第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念である「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」を実践し、顧客満足を追求することを通じて社会の発展に貢献することを事業の目的としております。

また、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足を高めることで社会に貢献してまいります。

 

 (2) 目標とする経営指標

当社グループは、第7次中期経営計画(2022~2024年度)において「Reform戦略(改革)」と「Restart戦略(再始動)」という「2つのR」をコンセプトとした「TAFCO・RR計画」を策定いたしました。主な内容は、経営環境の激変が続く中、収益構造の改革(Reform)と強化を図りつつ、脱炭素やデジタル化など急速に変化する経営環境に的確に対処する(Restart)準備をし、成長戦略を推進するものであります。

第6次中期経営計画(2019~2021年度)において「財務の安定性向上を最重要課題とし、自己資本比率の改善を目指す」とし、財務の安定性向上に取り組んでまいりましたが、第7次中期経営計画も引き続き財務の安定性向上に取り組み長期的な目安として自己資本比率30%に向けて取り組んでまいります。

収益性指標につきましては、「自己資本利益率(ROE)」を重要指標と位置付け、株主資本コストを上回る自己資本利益率を目標として収益性の向上に努めてまいります。

 

 (3) 経営環境

日本経済の概況につきましては、2023年度は消費や設備投資といった内需が主導する形で穏やかに回復してきたものの、直近の経済統計、経済見通し等を踏まえますと、景気は足踏み状態にあると思われます。

コンクリートパイルの全国需要につきましては、全国的に前年度をおよそ2割下回り、当社の主力商圏の関東地区でも前年度をおよそ1割下回るなど、非常に厳しい需要環境にありました。また、土曜閉所の工事現場が増加したことによる稼働日の減少もコンクリートパイルの出荷には大きな影響を与えました。

2024年度の見通しにつきましては、景気や建設投資といったマクロの事業環境は、足踏み状態にあるものの、ある程度底堅く推移するものと想定しております。一方、コンクリートパイルの需要は、2023年度の推移を踏まえますと、当面は厳しい状況が続くものと思われます。また、原価については2024年問題を背景として、再び上昇する可能性が高く、全体として非常に厳しい事業環境が続くものと想定しております。

 

 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、中期経営計画の達成に向け、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足度を高めることで社会に貢献してまいります。

 

1.当面の経営環境および経営課題について(Reform戦略)

建設市場につきましては、(一財)建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2024年1月)、国内建設受注統計等を参考にしますと、2024年度は横ばい圏内の推移になるものと想定しております。建設市場におきましては、原材料コストの高騰、人手不足、稼働日の減少等が、供給サイドにおける大きな外的ショックになっているものと思われます。当面はこのような外的ショックを、市場メカニズムを通じて調整していく過渡期の状況が続くものと想定しております。

コンクリートパイルの全国需要量は、2023年度において前年度をおよそ2割下回り非常に厳しい需要環境にあります。上述したような建設業界における外的ショックの影響等も踏まえますと、2024年度も当面は厳しい環境が続くものと想定しております。

 

原価につきましては、2021年度および2022年度に急激な上昇が生じました。2023年度は原価高騰にピークアウトが見られました。しかし、2024年度につきましては、長時間労働規制、人手不足等を背景とした運賃、原材料価格等の上昇により、原価は再び上昇する可能性が高いと想定しております。

以上より、景気や建設投資といったマクロの事業環境は、足踏み状態にあるものの、ある程度底堅く推移するものと想定しております。一方、コンクリートパイル需要は、2023年度の推移を踏まえると、当面は厳しい状況が続くものと思われます。また、原価については2024年問題を背景として、再び上昇する可能性が高く、全体として非常に厳しい事業環境が続くものと想定しております。

このような経営課題に対する対処につきましては、第7次中期経営計画「TAFCO・RR計画」におけるReform戦略を継続することと認識しております。これまでも原価上昇等に対して効果を上げてきていることから、Reform戦略は有効に機能しているものと判断しております。事業環境の変化を早期に察知し、利益率の下押し要因に対する的確な対処を徹底してまいります。

