文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「オハラグループは、常に個性的な新しい価値を創造して、強い企業を構築し、オハラグループ全員の幸福と社会の繁栄に貢献します」という経営理念を掲げ、全社員の行動規範としています。
また、2020年度に策定したコーポレート・メッセージの実現を目指し、企業活動を進めています。

①長期ビジョン2035
「オハラグループは、常に個性的な新しい価値を創造して、強い企業を構築し、オハラグループ全員の幸福と社会の繁栄に貢献します」という経営理念のもと、中長期的な視点で社会課題に向き合い、企業価値の向上に取り組んでおります。当社は、1935年に創立し、2035年に100周年を迎えます。将来予測が極めて困難な時代の中で100年企業となり、さらにその先の未来でも必要とされる企業となることを目指し、2021年度に「長期ビジョン2035」を発表いたしました。長期ビジョン2035では、以下の経営方針、財務指標のもと、既存事業の構造改革や新規事業の創出による企業価値向上に取り組むことで、オハラグループの持続的な発展を目指しています。
長期ビジョン2035経営方針
『オプティクス技術への貢献』
『価値協創による新ビジネス創出』
『価値創造力・効率性・収益力向上』
財務指標(2035年)
ROE(自己資本利益率) 8.0%以上
また、長期ビジョン2035で掲げる3つの経営方針に加え、『コア組織能力・コアプロセスの強化』、『社会課題・環境問題への取り組み』を加えた5つの改革ポイントを軸に、2021年~2035年までの15年間を5つのフェーズに分けて活動を展開してまいります。
②中期経営計画 第116期(2024年10月期)~第118期(2026年10月期)
第116期にスタートした中期経営計画(フェーズ2)では、経営基盤の強化、新規事業の探索、既存事業の深化を基本方針として、資本収益性の向上、ESG経営、新ビジネスの立ち上げに取り組んでいます。
財務指標(第118期 2026年10月期)
売上高 320億円以上
営業利益 37億円以上
ROE(自己資本利益率) 6.5%以上
当社グループの優先的に対処すべき課題は、デジタルカメラ市場向け光学ガラスに次ぐ、新しい収益基盤の確立であると認識しております。セグメント別の事業環境及び対処すべき課題は次のとおりです。
光事業の関連市場では、デジタルカメラ市場はミラーレスカメラの新製品が需要を底支えしていることから、市場縮小に歯止めがかかり、当面は横ばいで推移することが見込まれます。その他光学機器市場は、画像認識技術や拡張現実技術の進展により、品質の高い光学ガラス需要の増加が見込まれます。このような状況を踏まえ、光学機器向けなどの既存製品は、付加価値の高いレンズ加工品の販売比率を高めることで収益性の改善を進めます。また、XR(クロスリアリティ)市場などの成長分野では、顧客や差別化技術を持つ加工メーカーとの価値協創を図り、外部資源を活用することで新ビジネスの量産受注獲得を目指します。
当社は、2024年1月18日にCellid株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。Cellid社は、世界最大級の広視野角を持つシースルー・ディスプレイと超小型プロジェクターを組み合わせたARグラス向けディスプレイモジュールの開発を進めるベンチャー企業です。XR市場向けガラス素材の開発活動を加速し、競争優位性の高い製品をリリースすることで業績貢献に努めます。
エレクトロニクス事業の関連市場では、半導体露光装置市場は世界的な設備投資を背景とした需要の増加が見込まれます。このような状況を踏まえ、半導体露光装置向け高均質光学ガラス及び石英ガラスは、生産設備の増強を進め、旺盛な需要に応えていくとともに、アジア地域の販売体制を強化します。
今後の成長ドライバーとして注力しているリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス「LICGC™」は、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加材として拡販を進めるとともに半固体電池及び全固体電池における実用レベルの特性実現を目指します。
また、新規事業として低誘電ガラス市場への新規参入を進めます。AI市場の拡大を背景にプリント基板に使用される低誘電ガラスの需要増加を見込んでおり、光事業の光学ガラス生産設備を低誘電ガラス生産設備へ転換することで資産効率の向上を進めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次の通りです。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、長期ビジョン2035で掲げた価値創造モデルの実践により、「生活・文化の向上」、「フロンティア開拓」、「地球環境の改善」に貢献することを使命とするコーポレート・メッセージの実現が当社グループのサステナビリティであるという考え方のもと、「オハラグループサステナビリティ基本方針」を策定しております。長期ビジョン2035及び価値創造モデルについては、当社ウェブサイトをご参照ください。
