文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念である「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」を実践し、顧客満足を追求することを通じて社会の発展に貢献することを事業の目的としております。
また、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足を高めることで社会に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、第7次中期経営計画(2022~2024年度)において「Reform戦略(改革)」と「Restart戦略(再始動)」という「2つのR」をコンセプトとした「TAFCO・RR計画」を策定し、実行してまいりました。主な内容は、経営環境の激変が続く中、収益構造の改革(Reform)と強化を図りつつ、脱炭素やデジタル化など急速に変化する経営環境に的確に対処する(Restart)準備をし、成長戦略を推進するものでありました。
基礎事業の成長を実現していくためには、適切な成長投資を組み合わせて実行していくことが重要であります。また、投資を継続していくためには、投資原資=利益を安定的に創出していくことも必要になります。第8次中期経営計画(2025~2027年度)は、利益率の改善・安定を目的としたReform戦略、成長投資を適切に組み合わせて管理実行していくことを目的としたAdvance戦略を柱としております。
第8次中期経営計画においても引き続き財務の安定性向上に取り組み長期的な目安として自己資本比率30%に向けて取り組んでまいります。
収益性指標につきましては、「自己資本利益率(ROE)」を重要指標と位置付け、株主資本コストを上回る自己資本利益率を目標として収益性の向上に努めてまいります。
(3) 経営環境
日本経済の概況につきましては、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復してきたものの、米国、中国といった海外経済の動向、関税などの政策運営の不確実性などの国外要因の影響により世界経済および日本経済に与える影響は非常に不透明な状況であります。
全国のコンクリートパイル出荷量は、前年度を下回って推移いたしました。2023年度もコンクリートパイルの全国出荷量は2022年度を大きく下回る大変厳しい水準でありましたが、当連結会計年度は、さらに出荷量が減少したことで、極めて厳しい状況が続いております。また、当社の主力商圏である関東地区も出荷量が前年度を大きく下回りました。
今後の経済見通しにつきましても、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復していくものと想定しております。直近の経済統計、経済見通しなどを踏まえますと、個人消費は、家計の所得環境の改善にあわせて緩やかに回復するものとみられます。また、設備投資につきましても、好調な企業業績、省力化、デジタル化、サプライチェーンの強化などのニーズを背景として堅調に推移するものと思われます。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中期経営計画の達成に向け、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足度を高めることで社会に貢献してまいります。
1.第8次中期経営計画における経営環境の認識について本中期経営計画における経営環境の見通しは、計画策定時の基本シナリオと考えております。基本シナリオを基準点として、中期経営計画の想定と実際の経営環境に大きな差異が生じていないかを中期経営計画の実行中も適宜検証してまいります。
建設市場につきましては、需要と供給の双方から見る必要があると考えております。まず、潜在的な建設需要は、内需の回復に支えられる形で堅調に推移するものと予想しております。一方で、供給側は、人手不足や労働時間規制などが、供給制約として残るものと予想されます。従いまして、顕在化する仕事量については、引き続き厳しい環境が続くものと予想しております。
もっとも、需要不足による仕事量の低迷とは構造が異なり、上述したとおり潜在的な需要は底堅いものと思われます。したがって、稼働率の減少に臨機応変に対応しつつ、これまで積み上げた技術・ノウハウ・設備を基礎とし、事業競争力(バリューチェーン全体)をバランスよく強化することを通じて、お客様にご提供する付加価値を増やし、事業の成長を実現する機会は十分にあるものと考えております。このような戦略を実行するための枠組みが、後述するReform戦略とAdvance戦略となります。
事業領域につきましては、基礎市場の潜在的な需要は底堅いと予想されること、基礎事業において競争力を強化するために必要な投資額、当社の財務状況などを踏まえますと、現在のところ基礎市場に経営資源を集中していくことが、当社の成長という目的に対して最も合理的であると考えております。
2.Reform戦略とAdvance戦略について
基礎事業の成長を実現していくためには、適切な成長投資を組み合わせて実行していくことが重要となります。また、投資を実行するには、投資原資=利益を安定的に創出していくことも必要になります。第8次中期経営計画は、利益率の改善・安定を目的としたReform戦略、成長投資を適切に組み合わせて管理・実行していくことを目的としたAdvance戦略を柱としております。