 

2.中長期的な事業競争力強化に関する取り組み(Restart戦略)

当社の成長戦略においては、技術・設備・人材に対する戦略的な投資が不可欠であります。これらの成長投資の原資をしっかりと確保するための戦略が、Reform戦略です。

一方で、成長投資の効果を最大化するためには、成長に向けた課題を的確に把握し、有効性の高い投資項目を絞り込んでいくことが重要です。Restart戦略では、このような課題把握・投資項目選定・実行・評価について体系的な取り組みを行っております。

現在は、Reform戦略の効果が表れてきており、Reform戦略を継続することで、安定的な投資原資の確保を目指します。Restart戦略における成長投資項目の選別は、常時アップデートを重ねており、脱炭素やデジタル化に加えて、人手不足、2024年問題といった重要な経営課題に対して、有効な施策のパッケージにとなるように努めております。

成長戦略も利益改善と同じく、基本的な施策の積み重ねが重要と考えております。経営理念である「顧客第一」「合理追及」「人倫遵守」に基づき、お客様に喜ばれる商品・サービスを提供することにより、基礎事業の更なる業容拡大を目指します。

・技術開発につきましては、計画に沿って順調に進展しております。2024年1月に新工法「Hyper-ストレートNT工法」を発表しました。同工法は、当社の主力工法であるHyper-ストレート工法を全面改良した新工法であります。

・設備投資の事例としましては、2024年2月に新本社(静岡県沼津市)を着工いたしました。また、同年4月に東京工場の新事務所棟が竣工いたしました。職場環境を改善すると同時に、コーポレートブランドの強化等を通じて、採用強化や生産性改善等につなげてまいります。

・当社が参画し、東京工場に発電設備を建築した「スマートエネルギー事業」が「コージェネ大賞2023優秀賞」を受賞いたしました。脱炭素につきましては、着実に効果の見込める投資を引き続き積み上げてまいります。

・製造、施工等に関する設備投資につきましては、計画通りに進展しております。デジタル関連の投資につきましては、基幹システム、付帯システム等の全面刷新を進めており、2024年度後半から稼働する計画です。業務システムの刷新を通じて、より詳細な利益管理、生産性の向上等を目指してまいります。

・人的資本につきましては、人的資本戦略として「人事政策に関する基本方針(TAFCO・HR戦略)」を策定しました。2024年度以降はTAFCO・HR戦略に基づき、人事制度、研修制度等の改良を行ってまいります。また、2023年12月には、当社で初めてとなる理工系の外国人人材が入社いたしました。

 

 

3.株主価値の向上にむけて

2023年度における株主価値向上の取り組みとして、中間配当および期末配当の増額ならびに株主優待制度の拡充を行いました。また、IR活動強化の取り組みとして、個人投資家向け説明会情報サービス「説明会.com」を通じたオンラインIR説明会を実施いたしました。

2024年2月には名古屋証券取引所メイン市場に上場いたしました。名古屋証券取引所は、名証IR EXPOを開催されるなど、個人投資家向けIRに注力している市場であり、当社もこのような機会を積極的に活用し、引き続きIR活動に注力してまいります。

利益配当の考え方につきましては、これまでの方針を維持してまいります。上述しましたとおり昨今の経営環境は大変厳しいものがありますが、配当に関する安定性および継続性を重視してまいります。また、業績の振れをならして見た場合に、長期的な配当性向を30%以上に維持することを目標としてまいります。

内部留保および自己資本比率につきましては、ROE、株主資本コスト等を考慮し、当面は自己資本比率30%を目標としてまいります。なお、当社の株主資本コストおよび加重平均資本コストは、それぞれ5.8%および2.4%と推計しております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)基本的な考え方

