第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、米国や欧州では民間企業の業績回復や個人消費の増加、雇用情勢の改善などを背景に緩やかな拡大基調が続き、中国やその他の新興国においては成長が減速しつつも全体としては緩やかに回復しました。

我が国の経済では、企業収益の改善や設備投資の持ち直しが一部でみられたものの、依然として個人消費は低迷し、先行き不透明な状況が続きました。

アルミニウム製錬用カソードブロックの需要先であるアルミニウム製錬業界では、世界的な供給過剰に伴いアルミニウム価格が低迷しており、生産能力削減を余儀なくされる状況の中、業況が悪化しました。また、人造黒鉛電極の需要先である国内外の電炉業界では、中国の景気減速に伴い中国製鋼材が世界市場に大量流出したことにより鋼材市況が低迷しました。

このような状況下、当社グループ(当社及び連結子会社)では、コスト削減と製品の拡販に努めてまいりました。

しかしながら、アルミニウム製錬用カソードブロック及び人造黒鉛電極の販売数量、販売単価が大きく落ち込んだこと、リチウムイオン二次電池関係のファインパウダーの販売数量が落ち込んだこと等により、当連結会計年度の売上高は、196億7千9百万円となり、前連結会計年度比17.1%の減収となりました。

損益面に関しましては、為替レートは全般的に円安に推移したものの、需要先業界の市況悪化に伴う販売数量の減少、販売単価の下落の影響が大きく、また第4四半期での急激な円高に伴う販売単価下落によって棚卸資産評価損を売上原価に6億9千2百万円計上したことから営業損失は4億2千5百万円(前連結会計年度は5億2千9百万円の営業利益)となりました。また、第4四半期における急激な円高に伴う為替差損の発生等を営業外費用として計上したことから、経常損失は6億1千3百万円(前連結会計年度は9億3千4百万円の経常利益)、工場設備に対する受取保険金と賃貸用不動産の売却益を特別利益として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は5億5百万円(前連結会計年度は5億6千万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

なお、当社グループは炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントでありますが、当連結会計年度における製品別の販売実績は次のとおりです。

 

・アルミニウム製錬用カソードブロック

アルミニウム製錬業の更新需要の低迷や工場新増設の先送りにより販売数量が減少し、また市況低迷により販売単価が下落したため、売上高は66億9千2百万円となり、前連結会計年度に比べて26.2%の減収となりました。

・人造黒鉛電極

中国の景気減速に伴う中国製鋼材の大量流出により国内外の鋼材市況は低迷し、販売競争は激化しました。この結果、販売数量が減少、販売単価が下落したため、売上高は87億3千5百万円となり、前連結会計年度に比べ9.1%の減収となりました。

・特殊炭素製品

非鉄金属関連の需要家にて在庫調整が概ね終了したことにより、販売数量が増加したため、売上高は26億7千2百万円となり、前連結会計年度に比べ10.2%の増収となりました。

・ファインパウダー及びその他炭素製品

リチウムイオン二次電池関係の需要家の在庫調整により、販売数量が減少したため、売上高は15億7千7百万円となり、前連結会計年度に比べ40.1%の減収となりました。

 

なお、上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは33億6千1百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローは4億8千9百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは19億6千9百万円の支出超過となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8億3千3百万円増加(25.1%増)し、41億5千9百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失5億2千8百万円に、減価償却費24億4千5百万円、売上債権の減少額19億9千2百万円、たな卸資産の減少額9億4千6百万円等を加算し、法人税等の支払額4億7千2百万円、仕入債務の減少額3億5千6百万円、未払消費税等の減少額2億6千3百万円等を減算した結果、33億6千1百万円の資金の増加(対前連結会計年度比29.8%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得に4億3千8百万円を支出したこと等により、4億8千9百万円の資金の減少(対前連結会計年度比34.3%減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金を15億1千8百万円返済し、配当金に4億1千万円を支出したこと等により、19億6千9百万円の資金の減少(対前連結会計年度比0.2%増)となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、単一セグメントの下で以下の製品を生産しております。

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

アルミニウム製錬用カソードブロック

6,844

△24.7

人造黒鉛電極

9,019

△4.3

特殊炭素製品

1,995

+3.4

ファインパウダー及びその他炭素製品

1,346

△55.8

合計

19,205

△18.3

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社製品は国内、輸出とも一部受注生産をする場合がありますが、製造期間が長いため、基本的にはユーザーの生産動向をベースにした見込生産であります。

