文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「オハラグループは、常に個性的な新しい価値を創造して、強い企業を構築し、オハラグループ全員の幸福と社会の繁栄に貢献します」という経営理念を掲げ、全社員の行動規範としています。
また、2020年度に策定したコーポレート・メッセージの実現を目指し、企業活動を進めています。

①長期ビジョン2035
「オハラグループは、常に個性的な新しい価値を創造して、強い企業を構築し、オハラグループ全員の幸福と社会の繁栄に貢献します」という経営理念のもと、中長期的な視点で社会課題に向き合い、企業価値の向上に取り組んでおります。当社は、1935年に創立し、2035年に100周年を迎えます。将来予測が極めて困難な時代の中で100年企業となり、さらにその先の未来でも必要とされる企業となることを目指し、2021年度に「長期ビジョン2035」を発表いたしました。長期ビジョン2035では、以下の経営方針、財務指標のもと、既存事業の構造改革や新規事業の創出による企業価値向上に取り組むことで、オハラグループの持続的な発展を目指しています。
長期ビジョン2035経営方針
『オプティクス技術への貢献』
『価値協創による新ビジネス創出』
『価値創造力・効率性・収益力向上』
財務指標(2035年)
ROE(自己資本利益率) 8.0%以上
また、長期ビジョン2035で掲げる3つの経営方針に加え、『コア組織能力・コアプロセスの強化』、『社会課題・環境問題への取り組み』を加えた5つの改革ポイントを軸に、2021年~2035年までの15年間を5つのフェーズに分けて活動を展開してまいります。
②中期経営計画 第116期(2024年10月期)~第118期(2026年10月期)
第116期にスタートする中期経営計画(フェーズ2)では、経営基盤の強化、新規事業の探索、既存事業の深化を基本方針として、資本収益性の向上、ESG経営、新ビジネスの立ち上げに取り組みます。
財務指標(第118期 2026年10月期)
売上高 320億円以上
営業利益 37億円以上
ROE(自己資本利益率) 6.5%以上
当社グループの優先的に対処すべき課題は、デジタルカメラ市場向け光学ガラスに次ぐ、新しい収益基盤の確立であると認識しております。セグメント別の事業環境及び対処すべき課題は次のとおりです。
デジタルカメラ市場は、ミラーレスカメラの新製品が需要を底支えしていることから、市場縮小に歯止めがかかり当面は横ばいで推移することが見込まれます。その他光学機器市場は、画像認識技術や拡張現実技術の進展により、品質の高い光学ガラス需要の増加が見込まれます。このような状況を踏まえ、光学機器向けなどの既存製品は、付加価値の高いレンズ加工品の販売比率を高め、収益性の改善を進めます。また、XR(クロスリアリティ)市場などの成長分野で顧客や差別化技術を持つ加工メーカーとの価値協創を図り、外部資源を活用することで新ビジネスの量産受注獲得を目指します。
半導体露光装置市場は世界的な設備投資を背景とした需要の増加が見込まれますが、FPD露光装置市場は大型設備投資案件の減少により需要の弱含みが見込まれます。このような状況を踏まえ、半導体露光装置向け高均質光学ガラス及び石英ガラスは、生産設備の増強を進め、旺盛な需要に応えていくとともに、アジア地域の販売体制を強化します。また、今後の成長ドライバーとして注力しているリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス「LICGC™」は、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加材としての拡販を進めるとともに、半固体電池及び全固体電池における実用レベルの特性実現を目指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次の通りです。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、長期ビジョン2035で掲げた価値創造モデルの実践により、「生活・文化の向上」、「フロンティア開拓」、「地球環境の改善」に貢献することを使命とするコーポレート・メッセージの実現が当社グループのサステナビリティであるという考え方のもと、「オハラグループサステナビリティ基本方針」を策定しております。長期ビジョン2035及び価値創造モデルについては、当社ウェブサイトをご参照ください。
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当社グループは上記方針のもと、中長期的な視点で企業価値の向上に取り組み、社会の持続的な発展に貢献してまいります。
当社グループでは、サステナビリティに関する取り組みの方針や施策を議論する機関として、社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会の提案・報告に基づき、経営会議でサステナビリティに関する方針や具体的施策を決議し、取締役会へ報告を行う体制としております。取締役会では、サステナビリティに関する重要課題を審議・決議し、当社グループのサステナビリティ活動の監督機能を担っております。
当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを抽出・評価し、リスクの重要度に応じて、組織の階層ごとにリスクを管理しております。事業リスク分科会は、グループ重要リスクを選定し、リスクの顕在化の防止およびリスクが顕在化した場合の危機の極小化を目的とした対応策を推進するとともに、適宜取締役会へ報告を行う体制としております。