当社グループの経営方針は、「経営理念」と「社是」に定める基本的な価値観と、「中期経営計画」に基づく事業戦略から構築されております。

当社は経営理念として「顧客第一」、「合理追求」、「人倫遵守」の3つを掲げております。「顧客第一」は、仕事を通じて社会の発展に貢献するということで、当社の経営において最も基本となる概念であります。「合理追求」は、物事を考えたり、判断したりする際に、科学的な思考を徹底するということであります。「顧客第一」と「合理追及」は、目的と手段の関係にあり、事業を前に進める両輪であると考えております。最後の「人倫遵守」は、2つの車輪をつなぐ車軸であり、事業を前に進めるための要の役割を担っております。順法ということだけではなく、「どうあるべきかを主体的に考える」という意味を込めて、人と人との道徳的秩序という意味の「人倫」という言葉を用いております。

「社是」は、経営理念よりも具体的な心構えについて定めており、当社の人材や仕事に対する基本的な考え方が入っております。働き方は、新しい考え方も出てくる中で、大変重要なテーマととらえております。当社で働くことを通じて社会とつながり、当社での経験が人生において有意義な経験となるようにしたい、という思いを社是には込めております。

 

(2)ガバナンス・リスク管理

当社グループはサステナビリティを「事業の中長期的な持続可能性」と捉えております。企業の最も基本的な方針を定める経営理念および社是の内容は、事業の中長期的な持続可能性を明確に示しております。また、業務執行においても中期経営計画における事業戦略の策定において、事業の中長期的な持続可能性は、成長戦略の必要条件および重要な経営課題として、常に検討されております。リスク管理につきましても、成長戦略の検討等において具体的なリスクの抽出、投資計画の立案および評価、実行、事後評価等のプロセスにおいて適切に管理されております。なお、業務執行における重要な情報についてはすべて取締役会に上程あるいは報告されております。

 

 

(3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略・指標および目標

  ①人材の育成に関する方針

 当社グループは、経営理念および社是の下、中長期的に持続可能な事業の実現に向けて取り組んでまいります。また、経営戦略の重要な領域として人的資本の強化に資する取り組みを進めてまいります。具体的には、新入社員研修、資格取得のための社内研修、国内留学制度などレベルアップの機会を提供しております。また、採用や管理職等への登用に関しましては、性別・年齢・国籍・学歴に関係なく、多様な人材の採用、管理職等への登用を積極的に行っております。

②社内環境整備に関する方針

 当社グループは、人材育成に関する社内環境整備方針を、「人事政策に関する基本方針」(TAFCO-HR戦略)によって定めております。これらは、①安心、②公正、③成長をコンセプトとしております。

・「安心」とは、終身雇用、充実した福利厚生サービスなどを通じて、社員が安心して長く勤めたいと思える会社を目指すことであります。労使における安定した信頼関係の構築は、当社の競争力強化に資すると考えております。

・「公正」とは、組織の秩序を維持し、公正な評価制度を通じて健全な競争環境を醸成するということであります。組織が持続的に活力を維持するためには、秩序と競争原理が適切に作用していることが必要と考えております。

・「成長」とは、社員ひとりひとりのキャリア形成を会社が支援するということであります。教育制度の充実はもちろんですが、基礎となるのは個人のキャリアプランと、それを通じた主体性だと考えております。社員の主体的な意欲を引き出し、効果的な研修メニューを提供することで、すべての世代において、技能向上に切磋琢磨する環境を醸成したいと考えております。

 以上の取り組みを通じて、社員へ安定した雇用環境、働きやすい職場環境、充実した福利厚生、成長の機会等を提供し、社員の意欲を引き出し、お客様により良い商品・サービスを提供し、当社が社会に貢献し、持続的な成長を目指してまいります。

 上記方針に対して当社グループは、サステナビリティとは、経営戦略の中で統合的に管理されるべき項目と捉え、具体的な指標および目標は定めておりませんが、経営戦略の重要な領域として人的資本の強化に資する取り組みを進めてまいります。

 なお、当社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。但し、これらのリスクは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、予想を超える事態が発生する場合もあります。

