当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「全員の創意で常に新しい商品を世に問い、居住空間の創造を通して21世紀を勝ち抜く企業集団を作ろう」を経営の基本とし、人々の生活と安全を守り、快適な住環境を創り出す部材・システムを提供し、社会の発展に貢献する企業を目指し、社員一人ひとりの人間性を尊重し、働きがいのある明るい職場を作り個々の能力向上を図り、未来に向けて常時新しい感性を持って創造・開発を行い、独自の技術を結集した世界に通ずる商品を提供し続け、株主・社員・地域への還元を継続して行い、社会と共生を図ることを経営理念として活動しております。
(2) 目標とする企業像
①建設部材・システム分野での開発型企業を目指し、建築・住宅・土木の3市場での安定的な商品供給による強固な経営基盤づくりを推進してまいります。
②技術力を背景とし、品質・納期・コストの優位性を推進するオンリーワン企業を目指してまいります。
③環境保全を主眼に置いた次世代の事業を模索し、人々にやすらぎと安心を提供し、社会に貢献する取り組みを進めてまいります。
(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済の見通しにつきましては、各企業の賃上げが進み国内経済に好循環をもたらすことが期待される一方、世界情勢は依然として政治・経済両面に不安定な要素を有しており、不確実性が高まる状況で推移することが懸念されます。建築材料業界におきましても、各企業の建設投資に対する慎重姿勢が継続することも想定され、また、物流業界をはじめとした2024年問題の影響等、予断を許さない状況で推移する見通しです。
このような状況のなか、当社は質・量ともにお客様にご満足いただける製品の安定供給を最重要課題として取り組み、「やすらぎと安心の創造」を提供する企業を目指します。
翌期の受注環境は一層厳しいものになると想定されますが、販売部門では、お客様のニーズを反映したデザインパネルや、環境対応パネルや素地ボードなど当社独自の高付加価値商品の積極的・戦略的な営業展開で競合製品との差別化を図り、収益拡大を図ってまいります。
生産部門では、国際情勢の混迷により資源高が加速度的に進行するなど逆風にさらされておりますが、製造現場全体の人材育成に継続して取り組み現場改善力を磨き、競争力強化を図ってまいります。
品質保証部門では、品質保証プロセスの自動化の推進等、検査工程の高度化に徹底的にこだわり、お客様から信頼していただける商品の提供を使命として取り組んでまいります。
研究開発部門では、環境への配慮、安全性、お客様の求める性能に重点を置いた製品開発を進め、社会に貢献する製品創出を目指してまいります。
管理部門では、様々な外部要因により不確実性が増すなか、強固な財務基盤の維持に努め、従業員エンゲージメント向上を目的とした制度改革を通じて、企業の成長と発展に貢献してまいります。
中期経営計画では、2027年の創業130周年に向け、経営基盤の強化と事業の更なる発展を図るため、いつも新しいことを追求、全社三大戦略(※)を展開、全領域での差別化を推進し、2026年3月期 売上高経常利益率12%以上を目指します。
2025年3月期につきましては、引き続き均一で美しい仕上げで現場省力化も実現する「工場塗装品」や環境対応商品「アスロックグリーンウォール」・「アスロックソーラーウォール」やスレートボードの「フレキシブルシート素地シリーズ」など、当社独自の高付加価値商品の積極的・戦略的な営業展開により競合商品との差別化を推進するとともに、住宅向け商品の需要増加に対応するべく生産性向上の改善に取り組むなど、収益拡大を図ることで中期経営計画に掲げた目標「2026年3月期経常利益率12%以上」の達成に向け取り組んでまいります。
(※)全社三大戦略:体質強化戦略、収益拡大戦略、飛躍成長戦略
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営指標として、売上高経常利益率を重視しております。2026年3月期売上高経常利益率12%の達成を目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(サステナビリティに関する考え方)
当社グループは「人々の生活と安全を守り、快適な住環境を創り出す部材とシステムを提供し、社会の発展に貢献する企業をめざす」及び「社員一人・一人の人間性を尊重し、働きがいのある明るい職場を作り、個々の能力向上を図る」の理念のもと、サプライチェーン全体における環境負荷低減に取り組むとともに、環境保全に貢献する技術開発と商品の提供を通じて、人々にやすらぎと安心を提供し、持続可能な社会の実現に努めております。また、中期経営計画では、経営基盤の強化と事業の更なる発展を図るため、常に新しいことを追求、「全社三大戦略プラスONE」を展開し、取り組んでおります。
※全社三大戦略:体質強化・収益拡大・飛躍成長
※プラスONE:持続可能な社会の実現に向け、企業が長期的な成長を遂げるために、「環境」「社会」
「企業統治」の3つの要素を考慮して経営を行う「ESG」経営への取組みを推進するもの
(1)ガバナンス
当社グループは、監査役会設置会社であり、株主総会、取締役会及び監査役会を設置しております。取締役会は、毎月1回定例又は必要に応じて臨時に開催されており、法令に定められた事項のほか経営に関する重要議案について決議しております。経営会議として社長、技術本部長、販売本部長、品質保証本部長、管理本部長を委嘱された取締役で構成された「本部長会」で業務執行状況や取締役会への付議事項を検討しております。「本部長会」で選出されたメンバーによるワーキングチームが、サステナビリティに関する活動を推進する機関として、重点課題の認識や施策の発案、その進捗状況の管理等具体的な活動を展開。審議内容は、「本部長会」に報告、会社方針案を策定の上、取締役会に上程し、十分な検討を実施した上で決定しております。気候変動対応については、環境推進室の室長に取締役を任命し、気候変動に対応する具体的施策の進捗状況を監視し、取締役会において監督しております。リスク管理については、法務・知的財産室を所管するリスク対策部の部長に取締役を任命し、事業に関するあらゆるリスク管理に対応し、取締役会において監督しております。
