、その結果を年に1回常務会で報告しています。

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②リスク管理

バルカーグループはリスクマネジメントを強化するため、「リスク管理委員会」を設置し、国内外の事業環境の急激な変化と事業領域の拡大に伴って 多様化するグループ経営上のリスクを一元管理しています。大規模災害など事業の継続を脅かす事象が発生した場合に、グループの統制をとり迅速に対応するため、2020年に事業継続計画(BCP)マニュアルを策定し、運用を開始しています。これからも、多様化するリスクに備え、リスクマネジメントの強化を図っていきます。

 

③サステナビリティ重要課題

バルカーグループでは、現在、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、環境、安全衛生、サプライチェーンマネジメント、人材・人権、顧客満足、コミュニティの8つを重点領域とした、16の重要課題を設定し、重要課題に沿った具体的かつ積極的な取り組みを推進しています。

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(1)気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)

株式会社バルカーは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD*)提言への賛同を表明するとともに、提言の推進を目的に設立された「TCFDコンソーシアム」に加入しました。

当社グループでは企業理念「THE VALQUA WAY」に基づくビジョナリー経営を推進しており、社員の一人ひとりが「安全・衛生・環境は人類共通の重要テーマの一つである」ことを強く意識した企業活動を実践しています。また、創業100周年(2027年)を区切りとする長期経営目標では、ありたい企業像として「未来と未知に挑むチャレンジングな企業-人類の豊かさと地球環境に貢献するために-」を掲げ、より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献できる企業となることを目指しています。このような認識・考えのもと、企業価値向上に努めてまいります。

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①ガバナンス

当社グループでは、気候関連課題を重要な経営課題とし取締役会の監督のもと取り組んでいます。気候関連課題に関する当社グループのガバナンス体制は右図の通りです。

まず気候関連課題は「バルカーグループサステナビリティ委員会」において、サステナビリティ経営に伴う重要課題(マテリアリティ)のひとつとして特定され当該課題に対する基本的な方針及び取組を審議・決定し、定期的に常務会へ報告しています。特に気候変動関連のグループ全体で取り組むべき施策については、当社グループの「安全・衛生・環境(SHE)委員会」において審議・決定し、各部門・グループ各社の「安全・衛生・環境(SHE)推進チーム」の活動に反映させることで、グループ横断的かつ効果的な取組に繋げる体制とし、その内容は定期的に常務会へ報告しています。また「リスク管理委員会」では、気候変動関連のリスクを含むリスクを定期的に取締役会・常務会に報告し、監督・指示を受けています。

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②リスク管理

当社グループでは、リスクマネジメントを強化するため、「リスク管理委員会」を設置し、国内外の事業環境の急激な変化と事業領域の拡大に伴って多様化するグループ経営上のリスクを一元管理しています。

気候変動関連のリスクについては、バルカーグループサステナビリティ委員会および安全・衛生・環境(SHE)委員会のほか、コーポレート部門と事業部門が連携してリスク・機会の識別や評価、対応策の検討を行っており、特定された重要なリスク・機会は、リスク管理委員会に適宜情報共有され、必要に応じて全社リスクに統合しています。全社リスクの管理状況は定期的にリスク管理委員会から取締役会および常務会に報告し、監督を適切に受ける体制を整えています。

 

③戦略

当社グループの財務に影響を及ぼす気候変動関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(1)やIPCC(2)などのデータを基に、4シナリオ(成り行きで温暖化が進行するシナリオ)と1.5シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)の2つのシナリオに基づき分析を実施しました。

 

シナリオの定義

対象期間:2050年を想定してリスク・機会を特定(ただし、財務的影響の内容については2030年を念頭に評価)

対象範囲:バルカーグループ

参照シナリオ:1.5°CにおいてはIEA NZE、IPCC RCP1.9等

4°CにおいてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5等

 

1 IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
2 IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)

 

シナリオ分析の結果、特定した気候変動関連の主なリスク・機会、およびそれらに対する今後の対応策は以下の通りです。

 

「1.5シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)」

シナリオの世界観

 

財務的影響の内容

程度

時間軸(※1)

対応策

脱炭素化への移行に伴う大きな社会変化が起こることを想定しています。

例えば、カーボンプライシングの導入や脱炭素エネルギーへのシフト、リサイクル技術の進展等を見込んでいます。

また、自動車産業では次世代車の普及が急速に進む他、様々な分野でGHG(※2)削減や省エネ化に寄与する技術や製品が求められるようになり、それらに用いられる半導体の需要はより拡大することを想定しています。