また、以下のリスクは主なものであり、全てを網羅したものではありません。

①販売環境・市場変化に係わるリスク

当社グループの主力事業であります基礎事業は、各市場の動向に大きな影響を受けます。需要動向の変化に対応できる生産体制の構築に努めておりますが、需要が当社想定を下回って推移した場合には、販売量および販売価格の双方を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②原材料価格に係わるリスク

当社グループは、主要原材料としてセメント、鋼材、LNG等の仕入れを行っておりますが、このような素材およびエネルギーは市場価格の影響により大きく変動いたします。当社グループは、市場価格の変動に細心の注意を払い、仕入業者との対話などを通じて仕入れ価格の低減に日々努めておりますが、当社の影響が及ばない市場価格の上昇が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③金利変動に係わるリスク

当社グループは、有利子負債の圧縮に取り組んでおりますが、当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は5,877百万円であり、加えて東京工場のリニューアル工事および新本社の建設についても金融機関からの借入金を主な資金調達方法として実施しております。元金の返済については、金融機関との話し合いにより着実な返済計画を立てておりますが、市場金利が大きく変動し当社の想定を超えて高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④与信管理に係わるリスク

当社グループは、与信会議を中心とした与信管理システムにより、貸倒れの発生を未然に防止するように努めておりますが、販売先の急激な経営状況の悪化などによる貸倒れリスクを完全に排除することは困難であり、貸倒れが発生した場合には、債権額の大きさによっては当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤法令等に係わるリスク

当社グループは、建設業許可等を受けて営業活動を行っており、許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めております。しかし、仮に法令違反等により許認可が取り消しとなった場合には、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑥品質に係わるリスク

当社グループは、製造・施工・営業部門によって組織された品質管理委員会において、製造、施工等の問題点を話し合い、トラブルを未然に防ぎ高品質を確保するべく努めております。しかし、ヒューマンエラーや予見できない理由により品質に瑕疵が生じた場合には、顧客が要求する品質を満たせず、工期の遅延等が発生する可能性があります。また、瑕疵による損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦安全に係わるリスク

当社グループは、製造、施工を始めとした全ての領域において安全の確保および事故の未然防止にグループを挙げた社内研修やOJT教育等に取り組んでおりますが、仮に重大事故が発生した場合には、多額の補償費用に加えて社会的信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧自然災害・感染症に係わるリスク

当社グループは、東京都に工場があり、大規模な自然災害や感染症が発生した場合には、生産・販売活動の停止、配送の遅延等の影響により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、状況把握及び感染防止に向けた対応のほか、時差出勤やテレワーク等の事業を継続するための仕組みの整備を行っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ①経営成績の状況

当連結会計年度(2023年3月1日から2024年2月29日まで)のわが国経済は、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復してきたものの、直近の経済統計、経済見通し等を踏まえますと、景気回復は足踏み状態にあると思われます。

コンクリートパイルの全国需要につきましては、全国的に前年度をおよそ2割下回り、当社の主力商圏の関東地区でも前年度をおよそ1割下回るなど、非常に厳しい需要環境にありました。また、土曜閉所の工事現場が増加したことによる稼働日の減少もコンクリートパイルの出荷には大きな影響を与えました。

このような状況のもと、当社グループは第7次中期経営計画「TAFCO・RR計画」において、収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、基礎事業の利益率が大幅に改善しております。

また、不動産賃貸事業につきましては、安定した業績で推移しております。

なお、「コンクリートセグメント事業」については、当社の連結子会社であった日本セグメント工業株式会社の全株式を売却したことに伴い、前連結会計年度末において連結の範囲から除外しております。

 

セグメント毎の経営成績は、次のとおりであります。

 

(基礎事業)

基礎事業の主力事業でありますコンクリートパイル部門の全国需要につきましては、前年度を約2割下回って推移いたしました。当社の主力商圏であります関東および静岡につきましても、関東は前年度を約1割、静岡は若干下回りました。業績につきましては、収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、当連結会計年度の売上高は14,859百万円(前連結会計年度比7.9%減)、営業利益は1,427百万円(前連結会計年度比117.5%増)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

