(経営理念)
わが社は流動する変化に挑み、無限の可能性を探求し、業界の最高峰をめざす
・わが社は需要家の要望に応える製品を創造する
・わが社は社員及び株主の幸福を増進する
・わが社は社会の福祉発展に寄与する
(経営の基本方針)
当社の経営理念のもと、世界から信頼され成長し続けるカーボンメーカーとして地球環境を大切にし社会の発展に貢献することを当社グループのミッションに掲げ、企業活動を展開してまいります。
当社グループは次期連結会計年度を二年目とする三ヶ年中期経営計画「サステナブル2026持続的成長へ」において、①成長基盤の強化、②経営体質の強化、③資本政策の推進を経営の基本方針に設定し、売上高・営業利益・ROEの向上を目指して経営を進めてまいります。
世界的な金融引き締めや中国経済の停滞、物価上昇による下振れリスク、ロシアによるウクライナ侵攻、そして中東地域をめぐる情勢の不安定さが経済活動に影響を与えております。加えて、米国の関税政策や金融政策も貿易環境や市場に影響を与えています。これらにより、経済活動の先行きが見通し難い状況です。
このような経営環境の中、当社グループは、成長戦略の加速、ものづくりの原点回帰、人材の質と量の再定義、IT基盤強化、カーボンニュートラルへの貢献、投資の加速、資産効率化の加速を次期の経営重点目標として、その達成を目指し全社一丸となって取り組んでまいります。そして、当社グループは企業の社会的責任を認識した上で、法令遵守を徹底し、また環境負荷の低減、コーポレートガバナンスの充実にも積極的に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、創業以来、カーボンメーカーとして企業活動を行っておりますが、その歴史において、省エネルギー、省資源、産業廃棄物削減などの取り組みを進めるとともに、取引先様、地域社会の皆様、株主様、従業員との関係を大切にしてまいりました。当社は、1973年に経営理念(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載)を策定しました。この理念に基づく考え方は、世界から信頼され成長し続けるカーボンメーカーとして地球環境を大切にし、社会の発展に貢献する旨を謳う当社のミッションにも反映されております。当社グループは、このミッションに相応しいサステナビリティ経営を推進し、経済、環境、社会面における諸課題の解決に向けた取り組みを継続してまいります。
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、取締役会内で、適時、その活動内容の成果の評価を行っております。
当社グループは、サステナビリティに対する取り組みをより深化させていくことが不可欠であるとの認識に基づき、2024年度を初年度とする新たな三ヶ年中期経営計画「サステナブル2026持続的成長へ」において、当社グループのミッションに相応しいサステナビリティ経営を推進していく事を表明しました。
特に、「サプライチェーン全体でのCO2排出削減」、「カーボンニュートラルに貢献する製品開発・上市」、「多様性の尊重と人材育成」、「地域社会への貢献」、「ガバナンス強化」、「ステークホルダーとの対話促進」の推進が、当社グループの持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)と認識し、取り組みを進めてまいります。
人材の多様性の尊重に関しては、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造につなげていける組織風土を醸成するために、性別、国籍、年齢を問わず多様な人材の確保を目指して、女性採用、キャリア採用を積極的に行うとともに、継続雇用制度を導入しております。
人材育成に関しては、下図のような教育メニューや研修システムを整備し、従業員の成長意欲と向上心に応えることができる仕組みを整え、また経営理念にも掲げている「社員の幸福の増進」のために育児・介護等の支援を含めた働きやすい職場環境や諸制度の整備を行っております。また人材ポートフォリオ分析を通して人材の採用・配置・育成に対する当社のあり方を再定義し、戦略の実行に欠かせない人材の質・量の確保を図ってまいります。

当社グループは、リスクマネジメント規程・危機管理規程を定め、潜在的なリスクの発生防止(リスク管理)および顕在化したリスクへの対応(危機管理)の両面から、リスクマネジメント体制を推進しています。リスク管理に関しては、リスク管理担当役員がリスク管理を統括するとともに、取締役会が選定する重要リスクについて、そのリスク管理状況を定期的にモニタリングしています。また、大規模な災害やシステム障害等が発生した際に、可能な限り短時間で事業活動の再開ができるよう、事業継続計画(BUSINESS CONTINUITY PLAN:BCP)を策定し、定期的に訓練を実施しています。
当社のリスク管理においては、リスク管理担当役員の統括の下、期初に市場・原料調達・設備老朽化・環境など重要リスクおよび個別リスクを定め、その低減のための活動に取り組んでおります。期末にはリスク低減活動の評価を行い、その評価を基に次期のリスクを定めて活動を進めております。
当社は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2030年までにCO2排出量の46%削減(2013年度比)を目指しており、2025年3月末時点ではCO2排出量は31%削減(2013年度比)となっております。
人材の多様性の尊重に関し、2026年3月までに「採用者に占める女性の割合を20%以上にする」ことを掲げ、積極的に女性の採用に取り組むとともに、キャリア採用については重点分野における人材獲得を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「市場に関するリスク」
(1) 製品需要による売上変動
当社グループが主力製品として位置づけているアルミニウム製錬用カソードブロックは、中長期的な需要の増大が見込まれますが、短期的にはアルミニウム製錬業の新増設や更新需要の動向に左右されるため需要の変動が大きくなる傾向があります。また人造黒鉛電極は、ほぼ全量電炉鋼業界向けに販売しているため電炉鋼業界の景気変動による影響を大きく受けることになります。当社グループはアルミニウム製錬用カソードブロックと人造黒鉛電極を同じラインで製造することで製造品目をフレキシブルに置き換え、需要変動に機動的に対応し工場全体の生産量の安定化を図っておりますが、予期せぬ需要の変動が生じた場合等には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替の変動