まず、Reform戦略は、上述したとおり利益を増やし、安定させるための戦略的な枠組みです。戦略の時間軸は、短期(1年間)としております。1年先の経営環境については、例えばシンクタンクによる景気や建設投資の見通し、社内におけるデータを活用した予測など、経営環境を予想する手段の多いことが特徴です。これらの情報に基づき経営環境を予測し、環境変化に対して有効な施策を組合せで立案・実行しいたします。Reform戦略は、第7次中期経営計画から戦略の柱として、これまで着実に効果を上げてきております。
一方、Advance戦略は、事業を中長期的に成長させるための成長投資を管理する枠組みです。Advance戦略においては、各部門において中長期的な事業競争力に資する投資項目を抽出し、これらの投資項目を全社で統合的に管理します。例えば、投資項目の事前評価として成長戦略全体との合理性、投資対効果、財務的な検討などを行い、投資実行後には定期的に事後評価をします。
加えて、中期経営計画を策定する3カ年ごとに重点領域を定めております。第8次中期経営計画においては、①技術開発、②人的資本、③事業基盤の強化の3つに注力します。第7次中期経営計画までに、工場の基幹設備更新、基幹システムの全面刷新、本社屋建て替えなどの大型の投資に目途を付けることができました。
第8次中期経営計画においては、これらの投資の着実な回収をはかるとともに、技術開発や人的資本といった無形資産領域の強化に注力します。同時に、設備の改修、デジタル化、省エネ化といった事業基盤を支える投資についても計画的に実行してまいります。
Reform戦略とAdvance戦略という異なる時間軸の戦略を組み合わせて、投資原資の創出と成長実現に向けた有効性の高い投資ポートフォリオの構築および実行という好循環を回すことを目指しております。
3.財務戦略の考え方について
財務につきましては、株主資本コストを上回るROEを実現することを目標としております。株主資本コストの推計値は変動するため、ホームページのIR社長メッセージにおいて適宜株主資本コストを開示しております。
利益率につきましては、経営戦略の最も重要な指標の一つと認識しております。社是に「当社は、売上高と利益の成長を志向する。」とありますように、売上高の成長と適切な利益率の確保をバランス良く実現していくことが、経営戦略の目標であります。
財務レバレッジにつきましては、少ない自己資本を効率的に活用するという点でROEに対してメリットがある一方で、過度な借入金は財務の安定性を損なうリスクがあるものと認識しております。このような財務レバレッジのメリット・デメリット、当社グループの財務状況などを踏まえますと、以前から開示しておりますとおり、当面は自己資本比率30%を目標として、内部留保を蓄積することが適切であると考えております。
財務の安定性という点につきましては、自己資本比率だけではなく、流動比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、総資産回転率、固定長期適合率などの指標にも留意し、自己資本の効率的な活用と適切な財務の安定性の両立に努めてまいります。
4.株主価値の向上に向けて
2024年度における株主価値向上の取り組みとして、期末配当の増額を行いました。また、IR活動強化の取り組みとして、名証および個人投資家向け説明会情報サービス「説明会.Com」を通じたオンラインIR説明会を実施いたしました。
株主還元は、配当を基本に考えております。加えて、個人投資家様に向けた株主還元として、株主優待制度も導入しております。配当につきましては、業績の振れをならして見たときに、配当性向が30%以上となるようにしてまいります。
配当について補足しますと、まず「業績の振れをならして見る期間」につきましては、あらかじめ具体的な年限を定めているわけではありません。業績の振れは、その時々の経営環境によって単年度で大きく振幅する場合もあれば、そうでない場合もあります。したがいまして、期間についてはその時の経営環境などを総合的に判断することになりますが、目安としては3~5年間の変動と業績見通しなどを考慮しております。
配当性向につきましては、業績の振れをならして見たときに、配当性向が30%以上となることを目標としております。「30%以上」とあるように、30%は平均的な配当性向の下限値と考えております。30%に対してどの程度上積みするかという点につきましては、財務戦略との整合性などを総合的に考慮して判断しております。
株主優待につきましては、主として個人投資家の皆さまへの追加的な還元策であると同時に、当社が本社を置きます静岡県沼津市の魅力を発信し、お楽しみいただければと存じます。優待品を定期的に入れ替えるなど、株主の皆様には「選んでいただく楽しさ」もお届けできればと考えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社の取締役会は、11名の取締役で構成され、取締役(監査等委員であるものを除く。)6名(内、社内取締役6名)、監査等委員である取締役5名(内、社外取締役5名)により、毎月1回開催することを基本とし、経営に関する重要な意思決定をするとともに、各取締役の業務遂行を監視できるようにしております。
監査等委員会は、5名の社外取締役で構成され、取締役会に対する監督機能の強化・独立性を確保し取締役の業務遂行の全般にわたって監査を実施できるようにしております。監査等委員会は監査等委員会が定めた監査の方針、業務の分担に従い取締役会その他重要な会議に出席、または取締役および従業員から受領した報告内容の検証、部門実査等を通じて、取締役会が構築、整備している内部統制が有効に機能しているかを監視し、業務遂行を監査できるようにしております。また、内部監査室と情報交換を行い、監査機能の強化・相互の連携を図っております。