ホームセンターへの賃貸を中心とする不動産賃貸事業につきましては、老朽化した施設を一部修繕しました結果、当連結会計年度の売上高は、207百万円(前連結会計年度比7.3%増)、営業利益は82百万円(前連結会計年度比40.2%減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は15,067百万円(前連結会計年度比17.5%減)、営業利益は922百万円(前連結会計年度比303.6%増)、経常利益は911百万円(前連結会計年度比341.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は603百万円(前連結会計年度は191百万円の損失)となりました。

 

 

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ98百万円(0.7%)増加し、15,018百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べて、112百万円(1.7%)減少し6,550百万円となりました。これは主として電子記録債権の増加471百万円、未成工事支出金の増加375百万円、現金及び預金の減少284百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少324百万円、その他に含まれる未収入金の減少379百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、211百万円(2.6%)増加し、8,467百万円となりました。これは、主として建設仮勘定90百万円の増加、無形固定資産その他に含まれるソフトウエア仮勘定169百万円の増加等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、501百万円(6.7%)減少し、7,004百万円となりました。これは、主として電子記録債務の増加131百万円、未払法人税等255百万円の増加、支払手形及び買掛金の減少369百万円、短期借入金の減少442百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、78百万円(2.0%)増加し、4,083百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加250百万円、その他に含まれる預り保証金の減少116百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、522百万円(15.3%)増加し、3,930百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加525百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は26.2%、1株当たり純資産額は3,033円77銭となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、350百万円の増加前連結会計年度比368百万円の減少)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益915百万円、減価償却費439百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額146百万円、棚卸資産の増加額400百万円、仕入債務の減少額237百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、156百万円の減少前連結会計年度比684百万円の増加)となりました。

これは、主に有形固定資産の取得による支出317百万円、関係会社株式の売却による収入372百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、478百万円の減少前連結会計年度比41百万円の減少)となりました。

これは、主に長期借入れによる収入2,230百万円、短期借入金の純減額442百万円、長期借入金の返済による支出2,045百万円によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ284百万円減少し、1,238百万円となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

自己資本比率(%)

22.7

20.2

20.9

22.8

26.2

時価ベースの

自己資本比率(%)

14.7

13.5

10.5

13.7

19.8

債務償還年数(年)

6.6

3.5

67.2

8.6

16.8

インタレスト・

カバレッジ・レシオ(倍)

13.1

30.8

1.7

13.5

7.1

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

④生産、受注及び販売の状況

生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

基礎事業

14,753,628

+20.4

コンクリートセグメント事業

△100.0

合計

14,753,628

+4.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 基礎事業については製造原価及び完成工事原価によっております。

 

受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

基礎事業

16,020,939

△11.2

6,126,160

23.4

 

 

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

基礎事業

14,859,612

△7.9

コンクリートセグメント事業

△100.0

不動産賃貸事業

207,807

+7.3

合計

15,067,420

△17.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

鹿島建設㈱

2,147,310

11.8

JFE建材㈱

1,924,719

10.5

 

※当連結会計年度の鹿島建設㈱及びJFE建材㈱については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。見積りに関しては過去の実績などを慎重に検討したうえで行い、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 1)経営成績

   (売上高)

売上高は、基礎事業において、全国需要は前連結会計年度に対しておよそ2割程度下回ったことに加え、昨年度まで連結しておりましたコンクリートセグメント事業を事業譲渡した結果、前連結会計年度より大幅な減収となり、15,067百万円(前連結会計年度比17.5%減)となりました。

   (営業利益)

当連結会計年度の売上総利益は、上記売上高の減少があったものの収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、前連結会計年度比35.1%増の2,805百万円となりました。売上総利益率は、主に上記の要因により、前連結会計年度の11.4%から当連結会計年度は18.6%に増加しております。

また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の1,848百万円から35百万円増加し1,883百万円となりました。

以上の結果、営業利益は922百万円(前連結会計年度比303.6%の増加)となりました。なお、売上高営業利益率は6.1%で前連結会計年度比4.8ポイントの増加となりました。