人的資本に関しては、社員の能力向上を図り、その能力を100%発揮して常に新しいことを追求・実践することで「やすらぎと安心の創造」を実現し、企業価値向上に寄与するものと考えており、取締役管理本部長を責任者としております。
(2)戦略
当社グループは、中期経営計画において、経営基盤の強化と事業の更なる発展を図るため、常に新しいことを追求、「全社三大戦略プラスONE」を展開し、全領域での差別化を推進しております。特に、「プラスONE」では、持続可能な社会の実現に向け、企業が長期的な成長を遂げるために、「環境(E)」「社会(S)」「企業統治(G)」の3つの要素を考慮して「ESG」経営に取り組んでおります。2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、ワークライフバランスによる快適な職場環境づくり、リスクマネジメント及びコンプライアンスの徹底と積極的な開示による健全な企業経営をすすめております。また、中期経営計画の進捗状況を全役員・全社員に周知するため、年2回の報告会を実施しております。
気候変動への対応については、環境管理基本方針「地球環境の保全と快適な生活環境の創造を両立する」 との方針のもと、サプライチェーン全体における環境負荷低減に取り組むとともに、環境保全に貢献する技術開発と商品の提供を通じて、持続可能な社会の実現に努めております。
「SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)」の認定を取得し、2030年にはCo2排出量50%削減(2018年比)の実現に向け取り組んでおります。また、NEDOグリーンイノベーション基金事業「Co2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」のコンソーシアムに参画し、カーボンニュートラル達成に向け、経営課題として取組んでおります。
人的資本に関しては、当社経営理念の土台に「常にあたらしいことを」と「人を大事に」があり、このうち「人を大事に」は、「およその事業の根源は人であり 外に顕れた業績は すべてその光に外ならない」という当社創業者の理念を源流(根本)としております。経営理念や目標とする企業像を実現するには、「人」であるとの創業者精神を受け継ぎ、社員の能力向上を図る人財育成を実施、その能力を100%発揮できる環境づくりとなる人事制度を構築することで企業価値向上を図ります。
人財育成方針では、社員の能力向上を目指し、従業員が満足できるスキルアップを実現させるため、能力に応じたスキルアップ教育として、階層別研修(各階層の基本的能力、知識習得へ)及び部門別研修(各部門専門的知識、技能習得へ)を実施しております。
社内環境整備方針では、社員の能力を100%発揮できる環境づくりとして、定量評価による公正な評価制度を行い、社歴に関係なく昇進昇格を可能とし、評価に見合った給与を得られることとしております。また、個性を活かして輝ける会社を目指し、中途採用者及び女性採用の比率をアップさせるとともに、外国人社員・障がい者等の多様な人財の採用をすすめております。また、ワークライフバランスの取組みとして、離職率低減、残業時間削減、働き方の多様性に対応する時差出勤制度、有給休暇及び男性育児休暇の取得推進を図っております。
(3)リスク管理
当社グループは、コーポレート・ガバナンスのもと、事業関連リスクへの対応と新たなリスク評価・対策を確実に実施すること及びコンプライアンスを徹底するため、法務・知的財産室を所管するリスク対策部を設置。部門長に取締役を任命し、リスク管理規程を定め同規定に従ったリスク管理体制を構築。また、コンプライアンス啓発・教育委員会を設置し、当社グループ全役職員に対する研修会開催、「コンプライアンス便り」の配布、「コンプライアンスマニュアル」を策定し行動規範を徹底する等、リスク及び機会について管理強化を図っております。
気候変動対応に関しては、対応遅れによる顧客離れ、製品開発遅れによる収益獲得機会の喪失、予想を超える風水害による事業活動停止、原燃料高騰や炭素税導入等によるコストアップ等、企業価値が毀損するリスクがあります。一方、気候変動に対応し、製品開発を早期に実現することにより収益拡大、ステークホルダーからの信認を獲得することで企業価値向上が図れると認識し、「プラスONE」で持続可能な社会・持続可能な企業の実現を図っております。
人的資本に関して、社員の能力の向上を図り、社員の能力を100%発揮して、常に新しいことを追求・実践することが「やすらぎと安心の創造」を実現する重要事項であると考えており、人口減少が進むなか、人財獲得の継続が困難になること、社員の離職による企業力低下が大きなリスクと考えております。社員が満足できるスキルアップ教育を実施し、社員の能力を100%発揮できる環境として、定量的評価による公正な制度を確立すること等により、リスク低減を図り、飛躍成長を遂げる礎としております。
(4)指標と目標
(気候変動対応)
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重要項目 |
取り組み内容 |
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Co2排出量削減 |
2050年カーボンニュートラル実現 2030年 Co2排出量50%削減(2018年度比) ・設備生産性の向上 ・工場内照明最新LED切替え ・太陽光発電システムの設置 ・輸送トラック積載率向上 目標:積載率90% 2023年度実績:積載率76.9% |