当社グループが持続的に成長を続け、社会の発展に貢献するためには、社員の成長と挑戦は必要不可欠と考えております。そのため、オハラグループ人権方針のもと、社員が安心して成長し挑戦できる環境を整備することを方針としております。オハラグループ人権方針については、当社ウェブサイトをご参照ください。
(https://www.ohara-inc.co.jp/sustainability/)
① 戦略
イ.女性・外国人・中途採用者の管理職への登用
当社グループは、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用は当社グループのサステナビリティにつながるものと認識しており、積極的に取り組んでおります。
具体的には、女性の活躍を推進するための研修を継続的に実施し、将来の管理職候補となる人材をプールすることに取り組んでおります。また、専門知識を持った人材や外国人を含む多様性を獲得するための中途採用も積極的に進めております。
ロ.人材育成
人材育成につきましては、能力開発、資質、マインドの向上などのほか、専門知識、技能などを習得するためOJT、OFF-JT、社内教育プログラムなどを継続的に実施することにより、価値を創造する人材を育成することを方針としております。当社グループのサステナビリティ基本方針で掲げたコーポレート・メッセージの実現には、当社グループ従業員の一人一人が主体者意識をもち、価値創造する事が重要と考えております。その人材像としては、当社のコーポレート・メッセージの価値観・姿勢に対応する5つの要素①挑戦・創造、②自律・成長、③協働・受容、④専門・伝承、⑤誠実・真摯を備えることが重要と考えております。特に新事業の探索に必要な挑戦する行動を促すために、人事制度の見直しを行い、挑戦行動を評価する仕組みを導入しました。また、新しい価値を創造するため多様性を受容し協働する研修にも取り組んでおります。
② 指標及び目標
当社の「長期ビジョン2035」では、女性管理職比率20%を目指しており、2020年10月末時点で2%であった女性管理職比率は、2023年10月末時点で7.6%と段階的に増加しております。外国人につきましては、当社グループの海外7拠点中4拠点は現地責任者として既に外国人が活躍しております。今後も事業領域の拡大や新規事業の創出に繋がる教育プログラムを提供するなど継続してまいります。中途採用者におきましては、個別の研修プログラムを計画・実施しており、短期間で活躍できる環境を整備しております。このため管理職に占める中途採用者の比率は40%を超えており、この取り組みは今後も継続してまいります。
① 戦略
当社グループでは、気候変動による地球温暖化や自然災害の増加、エネルギー問題などの環境問題を議論しており、グループ一丸となった活動を展開しています。
取り組み課題の中でも特に気候変動における地球温暖化現象を重要課題と認識し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの視点を切り口とした活動を行っています。
② 指標及び目標
当社グループではカーボンニュートラルに向け、主に素材の熔解工程で発生する温室効果ガス(GHG)排出量を削減し、「長期ビジョン2035」や環境方針である「健やかな地球を守る」を実現するために、2035年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2018年度比50%(35,314t-CO₂)削減していきます。2023年度の削減活動によるGHG排出量削減量は4,413t-CO₂となりました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはアジア地域を中心として海外事業展開を行っており、各国・各地域における政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりは事業に大きな影響を及ぼします。また、予期しない各国の法規制強化、国家間同士の牽制等の地政学的リスクにより、サプライチェーンの混乱や断絶、ビジネス機会を喪失するリスク等が考えられ、それらが顕在化した場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、生産ライン及び営業拠点は概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、また、各国法規制情報収集の強化を行い、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。
当社グループが持続的に成長を続け、社会の発展に貢献するためには、社員の成長と挑戦は必要不可欠と考えております。当社グループの持続的な成長に寄与する人材が十分に確保・育成出来ない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。このため、当社グループでは、社員が安心して成長し挑戦できる環境を整備することを方針とし、優秀な人材の確保と教育プログラムの実施を継続してまいります。
(3) 特定市場への依存リスク
光事業の売上はデジタルカメラ市場への依存度が高く、従前から続く市場の縮小がリスクとなっております。今後、デジタルカメラ市場の縮小が一層進んだり、国内外における競合他社との競争激化などにより、当社グループの売上及び利益率が下落する可能性があり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
今後も光事業、エレクトロニクス事業において、高効率の生産体制を築くことで、両事業の柱を強固としていくとともに、研究開発におけるイノベーション並びに新規事業の探索と事業構造改革を進めることで高収益事業の創出・拡大に努めてまいります。