リスク

(政策・法規制)

GHG(※2)規制強化に伴い、電力会社の電源構成の変化(再エネ由来の電力比重の増加)によるエネルギーコストの増加

短期

・全社的な省エネ設備、再生エネルギーの導入

・製造工程における歩留まり向上、生産性改善による省エネ化、電力使用量の削減

・製造工程における省エネ設備の導入

(災害)

自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶

中期

・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー

・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化

・損害保険の付保

 

機会

 

(半導体市場)

脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加

 

 

中期

・先端市場向け製品の研究開発体制の強化

・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ)

・顧客ニーズの調査や販売力の強化

・供給能力の拡大

(EV関連等市場)

EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加

 

 

 

「4℃シナリオ (成り行きで温暖化が進行するシナリオ)」

シナリオの世界観

 

財務的影響の内容

程度

時間軸(※1)

対応策

低炭素・脱炭素への規制強化はそれほど進まず、気候変動に起因する平均気温上昇等により自然災害の激甚化を想定しています。

また、自動車産業では次世代車の普及は進展するものの、1.5℃シナリオと比べて緩やかであるため、当面はエンジン車の生産・販売が中心となることを想定しています。

ただし、技術革新の追求は止まることなく、半導体の需要はより拡大していくものと想定しています。

リスク

(災害)

自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶

短期

・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー

・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化

・損害保険の付保

機会

(半導体市場)

脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加

短期

・先端市場向け製品の研究開発体制の強化

・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ)

・顧客ニーズの調査や販売力の強化

・供給能力の拡大

(市場/EV関連等)

EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加

長期

 

※1 時間軸:短期3年以内、中期4~6年、長期10年以上

※2  GHG:Greenhouse Gas(二酸化炭素などの温室効果ガス)

※3  BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)

 

当社グループの気候変動関連のシナリオ分析を実施した結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、高いレジリエンスを有していると評価しました。

今後、特定したリスクへの対応と機会への実現に向けて、取組をより一層推進してまいります。

 

また当社グループは持続可能な社会の実現を目指しており、経営予算、事業計画の決議を行う際には、経営理念である「THE VALQUA WAY」や「創業100周年(2027年)のありたい企業像」に従い、気候変動問題を考慮しています。

例えば、設備投資予算では環境投資予算を区分管理し、常務会において決議しています。

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④指標と目標

当社グループでは、気候変動影響の緩和に向けて、合理化・原価低減活動や、老朽化設備の更新、太陽光発電による自家発電等の施策により、売上高原単位(t-CO2/百万円)(※1)前年度比1%減を目標として、温室効果ガスの排出量削減に取組んでいます。

また、その実績については右図のとおり、温室効果ガス排出量(Scope1(2)、2(3))を算定し、温室効果ガス排出量の状況をモニタリングしています。

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Scope3(※4) についてもモニタリングを続けており、HPで公開しています。

https://www.valqua.co.jp/social/environment/ (第125期データは2025年7月以降掲載予定)

※1 売上高原単位(t-CO2/百万円):Scope1、2として算出した温室効果ガス排出量を当該年度の売上高で除した

※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガス直接排出

※3 Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

※4 Scope3:Scope1、2を除いて、原料調達から生産、販売、廃棄までにおける間接排出

※ 温室効果ガス算定方法:「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づく温室効果ガス排出量算 定・報告・公表制度の各燃料及び電力の排出係数、海外工場所在国の電力の排出係数を毎年再確認し算定

 

 

(2)人的資本

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループに属するすべての会社で指標及び目標の設定が行われているものではないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しています。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2027年3月まで15

13.5

男性労働者の育児休業取得率

44.4

労働者の男女の賃金の差異

70.1

 

①人材の育成に関する方針

当社では最も重要な経営資本は社員であり、人的資本が競争力の源泉だと考えており、グループ共通の企業理念である「THE VALQUA WAY」の現場浸透を図るとともに「Well-being経営」を推進する中で、社員それぞれが最大限の力を発揮できる職場環境づくりと、人材の育成を推進しています。当社は2025年度、創業99年目を迎えます。創業100周年を超えて発展を続けるため、事業の変革を推進し、そのために必要な人材の育成と配置を実施しております。