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Co2排出量削減・固定化 |
・NEDOグリーンイノベーション基金事業 「Co2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」のコンソーシアムに参画 ※「グリーンイノベーション基金事業」とは、2050年カーボンニュートラルの目標に向けて、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する事業のこと |
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Co2吸収 |
・当社所有地にて植林(北海道富良野55万㎡植林・緑化推進)Co2吸収 |
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重要項目 |
取り組み内容 |
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SBT認証取得 |
2030年に向けた当社の温室効果ガス削減目標がパリ協定に整合した科学的に根拠ある水準であると認められ、「SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)※」の認定を取得しました。 ※SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)とは、パリ協定の目標達成に向けた温室効果ガス削減シナリオと整合する科学的な目標の設定、実行を求める国際的なイニシアティブのこと |
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廃棄物量の削減 |
・不良品の低減 |
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環境問題・資源循環型社会に適合した技術開発 |
快適な住環境を創り出すと共に環境負荷を低減する資材・システムを提供し、社会貢献することを理念とし、この理念の下研究開発を実施 ・原料素材のリサイクル ・環境共生商品の開発 |
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環境商品の拡販 |
・既存環境商品(グリーンウォール・ソーラーウォール・レフスカイ)の拡販によるCo2排出削減に貢献 |
(人的資本)
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重要項目 |
取り組み内容 |
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多様性確保 |
多様な人財の採用により個性を活かして輝ける会社を目指して ・新卒、中途採用女性比率アップ 目標: 2023年度実績:女性採用比率 ・外国人社員の採用推進 ・障がい者雇用の推進 インターンシップ、教職員の工場見学実施 |
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教育研修機会の確保 |
・NNPS(ノザワ・ニュー・プロダクション・システム)改善活動による問題発見解決型の人財教育 個人の能力に応じたスキルアップ教育 ・階層別研修(各階層の基本的能力、知識習得へ) ・部門別研修(各部門専門的知識、技能習得へ) |
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人事制度改定 |
・定量的評価による公正な評価制度 目標: ・社歴に関係なく昇進昇格 ・評価に見合った給与 |
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ワークライフバランスの推進 |
・残業時間の削減 目標:社員の残業45時間超ゼロ ・入社3年以内の退職者防止 ・離職率低減の取組み ・男性育児休暇取得推進 目標: 2023年度実績:対象者 ・有給休暇取得推進 目標: ・労働災害発生ゼロ ・「ひょうご仕事と生活の調和」推進企業宣言 (兵庫県内の企業がワークライフバランス向上に向け、職場環境の改善に取組むことを宣言するもの) ・「時差出勤制度」の導入 多様な働き方に対応し働きやすい職場づくり |
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労働安全の確保 |
・安全パトロール指摘事項(行動、設備、管理)が納期内で是正改善されたことを確認 ・作業者の安全作業実行度をパトロールで確認しゼロ災を達成する 目標:災害発生ゼロ ・ヒヤリハット報告、ヒヤットボックス活動推進によるリスク軽減 ・安全衛生教育(階層別教育、部門別教育) |
(企業統治)
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重要項目 |
取り組み内容 |
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ステークホルダーに向けたIR活動 |
・決算補足説明、株主通信、ホームページによるステークホルダーに向けた適切な情報開示 |
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コーポレート・ガバナンス・コードの遵守 |
・コーポレート・ガバナンス・コードのコンプライ比率アップ ・業務の適正を確保するための体制整備 ・内部統制システムによる財務情報の信頼性確保 |
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内部通報窓口の設置 |