当社グループは、専門性の高い光学ガラス及び特殊ガラスを供給しておりますが、高度な専門性、特殊性が故、一部の特定顧客への売上依存度が高い傾向にあります。これらの特定顧客からの発注数量が急激に減少した場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、今後も新規分野への研究開発並びに新規顧客の獲得を目指して積極的な活動を継続してまいります。
当社グループは、ガラスの製造工程等の事業活動における大量のエネルギー消費に伴いGHGを排出しております。気候変動への対応は、世界共通の解決すべき社会課題と認識されており、GHG排出量削減の取組みが遅れた場合、市場での評価の低下や製品シェアが低下する可能性があります。当社グループにおいては2035年までにGHG排出量を50%削減(2018年度比)するとの目標を掲げ、再生可能エネルギーの活用や熔解燃焼方式の開発を通じてGHG排出量削減に取り組んでおります。
当社グループが使用している原材料の中には、メーカーや産地の限られているものがあり、入手困難になった場合に生産に支障が生ずる可能性があります。また、原材料や資材の価格は生産状況、為替相場、市況の変動などにより高騰する場合があり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。一部の原材料については、市場価格を見極めつつ、短期的な変動の影響を避けるため、在庫の保有レベルを高く設定しております。
当社グループの事業活動において、情報システムは必要不可欠なものであります。サイバー攻撃、不正アクセスその他不測の事態により、当社グループの情報システムの不具合やデータの盗難、改ざん、喪失等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これら情報システムに対する脅威については、社員に対する情報セキュリティ教育及び各種システムのセキュリティ強化策を講じております。
当社グループの生産及び販売活動はアジア地域を中心にグローバルに展開しており、外貨建ての取引を含んでいるため為替相場の変動による影響があり、急激な為替変動は、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。すべてのリスクを排除することは不可能でありますが、これらのリスクに備えるため為替予約等を利用するなどのリスク低減策を講じております。
また、金利情勢やその他金融市場が急激に変動する場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、連結有利子負債の適切な管理を行っております。
想定を超える自然災害や事故等が発生した場合、当社グループの機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等のパンデミックが発生した場合にも、工場の稼働停止やサプライチェーンの停滞に起因する生産の減少、営業活動の制限等、事業活動に支障をきたす事態が生じ、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、地震や大規模な水害、火山の噴火などの自然災害や事故、パンデミック等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するために、事業継続計画を策定しております。また、耐震対策や定期点検、防災訓練、感染症拡大防止のためのガイドラインの整備、在庫の確保、複数の購買先確保等を行い、事業活動への影響の低減を図ることとしております。
当社グループは、省エネルギー、大気・水質の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質及び土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業を展開しており、将来において法令規制強化への対応費用の増大、あるいは環境問題の発生から、損害賠償や対策費用を負担する可能性があります。
当社グループは、事業活動と環境の調和を経営の重要課題のひとつとして位置付け、法規制の遵守、業界等の行動規範を遵守するとともに自主基準を制定して管理するなど、様々な環境マネジメント活動を進めております。
一般的に、当社グループの事業活動に関し、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクを排除することは不可能です。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来において提起された場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当社グループの行動規範及び事業活動に関する法令を周知・教育することにより、コンプライアンス、法令遵守を徹底させ、訴訟に関するリスクの低減に努めております。
(セイコーグループ株式会社について)
セイコーグループ株式会社は当社の筆頭株主(2023年10月末現在、発行済株式総数(自己株式を除く。)に対する所有割合19.3%)であり、当社は同社の持分法適用関連会社であり、同社は当社の「その他の関係会社」であります。
当社は、同社グループから、現在社外取締役1名、社外監査役1名を受け入れておりますが、第114期、第115期において同社グループとの営業取引は軽微です。
一方、当社は、同社株式を、2023年10月末現在51,261株(同社発行済株式総数に対する所有割合0.1%)を保有しております。これは、将来、当社と同社グループの関係強化を目的としたものであります。
今後、同社と当社の良好な関係が維持できなければ当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。同社に対し、今後も安定株主としての役割を期待し、将来の関係強化を図ってまいります。
(キヤノン株式会社について)