(
当社グループは上記方針のもと、中長期的な視点で企業価値の向上に取組み、社会の持続的な発展に貢献してまいります。
当社グループでは、サステナビリティに関する取り組みの方針や施策を議論する機関として、社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会の提案・報告に基づき、経営会議でサステナビリティに関する方針や具体的施策を決議し、取締役会へ報告を行う体制としております。取締役会では、サステナビリティに関する重要課題を審議・決議し、当社グループのサステナビリティ活動の監督機能を担っております。
<サステナビリティ推進体制>

<当事業年度におけるサステナビリティ委員会の活動状況>
当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを抽出・評価し、リスクの重要度に応じて、組織の階層ごとにリスクを管理しております。事業リスク分科会は、グループ重要リスクを選定し、リスクの顕在化の防止及びリスクが顕在化した場合の危機の極小化を目的とした対応策を推進するとともに、適宜取締役会へ報告を行う体制としております。当社グループにおいて上記プロセスのもと選定されたグループ重要リスクの詳細については、「
当社グループが持続的に成長を続け、社会の発展に貢献するためには、社員の成長と挑戦は必要不可欠と考えております。そのため、社員が安心して挑戦し成長できる環境を整備することを方針としております。また、これまで取り組んできた人権の尊重についても、人材戦略の基盤となる活動として積極的に取り組んでいきます。オハラグループ人権方針については、当社ウェブサイトをご参照ください。
(
① リスク管理
人的資本に関するリスクを含めた当社グループにおけるリスク管理の過程については「(3) リスク管理」を、人的資本に関するリスクの内容とその対応策については、「
② 戦略
イ.基本的な考え方
当社グループのサステナビリティ基本方針の基盤となるコーポレート・メッセージの実現に向け、社員の一人ひとりが主体者意識をもち価値創造することが重要であると考えています。コーポレート・メッセージの価値観・姿勢を表現した「オハラバリュー」では、会社の持続的な成長と社会発展に貢献する人材を「ひかり・ひからせる人材」と定義しています。「(自ら挑戦し)ひかり、(周囲も)ひからせる人材」が、当社グループの価値創造モデルを実践し、競争優位性を確立する源泉であるという考えのもと、人的資本の強化に取り組んでいます。
また、当社グループの戦略実効性を高め、半導体などの成長分野での事業拡大や、リチウムイオンバッテリー、XR、低誘電ガラスといった新規分野での事業化を加速させ、光事業の収益性を改善しエレクトロニクス事業の成長を促進させる人材として、経営人材、新規事業推進人材、新規事業を支える専門職人材、競争優位性を担保するDX人材の能力開発を推進し、育成スピードの加速を図っています。
<オハラバリュー>

ロ.人的資本を高める推進体制
当社は、中長期のサステナビリティに関する取り組みの方針や施策を議論するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、議題の一つとして人的資本の取り組みを議論し、経営会議での決議後、取締役会へ報告する体制を整えています。
ハ.人材採用の強化
当社では、採用にあたってオハラバリューを体現する人材の採用を積極的に進めています。採用ブランディングとして当社で働くイメージをウェブサイトや動画などで発信し、会社説明会やインターンシップなどで実際に業務を体験してもらう機会を創出しています。さらに、新卒採用では職業観の視野を広げてもらうことを目的に、内定者インターンシップを実施しており、内定者の職業観、入社後の業務やキャリアイメージの醸成につなげています。
中途採用においてもマッチング性を重視し、工場の見学や具体的な業務内容を事前に確認する機会を設け、当社で活躍するイメージを持ってもらえる取り組みを行っています。
ニ.人材育成
当社では主体性を育み挑戦マインドを醸成する研修を2020年より継続して実施しており、2023年以降は対象を国内グループ会社に拡大しました。2025年度からは、戦略を加速させる重要なポジションへ管理職を抜擢し、既存組織については事業活動を推進する責任者へ次世代リーダーを抜擢するなど、経験の場を提供することで育成を進めてまいります。この他にも、社員自らが作成したキャリアデザインを基に、経験の機会を提供することも進めています。
ホ.主体性と挑戦を促す人事評価制度
2024年度より役割評価及びチャレンジ目標を導入し、さらに進級昇格を早期化する制度へ見直しを行い運用と浸透化を進めています。
特にチャレンジ目標は自主選択かつ加点方式という、チャレンジとなる取り組みを評価する制度とすることで、社員の主体性を高め挑戦風土の醸成へつなげています。
ヘ.ダイバーシティ