・内部通報窓口の設置と内部通報者の保護 |
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企業リスクゼロへの取組み |
・四半期決算分析による問題発見と異常撲滅 ・臨床法務、予防法務による事業リスクゼロへの取組み ・コンプライアンス啓発・教育委員会設置 ・コンプライアンス便りによる啓蒙活動 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(1)景気変動について
当社グループの主力製品の押出成形セメント製品は、公共投資・民間設備投資及び新設住宅着工戸数等の影響を強く受けます。公共投資の動向は、公共機関の政策によって決定され安定的に推移するとは限りません。また、経済環境が悪化し民間設備投資・住宅投資が減少した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(2)海外情勢について
当社グループは海外に拠点を置く連結子会社を有しており、当該国の政治経済環境の大幅な変化、法律改正等予期しえない事象が発生した場合、その結果が当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動について
当社グループは連結財務諸表作成のため、在外連結子会社の財務諸表を円貨に換算しております。外国為替相場の変動が外貨建財務諸表の円換算額に影響を与え、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料価格及び調達について
当社グループの主力製品である押出成形セメント製品の主な原材料は国内調達のセメントですが、それ以外に中国・インド等からの輸入原材料も一部使用しております。また製造工程上、天然ガス・灯油・潤滑油等を使用しております。原材料及びエネルギーの価格の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害等の発生や輸入原材料の生産国の法令の変更や政情不安等により禁輸措置がとられた場合、原材料の安定的な調達が困難となり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、必要に応じて輸入原材料について一定量を備蓄するなどし、調達に支障を来さぬよう対策を講じております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(5)物流について
当社グループは、製品の販売先への納入は外部の運送会社へ委託しております。物流業界における2024年問題等トラックドライバー不足による出荷の停滞や物流コストが大幅に上昇した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各運送会社との継続的・安定的な取引を目的として、高速道路の使用推奨や当社工場での積込の改善等の推進や、製品の販売先に対し、納入先である建築現場における荷下ろし時間の短縮や、増加した物流コストの売値への反映を要請する等の取り組みを行っております。
(6)貸倒リスクについて
当社グループでは、貸倒による損失を最小限にとどめるために、与信管理に十分注意を払っています。一方、金銭債権に対し貸倒引当金を充当していますが、顧客の経営状況の悪化等により更に貸倒が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、営業債権について、主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
(7)投資有価証券について
当社グループは、取引先及び金融機関等の株式を保有しています。今後、経済環境及びそれらの企業の収益や財政状況によって株価が変動し評価減を行う可能性があり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
(8)販売数量・販売価格の変動について
当社グループの主力製品の押出成形セメント製品部門における売上高は全体の77%を占め、事業の中核をなしております。従って、将来において押出成形セメント製品の販売数量及び価格の変動によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(9)固定資産の減損会計適用について
資産がその収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、その回収可能性に見合った帳簿価額に減額し減損損失としなければならず、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(10)退職給付債務について
当社グループの従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や退職率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。前提条件と実際の結果が異なった場合、認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)繰延税金資産について
当社グループは将来の課税所得に関する見積り・仮定に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の一部または全部に回収可能性がないと判断された場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)石綿による健康障害について