事業の変革の一例として、シール製品や機能樹脂製品といったハード面に加え、お客様にさらなる安全性、効率性と快適性をお届けするために、設備の遠隔監視や定期点検を一元管理できるMONiPLATや樹脂部品・設計・調達業務をデジタルでサポートできるQuick Value等、デジタルを含めたサービスの拡充を行っております。このような新たな取組みを企画・実行し、当社の将来を作るために、グループ人材ポートフォリオに基づいた採用・育成計画を策定するとともに、グループの枠を超えて性別・年齢・経歴等にとらわれることなく、優秀な社員のチャレンジを支援しています。

 

②ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

今後、日本を中心に労働人口が減少していく中で、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮することが求められます。当社では、執行役員や部長相当職に30代を登用する一方、優秀な人材については60歳を超えても関係会社の社長を任せる等、国籍・性別・年齢や新卒・中途等のバックグラウンドにとらわれず、適材適所の人材登用を行っています。その結果、当社単体では、経歴にとらわれない人材登用の一例として、管理職に占める中途採用者の割合は2022年度46.0%、2023年度49.5%、2024年度50.5%となっており、着実に高まりを見せています。また、執行役員の平均年齢は2022年度55.5歳、2023年度55.0歳、2024年度55.1歳となり、管理職に占める女性労働者の割合は2022年度13.1%、2023年度13.8%、2024年度13.5%に、取締役に占める女性役員の割合は2019年度以降2024年度まで28.6%を維持しています。男女問わず、多様な人材のキャリアをサポートする仕組みの一つとして、副業制度や時間単位有給、キャリアリターン制度を導入しているほか、ライフイベントとキャリアを両立するための仕組み作りも推進しています。

 

③社内環境整備に関する方針

当社では階層別研修や昇格時研修、自己選択型研修、各部門でのOJTや業務研修に加え、選抜研修として「海外経営幹部養成」や役員候補の育成「CEO塾」等を実施し、個々人の成長とキャリア支援を促しております。2023年度からは新たに「生産会社経営者育成研修」も開始し、メーカーとして生産会社経営に特化したプログラムも開始しました。今後、さらに事業の在り方が変革する中で、社員のリスキリングや、高齢化に対応したコア技術継承等、攻めと守りの両面で育成を強化してまいります。

3【事業等のリスク】

当社グループは、事業活動に関するリスク管理を所管するリスク管理委員会(委員長CEO、副委員長COO)を設置し、経営上重要なリスクの抽出・評価および執行におけるリスク管理状況の確認を行い、常務会および取締役会に定期的に報告しております。また、特に品質、貿易管理、法令違反、安全・衛生・環境、経済安全保障、情報セキュリティのリスクについては、執行役員を中心に構成された各専門委員会でそれぞれ管理しており、リスク管理委員会はこれらの委員会の活動状況の報告を受け、最終的に全社リスクとして評価し、管理しております。

これらの管理を通じて、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、リスクの顕在化の不測の事態に備え、主要取引銀行との間で合計30億円のコミットメントラインを設定しており、急な資金需要にも柔軟に対応できる体制を整えております。

(1) 地政学的リスク

 ① 海外事業展開に関するリスク

<リスクの内容>

当社グループは、製品の輸出入や海外における現地生産など、幅広く海外で事業を展開しております。こうしたグローバルな事業展開に関するリスクとして、国や地域における政治経済情勢の悪化、各国の法規制の変更、テロ、紛争などの要因による社会的混乱等の地政学的リスクが考えられ、当社グループとしては、適切な対策を講じる努力を継続しております。しかしながら、これらの事象の発生により、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績および財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

<リスクへの対応>

当社グループは引き続き、戦略的にグローバル展開をはかりながら同時にカントリーリスクの分散化を図ってまいります。また、特に注意すべき国・地域については、有事リスクへの対応を見据えた体制の再構築をすすめ、政治的・社会的状況を定期的にモニタリングいたします。なお、これらの国や地域でリスクが顕在化した際の、当社グループが連携を強化し迅速かつ的確に対応してまいります。

 ② 原材料価格変動と調達に伴うリスク

<リスクの内容>

当社グループは、国内外から部品や原材料を購入して製品の製造を行っており、一部の部品や原材料については、市場ニーズに応えるための高い品質・性能を追求する結果、供給が滞った際の代替調達先や十分な物量を確保できない可能性があります。また、テロ、紛争、関税政策などの要因によるグローバルレベルでのエネルギー価格上昇や供給制約などのリスクが考えられます。これらによる需給の逼迫や為替変動などにより調達コストに変化が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、調達のマルチソース化や適時適量の在庫確保などをすすめております。また、重要な調達先については定期的に評価を行い、調達リスクの低減に努めております。