キヤノン株式会社は当社の第2位株主(2023年10月末現在、発行済株式総数(自己株式を除く。)に対する所有割合19.3%)であり、当社は同社の持分法適用関連会社であり、同社は当社の「その他の関係会社」であります。
当社は、同社グループから、現在社外取締役1名、社外監査役1名を受け入れており、第114期、第115期における取引状況は「関連当事者情報」に記載のとおりであります。なお、当社製品の販売についての価格、その他の取引条件は、市場価格、総原価などを勘案して交渉の上、決定しており、特に利益相反等は生じておりません。
一方、当社は、同社株式を、2023年10月末現在729,658株(同社発行済株式総数に対する所有割合0.1%)を保有しております。これは、当社と同社グループの取引関係の維持強化を目的としたものであります。
今後、同社と当社の良好な関係が維持できなければ当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。同社に対し、今後も安定株主としての役割を期待し、将来の関係強化を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限緩和などにより経済活動の正常化が進み、緩やかな回復が続きました。一方で、世界経済の先行きは、ロシア・ウクライナ情勢、中国国内における不動産市況の低迷、資源高による世界的なインフレの加速、不安定な為替相場などにより不透明な状況が続いております。
当社グループの光事業の関連市場については、デジタルカメラは、ミラーレスカメラの販売が増加したことなどから堅調に推移しました。また、エレクトロニクス事業の関連市場については、半導体露光装置は堅調に推移しましたが、FPD露光装置は弱含みで推移しました。
なお、当連結会計年度における平均為替レートは、米ドルが139.28円、ユーロが149.49円となり、前年度に比べて米ドルが約9.3%の円安、ユーロは約10.2%の円安で推移しました。
このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、次のとおりとなりました。
売上高は、半導体露光装置向け高均質光学ガラスの販売が増加したものの、サプライチェーン内の在庫調整の影響により光学機器向けレンズ材の販売が減少したことなどから28,123百万円(前年同期0.6%減)となりました。
損益面では、売上総利益は、原燃料費の高騰や生産設備の稼働率が低下したことなどから、8,948百万円(同2.6%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費や人件費が増加したことなどから、6,714百万円(同8.1%増)となり、営業利益は2,233百万円(同25.0%減)となりました。経常利益は営業外収益として為替差益が減少したことなどから、2,603百万円(同29.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,572百万円(同25.7%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(光事業)
当事業の売上高は、光学機器向けレンズ材の販売が減少したことなどから、15,802百万円(前年同期比6.5%減)となりました。損益面では、原燃料費の高騰や生産調整による設備稼働率の低下などから、営業損失は40百万円(前年同期は1,156百万円の営業利益)となりました。
(エレクトロニクス事業)
当事業の売上高は、半導体露光装置向け高均質光学ガラスの販売が増加したことなどから、12,320百万円(前年同期比8.0%増)となりました。損益面では、高付加価値品の販売が増加したことなどから、営業利益は2,274百万円(同24.9%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払や有形固定資産の取得による支出があったことなどから、前連結会計年度末に比べて199百万円減少し、当連結会計年度末には13,934百万円(前連結会計年度末比1.4%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,837百万円(前年同期比20.2%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益2,676百万円(同24.1%減)があったものの、法人税等の支払額1,367百万円(同69.8%増)があったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,105百万円(前年同期比5.6%増)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出1,625百万円(同15.7%増)があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7百万円(前年同期比99.0%減)となりました。
これは、配当金の支払額489百万円(同33.5%増)や割賦債務の返済による支出368百万円(同7.3%増)があったものの、長期及び短期借入金の増加による収入(純額)890百万円(前年同期は、長期及び短期借入金の減少による支出(純額)102百万円)があったことが主な要因であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・売上高
売上高をセグメントごとに分析すると、光事業の売上高は、15,802百万円(前年同期比6.5%減)となり、エレクトロニクス事業の売上高は、12,320百万円(前年同期比8.0%増)となっております。これは、旺盛な半導体需要により、エレクトロニクス事業の半導体露光装置向け高均質光学ガラスの販売が増加したものの、在庫調整の影響により、光事業の光学機器向けレンズ材の販売が減少したことが主な要因であります。