当社グループは過去に石綿を事業に使用しており、石綿による健康障害に対する補償の発生や、損害賠償請求訴訟により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在、石綿含有建材にばく露して健康被害を受けたとして、建材従事者とその遺族が国及び当社を含む建材メーカーに対して損害賠償金を求める裁判が各裁判所に係属しており、現在、当社グループは損失の発生可能性が高いと認められる案件について訴訟損失引当金を計上しておりますが、今後の判決の内容により追加で費用が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(13)品質管理について
想定を超える瑕疵担保責任が発生した場合、費用が発生し当社グループ及び製品の評価を大きく毀損することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「品質保証本部」において製品・施工の品質維持向上に取り組み、顧客満足度向上に努めております。
(14)災害及び感染症について
当社グループは生産拠点、研究開発拠点、営業拠点、管理部門拠点の事業所を有しております。これらの拠点で感染症の流行、地震・台風等の自然災害、設備事故や火災等、また、重大な労働災害が発生した場合には、その被害状況によっては事業活動が停止する等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報漏洩・不正アクセス等に係るリスク
当社グループは重要情報や個人情報を入手・使用することがありますが、自然災害・通信トラブル・コンピューターウイルスの感染・サイバー攻撃等により、情報漏洩やシステム障害が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、事業活動の中断及び損害賠償請求等が生じることとなり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報に対する適切なリスク管理を重要な経営課題として認知し、「情報セキュリティポリシー」を策定しております。当社グループにおいて情報を利用する当社グループの役員、社員及びその他の従業員が情報セキュリティを確保するにあたって順守すべき指針を基本方針として定めております。
(16)知的財産権に係るリスク
当社グループは、自社が製造する製品に関して、研究開発により様々な知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保しております。これらの知的財産権については、厳正に管理しておりますが、万一、第三者から侵害を受けた場合、期待された収益が得られない可能性があります。また、当社グループは、他社の知的財産権を侵害しないように研究開発を行っておりますが、権利解釈の相違等により意図せず、第三者の知的財産権を侵害したとして、実施の差し止めや損害賠償の請求を受ける可能性があります。
知的財産については、知的財産管理室をリスク対策部内に設置し、研究活動において得られた基本技術及び周辺技術(特許、実用新案登録)、デザイン(意匠登録)並びにブランド(商標登録)を事業展開に合わせて出願し、権利化を行うと共に、権利侵害等のリスク対策を含め適切な管理を実施しております。
(17)気候変動や環境について
当社グループは、持続可能な社会への取組みに注力しています。環境に関する様々な法令規則を遵守しておりますが、法令規則や運用に関する変更が行われた場合には、法令対応に関する費用の発生や事業活動に対する制限等によって、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「緑ゆたかな地球の再生」を目指し、積極的に取組み、社会の一員としての責務を果たしていくため、環境行動指針を制定しております。
また、中期経営計画において「全社三大戦略プラスONE」とし、持続可能な社会の実現に向け、企業が長期的な成長を遂げるために、「環境」「社会」「企業統治」の3つの要素を考慮して経営を行う「ESG」経営への取組みを推進しております。
(18)人材確保について
当社グループが持続的に成長し安定した経営体制を構築するためには、優秀な人材を確保・育成し、その能力を発揮できる環境の整備が不可欠ですが、今後少子高齢化に伴う労働人口減少、人材の大量退職や人材育成が計画通り進まない等により優秀な人材を確保できない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載している方法等により対応に努めております。
(19)人権について
事業活動における人権の尊重、とりわけサプライチェーン上の人権や労働環境への配慮は、社会的な要請として高まりを見せており、当社グループにおける取組みが不十分である場合、社会的な信用の毀損等に伴い業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、人権の尊重を基に「コンプライアンスマニュアル」を策定し、当社グループ役職員が遵守すべき行動規範により、全てのステークホルダーに対し、人権侵害を許さず、人権が尊重された明るい職場づくりを推進しております。
(20)偶発事象について
予期しえない法律・規則等の改正及び訴訟等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が一段と進み、企業収益は増益傾向にある一方で、米国金融政策の動向や中国経済の景気減速懸念、ウクライナ侵攻・中東情勢の悪化等、景気下振れリスクが高まる状況で推移しました。建築材料業界におきましても、資材高騰による市況の悪化が徐々に増大しており、先行き不透明な事業環境が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、「安らぎと安心の創造」のコーポレートメッセージのもと、お客様のニーズの多様化や、デザイン志向の広がりに対応した商品の拡充を図りました。