(2) 品質に関するリスク

<リスクの内容>

想定外の事情による製品の欠陥の発生およびそれに起因する事故の発生、ならびにこれらによるブランドイメージの低下が売上高の減少、収益の悪化原因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、社名の由来である「Value & Quality」(価値の創造と品質の向上)を基本理念として、厳格な品質管理基準に従い製品の製造を行っております。また、部門横断的な品質保証委員会を中心とした品質保証体制を構築し、顧客満足を高める品質の向上活動を継続しており、定期的に常務会にその活動が報告されております。なお、万が一事故が発生し多額の賠償費用が必要となる可能性に備え、製造物責任保険(PL保険)に加入しております。

(3) コンプライアンスに関するリスク

<リスクの内容>

当社グループはグローバルに事業を展開しており、各国の法令や規則の適用を受けております。法規制の強化やその解釈・運用の変更、政策転換などが起きた場合、対応コストの増加や事業制約を招き、業績や財政に影響を及ぼす可能性があります。また、2024年9月25日に公表したとおり、当社元執行役員と元従業員による複数年度にわたる不適切取引が判明しました。現在、特別調査委員会の提言を受け、再発防止策の策定と実行に努めております。ただし、内部管理体制の強化が不十分で、当社グループや委託先が重大な法令違反を起こした場合、社会的信用やブランドイメージが損なわれ、業績や財政状態に影響する可能性があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、各国の法令や規則の変化に対し、外部専門家の助言を受けながら対応しております。不正の排除に向けては、「正正堂堂と」の理念のもと、「コンプライアンス遵守と誠実な行動」を行動指針とし、コンプライアンス委員会を中心に監査・執行の両面から取り組んでおります。定期的なコンプライアンス意識調査により課題を把握し、改善を進めるとともに、報告・相談・通報ルートの活用を促し、早期発見と適切な対応ができる風通しのよい職場づくりに注力しております。

また、社会的課題である人権問題について、バルカーを含む主要な連結グループ会社において人権方針を策定しており、生産・調達に関係した主要取引先に対して人権に関する取り組み状況を把握するためのアンケートを実施し、グループ全体の人権基本方針の周知を図ると共に理解度の確認および人権に関する取り組み状況を確認しております。引き続き、グループ全体で人権に配慮した事業運営の推進に努めてまいります。
 

(4) 為替相場の変動に伴うリスク

<リスクの内容>

各国の関税や金利政策は為替相場にも影響を与え、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストなどに影響を及ぼし、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、取引に伴う為替の変動リスクについては、先物為替等によるヘッジ策を行うなど、そのリスクを極小にすべく細心の注意を払っております。

(5) 他社との業務提携等に伴うリスク

<リスクの内容>

当社グループでは、新中期経営計画(NF2026)のもと、新素材・新市場・新事業への展開を加速・推進するため、他社との業務提携やM&Aを積極的に実施しております。しかし、外部環境の変化や戦略の不一致により、計画通りの成果が得られない可能性があり、その場合は当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす場合があります。

<リスクへの対応>

他社との業務提携やM&Aに際して、投資先や提携先の事業状況や財務状況をデューデリジェンスなどを通じて慎重に評価し、リスクを最小限に抑えるための対策を講じております。また、当初の計画と実際の成果との乖離を随時確認し、必要に応じて改善策の実施や方針の見直しを進めます。

(6) 人材に関するリスク

<リスクの内容>

当社グループの新中期経営計画(NF2026)の戦略を担う人材や当社の技術優位性を支える高度な専門性を持つ人材、変化を先導するリーダー人材を確保・育成開育教育できない場合や、人材の流出を防止できない場合、当社グループの業績および成長計画に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、「人」を成長の源泉と考え、性別・年齢・経歴・国籍等にとらわれない多様な人材を登用し、人材投資や労働環境・体制の継続的な見直しを実施しております。積極的に中途採用を行っており、デジタル人材やグローバル経験豊富な人材など様々なバックグラウンドをもつ人材が活躍できる環境を整えております。上位職を早いうちから目指せる飛び級制度や、次世代の執行役員、拠点トップ候補などの育成プログラムなどを通じ、挑戦を促す環境づくりを進めており、生産性向上や定着率向上を図っております。

また、CWO(チーフウェルビーイングオフィサー)を代表取締役が担い、エンゲージメントサーベイの定期的な実施と、その結果を踏まえた改善やウェルビーイングな職場環境づくりにも積極的に取り組んでおります。