女性・外国人・中途採用の人材は、変化への対応力を高めることに加え、異なる知識やスキル、考え方を取り入れ新しい価値を組織へもたらす欠かせない人材と考えています。このような人材を採用し組織で活躍してもらうことが、当社グループの持続的な成長及び社会課題への貢献につながるという考えの基、積極的に採用と育成を進めています。
当社における管理職に占める女性労働者の割合は、2024年度は12.8%となりました。外国人については、当社グループの海外7拠点中4拠点は現地責任者として既に外国人が活躍しています。中途採用者においては、個別の研修プログラムを計画・実施しており、短期間で活躍できる環境を整備しています。2024年度の管理職に占める中途採用者の比率は48.9%となりました。この取り組みは今後も継続していきます。
ト.ワークライフバランス
当社は、仕事とプライベートを両立させることが、会社と個人にとって重要であると認識し、これを実現する具体的な取り組みを行っています。
・育児休業
・介護休業
・育児時短制度
・時間単位有給休暇制度
・フレックスタイム制度(1日の就業時間は3時間以上)
チ.健康経営
当社は、経営理念である「従業員の幸福と社会の繁栄」に貢献するため健康経営に取り組んでいます。社員全員が心身ともに健康であり、ワークライフバランスを保って生活ができるよう安全な環境で仕事ができることを目指します。
③ 指標及び目標
当社では、上記②戦略において記載した事項に関して、次の指標を用いています。なお、当該指標及び目標については、各グループ会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体の記載としております。
(注)1.当該指標については2024年度より導入した指標のため、2023年度の実績については未集計となります。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3. 管理職に占める中途採用者の割合は既に高い水準にあるため、数値としての目標設定は行っておりません。
4. 当社では男女で同一の賃金制度・体系を適用しており、性別による賃金差異はありません。男女の賃金差異は主に男女間の管理職比率の差異によるものです。
① リスク管理
気候変動に関するリスクを含めた当社グループにおけるリスク管理の過程については「(3) リスク管理」を、気候変動に関するリスクの内容とその対応策については、「
② 戦略
当社グループでは、気候変動による地球温暖化や自然災害の増加、エネルギー問題などの環境問題を重要課題と認識しており、特にガラス熔解工程において多くのエネルギーが消費されることで発生する温室効果ガス(GHG)の排出が地球環境保全に向けての課題となっています。この課題に対し当社グループでは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの視点から温室効果ガス(GHG)排出量削減を中心とした気候変動対策活動に取り組んでいます。
<3つの視点>
・環境(Environment)
地球環境保全に使用できる再生可能エネルギーの活用を進めるとともに、熔解燃焼方式の開発や環境改善素材の開発を進めています。
・社会(Social)
地球規模の気候変動が社会生活及び企業活動に大きな影響を及ぼします。社会との調和を図りながら、サステナビリティ経営を目指しています。
・ガバナンス(Governance)
当社グループ全体で気候変動への対策に取り組み、その活動を監視しています。
また、当社グループでは排出量削減に向け、ガス燃焼熔解効率化技術の開発を進めております。また電気加熱では当社が長年蓄積してきた加熱効率の高い熔解技術を活用するとともに、自家発電や蓄電など再生可能エネルギーの活用、輸送におけるモーダルシフトなども進めていきます。またこれらを実現するため、エネルギー・環境エンジニアなどの人的資本を開発していき、2035年の温室効果ガス(GHG)排出量削減目標達成を目指していきます。
③ 指標及び目標
当社グループでは、地球規模の気候変動にて特定されたリスク及び機会について、その対応の有効性を評価するために指標を設定し、定期的なモニタリングを行っています。
当社グループではカーボンニュートラルに向け、主にエネルギーを多く消費するガラス熔解工程で発生する温室効果ガス(GHG)排出量を削減し、「長期ビジョン2035」や環境方針である「健やかな地球を守る」を実現するために、2035年までに温室効果ガス(GHG)排出量を50%(2018年度比)削減していきます。当事業年度の削減活動による削減量は以下のとおりです。