新商品については、当期は新たに5つの商品を投入しました。2023年は、ヒマワリの花のようなリブ先端のデザインと、押出成形セメント板史上最も高い40㎜というリブ高さが特徴の「ソレイユライン」を5月に発売、また、アルミパネルなどの大型仕上げ材を取り付けることができる「レールファスナーストロング」の高耐力留付仕様「Rクリップ+NVナット」を8月に追加しました。2024年には、熟練した外壁塗装職人しか表現できなかった独特なムラを工場塗装で対応可能にした工場複色塗装品「淡斑(あわむら)」を1月に、パネルの表層をたがねやのみで削った跡を再現した「ラインピール」と、太陽の動きに伴いリブの影が変化し、時間の経過で壁面全体が幻想的に遷り変わる「ドミノラインT」の2つのデザインパネルを2月に、それぞれ発売しました。
当連結会計年度は鉄骨造着工床面積が前年度を割り込む状況で推移しましたが、販売部門では、高付加価値商品の拡販に注力し、メンテナンスフリーと工期短縮も実現するカーテンウォール「アルカス」の販売が伸長したことや、価格改定が浸透したこと等から、「アスロック」の売上高は前期比増収となりました。住宅用商品についても、高遮音床材・軽量外壁材ともに堅調に推移し、前期比増収となりました。スレートボードについては、簡単な施工でコンクリート打ち放し風の内装仕上げを表現する「フレキシブルシート素地シリーズ」が、多数の問い合わせを頂くなど高い関心を集めており、前期に続き増販となったこと等から、スレートボード売上高は前期比増収となりました。
生産部門では、インフレ圧力が日増しに強くなる経営環境下、NNPS(ノザワ・ニュー・プロダクション・システム)による改善活動を一層推進し、コストダウンを追求しました。
品質保証部門では、お客様からのご意見を収集し、顧客満足度向上を目指して製品品質・施工品質の維持向上に努めました。
管理部門では、社内提案制度を見直し奨励金を引上げ、また、従業員への譲渡制限付株式の割当てを行うなど、福利厚生の充実、従業員の労働意欲増進及び企業価値向上を図りました。
また、コミットメントライン契約についても年間総額20億円で継続し、財務基盤の安定化を図りました。
これらの結果、当社グループの単一の報告セグメントである建築材料関連事業の品種別売上高については、主力の押出成形セメント板「アスロック」は111億21百万円(前期比9.9%増加)、住宅用高遮音床材は18億66百万円(前期比0.8%増加)、住宅用軽量外壁材は46億89百万円(前期比27.4%増加)となり、押出成形セメント製品合計では176億77百万円(前期比12.9%増加)に、耐火被覆等は14億20百万円(前期比13.1%減少)、スレート関連は9億20百万円(前期比10.7%増加)となったこと等から、当連結会計年度の売上高は230億74百万円(前期比10.0%増加)となりました。
利益面については、増収の影響等により、営業利益は17億80百万円(前期比76.8%増加)、経常利益は19億38百万円(前期比68.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億74百万円(前期比79.8%増加)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における当社グループの流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が3億95百万円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が7億2百万円減少したこと等により142億60百万円(前連結会計年度末と比較して1億27百万円減少)となりました。固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、投資有価証券が10億70百万円、有形固定資産が2億75百万円それぞれ増加したこと等から、152億17百万円(前連結会計年度末と比較して12億17百万円増加)となりました。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ10億89百万円増加し294億77百万円となりました。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ、未払法人税等が76百万円増加したものの、流動負債のその他が5億91百万円減少したこと等から、52億22百万円(前連結会計年度末と比較して4億40百万円減少)となりました。固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ、退職給付に係る負債が80百万円減少したものの、訴訟損失引当金が3億1百万円増加したこと等から44億45百万円(前連結会計年度末と比較して2億円増加)となり、この結果、負債の合計額は、前連結会計年度末に比べ2億39百万円減少し96億67百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産の残高は、利益剰余金が4億75百万円増加したこと等から、198億9百万円(前連結会計年度末と比較して13億28百万円増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は73億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億95百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は20億27百万円(前連結会計年度は7億82百万円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益14億8百万円や減価償却費7億27百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は12億18百万円(前連結会計年度は3億33百万円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出11億28百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は4億13百万円(前連結会計年度は4億74百万円の減少)となりました。これは親会社による配当金の支払額3億98百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業の品種別生産実績は次のとおりです。