(7) 情報セキュリティに関わるリスク

<リスクの内容>

当社グループは、事業を展開するなかで重要な技術情報や取引先・顧客情報、その他様々な情報を保有しております。サイバー攻撃による不正アクセス等の脅威は日々高まっております。また、人為的なミスによる紛失、盗難などのリスクを完全に排除できるものではなく、これらの情報が流出した場合には、当社グループの信用低下やグループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、情報セキュリティ委員会が中心となって最新のテクノロジーを使用したセキュリティシステムの導入など、グループ全体とサプライチェーンも巻き込んだセキュリティ管理体制を強化しております。また、情報の外部流出を防止するために、社内ルールの整備、教育、セキュリティシステムの強化等に努めております。サイバー攻撃対策では、すでに導入済みのエンドポイントセキュリティに加え、2024年度は通信監視システムを導入し24時間365日監視運用体制を継続しております。紛失や盗難のリスクに対しては、端末を紛失した際に遠隔で通信機能を停止できる仕組みを導入しています。また、端末が発見された場合には、資産管理システムを活用して該当端末の利用状況を把握できる運用体制を確立しています。

(8) 大規模災害等に関するリスク

<リスクの内容>

大規模災害やパンデミック等事業の継続を脅かす事象に対して、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、結果的に生産活動の停止・サプライチェーンの混乱を招く可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、大規模災害などによる事業継続を脅かす事象が発生した場合に備えて、従業員の安全確保や事業中断に伴う影響の極小化ならびに迅速な事業継続を実現するためのBCP(事業継続計画)を策定しております。定期的な防災訓練や必要物資の備蓄等を実施、安否確認システムを導入する等リスクの分散、極小化に取り組んでおります

(9) 環境規制・気候変動等の社会課題への対応

<リスクの内容>

気候変動がもたらす異常気象がサプライチェーンに与える影響や不安定な国際情勢による気候変動対策の後退がエネルギー価格の不透明さを招き、事業に影響を与える場合があります。また、各国の環境法規制強化、または予期せぬ事故や自然災害等により非意図的な環境汚染等が発生した場合、事業活動への制限や多額の対策費用が必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同するとともに、事業活動への影響の分析を行っております。TCFDの詳細は、前述の「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載をご参照ください。また、部門横断的な取組みである、SHE(安全・衛生・環境)委員会を設置し、安全や衛生と一体となって課題への取組みをすすめており、その活動を定期的に常務会に報告しております。

(10) 石綿問題に関するリスク

<リスクの内容>

石綿による健康被害について、当社規程に基づく補償金や見舞金の支払いによる費用負担は、限定的なものでありますが、今後も継続する可能性があります。また、健康被害に関して損害賠償請求の訴訟を受けており、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。

<リスクへの対応>

当社グループは、2006年9月1日施行の労働安全衛生法施行令による「アスベスト全面禁止」に先立ち、2006年7月31日をもって一切の石綿製品の供給を停止いたしました。石綿代替品(ノンアスベスト製品)の品揃えは他社に先駆け完了しておりますので、今後ともノンアスベスト製品の強力な販売活動を展開していく所存であります。2006年3月27日施行の「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づく被害者救済策が講じられておりますが、当社といたしましては、以下の措置を継続して講じております。

・石綿関連の質問や相談に応じるための「相談窓口」の開設

・従業員および元従業員のうち、希望された方への健康診断の実施

・当社ホームページでのアスベストに関する情報の開示

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度において当社グループは、当期から開始している中期経営計画“New Frontier 2026”(NF2026)で掲げた「ステークホルダーの最高満足に向けて新たな価値創造に邁進する」という視点に立ち、半導体景況の回復と今後の市場拡大に備えたサプライチェーンの整備など施策を迅速に実施しつつ、将来におけるさらなる成長を展望した収益力の強化と健全で持続的な成長を支え得る企業基盤の構築に向けた取り組みを推進しました。

 一方、2024年9月25日に公表いたしました当社元執行役員および従業員による不正行為につきまして、全てのステークホルダーの皆さまには多大なるご迷惑とご心配をお掛けする事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。当社は、再発防止策を同11月27日に公表し、速やかかつ着実に実行をしております。

当社グループの当連結会計年度の経営成績は売上高が601億1千3百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益が56億6千9百万円(同20.2%減)、経常利益が59億9千9百万円(同18.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が46億7千6百万円(同4.7%減)となりました。

 

なお、第4四半期連結会計期間(3か月)における受注高は主に先端産業市場の顧客からの発注増加を反映し、153億2千6百万円、当連結会計年度の受注残高は110億3千1百万円となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(シール製品事業)