 

(3) 販売実績

当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を販売しております。

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

アルミニウム製錬用カソードブロック

6,692

△26.2

人造黒鉛電極

8,735

△9.1

特殊炭素製品

2,672

+10.2

ファインパウダー及びその他炭素製品

1,577

△40.1

合計

19,679

△17.1

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友商事株式会社

9,444

39.8

7,812

39.7

三菱商事株式会社

1,946

8.2

2,079

10.6

 

2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループを取巻く経営環境は、世界経済においては米国を中心とした先進国において緩やかな回復が見込まれるものの、原油価格の下落、中国や新興国の景気減速等の影響により先行き不透明な状況です。販売面では、中国の過剰生産による需給バランスの悪化により、国内外において競争の激化が予想されます。また、電力料金については原発再稼働が見送られたことに伴いコストの高止まりが懸念され、厳しい状況が続く見込みです。

このような厳しい経営環境の中、当社グループは当連結会計年度を初年度とする新三ヶ年中期経営計画「Jump Up 2017『未来への飛躍』」を策定しております。その中で抜本的なコストダウンの加速、各製品分野の全社ビジネス戦略の推進、強固な安全文化の構築の加速、設備保全管理の取組みの加速、顧客ニーズに応える品質づくりの加速、人材育成強化と活気ある組織づくりの加速を次期の経営重点目標として、その達成を目指し全社一丸となって取り組んでまいります。そして、当社グループは企業の社会的責任を認識した上で、法令遵守を徹底し、また環境負荷の低減、コーポレートガバナンスの充実にも積極的に努めてまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する記載は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品需要による売上変動リスクについて

当社グループが主力製品として位置づけているアルミニウム製錬用カソードブロックは、中長期的な需要の増大が見込まれますが、短期的にはアルミニウム製錬業の新増設や更新需要の動向に左右されるため需要の変動が大きくなる傾向があります。また人造黒鉛電極は、ほぼ全量電炉鋼業界向けに販売しているため電炉鋼業界の景気変動による影響を大きく受けることになります。当社グループはアルミニウム製錬用カソードブロックと人造黒鉛電極を同じラインで製造することで製造品目をフレキシブルに置き換え、需要変動に機動的に対応し工場全体の生産量の安定化を図っておりますが、予期せぬ需要の変動が生じた場合などには当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 大型設備投資によるリスク

当社グループが、アルミニウム製錬用カソードブロックにおけるトップシェアの維持を狙い、総額150億円で京都工場に建設したラインは、平成23年秋から稼働しております。本件大型設備の稼働状況と当初数年間の減価償却費負担のバランス次第で損益面で影響が出る可能性があります。

 

(3) 為替変動リスクについて

当社グループの主力製品であるアルミニウム製錬用カソードブロックがアルミニウム業界の特性から100%輸出製品ということもあり、人造黒鉛電極、一部特殊炭素製品と合わせ近年の当社グループの輸出比率は総売上の6割を超える結果となっており、為替変動の影響を強く受ける体質となっております。為替変動リスクにつきましては、米ドル/日本円の為替エクスポージャーを小さくすべく、円建での輸出や米ドル以外の通貨での輸出を増やす努力をするとともに、為替予約などによるリスクヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全にヘッジできるものではありません。

 

(4) 原材料価格の上昇

当社グループの使用する原材料は、石油石炭などの素材価格の上昇や需給バランスの影響を大きく受けるものが中心となっております。当社グループはコスト競争力の強化、製品価格への転嫁、より安い原材料調達と新規サプライヤーの開拓などにより業績への影響を極力抑制する努力を行っておりますが、市況に予期せぬ変動が生じた場合などには当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 特定大口販売先について

当社グループの契約先別売上上位2社のシェアは50%程度になっておりますが、2社はいずれも商社であり、取引の大部分は輸出取引で最終需要家は海外を中心に分散しております。当社グループは輸出取引の円滑化と最終需要家に対する信用リスクの削減のためもありこれら商社を活用しております。

当社グループの国内取引につきましては、1社で10%を超える販売シェアを有する取引先はなく、特定大口販売先のリスクは限定的であります。

 