当社グループはサステナビリティを「事業の中長期的な持続可能性」と捉えております。企業の最も基本的な方針を定める経営理念および社是の内容は、事業の中長期的な持続可能性を明確に示しております。また、業務執行においても中期経営計画における事業戦略の策定において、事業の中長期的な持続可能性は、成長戦略の必要条件および重要な経営課題として、常に検討されております。
(2)戦略
当社グループの経営方針は、「経営理念」と「社是」に定める基本的な価値観と、「中期経営計画」に基づく事業戦略から構築されております。
当社は経営理念として「顧客第一」、「合理追求」、「人倫遵守」の3つを掲げております。「顧客第一」は、仕事を通じて社会の発展に貢献するということで、当社の経営において最も基本となる概念であります。「合理追求」は、物事を考えたり、判断したりする際に、科学的な思考を徹底するということであります。「顧客第一」と「合理追及」は、目的と手段の関係にあり、事業を前に進める両輪であると考えております。最後の「人倫遵守」は、2つの車輪をつなぐ車軸であり、事業を前に進めるための要の役割を担っております。順法ということだけではなく、「どうあるべきかを主体的に考える」という意味を込めて、人と人との道徳的秩序という意味の「人倫」という言葉を用いております。
「社是」は、経営理念よりも具体的な心構えについて定めており、当社の人材や仕事に対する基本的な考え方が入っております。働き方は、新しい考え方も出てくる中で、大変重要なテーマととらえております。当社で働くことを通じて社会とつながり、当社での経験が人生において有意義な経験となるようにしたい、という思いを社是には込めております。
当社グループは、経営理念および社是の下、中長期的に持続可能な事業の実現に向けて取り組んでまいります。また、経営戦略の重要な領域として人的資本の強化に資する取り組みを進めてまいります。具体的には、新入社員研修、資格取得のための社内研修、国内留学制度などレベルアップの機会を提供しております。また、採用や管理職等への登用に関しましては、性別・年齢・国籍・学歴に関係なく、多様な人材の採用、管理職等への登用を積極的に行っております。
当社グループのリスク管理につきましては、成長戦略の検討等において具体的なリスクの抽出、投資計画の立案および評価、実行、事後評価等のプロセスにおいて適切に管理されております。なお、業務執行における重要な情報についてはすべて取締役会に上程あるいは報告されております。
上記「(2)戦略」において記載した、人材育成に関する社内環境整備方針を、「人事政策に関する基本方針」(TAFCO-HR戦略)によって定めております。これらは、①安心、②公正、③成長をコンセプトとしております。
①「安心」とは、終身雇用、充実した福利厚生サービスなどを通じて、社員が安心して長く勤めたいと思える会社を目指すことであります。労使における安定した信頼関係の構築は、当社の競争力強化に資すると考えております。
②「公正」とは、組織の秩序を維持し、公正な評価制度を通じて健全な競争環境を醸成するということであります。組織が持続的に活力を維持するためには、秩序と競争原理が適切に作用していることが必要と考えております。
③「成長」とは、社員ひとりひとりのキャリア形成を会社が支援するということであります。教育制度の充実はもちろんですが、基礎となるのは個人のキャリアプランと、それを通じた主体性だと考えております。社員の主体的な意欲を引き出し、効果的な研修メニューを提供することで、すべての世代において、技能向上に切磋琢磨する環境を醸成したいと考えております。
以上の取り組みを通じて、社員へ安定した雇用環境、働きやすい職場環境、充実した福利厚生、成長の機会等を提供し、社員の意欲を引き出し、お客様により良い商品・サービスを提供し、当社が社会に貢献し、持続的な成長を目指してまいります。
上記方針に対して当社グループは、サステナビリティとは、経営戦略の中で統合的に管理されるべき項目と捉え、具体的な指標および目標は定めておりませんが、経営戦略の重要な領域として人的資本の強化に資する取り組みを進めてまいります。
なお、当社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異につきましては、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。但し、これらのリスクは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、予想を超える事態が発生する場合もあります。
また、以下のリスクは主なものであり、全てを網羅したものではありません。
①販売環境・市場変化に係わるリスク
当社グループの主力事業であります基礎事業は、各市場の動向に大きな影響を受けます。需要動向の変化に対応できる生産体制の構築に努めておりますが、需要が当社想定を下回って推移した場合には、販売量および販売価格の双方を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②原材料価格に係わるリスク
当社グループは、主要原材料としてセメント、鋼材、LNG等の仕入れを行っておりますが、このような素材およびエネルギーは市場価格の影響により大きく変動いたします。当社グループは、市場価格の変動に細心の注意を払い、仕入業者との対話などを通じて仕入れ価格の低減に日々努めておりますが、当社の影響が及ばない市場価格の上昇が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③金利変動に係わるリスク