シール製品事業は、機器市場向けが設備投資減勢の影響を受けたものの、先端産業市場向け高機能シール製品の販売が回復を示したことにより、売上高は406億1千6百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益は52億7千4百万円(同68.0%増)となりました。

(機能樹脂製品事業)

機能樹脂製品事業は、先端産業市場・プラント市場向けのフッ素樹脂特殊タンク製品の需要が調整局面となったために大きく減少し、売上高は163億3千4百万円(前年同期比24.3%減)、セグメント利益は5億6千7百万円(前年同期比85.8%減)となりました。

(シリコンウエハーリサイクル事業他)

シリコンウエハーリサイクル事業他は、主力事業の需要やデジタルソリューション顧客獲得は堅調に推移したものの、後者の開発費用が先行し、売上高は31億6千1百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント損失は1億7千2百万円(前年同期はセグメント損失3千4百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ33億3千5百万円増加し、778億2千3百万円となりました。

流動資産は464億3千万円となり、26億2千8百万円増加しました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加21億4千2百万円、現金及び預金の増加15億8千3百万円、電子記録債権の増加7億5千3百万円、商品及び製品の増加6億2千1百万円、売掛金の減少17億9千6百万円、受取手形の減少8億5千4百万円等によるものであります。有形固定資産は226億2千4百万円となり、28億5千2百万円増加しました。この主な要因は、建設仮勘定の増加43億1千6百万円、機械装置及び運搬具の減少6億円、建物及び構築物の減少4億2千8百万円、土地の減少2億7百万円、工具、器具及び備品の減少1億6千5百万円等によるものであります。無形固定資産は18億7千6百万円となり、5千3百万円減少しました。この主な要因は、無形固定資産のその他の減少5千9百万円等によるものであります。投資その他の資産は68億9千1百万円となり、20億9千1百万円減少しました。この主な要因は、投資有価証券の減少19億5千6百万円等によるものであります。それらの結果、固定資産は313億9千3百万円となり、7億6百万円増加しました。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ15億4千6百万円増加し、273億2百万円となりました。流動負債は185億6千9百万円となり、20億9百万円増加しました。この主な要因は、短期借入金の増加21億4千万円、支払手形及び買掛金の減少5億2千4百万円等によるものであります。

固定負債は87億3千2百万円となり、4億6千3百万円減少しました。この主な要因は、繰延税金負債の減少10億2千6百万円、長期借入金の増加6億6千8百万円等によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ17億8千9百万円増加し、505億2千1百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加20億3千6百万円、為替換算調整勘定の増加7億9千3百万円、その他有価証券評価差額金の減少4億2千1百万円、退職給付に係る調整累計額の減少3億9百万円等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億8千3百万円増加し、当連結会計年度末には79億6千9百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、48億7千万円(前年同期比177.0%増)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益62億7百万円、減価償却費28億4百万円、売上債権の減少14億9千7百万円、棚卸資産の増加27億6千5百万円、法人税等の支払額17億円、仕入債務の減少5億7百万円、関係会社株式売却益5億7百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、48億8千7百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出64億2千9百万円、無形固定資産の取得による支出5億3千8百万円、関係会社出資金の売却による収入13億2百万円、投資有価証券の取得・売却による純収入6億4千7百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果収入となった資金は、15億7千3百万円(前年同期比70.4%増)となりました。

これは主に、長期借入金の純収入24億4千2百万円、短期借入金の純収入19億8千6百万円、配当金の支払額26億3千2百万円、リース債務の返済による支出2億5百万円等によるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

15,377

123.1

機能樹脂製品事業(百万円)

5,652

49.6

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

2,933

102.2

合計(百万円)

23,963

89.6

 (注) 上記の金額は、販売価格によっております。

b. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

11,915

94.7

機能樹脂製品事業(百万円)

7,016

101.6

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

297

546.2

合計(百万円)

19,229

98.4

 

c. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

シール製品事業

41,716

115.5

6,840

119.1

機能樹脂製品事業

15,883

82.6

4,179

90.3

シリコンウエハーリサイクル事業他

2,754

84.8

11

2.8

合  計

60,354

103.0

11,031

102.2

 

d. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

40,616

109.3

機能樹脂製品事業(百万円)

16,334

75.7

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

3,161

105.3

合計(百万円)

60,113

97.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のグローバル経済は、世界各地での紛争やインフレの進行などの影響を受け、全体として伸び悩む結果となりました。また、当社グループが属する国内製造業における生産動向は、原材料価格や人件費のコスト増加分を販売価格に反映する動きが見られたものの、国内外の設備投資や半導体生産の回復が遅れ、全体的に勢いを欠く状況となりました。