   (経常利益)

経常利益は、主に上記の要因により、911百万円(前連結会計年度比341.5%の増加)となりました。

   (親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、603百万円(前連結会計年度は191百万円の損失)となりました。

   2024年2月期の連結業績予想(計画)との比較

                                           (単位:百万円)

 

2023年2月

(実績)

 2024年2月
(実績)

 2024年2月
(計画)

前年同期比

計画比

売上高

18,259

15,067

17,500

△17.5%

△13.9%

営業利益

228

922

260

303.6%

255.0%

経常利益

206

911

230

341.5%

296.2%

親会社株主に

帰属する

当期純利益

又は親会社株主に

帰属する

当期純損失(△)

△191

603

130

364.3%

 

併せて、中期経営計画の目標値であるROE8%に対して、実績は16.4%、自己資本比率30%に対して、26.2%となりました。

 

(セグメント別の状況)

(基礎事業)

当連結会計年度のコンクリートパイルの全国需要につきましては、全国的に前年度をおよそ2割下回り、当社の主力商圏の関東地区でも前年度をおよそ1割、静岡は若干下回るなど、非常に厳しい需要環境にありました。また、土曜閉所の工事現場が増加したことによる稼働日の減少もコンクリートパイルの出荷には大きな影響を与えました。損益につきましては、収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、基礎事業の利益率が大幅に改善しております。

基礎事業の事業戦略につきましては、第7次中期経営計画に基づき、原価上昇等の経営課題に対してはReform戦略を継続することで対処してまいります。また、経営環境の大きな変化に対応するため、予算管理を中心とした社内の業務執行管理体制の強化を継続いたします。一方で、成長投資の効果を最大化するためには、成長に向けた課題を的確に把握し、有効性の高い投資項目に絞り込んでいくことが重要です。Restart戦略では、このような課題把握・投資項目選定・実行・評価について体系的な取り組みを行っており、常時アップデートを重ねることで、脱炭素やデジタル化に加えて、人手不足、2024年問題といった重要な経営課題に対して、有効な施策のパッケージとなるように努めております。

以上の結果、基礎事業の売上高は、14,859百万円(前連結会計年度比7.9%減)、営業利益は1,427百万円(前連結会計年度比117.5%増)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業に関しましては、静岡県沼津市でのショッピングセンターの賃貸を主な事業としております。老朽化した施設を一部修繕しました結果、当連結会計年度の売上高は、207百万円(前連結会計年度比7.3%増)、営業利益は82百万円(前連結会計年度比40.2%減)となりました。

 

 

2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ98百万円(0.7%)増加し、15,018百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べて、112百万円(1.7%)減少し、6,550百万円となりました。これは主として電子記録債権の増加471百万円、未成工事支出金の増加375百万円、現金及び預金の減少284百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少324百万円、その他に含まれる未収入金の減少379百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、211百万円(2.6%)増加し、8,467百万円となりました。これは、主として建設仮勘定90百万円の増加、無形固定資産その他に含まれるソフトウエア仮勘定169百万円の増加等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、501百万円(6.7%)減少し、7,004百万円となりました。これは、主として電子記録債務の増加131百万円、未払法人税等255百万円の増加、支払手形及び買掛金の減少369百万円、短期借入金の減少442百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、78百万円(2.0%)増加し、4,083百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加250百万円、その他に含まれる預り保証金の減少116百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、522百万円(15.3%)増加し、3,930百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加525百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は26.2%、1株当たり純資産額は3,033円77銭となりました。

 

3) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、350百万円の増加前連結会計年度比368百万円の減少)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益915百万円、減価償却費439百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額146百万円、棚卸資産の増加額400百万円、仕入債務の減少額237百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、156百万円の減少前連結会計年度比684百万円の増加)となりました。

これは、主に有形固定資産の取得による支出317百万円、関係会社株式の売却による収入372百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、478百万円の減少前連結会計年度比41百万円の減少)となりました。