当社グループは、有利子負債の圧縮に取り組んでおりますが、当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は8,520百万円であり、加えて東京工場のリニューアル工事および新本社の建設についても金融機関からの借入金を主な資金調達方法として実施しております。元金の返済については、金融機関との話し合いにより着実な返済計画を立てておりますが、市場金利が大きく変動し当社の想定を超えて高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④与信管理に係わるリスク
当社グループは、与信会議を中心とした与信管理システムにより、貸倒れの発生を未然に防止するように努めておりますが、販売先の急激な経営状況の悪化などによる貸倒れリスクを完全に排除することは困難であり、貸倒れが発生した場合には、債権額の大きさによっては当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑤法令等に係わるリスク
当社グループは、建設業許可等を受けて営業活動を行っており、許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めております。しかし、仮に法令違反等により許認可が取り消しとなった場合には、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑥品質に係わるリスク
当社グループは、製造・施工・営業部門によって組織された品質管理委員会において、製造、施工等の問題点を話し合い、トラブルを未然に防ぎ高品質を確保するべく努めております。しかし、ヒューマンエラーや予見できない理由により品質に瑕疵が生じた場合には、顧客が要求する品質を満たせず、工期の遅延等が発生する可能性があります。また、瑕疵による損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦安全に係わるリスク
当社グループは、製造、施工を始めとした全ての領域において安全の確保および事故の未然防止にグループを挙げた社内研修やOJT教育等に取り組んでおりますが、仮に重大事故が発生した場合には、多額の補償費用に加えて社会的信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧気候変動に係わるリスク
当社グループは、東京工場においてスマートエネルギー事業(コージェネ大賞2023優秀賞)や本社ZEB化(グリーンローン・フレームワーク最上位格付け取得)など経営戦略における脱炭素に向けての取り組みを進めていますが、気候変動による気温上昇や豪雨・台風など自然災害が発生した場合には、生産・販売活動の停止、配送の遅延等の影響により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度(2024年3月1日から2025年2月28日)のわが国経済は、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復してきたものの、米国、中国といった海外経済の動向、関税などの政策運営の不確実性などの国外要因の影響により世界経済およびわが国経済に与える影響は非常に不透明な状況であります。
全国のコンクリートパイル出荷量は、前年度を下回って推移いたしました。2023年度もコンクリートパイルの全国出荷量は2022年度を大きく下回る大変厳しい水準でありました。当連結会計年度は、さらに出荷量が減少したことで、極めて厳しい状況が続いております。また、当社の主力商圏である関東地区も出荷量が前年度を大きく下回りました。
このような状況のもと、財務の状況につきましては、当社グループは、東京工場の事務所棟および本社の建て替え、東京工場の設備改修や、基幹システムの全面刷新等の投資を行いました。一方、負債につきましては、中小企業庁と公正取引委員会による下請法の運用ルール変更に対応し、支払いサイトを短縮いたしました。
また、不動産賃貸事業につきましては、安定した業績で推移しております。
セグメント毎の経営成績は、次のとおりであります。
基礎事業の主力事業でありますコンクリートパイル部門の全国需要につきましては、前年度を下回って推移いたしました。当社の主力商圏であります関東および静岡につきましても、静岡は若干増加したものの、関東は前年度を約1割下回りました。業績につきましては、需要の低迷に加え、工事の着工遅れの影響もあった結果、当連結会計年度の売上高は、14,201百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は1,111百万円(前連結会計年度比22.1%減)となりました。