(注)基準年となる2018年度の温室効果ガス(GHG)排出量は70,627t-CO2です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはアジア地域を中心として海外事業展開を行っており、各国・各地域における政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりは事業に大きな影響を及ぼします。また、予期しない各国の法規制強化、国家間同士の牽制等の地政学的リスクにより、サプライチェーンの混乱や断絶、ビジネス機会を喪失するリスク等が考えられ、それらが顕在化した場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、生産ライン及び営業拠点は概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、また、各国法規制情報収集の強化を行い、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。当社グループでは、海外生産拠点の機能転換及び海外加工メーカーとの協働を進めることで、海外の情勢変化に対してレジリエントなサプライチェーンの構築に取り組んでおります。
当社グループが持続的に成長を続け、社会の発展に貢献するためには、社員の成長と挑戦は必要不可欠と考えております。当社グループの持続的な成長に寄与する人材が十分に確保・育成出来ない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。このため、当社グループでは、社員が安心して挑戦し成長できる環境を整備することを方針とし、優秀な人材の確保と教育プログラムの実施を継続してまいります。
(3) 特定市場への依存リスク
光事業の売上はデジタルカメラ市場への依存度が高く、従前から続く市場の縮小がリスクとなっております。今後、デジタルカメラ市場の縮小が一層進んだり、国内外における競合他社との競争激化などにより、当社グループの売上及び利益率が下落する可能性があり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
今後も光事業、エレクトロニクス事業において、高効率の生産体制を築くことで、両事業の柱を強固としていくとともに、研究開発におけるイノベーション並びに新規事業の探索と事業構造改革を進めることで高収益事業の創出・拡大に努めてまいります。
当社グループは、専門性の高い光学ガラス及び特殊ガラスを供給しておりますが、高度な専門性、特殊性が故、一部の特定顧客への売上依存度が高い傾向にあります。これらの特定顧客からの発注数量が急激に減少した場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、今後も新規分野の研究開発並びに新規顧客の獲得を目指して積極的な活動を継続してまいります。
当社グループは、ガラスの製造工程等の事業活動における大量のエネルギー消費に伴いGHGを排出しております。気候変動への対応は、世界共通の解決すべき社会課題と認識されており、GHG排出量削減の取組みが遅れた場合、市場での評価の低下や製品シェアが低下する可能性があります。当社グループは2035年までにGHG排出量を50%削減(2018年度比)するとの目標を掲げ、再生可能エネルギーの活用や熔解燃焼方式の開発を通じてGHG排出量削減に取り組んでおります。GHG排出量削減に寄与する熔解燃焼方式の開発を早期に実現することで、競争優位性の獲得を目指してまいります。
当社グループが使用している原材料の中には、メーカーや産地の限られているものがあり、入手困難になった場合に生産に支障が生ずる可能性があります。また、原材料や資材の価格は生産状況、為替相場、市況の変動などにより高騰する場合があり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。一部の原材料については、短期的な変動の影響を避けるため、市場価格を見極めつつ、在庫の保有レベルを高く設定しております。
当社グループの事業活動において、情報システムは必要不可欠なものであります。サイバー攻撃、不正アクセスその他不測の事態により、当社グループの情報システムの不具合やデータの盗難、改ざん、喪失等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これら情報システムに対する脅威については、社員に対する情報セキュリティ教育及び各種システムのセキュリティ強化策を講じております。
当社グループの生産及び販売活動はアジア地域を中心にグローバルに展開しており、外貨建ての取引を含んでいるため為替相場の変動による影響があり、急激な為替変動は、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。すべてのリスクを排除することは不可能でありますが、これらのリスクに備えるため為替予約等を利用するなどのリスク低減策を講じております。
また、金利情勢やその他金融市場が急激に変動する場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、連結有利子負債の適切な管理を行っております。