なお、その他の事業の生産はありません。
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品種 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比 |
|
押出成形セメント製品 |
11,388,112千円 |
10.5% |
|
スレート関連 |
515,763 |
1.6 |
|
その他 |
252 |
△99.8 |
|
合計 |
11,904,128 |
8.7 |
(注) 金額は製造価格による。
b.受注実績
当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業のうち、工事の受注実績は次のとおりです。なお、その他の事業の受注はありません。
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工事別 |
受注高 (千円) |
前期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前期比 (%) |
|
押出成形セメント製品工事 |
1,605,633 |
△7.2 |
1,096,972 |
△18.9 |
|
スレート工事 |
18,002 |
△4.2 |
3,800 |
△26.6 |
|
耐火被覆等工事 |
1,128,143 |
△19.3 |
500,854 |
△36.8 |
|
その他工事 |
616,952 |
△33.3 |
456,045 |
△41.0 |
|
合計 |
3,368,731 |
△17.2 |
2,057,672 |
△29.6 |
c.販売実績
当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業の販売実績を品種別に示すと次のとおりであります。
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品種 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比 |
|
押出成形セメント製品関連 (内、アスロック) (内、住宅用高遮音床材) (内、住宅用軽量外壁材) |
17,677,635千円 (11,121,825) (1,866,432) (4,689,377) |
12.9% (9.9) (0.8) (27.4) |
|
スレート関連 |
920,722 |
10.7 |
|
耐火被覆等 |
1,420,243 |
△13.1 |
|
その他 |
3,009,102 |
6.9 |
|
合計 |
23,027,703 |
10.0 |
なお、その他の事業の販売実績は、当連結会計年度47,177千円であり、前期比15.5%となっております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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|
積水ハウス㈱ |
6,142,239 |
29.3 |
7,124,175 |
30.9 |
|
伊藤忠建材㈱ |
2,917,189 |
13.9 |
3,277,696 |
14.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績については、以下のとおりであります。
(売上高)
主力の一般建築向けの押出成形セメント製品「アスロック」については、高付加価値商品の拡販に注力し、メンテナンスフリーと工期短縮を実現するカーテンウォール「アルカス」や、光触媒でセルフクリーニング効果が期待でき、全ツヤ消しマット調の落ち着いた質感をもつ工場塗装品「ルミセラコート」の販売が伸長しました。
また、価格改定が浸透してきたこともあり、アスロック売上高は前期比10億2百万円増収の111億21百万円となりました。住宅向け押出成形セメント板は前期に引き続き堅調に推移し、「住宅用高遮音床材」は前期比14百万円増、「住宅用軽量外壁材」は前期比10億7百万円増となり、これら住宅向けで10億21百万円増収の65億55百万円となりました。押出成形セメント板合計では前期比20億23百万円増の176億77百万円となりました。
スレート関連は、モルタル仕上げのような熟練した職人技術を必要とせず、簡単な施工でコンクリート打放し風の内装仕上げが可能な「フレキシブルシート素地シリーズ」が好評を博しており、当期も増販となったこと等から前期比88百万円増収の9億20百万円となりました。
工事については、 AL工事やALC工事が伸びて、前期比4億22百万円増となりました。
(営業利益・経常利益)
当期の資源価格変動の影響については、電力・ガス価格は2023年に入って以降徐々に落ち着きを見せ、高騰のピーク時と比べると安定して推移しました。一方、原材料価格は一貫して上昇を続けております。また、人件費についてもベースアップの実施や外注増加により前期比増となりました。これらの要因や販売数量増による影響も併せ、13億円の原価アップとなりました。この厳しい状況のなか、工場では、NNPS(ノザワ・ニュー・プロダクション・システム)改善活動によるコストダウンの推進等により約4.5億円の原価ダウンとなり、売上原価の上昇額を8.5億円に留めました。