ホームセンターへの賃貸を中心とする不動産賃貸事業につきましては、安定した業績で推移した結果、当連結会計年度の売上高は、201百万円(前連結会計年度比3.1%減)、営業利益は124百万円(前連結会計年度比50.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は14,402百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は606百万円(前連結会計年度比34.3%減)、経常利益は596百万円(前連結会計年度比34.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は363百万円(前連結会計年度比39.8%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ1,130百万円(7.5%)増加し、16,148百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて、362百万円(5.5%)増加し、6,913百万円となりました。これは主として受取手形、売掛金及び契約資産の増加961百万円、現金及び預金の減少255百万円、電子記録債権の減少157百万円、未成工事支出金の減少166百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、768百万円(9.1%)増加し、9,235百万円となりました。これは、主として建設仮勘定422百万円の増加、ソフトウェア262百万円の増加、建物及び構築物213百万円の増加、無形固定資産その他に含まれるソフトウエア仮勘定173百万円の減少等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、1,378百万円(19.7%)減少し、5,625百万円となりました。これは、主として1年以内返済予定の長期借入金422百万円の増加、電子記録債務の減少1,073百万円、未払法人税等223百万円の減少、支払手形及び買掛金の減少330百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、2,242百万円(54.9%)増加し、6,325百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加2,231百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、267百万円(6.8%)増加し、4,197百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加266百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は26.0%、1株当たり純資産額は3,240円40銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,531百万円の減少(前連結会計年度比1,882百万円の減少)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益591百万円、減価償却費477百万円、棚卸資産の減少額169百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額804百万円、仕入債務の減少額1,404百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,147百万円の減少(前連結会計年度比991百万円の減少)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出950百万円、無形固定資産の取得による支出189百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,424百万円の増加(前連結会計年度比2,902百万円の増加)となりました。
これは、主に長期借入れによる収入4,637百万円、長期借入金の返済による支出1,983百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ255百万円減少し、983百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
5 2025年2月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、債務償還年数およびインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 生産高については製造原価及び完成工事原価によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載事項はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。見積りに関しては過去の実績などを慎重に検討したうえで行い、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1)経営成績
(売上高)
売上高は、基礎事業において、全国需要は前連結会計年度を下回ったことに加え、当社グループの主力商圏であります関東および静岡につきましても、静岡は若干増加したものの、関東は前年度を約1割下回った結果、前連結会計年度より減収となり、14,402百万円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の売上総利益は、上記売上高の減少があったものの収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、前連結会計年度比3.0%減の2,723百万円となりました。売上総利益率は、主に上記の要因により、前連結会計年度の18.6%から当連結会計年度は18.9%に増加しております。
また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の1,883百万円から233百万円増加し2,116百万円となりました。