当社グループの主力製品であるアルミニウム製錬用カソードブロックがアルミニウム業界の特性から100%輸出製品ということもあり、人造黒鉛電極、一部特殊炭素製品と合わせ近年の当社グループの輸出比率は総売上の5割を超える結果となっており、為替変動の影響を強く受ける体質となっております。為替変動リスクにつきましては、米ドル/日本円の為替エクスポージャーを小さくすべく、円建での輸出や米ドル以外の通貨での輸出を増やす努力をするとともに、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全にヘッジできるものではありません。
(3) 原材料価格の上昇
当社グループの使用する原材料は、石油石炭等の素材価格の上昇や需給バランスの影響を大きく受けるものが中心となっております。当社グループはコスト競争力の強化、製品価格への転嫁、より安い原材料調達と新規サプライヤーの開拓などにより業績への影響を極力抑制する努力を行っておりますが、市況に予期せぬ変動が生じた場合等には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定大口販売先
当社グループの契約先別売上上位1社でシェアは70%程度となっておりますが、この契約先は商社であり、取引の大部分は輸出取引で最終需要家は海外を中心に分散しております。当社グループは輸出取引の円滑化と最終需要家に対する信用リスクの軽減のためもあり商社を活用しております。
当社グループの国内取引につきましては、1社で10%を超える販売シェアを有する取引先はなく、特定大口販売先のリスクは限定的であります。
米国の関税政策については、現時点では当社グループの売上高に占める米国向けの輸出は多くなく、直接的な影響は軽微なものと考えており、また間接的な影響については不明であります。しかし先行きは不透明な状況となっており、今後の米国の政策動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
「事業活動に関するリスク」
(1) 環境規制の変更
当社グループは、法令遵守を基本として事業を遂行しておりますが、今後国内外でより一層厳しい規制が実施された場合、事業活動への制約拡大やコスト増加で当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
(2) 大規模災害の発生
当社グループは、組織の簡素化、生産の効率化、人的資源の有効活用のため主要生産設備を京都工場に集約しております。同工場の所在する福知山地区で大地震や大規模風水害等の災害が発生した場合、生産活動に大きな影響の出る可能性があります。
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止する等、当社グループの事業活動や業績に影響を与える可能性があります。
(4) 重要な訴訟について
現在、当社グループは、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす訴訟は抱えておりませんが、今後そのような訴訟等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
「中長期の視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク」
当社グループの製品群は製造期間が長く、短期間に新製品が誕生し、市場が一挙に変化するというような状況にはありません。当社グループは取引先と永年にわたる信頼関係を構築しており、その信頼に応えるべく取引先の要望に沿った製品の改良、開発に努めておりますが、取引先の環境の変化や技術革新に対応できない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記以外にも事業活動を進めていく上で、様々な外的・内的要因リスクが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、取締役会で毎年重要リスクを選定し、当該リスクの管理状況を定期的にモニタリングしています。また、大規模な事故、災害、感染症拡大等が発生した場合に、人的な安全と事業の継続を確保するための施策を種々講じています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、一部地域に弱さが見られるものの、概ね景気に持ち直しの動きが見られました。一方、世界的な金融政策引締めに伴う経済の減速懸念、ウクライナや中東地域における地政学的リスク、米国の通商政策による影響等があり、先行きの経済見通しについては、依然として不透明な状況が継続しました。
我が国の経済においては、消費者物価の上昇により個人消費は一部に足踏みが見られるものの、雇用・所得環境の改善等に伴い、景気は緩やかに回復しました。
このような状況下、当社グループでは、持続的成長に向けて成長投資、品質向上、製品の拡販等の経営体質強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度では、特殊炭素製品、ファインパウダー及びその他炭素製品の販売は堅調だったものの、アルミニウム製錬用カソードブロックや人造黒鉛電極の販売が減少しました。その結果、売上高は311億7千9百万円となり、前年同期に比べて16.4%の減収となりました。
損益面に関しましては、円安による原材料等各種資材の価格上昇や設備投資の進展に伴う減価償却費の増加等によるコストアップ要因があり減益となりました。
その結果、営業利益は68億2千3百万円(前年同期比33.2%減)、経常利益は77億1千6百万円(前年同期比33.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は57億5千万円(前年同期比21.2%減)となりました。
なお、当社グループは炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントでありますが、当連結会計年度における製品別の売上高については、次のとおりであります。