想定を超える自然災害や事故等が発生した場合、当社グループの機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等のパンデミックが発生した場合にも、工場の稼働停止やサプライチェーンの停滞に起因する生産の減少、営業活動の制限等、事業活動に支障をきたす事態が生じ、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、地震や大規模な水害、火山の噴火などの自然災害や事故、パンデミック等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するために、事業継続計画を策定しております。また、耐震対策や定期点検、防災訓練、感染症拡大防止のためのガイドラインの整備、在庫の確保、複数の購買先確保等を行い、事業活動への影響の低減を図っております。
当社グループは、省エネルギー、大気・水質の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質及び土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業を展開しており、将来において法令規制強化への対応費用の増大、あるいは環境問題の発生から、損害賠償や対策費用を負担する可能性があります。
当社グループは、事業活動と環境の調和を経営の重要課題のひとつとして位置付け、法規制の遵守、業界等の行動規範の遵守とともに自主基準を制定して管理するなど、様々な環境マネジメント活動を進めております。
一般的に、当社グループの事業活動に関し、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクを排除することは不可能です。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来において提起された場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当社グループの行動規範及び事業活動に関する法令を周知・教育することにより、コンプライアンス、法令遵守を徹底させ、訴訟に関するリスクの低減に努めております。
(セイコーグループ株式会社について)
セイコーグループ株式会社は当社の筆頭株主(2024年10月末現在、発行済株式総数(自己株式を除く。)に対する所有割合19.3%)であり、当社は同社の持分法適用関連会社であり、同社は当社の「その他の関係会社」であります。
当社は、同社グループから、現在社外取締役1名、社外監査役1名を受け入れておりますが、第115期、第116期において同社グループとの営業取引は軽微です。
一方、当社は、同社株式を、2024年10月末現在51,261株(同社発行済株式総数に対する所有割合0.1%)を保有しております。これは、将来、当社と同社グループの関係強化を目的としたものであります。
今後、同社と当社の良好な関係が維持できなければ当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。同社に対し、今後も安定株主としての役割を期待し、将来の関係強化を図ってまいります。
(キヤノン株式会社について)
キヤノン株式会社は当社の第2位株主(2024年10月末現在、発行済株式総数(自己株式を除く。)に対する所有割合19.3%)であり、当社は同社の持分法適用関連会社であり、同社は当社の「その他の関係会社」であります。
当社は、同社グループから、現在社外取締役1名、社外監査役1名を受け入れており、第115期、第116期における取引状況は「関連当事者情報」に記載のとおりであります。なお、当社製品の販売についての価格、その他の取引条件は、市場価格、総原価などを勘案して交渉の上、決定しており、特に利益相反等は生じておりません。
一方、当社は、同社株式を、2024年10月末現在729,658株(同社発行済株式総数に対する所有割合0.1%)を保有しております。これは、当社と同社グループの取引関係の維持強化を目的としたものであります。
今後、同社と当社の良好な関係が維持できなければ当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。同社に対し、今後も安定株主としての役割を期待し、将来の関係強化を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、一部の地域で成長の鈍化がみられたものの、インフレの沈静化もあり、緩やかに持ち直す動きが見られました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢、中国における不動産市場の停滞、欧米における高い金利水準の継続、不安定な為替相場など、先行き不透明な状況が続きました。
当社関連市場については、カメラ市場は、スマートフォンの普及などによって縮小したものの、高品質な映像表現を求めるプロやアマチュアの需要が底堅く推移しており、ミラーレスカメラを中心にレンズ交換式デジタルカメラ及び交換レンズは堅調に推移しました。半導体露光装置市場は、パワー半導体需要や生成AIに使用されるメモリ及びロジック半導体需要が高まったことなどから、装置の需要が堅調に推移しました。FPD露光装置市場はパネルメーカー各社の設備投資は弱いものの、需要の改善傾向がみられました。
このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、次のとおりとなりました。