当社の事業セグメントでは、機能樹脂製品事業が主要顧客における設備投資が調整局面にあった一方で、シール製品事業、特に高機能シール製品は、順調に回復基調が見られました。

そのような状況下、当社は事業環境の変化に対応しながら、成長基盤の構築に注力してまいりました。当連結会計年度における重点施策と進捗状況は以下のとおりです。

 

・成長投資の推進:愛知県田原市およびベトナムで新工場を建設し、先端産業向けの生産体制を拡充。

・サプライチェーンの見直し:地政学的リスクに対応するため、グローバル供給体制の再構築を加速。

・事業ポートフォリオの最適化:選択と集中の方針に基づき、シリコンウエハーリサイクル事業を売却。

・デジタルソリューション強化:プラント向けシステムが採用されるなど、収益化フェーズへの移行を開始。


 これらの施策は、将来の成長に向けた基盤づくりとして着実に進展した一方で、今期の業績にはなお厳しい環境の影響が残りました。
 当社グループの当連結会計年度の売上高は601億円(前期比△2.6%)、営業利益は56億円(同△20.2%)と減収・減益となりました。減収・減益の要因としては、為替変動の影響は売上及び営業利益共にプラスに寄与したものの主にフッ素樹脂タンクなどの機能樹脂製品における回復の遅れに加え、原材料の評価見直しや廃棄損など売上原価における会計処理により約8億円の損失を計上したことが挙げられます。また親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の売却益や事業ボートフォリオの最適化の一環で発生した子会社売却益を計上する一方、サプライチェーンの見直しに伴う中国子会社に関連する事業構造改善費用及び不正対応関連損失等の特別損失を計上したことで46億円(前期比△4.7%)となりました。

これらの結果、当社グループの経営上の目標として重要な指標と位置付けている「総資産当期純利益率(ROA)」は6.1%(前年同期比0.7ポイント悪化)、「自己資本利益率(ROE)」は9.5%(前年同期比1.0ポイント悪化)となりました。
 

次期に向けては、米国の関税政策、各国間の外交関係の悪化、東アジア・ウクライナ・中東の情勢など世界全体の経済に影響を与え得る多くの不透明要素が存在しております。また、当社グループ周辺においては、世界的な設備投資のさらなる減速、半導体関連景況の本格的な回復の遅れ、人手不足と人件費の上昇などが懸念され得る状況となっております。

 

このような事業環境下において当社グループは、3か年中期経営計画NF2026で掲げた基本方針、

 

《世界の分断が急激に進み

デジタル化によるビジネスモデルが激変する環境下において

「THE VALQUA WAY」のもとマルチ視点で

ステークホルダーの最高満足に向けて新たな価値創造に邁進しよう》

 

1.激変する世界において本質を追求する目線の確立とそれに伴う人材育成

2.地政学リスクの増大に対応した更なるサプライチェーンの改革と強靭化

3.デジタルイノベーション加速による新たなAI/ITソリューション事業のマネタイズ

4.「技術流出」の徹底防止と新領域・新技術の見極め

5.「Think Globally, Act Locally」によるグローカリゼーションの徹底

 

のもと、創業100周年期にあたる2027年3月期に向けて設定した長期経営目標数値『連結売上高800億円、ROE15%以上』の達成をより確かなものにするとともに、さらなる将来における持続的な価値創造の実現を展望して、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。

 

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度はエラストマー製品等のシール製品事業、ふっ素樹脂製品等の機能樹脂製品事業、シリコンウエハーリサイクル事業他にて設備投資を実施するなどの既存事業の成長に向けた投資を着実に推進しました。

このように、当社グループにおける主な資金需要は、健全で持続的な成長を実現するための成長投資と考えており、これらの投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金等により充当しております。なお、借入金のうち、短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は、主に設備投資に係る資金調達であります。

手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。

当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は250.0%(前連結会計年度264.5%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は2.8倍となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りであります。

 

第121期

2021年3月期

第122期

2022年3月期

第123期

2023年3月期

第124期

2024年3月期

第125期

2025年3月期

流動比率(%)

275.9

261.9

248.5

264.5

250.0

自己資本比率(%)

67.7

66.0

66.0

64.7

64.9

時価ベースの自己資本比率(%)

71.4

78.1

88.3

121.1

70.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

0.9

1.0

1.3

5.7

2.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

66.3

84.3

39.5

9.0

22.7

 