販売口売上総利益は、販売数量増や販売価格改定による増収効果に、上記の原価上昇を加味し、8.1億円の増益となりました。工事については、売上高は4.2億円の増収ながら、競争激化等の影響で子会社であるノザワ商事の工事利益率が低迷し、0.2億円の増益と小幅に留まりました。これらのことから、連結売上総利益は前期比8億39百万円増加の65億74百万円となりました。
販管費については、販売増による物流費の増加等により前期比65百万円増加の47億93百万円となりました。なお、売上高比販管費率については、1.7ポイントダウンの20.8%となっております。これらのことから営業利益は前期比7億73百万円増益の17億80百万円となり、営業利益率は2.9ポイントアップの7.7%となりました。
営業外収支については、受取配当金が前期比17百万円増加したこと等により22百万円増となった一方、営業外費用が4百万円増加し、前期比17百万円の増加となりました。経常利益は、営業増益にこの営業外収支の増加を加味し、前期比7億91百万円増益の19億38百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は当期はなく、前期比1億51百万円減少となりました。特別損失は前期比17百万円減少の5億29百万円となりました。固定資産除却損が69百万円、訴訟損失が1億54百万円それぞれ増加した一方、製品自主回収関連費用が当期は特別損失の計上が無く、前期比2億4百万円の減少、また、関係会社清算損失も当期計上無く、前期比36百万円減少したことによります。これらの結果、特別損益の合計は5億29百万円の損失となりました。上記のとおり特別損失は前期比減少したものの、当期は特別利益の計上がなかったため、特別損益は前期比では1億33百万円悪化しました。これらに税金費用を加味し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比3億88百万円増益の8億74百万円となりました。
当連結会計年度の財政状態については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報については以下のとおりであります。
(財務政策)
当社グループは、主に建築材料の製造販売を行うための設備投資に必要な資金及び短期的な運転資金を必要に応じて銀行等からの借入により調達することとしています。
当連結会計年度末、借入金の残高はありません。また、資金調達の安定化、資金効率、金融収支の改善を目的として、取引金融機関と総額20億円のコミットメントライン(特定融資枠)契約を締結しておりますが、当連結会計年度末の金融機関からの借入実行残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載されているとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、不燃建材メーカーとして快適な住環境を創り出すと共に環境負荷を低減する資材・システムを提供することで、人々の生活と安全を守り社会貢献することを理念としております。
この理念の下、研究開発活動においては、技術力を背景とした新素材・新工法・新デザインパネルの開発、材料の素材感を活かした新仕上げ開発、労働人口の減少を考慮した現場施工省力化対応など、総合的な技術開発を実施しております。
研究開発活動の中心となる研究開発部門は、技術本部の下、中長期的視野にたった活動を積極的に推進しております。また、環境問題や資源循環型社会に適合した生産技術開発およびSDGSに貢献する商品開発に注力し、破棄材の原料リサイクル、カーボンニュートラル社会の実現に向けた外部との連携によるCO2吸収型押出成形セメント板の量産製造技術開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費用は
当連結会計年度における主な研究開発活動は次のとおりであります。
なお、研究開発活動はセグメント別に見ると、建築材料関連事業のみであり、その他の事業の実績はありません。
建築材料関連事業
(1) 押出成形セメント製品
・一般建築向け建材
主力商品である押出成形セメント板「アスロックNeo(ネオ)」では、エンボスデザインの塗装仕上げにおいて熟練した外壁塗装職人にしか表現できなかった独特の色斑や染斑を工場塗装で対応可能にした革命的な工場複色塗装品「淡斑(あわむら)」を開発し発売を開始しました。二色の濃淡が風情ある斑となった仕上がりで、アスロックならではの繊細かつ重厚感ある仕上りとなり好評を得ております。また、現場の塗装工事が不要化されることによる大幅な施工省力化と環境負荷低減を実現しています。
その他に、新たなデザインパネルとしてアスロックの表層を、あたかも熟練工が鏨(たがね)や鑿(のみ)で削り取ったような繊細で深みのある削跡を再現した「ラインピール」と壁面にリブの繊細な影のグラデーションを発現させる今までにないコンセプトの「ドミノラインT」を開発し、発売を開始しました。
建築現場の省力化への対応では、仕上げ完成品の開発推進により建設現場の仕上げ作業を省略可能とする商品開発に注力し実施しております。
・住宅向け建材
住宅向け建材では、デザインニーズに合わせた商品開発を他社と共同で実施しております。
(2) その他製品及び研究
・スレートボード
スレートボードでは特定ユーザーのニーズに合わせて機能を特化したボードの開発と材料が持つ素材感をそのままに活かした「素地シリーズ」の商品バリエーションを増やす開発を進めております。
・基礎研究・応用研究
次世代の基幹商品を生み出すための素材研究、機能特化型商品開発、付加価値商品開発、製造技術開発、工法技術開発及び、既存商品の品質・性能向上を目指した研究開発を技術研究所・開発部を中心として進めております。
当社は今後も、市場ニーズを的確に捉えた研究開発を進めてまいります。