・アルミニウム製錬用カソードブロック
アルミニウム製錬会社における更新需要の鈍化およびカソードブロックの在庫調整の影響により、販売数量は減少しました。その結果、売上高は220億2百万円となり、前年同期に比べて17.3%の減収となりました。
・人造黒鉛電極
国内外において粗鋼生産が低調に推移しており、販売数量は減少しました。その結果、売上高は45億2千4百万円となり、前年同期に比べて26.3%の減収となりました。
・特殊炭素製品
非鉄金属関連等の一部需要家における在庫調整の影響はありましたが、熱処理炉向けの堅調な需要により販売数量が増加しました。その結果、売上高は36億5千3百万円となり、前年同期に比べて1.4%の増収となりました。
・ファインパウダー及びその他炭素製品
モーターブラシ向け等での堅調な需要を背景にファインパウダーの販売数量が増加しました。その結果、売上高は9億9千8百万円となり、前年同期に比べて5.3%の増収となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を生産しております。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社製品は国内、輸出とも一部受注生産をする場合がありますが、製造期間が長いため、基本的にはユーザーの生産動向をベースにした見込生産であります。
当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を販売しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末と比較して64億2百万円減少して、813億9千5百万円となりました。主な増加は、建物及び構築物の増加11億8千6百万円および建設仮勘定の増加46億1千7百万円です。主な減少は、現金及び預金の減少49億2千3百万円、受取手形及び売掛金の減少41億6千6百万円および投資有価証券の減少25億8千4百万円です。
負債は、前連結会計年度末と比較して73億1千万円減少して、75億9千3百万円となりました。主な減少は、買掛金の減少25億3千4百万円、未払法人税等の減少20億4千3百万円、未払消費税等の減少8億3千2百万円および未払金の減少等による流動負債その他の減少14億5千6百万円です。
非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末と比較して9億7百万円増加して、738億1百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加34億6百万円です。主な減少は、自己株式の取得による減少6億4千3百万円およびその他有価証券評価差額金の減少18億4千7百万円です。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の83.0%から90.7%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは45億4千8百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローは54億4百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは29億8千9百万円の支出超過となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億5千3百万円減少し、50億7千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益81億7千万円に、売上債権の減少額41億6千6百万円、減価償却費13億4百万円を加算し、法人税等の支払額41億4千2百万円、仕入債務の減少額25億3千4百万円、未払消費税等の減少額8億3千2百万円、未収消費税等の増加額8億1千2百万円を減算した結果、45億4千8百万円の資金の増加(前連結会計年度末に比べ32億4千5百万円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
定期預金の預入143億5千万円、有形固定資産の取得65億4千9百万円による支出と定期預金の払戻149億2千万円、投資有価証券の売却6億3千5百万円による収入があったこと等により、54億4百万円の資金の減少(前連結会計年度末に比べ106億2千5百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払に23億4千2百万円、自己株式の取得に6億4千3百万円を支出したこと等により、29億8千9百万円の資金の減少(前連結会計年度末に比べ15億9千6百万円の支出の増加)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等によるものであります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は当社の技術開発部が中心となり、関連部署及び外部機関との連携のもと炭素材料の製造・評価に関する研究と新製品開発を積極的に進めております。
当社グループは、炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントであります。
研究開発活動は、主に電解用電極、高温工業炉用部材、電池用等の特殊ファインパウダーに関する基礎研究について行っております。また、カーボンニュートラルの実現に向けた二酸化炭素資源化をテーマとした研究も進めております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
世界標準の黒鉛化カソードブロックの実績をベースに、大電流・大型電解炉に対して耐摩耗性に優れた新グレード品の開発に取り組んでおります。その他、各種高機能品製造に用いられる電解用電極の研究も進めております。
高温かつ特殊ガス雰囲気にて用いられる各種黒鉛部材の長寿命化を目指し、研究開発を進めております。
永年にわたって培ってきた高度黒鉛化処理技術とファインパウダー技術を駆使し、リチウムイオン二次電池用や燃料電池部材用のさらなる高性能化に対応すべく、コスト・パフォーマンスに優れた製品の研究開発を進めております。
溶融塩電解技術を応用した黒鉛粒子の研究を推進しております。