売上高は、エレクトロニクス事業は過去最高の売上となったものの、光事業の在庫調整が想定以上に長引き売上が減少したことなどから、27,909百万円(前期比0.8%減)となりました。
売上総利益は、受注減少により生産設備の稼働率が低下したことや一部原料価格の高騰が続いていることなどから、8,783百万円(同1.8%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費が減少したことなどにより、6,606百万円(同1.6%減)となり、営業利益は2,177百万円(同2.5%減)となりました。経常利益は2,587百万円(同0.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,568百万円(同0.2%減)となりました。なお、平均為替レートにつきましては、米ドルは前期比で11.26円円安の150.54円、ユーロは前期比で14.10円円安の163.59円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(光事業)
当事業の売上高は、交換レンズ用途におけるサプライチェーン内の在庫調整は第4四半期でほぼ解消しましたが、光学プレス品、光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかったことから、13,946百万円(前期比11.7%減)となりました。損益面では、生産設備の稼働率が低下し、製品の原価率が悪化したことから、営業損失は800百万円(前期は40百万円の営業損失)となりました。
(エレクトロニクス事業)
当事業の売上高は、半導体露光装置用途において堅調な受注に応えるために生産能力を増強し、特殊ガラス、石英ガラスともに販売が増加したことから、13,962百万円(前期比13.3%増)となりました。損益面では、高付加価値製品の販売が増加したことから、営業利益は2,978百万円(同31.0%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払や有形固定資産の取得による支出があったことなどから、前連結会計年度末に比べて339百万円減少し、当連結会計年度末には13,595百万円(前連結会計年度末比2.4%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,736百万円(前期比48.9%増)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益2,587百万円(同3.3%減)や減価償却費1,491百万円(同2.1%増)があったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,232百万円(前期比6.1%増)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出1,588百万円(同2.3%減)があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,248百万円(前期は7百万円の支出)となりました。
これは、配当金の支払額488百万円(同0.2%減)や長期及び短期借入金の減少による支出(純額)474百万円(前期は、長期及び短期借入金の増加による収入(純額)890百万円)があったことが主な要因であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・売上高
売上高は、27,909百万円(前年同期比0.8%減)となり、前年度と比較して214百万円の減収となりました。
売上高をセグメントごとに分析すると、光事業の売上高は、13,946百万円(同11.7%減)、エレクトロニクス事業の売上高は、13,962百万円(同13.3%増)となっております。光事業の売上高の減少は、前年度末から続いているサプライチェーン内の在庫調整が想定以上に長引き、光学機器向けレンズ材である、光学プレス品、光学ブロック品の販売が減少したことが主な要因であります。エレクトロニクス事業の売上高の増加は、旺盛な半導体需要を背景として、半導体露光装置に使用される特殊ガラスや石英ガラスの販売が増加したことが主な要因であります。
・売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、19,125百万円(同0.3%減)となり、前年度と比較して49百万円の減少となりました。また、売上原価率は、68.5%となり、前年度比0.3ポイント増加しております。これはサプライチェーンの在庫調整の影響を受け生産設備の稼働率が低下したことが主な要因であります。
販売費及び一般管理費は、6,606百万円(同1.6%減)となりました。これは、研究開発費が減少したことなどが主な要因であります。なお、売上高販売管理費比率は23.7%と前年度比0.2ポイント減少しております。
・営業利益
営業利益は、2,177百万円(同2.5%減)となりました。これは、売上高の減少に加え、生産量の減少により売上原価率が悪化したことが主な要因であります。