当社グループでは、業績の大幅な悪化による手許資金減少、或いは生産会社の稼働停止や主要顧客の稼働停止等不測の事態に備え、主要取引銀行との間で30億円のコミットメントラインの締結を行っております。このように、リスクに対応するとともに、今後の事業展開においても、相互関税をめぐる市場の変化等の芽を的確に捉え、スピーディーに対応してまいりたいと考えております。2026年3月期の新規の設備投資は、事業基盤の再構築を目指し、キャッシュ・フローを重視しながら、次なる飛躍に繋げてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。

当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。

 

a. 固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

5【重要な契約等】

(提出会社)

製品売買契約

独占販売権の保有契約

① 相手方の名称

米国ガーロック社(GARLOCK SEALING TECHNOLOGIES,LLC)

② 契約品目

当社及びガーロック社の主要ブランド製品

③ 契約内容

当社主要製品について、ガーロック社がアメリカ(北米、南米及び中米)及び欧州における通常販売権を、ガーロック社の主要製品について、当社が日本における独占販売権及び中国、韓国、台湾における通常販売権をそれぞれ保有する契約

④ 契約期間

自 2011年7月26日 至 2013年7月25日(満了日以降は1年毎の自動更新)

 

6【研究開発活動】

当社グループは、高度なシール技術を核としたトータルシールエンジニアリングと機能樹脂加工技術の応用により、顧客価値を高めるための市場課題へのソリューション及び新市場開拓を重視した技術開発、製品開発、システム開発を軸にした研究開発活動を推進しております。又、2027年の当社創業100周年を見据え、昨年4月から新中期経営計画NF2026(New Frontier 2026)を開始し、研究開発体制及び技術インフラ整備を進めております。当連結会計年度においては、外部技術探索とオープンイノベーションによる外部技術の活用、取り込みの充実を図るとともに、環境、エネルギー、半導体、プラント、産業機器等の市場分野を対象に、グローバルかつ高度な顧客要求に応え、継続的に豊かな社会と地球環境に貢献することができる高収益ハード(高機能商品)およびサービス開発(H&S開発)を実施しております。又、マテリアルインフォマティクスの活用技術やデータサイエンス技術の応用等、デジタルを駆使した開発プロセスの高度化を進めております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,547百万円であり、各製品事業分野別の研究開発の概要は下記のとおりであります。

 

(1) シール製品事業

シール製品におきましては、シールエンジニアリングをコア技術として、グローバル市場に対して、ニーズに応える技術開発、製品開発、周辺システム開発を継続的に進めております。プラント・機器関連製品では、コア技術の高度化による継続性のある差別化技術開発により、顧客の環境対応や安定操業に貢献する製品、メンテナンス管理を容易にする商品やシステムの開発等を進めております。エラストマー製品におきましては、外部技術探索による新素材と、当社保有技術との融合により、成長が期待される水素等の新エネルギー市場に対応可能な製品や持続可能な資源活用に主眼を置いた開発、次世代半導体製造装置へのスペックイン活動をグローバルに展開しております。また、各種製造現場を対象に、設備の定期点検におけるデジタル化を促進するサービス、更にはエラストマー材料開発にデジタル技術を活用した新プロセスの開発も進めております。

当製品事業に係る研究開発費は、899百万円であります。

 

(2) 機能樹脂製品事業

機能樹脂製品におきましては、半導体産業で使用される薬液の高純度化の要求が高くなっており、製品由来による系内汚染低減への要求レベルを満たすための開発を継続的に進めております。コア技術となる樹脂加工技術については、顧客設計仕様に迅速に対応するとともに、樹脂材料の改質、複合をはじめとした差別化技術開発により、独創的な機能材料の開発を進めております。また、半導体産業等の各種プラントを対象に、薬液ライニングタンクの安定・安全稼働に貢献する保全・診断技術の開発を進めております。

当製品事業に係る研究開発費は、182百万円であります。

 

(3) シリコンウエハーリサイクル事業他

シリコンウエハーリサイクル事業他におきましては、外部先端技術をグローバルに探索し、外部研究機関や企業とのコラボレーションを推進しつつ、デジタルイノベーションを軸として、最大限の顧客価値を提供できる新規事業を創出する取り組みを進めております。また、外部技術を適切に取り込むことによって、ハード(H)としての製品開発だけではなくサービス(S) 開発にも注力し、新素材探索や新製造プロセス技術の取り込み等、当社保有のコア技術と組み合わせることで、新分野への用途開発やサービス開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は、465百万円であります。