(6) 技術革新について

当社グループの製品群は製造期間が長く、短期間に新製品が誕生し、市場が一挙に変化するというような状況にはありません。当社グループは取引先と永年にわたる信頼関係を構築しており、その信頼に応えるべく取引先の要望に沿った製品の改良、開発に努めておりますが、取引先の環境の変化や技術革新に対応できない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 重要な訴訟について

現在、当社グループは、財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす訴訟は抱えておりませんが、今後そのような訴訟等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 環境に関するリスク

当社グループは、法令遵守を基本として事業を遂行しておりますが、今後国内外でより一層厳しい規制が実施された場合、事業活動への制約拡大やコスト増加で当社グループの業績に影響が出る可能性があります。

 

(9) 大規模災害等

当社グループは、組織の簡素化、生産の効率化、人的資源の有効活用のため主要生産設備を京都工場に集約しております。同工場の所在する福知山地区で大地震や大規模風水害などの災害が発生した場合、生産活動に大きな影響の出る可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は当社の開発部が中心となり、関連部署及び外部機関との連携のもと新技術、新製品開発を積極的に進めております。

当社グループは、炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントであります。

研究開発活動は主に電解用電極、高温工業炉用部材、電池用等の特殊ファインパウダー及び炭素薄膜に関する基礎研究であります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は81百万円であります。

 

(1) アルミニウム製錬用カソードブロック及びその他の電解用電極

世界トップシェアの黒鉛化カソードブロックの実績をベースに、大電流・大型電解炉に対して耐摩耗性に優れた新グレード品の開発に取り組み本格使用の段階へと進んでおります。その他、各種高機能品製造に用いられる電解用電極の研究開発を進めております。

 

(2) 高温工業炉用部材

高温かつ特殊ガス雰囲気にて用いられる各種黒鉛部材の長寿命化を目指し研究開発を進めております。

 

(3) 特殊ファインパウダー

永年にわたって培ってきた高度黒鉛化処理技術とファインパウダー技術を駆使し、リチウムイオン二次電池用や燃料電池部材のさらなる高性能化に対応すべく、コスト・パフォーマンスに優れた製品の研究開発を進めております。

 

(4) 炭素薄膜に関する基礎研究

新たな技術として炭素めっき膜の形成と応用について研究しております。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

総資産は、前連結会計年度末と比較して45億5千万円減少して、381億2千4百万円となりました。主な増加は、現金及び預金の増加8億5千3百万円であり、主な減少は、受取手形及び売掛金の減少19億9千2百万円、機械装置及び運搬具(純額)の減少12億9千9百万円、仕掛品の減少11億7千万円および所有株式時価の下落による投資有価証券の減少8億5千7百万円です。

負債は、前連結会計年度末と比較して28億6千1百万円減少して、50億2千3百万円となりました。主な減少は、短期借入金の減少14億7千4百万円、買掛金の減少3億5千6百万円および投資有価証券の時価下落等による繰延税金負債の減少3億4千1百万円です。

非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末と比較して16億8千8百万円減少して、331億1百万円となりました。主な減少は、利益剰余金の減少9億1千6百万円およびその他有価証券評価差額金の減少5億3千2百万円です。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.5%から86.8%となりました。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、当社の需要家であるアルミニウム製錬及び電炉鋼業界において世界的な供給過剰により業況が著しく悪化したことで、アルミニウム製錬用カソードブロック及び人造黒鉛電極の販売数量、販売単価が落ち込み、さらにリチウムイオン二次電池関係のファインパウダーの販売が落ち込んだこと等で、大幅な減収となりました。また、損益面においても全社一丸となりコスト削減と製品の拡販に努めてまいりましたが、販売の落ち込みの影響に加えて棚卸資産評価損の発生、為替差損の発生等で、前連結会計年度を大きく下回りました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

「第2[事業の状況]-1[業績等の概要]-(2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

 

(4) 収益力向上の課題

当社グループの収益力向上の課題としては、鋼材及びアルミニウム市況の低迷を背景とした国内外の販売競争の激化による販売単価の下落及び販売数量の減少の阻止並びに電力料単価の高騰等によるコストアップ対応が挙げられます。

当社グループは新三ヶ年中期経営計画の基本方針のひとつに、「世界で戦える収益体質の確立」を掲げて、売上高及び売上高営業利益率の向上を目指して経営を進めてまいります。世界で戦える収益力を備えるために、コスト削減を一層徹底するとともに、各製品分野での拡販策等を積極的に進めてまいります。