・営業外損益
営業外収益は、505百万円(同6.1%増)となりました。これは、持分法による投資利益や受取利息が増加したことが主な要因であります。
営業外費用は、95百万円(同11.0%減)となりました。これは、訴訟損失引当金繰入額が減少したことが主な要因であります。
・親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、2,587百万円(同3.3%減)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,568百万円(同0.2%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は65,112百万円(前連結会計年度末比5.3%増)となりました。これは投資有価証券が増加したことなどが主な要因であります。
流動資産の残高は39,054百万円(同3.9%増)となりました。これは、仕掛品が増加したことなどが主な要因であります。
固定資産の残高は26,057百万円(同7.4%増)となりました。これは、投資有価証券が増加したことなどが主な要因であります。
流動負債の残高は9,739百万円(同0.5%増)となりました。これは、未払金が増加したことなどが主な要因であります。
固定負債の残高は4,539百万円(同6.2%減)となりました。これは、リース債務が減少したことなどが主な要因であります。
当連結会計年度末における純資産の残高は50,833百万円(同7.4%増)となりました。これは、為替換算調整勘定が増加したことが主な要因であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益を計上したものの、半導体露光装置向けガラスの生産能力増強に伴う有形固定資産の取得による支出や法人税等の支払があったことなどから、前連結会計年度末に比べて339百万円減少し、当連結会計年度末には13,595百万円(前連結会計年度末比2.4%減)となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入等の製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資目的の資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については主に銀行借入にて必要な資金を調達しております。
② 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の会計方針は、連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
なお、重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、事業等を基礎としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループにつきまして、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額につきまして、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の見積りに重要な変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
b. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、事業環境等の変化により課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、高品質かつ顧客満足度の高い新製品を市場に投入していくことで、グループ全体の業容拡大に資することを目的とし、当社の研究開発部門が中心となって進めております。基礎研究の分野では、約90年にわたる光学ガラス、特殊ガラスの製造を通じて培われた材料設計のノウハウや生産技術を基盤として、光、エレクトロニクス、環境・エネルギー等の幅広い分野において競争優位性をもった新素材の研究開発を進めております。また、応用化研究の分野では、より高度・高効率な生産技術を開発することで、既存製品のさらなる高性能・高品質化、低コスト化・低GHG化を進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の主なものは次のとおりであります。
・高屈折率、高透過率光学ガラスの開発
・色収差補正に優れた光学ガラスの開発
・屈折率の温度特性に優れた光学ガラスの開発
・耐環境性に優れた光学ガラスの開発
・コスト競争力に優れた光学ガラスの開発
なお、当事業に係る研究開発費は
・耐衝撃・高硬度ガラスセラミックスの開発
・リチウムイオン伝導性固体電解質及びナトリウムイオン伝導性固体電解質の開発
・ウエアラブル用途等薄板成形技術の開発
・耐放射線ガラスの開発
・高温高速熔解技術の開発
・半導体用ガラス及び宇宙用途用ガラスの開発
なお、当事業に係る研究開発費は