売上原価は、19,174百万円(同0.3%増)となり、前年度と比較して60百万円の増加となりました。また、売上原価率は、68.2%となり、前年度比0.7ポイント増加しております。これは、生産量の減少に伴う生産設備の稼働率悪化が主な要因であります。
販売費及び一般管理費は、6,714百万円(同8.1%増)となりました。これは、研究開発費や人件費が増加したことなどが主な要因であります。なお、売上高販売管理費比率は23.9%と前年度比1.9ポイント増加しております。
・営業利益
営業利益は、2,233百万円(同25.0%減)となりました。これは、生産量の減少により、売上原価率が悪化したことに加え、販売費及び一般管理費が増加したことが主な要因であります。
・営業外損益
営業外収益は、476百万円(同36.1%減)となりました。これは、為替差益が減少したことなどが主な要因であります。
営業外費用は、107百万円(同86.4%増)となりました。これは、固定資産除却損や訴訟損失引当金繰入額が増加したことなどが主な要因であります。
税金等調整前当期純利益は、2,676百万円(同24.1%減)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,572百万円(同25.7%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は61,840百万円(前連結会計年度末比1.9%増)となりました。これは、商品及び製品や仕掛品などの棚卸資産が増加したことが主な要因であります。
流動資産の残高は37,583百万円(同2.6%増)となりました。これは、仕掛品が増加したことが主な要因であります。
固定資産の残高は24,257百万円(同0.9%増)となりました。これは、機械装置及び運搬具が増加したことが主な要因であります。
流動負債の残高は9,689百万円(同2.1%増)となりました。これは、短期借入金が増加したことが主な要因であります。
固定負債の残高は4,839百万円(同18.3%減)となりました。これは、退職給付に係る負債が減少したことが主な要因であります。
当連結会計年度末における純資産の残高は47,311百万円(同4.5%増)となりました。これは、退職給付に係る調整累計額や利益剰余金が増加したことが主な要因であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益を計上したものの、半導体露光装置向け高均質光学ガラス、石英ガラスの増産対応を背景とした有形固定資産の取得による支出や法人税等の支払額が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて199百万円減少し、当連結会計年度末には13,934百万円(前連結会計年度末比1.4%減)となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入等の製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資目的の資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については主に銀行借入にて必要な資金を調達しております。
② 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の会計方針は、連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
なお、重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、事業等を基礎としてグルーピング行い、収益性が著しく低下した資産グループにつきまして、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額につきまして、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の見積りに重要な変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
b. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、事業環境等の変化により課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、高品質かつ顧客満足度の高い新製品を市場に投入していくことで、グループ全体の業容拡大に資することを目的とし、当社の研究開発部門が中心となって進めております。基礎研究の分野では、約90年にわたる光学及び特殊ガラスの製造を通じて培われた材料設計のノウハウや生産技術を基盤として、光、エレクトロニクス、環境・エネルギー等の幅広い分野において競争優位性をもった新素材の研究開発を進め、また、応用化研究の分野では、より高度・高効率な生産技術を開発することで、既存製品のさらなる高性能・高品質化かつ低コスト化・低GHG化を進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の主なものは次のとおりであります。
・高屈折率、高透過率光学ガラスの開発
・色収差補正に優れた光学ガラスの開発
・屈折率の温度特性に優れた光学ガラスの開発
・耐環境性に優れた光学ガラスの開発
・コスト競争力に優れた光学ガラスの開発
なお、当事業に係る研究開発費は
・耐衝撃・高硬度ガラスセラミックスの開発
・リチウムイオン伝導性固体電解質の開発
・ウエアラブル用途等薄板成形技術の開発
・耐放射線ガラスの開発
・高温高速熔解技術の開発
・メタバースデバイス用ガラスの開発
なお、当事業に係る研究開発費は