以上の結果、営業利益は606百万円(前連結会計年度比34.3%の減少)となりました。なお、売上高営業利益率は4.2%で前連結会計年度比1.9ポイントの減少となりました。
(経常利益)
経常利益は、主に上記の要因により、596百万円(前連結会計年度比34.5%の減少)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、363百万円(前連結会計年度比39.8%の減少)となりました。
2025年2月期の連結業績予想(計画)との比較
(単位:百万円)
併せて、中期経営計画の目標値であるROE8%に対して、実績は8.9%、自己資本比率30%に対して、26.0%となりました。
(セグメント別の状況)
(基礎事業)
当連結会計年度のコンクリートパイルの全国需要につきましては、前連結会計年度を下回って推移いたしました。当社グループの主力商圏であります関東及び静岡につきましても、静岡は若干増加したものの、関東は前連結会計年度を約1割下回りました。また、需要の低迷に加え、工事の着工遅れも業績に影響を与えました。損益につきましては、収益改善を目的としたReform戦略にのっとり、収益改善策の徹底的な積み重ねの結果、基礎事業の利益率は、前連結会計年度とほぼ同程度を維持いたしました。
基礎事業の事業戦略につきましては、第7次中期経営計画に基づき、原価上昇等の経営課題に対してはReform戦略を継続することで対処してまいりました。また、経営環境の大きな変化に対応するため、予算管理を中心とした社内の業務執行管理体制の強化を継続いたします。一方で、成長投資の効果を最大化するためには、成長に向けた課題を的確に把握し、有効性の高い投資項目に絞り込んでいくことが重要であります。Restart戦略では、このような課題把握・投資項目選定・実行・評価について体系的な取り組みを行っており、常時アップデートを重ねることで、脱炭素やデジタル化に加えて、人手不足、2024年問題といった重要な経営課題に対して、有効な施策のパッケージとなるように努めてまいりました。
以上の結果、基礎事業の売上高は、14,201百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は1,111百万円(前連結会計年度比22.1%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業に関しましては、静岡県沼津市でのショッピングセンターの賃貸を主な事業としておりますが、安定した業績で推移した結果、当連結会計年度の売上高は、201百万円(前連結会計年度比3.1%減)、営業利益は124百万円(前連結会計年度比50.5%増)となりました。
2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ1,130百万円(7.5%)増加し、16,148百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べて、362百万円(5.5%)増加し、6,913百万円となりました。これは主として受取手形、売掛金及び契約資産の増加961百万円、現金及び預金の減少255百万円、電子記録債権の減少157百万円、未成工事支出金の減少166百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、768百万円(9.1%)増加し、9,235百万円となりました。これは、主として建設仮勘定422百万円の増加、ソフトウェア262百万円の増加、建物及び構築物213百万円の増加、無形固定資産その他に含まれるソフトウエア仮勘定173百万円の減少等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、1,378百万円(19.7%)減少し、5,625百万円となりました。これは、主として1年以内返済予定の長期借入金422百万円の増加、電子記録債務の減少1,073百万円、未払法人税等223百万円の減少、支払手形及び買掛金の減少330百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、2,242百万円(54.9%)増加し、6,325百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加2,231百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、267百万円(6.8%)増加し、4,197百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加266百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は26.0%、1株当たり純資産額は3,240円40銭となりました。
3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,531百万円の減少(前連結会計年度比1,882百万円の減少)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益591百万円、減価償却費477百万円、棚卸資産の減少額169百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額804百万円、仕入債務の減少額1,404百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,147百万円の減少(前連結会計年度比991百万円の減少)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出950百万円、無形固定資産の取得による支出189百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,424百万円の増加(前連結会計年度比2,902百万円の増加)となりました。