これは、主に長期借入れによる収入2,230百万円、短期借入金の純減額442百万円、長期借入金の返済による支出2,045百万円によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ284百万円減少し、1,238百万円となりました。

 

4)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、原材料調達や価格の動向、市場動向、国内の法令や政治・経済動向等があります。

資材調達につきましては、重要な供給元とは関係強化を図るとともに、汎用品に関しては複数の調達先を起用することと、生産と販売のバランスの調整を含めた安定的な調達を進めております。

品質確保につきましては、品質強化委員会を中心とし、製造工程での不良品の発生状況や施工上の不具合などを分析し、ケーススタディなどによって解決策を提示し、各部門との連携・情報共有を図ることで対応を行っております。

市場の変化に対しましては、営業部門が設計事務所・ゼネコン・販売会社などの顧客と緊密な関係を構築し、お客様のニーズを的確にとらえた提案営業が実践できるよう取り組んでおります。

国内の法令や政治・経済動向等につきましては、取締役会を中心とし、情報を入手するとともに、社外の専門家と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。

なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、新規製品・工法開発等にかかる研究開発費や、老朽化した設備の維持更新、各種工法用治具のラインナップの拡充に係る投資であります。また、従前より、東京工場のリニューアル工事とスマートエネルギー事業参画への投資約24億円などを計画・実行中でありましたが、東京工場事務所棟の新設をもってリニューアル工事は終了いたしました。投資総額は、約18億円となりました。現在は、新本社屋の建設中で来年3月の完成を見込んでおります。新たに取得した土地代を含めて、営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資金と金融機関からの借入金により調達する計画であります。

なお、当連結会計年度末における長・短期借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、5,877百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,238百万円であり、流動性の確保は重要な経営課題であります。

 

 6)目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、第7次中期経営計画(2022年度~2024年度)で、基礎事業の収益回復に向けた取り組み(Reform戦略)と中長期的な事業競争力強化に関する取り組み(Restart戦略)を策定し、取り組んでおります。

世界的なインフレを受けた利上げによる急激な円安や、ロシアによるウクライナ侵攻により、鋼材、セメントはもちろんのこと、燃料など諸物価が全体的に急激に高騰し、業績に大きな影響を与えました。

このような状況のもと、Reform戦略として、コスト削減・コスト管理・物件別の利益管理といった基本的な施策を、外部環境の変化に合わせて喫動的に組み合わせて実行してまいりましたが、着実に効果を上げているものと考えております。

Reform戦略の完遂を目指し、収益力の回復を最優先目標として経営を行ってまいりましたが、単年度の経営成績は売上高の数値目標は未達に終わりましたが、利益につきましては目標を超える数値を達成いたしました。具体的な目標である中長期的なROE8%に対して、実績16.4%、自己資本比率30%に対して26.2%でありました。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、コンクリート二次製品の製造販売を通じて、快適な生活基盤創りに貢献するために、当社グループ独自で、あるいは外部組織と共同体制を組んで推進しております。

主力のコンクリートパイルとその他コンクリート二次製品の研究開発及びそれらの周辺技術としての施工技術の研究開発に積極的に取り組んでおります。

当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、101百万円であり、全て基礎事業セグメントで発生したものであります。

当連結会計年度における研究開発活動の状況は、次のとおりであります。

 

基礎事業

主力工法のHyperストレート工法に改良を加え、適用範囲と支持力を強化したHyperストレートNT工法の国土交通大臣認定を取得しました。

引き続き、HyperストレートNT工法のグレードを高めるための開発にも取り組んでいます。本工法の施工店、施工管理者への講習を通じて、教育活動を展開しています。

また、主力工法のMRXX工法、Hyperストレート工法、HyperストレートNT工法に用いる新たな杭材料の許認可取得についても取り組んでいます。

前連結会計年度に引き続き、ICT技術を活用した施工現場における管理厳格化技術を確立し、弊社施工現場における施工品質均一化確保にも取り組んでいます。

脱炭素技術に関しては、関連研究会等に参画し情報収集を積極的に行っております。