これは、主に長期借入れによる収入4,637百万円、長期借入金の返済による支出1,983百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ255百万円減少し、983百万円となりました。
4)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、原材料調達や価格の動向、市場動向、国内の法令や政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、重要な供給元とは関係強化を図るとともに、汎用品に関しては複数の調達先を起用することと、生産と販売のバランスの調整を含めた安定的な調達を進めております。
品質確保につきましては、品質強化委員会を中心とし、製造工程での不良品の発生状況や施工上の不具合などを分析し、ケーススタディなどによって解決策を提示し、各部門との連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
市場の変化に対しましては、営業部門が設計事務所・ゼネコン・販売会社などの顧客と緊密な関係を構築し、お客様のニーズを的確にとらえた提案営業が実践できるよう取り組んでおります。
国内の法令や政治・経済動向等につきましては、取締役会を中心とし、情報を入手するとともに、社外の専門家と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新規製品・工法開発等にかかる研究開発費や、老朽化した設備の維持更新、各種工法用治具のラインナップの拡充に係る投資であります。また、建設中であった新本社屋が本年3月に完成いたしました。新たに取得した土地代を含めて、営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資金と金融機関からの借入金により調達いたしました。
なお、当連結会計年度末における長・短期借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、8,520百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は983百万円であり、流動性の確保は重要な経営課題であります。
6)目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、第7次中期経営計画(2022年度~2024年度)で、基礎事業の収益回復に向けた取り組み(Reform戦略)と中長期的な事業競争力強化に関する取り組み(Restart戦略)を策定し、取り組んでまいりました。
世界的なインフレを受けた利上げによる急激な円安や、ロシアによるウクライナ侵攻により、鋼材、セメントはもちろんのこと、燃料など諸物価が全体的に急激に高騰し、業績に大きな影響を与えました。
このような状況のもと、Reform戦略として、コスト削減・コスト管理・物件別の利益管理といった基本的な施策を、外部環境の変化に合わせて喫動的に組み合わせて実行してまいりましたが、着実に効果を上げているものと考えております。
Reform戦略の完遂を目指し、収益力の回復を最優先目標として経営を行ってまいりました。単年度の経営成績は売上高の数値目標は未達に終わりましたが、利益につきましてはほぼ目標通りの数値を達成いたしました。具体的な目標である中長期的なROE8%に対して、実績8.9%、自己資本比率30%に対して26.0%となりました。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当社グループの研究開発は、コンクリート二次製品の製造販売を通じて、快適な生活基盤創りに貢献するために、当社グループ独自で、あるいは外部組織と共同体制を組んで推進しております。
主力のコンクリートパイルとその他コンクリート二次製品の研究開発及びそれらの周辺技術としての施工技術の研究開発に積極的に取り組んでおります。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、
当連結会計年度における研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
基礎事業
新たな主力工法の一つと位置づけているHyperストレートNT工法の広域展開を目的に、同業パイルメーカーに対して技術供与を実施し、同業各社と関連施工会社に対して教育指導を実施しました。
引き続き、HyperストレートNT工法の適用範囲の拡大、グレードを高めるための開発にも取り組んでいます。
また、主力工法のMRXX工法、Hyperストレート工法、Hyper-NAKSⅡ工法に用いる高強度パイルであるRANK-PHC、RANK-STパイルの許認可取得を完了しました。
このことにより主力工法の能力を、最大限に発揮できる体制を構築しました。
ICT技術を活用した施工現場における管理厳格化、遠隔臨場技術確立を目指し、弊社施工現場における施工品質向上にも取り組んでいます。
前連結会計年度に引き続き、脱炭素技術に関しては、関連研究会等に参画し情報収集を積極的に行っております。